雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

全レスもどる



Re: 【暫定】某スレ避難所 ( No.1 )
日時: 2018/08/11 16:50
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

創作メモ





そこは荒野だった。いや、正確には「荒れ野になってしまった場所」か。繰り返し襲ってくる、核実験に匹敵する程の爆風によってそこの風景は殆どが吹き飛ばされ、正に死の大地と化していく。
しかしそんな環境もものともせず、1人だけその爆心地へ向かっていく人影があった。絹糸のように滑らかな光沢を放つ金髪の少女......否、それは少女のような少年だった。帽子とインバネスコートが特徴的な彼は、軽々と薙ぎ払われた大木や瓦礫の山を乗り越えていく。

そして急に目の前に飛び出してきた人影に、彼は土埃を上げながら急停止した。

「ーー!? ヨハネスさん!」

「美琴......さん.......?そうか、まだ身体が本調子じゃないから、君と出会う未来が見えてなかったよ」

少年「ヨハネス」の前に現れたのは、白い忍者装束に身を包んだ黒髪の少女「美琴」だった。重力を無視して華麗に靡く長髪の彼女は、驚いた表情で彼を見ていた。
お互い「何故ここに?」なんて聞くまでも無い、彼女もまた同胞の危機を察知して馳せ参じた1人の仲間であった。

しかし安堵もつかの間、彼女が現れた直後、その向こう側から今までにない強烈な閃光と共に、津波の如し強烈な爆風が押し寄せてくる。抉り取った土砂や岩石などを巻き込み、まるで地平線が迫り上がるような光景が2人に迫ってくる。常人なら思考が停止して固まってしまうだろう、しかし両者共に引くどころか拳を構え、それに向き合った。

『でやぁ!』

そして突き出した2人の両拳のパワーは、土砂と岩石の波に風穴を開け、吹き飛ばした。あれ程の物量をも相殺するとは、2人の余力は尋常じゃない。
そしてその一瞬、辺りを真昼の様に照らした光には見覚えがあった。2人の師である「カイザー」の必殺技“太陽の拳”のそれに間違いなかった。

難を凌いだ2人は顔を合わせ、互いに頷くと再びその中心を目指す。

(いったい誰が......いや“なにが”戦ってるっていうんだ!?)

ヨハネスと美琴は急いだ。師の元へ、そして......まだ見ぬ「未知の脅威」へ......





辺りの地面は高温に溶岩のようにドロドロに溶け、灼熱地獄とかしている。
その中で平然と佇む1人の大男が居た。彼の名は「カイザー」、この異世界の危機を救うべくやってきた武芸者の1人である。金髪を後ろで束ねた碧眼の彼が見つめる先には、焼け焦げて全身が真っ黒になった人型があった。なにやら棒状のようなものを彼に向けた状態で動かなくなっていた。その構えから、つい先程までカイザーと相対して戦っていた事がうかがえる。周囲の物はあらかた溶けてしまった中、その人型だけがぽつんと残っていた。まさにシルエットの状態であり、どんな面構えで、どのような服装だったかは最早原形をとどめめていない。

「ーーまさか、この技を受けても尚、死体が残るとはな」

カイザーがその人型に向かって呟いた。もちろん返事などあるはずも無い。

「盛大な大火葬だ。君の“伝説”とやらの、最後のページとしては不足も無いだろう」

彼はそう吐き捨て、踵を返して歩み出すーー


そしてーーなにかを感じて振り返る。


そこにあるのは、あの黒い人型だったーーそう、彼のすぐ真後ろまで、それは近づいていたのだ。
カイザーはその状況を理解し、そして息を呑み、行動に移る前に......その人型は「動いた」。

Re: 【暫定】某スレ避難所 ( No.2 )
日時: 2018/08/11 11:29
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: Y5vwTvj.)

https://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=984.jpg

ようやく某オリキャラの色塗り完成。
今後は様々な表情やポーズ、後は背景とかも描けるようになりたいですね!
URLのhttp[s]の部分を抜けば見れると思います(^.^)

Re: 【暫定】某スレ避難所 ( No.3 )
日時: 2018/08/12 16:15
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: zv9hS5no)

創作メモ


振り上げられた巨大な大槍「グングニル」の矛先がカイザーに叩き付けられる。ガード越しでも伝わる凄まじい衝撃......まるで火山の噴火の如く、その攻撃によって大地が割れ、轟音と共に砕け散る。
そのパワーに耐え切れず片膝をつかされたカイザーの上から、さらに容赦なく圧力をかけてくるイクリプス。自分よりもふた回り程も体格の大きな相手を抑えつけるなんて、彼女も見た目以上に尋常じゃない力を秘めているのか......

だがカイザーも負けてはいない。押さえつけられた身体中の筋肉を解放して全身をバネのようにして大槍を押し返し、その鉄拳で反撃のボディブローを叩き込む。
イクリプスも上手く肘でそれを受け流すが、彼女の脇腹を抉って削り取るようにダメージを与えていく。
その時、カイザーは気づいた。イクリプスの黒く焼け焦げていたと思われたのは、彼女の全身を覆う「殻」のような物だったのだ。まるで甲殻類のようなそれはカイザーの攻撃で剥離していき、その下からは元の白と蒼の装甲服が露わになってきたのだ。
一瞬、イクリプスと視線が重なると、そこにはあの不敵な紅く光る瞳が待ち受けていた。


ふふっ......♪


そしてイクリプスは斬り下がりながら、またあの不敵な笑みを浮かべた。その大槍を構える彼女は、伝説と呼ぶに相応しい、まるで芸術品のように美しい姿だった。ボロボロになり、壊れかけの身体でも、その美しさに陰りはない。

「ーー見事な槍術だ」

カイザーは拳を構えながら、ため息混じりに呟いた。

「ーーそうかしら?」

「ああ......感傷だが、“太陽の拳”をも防ぐ、君の槍術は本物としか認めざる得ない。敵ながら素晴らしいよ。だがーー」

カイザーは再び技を使用すべく、全身に黄金のオーラを纏い始める。

「ここで私は絶対に負ける訳にはいかない。私の為に戦ってくれた多くの同胞のーー」


『【傲慢】ですね』


彼の言葉を遮るように放たれたイクリプスに言葉は、カイザーの虚を突いた。

「ーー己の力を過信し、他者を見下してると......“見えなくなるもの”があるでしょう」

イクリプスの紅い瞳と言葉は、カイザーの心まで見透かしてしまうような説得力のある物だった。


「ーーさあ、死合ましょうか。あなたは、わたくしを殺すのでしょう?」


イクリプスは大槍を手に前傾姿勢になり、腰を低く構える。
その時カイザーは、内なるところに流れる、冷たいなにかを感じていた......

Re: 【暫定】某スレ避難所 ( No.4 )
日時: 2018/08/17 20:09
名前: 名無しのアキラ (ID: EX/CqF3I)

某合作の創作メモ、一応この合作は二章で終わらせる予定だったけど、もしかしたらここから「三章」に分けるかもしれないです。

若干話は飛んでますが、あらすじを説明しますと......ついにヴァルキュリアは人類と異界人の決死の反撃を前に敗北し、双方のリーダーが停戦協定を結ぶべく出会う場面なのですが......

果たして、この戦争の黒幕は本当にヴァルキュリアなのだろうか......?

某合作 最終章「偽りの夜明け」編、執筆開始です!





タイトル:偽りの夜明け

朝日が昇る。優しい光が廃墟と化した街を包み込み始める。こんな瓦礫の山と化した街でさえ、鳥のさえずりは聞こえてくるものなのか。
ーーけれども、そしてそんな穏やかな朝を引き裂くように響きわたるスカートアーマーのスラスター音で、ラヴォン達はその正体をすぐに察知した。



砕けた教会の外に横一列に並ぶ人影......白い装甲を身にまとった少女達、ヴァルキュリアだ。全員がほぼ無傷であったが、その内一機は装甲が大きく破損しており、左腕も三角筋と当て木で固定してる状態だった。
そいつら相対するようにラヴォン達は前に出る。その横には黒衣を纏い大鎌を背負う死神のような少年ヴェルゼと、人間達によって生み出された人造のヴァルキュリアの少女、ユキカゼ。そして火が灯ったカンテラを片手にぶら下げ、黒いローブに身を包んだホムンクルスの女性、フィア。
3人がヴァルキュリア達に対して身体を斜めに構えて臨戦態勢である中、フィアだけはきょとんとした表情で棒立ちのまま、向こう側に並ぶ見たことのない種族の少女達を眺めていた。
ヴァルキュリアは人類の天敵であるのだが、なぜか彼女達はラヴォンへ襲ってこない。その理由は、彼の後ろにいる少女、アイギスのせいだった。
この赤毛の少女アイギスもヴァルキュリアであり、しかもあっちの面子の仲間だ。けれども色々あってラヴォンへ協力し、今こうやって再び本来の仲間たちと再会することになったのである。

ラヴォンが数歩前に出てくる。

「大人しく来た事は褒めてやる。それで、なんだ?一応要件は聞いておくぞ」

「......フフッ、フフフフッ......余はこれまでに数多の協力者を葬ってきた......」

頭に天文時計が組み込まれた帽子を被る、小柄なヴァルキュリア、インデックスが静かに笑いながら呟く。
その様子にラヴォン達は眉をひそめる。

「ーー次は、貴公らの番になったのだ」

「ああ?馬鹿かお前ら!もうお前らに大した戦力が残ってないのは分かってるぞ!諦めろ、ヴァルキュリア!」

ラヴォンの飛ばした叱責を突きかえすかのように、インデックスは再び口を開こうとするが...

「ーーお言葉ですが、インデックス様。あの人間の言ってる事は事実です。要撃となる軽歩兵団や機甲師団、更に他のヴァルキュリア部隊が全滅した今、もはや我々だけでこの盤上を覆すのは困難かと......これは実質ーー」

そう言うのは、インデックスに次ぐ地位を持つヴァルキュリア「ソル」だった。束ねても太ももの辺りまで届く銀髪が特徴的な彼女は、このヴァルキュリア部隊の参謀役だ。
ソルの言葉に、インデックスの余裕の表上が一瞬崩れた。

「ーーで? だから何だね、ソル君? “ヴァルキュリアの敗北”と言いたいのかな?
正規戦を継続できないなら、ゲリラ戦に切り替えればいいだけだろう」

それでもインデックスは「まだイクリプスも、それに“私”が残ってるじゃないか」と、ソルの言葉を突き返す。しかしもはや彼女達に勝ち目がないのは、誰にでも目が見えていた。今のインデックスは意地とかそう言うレベルではなく、本当に頭が狂ってるのかと疑うぐらい、人間の殺戮へ執着していた。もはや戦争の勝ち負けなんかどうでもいい、とにかく目の前の人間を葬ることしか考えていないようだった。
総大将にあるまじき態度に、ソルや他のヴァルキュリアも動揺を隠せない...

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.6 )
日時: 2018/08/21 08:02
名前: モンブラン博士 (ID: eVsqBekQ)

ストックをどんどん公開してくれているので嬉しいです。
カイザーとの闘い、結構長引いていますね。
美琴やヨハネスも登場し、ワクワクしますね。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.7 )
日時: 2018/08/21 09:42
名前: 名無しのアキラ (ID: q6yLQhn.)

おはようございます(^^)


モンブランさん

>>6
ご意見ありがとうございます!
まあ最近は色々な創作活動に手を出していて、なかなか更新出来ていませんが...
この合作も、もうすぐ必ず完結させますので、どうか見守ってくださるとありがたいです(^^)

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.8 )
日時: 2018/08/21 21:54
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: TFipCt5.)

創作メモ




美琴とヨハネスは、ついに目的地に到着するも、そこは既に地獄のような光景だった。溶岩のように赤く溶け落ちた大地に燃え続ける炎、とても近づき難い......煙と蜃気楼の向こうに対峙するように佇む人影がぼんやりと見える。
1人は姿勢を低くし、前傾姿勢になって大槍を構える一機の蒼いヴァルキュリアだった。その矛先には、それを迎え撃つように両拳を高く上げた金色のオーラを身にまとった大男が仁王立ちになっていた。

ヨハネスには2人の正体がすぐに分かった。金髪を束ねた碧眼の大男は「カイザー」、彼の師に当たる。その立ち姿は遠く離れていても眩しいぐらいに勇ましかった。
対するは......カイザーとは対色的な暗いオーラを纏ったヴァルキュリア「イクリプス」だ。
そしてこの状況から、カイザーは必殺技である「太陽の拳」を使用して周囲を焼き尽くした事がうかがえる。この技を受けて立っていた者は居ない筈......しかし彼女、イクリプスはどういうわけか立っているのだ。

2人がなにかを話している。それはここからでも美琴とヨハネスの聴力、そして唇の動きから分かった。


『ヴァルキュリア・イクリプスーー推して参りますーー』


『私はカイザー軍の隊長、受けて立とうーー』


2人の言葉が風に遮られて途切れた刹那、イクリプスが灼熱の大地を蹴って飛び出した。衝撃波と共に火山の噴火の如く周囲の溶岩が吹き上がって火柱となる。
稲妻の如き閃光と共に突進するイクリプスを迎え撃つは、黄金の光をまとうカイザーだ。幾ら金塊を、例え天に届く程もの金塊を積み上げたとて、彼の今の輝きには遠く及ばないだろう。

決着ーーそれは即ち片方の死。ヨハネスはカイザーへ絶対の信頼を寄せていた。しかし、今この一瞬ーー彼の中のその確信が揺らぐ。
僕たちは、なにか、とても大事な事を忘れているーーカイザーさんへ、知らせなければーー
イクリプスの矛先とカイザーの拳が交差する......ヨハネスがカイザーへ危険を知らせようと、口を開いたその時だった。

ーー近くの丘の上で、何かが光る。それは灼熱に溶岩によって赤く照らされたここからでも、まるで恒星の如し明るさを放っており、誰もがはっきり視認できた。





今日はここまで^_^;

そして某合作外伝のオリキャラ募集イベントに早速参加者様が!!
ありがたやありがたや(^^) さーて私も自分のオリキャラのキャラシとイラスト作るぞー!!

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.9 )
日時: 2018/08/23 20:04
名前: 名無しのアキラ (ID: QLCxRyEs)

創作メモ



深夜2時。レジスタンスの拠点では、武器商人のミヤギが持ち込んだ「ユキカゼの遺体」について、夜にも関わらず凄まじい勢いで物議を醸していた。
背丈の小さい黒衣の少女、グラエキアは、その優雅な見た目と性格がぶっ飛ぶ程動揺し、思わずジェスチャーも混ぜながら声を荒げていた。

「そもそも!なんですのこれは!?石化してるじゃありませんの!」

グラエキアが指差す遺体は、正に石ころと化していた。これの元が、金属のフレームからなるケイ素生命体だとは想像し難い有様だ。
ユキカゼのようなヴァルキュリアは、死亡すると皮膚のテクスチャが次第に乖離して行き、人間の皮が剥がれ尽くすと、正に人型のフレームを持つロボットのような姿になるのだ。それがさらに周囲の地層と一体化し、化石になるには相当の長い年月が必要なはずだが......

「うーん、そうだよねー。どうやったらこうなるんだろ......けれども、作り物にも見えないしなぁ」

その隣、グラエキアの言葉に続けて独り言のように呟く魔法使いの少年、リクセス。彼も少し顔を近づけながら、変わり果てたユキカゼを見ていた。

そこへ、一階から複数の人間が階段を上がってくる足音が近づいてきた。3人程だろうか。しかもレジスタンスの子分達のどよめく声も混じって聞こえてくる。

「あっ、こら!」

「なんだ、あんた達は!」

そして会議室の入り口のレジスタンス達を押しのけて、3人の人影が立ち並んだ。
1人は茶色の高級そうなスーツ姿の紳士だ。身長は優に180センチはあるだろうか。スーツの上からでもはっきり分かる、筋骨隆々とした肉体の持ち主だ。けれどもその眼差しはとても優しく、
2人目は癖のある黒い髪をバンドで束ねた青年......いや少年だろうか、白を基調とした上着の両袖には、黒い螺旋模様が、まるで蛇のように巻きついている。黒いブーツとグローブも身につけており、肌の露出がほとんどない。そして首からは大きくひし形にカットされた青い宝石のネックレスをぶら下げており、まるで水の波紋のような光を放っていた。
そして最期の3人目は......白いビニールを頭から被った人間なのだろうか......しかし傘状に広がり、縁には波にような模様のあるそれは、でっかいクラゲにも見えなくもない。表面に浮かび上がった顔は非常に整っており、鼻も高い。しかし正直、この中で一番関わりたくないのはどいつだ?と尋ねたら、ぶっちぎりの人気を誇りそうでもある。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.10 )
日時: 2018/08/24 17:15
名前: 名無しのアキラ (ID: r.jVLD5k)

創作メモ



急に現れた3人に、部屋の空気は一瞬凍りついた。天使のエリアスは黒衣の少女グラエキアを守るように一歩前に出て、武器商人のミヤギは思わず傍のスーツケースを抱えて盾にしながら二、三歩下がってる距離を取る。
レジスタンスの実質副長であるアミラは武器であるチャクラムを手に取り、そして最期の緑を基調とした服に身を包み、壁に寄りかかりながらその様子を見ていた少年はーー

「ーーうーん、なんでもいいだけどさ。“あいさつ”ぐらいしたらどうだい?」

首からぶら下げた魔法の触媒である金色のルービックが特徴の少年ーーリクセスは、余裕ありげにあくびをしながら呟いた。
その言葉に、スーツ姿の巨体が最初に動いた。

「これは失敬!あいさつが遅れてしまったね。わたしはスター=アナツメルツ、私も異界人なんだ。今宵は突然押しかけてすまなかったね」

スーツの大男「スター」は右手を胸に当てながら、反対側の左手でジェスチャーも混ぜながら軽く会釈した。見た目に反して、とても紳士的な振る舞いだった。

「......ふん、まあこうでもしなきゃ、ここには入れないだろうしな......“こいつ”が居るからな」

「なんと!ここに入れてもらえなかったのは、私のせいですと!?」

スターに引き続き、黒髪の少年も、隣にいる白いクラゲみたいなのを横目で見ながら喋り出す。ちなみにこのクラゲみたいなのは、声や喋り方から、中年の男性なのだろうか。
まあ前の2人だけならまだしも、このでっかいクラゲみたいなのがドアの前に居たら、誰だって中に入れたくはなくなるだろう。
黒髪の少年が「そりゃ、そうだろうな...」と冷たく言い放つ中、スターがもう一歩前に出てきて、アミラと正対する。とりあえず敵意が無いことを確認したアミラは、手にしたチャクラムを腰のホルスターに戻した。

「まあ察するにさ、お目当は“これ”だよね?」

壁に寄りかかっていたリクセスが、テーブルの上にある棺を指差しながらスターに尋ねた。

「まったくその通り!いやぁ先に言わせて申し訳ないね。それで今の話、是非ともわたし達にも聞かせてくれないかな?」

スターは本当に馬鹿が付くほどの紳士的な人だった。一体どんな世界から来た異界人なのだろうか、職業からなにから、見た目からは予想できない。

「ーーって事だけど、どうするの?アミラちゃん?まあ、隠した所でお互いに何もメリットは無いし、もう一度ミヤギさんに説明して貰ったら?」

リクセスが今の指揮官であるアミラへ視線を送った。それに合わせて、部屋中の視線が彼女に集まった。スターと黒髪の少年、そしてクラゲみたいなのもそうだ。3人とも、まるで「彼女がリーダーなのか?」と言わんばかりの表情だ。
アミラは「え、えっと......そうですね......」と呟くも、即答はしなかった。彼女も元はラヴォンの右腕であり、その指揮能力は本物だ。リーダーとしての気質もある。思考を巡らせて状況を整理し、最適の答えを出す......とはいえ、その答えにたどり着くにはそこまで時間は掛からなかった。あらゆるリスクを想定しても、とりあえずこの新入り3人をこの拠点に入れ、しかも今の状況を話した所で、戦線にはなんの問題もないと答えが出たのだ。

「......よし、では、ミヤギさん。もう一度、今のお話をスターさん達にもして頂けませんか?」

「ーーええ、まあ貴方が言うなら、そうしますけど」

ミヤギは盾にしていたスーツケースを床に置き、ネクタイを少し緩めながら、3人を不審そうに見つめながら返事をした。まさに「大丈夫なのか、こいつら?」と言わんばかりの目つきだ。
同じく異界人のミヤギには特別な能力などは無いものの、ビジネスマンとしての才能は本物だ。ていうか、召喚させる世界さえ違ってれば、間違いなく巨額の富を得てるような大物である。人を見る目や取引、計画性において、彼の右に出る者は居ない。彼が敵側に付かなかったのは、本当に幸いだった。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.11 )
日時: 2018/08/24 18:39
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: r.jVLD5k)

こんばんは。宣伝ですが、某合作本スレにてカイザーvsイクリプス編を更新させていただきました。

それにしても10レス分(約18000字)とは...我ながら長いな(汗

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.13 )
日時: 2018/08/26 03:47
名前: 名無しのアキラ (ID: nxHtiDRo)

創作メモ

ついに結着か......長かったな


ーー丘の上に現れた恒星の如し輝きの光。
そして、そこから放たれた稲妻の束が、カイザーの背中を貫いたーー弾ける黄金の光と鮮血......そして直後、イクリプスの矛先がカイザーの、脇腹を貫いた。交差するように突き出されたカイザーの拳は、イクリプスの左肩の装甲を粉砕して吹き飛ばす......
一瞬の出来事にイクリプスは一瞬槍を突き出したまま停止するが、カイザーの返り血を頰に浴びて我に帰ると、バックステップを取って一旦距離を取る。
改めて見ると、カイザーの巨体には風穴が二つ空いていたのだ。一つはイクリプスの刺突によるもの、そしてもう一つは......背後からの“狙撃”によるものだった。

「ーーえっ、なに!?“不意打ち”!?そんなーー」

美琴は丘の方とカイザーを交互に見た。

「ーーあら......これは、なんて事でしょう。すみません、“うちの子”が出てきちゃいましたかーー」


『なーーなにしてんだ“お前ら”はあああああ!!!』


イクリプスの言葉を、ヨハネスが放った怒号が搔き消した。そして美琴の制止を振り切り、ヨハネスは1人飛び出していくーー





溶岩の海から少し離れた高台に、“彼女”は居た。癖のある長髪を両サイドでまとめた少女「フェイルノート」は右腕の装甲を変形させ、中指と人差し指を溶岩で赤く染まった大地へ向けて居た。手からは白煙が上がっており、何かを放った後であることが伺える。その青く大きな瞳で捉えた“それ”を自身の能力で貫いた事を確認した彼女は、口元にニヤリと笑みを浮かべる。


『ーースキル“万物貫通”!』


彼女が呟くと、その後ろの暗闇からも複数の白い影が出てきた。その中でも一際小さいのが前に出てくると、眼下の灼熱の大地を眺めるようにフェイルノート横に並んだ。頭に被った天文時計が組み込まれた帽子がトレードマークのヴァルキュリア「インデックス」だ。一応、現在はヴァルキュリア達の頭目でもある。

「ほほう?流石に当てるか」

インデックスは、まるでピクニックに来て景色を眺めるように呟く。
そんな彼女の後ろに続くは、太ももまで届く銀の長髪のヴァルキュリア「ソル」と、奇妙な箱型の防具を被った「ファランクス」だ。

「ーーまあ、このまま戦わせてみて、どっちが死ぬか楽しみでもあったのだがな」

「ーーっ!」

インデックスの言葉にソルは何か言おうとするも、それを堪えた。そんな彼女を尻目にインデックスは腰のスラスターを吹かせて、マグマの大地へ飛び立った。

「......行きますよ、ファランクス、ふぇーたん」

「あのガキ......」

「いつか、殺してやるっす......!」

インデックスの背中に殺意を向けた3機も後に続く。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.14 )
日時: 2018/08/26 22:48
名前: 名無しのアキラ (ID: nxHtiDRo)

創作メモ

ようやくお世話になった皆様から頂いたオリキャラ達を本格的に絡ませる事が出来るようになって来ました(^^)
(ちなみにこのお話にはスレ主のオリキャラは一体も登場してないです)

それぞれのキャラの個性がうまく出てればいいな(^^)




パサリと資料を机に置く音が部屋に響く。室内は大勢の人間がいるにも関わらず、とても静かだった。

「ーーと、まあこんな所でしょうか。前にも説明した通り、他にも“らしい”遺体は採掘されており、誰のものなのか現在遺伝子解析を進めさせている所ですが......まあロクな結果は出そうにありませんね」

一息つくミヤギ。

「ありがとうございます。僕からも特に補足もないかな......」

ミヤギの説明を聞いてたリクセスも、先程の説明から一切の抜けがない事を確認していた。その後「じゃあ、質問タイムとでも行こうか?」とでも言うように、新入り3人へ視線を送る。3人とも棺の中の遺体を囲んで、ミヤギの説明を聞きながらそれに見入っていたようだった。
そして最初に顔を上げたのは、黒髪の少年「デスタムーア」だ。

「ーー悪いが、荒唐無稽で馬鹿げた話だな、なにかの間違いに決まっている。“この世の時間を全て巻き戻せる存在”がいる訳が無かろう。しかもそいつはヴァルキュリアや異界人を撃破しうるなにかって事か?」

デスタムーアはこれらの現象に否定的だった。遺跡から、この世界に1機しか居ない筈のヴァルキュリアの遺体が採掘され、しかもその人物が今も尚レジスタンスや異界人と共に作戦を継続してる事自体がまず有り得ない。だとするなら、この世界の時間軸に何らかの異常が起こってると考えるのが妥当だが、まさかそれが【何者か】の意思によるものだなって、確かに彼の言う通りますますありえない話になってくる。

「ふむ、確かに私にも解せない所はあるね......ただ仮にそんな存在が実在したとしたら、どうだね?デスタムーア君、我々の元来た世界には存在しない、この異世界にしかいない“未知の敵”がいるとしたらーー」

スターがデスタムーアに問う。お互い元の世界でいくつもの修羅場をくぐり抜けて来た猛者であるが、形が似ている物もあったとはいえ、ここまで未知の敵には出会った事もなかった。

「まず“人”では無いだろうな、そしてヴァルキュリアでも無いだろう」

「ーー?何故ヴァルキュリアでは無いと分かるんですの?」

デスタムーアの言葉に、グラエキアが反応した。

「ーーあのな、ヴァルキュリアにそこまでの力があるのなら、今頃は人間側がもっとボコボコにされてるとは思わないか?」

デスタムーアの意見はとても冷静かつ的を射ていた。外部の情報を素早く分析し、それに合った最適解をすぐに出せる。「そんな事も分からんのか」と言うように息を吐くデスタムーアに、グラエキアも「成る程......」と大人しく納得した。

「まあ俺から言わせればな......ヴァルキュリアなんぞ、どいつも見掛け倒しで、実際には大した能力も無い。天使を名乗る、動く木偶に過ぎん」

「それはなんと、大した自信ですね」

ヴァルキュリア達と数多の激戦を繰り広げて来た天使「エリアス」が、デスタムーアの言葉に反応する。レジスタンスや連合軍、そして異界人達が力を合わせ、多くの犠牲者を出しながらも何とか抑え込んでるヴァルキュリアを「大したことない」の一言でぶった切るとは。今のデスタムーアの言葉は他のメンバーにとっても衝撃的だっただろうーー1人を除いては。

「ーー成る程!つまりは、ヴァルキュリアとは『喋るお人形さん』だったってことですかな?」

「なっ!お前、バ......いや、言葉の例えだろ......」

「えっ?そうなの?えっ?」

「ーーははは、まあ確かに、ヴァルキュリア達は、お人形さんみたいに可愛い姿をしているね」

その後にプルティの発言はもっと衝撃的だった。今まで冷静かつ強気の態度だったデスタムーアも、横の白いやつの言葉に度肝を抜かれ、一瞬肩を大きく震わせて飛び退くようにそちらへ身体を向けていた。プルティは、どうやら今までの話を明後日の方向に解釈をしていたようだ。
スターだけは良い感じに話の腰をシフトさせてフォローしてくれていたが、他の面子にはそんな余裕はなかった。
リクセスやアミラ、ミヤギ、エリアスもかなりドン引きというか、驚愕の表情を浮かべていたが、その後部屋には彼らの腹の底から出てきたため息がこだましていた。
額に手をやり、大きくため息をついたデスタムーアが、「付き合いきれん、失礼する」と言うように踵を消して部屋の入り口に向かった時だった。
下の拠点の入り口がまた騒がしくなる......どうやら、また来客のようだ。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.15 )
日時: 2018/08/28 15:39
名前: 名無しのアキラ (ID: jq8tz7vM)

https://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=801.jpg


なんか一時期すんごいネタにされてたオリキャラ「カッシウス」のキャラデザをリメイクしてみました〜
(「s」抜きすれば見れると思います)
流石に前作のアレは適当すぎたと思いましたので......(おいw

......そして、昔このカッシウスを、ある日突然ものすごーく上手く描いて下さった作者の方が居たんですよね
私も最近はカキコに来る回数も減り、今のこのサイトの現状はよくわかりませんが......あのお方は今も元気なんでしょうか。
個人的には凄く驚きましたし、何よりも嬉しかったです。

私も時間に余裕ができたら、是非知り合いの方のオリキャラの絵も描かせて頂きたいですね(^^)

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア量産計画~ ( No.17 )
日時: 2018/08/28 22:09
名前: 流沢藍蓮◆50xkBNHT6. (ID: NCDzhkb2)

 お疲れ様です、そしてお久しぶりです! どこぞの藍色蓮がひょっこりやってきてみました。
 なんだか、自分が去年作ったキャラクターが、今も他の作者様の小説の中で生きているって、妙な感慨があります。

 そうそう、お節介焼きに来ました。アキラさん(とりあえずそう呼んでいですか?)が立てたオリジナルなりきりのスレ、質問が来ていますよー。一応お知らせしておきますね。私は毎日オリなり板、覗いていますので。

 今後もお互い頑張りましょうねb

*「開発」が「量産」になってる……(笑)

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア量産計画~ ( No.18 )
日時: 2018/08/29 12:13
名前: 名無しのアキラ (ID: 4IA040jA)

こんにちは(^^)


藍蓮さん

>>17
お疲れ様です!某合作では本当にお世話になっておりますm(_ _)m
むしろここまで来るのに1年もかかってしまい、大変申し訳無かったですσ^_^;
でも皆様と交わした約束通り、オリキャラが活躍するストーリーをなんとか書き続けさせて頂いております。

なりきり板へも先程返信致しまいした!

お互い、必ず自分の小説を完結させましょう!!

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア量産計画~ ( No.19 )
日時: 2018/08/29 18:16
名前: 流沢藍蓮◆50xkBNHT6. (ID: Vkc3wV1c)

>>18
 こんにちはー。
 こちらこそお世話になっております! 結局ほとんどアキラさんに任せる結果になってしまって申し訳ないです!

 そうそう、お節介焼きその2。
 オリなり板を見たのですが、なりきりについてのアドバイスです。ま、私もなりきり歴一年くらいですがね……。アキラさんよりは長いかと。

・なりきりでは、余程の長文スレでないと一話で1000文字越えはあり得ない。
 なりきりって、みんなのレスをつないで一つの物語にしていく感じなので、合作とは違うんです。合作では1000文字越えが当たり前ですが、なりきりの文字数は300~400文字くらいが適切だと思います。なので基本、自分のキャラは自分しか扱わない、というか他人のキャラを扱ったらいい感じがしません。去年はそれをやって忠告されたことがあります。
 1000文字以上を掲げるなりきりは相当に難易度が高いですし、滅多に見ませんねぇ。(昔のを掘り起こすとあることにはあるがそれでも一つ二つ程度)かくいう私も、1000文字以下しか書けないってこと、よくあるので。

 なりきりについて、わからないことがありましたら私に聞いて下さい。可能な限り、誠心誠意お答えしますから。
 スレを見て、アキラさんはなりきりに慣れていないなぁって思ったので、ついつい忠告してしまいました。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア量産計画~ ( No.20 )
日時: 2018/08/29 20:18
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: 9bmCwpEE)

こんばんは(^^)


藍蓮さん

>>19
成る程〜、なりきり掲示板ではあまり長い文章は用いないんですね〜
分かりました、ご指摘ありがとうございますした!

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア量産計画~ ( No.21 )
日時: 2018/09/02 11:40
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: g5gMUHrU)

こんにちは〜(^^)


某合作外伝スレに素晴らしいオリキャラを1体頂きました!
ある程度制限を設けた分、自分の理想のキャラが来てくれました〜
いやぁ〜ありがたやありがたや(^^)

一応こちらからの提案もしましたので、お返事が楽しみです(^^)

また他の方からのオリキャラも絶賛受け付けておりますので、是非みなさんもオリキャラ投稿よろしくお願い申し上げます!

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア強化計画~ ( No.23 )
日時: 2018/09/11 18:59
名前: 名無しのアキラ (ID: 1JaMJI/Q)

〜独り言〜


まあ今某掲示板とSNSで話題の「気になるあの子」の感想だけどさ、


【“プロレスラー”が“プロレス”を信じなくてどうするよ!?】


って事なんじゃないのかな......(ケンガンアシュラ風に)
【「お前は小説を書いてるんじゃない!プロレスをやってるんだ!」】って、殴って気合を入れてやりたいですね(おいw)

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア強化計画~ ( No.24 )
日時: 2018/09/11 18:59
名前: モンブラン博士 (ID: lEIYIrdI)

名無しのアキラさんへ
それって私の作品のことですか?気になる隣のあの子という作品があるのですが……

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア強化計画~ ( No.25 )
日時: 2018/09/11 19:12
名前: 名無しのアキラ (ID: 1JaMJI/Q)

モンブランさん

こんばんは!
すいませんけど、自分は「あの気になる隣の子」という作品は今初めて知りました(汗)

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア強化計画~ ( No.26 )
日時: 2018/09/11 19:20
名前: モンブラン博士 (ID: lEIYIrdI)

名無しのアキラさんへ
別の作品でしたか!なんだかすみません……

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.27 )
日時: 2018/09/13 12:27
名前: 名無しのアキラ (ID: MGg2aJ8o)

〜独り言〜


まあインターネット掲示板の荒らしは止めた方がいいよ。リアルBAN(警察沙汰)になる可能性もあるし、マジで人生終わるから。
このサイトには前科(犯罪歴)のある作者もいるけどさ、そういう人は言動とかまともじゃなくなっちゃってるよ。そういう悪い人には絶対になっちゃ駄目だ。

Re: 【暫定】~ヴァルキュリア開発計画~ ( No.28 )
日時: 2018/09/13 16:50
名前: 名無しのアキラ (ID: fsS3tgeM)

創作メモ

個人的には藍蓮さんのデスタムーアの強キャラ感&居てくれる安心感ぱないですww


アミラ達が階段を降りていくと、レジスタンスの拠点の正面入り口には既に人だかりができていた。そして医療キットを持ってきた隊員の姿が彼らの前を通ったことにより、負傷者の存在に気づく。現リーダーであるアミラの登場に道を開けた隊員達の向こうには、ボロボロになった3人の異界人がいた。優に2メートルを超える大男を、2人の少年と少女が肩を貸して支えていた。
金髪を後ろで束ねた大男はコックコート姿だが、上半身の布は弾け飛んでおり、その岩山のような肉体が露わになっていた。そして残ったコートの部分も煤と彼の血で赤黒く染まっている。
インバネスコート姿の金髪の少年も、衣類はボロボロ。そして全身の深い傷からは血が滴り落ちていた。白い忍者装束の少女も同じだ。その傷も、まるで獣に襲われて出来たような物ばかりだった。
そして、その姿を見たスターが形相を変えて飛び出していった。

「カイザー君!ヨハネス君、それに美琴ちゃんまで......これは一体なにが......」

「はぁ......はぁ......くっそ、“あの女”......バケモノか......」

カイザーの巨体を支えきれなくなり、前に倒れそうになった2人を、エリアスとリクセスが支える。
そしてインバネスコートの少年、ヨハネスの口から、事の真相が語られた。



コックコートの大男、カイザーは意識が朦朧になりながらも、受け答えはなんとか出来る状態だった。しかし3人の中では一番重症だった為、直ぐに地下の集中治療室へ送られる。
ヨハネスと美琴も裂傷や骨折の数々があったものの、拠点の入り口で応急処置を施すと、見る見るうちに傷口の出血が止まり、傷にも薄い膜が出来始めていた。人間離れした回復力だ。
そしてヨハネスがスターへ戦局を伝えると、彼の表情から余裕の笑みが消え去った。


「スター流が......全滅? 何かの間違いじゃないのかね?」

表情に曇りが拭えないスター。

「はい......“ヴァルキュリア・イクリプス”によって、スター流は全滅。
更に......イクリプスは“ヴァルキュリア・ファランクス”と“ヴァルキュリア・フェイルノート”も撃破。現在は旧市街に向け、周辺の異界人を撃破しながら侵攻中です......」

それは衝撃的な事実だったのだが、ヨハネスの後の方の言葉に、その場にいた全員に大きな疑問が生まれる。


『は?』


その疑問にいち早く食いついたのは、黒いドレスの少女、グラエキアと、緑衣の魔法使いリクセスだった。

「ファランクス......わたくしがこの世界に来て、初めて出会ったヴァルキュリアですわ。こまい“はぐれファランクス”を大量に押し付けて、散々わたくしとエリアスに喧嘩を売ってきた方です。でも撃破って......どういう、まさか“同士討ち”をしたって事?」

「僕もフェイルノートは見た事あるな、物凄い威力の光弾を放つヴァルキュリアだよね。
それで......そのイクリプスって奴はスター流だけじゃなく、自分の味方も全滅させたのかい?」

「うん......理由は不明だけど、でも何か相当おかしくなってる様子だった。
そして何より......“わけがわからないぐらい強かった”。僕や美琴さんだけじゃない、カイザー隊長や他の異界人も、ヴァルキュリアも......全員倒してしまった......化け物だよ、“アレ”は」

ヨハネスはコートで身を包みながら呟いた。
“イクリプスの暴走”......予期せぬ最悪の事態を前に、作戦会議室の面子は言葉を失う。しかし1人だけ、ポーカーフェイスを貫いている少年が口を開いた。


『“くだらん”、なにが化け物だ。お前たち、ちょっとビビりすぎだ。もっと事は明快だろーー』


黒衣の異界人の少年、「デスタムーア」の放った言葉に、作戦会議室中の視線が集まった。




『“イクリプスを倒せば”【終わり】じゃないか』

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.29 )
日時: 2018/09/21 23:51
名前: 名無しのアキラ (ID: q6yLQhn.)

創作メモ




「おいアイギス、そこで何をしてるのかな? こっちへ戻るんだ......」

インデックスは、ラヴォンの後ろにいたアイギスを手招きした。その表情、手の動き、まるで妖怪のような気味の悪さだ。
味方とも思えない彼女の眼差しに、アイギスは唾を飲みながらも、ラヴォンの傍から離れていく。
緊迫の瞬間だった。今ここでアイギスの背中を突けば、この後戦闘になるかもしれないインデックスの戦力を削げる。
しかし、もしもインデックス以外のヴァルキュリア......ソルやイクリプスが彼女を説得してくれれば、もしかしたら戦闘を回避できるかもしれない。もしもそうなるのなら、今ここでアイギスを倒してしまうと、逆にソルやイクリプスまでもを敵に回しかねなくなる......


そして途中で立ち止まり、

「インデックス殿、自分が戻る代わりに、彼らを撃たないと約束して下さりますか?」

「約束?ああ、いいとも......“私たちは”撃たないよ」

インデックスが返事をすると、アイギスは再び歩き出す。インデックスとラヴォン達の距離はせいぜい20メートル。歩いて行ってもあっという間の筈だが、その僅かな間は、ラヴォンにはとても長い時間に感じられた。
20メートルの距離があるとはいえ、油断は出来ない。素早い上に多彩な火器を有するヴァルキュリア同士にとって、そんな距離など無いに等しい。ユキカゼはアイギスの背中を見送りながらも、腰に下げたブレードに既に手をかけていた。
隣のヴェルゼも同様だ。異世界からやってきた彼にとっても、ヴァルキュリアは最も強力な敵だと認識していた。背中の大鎌と、その黒衣の内側に仕込んだ短剣はいつでも抜けるようにしてあった。

アイギスがインデックスの前まで来た。

「ただ今、戻りましたーーあの、約束は......」

「ああ、守とも。ほら」

そしてインデックスは、アイギスへ“それ”を手渡した。冷たく堅い手触り、黒くて重い......ハンドガンだった。インデックスは唖然とするアイギスの耳元まで近づくと......

「我々は撃たない。だから“お前が奴らを撃て”」

アイギスが口を開く前に、彼女の問いを潰すようにインデックスが命令する。その言葉を聞いたラヴォン達は一斉に身構えた。

「おいおい、随分物騒な連中じゃないか。ヴァルキュリアってのは」

ラヴォンの後ろにいた異界人、フィアも表情を変える事なく驚いていた。
アイギスは拳銃を手渡され、驚いてインデックスから離れようとするも、すぐに彼女に腕を掴まれて連れ戻された。

「あの!これは!?」

「インデックス様!あいつらを殺すメリットなんか、今更なにもありません!敵を増やすだけです!」

「黙れ、従わなければお前らも殺すぞ」

自身へ忠告した仲間のヴァルキュリア、ソルへ対しても、インデックスは殺気を向ける。
そしてアイギスの肩に手を添えながら、再び耳元で囁いた。

「ほら、アイギス......お前は悪い人間達を倒す“無敵の戦士”だ」

そして彼女の持つ拳銃に手を添え、無理やり銃口をラヴォン達へ向けさせた。ラヴォンやユキカゼ達は、それを制止するよう言い放ちながら、武器を構える。
ヴァルキュリアは命令された任務を忠実に、それも正確に遂行する戦闘マシーンだ。手前の人間を拳銃で撃ち抜く事など、造作もない。

しかし......

「ーー自分は!」

アイギスはインデックスの腕を振りほどき、そして銃口を地面に向ける。

「......自分には......ひぐっ......撃てないでありますぅ......」

彼女の頰を涙が伝う。泣きながら拳銃を額に当て、銃の上部に顔をうずめる、そして震えながら動かなくなるアイギス。
その姿を見たラヴォン達は確信した。「ヴァルキュリアは化け物なんかじゃない」と.......


「そうか」


インデックスが呟いた途端、アイギスの背中を見えない何かが貫いた。彼女の腹の風穴が開く。
その場の全員が驚愕する事態だった。


『じゃあ、お前が死ね』


インデックスの瞳は怒りを通り過ぎ、殺意に満ちていた。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.30 )
日時: 2018/09/22 08:25
名前: モンブラン博士 (ID: vhb1jCDw)

スター流が全滅とは流石のスターも少しは動揺するとは思いますね。ところでジャドウはどこにいったのでしょうか。まだ倒されていないメンバーがいるとすればジャドウとスターの2人でしょうから。あとは闇野髑髏だけですから、残るスター流の戦力は実質3人ですね。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.31 )
日時: 2018/09/22 13:51
名前: 名無しのアキラ (ID: lq0kpHrk)

こんにちは〜


モンブランさん

シャドウは分身を変わり身に死亡を回避して、今は隠れて回復中って感じにしてます。
この後、また美琴とヨハネスとスター出そうと思っております。闇野は今のところ特に出す予定はありませんが、リクがあれば出してもいいですよ。

現時点でこの地方に残ってるヴァルキュリアは、アイギスが倒れたことによって残り3機。

更に次回で、ついにヴァルキュリアは「最後の1機」となってしまいます。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.32 )
日時: 2018/09/22 18:52
名前: モンブラン博士 (ID: vhb1jCDw)

名無しさんへ
スターたちがどのように戦うのか今から楽しみです!!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.33 )
日時: 2018/09/23 12:19
名前: 名無しのアキラ (ID: 8euHqhDs)

モンブランさん


スターさんは直接戦わないですかね。自分は美琴とヨハネスに動いてもらおうと思っております( ◠‿◠ )
後敵も2体しか居ないので、一緒にこの合作を完結させましょう!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.34 )
日時: 2018/09/24 19:45
名前: 名無しのアキラ (ID: Ceu7NO9s)

〜創作メモ〜

敵ヴァルキュリア:残3機


一度崩れ去って膝をつき、その後ボーリング玉を床に落としたように大きな音とともに前に倒れたアイギス。
その姿を見たソルは、今まで冷静だった表情から豹変し、憤怒を超えそうだった。

「ーー!インデックスーー!」

そして振り向いたインデックスの顔面に、フルスイングの右ストレートパンチをぶちかました。顔の表面にヒビを入れながら吹っ飛ぶ。
突然後方の、それも味方からの攻撃に、流石のも彼女でも対処できなかった。視界が周り、訳が分からぬまま倒されるインデックス。

(ーー!? 殴ったのか!? ソルが!? 馬鹿な......!)

まさに「飼い犬に手を噛まれる」とはこの事だ。

「今だ!」

ラヴォンの後ろにいたユキカゼが飛び出すと、それに続いてヴェルゼ「ああ!」と答えて後に続いた。
ソルの行動を見て、ここでインデックスを打てばこの戦争は終わると確信し、思い切った行動に出たのだ。

(......この、馬鹿共が!通るか、そんな攻撃!)

しかしインデックスは足で踏ん張って転倒を回避すると、そのままスカート裏のバックスラスターを吹かせてソルとユキカゼ達から距離をとった。
その動きを見たラヴォンが「待て!」とユキカゼとヴェルゼを止めるも、すでに時遅し。
ソルが追撃すべく、瞬間移動の如き素早さでインデックスの懐に飛び込んだ。

その時だったーー


『“フリーズ”』

インデックスが指をパチンと鳴らすと、眼に映る全ての風景がモノクロになっていった。それはソルやラヴォン達も例外ではない。
色が無くなり、万物から熱が抜け、まるで凍ったように動かなくなっていく。夜明けの光すらも弱くなり、辺りは暗く、冷たくなっていく......
それはインデックスの「タキオン」を操る能力による、『時間の停止』だった。
石像のように動かなくなったソルやラヴォン達を見て、インデックスは高飛車の笑みを浮かべた。

「ふふ、余にとって敵に数は関係ない。このーー」

『“能力さえあれば”ですか?』

言いかけたインデックスは、後方からの声に驚愕して振り返ろうとするも、既に彼女の肩を誰かが掴んでいたせいでそれは叶わなかった。
それでもインデックスが首だけで振り向くと、そこには蒼いドレスを身に纏ったヴァルキュリア、「イクリプス」の姿があった。

「ーー“自分に触れてるものの時間は止められない”。それが、最強の能力者である貴方の、最大の弱点です」

「なっ!馬鹿な!なんでお前がそんな事を知っている!?」

『“時計”......ですよ』

イクリプスの更に後方からの声に、インデックスの驚きを治らない。そしてイクリプスに蒼いマントの陰から、長い銀髪のヴァルキュリア、ソルの姿も現れる。そしてインデックスは、ソルが見つめる、自分の腕時計に気づいた。
ーーそれは動いていた。この時が止まった空間の中でも、きちんと正確に時を刻んでいたのだった。

「なぜ、お前まで動けるんだ!?」と声を上げるインデックスの問いにはーー答える必要はなかった。マントの陰から現れたソルは、ぎっちりとイクリプスと手を握りっ合っていたのだ。
素早いイクリプスと賢いソル、2人の最高のコンビネーションの賜物だった。

ソルはイクリプスの手を借りてインデックスに前に回り込むと、そのまま彼女の両肩を強く掴んで捕まえた。

「貴方の身体は私が、そして能力はイクリプスが封じましたよ」

「ふふ、見事じゃないか。だがね、私を殺した所で“絶望”は終わらない!」

「そうでしょうね。でもご安心を、今から私達が殺すのはーー」

『ーー“貴方の方”です』

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.35 )
日時: 2018/10/05 18:50
名前: 名無しのアキラ (ID: 8pqwH97U)

〜よくある質問〜


Q.スレ主マジで何歳なんだ

A.69歳男性

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.36 )
日時: 2018/10/05 21:19
名前: 彩都◆fnkquv7jY2 (ID: .Bl.wbOE)

>>35
???「24歳、学生です」

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.37 )
日時: 2018/10/05 21:25
名前: 名無しのアキラ (ID: 4WES/qw6)

え、学生?あっ()

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.38 )
日時: 2018/10/05 21:33
名前: 彩都◆fnkquv7jY2 (ID: .Bl.wbOE)

>>37
 舌打ちをしないインタビュアーの鑑。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.39 )
日時: 2018/10/05 22:05
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: ypl8iEkg)

お久しぶりです。こんばんは。

>>35
よくある質問、という欄、HPとかによくありますよね!(^-^)/

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.40 )
日時: 2018/10/07 00:14
名前: 名無しのアキラ (ID: tTWVGB5U)

四季さん


こんばんは〜

まあみんな質問好きなんですよ(おいw

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.41 )
日時: 2018/10/07 00:15
名前: 名無しのアキラ (ID: tTWVGB5U)

〜創作メモ〜





2人は声を合わせて言うと、イクリプスの方がインデックスの背中に手を突っ込んだ。否、インデックスの背中には魔法陣と虚空のような闇が出来ており、そこへ手を入れていたのだ。
そして、イクリプスが手を引き抜くと、そこには“星が煌めく空間”の様なものが握られていた。まるで小さな宇宙空間の様なそれは、スライムの様にインデックスの身体の中から伸びてきており、まるで外に出されるのに抵抗する様に縮もうとしていた。
その影響か、インデックスが泡を吹いて失神する。それに構わずソルとインデックスはその“星が煌めく空間”を引き剥がそうと手に力を入れた。

そしてあと少しで摘出が終わりそうな時、インデックスの胸が光り、その中から漆黒の槍先の様な物が突出した。正に“最期の一撃”の様な攻撃で、それはソル目掛けて至近距離で放たれた。

『っ!』

イクリプスは片手で詠唱し、ソルは自身の腕を盾に心臓部をガードするーー


ーーパキン・・・


が、その黒い槍の様な物体は、ソルの片腕を紙の如くいとも簡単に貫通しーー彼女の胸を貫いた。

「ソルちゃん!!」

力が抜け、インデックス側に倒れそうになるソルだが、自身に刺さった黒い槍を掴んで持ちこたえーー

「っつ......わたしに、構わないでっ......!」

そして顔を上げてイクリプスに訴える。
イクリプスは星が煌めく空間を完全に引っ張り出すと、そのまま凄まじい握力で握りつぶした。新生爆発のように眩い光と、まるで悲鳴のような音を上げて潰れた。彼女が手を開くと、そこから黒い煙のような物が、空へを登っていった・・・






ーーそして、時が動き出す。


インデックスの能力が停止したことにより、止まっていた時間が流れ出した。ヴェルゼとユキカゼの前で、突然音を立てて倒れるインデックス。そしてイクリプスの方へ倒れ、受け止められたソル。一瞬で周りの環境が変化し、その理解が追いつかない2人は動きを止めた。

ごく数分足らずの間に、ヴァルキュリア3機が倒れる・・・通常では考えられない事だ。背後からインデックスに斬られたアイギス。白目を剥き、泡を吹いて痙攣して気絶してるインデックス。
そして、イクリプスの腕の中で少しずつ呼吸と心拍が弱くなっていくソル・・・

「はっ......はっ......やっ、やっと“ここまで”来れたよ......イクリプス......初めて、来た......」

ソルはイクリプスの袖を掴みながら、か細い声で喋るソル。その瞳は輝きを失い、空を映していた。

「初めて......見たよ......こんな風景。空が......綺麗......」

意識が途切れていく中、視界の端にラヴォンの姿を捉えると、少し我に帰る。

「わたしの能力......“死ぬと過去に戻れる”んです......いや、あるいは今のわたしは死んじゃって、この記憶だけが“過去のわたし”へ飛んでくだけなんでしょうか......」

「っ!ソル、お前......てことは、やはりこの世界が“ループ世界”だってのも本当だったのか......」

ラヴォンの問いに、ソルは小さく頷いた。

「ーーソルちゃん、ごめんね。痛かった?今治してあげるから、ソルちゃんはゆっくり休んでて」

「ふっ......馬鹿ですか、あなた......イクリプスには、そんな能力はないでしょう......」

「......また、会えるんだよね?」

「ええ、もちろん......わたしと貴方の腐れ縁は、神様でも切れないでしょうね」

その時ソルは、とても幸せそうな表情をしていた。笑みを浮かべていた。今まで誰にも見せたことのない様な顔だった。
そしてイクリプスはーーなんとこれ以上にないほど落ち着いていた。
いや、もしかしたら......哀しみや怒りを通り越し、その先の境地に達しているのかも知れない。

「ラヴォン......せいぜい“世界を救う”為に頑張って下さいよ......まあ別に、期待はしてませんけどね」

置き土産と言わんばかりに毒舌を吐いたソルは、手でイクリプスの頰へ触れた。

「イクリプス......あなたは......わたしにとって、“ある日突然現れて、世界を救ってくれるヒーロー”その物でしたよ......いや、あなたは正に【みんなのヒーロー】だったよ......だからーー」

ソルは涙を浮かべながら、イクリプスへこう言った。


『だからーー【生きて】ねーー』


ーーそれが、ヴァルキュリア・ソルの、最後の命令だった。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.42 )
日時: 2018/10/12 03:50
名前: 名無しのアキラ (ID: XhO.nwFk)

運命の日の早朝ーー

淡い光が照らし出した山道を、複数の車団が突っ切っていく。ノングレアの塗装を施した車体は朝日を浴びても光を反射せず、冷たさと重みのある色をまとっていた。



車団の中央は列の中でも守りが硬くなっており、そこを走る大型トレーラーの中では、アミラ達によって作戦会議が開かれていた。重要人物達が、ディスプレイが組み込まれたテーブルを囲んでいる。
狭い車内には逐次情報が入って来ており、他のレジスタンス団員達はそれらを裁くのに追われていた。
アミラがディスプレイの一区画を指差す。

「今回の作戦目標は旧市街に残されたラヴォン達の救出......ヴァルキュリアの相手はその次とするわよ。
旧市街を他のレジスタンス達と包囲するように展開、徐々に中心部まで向かう」

「了解、っと......それにしても、なにも君達まで来なくても良かったんじゃないの?」

アミラと相対するように会議へ参加してた緑衣の魔法使い、リクセスは、トレーラーの後部のベンチへ振り返りながら呟いた。
そこに居るのは、手負いの包帯姿にも関わらず出てきた、名門スター流のヒーロー、美琴とヨハネスだ。

「これぐらいの傷、私達なら少し休めば大丈夫です!ぜひ私たちにもお手伝いをさせて下さい!」

「まあ、君達をほっとく訳にはいかないしね。それにスターさんも一緒に来てくれてるんだ、僕も後方から援護するよ。
ヴァルキュリアと戦うには、奴らとの実戦経験のある人が多い方がいい」

立ち上がって熱い思いをぶちまける美琴と、脚を組んでクールに話すヨハネスは、どこか対照的でいいコンビにも見えなくもない。
2人は一度はイクリプスに蹴散らされたが、その闘志はまだ残っているどころか、ますます激しく燃え盛っているかのようだ。彼らなら、もしかしたらリベンジが叶うかもしれない。
そして、その隣に座っていた黒衣の少女、グラエキアも、その様子にくすりと笑みを浮かべた。

「ご心配なさらなくて結構ですわよ。ご覧の通り、わたくしは無傷。しかも幾度もヴァルキュリアをこの鎖で捕まえた実績もありますの。
足手まといにはなりませんし......なんなら、わたくしがあのイクリプスを捕まえて差し上げてもよろしくてよ」

ジャラリ......と掌に集めた闇の淀みから、漆黒の鎖をちらつかせて見せた。この鎖は闇を集めて物質化した様なものであり、ヴァルキュリアでも切断するには至難の技だ。彼女のような人がいてくれるのは頼もしい限りだ。

そして、その奥から更に人影が。小柄な体格で短い金髪の少年だ。金色の魔術師のローブをまとっているものの、派手さはなく、全体的にまるで霞がかかったような少年だった。

「僕も手伝うよ、せっかくこの世界にお邪魔したんだしね。
それに、僕の“幻影”を用いれば、みんなの盾になることも出来るさ」

彼はエクセリオ。元は祖国の奪還を目的とする組織の副長兼策士だった少年だ。彼も同じくレジスタンスや他の異界人と合流したものの、その能力の特徴から、完全に無傷のままで日々を過ごして来たのだ。実質この世界で初の「遠征」であり、久々の正規の作戦に参加出来て彼も生き生きしていた。どことなく、いつもよりも彼の金色の魔導師服が輝いて見える。

「みんな......」

アミラは思う。これは、本当に奇跡のような出会いだったとーー遠い、しかも全く違う世界の人々でも、どうやら皆考えることは同じのようだ。

トレーラーの屋根の上に軽い衝撃が走り、下の皆は彼が戻って来たことを察知した。上部の天井を一部開くと、そこには大きく広げた翼を畳みながら屋根に着地したエリアスの姿があった。本物の天使であり、王女の護衛隊長も務めた事のある彼ならば、移動物の上にすら簡単に着地できるようだ。
しゃがみこみ、アミラとの距離を縮めるエリアス。

「周辺をくまなく偵察しましたが、この先に敵の姿は一切見当たりません」

「こちらも同じです!先行している斥候部隊から、敵影なしとの事です!」

エリアスに続き、他のレジスタンスの団員からも情報が入ってくる。

「...! 本当に、もうヴァルキュリアは全滅してるんだ......」


従来ならば、ここまで大規模な遠征を行えば、必ず周辺のヴァルキュリア達が集まって来てたちまち交戦する事になっていたはずだ。しかし通常戦力のみならず、主力のヴァルキュリア部隊も失った今、もはや残った連中もまともに動けていないのだろう。
正に「王手」。しかし、アミラは、なぜか胸騒ぎが収まらなかった。

このまま無事に終わるはずがない......と......

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.43 )
日時: 2018/10/17 00:54
名前: 名無しのアキラ (ID: W5a5Rx4o)

〜創作メモ〜


レジスタンスの車団が、炭の塊のようになった旧市街の街並みを通過していく。見渡す限りの黒いシルエットの不気味な世界を進むのは、非常に恐ろしくなる。

その向かう先、街の中心部付近の噴水広場で、彼らが対峙していた。
一方はレジスタンスのリーダー「ラヴォン」が率いるチームだ。黒い艶のある長髪を後ろで結んだヴァルキュリア「ユキカゼ」と、黒衣に身を包み身の丈程の大鎌を軽々と手にする異界人の少年「ヴェルゼ」。その後ろには黒いローブに身を包み、広範囲の見方を回復できるカンテラを手にする異界の銀髪のホムンクルス「フィア」。
無表情のままのフィアに対し、残りのメンバーは額に汗を浮かべ、緊張した面持ちを浮かべていた。

そしてーー白を基調とし、四肢に蛇が巻きついたような帯模様の衣装に身を包み、胸元に青白い光を放つダイヤのような宝石をぶら下げた少年「デスタムーア」。彼だけはラヴォン達よりも更に前方に出てきて、凍りついたような冷たい表情のまま“それ”と向かい合っていた。

対するは蒼いドレスの上から白い装甲を纏った一機のヴァルキュリア「イクリプス」だ。長い茶髪を左右縦ロールで纏め、頭部には王冠型の装甲を施された特徴的なシルエット。そして既にボロボロになった蒼いマントをはためかせている。
彼女は既に手負いで、左腕には包帯を巻いており、全身の装甲も削れてボロボロになっている。しかしその表情には未だに余裕のある、鉄壁の笑みを浮かべていた。

「......お前が、最後のヴァルキュリアということか。そして、お前がこの戦争、この“ループ世界”の黒幕だな」

「違います」

デスタムーアの問いを、イクリプスは即否定する。レジスタンスの副長アミラや、異界人のビジネスマン、ミヤギ達の活躍によって、この世界に異常な時間軸が発生しているのは明らかになっていた。そしてそんな事が出来る可能性のある人物は......彼の目の前に立っているイクリプス以外には考えられなかった。

「フン、この期に及んで言い逃れとは、哀れな女だ。まあお前が死のうが俺の知ったことじゃない、この宇宙の異物を取り除き、この世界が正常に回ればそれでいい。
せめてもの情けだ、楽に一瞬で死なせてやるーー」

デスタムーアが言い終えるや否や、彼は消えるように一瞬でイクリプスの手前に移動し、手にした黒い片手剣を勢いよく抜刀した。


「“闇斬り”ーー」


一閃が走り、イクリプスの胴体に深く刀身が食い込んだように見えた。しかし刹那ーーなんと2人は鍔迫り合いの状態になっていたのだ。
デスタムーアは黒い片手剣を、そしてイクリプスは手にした青龍刀をお互いに片手で構えている。
一瞬の出来事に思考が追いつかないヴェルゼは、思わず声を漏らした。

「っ!? 今、あいつ“斬った”ように見えたが......ていうかイクリプスの奴、どこから剣を抜いたんだ......!?」

「いや、イクリプスは物凄い速さであの斬撃を受け流し、回避しつつ空間を操る能力であの青龍刀を出現させたんだ!」

ユキカゼの言う通り、イクリプスはデスタムーアの斬撃を紙一重でその場で宙に浮いて前にローリングして躱し、回転しながら能力によって内部が宇宙空間と化した袖の中から剣を抜いて反撃したのだ。
完璧で流れるような攻防、しかしイクリプスの鉄壁の笑みに、少し曇りが現れていた。


「ーー“斬ったな”」


フィアが呟く。彼女の視線の先には、イクリプスの左手があった。それは自身の右空部を押さえるように添えてあり、そこからは微かに出血しているのが見えた。完璧には回避できなかったのだろう。
しかしお互いに引く様子もなく、鍔迫り合いによる力比べをしている姿を見たフィアが前に出てくる。

「おいおいおい、もう斬ったじゃないか。勝負ありだろ」

「フィア!下がれ!」

ラヴォンがフィアを庇うように更に前に出て静止する。

「浅かったか......おい、失せろ三下ども。ここから巻き込まれても知らんぞ」

「あらぁ、あの子はもう勝負ありだって言ってるけど?」

イクリプスの言葉を無視し、デスタムーアは右手の片手剣で彼女の青龍刀を抑えつつ、空いた左手を詠唱と共に突き出した。その掌には闇の魔力を圧縮して作られた漆黒の球が激しく渦巻いていた。
それを迎撃すべく、イクリプスも左手で詠唱を開始する。戦いは剣対剣から、魔法対魔法へと移ろうとしていた......


「黙れ......“波動弾”!」


「“開け、星界の扉”!」


両者の詠唱と共にエネルギーの奔流がぶつかり合い、激流の如き激しい光に渦が辺りを飲み込む。
それは正に、銀河のような輝きだったーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.44 )
日時: 2018/10/22 15:44
名前: 名無しのアキラ (ID: lGkgmMyw)

こんにちは。お久しぶりです^^

某合作のストックを本スレへ投稿してきました!


――ついに始まる、最強のヴィラン『〝不吉な未来〟イクリプス』と主人公軍の最終決戦。

最後に生き残るのは人類か、それとも……

補足:「イクリプス」とは、トプ画の右から2番目のキャラの事です(

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.45 )
日時: 2018/10/22 18:04
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: cUIECJXY)

こんばんは。
壮大な戦いですね!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.46 )
日時: 2018/10/24 10:33
名前: 名無しのアキラ (ID: Y/THmB0A)

四季さん

おはようございます(^^)
この後どう締めるか迷ってますw

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.47 )
日時: 2018/10/24 13:08
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: gXgq37f6)

こんにちは。
締め方、難しいですよね。(^_^;)

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.48 )
日時: 2018/10/25 21:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: aommGpO2)

こんばんは〜


四季さん

ごもっともですね〜(汗)
なるべく参加者全員のオリキャラが活躍するようなストーリーを考えてます。
もうヴァルキュリアもほぼ全員居なくなったので、自然と皆様のオリキャラの出番は増えると思います!
それにはまずはイクリプス戦に決着を付けなければ・・・

自分の好きなオリキャラのお話になると、長引いて作者自身が苦しむというジレンマにハマった気がしますw

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.49 )
日時: 2018/10/27 01:45
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)

後方に飛んで光りの渦から逃れたラヴォン達、しかし絶え間なくその中心部から放たれる風圧と衝撃波によって、前に進むのは困難だ。それどころか、全身を押し戻されて拒絶されるように、踏ん張っても踏ん張っても、ズルズルと後方へ流されていく。

「ラヴォンさ〜ん!」

そんな爆風の中、後ろから近づいてくる人物達がいた。白い忍者装束を身にまとったスター流ヒーローの少女「美琴」だ。彼女は両腕で顔をガードし、姿勢を低くしながらだが、この衝撃波の中を素早く移動してきた。
それに続き、インバネスコートを着込んだ美琴と同門生の少年「ヨハネス」もやってきた。
更に上空から、羽音と共に異界人の天使「エリアス」も降りてきて、ラヴォンを庇うように手前に着地した。この風の中でも自由に飛び回れるとは......流石本物の天使としか言いようがない。
頼もしい限りだが、このタイミングで援軍が来たのはナイスタイミングと言うべきか。この状況下では下手したら全員やられかねないかもしれない......

そして光の渦が弾け、大爆発と共に2つの影が飛び出した。2人は火花を上げながらぶつかり合って高度を上げていき、中央時計塔の上で再び剣を交えた。

デスタムーアは剣でイクリプスを突き飛ばすと、手を高々と上げて詠唱する。


「消し飛べ、“流星雨”」


その手のはるか先、夜明けの空には、代わりに見たことの無い星々が輝く宇宙がうっすら見え始める。そしてその奥からこちらへ落ちてくる、無数の火の玉......いや、それは光の塵の尾を引く、無数の流星群だった。
雨のように降り注ぐ流星はデスタムーアの脇を抜け、イクリプスへ向かって降り注ぐ。
ここまでスケールの大きな攻撃となると、もはや目の前の事への理解が追いつかず、もしかしたら動けなくなってしまう者も出てくるだろう。正に夢の出来事のような光景だ。

しかし......イクリプスは冷静だった。重力に身を任せて地面に落下しながら、その目で流星の数々を追っていた。ヴァルキュリアの網膜に映るロックオンカーソルを流星のひとつひとつに合わせていく......頭部アーマーからはカリカリとFCS(火器管制システム)が演算する動作音が漏れ、この状況下に最適な「答え」を叩き出そうとしていた。
全神経とエネルギーを頭部へ集中し、その身体は真っ逆さまになって落ちていく......諦めたか?イクリプスが瞳を閉じる。地上からその光景を見上げるラヴォン達は思った。

目の前まで流星が迫り、その熱気を肌でジリジリと感じる距離まで詰められた。それでも彼女は一向に動こうとしない。

(諦めたのか、それともまだ何かする気なのか、ヴァルキュリア......どちらにしろ、もう逃げ場はないぞ)

デスタムーアは空中に留まりながら、その冷徹な瞳でイクリプスを見下ろす。下には地面、上からは無数の流星。落下死と隕石爆撃の挟み撃ち状態。

しかし、眠るように目を閉じたイクリプスのまぶたの裏には、ある懐かしい光景が広がっていた......





ーー腰まで届く絹のような銀髪に、一途で強い眼差しの赤い瞳。自分より拳ひとつ分ぐらい背の小さい、ヴァルキュリアの少女。
後ろから抱きつくと、丁度彼女の髪に顔が埋もれ、甘く優しい香りとふかふかの髪に包まれる......
いつも冷静で、どんな時も真面目で、時々怒られたりしたけど、でもそんな彼女が時々見せる笑顔は、正にみんなを照らす「太陽」そのものだった。

彼女の声が聞こえてくる。


『わたしは死んじゃっても、それでも、あなたの心の中から、あなたを照らし続けるからーー』


その声は、正しく彼女の盟友「ソル・ヴァルキュリア」に間違いなかった。


『だから、頑張って......ずっと......いつまでも......側にいるよ......』


消えていく、ソルの姿と声。イクリプス頰を一滴の涙が伝っていった。


「ソルちゃん、ありがとう......わたし達、2人ならーー」


イクリプスが目を開けるーー
そして、彼女の網膜には縁を描くようにルーン文字が流れ、全身にエネルギーが流れていく。
デスタムーアは眼を見張る。壊れかけの人形ごときに、何故ここまでの力が溢れ出てくるのかと......


『ーーどこまでも、飛べるねっ!』


そして、イクリプスは身を翻して大地に足から着地した。旧市街の地面を震わせ、亀裂が走る。
更に、右の拳にレーザーブレードの光の刃を発生させ、自分の丁度真上に落ちてきた流星に正拳突きを押し当てた。
それと同時に、他の流星群も地面へ同時に激突し、旧市街は瞬く間に熱と爆風に包まれる。

一見、イクリプスが隕石に粉砕されたように見えたが......デスタムーアは自身の目を疑った。
彼が見たものは、稲妻の如く大地を駆け、隕石を己の拳で砕き、弾き返し、更にそれを踏み台にしながら、再び空へ登ってくるイクリプスの姿だった。
彼女が弾いた小型の流星は、まるでビリアードにように他の流星群も巻き込みながら散っていく。イクリプスの驚異的な反射神経とパワー、スピード。そしてヴァルキュリアのFCSによって叩き出された正確な計算があってこそできる技だ。
更に降り注ぐ流星の間を稲妻にように、複雑なジグザグ軌道を描きながらジャンプして移動し、しかも邪魔な隕石はその拳で叩き落とす......

しかし手負いの彼女にも限界はあったようだ。丁度着地した隕石の上で、微かに脚を滑らせてしまう。そして彼女の計算にも狂いが生じてしまった。
斜め上から飛翔してきた流星が、イクリプスぶちかまされた。


「がっ!」


もろに食らった。大きな破片が横腹を貫通し、風穴をあける。吐血。衝撃と裂傷で内臓
続いて脳震盪、視界が180度回転し、耳鳴りで聴力も失う。全身の力が抜け、そのまままた重力に吸い込まれていく......
けれども、なぜだろう。意識が朦朧になっても、視界が暗転しても、“彼女”の声だけはしっかり聞こえた。

そしてーーイクリプスの目には、自分の手を引く、ソルの姿が映った。これは幻だ。でも、イクリプスにとっては、そんなことはどうでも良かった。また彼女と出会えるなら、夢だろうが幻だろうか、それは世界一の宝だった。

ソルに手を引かれたイクリプスは、一閃の流星の如く、デスタムーアの懐へ飛び込んだ。その姿はまさに不死鳥の如しーーもはや、なにものでも今の彼女を捉えることは不可能なのかもしれない。


刹那、放たれたイクリプスの拳ーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.50 )
日時: 2018/10/27 03:19
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)

地上からデスタムーアとイクリプスの激戦を見上げていたエリアスは、「二人の戦いを止めて来ます!」と言い残し、大きく翼を広げて飛び立った。純白の羽と共に舞い上がり、力強く羽ばたいて一気に高度を上げていくーーその姿を見ただけでも、彼の相当の実力を伺えた。
もはやエリアスの挙動は、地球上のいかなる飛行生物の能力も凌駕するレベルだった。これが本物の「天使」なのか。
ラヴォンが止める間もなくエリアスが飛び立った後、続いて美琴も駆け出した。

「私も行ってきます!」

「あっ、ねえちょっと!」

ヨハネスが制止しようと追いかけて手を伸ばした途端、美琴の姿は彼の視界から消えた。日々のスター流のヒーローとして鍛え抜かれた脚に力を込め、ロケットのように重力を無視して大空へ飛び出す美琴。
彼女は元々プロレス技を主力とするヒーローだ。プロレスとはリング上だけじゃないーーロープやマットを利用したジャンプ技など、他の格闘技には滅多に見られない、三次元的な動き・攻撃をすることが出来るが......流石にプロレスラーでも、そこまでは跳ねない。というか、美琴はリングどころか会場の外にまで飛んで行けるレベルのジャンプ力の持ち主だった。
どのように鍛えればああなるのか......

しかし空中では、流星の雨を掻い潜ったイクリプスが、今まさに渾身の拳をデスタムーアへ叩き込む瞬間だった。間に合うかっ!?

「くっ、“聖槍”!」

「間に合って!“太陽の拳”!」

エリアスは聖気をまとめ、物質化した白銀に輝く槍を手に、美琴は魂の黄金の光を拳に纏った。2人の大技だ。

あれ程の密度の、しかも隕石の雨という圧倒的な質量を持っても、直撃して吐血し、脳震盪で視界が180度回って暗転しても、それでもイクリプスは超えてきた。

デスタムーアは、剣を構えるのが一瞬遅れた。まさかこれ程の大技を、ボロボロになりながらもこのスピードぜ抜けてくるとは想定できなかったというのも勿論ある。
しかしそれ以上に彼は驚愕したものがあった。
それは幻影かーー彼には、イクリプスの肩に手を貸す、先程死んだはずのヴァルキュリア「ソル」の姿が、はっきりと目に映ったからだ。

拳自体は小さい筈だ。しかし迫ってくるイクリプスの拳は、デスタムーアには惑星サイズの大きさに感じられた。迫撃する「死」というイメージ。

(これでっ......!)

イクリプスの脳裏に浮かぶ「殺意」。脳のリミッターが外れ、桁違いの力を叩き出せる......しかしそれは諸刃の剣だ。脳内出血のせいで記憶を失っていき、やがては理性なき獣と化す。既に失った記憶のせいで、仲間も攻撃してしまった。いつかは世界で一番大事なソルの事すらも忘れてしまう......でももう彼女はいない。失うものは何もなければ、なんでも出来る......一瞬そんな事も考えた彼女だが......ふと、声が聞こえた気がした。


『あなたは英雄だよ......“自分”を見失わないでね......わたしは......いつもここにいるよ』


「っ!」


イクリプスは、“ヴァルキュリア”へと戻った。
そして、その拳はデスタムーアの鼻先で寸止めされ、凄まじい衝撃波が彼の脇を通過する。
大爆発ーーダメージもなく、吹っ飛ばされる事もないが、その最強の拳から放たれた波動は周囲の空気を圧縮して吹き飛ばし、空の雲を全て一瞬で吹き飛ばした。

「!」

予想外の攻撃に、エリアスと美琴は眼を見張るも、その自身の必殺技の勢いまでは殺 せずーー
デスタムーアの両側から飛び出した美琴の黄金の光を纏った拳はイクリプスの左目を、そしてエリアスの槍は彼女の心臓に当たるコアを貫いた。

ーーわざとガードしなかったのか、それとももはやその力も残ってなかったのか......


(力が......くっ、一体何が......)


イクリプスの技を受けたデスタムーアは全身の力を奪われ、地面へ落ち始める。それと同時に、イクリプスも反対方向へ落下し始めた。


(相打ち......なのか......ふっ、一瞬とはいえ、あんなダメージを負いながらも俺の力を奪ってみせるとは......敵ながら見事......)


デスタムーアは自身でも驚いた。何故自分は敵であるヴァルキュリアへ敬意を評しているのかと......全知全能を極めた神々である自分にも、分からない事もまだあるのかもしれない。
こうして重力に身を任せ、落ちていくのも悪くない。そんな感傷に浸りながら、風に流される。

しかしそんな彼をキャッチしてくれる人間がいた。美琴と同門のヒーロー、ヨハネスだ。そしてその後ろからラヴォン達も駆け寄ってくる。





イクリプスは地表へ近づくと、スラスターが自動的に点火して減速し、足から着してみせた。しかし力尽きて片膝をつく。
丁度ラヴォン達が走ってきたその手前だった。そして空から彼女を追ってエリアスと美琴が降りてくる。彼らは、イクリプスへどうしても話さなければいけなかった。

「ふっ、ふふ......不思議だよね。全然痛くないんだもの」

左目をえぐられ、胸部に空いた風穴から絶え間なく出血しながらも、イクリプスは微かに笑みを浮かべながら話し出した。
自ら行った攻撃による傷だが、エリアスと美琴は、そんな彼女から思わず目も背けたくなる。
デスタムーアはヨハネスの手からすり抜けると、自分の脚で立ち上がった。イクリプスの大技を食らってもすぐに起き上がれるとは、彼も見た目以上に大したタフネスを持っているようだ。
エリアスはイクリプスへ向けていた槍を霧散させる。敵意はない。もはや、勝敗は決した。急ぐ必要もない......そう判断したのだ。

「イクリプスさん、貴方は......デスタムーアさんを攻撃した時、途中で拳を止めましたね?」

「ええ?うーん......そうかなぁ?わ......わかんないや......」

口の中を血でいっぱいにし、片膝を地面につきながらも、エリアスの問いに答えるイクリプス。

「でも......思ったの。ソルちゃんも死んじゃったし、これ以上......あなた達と戦う意味はないって......」

「......仲間の為に戦ってたのか、お前は」

ヴェルゼはイクリプスの姿を見て、何故か自分たちを連想した。彼女も同じだと、人もヴァルキュリアも、大切な何かを守る為に戦っていたのだと。
イクリプスは、ふと空を見上げた。

「ああ......最高に楽しかったな......美しい地球、共に大地を駆けた仲間......わたくしも......随分いい人生を過ごさせて頂きました......」

瓦礫の山の間から入った日光が、スポットライトのようにイクリプスを照らす。
そしてーーイクリプスは空へ手を伸ばしたーー


『“ヴァルキュリア”......わたくしは......いつまでも......あなたに夢中です......』



風が吹き、彼女の瞳から輝きが消えるのを感じた。
立ったまま、石像のように動かなくなるーー
その姿は、まさに今天に羽ばたいていこうとする天使「ヴァルキュリア」だったーー

蒼き伝説のヴァルキュリアーーここに眠るーー

Re: 【暫定】某合作、ラスボス撃破に成功 ( No.51 )
日時: 2018/10/27 03:40
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)

〜某合作のお知らせ〜


長らくお待たせして申し訳ございませんでしたが…(殴

本日、ついに某合作のラスボスキャラである最強のヴィラン「“不吉な未来”イクリプス」が死亡しました。
よって本合作のメインストーリーはクリアとなり、実質「完結」となります......
今後は完全な完結に向けて、エピローグを更新していくことになるとは思いますが......少しイラスト等、色々準備したいので、しばらく合作を休止するかもです(汗

ただこのサイトに来なくなるわけではなく、更新頻度が落ちつつも、ちゃんと掲示板へはコメントを返していきますので、よろしくお願い申し上げます。
(ただ以前から告知していた通り、ニコニコ動画アカウントやPixivアカウントの投稿作品は全て削除。またTwitterアカウントに関しても本日をもって閉鎖致します)
そして最後まで応援して下さった方々、本当にありがとうございました(土下座)

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.52 )
日時: 2018/12/15 20:43
名前: 名無し (ID: bdjBkUDc)

ーー“伝説”と呼ばれたヴァルキュリアがいた。

ある日、突然空から落ちてきた彼女は、彼の地でもう1人の名もなき少女と出会い、2人は文字通り「世界」を変えた。
たった2人で世界を駆け出した彼女たちの後には、その姿を追って多くの者たちが続いた。
ある者は導きを求め、ある者は希望を求め、そして、人は、彼女の中にーー


【神】を見たーー


ある者にとってそれは“絶望”であり、けれどもまたある者にとっては、まさに“英雄”だった。





ラヴォン達は瓦礫の山の上に立つ人影を見上げていた。石像のように彩度が抜け落ち、灰色に石化してしまっている。そんな彼女の表情は、この上にないぐらい笑顔だった。
一体何を思ったのだろう、彼女にはーー伝説のヴァルキュリア「イクリプス」は、最後に何を見たのだろうーー
動かなくなったそれにもはや意味はないけれど、しかし彼らはなぜか彼女から目を背けられなかった。
撃つべき敵の筈なのに、もう戦争も、ヴァルキュリアの時代も終わったというのに。
どこか、なぜか、それは寂しさのような、自分達の存在意義や居場所がなくなったような、虚無で、虚空なものだった。

「ーーったくよお」

最初に沈黙を破ったのは、先頭に立つラヴォン本人だった。

「ーーなーにがしたかったんだ、お前は」

彼女の笑みに問いかけるも、無論返事はない。その言葉はラヴォンの呆れとも、そして史上最大の遊敵手への親しみにも似たような気持ちが込められているようだった。

「他に、私たちに道は無かったんでしょうか......ヴァルキュリアと人間は分かり合えたのでしょうか」

スター流のヒーロー、美琴が後悔して呟くように言う。するとその背後から、そっと彼女の肩に手を添える人物がいた。美琴の師匠のスターだ。

「いや、分かり合えたさ。ヴァルキュリアは悪者なんかじゃなかった。
この事をこの世界の人達に伝えれば、きっとヴァルキュリアと人間の争いは無くなる」

「それが、これからの僕達の“戦い”なんですね」

スターに続き、美琴と同門のヒーロー、ヨハネスもやる気満々の表情で呟いた。
すると、人間側の連合軍所属のヴァルキュリア、ユキカゼがみんなの前に出てきた。

「本当に、恐ろしい敵だった。君達の協力がなければ、きっと勝てなかったと思う。
改めて礼を言わせてほしい。本当に......ありがとう、みんな」

ユキカゼの言葉に、みんなの表情にふと笑みが浮かんでいた。

「一応俺も本職は“頼まれ屋”だからな......依頼された仕事をしたまでだ」

「へえー、でもヴェルゼ。それって随分な大仕事だったよね。
じゃあ、ちゃんと報酬は貰わないとね」

「まあ......そういう話は、おいおい、な」

異世界からやって来た死霊術師の少年ヴェルゼに、同じく異世界の組師の少年リクセスが、少し意地悪そうな笑みを浮かべて語りかけた。

「うむ、報酬は勿論、古代遺跡の解析を進めれば、君達が元の世界に戻る方法も解るかもしれない。
今後も是非我々に協力させてくれ」

「いや、私は大丈夫だぞ。この世界に居ても、食べ物と酸素には困らなそうだし」

「私も最悪この世界でも問題ありません。
うちに会社の商品を買ってくれるカモは、この世界にも幾らでも居そうですし」

ユキカゼが提案する中、異世界からやって来たホムンクルスの女性フィアと、異世界で会社を経営していたビジネスマンのミヤギは、すっかりこの世界に適応してる様子だった。
というかこの2人なら、きっとどんな世界に飛ばされたとしても、上手くやっていけそうだ。

「貴方達ねえ......でも、どっちの世界でも、どちらにしろ、わたくしは戦いの運命からは逃げられなくてよ」

異世界からやってきた王族の血を引く少女、グラエキアはそう言うと、石になったイクリプスを見上げた。

「あの世でまた出会ったその時は......一緒にお茶でもしましょう。イクリプス」

「まあまあ、そんな事を言わないで下さい、グラエキアさま。今は、彼女が無事天国に行ける事を願いましょう」

グラエキアは異世界の天使、エリアスと一緒にその場を後にした。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.53 )
日時: 2018/12/15 21:25
名前: 名無しのアキラ (ID: bdjBkUDc)

一同が踵を返し、石化したイクリプスに背を向けて歩き出した時だった。

パキンーー

透き通った1枚のガラスの板が割れたような、けれども楽器で奏でたように美しい音がどこからか響いてきて、一同は歩みを止める。
各々が辺りを見回すも、それらしき物は見当たらない。
しかし、ふと何かに感づいて上を見上げたホムンクルスのフィアが、空を指差した。

「ーーなんだ、あれは?」

見上げたそこにあったのは、空にぽっかり空いた巨大な“穴”だった。ガラスを割ったように鋭利な切り口の向こうには、広大な宇宙空間のようなものが広がっている。そして、空に亀裂が入っては、破裂音と共に大きく割れ、その破片が落ちてくる。破片には今まで自分達が見ていたはずの青空の情景が映っており、まるでそれが偽りであったかのように物語っていた。
次々と割れては落ちてくる破片に、一同は各々の武器を構えた。

「これは!?」

異界人の天使「エリアス」が、同じく異界からやってきた王族の少女「グラエキア」を庇うように、その手にした槍を振りかざすが、雨のように細かくなって落ちてきた破片の数々は、他のものに触れると塵のように霧散して消えていくようだ。
当たっても雪のような軽さしかなく、触れても害はないようだ。

「あわわ!空が大変な事になっていきますよ!?どうすれば!?」

空に広がり、覆い尽くしていく非現実的な光景に、異界のヒーロー「美琴」は、彼女の師である紳士「スター」へ判断を仰ぐ。しかし彼もまだ状況を把握できずにいた。

「わけが分かりませんが、私は厄介ごとは御免ですよ!ここは引かせて貰いますからね!」

ビジネスマンのミヤギが我先にと、近くにあった建物の中へと消えていく。それに合わせ、フィアも「すまぬな皆、私も直接戦闘は苦手だ。悪いが少し下がらせて貰おう」と言い残し、ミヤギの後を追った。
残されたメンバーは、想定外の出来事へ円陣を組むように各々の武器を構えて固まる。

「うむぅ......これは一体......デスタムーア君、君はどう見る?」

「とてつもない規模の幻術の類か......それも惑星規模か?ヴァルキュリアどころじゃないぞ、これは」

スターの問いに、異界からやってきた少年「デスタムーア」は見たことのない星々が輝く宇宙空間を睨みつけながら言う。

「まさか、これが1人の能力者によるものだってのか!?」

レジスタンスのリーダー、ラヴォンも双剣を構えながら臨戦態勢をとる。

「ていうか、その術者も、これじゃあどうやって探せというんですの......あら?ねえ皆んな!あそこになにか見えませんこと!?」

その時、グラエキアが夜空の一角を指差しながら叫ぶ。うっすらと見えるそれは、半透明の翼を広げた巨大な鳥のようなシルエットをしていた。正確な距離が分からないため、大きさも不明だが、だがとても巨大なものであることは確かだった。
夜空に浮かぶホログラムのようなそれ。しかしそいつは羽ばたきながら移動し始める。ただのシンボルじゃない、こいつは動く!

「みんな、気をつけーー」

ユキカゼが言いかけたその時、空に浮かぶ鳥のようなシルエットの周囲が、新星の如き煌めきを放ったーー

刹那、放たれた何かが、地上の風景を爆風と共に消しとばすーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.54 )
日時: 2018/12/15 21:28
名前: モンブラン博士 (ID: w8HUfNAY)

名無しさんへ
また新しい敵が登場する予感ですね!

Re: 【暫定】〜V計画〜【最後の敵】 ( No.55 )
日時: 2018/12/15 21:33
名前: 名無しのアキラ (ID: bdjBkUDc)

モンブランさん


こんばんは〜(^^)お久しぶりです!
しばらくカキコに入れなかったので、ちょっと書き溜めてましたw
新しい敵は“上位者”という勢力の「フレスヴェルグ」っていう敵ですね(一応こっそりキャラシを本スレに貼っておきましたw)

既存のオリキャラとは一線を画す存在の敵で、某合作の正真正銘の“最後の敵”になります......
最後ってだけに、皆さんのキャラをどう動かすかとか、どんな流れで話を進めるか、色々考えながら慎重に頑張ります(^^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【最後の敵】 ( No.56 )
日時: 2018/12/15 21:49
名前: モンブラン博士 (ID: w8HUfNAY)

最後ならスター流の正真正銘の切り札として闇野が登場する可能性も少しはあるかもしれませんね。

Re: 【暫定】〜V計画〜【最後の敵】 ( No.57 )
日時: 2018/12/15 22:04
名前: 名無しのアキラ (ID: IFW0hiEY)

モンブランさん

闇野も出していいですよ〜
上手くセパレートさせて、それぞれのグループ毎に活躍してもらおうと思ってます(^^)

前衛と後衛みたいに分けて、各々の陣営にキャラを細かく分けて書くというか
同じ場面に大量のキャラを固めて出すと、台詞が誰が何を言ってるのか分かりにくくなると思うのでw

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.58 )
日時: 2018/12/27 18:10
名前: 名無しのアキラ (ID: dV.p8lhw)

灰色のモノトーンの曇り空と、純白で大理石のように硬く冷たい床がどこまでも続く世界。
その真ん中に横たわっていたヴァルキュリアの少女ソルは、誰かの呼びかけに目を覚ました。一帯どれだけの時間が流れたのだろう。微睡の先に見た世界も、これまた夢の中のような場所である。

「ソルちゃん、ソルちゃん?」

聞き慣れた声がする、それを聞くといつも安心できた。ソルの瞳に、モノトーンの世界の中で唯一鮮やかなな色が映った。
蒼い、鮮やかな衣装を身にまとった女性。全身のふわふわのフリルや、風が吹けばはためくマントとても印象的だ。
彼女は、ソルの盟友であるヴァルキュリア、イクリプスに他ならなかった。
イクリプスに揺すられて起きたソルは身を起こす。

「ここは......」

ソルは次第に今までの事を思い出してきた。
自分がヴァルキュリアとして多くの仲間を率いて来たこと、多くのものを失った事。そして、自身が隣にいるイクリプスに看取られて最期を迎えたこと。
それは即ち、この世界が生死の狭間の存在であるという事に彼女は気づく。そして、イクリプスもまた同じ地にいるという事は、彼女もソルと同じ運命を辿ったのだと推測できた。

「ーー死んじゃったんですかね、私たち」

「うん、でも私達の“意識”が、まだヴァルキュリアの通信回路の中に残ってるのかも」

「......そう......ですか」

ソルはそっとイクリプスに身を寄せた。
するとイクリプスは、自分のマントをソルの肩にかける。

「......もう、このまま離れたくない」

ソルがイクリプスの胸元に顔を埋めると、イクリプスは優しく彼女の頭を撫でてくれた。

「大丈夫、ずっと一緒にいるよ」

イクリプスはそのままソルを抱きしめる。ソルは思う、この世でここよりも安心できる場所はないと。ここが最後でいい、このまま2人で眠るように消えてしまってもいいと。
目を瞑ると、全身に温もりが広がるのを感じた。身を寄せた2人の体温によって、お互いの身体が温まる。
ふと灰色の空を見上げたイクリプス。

「ソルちゃん、見て」

ソルも顔を上げると、空には見慣れた連中の姿が、まるでスクリーンのように映っていた。
降り注ぐ槍のようなものの雨を掻い潜りながら、必死に反撃をする天使のエリアスや、死術師のヴェルゼ。
負傷したレジスタンスのリーダー、ラヴォンを引きずって物陰に隠れ、再び戦場へ駆けていくスター流のヒーロー、美琴。
更に障害物の間を移動し、味方の撤退を援護しながら魔法を唱えるリクセス。
どいつも、今まで自分達が戦ってきた“敵”だった。

「はあ......“まだ戦ってる”んですか」

ソルは呆れたように呟いた。そして、その自身の言葉のなにかがおかしいと察する。
まだ戦う......? おかしいのだ、もはや自分達も居ない世界で、一体何と戦っているのかと......
再び空を見上げると、断片的ではあるが、彼らが戦っている“敵”の姿が見える。明らかにヴァルキュリアでも人間でもない。
それは正に“未知の敵”だった。


『“ヴァルキュリア”よ、聞いてください』


突然空から響いてきた声に、ソルは身を震わせて驚く。イクリプスはソルをマントで包んだまま、灰色の空を冷静にじっと見つめていた。

「あ、あなたは......?」

『わたしは“オーティヌス”、貴方達を生み出した者の1人です』

ソルが空へ語りかけると、声の主が名乗る。
ヴァルキュリアは何者かが生み出したとされる生き物だ。それがこの声の主だと言うのだろうか。

『ヴァルキュリア・ソル、そしてイクリプス。貴方達にお願いがあります』

声の主の言葉と共に、灰色の空に次々と様々な光景が流れる。既存の文明を吸い上げていく竜巻、全てを粉砕しながら蹂躙する津波。見渡す限り続く火の海。そして、未知の敵とそれに対抗する人々。

『今、この星は最大の窮地を迎えています。異界より召喚せし英雄達を持っても、この脅威には対抗しきれません』

異界、という言葉にソルはピンときた。それは先の大戦で自分達が敗れた、エリアスやヴェルゼ、美琴、嘉元、ミヤギ、そしてフィア達の事に違いなかった。

『お願いです。主義や理想、言葉、そして人とヴァルキュリアの違いを全て捨て、もう一度、彼らと共に、この星の為にまた戦ってくれませんか?』

突然だった。正に夢のような話だ。全てを失ったこの地で、ソルは、本当の【神】を見たーー

「ーー行こう、ソルちゃん。これはきっと、私たちがーー“ヴァルキュリア”が生まれてきた意味なんですわ」

イクリプスの言葉は、いつだって間違ったことはなかった。
ソルは彼女の言葉のバックボーンも得て、決意に迷いがなくなる。


「ーーわかりました、戦います。わたしは......【明日】を取り戻す!」


ソルが握りこぶしを固めると、モノトーンの世界を光が包み込んだーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.59 )
日時: 2018/12/28 15:58
名前: 名無しのアキラ (ID: H9KOaXfM)



「みんな巻き込まれないでよ!“滅亡の業火(ロストフレイム)”!」


リクセスが黄金の知恵の輪を手に詠唱する。そして薙ぎ払うように腕を振るうと、広範囲に炎の魔法が広がった。そしてその向こうから迫り来る、青黒い触手の塊のような怪物達を一掃する。
しかしそれでも炎の間を縫って、何匹かが滲み出てくる。

「まったく!よりにもよって、なんでこっちに来るんですかね!」

「ヴァルキュリアの次は怪物退治かあー」

ミヤギは懐から拳銃を抜き、怪物の弱点である触手の中の眼を狙い撃つ。そして動きが鈍くなったところへダメ押しに、今度はフィアが手持ちのカンテラを怪物の中心に叩きつけた。その瞬間、怪物は彼女のカンテラの魔法の炎によって火だるまになり、しばらく身悶えた後に生き絶える。

「ふう、非戦闘員の私とミヤギでも、連携すればなんとか戦えなくはないんだな」

「呑気にそんなこと言ってる場合ですか!後方のここまで敵がうじゃうじゃ来るってことは、前線はもっと大変な事になってるって事ですよ!」

淡々と無表情に話すフィアに、ミヤギが突っ込みを入れる。

「無駄口叩いてる暇があったら、とりあえず化け物に食べられないように必死に逃げなよ」

リクセスの言葉に、ミヤギとフィアは大通りの奥を見る。そこからは、更に大量の青黒い触手の怪物達が、まるで津波のようにこちらへ押し寄せてきていた。





一方その頃、別の場所では、瓦礫の下から這い出してくる1人の少女の姿があった。先程、生き絶えたはずのヴァルキュリア、ソルだ。
確かにあの時ーーインデックスの中に潜んでいた上位者“フレスヴェルグ”の手によって葬られた。しかし生死の狭間で出会った別の上位者“オーティヌス”の手を借り、なんとか生還を果たす。
しかし、それでも身体に蓄積したダメージは大きい。瓦礫から身を起こすも、なかなか歩き出せない。

すると、彼女の手前に空から何かが落ちてきて、クレーターを作りながら着地する。
しかしそれは、彼女が見慣れたものだった。

「イクリプス......?」

そう、彼女はソルの仲間のヴァルキュリア、イクリプスだ。しかし様子がおかしい、目は赤く充血し、血の涙を流している。そしていつもの鉄壁の笑顔もない、無表情のままだ。

「ウゥ......ガウ!」

「イクリプス!あなた、言葉が......!」

イクリプスの動物のような鳴き声に、ソルは彼女の状態を把握した。激しい戦闘による脳内出血によって、言語や記憶に障害が出ているのだ。下手したら今のイクリプスは誤って味方へも攻撃しかねない状況だが......
彼女はすぐにソルの元に駆け寄ってくる。そして片膝をついて彼女の臭いを嗅ぎ、そのまま待機した。

「イクリプス......あなたっていう人は......記憶が無くなっても、私の為に戻ってきてくれたんですね......」

返事はない。しかしその赤い瞳は、ソルのことだけを見ていた。
イクリプスがこんなにボロボロになっても頑張ってるんだ。自分も動かないわけにはいかない。
ソルは両足に力を込めて立ち上がる。

「はあ、はあ......イクリプス、とりあえず安全な場所へ移動しましょう。ついでに武器も探しながら......」

「ガウ!」

ソルはイクリプスの手を借りながら、移動を始める。遠くからは剣戟や爆発音など、戦闘の音が聞こえてくる。辺りは焦げ臭さと埃っぽさに包まれ、そして至る所で黒煙が上がっていた。

「それにしてもーー」

ソルはイクリプスを見ながら呟く。

「ーー相変わらずあなたは、空から落ちてくる人なんですね」

ソルはイクリプスと最初に出会った時のことを思い出しながら呟いた。





建物が破壊され、瓦礫とともにリクセスと一体の化け物が飛び出してきた。距離は2メートルもない、お互いの武器の射程圏内だ。リクセスは即詠唱に入るが、一方タイミングが間に合わず、怪物の触手で吹っ飛ばされてしまう。
しかしリクセスも負けてはいない。前世で培った技術を生かし、受け身をとって起き上がると、すぐに詠唱を再開して炎の魔法をお見舞いした。

「よし!あと2匹ーー」

リクセスは次なるターゲットへ向きを変えようとした瞬間だった。偶然にもちょうど彼の背後へ転がってきた触手の怪物、リクセスをその瞳に捉えると、その後頭部へ触手のビンタを放った。
後頭部を打たれる、脳震盪。リクセスの両膝から力が抜け前に倒れこみそうになる。
倒れるリクセスへ、ミヤギとフィアが声を上げようとしたその時だった。

横から放たれる銃弾の嵐、それは今まさにリクセスを踏みつぶそうとしていた怪物を切り裂いていった。
更に近くにいたもう一匹も、颯爽と現れた青いマントの人物に、素手で紙のように切り裂かれた。

「ガァ!」

そう、この青いマントの人物こそ、かの伝説のヴァルキュリア、イクリプスだ。そして、その向こうには、片膝をついて息を荒げる銀髪のヴァルキュリア、ソルの姿があった。

「残弾......ゼロ......」

「......! ヴァルキュリア! なんでここに!」

気がついたリクセスは、突然荒げる現れたソルの姿に、思わず知恵の輪を向けるが......
すぐにソルを庇うようにイクリプスが飛んできて立ちはだかった。獣のように低い唸り声を上げている。
しかし、ソルはイクリプスの力が入った背中に優しく触れる。

「大丈夫......彼らは......わたしの......味方です......」

今のイクリプスに、ソルの言葉の意味は理解できない。しかしソルのその心のオーラを読み取ったイクリプスには、その事を理解できた。

「うぐ......相変わらず、無茶な戦い方をするじゃないですか......“アンダルシア”の魔法使いというものは」

「ーーいや、君に言われたくはないよ」

しばらく呆然としていたリクセスは、またいつもの高飛車な口調に戻っていた。色々分からない事がある、死んだはずのヴァルキュリア達が復活していて、しかも今この瞬間に自分を助けてくれたと。
その様子を見ていたフィアは、すたすたとソルとイクリプスの元へ近づいていく。

「もう、いいだろう」

「ちょっと!フィアさん、なにを!危ないですよ!」

ミヤギの警告も無視し、フィアはソルの傍まで来た。今のでソルも体力を使い果たしたのか、ペタンとお尻をついて動けない様子だった。
ことりと地面に置かれか、フィアのカンテラ。そして彼女はその炎を調整し、一段と大きくした。
すると白く暖かい光がソルとイクリプスを包み込んだ。2人の傷が消えていき、内側から体力がみなぎってくるようだった。

「ソル......ちゃん」

「イクリプス!?脳の損傷が治ったんですか?これは......回復の魔法なんでしょうか」

ぼそりとイクリプスが喋った事に、ソルはフィアが自分たちを治してくれたんだと理解する。

「あ、ああー気持ちいい......ふふっ、とても素晴らしい術をお持ちなのですね。感謝しまーー」

記憶と言葉を取り戻したイクリプスが、フィアに感謝を告げようとした時だった。
突然フィアが、音を立ててうつ伏せに地面へ倒れる。

「えーーなに!?」

ソルは慌ててフィアを回復姿勢にして寝かせた。ミヤギとリクセスも駆け寄ってくる。

「いやあーなに、大した事じゃないさ......私の魔法は命を燃やして、他者を癒すんだ。きっともう、限界なんだろう」

「なっ!どうしてそんな大事な事を言わなかったんだい!?」

リクセスも前世で似たようなものを見ていたから、癒しの魔法には高いコストが付き物なのは理解していた。だからこそ、尚更そんな重要な事を今まで黙っていたフィアに、激しい感情が込み上げてきた。
ソルは「これか!?」と慌ててカンテラの炎を絞る。

「何故って......誰にも聞かれなかったからさ......私のことなんて、君たちはあまり気にしないだろう......」

「なんて自分勝手な!勝手に馬鹿な事をするなよ!」

リクセスが声を荒げる中、ソルとイクリプスはーーなんと無表情に戻って、とても静かで冷静になっていた。ミヤギはその顔を見て一瞬驚くも、すぐにヴァルキュリアの特性を思い出した。

ヴァルキュリアは、窮地になればなるほど冷静になりーー“策を打ち出す”生き物だとーー
しばらく沈黙していたソルは、ふと口を開き、突拍子も無い事を言った。


『ーー“燃焼の三要素”を覚えていますか』

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.60 )
日時: 2018/12/28 20:40
名前: 名無しのアキラ (ID: H9KOaXfM)

ソルの言葉に一同は返事を失う。しかしそれに最初に答えたのは、異界のビジネスマン、ミヤギだ。

「......“酸素”“熱”そして“燃焼物”ですか?」

「なんだい、それは......“化学”ってやつ?それがどうしたのさ!?ここは学校じゃないんだよ!」

フィアが絶命するかしないかの瀬戸際だ、リクセスも焦っていた。

「......要は物が燃えるには“酸素”“熱”そして“燃えるもの”が必要です。そして彼女、フィアの場合は、その燃えるもの=自分の命だった。このカンテラの火が消えることは、即ち彼女の死」

ソルの解説を更に突き詰めようとリクセスが「だから、どうするのさ!」と檄を飛ばす。

「つまり......“命の代わりに燃えるもの”をこのカンテラに注入すれば、理論上はフィアちゃんを助けられますわ」

イクリプスの言葉に一同は顔を上げる。フィアのカンテラに、魂に変わるな何かを注入し、火継を行なって絶命を回避するという作戦だ。
しかしそれには当然問題がある。魂や命を手に入れるには、当然「生贄」が必要となってくる。

「......イクリプス、貴方の宇宙空間を操る能力で、なにか魂に代替できるものを召喚できませんか?」

「うーん......隕石とかブラックホールとかなら出せるけど、魂は難しいかな......」

ソルとイクリプスが相談する中、トコトコと瓦礫の陰からこちらに走ってくるものがいた。
子供ほどの大きさの小型ヴァルキュリア、“はぐれファランクス”だ。いくらでも量産でき、お馴染みのやられ役みたいになってる奴だ。
全滅したはずだが、なぜかここに一機だけぽつんといたのだ。
その姿を見るや、ソルの目つきが変わる。


「あ、“魂”あるじゃん」


ソルは傍まで来た、はぐれファランクスを捕まえる。ファランクスも抵抗するそぶりはなく、大人しくしていた。早速リクセスとミヤギが何か言いたそうだったが、ソルは「大丈夫、いっぱいおるし」の一言でぶった切る。

「よし......イクリプス、こいつから貴方の空間を操る能力で魂を抜いてください。私は......」

ソルはイクリプスに命令しながら、自身の網膜上で何かの設計図を作成していく。そして彼女は手にホログラムの設計図を投影した。
それはフィアのカンテラの底部に丁度はまるように設計された“ブースター”のような機会だった。これに、はぐれファランクスの魂を入れて燃焼させ、火継を行うつもりなのだが......

「......設計図は出来ました。でも、どうやってこれを作れば......」

「複雑な構造だね......こんな代物は流石の僕でも無理だ」

設計図を覗き込むソルとリクセス。
すると、そこに更に空から滑空してくる影があった。ソルにとっては聞き慣れたエンジン音、そして、その音はリクセスも、しかもこの異世界に来た初日に聞いた物だった。

『ソル隊長どのー!』

空から飛んできて着地した小柄な少女は、ソルの仲間、ヴァルキュリア・アイギスだ。銀髪を左右でまとめたアイギスは、小柄ながらも重装甲で身を包んでおり、なかなか打たれ強いヴァルキュリアだ。
小柄な体躯と、赤を基調とした重装甲と複数の武装がギャップになっており、とても印象的だ。
彼女も先の戦闘で死亡したはずだが......

「アイギス!どうしてここに......って、それどころじゃない!最高にいい所に来ました!ほら!早く貴方の能力で、この設計図のパーツを印刷してください!」

ソルはカンテラを指差しながら「これと同じ材質で!」と付け加える。戻ってくるや否や、状況を掴めないまま突拍子も無い隊長の命令に、アイギスは一瞬思考が停止する。
一同全員の目線が、全てアイギスに向けられているのだ。しかも中には今まで敵対してたミヤギとリクセスまでいる。

「あ、あの......これならすぐに作れるでありますが、一体これはなにをするーー」


『早くやれこのチビ!ぶっ殺すぞ!』


『急げ!僕の魔法を食らいたいのか!』


『早くして下さい!私のビジネスがかかってるんですよ!』


『いいから、やりなさいな♪(怖い笑顔)』


ソル、リクセス、ミヤギ、イクリプスの4人に詰め寄られる。そしてアイギスはソルの言葉を聞き、直ぐに状況を理解したのだ。ソルがここまで言う時は、いつもよっぽどの窮地!いつも真面目なアイギスにとって、自分を救ってくれた隊長であるソルを助ける事は生きる意味に等しい。
アイギスは考える暇もなく、両手を手前にかざして、ソルの設計図を空間へ投影したーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.61 )
日時: 2018/12/29 17:13
名前: 名無しのアキラ (ID: dGeWrAwk)

アイギスがかざした両手の前に投影される、ホログラムの設計図は、次第に立体と質量を伴う実物となっていった。そしてソルは完成した部品を手に取ると、直ぐに反対側の手でフィアのカンテラを掴む。
そして2つを組み合わせ......ソルはイクリプスへアイコンタクトを取る。
すかさずイクリプスは、はぐれファランクスの胸元の空間を能力で切り開き、そこへ手を入れ、引き抜く。と、同時に はぐれファランクスは機能を停止した。イクリプスの手には白い光が握られている。

フィアのカンテラの炎は、正に風前の灯火。フィア本人も既に意識はなく、眠ったように目をつぶって動かない。息もどんどん弱くなっていた。

(間に合えー!)

ソルは心の中で願いながら、イクリプスにファランクスの魂を装置に入れてもらい、そしてカンテラと繋ぎ合わせて起動する。

しかし......気づけば、徐々に小さくなっていった炎は既に消えていた。

「ああ!火が......」

いつも冷静で生意気なミヤギも、今は真っ青だった。散々他のメンバーを下に見ていたくせに、いつのまにか仲間意識が芽生えていたようだ。
装置は稼働してる、みんなが静かに見守っていると......瓦礫の中、ボロボロになった全員を、暖かく照らす光があった。

そう、フィアのカンテラだ。フィアのカンテラに火が戻ったのだ。
成功した、皆は互いに顔を見合わせ、笑みを浮かべあった。
種族の壁を超え、世界の壁を超え、彼らが「分かち合った」瞬間だった。





上空に浮かぶ巨大な怪物、上位者“フレスヴェルグ”の雨のように降り注ぐ猛攻。その空に不気味に開く大口が稲妻のごとく光ると、そこから木の枝のように無数に分岐していく光線を放ち、地上を薙ぎ払っていった。

「なんてことなんですの!まるで天災じゃない!」

異世界からやってきた王族の血を引く少女“グラエキア”は、その闇の鎖を操る術を持って、うまく追いかけてくる光線や飛んでくる瓦礫を跳ね除けながら、地上をちょこまかと走っていた。
更にその上空、同じく異世界の天使“エリアス”も、フレスヴェルグの攻撃を避けながら、渾身の聖気の槍を閃光の如く放ち反撃をしていた。エリアスの槍は直撃すればヴァルキュリアですら大破される程の威力がある。しかしフレスヴェルグの半透明の身体は幾ら攻撃しても、強化ガラスのように少し砕けるだけであり、大したダメージを与えていないように見えた。

それだけじゃない、エリアスの周りには自律飛行する鳥に羽のような兵器が複数浮いており、それらも地上や空中へレーザーを撃ちまくっていた。
前世では敵無しだったエリアスも、フレスヴェルグの光線や自律兵器の数々のせいで、上手く近づけずにいた。

「これは、なかなか手強い相手ですね......」

エリアスが自律兵器に囲まれながらも、槍を振り回して攻撃をいなしていた。
その時、上空から一筋の光が、エリアスを追い回していた自律兵器の軍団を吹き飛ばした。
その光を見たグラエキアは顔を上げる。

「今のは!? 新手......いや、援軍?でもあの光、どこかで......」

立て続けにその光の一線は上空の自律兵器を撃ち落としていく。そして、一際大きなレーザーが、フレスヴェルの頭部に命中して爆散した。
エリアスは目を凝らすと、雲の間から現れた“彼女”の姿を捉えた。


『ーー手こずっているようだな、ボクの“胸”を貸そう......』


白い板状の兵装に器用に乗り、波乗りの如く空を滑空する。フレスヴェルグの対空砲火の間を縫うように空を滑り周り、しかも両手のエネルギー火器で反撃もしていく。
長くクセのある桃色の髪を両サイドで束ね、白い装甲服を身にまとっている。なかなか自己主張の強い、良い体格をした“青帽子”の少女。


『なんつてー!だーっはっはっは!いつだって、こんな時はボクにお任せーっすよ!』


『“フェイルノート”!』


グラエキアとエリアスは声を合わせて驚く。撃破された筈のヴァルキュリアが、しかも今は援護射撃までしてくれている。驚かないわけがない。
一通り自律兵器を撃ち落とすと、フェイルノートは地上のグラエキアを庇うように着地してきた。

「やっほー!調子はどうっすか?えーっと......名前なんだっけ?確かグラコロなんとか?」


『わたくしぃのぉ名前はぁ!
“グラエキア・ド・アルディヘイム・クラインレーヴェル・ヴァジュナ・フォン・アリアンロッド”ですわっ!
しかも貴方!“胸を貸す”の意味違うし!』


早速名前を間違えられ、今までの戦闘に使った以上の体力を全て声に放出する勢いで己の名を叫ぶグラエキア。きっとこの戦場中に響き渡っただろう。

「ええー?......まあ、もうグラコロでいいじゃん!」

「おい......」

「まあまあ、グラエキア様」

今にもその闇の鎖でフェイルノートを絞め殺しそうな勢いのグラエキアの前に、エリアスが降りてきた。
そして警戒するようにフェイルノートと向き合う。

「フェイルノートさん、これは一体?」

「うーん、ボクもよくわかんないっす!でもとりあえずは、今は皆んなと一緒に戦うっすよー!」

そう言うと、フェイルノートは再びボード上の兵装の上に飛び乗って高度を上げていく。

「でも、今はちょっと“会わなきゃいけない人”が居るから、後はちょっと任せたっす!」

「ええ!?ちょ、待ちなさい!」

グラエキアの制止も無視して、そのままフェイルノートはどこかへ飛び去った。しかしフレスヴェルはまだ健在だ。再び顔をエリアス達に向けてくる。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.62 )
日時: 2018/12/29 18:34
名前: モンブラン博士 (ID: /XF86LJk)

ソルが復活し、かつて敵味方だった者同士が力を合わせて共通の敵に立ち向かうというのは熱い展開ですね!犬猿の仲のシャドウとソルが共闘したら面白そうですが、水と油の組み合わせですから空中分解の可能性もありますね。この先どうなるのか、楽しみです!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.63 )
日時: 2018/12/29 21:16
名前: 名無しのアキラ (ID: .KFBFsPs)

モンブランさん

こんばんはー
この後の展開も迷いどころですが、とりあえず不動を女神様(オーティヌス)の力で蘇らせても面白いと思ってます^_^
また続き書きますよー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.64 )
日時: 2018/12/29 21:17
名前: 名無しのアキラ (ID: .KFBFsPs)

地上に群がるフレスヴェルの眷属“恐ろしいもの”達も厄介だ。一匹一匹がそれなりに耐久力があり、一撃で倒せなければ囲まれて苦戦を強いられる。範囲攻撃ができるメンバーが居なければ苦しい戦いだ。
異世界からやってきた死霊術師の少年ヴェルゼは、その手にした大鎌を振り回し、踊るように円を描きながら、囲まれても囲まれてもその敵の群れに風穴を開け、善戦していた。
建物の屋根から屋根へ飛び移り、自分を追ってくる怪物どもを蹴散らしていく。

「ーーキリがない、それに他の連中ともはぐれてしまったな......」

ヴェルゼは屋根から飛び降り、建物の中に身を隠すことにした。手前のボロボロの扉を開くと、そこは商店かなにかの裏口だったようだ。倒れた棚に散乱した箱の数々。
とりあえず一息つく、持ってきた背中のバックから水筒を取り出し、蓋を開けて中の水を口に含む。


『デストローイ!』


「ぶはっ!」


突然散乱した箱の山から飛び出してきたそいつに、ヴェルゼは思わず水を吹き出して、懐の探検を構えた。
二頭身の身長120センチ程のヴァルキュリア、はぐれファランクスである。相当量産されたのか、幾度となく戦ってきた相手だ。しかしヴァルキュリアも全滅した筈だが、なぜここに......しかもヴェルゼが短剣の切っ先を向けても、何もリアクションを起こしてない。

『......? アイム・ファランクス!』

小首を傾げたファランクスは、そのままヴェルゼが入ってきた入り口から出て行く。このまま騒がれると化け物に見つかって厄介だ、ヴェルゼはファランクスを追いかけようとするが、その時外が一層騒がしくなっていることに気づく。
そして表に出たヴェルゼの瞳に映ったのはーー白い壁だった。通りを塞ぐように、壁が出来ていたのだ。
そしてその壁の隙間からは大量の槍が突き出ており、突っ込んでくる怪物達を押し返している。

否、それは単なる壁じゃない。それは大量の はぐれファランクス達が折り重なり、一斉に盾を構えた「陣形」だったのだ。

『デストローイ!デストローイ!』

壁の端っこ、ヴェルゼに一番近い所に、先程箱から飛び出してきたファランクスがいた。
しかもちょいちょいとヴェルゼを手招きしている。
状況が掴めないものの、通りを化け物達が蹂躙しており、逃げ道があるとすれば、あのファランクスの方しかなさそうだ。
ヴェルゼは再び短剣から大鎌に持ち替えると、姿勢を低くしながらファランクスの壁の方へ駆け寄る。

すると、まるでヴェルゼの通り道を確保するように、ファランクスの陣形の端にアーチ状の入り口ができた。
これには流石のヴェルゼも驚く。敵である筈のファランクス達が自分を支援している?どういうことだ?

ヴェルゼがアーチを素早く潜り抜けると、その途端再びファランクス達が動いてその穴を塞いだ。

『アイム・ファランクス!』

「お前......これは一体......?」

先程の1匹のファランクスが「やったね!これで安心!」と言わんばかりにぴょんぴょん跳ねている。
ヴェルゼは思う、これ程の陣形、指揮官クラスのヴァルキュリアが居なければ、はぐれファランクスだけでは到底作れない。まさか......



スター流のヒーロー、美琴とヨハネスのコンビも、建物の屋根を2人で駆けながら戦っていた。
2人の武器はなによりもその鍛え抜かれた身体と武術だ。頑丈な身体で敵の攻撃に耐え抜き、必殺の挌闘技で1匹ずつ仕留めていく......しかし2人の技はどれも敵単体を捉えて大ダメージを与えるものが大半だ。
なかなか敵の数が減らないだけでなく、他の仲間ともはぐれてしまっていた。

「くそう!しつこいな!」

「ヨハネスさん!上です!」

美琴の声にヨハネスは上を向くと、空から無数のレーザーが木の枝のように分岐しながら、雨のように押し寄せてきた。フレスヴェルグ本体のレーザー攻撃だ。
美琴が両手をかざして、そのレーザー攻撃を弾き返した。しかも彼女は敵の攻撃を反射する能力まで持っている。大量のレーザーの雨を防ぎ、更に金色のオーラとともにそれらはフレスヴェルグの元へ戻っていくが......

空からは更にそれらを押し潰さんばかりの量のレーザーが降ってきて、美琴とヨハネスを、周囲の眷属である化け物ごと襲いかかった。

「うひゃあ!?」

「防ぎきれませーん!」

見境なしの攻撃にたまらず声を上げるヨハネスと美琴。そのまま建物の屋根が破壊され、美琴とヨハネスは再び大通りに落とされた。

しかし、そこで2人は更に驚くことになる。
何かの大群がこちらへ突っ込んでくるのだ。すかさず姿勢を立て直して拳を構える2人。
しかしその大群は2人を避けて通り過ぎて行き、しかも今まで自分たちを追いかけていた怪物の軍団と戦い始めたのだ。
小さな背丈、白い装甲、トレードマークの槍と盾のセット。その姿は今まで2人が嫌なほど見てきた連中だった。

「馬鹿な!ファランクス!?」

ヨハネスが驚きのあまり、思わずこいつらの名前を口に出した途端、屋根の上から放たれた連装レーザーライフルによって怪物達が薙ぎ払われた。

「“せやで”」

そのレーザーライフルの主が屋根から降りてきた。重厚な白い鎧、後頭部でまとめた癖毛、そして奇妙な箱のような被り物......そう、このやる気のなさそうな目をした少女こそ、はぐれファランクス達の親玉である......

「ヴァルキュリア・ファランクス!? なんのつもりだお前!それにその姿は......」

「そしてその言葉!関西弁ですね!」

「いや、それはどうでもいいよ......」

美琴の指摘に突っ込みを入れながらも、ヨハネスはしっかりファランクスと向き合って拳を構えていた。

「これか? ウチら“アップグレード”して復活したらしいんや、ええやろ?」

「いや、そうじゃなくて!」

「なんで関西弁になっちゃったんですか!?」

「おい......」

新型の2連装となったレーザーライフルや、新しい装甲を見せつけるようにポーズをとるファランクス。しかし美琴の興味はそこにはないらしい。

「ウチ、暴走したイクリプスに殴られてもうてな、そん時に言語プログラムがバグってもうたみたいやーーっと」

ファランクスが不意に姿勢を横に向けると、そこへ包囲網を突破した怪物達がなだれ込んできた。
化け物達がファランクスと美琴達へ襲いかかる。
美琴は化け物の攻撃を交わして空高く舞い上がり、ファランクスは左腕で化け物の触手を防いだ。


「“エルボードローップ!”」


「“大盾”」


美琴は落下する勢いで化け物を地面にめり込ませ、ファランクスはそのまま左腕で化け物を押し返して吹っ飛ばした。2人の技が炸裂した瞬間である。

「“盾兵”は“左腕”が肝心なんや。ウチなら素手でも、左腕は鋼鉄並みに鍛えてるんやでーーっと、そろそろやな」

再びファランクスが戦場の方に目をやった時だった。ファランクスの陣形に手前、化け物の群れの上空から、大量の矢の雨が降り注ぎ、奴らを殲滅していく。
気づけば遠方の建物の上には、なんと弓兵の一団が現れているのだ。しかも見た目人間のようである、ヴァルキュリアじゃない。

「ヨハネスさん見てください!弩級隊ですよ!」

「あれは......ファランクスには弓兵を召喚する能力は無かったはず......?」

降り注ぎ矢の雨を眺める美琴とヨハネスの後ろから近く影があった。


『僕の“能力”だよ』


振り向くとそこには、まるで靄がかかったように淡い金髪の小柄な少年の姿があった。身に纏うローブは元は金色なのだろうが、驚くほど色褪せており、キラキラ感はほぼない。身長も150センチほどしかない。
明らかに戦場には場違いな少年だが、美琴とヨハネスは以前レジスタンスの拠点で彼と会っていた。

「エクセリオさん!あの弓兵はエクセリオさんの能力だったんですね!」

「ほーん、“エクセリオはん”っちゅうのか」

「見事な連携だよね......まさか2人は知り合いだったのかい? どうやったんだ?」

ヨハネスは殲滅された怪物達の亡骸を見ながら尋ねる。しかしエクセリオの事を見下ろすファランクスの様子から、それは無いような雰囲気だった。

「ーーいや、連携もなにもない。ウチとエクセリオはん は“当たり前のこと”をしたまでや」

ファランクスの意味深な言葉に、美琴とヨハネスは驚く。


「“盾兵”で足止めし、“弓兵”で撃つーー」


「ーーお違い住む世界も種族も違っても、考える事は同じみたいだね」


ファランクスがそっと突き出した拳の挨拶に、エクセリオもコツンと優しく答えた。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.65 )
日時: 2019/01/03 14:57
名前: 名無しのアキラ (ID: H8t.4cI6)

焼け焦げ、煤と火の粉が舞う街。石レンガやガス灯など、昔の景観が残されていたであろう街は、今は瓦礫の山と化している。
そんな街の大通りに彼は“また”召喚されてしまっていた。

その背中は正に“仁王”の如し、巌のように鍛え上げられた肉体の大男。髪型は茶髪のオールバック。その眼光は猛禽類のように鋭く、茶色い瞳が目に前の光景を睨みつける。
見慣れない街......しかしこの世界の“空気”、いや“雰囲気”というものには、彼は見覚えがあった。

ーー2つの種族がいた。過去になにがあったのかは誰も知らない。けれども、彼らは互いに憎しみ合っていた。
誰もが何かに怒っていた、殺しあっていた。もしかしたら、世の中の不条理に、世界中の人間の思いが爆発した結果が、今のこの世界なのかもしれない。
類を見ない、戦争が当たり前になった世界。永遠に燃え続ける戦火。
しかし、もうこの世界にも限界が来たようだ。
空から天災の如く降り注ぐ光の束が、地上のあらゆるものを破壊していく。

「ーー“不動”か」

己の名を名を呼ぶ声に、彼、“不動仁王”は振り向いた。
駅だろうか、正面入り口から颯爽に現れたのは、白いマントをはためかせる銀髪の男だった。中年に差し掛かる年代と思われる、男の瞳は金色。

「シャドウ......あえて聞くが、俺はもう一度“ここ”へ召喚されたのか。他の皆は無事なのか?」

シャドウと呼ばれた白マントの男。

「左様、だが無事の保証までは出来ぬ。ヴァルキュリアを倒しきったと思いきや、もっと厄介な連中が現れた」

「なんだと、そいつらはどんなーー」

不動仁王が言いかけた時、周囲の地面が盛り上がり、中から青黒い触手の数々が姿を見せる。そしてその触手の中心部には獣のような瞳がこちらを除いていた。
複数体の怪物が地面から現れた、不動とシャドウを取り囲む。
血に飢えたように低い唸り声を上げる怪物たちに、2人は背中合わせになった。



前線でレジスタンスのメンバーとヴァルキュリア達が交戦する中、街の一角ではレジスタンスの副将の少女、アミラが野営地で指揮を取っていた。丁度地形の起伏の陰になっている場所に上手い具合に布陣し、物資調達や医療施設の整備を行っていた。
そしてそこへ現れるコック姿の大男が1人、アミラへ近づいてくる。
スター流のヒーローの1人、カイザーだ。ヴァルキュリアとの戦闘で負傷するも、なんとか一命を取り留めた。

「カイザーさん!どうしたんですか!?」

「悪いが、仲間の危機を前に、自分だけ病室でいつまでも寝ているわけにはいかない。
少しでも手伝いをさせてもらおうと思ってね」

カイザーは腰に手を当てながら笑みでアミラと向き合う。
しかしそれは、彼女を安心させる為の作り笑みだった。まだまだ本調子ではないのに......カイザーはつくずく優しい男だったのだ。
アミラもそれを承知の上でーー

「ーー分かりました。でも、足手まといにはならないで下さいよ」

いつものちょっとツンツンとした厳しい口調で返事を返す。彼女ももう半人前じゃない、一流の指揮官として行動できるようになっていた。
カイザーは、自分が異世界に来たばかりの頃と比べ、とても成長したなと感慨深いものがあった。

その時、野営地の地面の一部が盛り上がり、そこから青い怪物が一匹飛び出してきた。警備をすり抜けてここまでやって来たのだろう。
2人へ対峙する怪物に、カイザーは己の拳を、そしてアミラはお得意のチャクラムを構えたーー

しかし、気づけば青い怪物は、何者かの青い閃光によって横一文字に切り裂かれていた。
疾風の如し現れた、小さな人影に、カイザーとアミラは思わずその名を口ずさむ。


『嘉元!?』


「ふっふっふ、久しぶりじゃないか」


それは異世界からやって来た学生でもあり、能力者の少女、嘉元だった。そして颯爽と登場した彼女は、カイザーのパン屋で貰ったメイド服をまだ着ていた。
しかも驚く事は他にもある。先程の閃光のような攻撃、そしてーー両手には、ヴァルキュリアと同じ、レーザーを纏っていたのだ。

「嘉元!お前、ヴァルキュリアだったのか!?」

しばらく一緒に店で働いていた事のあるカイザーは、指をさしながら驚く。

「いいや? あの後色々あってね、瀕死の所を“女神様”に助けてもらったんだ。そのオマケに、あたいの希望で“アップグレード”してもらったのさ!」

嘉元が両手のレーザーブレードで弧を描きながら語る。

「め、女神? じゃあ自分から望んでヴァルキュリアになっちゃったんですか?」

「なんと、思い切ったことをしたな」

「もう、あたいも一回死んだようなもんさね。思い残すことはない、いっそヴァルキュリアになってやろうと思ってね」

新たなる力を手に入れた嘉元。しかし元の能力も健在なようだ。背中のバックから水筒を取り出し、傍にあったミネラルウォーターを入れて、それをカップに注げばあら不思議。
出来立てのコーヒーになって出て来たのだ。
彼女は真水をコーヒーに出来る能力者でもあるのだ。
頼もしい味方が増えたアミラは、思わず笑みを浮かべる。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.66 )
日時: 2018/12/30 19:23
名前: 名無しのアキラ (ID: H8t.4cI6)

火の灯ったカンテラの暖かい明かりを囲うように見つめる面子。フィアはまだ気を失ったままだが、顔色は元に戻り、静かに寝息を立てていた。もう大丈夫そうである。

そこへ建物の屋根を伝って来るものが1人、そして空からボードに乗って滑空して来る者が1人いた。
2人はほぼ同時に、カンテラの明かりに照らされたヴァルキュリアの少女、ソルの手前に着地すると、綺麗に敬礼してみせた。

「久しぶりやな」

「ちーっす!戻ってまいりました!」

「ファランクス! フェーたん!」

ソルは2人、ファランクスとフェイルノートの姿を見ると、返しの敬礼も忘れて駆け寄って来た。そのソルの後を追い、同じくヴァルキュリア少女、アイギスもその輪に加わって、互いの無事を喜び合っていた。
そんな様子を一歩引いた所から見つめる、もう一体ヴァルキュリアが居た。蒼いマントのヴァルキュリアの女性、イクリプスである。
このメンバーは別名“最初の5人”と呼ばれる異名を持ち、ある勢力からは悪魔として、そしてまたある勢力からは英雄として恐れられ、また崇められて来た。

その様子を見ていたリクセスが、静かに立ち上がる。そして首から下げた金の知恵の輪を手にし、詠唱するーー


『天空の翼(ヘヴンズ・ウィング)!』


ソルたちの中心で何かが弾け、彼女達の身体を包み込んだ。急な魔法に思わず身構えるソル、しかしその身体に変化を感じた。
とても身軽なのだ。身体が素早く、またとても軽い。
ポカーンとしているヴァキュリア達に、リクセスはーー

「さただでさえ、すばしっこい君たちだ。この魔法の効果を受ければ、世界の果てまで飛んでいけるだろうさーー
ーーさあ!行ってくれ、“ヴァルキュリア”達よ!皆んなを助けてやってくれ!」

リクセスは両腕を広げてさらに「天空の翼(ヘヴンズ・ウィング)」の詠唱をソル達に重ねがけした。
ソルは身体の内に、漲る熱風のようなものを感じた。


「ーーわかりました」


そう言い残すと、ソルは消え、それに続いて他のヴァルキュリア達も消えるように駆け去っていった。
ソル達が居なくなった後、前線の方を残されたリクセスとミヤギは見つめていた。

「ーー彼女達なら、もしかしたら、やってくれるかもしれませんね」

「いや、必ずやってくれるさ、だってーー」

ミヤギの問いに、リクセスが答える。


『その為の“ヴァルキュリア”さ!』

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.67 )
日時: 2018/12/30 19:30
名前: モンブラン博士 (ID: dGY6AeW.)

おおおおおおお!不動が復活!シャドウと再会からの背中合わせの共闘!これはレア映像ですぞ!
カイザーも無理を押していますが久々に嘉元登場!この2人の絡みが見られるなんて幸せです!
カイザーに不動そしてシャドウとスター流の主力が勢ぞろい!ここに美琴とヨハネスが合流したら凄いことになりそうです!更に「伝説」の闇野が参戦したらスター流メンバーはスター以外は恐れおののいて土下座しそうですw

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.68 )
日時: 2018/12/30 20:32
名前: 名無しのアキラ (ID: H8t.4cI6)

モンブランさん

こんばんは〜
銃兵が少ないので、目黒も後で出そうと思ってます^_^
これからもよろしくお願いします(^^)

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.69 )
日時: 2019/01/01 02:20
名前: 名無しのアキラ (ID: d4WjxmF2)

あけおめ(^O^)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.70 )
日時: 2019/01/02 20:17
名前: 名無しのアキラ (ID: xBn81qVs)

旧市街は中心部に近づくにつれ、戦火が激しくなっていく。原因は、その上空にいる巨大な敵「フレスヴェルグ」のせいだ。羽を広げたその姿は全幅100mは行くだろう、巨大な鳥型の怪物だ。半透明な鉱石で出来ているようなそいつは、およそ生き物やロボットの概念からは大きく外れた存在だ。
そして空を覆い尽くすほどの宇宙空間が上空に敷き詰められており、そこには見たことのない星々が輝いている。
もはや未知のエリアと化した街。その中を風のように突き抜けていく、白い少女たちの姿があった。

“ヴァルキュリア”ーー人は彼女たちをそう呼んだ。人間にそっくりな別の生き物で、何者かが作り出したとされる。

先頭を走るのは、一団のリーダー格である「ソル」だ。太ももまで届く銀髪を後頭部で纏め、軽装甲のアーマーを着ている。自分にも他人にもとても厳しい性格な彼女は、常に努力を怠らない、真面目でみんなを纏めるのに相応しい人間だった。
その少し後ろ側から、ソルと並ぶように駆けるのは、同じくリーダー格のヴァルキュリア「イクリプス」だ。皆人形にように整った顔立ちをしているヴァルキュリア達の中でも、イクリプスは特段際立って美しい顔立ちと、モデルのような体格に恵まれていた。茶髪のツーサイド縦ロールと蒼いチャイナドレス風のタクティカルウェアとはためくマント、そして王冠型の頭部パーツがとても象徴的だ。優しくていつも落ち着いている、ソルとは対照的な性格だが、とても頼りになる年上のお姉さんだ。
ヴァルキュリアの中でも彼女とソルは合わせて『ヴァルハラの双剣』の異名を持ち、先の大戦で圧倒的な戦果を挙げ、英雄視されている。それこそヴァルキュリアを虐げ、自分達に向かってきた世界中の敵対勢力をほぼ全て倒しきってしまった程である。

その後ろに続くは3体のヴァルキュリアだ。
いつも無表情で何を考えてるかわからない、面倒くさがり屋な「ファランクス」。黒い癖毛を後頭部で纏め、箱のような頭部パーツを被っているのが特徴だ。面子の中では盾役を担当し最も重装甲だが、実は中々のプロポーションを誇る美少女だったりする。めんどくさがり屋な性格が玉に傷。
2人目はファランクスと同期のヴァルキュリア。いつもテンションを維持してチャラい、チームのムードメーカー的な存在「フェイルノート」。ふわふわの桃色の髪を両サイドで纏めたツインテールが可愛らしい、いつも被ってる青い帽子がトレードマークな事から、敵対組織からは“青帽子”とか呼ばれてたりもした。チーム内で1番胸が大きく、露出の多めで大胆に肉抜きされたアーマーを着ており、かなりエロい装備だ...
担当は狙撃手であり、また見た目によらず実は非常に頭の回転が早い、中々出来る子だったりする。
3人目はチーム内で1番背が小さいが、頑丈なアーマーと多彩な火器を装備したヴァルキュリア「アイギス」だ。“馬鹿”が付くほど真面目で素直な性格で、いつもだらしないファランクスとフェイルノートへ、リーダーが不在の際に口頭で注意できる貴重なチームメイトだ。短めの銀髪をツーサイドアップで纏めた彼女はとても手先が器用でもあり、エンジニアのように武器を修理したりするのが得意な一方、高火力装備で範囲攻撃もできる、中々頼りになる奴だ。

上空に鎮座するフレスヴェルグは、地上の前線で戦っている異界人やレジスタンスへターゲッティングしているようで、建物を陰にして近づいてきたソル達にはまだ気づいていないようだ。

ソル達は前線が見える位置まで来て一旦隠れる。
フレスヴェルグの下では、レーザーの雨を弾きながら上空へ飛んで近づこうとするスター流のヒーロー達や、浮遊する自律兵器を掻い潜りながら聖槍を叩き込んでいくエンジェリカの天使、地上から強力な魔法を対空砲火として撃ち続けるアンダルシアの魔導師達の姿があった。

「センパイ!早く皆んなを助けるっすよ!」

フェイルノートが指をさしながらソルに叫ぶ。

「あれだけの集中砲火を受けても、傾きすらしない。しかもそれどころか、更なる火力で押し返してくるなんて......このままじゃ前衛が崩壊しかねない。いつもみたいに、私達が最前線に出て行きたい所ですがーー」

ソルの網膜には、事前に飛ばしておいた髪留め型の“偵察オービット”から送られてくる、膨大な情報が流れていた。地形データ、味方の残存勢力とその強さや能力、そして敵戦力の解析......フレスヴェルグは策無しに飛び込むには、いくらヴァルキュリアとはいえ無理がある。
そしてソルの網膜に、1つの“最善手”が映る。けれどもそれは、結局“いつもの定石”とさほど変わりは無かったのだ。

ソルは4人のヴァルキュリアに振り返りーー


『このまま人間に手柄を取られるのも癪です。
横槍入れて、あのデカブツに“一泡吹かせてやりましょう”!』


ーーソルの、いつもの強気な言葉に、4機のヴァルキュリアは勇気を鼓舞して拳を固めた。

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.71 )
日時: 2019/01/03 01:12
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: 9EuIQSd6)

>>65
>>背中のバックから水筒を取り出し、傍にあったミネラルウォーターを入れて、それをカップに注げばあら不思議。
>>出来立てのコーヒーになって出て来たのだ。
>>彼女は真水とコーヒーに出来る能力者でもあるのだ。

 能力の効果は『(真水に)触れないとコーヒーに変えられない』んだよ……(汗)
 嘉元の能力は対象物に触れないと発動しないタイプなんです(汗)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.72 )
日時: 2019/01/03 12:34
名前: 名無しのアキラ (ID: oTbgEp62)

† 彩都 †さん

そういえば直接触れないと能力発動しなかったんですっけ...
分かりました!次回からはそうします!(ただ、飲み物に素手で触れるって絵的にどうなんだろうとか心配してたり)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.73 )
日時: 2019/01/03 12:50
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: NjH/FOiY)

>>72
>>そういえば直接触れないと能力発動しなかったんですっけ...
 そうなんや……

>>分かりました!次回からはそうします!
 有難う御座います。

>>(ただ、飲み物に素手で触れるって絵的にどうなんだろうとか心配してたり)
 女子高生の指の出汁が入っているから絵的にエロい(((

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.74 )
日時: 2019/01/03 13:29
名前: 名無しのアキラ (ID: oTbgEp62)

たまげたなあ(

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.75 )
日時: 2019/01/03 18:30
名前: 名無しのアキラ (ID: d/L4GWe2)

こんばんは

最近は小説を書く以外にやる事がないですね〜
いいことだ(^^)

Re: 〜V計画〜初の合作完結を目指す ( No.76 )
日時: 2019/01/07 05:31
名前: 名無しのアキラ (ID: DJGcfnI6)

フレスヴェルグの下では激しい攻防戦が繰り広げられていた。
スター流の美琴とヨハネスはレーザーの雨を建物を使って上手く避けながら、再び跳躍して本体を目指す。大樹のように拡散するレーザーの樹の枝を、浮遊するの自律兵器を踏み台にしながらフレスヴェルグ本体に近づき......

「この間合いなら!」

美琴が腕を振り翳し、ヨハネスは拳に炎をちらつかせ、技を撃つ体制に入るが......

フレスヴェルグは大きく羽ばたき、移動を開始する。突風が2人を押し返し、フレスヴェルグとの距離はますます遠くなっていく。
無理に飛んで接近しようにも、再びあのレーザーによる迎撃の嵐によってついに押し返されてしまった。
ピンポン球のように飛んで行った美琴とヨハネスは真下の建物の屋根を突き抜け、地面に叩きつけられた。

更に上空では、エンジェリカの天使、エリアスがフレスヴェルグへの追撃を行なっていた。飛行機には真似出来ない複雑な航路を飛ぶことにより、弾幕に囚われずにいたエリアス。
しかし周辺を同じく飛び回る、羽型の自律兵器のせいで攻めあぐねている。自律兵器はフレスヴェルグ本体と同じ材質で出来ているのか、破壊こそできるものの、とても頑強で対処に時間がかかる。しかも本体からは未だに後続の自律兵器が射出され続けている事から、恐らく相当の装弾数がまだまだあると思われる。

地上からはアンダルシアの魔術師、リクセスとエクセリオによって、空を焼き尽くさんばかりの魔法の数々が打ち上げられては炸裂していた。
リクセスの炎の大魔法“滅亡の業火(ロストフレイム)”は、火の玉として打ち上げられた後、空中で太陽の如く輝きを放って大爆発し、空中の自律兵器を吹き飛ばし、その炎は本体へも到達した。
エクセリオは自身は隠れながらも、多数の幻影を操りながら戦っている。彼の能力による「幻花千隊」は、空気や水蒸気に魔力を混ぜて作り出した、ほぼ本物の兵士達による軍隊だ。展開した弓兵の軍団による矢の雨、魔導師達による魔法の一斉放火は、この世界でも最大規模の火力だ。

フレスヴェルグの周辺は爆発し続け、その合間からは美琴やエリアスが絶え間なく纏わりつく。

しかしーー


なにかがおかしい


フレスヴェルは微妙に身体を動かしたり、羽ばたいて移動するだけであり、動きに鈍りはなく、しかもちゃんと反撃をし続けてくる。
むしろ攻めているレジスタンス側の方がダメージが蓄積していっていた。

前線から一歩引いた間合いの後方でその様子を見ていた、レジスタンスのリーダー、ラヴォンは、唸るように歯を食いしばり、戦局に焦りを感じていた。
その隣ではスター流ヒーロー群の創始者、スター=アーナツメルツも額に汗を浮かべる。

そこへ同じくレジスタンスの副長、アミラが、異界からやってきた学生であり、今は色々あってヴァルキュリア化までした少女、嘉元と、他のスター流のヒーロー達を連れてやってきた。
スターがその面子を見た瞬間、表情に一気に余裕と安心が過った。

「カイザー君! それに不動君とシャドウ君まで! みんな無事だったかい?」

「俺たちは全員大丈夫だ、それよりもーー」

「ーーあのでっかい鳥と戦ってる連中を心配した方がいいんじゃないかい?」

不動と嘉元は、並んで旧市街の上空に鎮座するフレスヴェルグを睨みつける。もはや周辺の邪魔者をどけたのか、ゆっくりとこちらに向かってきていた。既にあの口から放たれるレーザーの射程圏内ではあるはずだが、恐らく発射毎にチャージの様なものが必要なのだろう。まだ撃ってはこないが......
一同は各々の構えを取った。また、スターは両腕を組んだままの不動の姿勢で、空の怪物と対峙する。

「シャドウ君、何か策はあるかね」

スターが前を向いたまま、後ろのシャドウに問う。

「ふっ、愚問ですな!ーーと、言ってやりたい所ですが......」

シャドウはいつものお得意、高飛車な笑みと口調で途中まで喋っていたが。

「あいにく、あんなものに策も何もないかとーーまずあんな巨大な物が、しかもあれだけの大火力を持ちながらも飛行してる時点で“イレギュラー”だ。しかも、見たところ奴は“生き物”でも“機械”でもない。更に破壊困難で再生までする未知の物質で構成されてるときたら......」

「まあ、“殴ってく”しかないんじゃないのかね」

シャドウの詰まる言葉に、嘉元が強気の姿勢を見せた。

「その通りだ、俺に出来るのもそれだけだ。俺に砕けぬものは無い!」

不動も加減の姿勢を後押しするように拳を固める。

その時、更にふわりと空から降りてきた人物がいた。胸元の青い宝石と、白を基調とし黒い幾何学模様の入った不思議な衣装を纏う少年。異世界からやってきた謎の人物、デスタムーアだ。
先の対ヴァルキュリア戦で活躍し、主力のヴァルキュリアだったイクリプスを打ち取った。戦争の終結に大きく貢献した、圧倒的な戦力の持ち主の1人だ。

「俺も行こう、お前達の戦い方は見てられんからな」

「デスタムーアか! イクリプス戦のダメージは大丈夫なのか?」

ラヴォンの問いに、「余計の世話だ」と言わんばかりにデスタムーアは小さく溜息をつく。

「あんなもの、ダメージでもなんでも無い。平気だ」

「ははは、なかなか強いじゃないか。まあ、お互い無理せず行こう」

しかしデスタムーアも全くの無傷ではないことを、カイザーは察知していた。その上で上手く声かけをしていく。

フレスヴェルグの口の中が再び発光する。またあのレーザーを撃つ気だ。(来る!)全員がそう思い、それぞれの構えを取り、回避に移ろうとした時だったーー
上空に複数の飛来物あり。そしてそれは空で弾けるとともに、大量の白い煙幕を発生させた。フレスヴェルグの巨体とその周りの自律兵器が雲海に飲まれていく。
するとその途端、フレスヴェルグの攻撃と移動が止む。レーザーも撃ってこなかった。

「なんだこれは......目潰しのつもりか、ふん、“相変わらず”ちょこざい連中だな、“アレ”は」

「ーー左様、“元敵”ながら脱帽だ。“効率的”そして“近代的”。確かに“こんな仕掛け”を好む連中なんて、いかなる世界を探しても“ここ”にしかいないですなあ」

デスタムーアとシャドウは何かを察したように呟き合う。
それは明らかな「支援攻撃」だった。けれども、これ程の大掛かりな煙幕......そう簡単に用意できるものではないが、一同にはこの手の策に心覚えがあった。


『ーーやはり、奴は“目視”で敵を捕捉してる』


そしてそれを裏付けるように、背後から聞き慣れた少女の声が聞こえてくるーー
振り向くとそこには、腰まで届く長髪を後頭部で束ねた、一機の“ヴァルキュリア”の姿があった。白を基調とした装甲服にはピンク色のラインが入っていたデザインが描かれている。


『時間がないので端的にお話ししますが、“策”があります』


少女の言葉に、一同は目を見開く。不動仁王が、見慣れたその少女の前に一歩出てきた。

「ーー“ソル”、それはどんな策だ?」

「あの、そんなの決まっているでしょう?」

少女ーーヴァルキュリア・ソルは、今にも舌打ちしそうな表情で不動の問いに返した。


『アレを“撃ち落とす”策ですよお!』


ソルが言った途端、フレスヴェルグが煙幕を吹き飛ばしでまた姿を現した。
対峙する両軍、まさに今、決戦の火蓋が切られようとしていたーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.77 )
日時: 2019/01/07 15:31
名前: 名無しのアキラ (ID: CDC8lHoc)

こんにちは

スレタイ変更しました

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.78 )
日時: 2019/01/07 16:01
名前: モンブラン博士 (ID: G/sjXE/A)

ついにソルと不動が合流!シャドウの軽口も変わりませんね。フレスヴェルグを打ち落とす策がどんなものか楽しみにしています!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.79 )
日時: 2019/01/07 21:33
名前: 名無しのアキラ (ID: GFG6Zkuw)

モンブランさん

こんばんは〜
作戦はいくつか考えていて、それぞれのキャラの能力を活かしたものにしようと思ってます^_^
途中で目黒に手伝ってもらったり、最後には闇野もチラッと上手く出番を用意しようと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

また明日は自分非番なので、また1話頑張って更新しようと思います!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.80 )
日時: 2019/01/10 19:01
名前: 名無しのアキラ (ID: EDQfsp0.)

フレスヴェルグの口が雷の如く発光すると、無数のレーザーが分岐しながら、雨のようにソル達へ迫ってきた。

「“散れっ!”“走れ!”」

ソルは一同へ叫び、自身も回避行動に移る。しかしソルが命令する前から、みんなは先に既に各々動き出していた。
ソルはまるで風に舞う木の葉のように、アクロバットな軽業でレーザーの嵐を擦り抜け、そしてその軽々とした動きの勢いを殺すことなく反撃にも利用していた。身体を駒のように回転させ、四肢とその長い銀髪を使って、レーザーの弾幕を弾き返す。彼女の髪の毛はまるで鋼のように敵の攻撃を弾き返し、そして絹のように滑らかな光沢を放ちながら美しく曲線を描いていく。
その彼女の後ろでは、不動仁王が怒りに燃えた灼熱の拳で、敵の攻撃を撃ち返していた。彼の拳によってレーザーは物理法則を無視して屈折され、代わりに周辺の建物をチーズのように切断していく。

そしてソルがタイミングよくレーザーの包囲網を擦り抜け、傍の水路へひょいと入って身を隠すと、それに不動も続いた。



まるで世界樹の如くレーザーの枝を広げていくフレスヴェルグの攻撃に、各々は散りながら各自自衛していくことを余儀なくされた。
旧市街の下層を駆けるグラエキアの頭上からは、絶え間なく地上で破壊された建物の瓦礫が落ちてくる。
彼女はそれらを、自身の能力の産物である闇の鎖を振り回し、弾き飛ばしながら退路を確保していた。
そしてその上空から風を切って彼女に近づく影ーー背中から純白の翼を生やしたエリアスが、グラエキアを助けようと更に高度を下げる。

「エリアス!」

「グラエキア様、こちらへ!」

接近に気づいたグラエキアは手を伸ばし、エリアスはそれをしっかりと握りしめた。エリアスは力強くグラエキアの手を引き上げると、そのまま抱きかかえるように手前の安全な建物の上に降りる。
見事なコンビネーション、しかし安心したのも束の間、今度はフレスヴェルグが放ったレーザーの束が2人を追いかけてきた。
再びグラエキアを抱えて飛び立とうとするエリアス、しかし人1人持ち上げながらに飛行では、やはり動きが鈍る。

そしてレーザーがエリアスに当たりそうになった瞬間、その間に入った何者かの陰によってそれは遮られた。
その箱のような頭部パーツを被り、大楯で攻撃を跳ね返すその姿は、グラエキアがこの異世界に来て最初に出会った人物のものだった。

「ギリギリ間に合ったで」

「ファランクス!」

グラエキアが最初に出会ったヴァルキュリアの少女、ファランクスは盾を構えながら首だけ振り返り「久しぶりやな」と返事を返す。
攻撃を凌ぎ切ったファランクス、しかし表情は曇っていた。見ると、フレスヴェルグの放ったレーザーの束の1つが、彼女の脚に絡みつき、傷つけて行ったようだ。盾ではカバーが難しい脚をやられた。
ポタポタと左脚から出血するファランクス。

「ファランクスさん!」

「大丈夫やで」

エリアスが心配して声をかけるも、すぐに次のレーザーの嵐が襲ってきた。エリアスはグラエキアを抱えて飛び立つが......
なんとファランクスも片脚の脚力のみで、素早く上手く動き回りながらレーザーを回避していた。しかも周囲からはわらわらと彼女の子分、はぐれファランクス達が湧き出てはレーザーを相殺していく。

上手く避けながら、身近にあった塔の後ろに隠れた3人。
するとファランクスはすぐに腰のポーチからガーゼと包帯を取り出し、自身の脚に巻きつけていく。流石はヴァルキュリアとても慣れた手つきだ。

「ウチらも、アンタらと戦ってる最中に随分と難儀をさせてもらたからな、片脚でも動き回れるよう訓練は詰んどる」

包帯を巻きながら語るファランクス、相変わらず表情には乏しいが、その声と喋り方はなんとなく交換が持てた。

「ふん、流石ですわね。褒めて差し上げますわ」

「それにしても、昔とは動きといいその姿といい、全く別の次元に到達してる様に見えますね。やはり復活した時の影響なのでしょうか」

応急処置を済ませたファランクスは立ち上がりながらーー

「せやな、確かに女神様とかいう人に復活させてもらた時に、オマケでアップグレードしてもらたんや。でもそれだけじゃないんやでーー」

そしてファランクスは右手に2連装レーザーライフルを構える。

「ウチらは復活するちいと前に“訓練”してきたんや」

「訓練?そんな短時間で?」

ファランクスは「せやで、けどなーー」と返す。


『ウチらは“アイツ”の能力を使ってなぁ。この世界では一瞬とも言える時間の間に、“5年”......いやもう【10年】ぐらい分やろか......気が狂うほど訓練してから、この世界に蘇ったんや』


「!?」


ファランクスの意味不明な言葉は、グラエキアとエリアスにとっては衝撃的だった。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.81 )
日時: 2019/01/13 12:32
名前: 名無しのアキラ (ID: rAcBIZJ6)



「バッチコーイっすよー!おそい!おそい!おそーーーーーい!」


桃色のツインテールをなびかせながら駆け回り、左腕部一体型のエネルギー火器“ハイレーザーキャノン”を撃ちまくる、青帽子がトレードマークのヴァルキュリア、フェイルノート。耐久力こそ一部のヴァルキュリアには劣るものの、トップクラスの機動力と、最長の有効射程、そして最大の貫通力を誇る。
ポジション的には後衛向きのヴァルキュリアだが、フェイルノートは大胆にもフレスヴェルグの真下付近まで潜り込み、更にそこから跳躍、装備したボード上のウェポンキャリアーの上に乗って、その推進力を持って背後まで回り込んでいった。

その後塵を追うように、他の面子も後に続いていた。
その中の1人、アンダルシアの魔術師の少年、ヴェルゼは、フェイルノートの大胆な攻めに、呆れを通り越して怒りの感情まで湧いてきていた。

「ヴァルキュリアの奴! 前に出過ぎだ!」

「いや、でも“あの馬鹿”が敵を引きつけてくれてるお陰で、もの凄く戦線を押し上げられたね」

ヨハネスはフェイルノートの動きの策を既に読んでいた。彼女はフレスヴェルグの側面へ回り込む事により、相手の注意を散漫にし、正面から打ち合っているヴェルゼやヨハネス達との十字砲火を狙っていたのだ。どんな敵であれ、四方からの攻撃を全て捌ききるのは難しくなってくる。
しかもフェイルノートはフレスヴェルグの反撃を回避できる最低接敵距離のようなものを意識しているようだ。多数の自律兵器のレーザーも、ボードをうまく切り替えして避け、またあえてボードを盾にしながらそれを受け、更に敵の攻撃を倍返しにするが如く多彩なエネルギー兵器の連弾をシャワーにように放射して薙ぎ払ったりしていた。

「フェイルノートは見た目以上に強いヴァルキュリアだ、特に“撃ち合い”じゃあね。あれそう簡単には落ちないよ。ソルの奴もあいつに今の前衛を全部任せてるんだろう、それだけの戦力なんだよ」

「じゃあ今がチャンスですね! 私達も遅れないように行きましょう!」

美琴が一同を追い抜き、更に高速で駆け出した時、1匹の はぐれファランクスが飛び出してきて、美琴へ何かを差し出した。アンテナ付きの長方形機械には液晶があり、ダイヤルとボタンがある。
急ブレーキをかけて停止した美琴と、それに追いついた一同がファランクスを囲んだ。

「ファランクスちゃん! これは......?」

「“無線機”だね、例の“策”とやらが始まるのか」

ヨハネスはファランクスから無線機を受け取る。





ソルは水路に身を隠しながら、自身が飛ばした髪留め型の偵察機から送られてくる膨大な情報を処理していた。彼女の両眼の網膜には無数のデータの列が高速で流れていく。
その傍で片膝をついてその様子を見守っていた不動仁王は、痺れを切らせて立ち上がる。

「おいガキ! いつまでそこで休んでるつもりだ! 俺の足を引っ張るようならお前も往生させてやる!」

「ーー黙れ、馬鹿が」

不動の方は見た目通りに、ソルは見た目以上に、相変わらず2人とも口が悪い。まるで磁石の同極を反発させたようにぶつかり合う。
早速不動はソルの胸ぐらを遠慮せずに掴むがーーソルはそれを左手で捌き、そのまま左腕の肘で不動の腕を挟み込んで“脇固め”の技の態勢に入った。彼女の技は体格差などは関係なしに、上手く決まれば外せない......そのままソルがやろうと思えば更に技をかける事も可能ではあるが、彼女は技をかけたまま少し前に進み不動を放り出す。
そして不動も巨体に似合わず素早い、すぐに切り替えして拳を向けて迫ってくる。

(あーめんどくせえ)

ソルは再び不動の拳を捌きつつ側面に回り込んだ。それでも不動の怒りは治らない。更に踏み込んで向かってくる。
その時、ソルの目が光る。


(この作戦の概要は、まあ“見せた方が”早いか)


ソルは柔術の構えから、両腕を上げてベアナックルの構えへ移る。柔術から打撃技の構えになったのだ。
そこへダイレクトに飛んでくる不動の拳、ソルは盛り上げて構えた両腕の盾でそれを受け止めた。
ミサイル並みの破壊力のあるパンチ、普通の女の子だったら吹っ飛ばされてしまうところだが、彼女はヴァルキュリアだ。それを受けても全く仰け反らないーーいや、流石にそれはおかしな防御力だった。いくらヴァルキュリアとは言え、スター流のパンチはそんなに緩くない。通常のパンチじゃない、プロレスのプッシュパンチのようなそれは、どんな相手でもダメージを与えられる筈だ。体格差のあるソルならば、後方へ押し出されるのが物理の法則にかなってるが......


キィィィンーー


耳鳴りにような音とともに、不動の拳はソルの手前に存在した“見えない何か”によって受け止められた。それは物質とも違う、まるで磁石や斥力みたいに、空間そのものに拒絶されたように不動のパンチ力を受け止め、拡散させていってしまった。
不動は“未知の現象”の前に、気づけば怒りが治まっていた。本能的に怒りを通り越し、冷静になったのだ。これがもしも相手してるのが敵だったら、尚更スター流のヒーローには必須な事だ。
不動はゆっくりと拳を戻しーー

「ーーおいガキ、一体何をした」

「まったく......人にものを聞く態度ですか、それは」

ソルも拳を下げた。
そして不動にはーーソルの身体を全て覆って庇える程の、半透明の巨大な“機械の手”がうっすらと見え始めていた。
更に、その後方にいいる、その機械の手の主らしき、半透明の未知の存在も徐々に見えてきた。背丈は10メートル前後だろうか、日輪のように輝く双眼が、不動を見下ろしていた。
以前とは全く違う、未知のヴァルキュリアの能力を前に、不動の怒りは鎮火した。


『少し、話しますよ』


不動が落ち着いたのを確認し、ソルは無線機を取り出すと、プレストークを押した。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.82 )
日時: 2019/01/14 13:12
名前: モンブラン博士 (ID: iXCFcTGk)

不動の怒りが鎮火するほどのソルの新しい能力、気になります!もしかすると何かを召喚する能力でしょうか?

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.83 )
日時: 2019/01/19 16:50
名前: 名無しのアキラ (ID: LQgs.WAU)

上空からのフレスヴェルグの攻撃が増す中、その下では、ソルが はぐれファランクスを使って、味方へ一通り無線機を渡し終えたところだった。弾幕から身を隠しつつ無線機だけで行う短時間の作戦会議というのは、非常に環境が悪い。しかし全く違う異世界からそれぞれ終結した戦士達へまとめて情報を伝達する手段はこれぐらいしかない。

一同の無線機に、同時に少女の声が入った。

『各位、聞こえます? こちら“ヴァルキュリア・ソル”。時間がないので、端的に我々がこれより実施する“フレスヴェルグ攻略作戦”を説明します』





旧市街の地形に陰に作られた野営地にもソルの無線は届いていた。
仮設司令所のテント内ではレジスタンスのリーダー、ラヴォンとその副長、アミラが無線の音声を聞いていた。机の上の無線機本体の音量を上げ、耳を傾ける。

「本当にやるつもりなんでしょうか......」

「やるしかねえだろう、俺達も全力で支援するぞ!」

ラヴォンが無線機を片手に立ち上がると、アミラも「はい!」と最高に威勢のいい声で返した。





崩れた大橋の下にも、レジスタンスと異界人のメンバーが集まっていた。はぐれファランクスが持ってきた無線機からの音声に一同は注目する。

『作戦の概要を説明します』

「ヴァルキュリアの声ですな」

「ようやく動き出したのかい。慎重にやるのはいいんだけど、こっちの負担も少しは考えて欲しいね」

白い軍服に身を包んだ異界人のヒーロー、シャドウは、優秀な策士でもある。彼はあまりヴァルキュリアには好感を持ってはいないものの、彼女達が繰り出す作戦や仕掛けの数々は、正に敵ながらあっぱれであった。今回ばかりはシャドウも熱心にヴァルキュリアへ肩入れする意気込みだ。
その隣には魔術で栄えるアンダルシア地方からやってきた魔術師、リクセスも片膝をついて息を整えていた。ついさっきまで散々、上空に鎮座するフレスヴェルグへ魔法による対空砲火に数々を撃ちまくってきた後だ。最高クラスの魔術師である彼も今回ばかりは少し疲れたようだ。

『旧市街上空の未確認兵器“フレスヴェルグ”を撃墜します。皆さんの活躍により、敵機動兵器の“死角”が分かってきました』

「ーー“弱点”があるのか?」

スター流の創始者、スターもその無線をシャドウ達の後ろで聞いていた。最初は驚きと希望に満ちた表情を浮かべるが、それはすぐに怪訝の表情へと移る。そんな簡単に事は運ばない。普段は前線へは出てこない彼も、この一大事を前に動かないわけにはいかなかったのだ。





塔の影に身を隠す、天空の王国“エンジェリカ”からやってきた天使のエリアスと、とある大災害により滅んだ亡国“ウィンチェバル”の王族の少女グラエキア。そしてヴァルキュリアのファランクスの3人も、無線の音声を聞いていた。

『まず奴の主兵装と思われるレーザー砲ですが、あの手のものは指向性のエネルギー兵器である以上、必ず“射角”が存在します。見たところ正面90度の角度が限界なのでしょう。
その範囲に入らなければ、あれが当たることはありません』

「ううー相変わらず難しいお話をしますわね、貴方方ヴァルキュリアは......つまりどういう事なんです?」

「まあ要は、“射角に入らなければ、如何なる攻撃も絶対に当たらない”訳やな」

苦い物を食べさせられたような表情をしていたグラエキアも、ファランクスの言葉でスッキリしたようで「なるほど」と感心する。
どんな威力の攻撃であれ、当たらなければ意味はない。そしてそれを実現するには、敵の武器や能力の射程距離と範囲を知る必要がある。

『そして奴の事を色々“スキャン”してみたところ、恐らく体内のどこかに“コア”に該当する器官があるかと思われます』

「そこを破壊すれば、奴も機能を停止すると」

「せやな」

エリアスの問いにファランクスが即答する。
そこへ無線へ割って入ってくる人物がいた。

『ちょっとよろしいかな、ソル殿』

男性の声、少し高く、どこか他人を小馬鹿にしたような人だった。

『ーーシャドウさんですか、どうぞ』

『その“コア”、即ち“弱点”があるという確かな根拠は勿論あるんでしょうなあ?もしも無ければ、如何なる策であれ事実上の特攻になってしいますぞ』

『いや、あるに決まってるでしょ』

少しカチンと来たのか、突き返すように応答するソル。

『奴の身体をスキャンした所、エネルギー兵器や自律兵器を使用する際、体内外の温度や放射線量等に急激な変化が確認できます。しかしその一方で全く温度の変化のない部位もある事から、明らかに体内にエネルギーを生成する器官があるはず。というか、無ければこれだけのレーザーを撃てません』

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.84 )
日時: 2019/01/19 23:08
名前: 名無しのアキラ (ID: bbmJKeqw)

『それでは本題に戻りますが、奴の行動パターンから弱点を推測してみたところ、最もその可能性が高い部位が【頭部】周辺です。
我々ヴァルキュリア部隊はそこへ至近距離からの大火力を撃ち込み、これを撃破します』

「ーー!? それって......事実上の特攻みたいなものじゃないですか! 私とヨハネスさんやエリアスさんですら近づけないんですよ!」

「それに、君たちヴァルキュリアは一部を除けば飛行能力は無いはずだし、足場のない場所でどうやって戦うつもりだい?」

無線を聞いていた美琴とヨハネスは、ソルの作戦に早速異議を唱えていた。

『ご安心を、その為にちゃんとこちらも【切り札】を用意してあります。それにーー』

ソルは少し間を置いてから、


『ちょうど“でっかい足場”が、上に浮いてるじゃないですかー』


ソルの「踏んづけてやりましょう」という言葉に、一同は顔を上げた。その視線の向こうには、空を覆うように鎮座する、フレスヴェルグの本体が浮かんでいた。



「馬鹿げた話だな......付き合いきれない、というか俺の身が持たん......」

「まあ確かにさすが“狂人共”のアイデアではあるな、しかし......」

ソルの立案した【フレスヴェルグの上に乗る】という作戦に、アンダルシアの魔術師の1人である少年ヴェルゼは真っ青になっていた。只でさえとんでもない化け物に更に近づき、しかも上に乗ってそれ自体を足場にして戦うとは......聞いただけでも生きた心地がしない。
しかし、その一方でスター流のヒーロー、シャドウは、ソルの作戦の驚異的な【合理性】、そして【危険性】を誰よりも理解していた。
「相手の武器の射角に入らない」「足場を確保する」そして「敵に接敵してゼロ距離射撃を食らわす」......これらを全てクリアできる策こそ『敵の上に乗る』事なのだ。全てが合致している、これ以上にシンプルで合理的な策はない。
しかし......問題も多かった。

「だが、私も物理演算には詳しくないが、ヴァルキュリアの連中は“相対速度”を考えているのか? 生身で飛行するジャンボジェット機に突っ込むようなものだぞ......」

シャドウが不安を漏らした。
止まっているものならまだしも、フレスヴェルグはその巨体で軽々と中を飛ぶ敵だ。もしも敵がこちらへ向かってこようものなら、着地する前にぶつかられて粉々だ。
問題はこれだけじゃない。

『ですが、相手も“上に乗られる”事ぐらいは想定してる可能性が高いです。接敵された際の何かしらの“防御機構”があるかもしれません』

しかし、突っ込むしかない。今はそれが最善の策だった。





腰を上げ、大地に立つグラエキア。艶のある美しい黒髪を風になびかせるその姿は、威風堂々とした王族そのものだった。
その傍に立つは、白い衣装に身を包む天使のエリアスだ。その翼は傷つき、煤に汚れてもその輝きを失ってはいなかった。
その横に並ぶ、奇妙な箱型の頭部アーマーを装備したヴァルキュリア、ファランクスだ。

そして3人が歩き出そうとした時、グラエキアは視界の隅に、ありもしない筈のものを見た。

それは巨大な半透明の機械の“足”だった。そしてそれを辿っていくとーーこちらを見下ろす日輪のように輝く瞳があった。背丈は10メートルほど、半透明の巨大な機械の巨人が、まるで霞のようにぼんやりと静かに立っているのだ。

「なあー!?」

いつも優雅なグラエキアも、今回ばかりは流石に腰を抜かさん勢いで飛び退いた。
それにエリアスもすぐさまグラエキアを庇うように振り返り、同じくその巨人が見えたのか、聖気をすぐに練って作り出した槍の矛先を向けた。


「ーー? なんや、【見えてる】んか」


ファランクスはまるで前からその存在を知ってるようにボソリと呟いた。

「ファランクス!これは!?」

指差すグラエキアに、半透明の機械の巨人もファランクスも平然としていた。


「まあ、新しい“味方”やで。そんでソルが言ってた例の【切り札】や。ほんま、わけわからん奴だけど」


キィィィン......


その時、グラエキアとエリアスに耳鳴りのような音が聞こえる。
2人はすぐさま、それも本能的に察したのだ。
それが、こいつの「言葉」なのだとーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.85 )
日時: 2019/01/20 18:12
名前: 名無しのアキラ (ID: ze5eguY6)

モンブランさん

すいません返信見逃しました・・・
ヴァルキュリアの新能力はドラグーンと呼ばれるロボットを召喚する事ですね!
ただドラグーンは普段は姿が見えず、また触れることもできないという特徴を持ってるので、最初は皆んなその存在に気づかない感じです

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.86 )
日時: 2019/01/21 19:50
名前: 名無しのアキラ (ID: CkghKSHM)

ヴァルキュリア・ソルは無線機のプレストークから手を離すと立ち上がり、空を見上げる。そして夜空を覆う黒煙の中に鎮座する巨大な影、上位者フレスヴェルグを睨みつけた。
彼女の後ろには、異世界からやってきたスター流のヒーロー、不動仁王がその巨体を揺らしながら歩いてくる。
ソルは再びプレストークに手をかける。

「こちらヴァルキュリア・ソルより各機へ、無線の精度テストを行う。まずは“ファランクス”」

『こちらファランクス、感度良好。問題ないで』

少し気が抜けたようにおっとりした声はファランクス。ヴァルキュリア部隊の壁役の少女だ。

「了解、次“フェーたん”」

『はいはーい!こちらフェイルノート。感度良好っすよ、センパイ!』

いつもテンションが高い声のがフェイルノートだ。スナイパーの少女である。

「了解、次“アイギス」

『こちらヴァルキュリア・アイギス!感度良好であります!』

元気で真面目そうな声はアイギスだ。重火器担当の少女だ。

「了解、では最後に......“イクリプス”聞こえる?」

『こちらイクリプス、感度良好です。いつでもよろしくてよ』

「了解......テストを終わります......」

ソルは暫く沈黙した後、一度離したプレストークを再度握りーー


「ーー“ヴァルキュリア部隊”、出撃!」


『了解!』


ソルと不動の2人は、ヴァルキュリア等の返事を聞き届けると、暫く並んだ後、駆け出していった。



一陣の風の後、遠方から飛来する流星群の如き輝きの群れ。その大群が上空に鎮座するフレスヴェルグに嵐の如く襲いかかる。
正に燃える空。上空の空間を焼き尽くしていく。
その光景を連合軍所属のヴァルキュリアの少女、ユキカゼは見上げた。

「巡航ミサイル! まだ生き残っている部隊がいたのか!」

絶え間なく投げ槍の如き鋭く飛んでくるミサイルの雨、爆炎の中にフレスヴェルグは飲まれていくが......



遥か12000mの上空には、生き残ったヴァルキュリアの女性、ターミア指揮の元、空中艦隊がフレスヴェルグに向けて艦砲射撃を撃ち続けていた。
フラッグシップのブリッジでは、本来はヴァルキュリア・ソルがいる場所に代わりにターミアが立ち、各艦と連携して指揮を執っていた。

「残弾の事は考えないで撃ち続けなさい! この戦いには世界の運命がかかってるんです!」

「ターミア司令! レーダーに多数の影有り!」

「こちらも報告! 前方の無人偵察機、撃墜されました!」

ブリッジに響く警報、艦隊に向かってくる多数の影。それは羽の生えた上位者の眷属達だった。龍にも似た怪物の群れが、艦隊と接敵しつつあった。前方に飛ばしていた無人偵察機が破壊され、戦闘は避けられないと思われる。

「来ましたわね、全艦CIWS展開! 並びに白兵戦用意!」

ターミアは声を張り上げて指示を出す。各艦隊の砲塔が回り始め、一斉に火を吹き始めた。弾幕が怪物達を薙ぎ払い、空一面が爆炎に染まる。

「頼みますわよ、“みんな”!」

『了解!』

対空砲火を擦り抜けた怪物のうちの1匹が、ターミアが乗るフラッグシップの甲板へ落ちてきたーー
が、しかし、すぐに何かの爆発によって大きく吹っ飛ばされ、更に何かに貫かれて真っ二つにされる。
そして甲板の上には、2人のヴァルキュリアの姿があった。黒いジャケットスーツ型のアーマーに身を包んだ長身の男性ヴァルキュリア、バルディと、両手に槍を構える人形にように美しい少女型ヴァルキュリアのカッシウスだ。

「来いよ、化け物ども! こっちは腐るほど弾薬が余ってるぜ!」

「各機、“水際防衛”を意識して! 敵が着地する場所を狙うのよ!」

バルディは連装グレネードランチャーを構え、カッシウスは槍を持って甲板を駆けながら前線で指揮を取っていた。
更に怪物がもう1匹甲板に落ちてくる、しかしそれもすぐに何者の斬撃に倒れる。
そのロングソードを手にするのはーーなんと小柄で周りから“弱いヴァルキュリア”と散々馬鹿にされてきた少女のレティだったのだ。
彼女は上手く他の兵士と協力し、甲板上の起伏や武装も上手く使いながら、自分よりも大きな怪物を倒して見せたのだ。

「例え戦う相手が私でも、ここはソルさんが作った要塞。しかも私だって、“ヴァルキュリア”なんだから。陣地の足場があれば、そう簡単に負けはない!」

甲冑型のアーマーのバイザーを外しながら、レティは呟いた。
彼女は昔よりも成長し、更に気が強く勝気が芽生えてきた。もしかしたら彼女も、いつか凄い能力に芽生える日が訪れるかもしれない。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.87 )
日時: 2019/01/21 20:46
名前: 名無しのアキラ (ID: CkghKSHM)

ヴァルハラ艦隊の艦砲射撃が始まり、エリアス達もフレスヴェルグに元へ移動しつつあった。
絶え間ない空中の爆発により、空からは大量の粉塵が落ちてきている。正に空で山火事が起きてるような光景。
グラエキアはそれを振り払いながら、空を見る。

「凄い......これだけの攻撃を行える艦隊がまだ残ってたなんて」

「せやな、でもこれだけじゃないみたいやで」

ファランクスの言葉の直後、今度は別の方角から複数の飛来物あり。フレスヴェルグの上に降りかかった。
と、同時にファランクスの無線に音声の数々が入ってきた。

『こちら“米連合軍”! これより旧市街上空の敵影に対し、支援砲撃を開始する! ヴァルキュリア、並びに異界人の突入の合図を待つ!巻き込まれるなよ!』

『同じく、こちら“ユーロ連合軍”。私たちも作戦に参加します! 無人機出撃! 地中貫通弾、投下開始します!』

『こちら“アジア連合軍”だ! 我々も海軍の名に恥じぬ艦砲射撃で支援するぞ! 異界人と共に勝利を!』

それは、なんと今までヴァルキュリアと敵対していた人間達の連合軍だった。各国から終結した連合軍が、今は異界人と、そしてヴァルキュリアと共に戦ってくれていたのだ。
人間とヴァルキュリアと異界人、種族も主義も主張も違うもの達が、今この瞬間は世界を救うために共に戦っていたのだ。

「頼もしいですね、私たちも急ぎましょう!」

「ええ、エリアス!」

グラエキアはエリアスに手を引かれて空を舞う。それにファランクスもスラスターを吹かせて続いた。



上空でも戦いは続いていた。支援砲撃を行っていたヴァルキュリアの空中艦隊はターミア指揮の元、ギリギリの所で怪物の大群を押し返していた。
甲板の白兵戦でもやられた兵士は後方に下げて休ませ、上手くローテーションをして「呼吸」を取れる間を確保していた。呼吸さえできれば、この艦隊、そしてこの船の陣形はそう簡単には崩せない。先陣を切って戦っていたカッシウス、バルディ、レティの3人も上手く死角をカバーし合いながら生き残っていた。

「無事ですか皆さん!?」

「おっすー! 応援に来たよ」

そこへ更にヴァルキュリアの女性の二人組、白銀と赤毛も合流する。冷静で指揮もできる頭のいい白銀と、男勝りでパワフルに戦う赤毛は、ヴァルキュリアの中でも名コンビとして名が知れ渡っていた。

「白銀さん!赤毛さんまで!よし、これでますます防衛線が硬くなった、この陣形なら負けはなーー」

レティが言いかけた直後、隣を航行する戦艦から火が吹き、更に木の枝のように分岐しながら光の奔流が押し寄せてくる。
ブリッジで指揮をとっていたターミアの所にまでその衝撃は伝わり、彼女もよろめいた。

「何事!?」

「フレスヴェルグからの長距離砲撃です! 3番艦航行不能、8番艦カタパルト大破!」

「そんな......100キロメートルも離れてるのに、ここまで届くの!?」

それはフレスヴェルグからの長距離レーザー砲撃だった。世界樹のように拡散するレーザーが艦隊に迫ってきていたのだ。
かなり離れてる艦隊までも射程に収めてるということは、前線で戦っている異界人や連合軍は勿論全て射程に収めているという事だった。



フレスヴェルグへ迫るソルと不動の元に、アイギスからの無線が入った。

『ソル隊長殿! ヴァルハラ艦隊がフレスヴェルグに攻撃されているであります!』

「なっ、馬鹿な!?」

ソルが顔を上げた途端、爆炎の中から再びフレスヴェルグの姿が現れ、口から雷光のように輝くレーザーを発射していた。そしてミサイルが飛んできた方角の空で、多数の火の手が上がる。
ソルは無線機を手にした。

「ヴァルハラ艦隊並びに連合軍へ! 近づきすぎないで! 特攻になりますよ!」

「おいガキ、どうやら時間がないようだな」

「......そのようですね」

想定以上のフレスヴェルグの戦力に、不動は拳を固める。
その時、丁度真下に来たソルと、フレスヴェルグの目があってしまった。フレスヴェルグは瞳にソルと不動を捉えると、周囲の自律兵器を一斉にこちらへ飛ばしてきた。

「3秒時間を稼いで!」

「俺に命令するなガキが!」

ソルは不動の陰に隠れて、不動はその拳で自律兵器のレーザーの雨を跳ね返していく。


トクン...


ソルから鼓動のような波紋が一瞬周囲へ広がった。そして瞳を閉じ、息を吐くソルーー
再び開いた瞳には、見たことのない文字の数々が流れていた。



『ドラグーン・システム エンゲージ!

来い! 【プロミネンス・ドラグーン】!」



ソルを中心に大爆発が起こり、周辺の自律兵器が消し飛ぶ。不動が振り向くと、そこには金色の輝きを纏うソルの姿があった。まるで太陽そのもの、近寄る敵を輝くほどまで熱して溶かし、しかし味方である不動の事は暖かく照らし、更に彼の傷と体力まで回復していた。
その彼女の後方には、先程の半透明の機械の巨人が、今度は確かに実態化して着地していた。白い装甲にピンクのラインが入ったデザインは、ソル本人とお揃いだった。
その機動兵器は竜人のような姿をしており、ツノと牙のある頭部や大きく張り出した肩のアーマー、鋭くそのまま武器になりそうな爪など、やや人型からはかけ離れていた。

「ガ......キ?」

不動は、「なんだそれは」と言わんばかりに、拳を構えたまま目を見開いて固まっていた。まあ無理もない、こんなの初見なら誰でもビビるだろう。


「行くぞお! ドラグーン!」


ソルがその機動兵器「ドラグーン・プロミネンス」の方に飛び乗ると、プロミネンスは彼女の掛け声に応じてスラスターを吹かせて飛び立った。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.88 )
日時: 2019/01/27 18:33
名前: 名無しのアキラ (ID: pDFvkoCA)

ソルの機動兵器“ドラグーン・プロミネンス”が飛び立った頃、エリアスとグラエキア、ファランクスの3人も、フレスヴェルグの真下付近まで接近していた。
フレスヴェルグも飽和攻撃への迎撃に夢中で、眼科のエリアス達にはまだ気づいていないようだ。正に「灯台下暗し」とはこのことか。

「さあ、行くで」

ファランクスが再びスラスターを吹かして飛ぼうと身をかがめた時だった。

「待ってくださいファランクスさん、貴方達ヴァルキュリアは、確か飛行能力はないはず。あそこまで辿り着けるんですか?」

エリアスがファランクスを心配して声をかけるが、彼女は「心配いらんで」と親指を立てた。

「うちらには、まだ“切り札”があるんや!」

するとファランクスは両手を合わせて詠唱を開始した。聞いたことのない“言葉”、その流れるような詠唱と共にファランクスを光の奔流が飲み込んだ。渦潮のような光の渦の中心からは、爆風にも似た衝撃が周囲に広がっていく。
エリアスがグラエキアを衝撃波から守る中、光の渦から巨大な影が現れた。それはグラエキアが先程見た、“半透明の巨大な機械の巨人”そのものだった。
さっき見たときはまるで蜃気楼のような、幻かと思うほどに微かに見える程度だったが、今はそれははっきりとした実体を持ち、地震のような衝撃と共に大地に立った。

背丈は役10メートルちょい、白を基調とした重装甲を身に纏い、全身に多数の武器を装備している、ゴテゴテ重武装のロボットだ。背中から伸びた複数のサブアームの先には、ファランクスのトレードマークである盾と同型のシールドが持たれていた。
各装甲には緑色のラインがペイントされており、まるでファランクスがそのまま大きくなったようなイメージのデザインだった。

「ファランクス!ーーこれ、動くんですの?」

この異世界に来て彼女にとって非現実的な光景に見慣れたグラエキアでも、目の前に現れた機械の巨人に関しては、まだまだ理解が追いつかない代物だった。
そしてそのロボットの日輪のように輝く瞳がグラエキアとエリアスを捉えると、そいつは前に屈むように二人を見下ろしてきた。
身体は機械ではあるものの、龍人のような頭部の口元では息吹のように炎がちらついており、まるで呼吸してるみたいだった。

「それだけじゃないで」

ファランクスが指差す先の、はぐれファランクス達にも異変が起きていた。ファランクス達が盾と槍でドーム状の密集陣形を組んだかと思うと、そこから更に先程の光の奔流と同じものが生まれ、中からまた別の機械の巨人が出てきた。そいつは最初に出てきたものとデザインは似ているが、こっちは軽装備でスリムなデザインのロボットだった。しかしシールドは同型のものを1つだけ装備している。

“はぐれファランクスの召喚円”とでも言うべきだろうか、それは周辺各地で次々と発生しており、その中からは更に後続のロボットが召喚され続けていた。

巨大な機兵団に囲まれ、戦場はますます慌ただしくなってくる。
フレスヴェルグがこちらに気づいたのか、向きを変えてくる。
それに対してエリアスは自慢の聖槍を、そしてグラエキアは周囲の影から能力の産物である闇の鎖を召喚した。

「ほな、行こか!」

「ええ!行きましょう!」

ファランクスはロボットの背中に飛び乗ると、それはスラスターを吹かしてフレスヴェルグへ一直線に飛び上がる。このロボットはヴァルキュリアとは違い、断続的に空を飛びまわれるようだ。
それに合わせ、はぐれファランクス達が召喚した他のロボット軍団も一斉にライフル型の武器をフレスヴェルグへ構え、攻撃の姿勢をとった。
更にそれらを追い越すように素早く飛びエリアスは、ファランクスの前に移動し、まるで先導するように槍をフレスヴェルグへ向ける。

一斉攻撃の準備が整った瞬間だった。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.89 )
日時: 2019/01/28 21:59
名前: 名無しのアキラ (ID: xTPTfHQo)

地上での攻防戦も続いていた。アンダルシアの緑衣の魔術師リクセスも体力を回復し、石畳を華麗なステップで駆け回りながら、追って来る怪物達に強烈な魔法をお見舞いしていた。
その隣では小さな背丈でメイド服を着込んだ少女、嘉元が、ヴァルキュリア化によって手に入れた両手のレーザーブレードで敵陣に風穴を開けている。

「まったく、執念な連中だねえ!」

「ほんと、僕たち人気者になっちゃったね」

背中合わせになって息を整えながら言葉を交わす2人。そしてそんな2人に1匹の化け物が飛びかかったとき、何者かが放った閃光のような斬撃と共にそれは文字通り一刀両断された。
そしてふわりと水干のような衣装を身にまとった、流れるように美しい漆黒の髪をうなじにあたりで白い紐でまとめた少年が現れた。その手には切れ味が良さそうな刀が握られている。
少年を見た瞬間、リクセスの瞳に希望の光が浮かんだ。

「時雨! 君まで召喚されていたのかい!?」

「なんだい、仲間かい?」

時雨と呼ばれた少年の事を、嘉元が見上げる。とても背丈が小さく、両手に光をまとい、更にフワフワのメイド服を着て戦う嘉元の事を気にしながらも、時雨は刀を納めながらリクセスと向き直る。

「遅くなってすまない、リクセス。ここはやたらしぶとい敵が多いな。それにどいつもこいつも“変な奴”ばかりじゃないか。
さっさと帰りたい所だが......聞いた話だと、“上”にいるあの“デカい鳥”を撃ち墜とさなきゃ帰れないんだろう?」

『そうっすよー!』

時雨の問いに、空から稲妻の如く落ちて来る1人の少女。ピンクのツインテールと青い帽子がトレードマークのヴァルキュリア、フェイルノートだ。相変わらず挑戦的な露出の多いアーマーを着ており、彼女のルックスも相まって、男子には目のやりどころに困るような装備だ。
彼女はフワフワと宙を浮くボード状の武装に波乗りが如く乗っている。
時雨にとって彼女は代表的な“変な奴”の1人であるが、警戒する彼にお構いなくフェイルノートはボードから降りるとぴょんぴょんと近づいていく。

「うわー! 新しい異世界の男の子じゃないっすかー! おっす!ボク、フェーたん!」

「おい近いぞ......リクセス、こいつは?」

「まあ、一応味方だよ。“今は”」

リクセスの言葉があっても、時雨は警戒心を抱き続けていた。
するとフェイルノートが先程降りたボードに目を向けると、それが勝手にこちらに飛んできた。それに再び飛び乗ると、今度はフェイルノートが嘉元へ手を伸ばす。

「嘉元ちゃん、このボードの先端に乗るっすよ! 嘉元ちゃんならボクと一緒に乗せて飛べるっす!」

「え、ええー? ここに乗るのかい? 大丈夫かい、あんた?」

そう言いながらも嘉元はフェイルノートのボードの先端にすぐに飛び乗った。嘉元はヴァルキュリア化の影響で、スラスターによる移動も行える為、落下死の心配はないのだ。いざとなれば自分で飛び降りで逃げることもできる為、普通の人間よりもそういう事への心配は少ないのだろう。

「オッケー! ではではー、“フェイルノート急行フレスヴェルグ”行き、発車しまーす!」

「あんたねえーー」

嘉元が言いかけた途端、フェイルノートは彼女を乗せたまま時雨の視界から消えた。否、まるで打ち上げ花火の如く一瞬で上空まで上昇していったのだ。

「ちょー!? は、速すぎるわー! あんた後で覚えておきなー!」

押し付けられるGで顔面を変形させながらも、必死に姿勢を低くしつつボードにしがみつく嘉元。その姿を唖然と見上げる時雨とリクセス。

「ーーなんなんだ、あいつらは......それで、次はどうするんだ?」

「そうだね......とりあえず、あの上のいるフレスヴェルグって奴の上に皆んなで乗ってしまおうっていう作戦を今やってるんだけど」

「なんだって? 冗談にしか聞こえないぞ、それは。僕はごめんだよ......」

時雨は上空を見上げる。空では多数の光の軌跡が飛び回り、フレスヴェルグと激戦を繰り広げていた。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.90 )
日時: 2019/01/28 22:48
名前: 名無しのアキラ (ID: xTPTfHQo)

夜空を滑空し、上空のフレスヴェルグへ迫る嘉元とフェイルノートの前に、無数の自律兵器が進路を妨害して来る。三角や丸といったパネル状の自律兵器が集団で襲いかかってくると、その空間にはまるで動く幾何学模様が浮かび上がるようでとても不気味かつ怖い。
2人は一緒に同じボード状の飛行ユニットの上に乗っていた。背丈の小さい嘉元はボードの先端に、そしてフェイルノートはボードの中心でうまくバランスをとりながら操縦をしている。

「来るよ!」

嘉元が両手のレーザーブレードを展開する。

「オッケー! じゃあ僕もババーンと“必殺技”を使っちゃうっすよ!」

そしてフェイルノートは両手を合わせて何やら不思議な言葉の詠唱を挟む。


『さあ出番っすよ! 召喚!“ドラグーン・シリウス”!」


刹那、フェイルノートの後ろから多数の光が彗星の如く降り注ぎ、目前の自律兵器達のカーテンへ複数の風穴を開けて蹴散らした。
嘉元は思わず振り向くと、フェイルノートの後方に、空間の歪みの中から光と共に巨大なロボットが現れた。白を基調とした装甲、そしてまるで何かの紋章をそのままロボットにしたように象徴的なシルエット。白地に青とピンクのライン模様が描かれ、その龍人のような頭部の先端には星型のパーツが付いている。
ロボットは嘉元とフェイルノートと並行して飛びながら、両腕部に組み込まれたエネルギー兵器を発射しまくって、援護するように周りの自律兵器を蹴散らしていく。

「これは......へえー、あんた達もやるようになったじゃないさ」

最初は驚いていた嘉元だが、すぐにこのロボットがフェイルノートによって召喚したものなのだと理解すると、すぐに正面に向き直り、近づいて来る自律兵器をその両手でぶった斬った。

「へへっ、それほどでもー」

フェイルノートはウィンクして舌を出しながら返すと、彼女も両手をピストルの形にして構えると、その先端からレーザーを照射して敵を撃ち落とし始める。光をまとったフェイルノートの両手は、腕部と一体型のエネルギー兵器でもあるのだ。
嘉元とフェイルノートによる華麗なコンビネーションによる迎撃と波乗り技術、そして召喚したロボット「ドラグーン・シリウス」の連携により、ついに自律兵器のカーテンを超え、今まで辿り着けなかったフレスヴェルグを目前へ捉えた。
嘉元とフレスヴェルグの目が合う。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.91 )
日時: 2019/01/29 13:52
名前: 名無しのアキラ (ID: xTPTfHQo)

一通り地上に敵を蹴散らして活路を見出したスター流のメンバーも、地上からフレスヴェルグへ近づきつつあった。
先頭を駆けるのは白い忍者装束の少女美琴と、ハンチング帽とインバネスコートに身を包む金髪ロングの少年ヨハネスだ。その後ろからはコック姿の大男カイザーと、白い軍服の中年男性シャドウが続く。
周辺ではヴァルキュリア・ファランクスが大量に召喚した、背丈が10メートルほどのロボット達が盾を構えながらライフル型の実弾兵器で対空砲火を続けていた。
しかし、上空から降り注ぐレーザーの前に、ロボット達も次々とチーズのように溶けていく。

「ロボット達がやられてるな......所詮は“はぐれファランクス”達が召喚したものだ、いくらパワーアップした所で、あのフレスヴェルグ相手じゃ厳しいか......」

ヨハネスが横目でロボット達を見ながら呟く。
そして更に上空からは自律兵器の群れが地上へ押し寄せてきた。

「また来たか! 全員構えーー」

カイザーが言いかけた時だった、弾丸状に固められた複数の巨大なエネルギー弾が空で炸裂し、自律兵器を撃ち落としてくれた。
ーー手前の塔の上佇む黒い人影、それは黒いスーツ姿に帽子を被った、青白い肌の男性だった。そいつは美琴達の手前に降りて来ると、その赤い瞳向ける。

「よう、ちびっ子ども」

「目黒さん!助けてくれたんですか!?」

目黒と呼ばれた男は「まあな」と言いつつ、後ろにいたシャドウの事をちらりと見て笑みを浮かべる。

「成る程、君のはからいかシャドウ」

「そうだぜ、聞いた話じゃ、“アレ”を倒すには銃兵が必要みたいじゃねーか。ヴァルキュリアにも1匹“強いスナイパー”がいるようだが、そいつだけに任せておくのも心配なんでな」

カイザーの問いに、シャドウの代わりに目黒が素早く答えた。シャドウは「当然だ」と言わんばかりに、ふんと軽く鼻を鳴らす。
目黒は「援護してやるよ!行け!」と言いながら、ホルスターからエネルギー銃を抜くと再び空へ発砲し始めた。

「目黒さん、ありがとうございます!」

「感謝する!」

美琴とカイザーがその援護射撃の元、礼を言い残して駆け抜けていく。
そして目黒は素早いステップで敵の攻撃を躱しながら、移動しながらも正確な射撃で敵自律兵器を撃ち落としていく。
しかし、目黒は自身の銃の異変に気付いた。見れば、弾切れが起きぬ筈の銃のエネルギーゲージの残量がゼロに近づいていた。
彼自身もその原因に心当たりがあった。

「ちっ、流石に“恨み”エネルギーが無いと弾切れが起きるか!」

間合いを詰めてきた自律兵器を、背中から生やした蝙蝠のような翼の推力で飛び上がって躱す目黒。
そして協会の屋根まで飛び、再び銃を構えようとした時、空から小さなプロペラ音と共に、一機の「ドローン」が降りてきた。下にはプラスチック製のコンテナが付いていた。

「あ?なんだこりゃ、開けろってか?」

目黒は少し外からコンテナを少し調べた後、その蓋を開けてみる。すると中には、ああなんと奇妙なことか、1つしかない筈の彼の“エネルギー銃”にそっくりなものがもう一つ入っているのだ。
しかも形だけじゃない、部品一つ一つの素材や内部の構造まで完全に模倣されており、エネルギーがしっかり充填されていたのだ。
流石にそれには目黒も一瞬思考が止まるが、直ぐにそれを手に取ると向かってきた自律兵器達へ撃ちまくった。

「おいおい!気持ちわりーなあ!なんで“俺の銃”がもう一つあるんだあ!?」

目黒はその時、初めて“二丁拳銃”のスタイルをとっていた。単純に火力は2倍、あっという間に敵群れを片付ける。
そして改めて“偽物の”自分のエネルギー銃を見つめる。

「ほえー、どうやったのか知らねーが、まあまあ使えるじゃねーか。ただ威力が低いな......」

『ーーあのー、聞こえるでありますかー? そこの方、大丈夫でありますかー?』

その時、コンテナの中からの声に目黒は気づく。見てみると、中に無線機の本体が一つ入っていたのだ。
目黒はとりあえずそれを手にとってプレストークを押してみる。

「お前は?」

『こちら“ヴァルキュリア・アイギス”、“支援物資”を投下したであります!』

「お前ヴァルキュリアなのか? この銃もお前の仕業か? どうやったんだ?」

目黒の問いに、声の主アイギスの返事は、想像以上に短かった。

『銃でありますか? “今スキャンした物をそのまま複製した”だけでありますが、何か不具合でもあったでありますか?』

「なんだと? 随分気持ち悪い能力だな、今どこにいるんだお前?」

その時、目黒は空の一角に異変を見つける。微かだが空の一角が歪んでおり、そこに何か居るようなのだ。
目を凝らしてみると、それは戦艦のような形状をしていた。

『貴方の上空、約500メートルを巡航中であります!』

アイギスから威勢のいい返事がながれてきた。

Re: 【朗報】スレ主FGO微課金アカで圧勝(^O^) ( No.93 )
日時: 2019/01/30 20:44
名前: モンブラン博士 (ID: 0F.jRae2)

ここで目黒の参戦とは鳥肌がとまりません!しかも2丁流で戦うと!
これは燃えますね!シャドウは顔が広いのでこういう協力支援には頼もしいです。
そしてスターの姿が見当たりませんが、まさかこの戦場のど真ん中で優雅にお茶とかを飲んでいませんよね?でも彼のことならあり得たり……闇野さんを呼びに行ったのかなーと密かに期待しています。

Re: 【朗報】スレ主FGO微課金アカで圧勝(^O^) ( No.94 )
日時: 2019/01/30 20:52
名前: 名無しのアキラ (ID: sgbs9yII)

モンブランさん


こんばんは〜^_^

まあ銃兵がもう1人居てくれれば頼もしいと思ったので、出てきてもらいましたw
余裕があればもう少し皆さんのキャラを上手くセパレートさせながら登場させて活躍させようとも思っており、現在頑張ってますw
人数調整の関係でスターさんにはちょっと後方へ下がっていって貰いましたが、闇野を呼びに行ったってことにしてもいいですよ!
それか何の前触れも無く突然闇野が現れる、って流れでもいいです! モンブランさんの好きな方にしましょう!

Re: 【朗報】スレ主FGO微課金アカで圧勝(^O^) ( No.95 )
日時: 2019/01/30 20:52
名前: モンブラン博士 (ID: 0F.jRae2)

メンバーがズタボロにやられて、ヴァルキュリア達も「もうダメだ。勝てない!」と諦めるくらいのピンチの時に颯爽と闇野さんが現れて逆転!からの「どうしてあなた様がここに?」の不動かシャドウかカイザーの問いに「スターさんにお願いされたから」のやりとりがあると最高に嬉しいです。
スターの株も上がりますし!

Re: 【朗報】スレ主FGO微課金アカで圧勝(^O^) ( No.96 )
日時: 2019/01/30 20:54
名前: 名無しのアキラ (ID: sgbs9yII)

分かりました〜、なるべくその流れを汲むように持っていきます(^O^)

他の方も何かリクエストとかあればどうぞ〜w

Re: 【朗報】スレ主FGO微課金アカで圧勝(^O^) ( No.97 )
日時: 2019/01/31 16:18
名前: 名無しのアキラ (ID: tQKrJcQM)

先陣を切って機動兵器「ドラグーン・プロミネンス」を召喚し、フレスヴェルグへ向けて飛び出したソル。
プロミネンスには携行火器こそ無いものの、腕部の五指に組み込まれたハイレーザーライフルがある。五本の指から放たれるレーザーのシャワーで、空を覆い尽くすほどの数もある自律兵器の群れを一掃しながら、本体との距離を詰め続ける。

(あと300!)

プロミネンスの肩の上に乗り、フレスヴェルグ本体との距離を測定し続けるソル。そこへプロミネンスの迎撃を掻い潜った一機の自律兵器がソルへ向かって来る。
ソルはすぐに自身のレーザーブレードでそれをなぐ払うが、相打ち覚悟で撃たれた自律兵器のレーザーが、彼女の頭部を掠った。頭部から全身へ伝わる衝撃。ソルは一瞬倒れそうになるも、気合いで持ちこたえ、頭部パーツによって厳重に守られている脳内のリカバリーシステムを起動させた。

「くっ......あと200!」

自律兵器の攻撃が激しさを増す。破壊した自律兵器の破片が全身を擦り、出血する。ソルは姿勢を低くしながら自身のレーザーブレードの出力を調整し、レーザーライフルとしてレーザーを照射しながら自衛に努める。
プロミネンス本体も敵の迎撃で装甲が壊れてきた。各所の装甲が破壊され、内部のフレームが剥き出しになってくる。
それでも距離は100mを切った。ここまで来れば後は勢い任せで突っ込める、そう確信したソルの腹部を、飛んできた自律兵器の一機が大きく抉っていった。

「ぐはっ!」

プロミネンスの肩の上で仰向けに押し倒されるソル。その時、改めて「無茶な作戦だった......」と彼女は後悔するも、もう後戻りはできない。自分達ヴァルキュリアと人間達が始めてしまった戦争を今ここで終わらせる、かけがえのない仲間や明日に訪れる平和の事を思い、ソルは震える足で立ち上がった。


「行けえ!ドラグーン!」


ソルの咆哮に呼応したのか、プロミネンスはスラスターの出力を全開にした。周囲の群がる自律兵器を吹き飛ばし、弾丸の如くフレスヴェルグへ一直線へ迫った。

(よし!距離、30、20、ゼーー)

直後、ソルの身体は放り出され、何かに強く叩きつけられた。回る視界、全身を貫く激痛。それは痛みを通り過ぎ、もはや感覚がなくなるレベルだった。暗転していく風景。
ソルは思う「まずい、早く起き上がらなければ!」全身の身体で動かせそうな部位を探る。視界の端に映る右手の五指、力を入れれば自身の意思通りにしっかり動いた。そして脚に力入れて立ち上がると、見慣れた人物の姿があった。


「立てえ!クソガキ!」


それは先程まで自分の後ろから付いてきていた不動仁王だった。
気づけば自分は大理石のように冷たく、そして半透明な地面の上に倒れていた。その後方には、地面に突っ込んでうつ伏せに倒れる、我が愛機プロミネンス・ドラグーンの姿もあった。
そう、彼女達はフレスヴェルグの上に「降下」する事に成功したのである。
ソルと不動が落ちたのはフレスヴェルグの右翼の上だった。それを辿ると、山のように大きなフレスヴェルグの頭が見えた。


『!』


フレスヴェルグが今までにない程素早くソル達へ頭を向ける。まるで慌てているようだ。
そして大きく翼を羽ばたかせ、突風を起こしてソル達を振り落とそうとした。

「うわっ!」

ソルの身体は一瞬中に舞い上がるものの、すぐにアーマーのスラスターを吹かせて再び翼の上に取り付いた。

「大人しく、しろ!」

ソルの意思を読み取ったかのように、プロミネンスが動き出して起き上がる。そしてフレスヴェルグへ向けて両腕部を射出した。プロミネンスの両腕部は射出後、自在の素早く空を飛び回り、五指のレーザライフルを連続でフレスヴェルグの顔面に叩き込んだ。今までにない至近距離からの砲撃に大爆発が上がる。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.98 )
日時: 2019/02/02 20:30
名前: 名無しのアキラ (ID: aB0qg6Yc)

ヴァルキュリア・ソルと不動仁王が先陣してフレスヴェルグの羽の上に張り付いた頃、既に複数の空の軌跡が追うように防御を突破して迫りつつあった。
そのうちの一つ、流れ星のように輝かしく、しかし蝶のように煌びやかに舞いながら空を駆ける2人がいた。2人で同じボードの上に立ち、並みに乗るように滑空する嘉元とフェイルノート。嘉元はボードの先端で敵をレーザーブレードで斬り落とし、フェイルノートが腕部一体型のレーザーライフルで対空砲火をしながら舵をとる。

『いっけえ!』

吠える嘉元とフェイルノート。
そしてその後方から追いかけるように空を飛ぶ巨大ロボット「ドラグーン・シリウス」の強力なハイレーザーライフルの援護射撃によって邪魔な自律兵器を薙ぎ払い、彼女達もついにフレスヴェルグへの上陸に成功した。

「張り付き成功ー!」

「さあて、ここからどうしたもんかね......」

フェイルノートが「立ち止まったら蜂の巣っすよ!」という掛け声に、嘉元もすぐにフレスヴェルグの上を走り出す。2人の動きに合わせて、ドラグーンもホバー移動を開始した。

『ショット!』

フェイルノートはドラグーン・シリウスの肩の上に飛び乗って手で標準を合わせ、シリウスが右腕部のハイレーザーライフルをフレスヴェルグの顔面に発射した。巨大な光の柱がフレスヴェルグに命中し、その有り余るエネルギーは爆発となって衝撃波を発生させる。その衝撃でフレスヴェルグの頭が大きく仰け反る。
嘉元とフェイルノートが降りたのは、ソル達とは反対側の翼の上だ。



2機のヴァルキュリア、そして2人の異界人に張り付かれ、以前よりも迎撃力が落ちていた。
それをチャンスに、今度は美琴とヨハネスが再び正面からフレスヴェルグへ迫る。更にカイザーとシャドウもそれぞれ左右から挟み込むように迫った。
そして更に加速し、1人飛び抜けて来た美琴が大きく拳を振りかざした。彼女の右手の拳は光を放つ程に熱を帯び、周囲一面に黄金のオーラのカーテンをオーロラのようにはためかせる。

『太陽の拳!』

右手に集中したエネルギーをそのままフレスヴェルグの頭にぶつける。下から突っ込んできた美琴のパンチは、丁度フレスヴェルグの下クチバシへアッパーカットの形で綺麗に入った。最大火力のエネルギーはフレスヴェルグの巨大な頭部を飲み込み、光の柱となって空へ伸びていく。

爆炎が収まり燻る黒煙の中から、フレスヴェルグの頭部が現れる。半透明だった身体の上半身の表面はあまりの熱に蒸発していくドライアイスのように形状が崩れてきている。
しかし表面を焼き尽くしても尚、フレスヴェルグの動きは止まらない。丁度目と鼻の先に浮いている美琴は格好のいい的だった。
口を開き、すぐさまレーザーを発射しようとする。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.99 )
日時: 2019/02/02 22:04
名前: 名無しのアキラ (ID: aB0qg6Yc)

輝くフレスヴェルグの口内、そして丁度その目の前で硬直してしまった美琴。レーザをまともに照射されれば、如何なる能力者でも消し炭と化してしまうだろうが、その攻撃が放たれる事は無かった。
上空から降り注ぐ大量のミサイルが、フレスヴェルグを押し戻す。
美琴が空を見上げると、そこには空間が歪んでる箇所が一つあった。
すぐさま周辺の自律兵器がそこへ一斉にレーザーによる迎撃射撃を開始する。
しかしそのレーザーの雨はそこまで届かない。届く前に屈折してあらぬ方向へ行ってしまうのだ。

地上からその様子を見上げていた魔導師の少年リクセスは、その能力に見覚えがあった。

「あー、あの厄介な能力は......」

リクセスが呟くと、迎撃のせいで丁度透明化の機能が切れたのだろう。
空間が歪んでる場所から、大きな船首のようなものが現れる。そしてゴテゴテの武装が施された飛空艦のような兵器が現れる。

「相変わらずだねえ、“あの娘”は」

リクセスは呆れたような、けれども何処か安心したような表情で呟いた。



空中に浮かぶ飛空艦のような兵器は、大きいと言えどフレスヴェルグと比べたら大人と子供程の差がある。
その内部にある広間程の空間のある巨大なドーム状のコックピットには、送られてくる様々な情報が流れていき、更にドーム面360度全体に周囲の風景まで全て映し出されていた。
正に電脳空間どころか異世界レベルのコックピットの中央に座席に、その「少女」は居た。肩までの銀髪を頭の左右でまとめ、お馴染みのバイザー一体型の猫耳型レーダー付きの頭部アーマーを被る。小柄な体格と重装甲のアーマーにギャップがある少女、“ヴァルキュリア・アイギス”は、掛け声と共に操縦桿を傾けた。

「“アイギス号”火力支援を開始するであります!」

飛空艦型の兵器、アイギス号のミサイルカバーが一斉に開き、一気に弾幕を張る。それはまるで一個大隊による一斉射撃にも匹敵する規模だ。フレスヴェルグの全身へミサイルが襲いかかる。
しかもその一発一発の精度の尋常じゃない、全てフレスヴェルグ上の味方位置と移動ルートをを検知し、自動的に避けていた。これもアイギスとアイギス号による高い演算能力だからこそなせる技だ。
アイギス号の登場に、ソルが指示を出す。

「アイギス!“特殊弾(ブルー・バレット)”投下!」

『了解!』

アイギスは「ご武運を」とまるで祈るように呟きながら、操縦桿の発射ボタンを押す。そして機体下部のハッチが開き、これまでのミサイルとは全く違う形状のものを1発射するーー

ーー刹那、一線の光がアイギス号を貫いた。それはフレスヴェルグが咄嗟に放った、口から発射されるハイレーザーだった。火花を上げ、そして爆散していくアイギス号。
分厚いバリアーと装甲を持つアイギスの兵器ですら一撃で沈む。その威力を間近で目の当たりにした、デスタムーアも思わず声を漏らす。

「一撃......か」

その光景にソルの表情も真っ青になった。

「ばっ、な、なにやってんだこのドジが! アイギス!アイギスー!」

『ガガッ......ガッ......』

ソルが叫ぶも応答がない。デスタムーアはアイギスが最後に放った特殊弾がヴァルキュリアの切り札だとすぐに察知し、それを追いかけるように援護に移る。両手の剣による斬撃技「闇斬」で自律兵器どもを押しのけ、更に両手からは遠距離技「波動弾」を周辺の敵に投げつけながら吹き飛ばしていく。高速で飛行しながらも多彩な技で敵の群れを捌いていくデスタムーアはかなりの実力者だ。

と、その時、爆散して落ちていくアイギス号の残骸に中から、一線の光が飛び出して来た。


「まだまだあ!」


その小さくて空も自在に飛べるヴァルキュリアは、あのアイギスに他ならなかった。撃ち落とされる寸前にうまく脱出していたようだ。
そしてアイギスは不思議な呪文を唱え、両手をかざす。


「出てくるであります!自分の“ドラグーン”!」


かざした両手の前の空間で大爆発が起こり、その中から鋼鉄の巨人“ドラグーン”が現れる。白い装甲に赤いラインの模様が入ったデザインはアイギスとお揃いだ。しかし重装甲のアイギスに反して、出てきたドラグーンはやや細身、しかも武装も右手のライフルと左手のシールドぐらいしか無さそうだ。
更に彼女の起こす奇跡は止まらない。


「か・ら・の!」


更にアイギスは詠唱を積んだ。周辺の空間一面に光のホログラムによる設計図が映し出される。正に設計図の海、異世界レベルだ。その膨大な情報はアイギスの能力で全て実体化していき、召喚されたドラグーンを包み込み、2度目の光の大爆発が発生した。
一際大きな爆発の後に現れるは、さっきのアイギス号よりも一段と大きい、ドラグーンをコアユニットとする戦艦レベルの超巨大兵器だった。


『でやああ!【超(スーパー)アイギス号!】ここに爆誕でありますう!』


ドラグーン(?)「スーパーアイギス号!」の先端に立ち、高々と叫ぶアイギス。その姿にソルは「アイギス......」と安心するような、半分呆れてしまいような声を漏らし、微かに目に涙を浮かべる。
デスタムーアも思わず振り向きながら、アイギスの姿を目に捉えると「ふん」と鼻を鳴らす。

「まさか、この俺が一瞬でも“心配”してしまうとはな。我ながら足りぬ所がーー」

そして再び視線を前方に戻すと、先程自分が守っていた特殊弾に、今まさに弾幕を抜けてきた自律兵器の一機がレーザーを発射した所だった。

(なんだと!俺が見逃した!?まずい!)

デスタムーアが手を伸ばすが、そのレーザーは特殊弾先端の“ドーム状の何か”によって弾かれる。更にその特殊弾は、まるで何者かが操作してるかのように複雑な軌道を描いてフレスヴェルグへ迫った。

「“バリアー”......か? それにあの動き、まるで意思があるようだな」

そのバリアーはヴァルキュリアの物にそっくりだった。しかしヴァルキュリア以外にバリアーを持つ兵器は未だデスタムーアは見たことがない。明らかな新兵器、しかしそれならもっと導入されていてもおかしくないはずだが......そこでデスタムーアの脳裏に一つの可能が浮かぶ。
しかしそれは普通は考えられない、されどヴァルキュリアならばやりかねない策だった。

「ーー“神風”とは正にこの事か」

デスタムーアがなにかを悟るように呟いた刹那、特殊弾がフレスヴェルグに命中する寸前で先端が半分に割れ、中から“蒼いマント”をはためかせ、同じく蒼い王冠型の頭部アーマーを装備した1人のヴァルキュリアが飛び出してきたのだ。
そう、特殊弾とは名ばかりの、それは厳密には彼女をフレスヴェルグの所まで届ける使い捨ての“乗り物”のような兵器だった。
蒼いチャイナドレスに赤いヒール、美しい艶のある茶髪のツインロール、そして“その鉄壁の笑顔”は正しく、史上最強のヴァルキュリア「イクリプス」に他ならなかったのだ。


『ただの特殊弾だと思いましたか?残念♪“わたくし”ですわ......よっ!』


イクリプスは一瞬フレスヴェルグのクチバシの先端に着陸し、しばらく力を溜め込んだかと思うと、物凄い衝撃波とともにそれを拳の力に変えて放った。
最強のヴァルキュリアによる最強の正拳突き!その山のように大きな頭部を崩さんばかりの破壊力、しかし......すぐにイクリプスは理解した。フレスヴェルグの頭部には、微かにヒビが入っただけだったのだ。

たん、と軽々と宙に舞うイクリプスの右手からは微かに出血し、腕からのジンジンした反動の痺れが全身へ浸透してくる。

「わたくしの“フルスイング”でも“コレ”ですか、いいでしょう! もっと、もおっとお“わたくしの力”をお見せしましょう!!」

イクリプスは高々と宙を舞いながら詠唱する。まずは拳の強化、彼女が長い間宇宙を旅して知り得た最硬の物質構成で己の両拳を覆い尽くす。
鋼鉄にように真っ黒になった拳へ、更にイクリプスは詠唱を重ねて強化し始める。
そして、なんと彼女の両拳は光を放つ。それは太陽が如く、眩しく暖かいものだった。
それを見た美琴が叫ぶ。

「あれは! “太陽の拳”!?」

クルクルと宙を舞いながら落ちてくるイクリプスと美琴の目があった。

「すいません美琴ちゃん、違いますけど、“ちょっとパクり”ました♪」

そしてフレスヴェルグの頭の上に落ちた瞬間、凄まじい連鎖爆撃によって周囲の空間が焼き尽くされていく。
それはイクリプスの灼熱の拳による怒涛の連続パンチだった。しかも1発1発が凄まじく重い。まるで地震のような衝撃がフレスヴェルグの全身に走り、頭部のヒビは見る見る増え、深く大きく広がっていった。


『オラぁ! ソルちゃんに何してるんですのテメェはあああ! オラオラオラオラオラオラあああ!!』


自分の盟友であるソル・ヴァルキュリアを傷つけられたことにより、ここで始めてイクリプスは「キレ」ていた。リミッターが半分外れたイクリプスのパワーによって、フレスヴェルグの巨大な身体がだんだん沈んでいく。
そしてイクリプスは飛び上がりーー


「か・ら・の!」


イクリプスは呪文で素早く強化した両脚を断頭台のようにフレスヴェルグの脳天に叩き込む。


『龍・爪・脚!』


火山の噴火のように、フレスヴェルの頭部から、砕けた表面が岩のように舞い上がる。そして更にイクリプスはそこからもう一度宙に舞い、もっと詠唱を重ねまくる。


「か・ら・の!」


イクリプスは傍の空間に手を入れ、そこからーー光り輝く神々しい大槍を抜き取った。
彼女はそれを、雷の如く勢いで、最大級の力を持って振り下ろしたーー



『【神槍・グングニル】!!』

Re: 【暫定】〜V開発計画〜【2月中完結】 ( No.100 )
日時: 2019/02/03 01:06
名前: 名無しのアキラ (ID: HqoTe5WI)

イクリプスはただでさえボコボコ状態になってるフレスヴェルグの脳天に、彼女が持ちうる最大必殺である神槍グングニルを思いっきり叩きつけた。
周囲の空間がねじ曲がりそうな程のエネルギーは逃げ場を求め、光の柱となって再び空を貫通する。その破壊力はフレスヴェルグが生み出した空を覆う程の宇宙空間にヒビまで入れる。
美琴の太陽の拳とは違えど、それに匹敵する程の威力を誇る必殺技だ。
そして、異界人とヴァルキュリアの猛攻の末、遂にフレスヴェルグの頭部の装甲が粉々に砕けた。
そして内部に赤く光る丸い球体が露わになる。

まず間違いない、あれがフレスヴェルグの【コア】である。
それを見た瞬間、面子の表情が一気に強張った。

「畳み掛けろおー!」

最初に声を上げたのはソルだった。召喚したドラグーンと共に、レーザーをコアに向けて撃ちまくりながら突撃する。
それの続いて反対側の翼に着陸したフェイルノートと嘉元もコアへ向かって駆け出す。

更に地上から高度を上げてきたエリアスとファランクスも、丁度フレスヴェルグのコアを発見し、その波に加わった。

「エリアス! 狙うならあそこやで!」

「ええ!」

エリアスが聖気を練って作り出した槍を投擲する構えを取ると、奇しくも隣のファランクスも同じポーズで、鋼鉄製の槍を構えていた。
ファランクスはその名の通り、盾術や集団戦法を得意とする一方、投槍も得意なのである。
2人はほぼ同時に己の必殺の槍を撃ち出した。

2つ綺麗に並行して飛翔する双槍は、真っ直ぐフレスヴェルグのコアに突き刺さるーー
ーーかに見えた。

しかしそれは、“見えない球状の何か”によって弾かれる。そしてソルやフェイルノートが放ったレーザー攻撃も、同じくそれに弾かれてしまう。
フレスヴェルグの頭部を逆巻く光の粒子、それは、その場にいる全員が一度は見たはずのものだった。

「馬鹿な!“プライマル・フィールド”!?」

それはソルを含む全てのヴァルキュリア自身が一番よく知っている、正しく自分達が用いる能力の1つである「バリアー」そのものだったのだ。
驚愕の表情を浮かべるソルだが、冷静に考えれば当たり前の事なのかもしれない。元々ヴァルキュリアは上位者によって生み出された人口生命体だ、その上位者の一角であるフレスヴェルグが同じバリアーを張れたとしても何ら不思議はなかった。

そして、その「対処法」も至ってシンプルで分かりきった事だった。

「みんな! いくら上位者とはいえ、バリアーの耐久力にはヴァルキュリアと同じく限界がある筈だ! 攻撃を集中して“割って”しまえ!」

「当たり前だ、それしかないだろ!」

ヨハネスの声に、デスタムーアも無論だと吐き捨てるように返事を返す。
ヨハネスは拳で炎をちらつかせ、デスタムーアは詠唱して空に隕石を出現させる。

『火炎弾!』

『消し飛べ!流星雨!』

灼熱の火炎弾と、青く輝く流星。2人の大技が、まるで美しいコントラストを描くように螺旋を描きながらフレスヴェルグのコアへ降り注ぐ。
その時だ、“異変”が起こり始めたのは......
その異変に真っ先に気づいたのは、一歩引いた間合いからフレスヴェルグへ接敵していたヴァルキュリアのアイギスだった。スーパーアイギス号のコックピット内に警報が鳴り響く。
それと同時にフレスヴェルグの胸元に光が集まり始めたのだ。まるでエネルギーを貯めてるが如く、それはどんどん大きくなっていき、周囲の空間が揺れ始める。

『これは......“大規模エネルギー圧縮”!? ソル殿! すぐにフレスヴェルグから離れてください!』

「何ですって!? 皆んな逃げーー」

刹那、解き放たれた白い閃光が、周辺の全ての異界人とヴァルキュリアを飲み込み、辺り一面が白に染まるーー

Re: 【暫定】〜V開発計画〜【2月中完結】 ( No.101 )
日時: 2019/02/03 02:09
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: O5qjZbxM)

>>0
 そういえば、ちょっと気になった事が?
 嘉元って、一応人工(人?)ヴァルキュリアですよね? そしてヴァルキュリア自体、様々な能力がある。
 と言う事は、人工ヴァルキュリア自体にも能力って、あるんですか? あるのなら、嘉元のヴァルキュリア能力を教えて欲しいんですが……ありますか? 無いですか? どっちでしょう?

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.102 )
日時: 2019/02/03 10:28
名前: 名無しのアキラ (ID: HqoTe5WI)

彩都さん

おはようございます〜(^O^)
今の嘉元さんの持ってる能力は、前から引き継いだコーヒー生成能力と、
ヴァルキュリア化によるバリアーやレーザーブレード、メイド服に新たに装備されたスラスターによるジャンプ&ホバー移動能力とかですね

その他リクエストがあれば、ヴァルキュリア化による新しい能力を追加してもいいですよ〜

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.103 )
日時: 2019/02/03 22:03
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: JM.6sRZA)

>>102
>>ヴァルキュリア化によるバリアーやレーザーブレード、メイド服に新たに装備されたスラスターによるジャンプ&ホバー移動能力とかですね
 成程。
 つまり、ヴァルキュリア達みたいな、あの露出度の高い感じのメイド服みたいなのになるんですか?

>>その他リクエストがあれば、ヴァルキュリア化による新しい能力を追加してもいいですよ〜
 今日一日考えていたけど、嘉元の能力とか、体格を考えて、『戦闘向きではない』能力の方が良いと思ったんだ。
 だから『彼女の作った、能力のコーヒーを飲んだ者の体力や疲労を回復する』って感じの能力は如何でしょうか? これなら、回復役に、ヒーラーになれると思うんだ。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.104 )
日時: 2019/02/03 23:11
名前: 名無しのアキラ (ID: d/L4GWe2)

彩都さん


嘉元のメイド服のデザインまでは考えてなかったですね...
とりあえずメイド服+メカ娘のアーマー的な感じでいかがでしょう?
露出度はお好みで(^O^)

追加する能力は回復でもいいですよ〜
千ヴァル合作でのヒーラーキャラは、現時点では金平灯さんのフィアしか居ないし

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.105 )
日時: 2019/02/04 00:06
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: UvRWk.O2)

>>104

>>とりあえずメイド服+メカ娘のアーマー的な感じでいかがでしょう?
 成程ぉ……!

>>露出度はお好みで(^O^)
 じゃあ、上はビキニブラトップで、腰(下半身)がメイド服って感じで(嘉元に怒られる(汗))

>>追加する能力は回復でもいいですよ〜
 有難う御座います。

>>千ヴァル合作でのヒーラーキャラは、現時点では金平灯さんのフィアしか居ないし
 少ない(泣)

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.106 )
日時: 2019/02/04 16:22
名前: 名無しのアキラ (ID: x5vlKzyg)

彩都さん

それってFGOのメイドオルタ的な感じでしょうか??

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.107 )
日時: 2019/02/05 00:16
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: 7sKELmp6)

>>106
 そんな感じ。
 ってか、自分の考えをまんま描いた感じだな、メイドオルタ。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.108 )
日時: 2019/02/05 17:24
名前: 名無しのアキラ (ID: b2.EAO4E)

メイドオルタいいですね〜

ああいう体型のキャラが、メイド服着たらどうなるのか気になります

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.109 )
日時: 2019/02/05 23:54
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: NNvgAR6.)

>>108
 多分幼女に見られるでしょうねぇ……(汗)

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.110 )
日時: 2019/02/06 01:41
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)

個人的にはFGOのジャックぐらい(133)の身長が丁度いいですけど、

グラブルのシャルロッテみたいな体型のキャラもいいですねー

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.111 )
日時: 2019/02/06 01:44
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: kI1e2dOg)

>>110

>>個人的にはFGOのジャックぐらい(133)の身長が丁度いいですけど
 えっ? 嘉元って、ジャックより小さいの(笑)
 完全に妹っぽいな、そう考えると。

>>グラブルのシャルロッテみたいな体型のキャラもいいですねー
 まぁ、嘉元の身長の元ネタみたいな人だからなぁ、シャルロッテは。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.112 )
日時: 2019/02/06 01:55
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)

目覚めた時、彼は仰向けになって見たことのない星々が輝く空を眺めていた。それはフレスヴェルグの能力によって召喚された宇宙空間である。これがまだ健在ということは、フレスヴェルグを倒しきれていないという証拠だ。

彼は記憶を辿る。自分はヴァルキュリアや他の異界人と共にフレスヴェルグの上に降り、総攻撃を加えている最中だった。しかし途中でフレスヴェルグはヴァルキュリアと同じ“バリアー”を使ってきたのだ。
更にフレスヴェルグの胸元に光を放つ程まで圧縮されたエネルギー空間が現れ、奴はそれを一気に放出して辺り一面を真っ白にする程の大爆発を発生させたーー

と、そこから記憶は飛んで今に至る。己はやられてしまったのか、辺りを見渡すと、視界の端に膝を折って何かをする集団を見つけた。
2人とも見覚えがある、1人は黒いワンピースと羽織ったローブ、そして銀髪のショートボブが対照的に映える少女フィアだ。異世界からやってきたホムンクルスでもあるフィアの手には、味方を回復させる効果のある火の灯ったカンテラが握られている。
もう1人は黒いオールバックの髪型でスーツ姿の男、ミヤギだ。異世界のビジネスマンであり、大企業の社長でもあった彼は経済的な面で皆んなをサポートしてくれていた男だ。

「ーー傷は癒したのに、なぜ目を覚まさない?おい、どうしたんだ“ソル”」

「ーー意識が無いみたいですね、でも彼女の瞳に映る文字には見覚えが......“リブート”?」

2人の声が聞こえてくる。
彼ーー“不動仁王”は起き上がり、そして全身に剣山が刺さったような鋭く、しかも深く鈍い痛みによろめいた。ここまで彼がダメージを受けたのは、これが初めてかもしれない。
それでも不動は起き上がり、フィア達へ近づく。
そしてそこに仰向けに横たわる、一機のヴァルキュリアを見つけた。

彼女はヴァルキュリア・ソル、ヴァルキュリア達のリーダー的な存在の少女だ。
しかし、今のソルは仰向けに倒れたまま、目を見開いて身動き1つしなかったのだ。
こんな緊急時に寝てるとは、不動は彼女の身を案じる前に、すぐに気持ちが高ぶってしまった。

「これは......おいガキ! どうした! どうしたんだ!?」

不動の怒号にも、ソルはピクリとも応じない。いつもなら、その毒舌で散々言い返してくるのに......今は死んだように静かだ。

「不動さん落ち着いて......私も医学には詳しくありませんが、これは一種の“ショック状態”に近いのかと」

「なんだと? どういうことだ!?」

ミヤギの胸ぐらを掴まんばかりに接近してくる不動。

「いや、だから落ち着いてって......彼女の瞳に英語で“リブート”という文字が出ていますが、これは“再起動”という意味なんです」

「それで“ぱそこん”という機械もそうらしいが、こういう精密機械は“はーどうぇあ”が危なそうな状態になると、自分から一度機能を停止して、また再起動をかける......だったよな?」

ミヤギとフィアの解説に、不動は心覚えがあった。
フレスヴェルグが放った最後の一撃、あの強烈なエネルギー攻撃が彼女を機能停止に追い込んだのか。

「なんてことだ、俺に散々殴られても壊れなかったお前が、あんな奴の攻撃如きでこのザマかあ! お前は“8ビットのパソコン”かあああ!?」

「あのー、わたしの話わかります?」

「おおー、これが“機械を叩いて直す”ってやつかあ」

よきライバルが敵の攻撃に倒れ、それでも気合いで目を覚まさせようとソルの肩を揺らす不動に、ミヤギは呆れ気味、フィアは(勘違いして)ふんふんと頷いている。

そこへ集まってくる面子がいた。
上空からは純白の翼を羽ばたかせながら舞い降りるエリアスが、そしてその両腕には、箱のような頭部装備のヴァルキュリア、ファランクスが抱きかかえられていた。ソルと同じく、目を見開いたまま気絶して動かない。

「ああ、皆さんご無事で!」

「エリアスさん! そしてそのヴァルキュリアは......?」

「ええ、それが......さっきから全く反応が無くなってしまって、どうしたら......」

2人とも同じ状態......その場に居た面子に過ぎった不安は、この後現実になる。
そこへ更にやってくる面子、小さな身体でよろめきながらも一機のヴァルキュリアを担いで、ヨロヨロと歩くメイド服の少女、嘉元。
そして黒スーツに黒とんがり帽の長身の男、目黒も、一機のヴァルキュリアの首根っこを掴んで、蝙蝠のような羽を使って飛んできた。

「おおー......重すぎるわ! あたいを散々連れ回した挙句に、今度はこのあたいに“おんぶ”してもらうのかい!」

「おい、こいつ“上”から落ちてきたから一応拾ったんだが......生きてる、のか? 流石に“電池切れ”とか無いよなコイツら」

「うむ、回収ご苦労。とりあえず並べようか」

「フィアさん、なんか偉そうですね......まあ貴方しかヒーラーは居ないから、別にいいんですが」

フィアの態度に突っ込むミヤギ。
そしてフィアの指示通りにエリアスは丁寧にそっとファランクスをソルの横に寝かせ、その後に嘉元が担いできたヴァルキュリア、“フェイルノート”と目黒が拾ってきたヴァルキュリア“アイギス”がそれぞれ並べられる。
フィアがカンテラの灯りをヴァルキュリア達に近づけると、すぐに彼女達の傷は消えていく。
しかし......誰1人として目を覚ますことはなかった。

「なんて事だ! ヴァルキュリアが揃いに揃って全員このザマか! このポンコツどもがあああ!」

「まあ、真面目にヤバいよなこれは。さっき見てきたが、そこら中で戦ってた“はぐれファランクス”達も、全員ひっくり返って動かなくなってたぞ」

頭を抱えて叫ぶ不動と、珍しく冷静に事の重大さとその対応策を考えている目黒。

「これまでファランクスを始めとするヴァルキュリア達が食い止めていた戦線が全て無くなったとするとまずいですね」

「ヴァルキュリアが居なくなったから、敵が押し寄せて来るってかい? 冗談じゃないね!」

思考を張り巡らせ、この先の策を練るエリアスと、更に機嫌を悪くする嘉元。
ここに来て濁り水が流れ出す......

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.113 )
日時: 2019/02/06 09:52
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)

倒れて動かなくなったヴァルキュリア達を囲み、話し合いを行う面子の所へ、更に1人の影が飛んでくる。
蒼マントと王冠のヴァルキュリア、イクリプスだ。唯一動けるヴァルキュリアの登場に面子は最初驚くが、その姿はボロボロ。“かろうじて動ける”と言った方が正しいか。しかもかなり動きがぎこちない、彼女も相当ダメージが蓄積しているようだ。

「......ソルちゃん」

「おい、大丈夫か? って、なんだあんた。半身麻痺か?」

ここでいつものイクリプスなら「ごきげんよう!」とか言ってくるんだろうけど、今の彼女にはそんな余裕は無さそうだ。倒れるソルの名前を口ずさむだけだ。
しかも見たところ、イクリプスは目黒が言った通り、左半身が麻痺してるような様子だった。左手はぶら下がり、右脚のみで器用に移動していた。
見ると彼女の瞳には、左側の網膜には大量の文字列が流れており、他のヴァルキュリア達と同じような状態のようだ。

イクリプスはソルの横まで来ると、右膝を追って寄り添うように近づいた。すかさずフィアがカンテラの光で彼女を癒す。

「イクリプスさん、これは一体?」

ミヤギがイクリプスを気遣ったのか、少し呼吸をする時間を開けてから質問する。

「ええ、恐らくはあのフレスヴェルグのエネルギー兵器によるものでしょう。あれは対人は勿論、“対ヴァルキュリア”も意識した兵器、バリアーエネルギーを攻撃に転用し、“フラッシュバン”のような原理でヴァルキュリアの機能を停止するものだと思いますわ......」

「“ふらっしゅばん”?」

「まあ“爆竹”とか“花火”みてーなもんだな、強力な光と音で人間を気絶させる武器があんだよ」

フィアの疑問に目黒が解説を入れる。
更にイクリプス曰く、眼が覚めるには「待つしかない」との事。
そんな時、1人勢いよく飛び降りてくる人影があった。異世界の少年デスタムーアだ。彼もフレスヴェルグへまとわりつき、最後あの大爆発に巻き込まれたが、まだまだ動けるようだ。

「話は大体聞かせて貰ったーー俺が行こう、お前達はそこの奴らを見ていろ」

デスタムーアが右手に剣を剣を構えると、その正面の空に立ち込める黒い煙の中から、巨大な鳥型の怪物、フレスヴェルグの姿が迫ってきた。
改めて見上げる、その巨大さ。そして大きさだけじゃない、多彩な能力に高い知能まである。もはや生き物でも機械でもない未知の敵に、デスタムーアも恐らく初めて「考えさせられて」いた。

(さて、如何様にこの“邪魔者”を片付けるか。もう少し俺に力が戻れば、この“宇宙ごと”消して、二度と出てこれないように封印してやりたいレベルの“ムカつく”奴だが)

この俺がここに来て“怪物退治”とは、デスタムーアが策を練ってる時だった。
背後から歩み寄る1人の男がいた。


『ーー私も行こう。私は“今来たばかり”で無傷だ、手伝えることはないかね?』


そこには黒いロングコートと、目黒に似たとんがり帽子を被った男が立っていた。正に黒ずくめのいかにもミステリアスで影のありそうなこの男。
はてさて今初めて姿を見せたこの男に、一同は言葉を失った。眉をひそめるエリアスに、ジト目で見つめる嘉元。
しかし、目黒と不動は違った。それぞれの視線は畏怖と、そして尊敬のような眼差しを送っていた。

「ああ? おい嘘だろ、あんたは......」

「貴方は!」

その男はニヤリを笑みを浮かべる。その黒い男には、唯一光ってるものがあった。
ーー首元、そこには黄金の髑髏を数珠状に並べた、奇妙なアクセサリーをぶら下げていたのだ。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.114 )
日時: 2019/02/06 05:13
名前: モンブラン博士 (ID: J5HtV9qQ)

フィアの疑問に~ところが目黒ではなく闇野になっていますので訂正していただけますと嬉しいです。
そしてヴァルキュリア達が機能停止と大ピンチの時に闇野さんがついに参戦しましたね!
最高のタイミングで参戦ですよ!これは頼れます!うおおおおっ、これからどうなるのか楽しみです!
あの不動でさえも「貴方」と敬意を払う彼が来たならもう大丈夫です!!

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.115 )
日時: 2019/02/06 09:59
名前: 名無しのアキラ (ID: W9V3DGoU)

モンブランさん

おはようございます〜
修正いたしましたよ〜、ていうか書いてて自分で気づかなかったんですね私(
もう少しでこの合作も終わるので、最後までお付き合いして頂ければ幸いです

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.116 )
日時: 2019/02/06 18:27
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)

ーーそして筆が止まる

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.117 )
日時: 2019/02/06 21:08
名前: モンブラン博士 (ID: J5HtV9qQ)

名無しさんへ
カキコは2月以降もありますから2月書きに終わらなくても大丈夫ですよ!雑談掲示板のアレはスレ主さんの勘違いだったみたいですから!

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.118 )
日時: 2019/02/06 21:20
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)

モンブランさん

らしいですね、でもそれでも「早く終わらせたい」って気持ちが今は強いんですよね
昔よりは更新スピードはかなり上がったと思いますが、それでもやっぱり小説の書くのは疲れるし辛い日もある......
1年もダラダラこの合作を続けてきたわけですから、私は勿論、もしかしたらその他多くの方々の貴重な時間を無駄にしてしまってるかもしれない気がするんですよね

だから重荷にならないよう、早くこの合作を完結させて、何処かへ羽ばたいていってしまいたい気持ちです

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.119 )
日時: 2019/02/07 12:20
名前: 名無しのアキラ (ID: AYUK9zl.)



上空から再び迫るフレスヴェルグに対峙する2人の黒い影。1人は異世界からやって来たという黒髪の少年デスタムーアだ。自称「ただの異界人」という肩書きであり、過去や職業を一切明かしてくれないミステリアスな少年だが......巧みな剣術に強力な魔法、更には重力の操作や流星の召喚など、明らかに普通の人間のレベルじゃない。
最初は冷たかったが、この世界の崩壊の危機を前に、なんと皆んなに味方してくれたのだ。
そしてもう1人は......

「おい、“闇野”といったな。いけるのか、お前は?」

デスタムーアは横に並ぶもう1人の男に「まあ......無理せんでも俺は困らんが......」と、心配というか、皮肉も込めたように吐き捨てた。
彼の横に並ぶのは、黒いロングコートと先の尖った帽子で身を包む長身の男だ。口元で笑みを浮かべるこの男、“闇野”には一見なんの特徴もない、あるとすれば首元の金色の数珠状のアクセサリーぐらいだ。

「大丈夫だとも。私は見ての通り準備は万端だ!」

「ほう、じゃあ行く前に“一応”軽く話しておくか」

デスタムーアはフレスヴェルグを指差す。

「とりあえず“アレ”を倒す。アレは見ての通り生き物でも機械でもない、【概念】や【言葉】のような未知の敵だ。故にもしも狙うならあの頭部の“コア”しかなかろう」

フレスヴェルグの頭部は半壊しており、内部で赤く光る球状のコアが剥き出しの状態だった。狙うなら今がチャンスだ。

「ーーだがしかし、このまま素直に正面から奴に向かうのは愚の骨頂。そこで奴の両サイドから挟み込むように攻めるぞ、それならお互いの“技”の範囲に味方が入る事も無いだろう」

「成る程、心得た」

そしてデスタがふわりと宙へ舞い、「だがしかし、俺はお前を助けてやる事は出来ぬ。万が一の時は自分でなんとかしろ」と冷たく吐き捨てて飛び立っていく。
それに合わせ、闇野も強く地面を蹴り、空へ駆け出す。そして彼の姿が消えたかと思うと、その遥か前方に急に現れる。闇野の移動方法は瞬間移動と呼ぶに相応しいものだった。消えてはすぐにその先の場所に現れ、みるみるフレスヴェルグとの距離を縮めていった。
その反対側からはデスタムーアが飛びながら回り込み、丁度左右からフレスヴェルグを挟み込んで行く2人。

そして最初に闇野が仕掛ける。輝く右手、太陽の拳、早速大技だ。半端者が使えばたちまち反動で自らの魂を削られてしまう程の威力を誇る。
闇野は瞬間移動でフレスヴェルグのクチバシの先に現れ、その光を纏う程まで熱せられた拳を解放し、フレスヴェルグを焼き尽くすーー筈だった。

太陽の拳の熱と爆風はフレスヴェルグの手前で何かに阻まれ、ただ目黒の拳を中心に周囲へ拡散していくだけだった。
その光景を見ていたデスタムーアは息を飲む。

(なんと、“そんなこと”も可能なのか!?)

ーーフレスヴェルグの正面を全て覆える程の巨大な「魔法陣」。しかもその形状に合わせて、フレスヴェルグから抜け落ちた自律兵器の群れが集まって来て巨大な円を描き、綺麗に魔法陣と重なって、山のように大きな【円盾】を描いていたのだ。
一粒一粒は対処できる自律兵器でも、このような集団防御によって一能力者最大級に必殺技でも防ぎきれる程の防衛能力を得ようとは。
太陽拳を受けても、ついに何のダメージを出なくなったフレスヴェルグに、初見の闇野も流石に少し驚く。


「まさか! この世界にはこんな化け物がいるなんーー」


パーン!という破裂音とともに、フレスヴェルグが口から放ったレーザーの枝が闇野にクリーンヒットした。鞭のようにしなる、しかも大木のように太いレーザーを当てられ、そのまま元いた場所の地面に突き刺さる闇野。
その手前にいた面子は、一瞬言葉を失った。

「おー、大丈夫かあんた。ワンパンじゃないか」

「なんだい、弱いじゃないかこいつ」

「お、お前らあああ! 闇野様向かってなんて事を!」

寄ってきてうつ伏せに倒れる闇野を見下ろす嘉元とフィアに、不動がまた吠える。
すると闇野は「よいしょ」と平然と起き上がってきた。あれ程の攻撃でも殆どダメージを受けていないようだ、彼もタフである。

「待ちたまえ君達。今のは“本当の本当の本当の本当の本当の本当の”、“まぐれ当たり”だっ! ほら、その証拠に、見たまえ。私は全くダメージを受けていないだろう! これが私の能力だ! 次は大丈夫だよ」

「おおー、そうなのか。じゃあ私は戦えないから、代わりにもう一回行ってきてくれ」

「おい......」

いまいちよく分かってないようなフィアに、不動の怒りが殺意へ切り替わりそうな時、ゴソゴソと起き上がろうとする人物あり。
気絶して動かなかったソルが、ふらつきながらも起き上がろうとしてるのだ。
そして機能が回復したのか、素早く立ち姿勢に戻る。

「ソルちゃん!」

「イクリプス? わたしは何を......皆んなは?」

イクリプスの声に完全に意識が戻ったソルは、辺りを見渡し......まだ目覚めないファランクス、フェイルノート、アイギスの3機のヴァルキュリアを発見する。
そして記憶が蘇ってくる。フレスヴェルグの攻撃によって自分たちは気を失っていたが、時間経過でリブート(再起動)に成功したのだと。
更に上空にはフレスヴェルグ、地上にはまだ異界人の面子が残っていた。
ソルはすぐに気絶している3機起こそうと「ちょ!起きなさい!」と声をかけていく。するとどうだろう、時間が経過したせいもなくはないのだろうが、今までが嘘のようにすぐに3人とも飛び起きたのだ。これもヴァルキュリアのリーダーであるソルのカリスマ性というか、お母さん的なキャラができる技や能力なのだろうか。
ここに異界人とヴァルキュリアによる戦線が再び復活した。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.120 )
日時: 2019/02/07 10:47
名前: モンブラン博士 (ID: 6VubQu1M)

闇野さんが少々頼りなさげで威厳が半分になっているのが疑問ですが、多分、まだ彼はブランクが抜けていないのでしょうね。闇野さんは高笑いをし始めたら本番ですから。「ダーッハハハハハハハハハハハハハハハ!」と笑いだしたら最後、笑い声以外は一切喋らず、敵を絶望のどん底に落とす方ですから。間違いなくフレスヴェルグに対しては最適の囮だと思います。
彼を囮にして攻撃を連発させることでフレスヴェルグのエネルギー消耗を狙えるかもしれません。
どれだけ攻撃しても何度でも無傷で蘇る不死身の化け物である闇野さん相手にフレスがどう思うか気になります(笑)いくら感情がなくともありったけの攻撃を注ぎ込んでも、無傷で復活されたら、何か思うところがあるかもです。
闇野さんに集中してフレスヴェルグの気が散漫になっている&エネルギー消耗している間に、他のヴァルキュリア&異世界人連合軍が接近して至近距離から一気に攻撃すれば無敵の牙城も崩れるかもしれません。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.121 )
日時: 2019/02/07 12:27
名前: 名無しのアキラ (ID: DQMJRF6I)

モンブランさん

おはようございます
それはいいですね〜(^O^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.122 )
日時: 2019/02/09 12:24
名前: 名無しのアキラ (ID: 3QnfUYsY)

「ええーい! 起きろこの馬鹿どもがあ!」

『うわあー!?』

ソルの怒号に、気絶していたヴァルキュリア、ファランクス、フェイルノート、アイギスの3機はすぐに飛び起きた。そしてすぐにソルの周りに集まってきて、彼女を中心としたフォーメーションを完成させる。
その横に降り立つは、白い翼を羽ばたかせるエンジェリカの天使エリアスだ。聖気の槍を煌かせる彼は、ボロボロになってもその威風堂々たる姿に陰りはない。
そして彼らの足元には、背丈の小さなメイド服の少女の姿があった。異世界からやってきた学生である彼女、嘉元は、この世界に来てからなんとヴァルキュリア化した人物なのだ。元から所持していた水をコーヒーに変える能力に加え、ヴァルキュリアの能力も手に入れた。
姿勢を獣のように低くして、いつでもフットワークを効かせられるような体勢でいる。
その反対側には巨岩の如し拳を構える大男、不動仁王の姿あり。巌のような背中は頼もしく、その鋭い眼光で前方のフレスヴェルグと対峙する。
さらにその後方には、異世界からやって来たホムンクルスの少女フィア、異世界のビジネスマンのミヤギ、そして謎の黒尽くめのヒーロー闇野が、各々の体勢で身構えていた。
そしてソルが、いつもエリアスの傍にいた、同じく別の世界からやってきた黒いドレスの少女、グラエキアの姿がないことに気づく。

「エリアス! グラエキアは?」

常に仲間の護衛役に回る彼が1人で居るのは珍しく、ソルもすぐに気づいた。しかしエリアスの余裕のある笑みは崩れていない。

「“間も無く”ですよ!」

そしてエリアスがソルへ返事をした時だった。周辺の影という影から、無数の黒い鎖がジャラリと音を立てて飛び出したかと思うと、それらが一斉にフレスヴェルグへ真っ直ぐ伸びていったのだ。それらの鎖はフレスヴェルグの迎撃で弾き返されど切れる事はなく、次々とその巨体に巻きついては動きを封じていく。

そして黒いドレスのフリルを颯爽に揺らしながら、1人の少女が歩いて来た。

『不可視の黒鎖(インヴィシブル・チェイン)、それ切るのは至難の技でしてよ』

「グラエキア!」

ソルが少女の名前を呼んだ。
しかしその時、鎖の僅かな緩みのせいで、フレスヴェルグが口を開けた。そして口内にエネルギーを充填し始める。慌ててグラエキアは強く念じるが、大量の鎖を出現させたばかりだからか、そこまで手が回らないようだ。

グラエキアのその色白の人形のように美しい顔に曇りが生じる。
と、彼女の横に立ち、その漆黒の鎖を勢いよく引っ張る人物が現れた。グラエキアが見上げると、そこには蒼いマントの背中が見えた。
蒼い王冠に蒼いチャイナドレス、紅いヒール......そう、面子の中でも真っ先に動いたのは、“最速のヴァルキュリア”である彼女だった。

「イクリプス!?」

「おひさー☆ “一章>>84番”ぶりぐらいでしょうか!」

「はあ!?」

イクリプスの場違いな笑みとあいさつに驚愕の表情を浮かべるグラエキア。
フレスヴェルグがイクリプスが鎖を引いてるせいで上手く口を開けずにいる。
そしてすぐにソル達ヴァルキュリアが近寄ってくる。

「イクリプス! よし! そのままフレスヴェルグを“引きずり下ろす”事は出来ませんか!?」

「うーん、それは無理かも」

「なにさ、あんたは最強のヴァルキュリアじゃなかったのかい!?」

イクリプスの返事に、嘉元が不満そうに吠えた。しかしソルはそこではっと我に帰る。いくら史上最強のヴァルキュリアであるイクリプスとがいえ、流石にフレスヴェルグとは大きさが違いすぎるか。

「“姿勢制御”“重力操作”“超高宇宙線エネルギー変換”......色々やってるんですけどもねえ......ちょっと、“わたくしだけじゃあ”無理かなあ......」

見ると、イクリプスの身体が徐々に引きづられていっていた。
無謀だったかーーその時、反対側の鎖を掴む、もう1人の男が現れた。

「ーー俺は、全てを捨ててヒーローになった。奴を地上へ落とす事ぐらい朝飯前だ!」

「ほおー、【綱引き】か? じゃあ私も引いてみよう、よいさ、ほいさ。うん、ビクともしない」

巨岩のような肉体で漆黒の鎖を引く不動仁王、そしてそれを手伝おうとフィアも鎖を手にするが......ちょっと彼女の腕力では殆ど足しになっていないかもしれない......

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.123 )
日時: 2019/02/09 09:23
名前: モンブラン博士 (ID: NtGbzguY)

名無しさんへ
目黒じゃなくて闇野ですよ。目黒と闇野って意外と間違えやすい名前なのかなと思い始めました(汗)あと、闇野には彼の武器である身長と同じくらいの大きさの鎌を持たせてくださると助かります。外見的なイメージは死神ですから。
フレスヴェルグとの綱引きとはシュールな光景でどことなく笑えてきます(笑)
不動は全てを捨ててヒーローになった分、フィジカルは凄まじいものがありますね。

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.124 )
日時: 2019/02/09 12:25
名前: 名無しのアキラ (ID: zxVAzlO2)

モンブランさん

修正しました〜
鎌の件も了解しました!

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.125 )
日時: 2019/02/13 19:10
名前: 名無しのアキラ (ID: fsS3tgeM)

〜日記〜

今日は夜勤開始早々、お客さんから、
「うちの会社で知らないオッサンが寝てる、すぐに来てほしい」
とかいう通報があってワロタ
しかも最初は急患かと思って現場に行ったら酔っ払いだったっていう

本当だったら警察ですけど、奥様?らしき方からの電話があり、すぐに回収しに来るとのこと

今日はこの対応で疲れたので、創作活動はちょっとお休みで(汗
文句はこのオッサンに言ってくれ(^^;;

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.126 )
日時: 2019/02/13 21:40
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: .o8IcIFY)

こんばんは。
酔っ払いの方、凄いですね(^^;;

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.127 )
日時: 2019/02/13 22:19
名前: 名無しのアキラ (ID: lVSDrdW.)

こんばんは〜

酔っ払いはヤバいですよ

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.128 )
日時: 2019/02/15 03:03
名前: 名無しのアキラ (ID: E62Bjau6)

なんか最近カキコの広告にマンションの投資に関するやつが出てるな

マンションなんてのは家がない奴が買うものなんだから
そんなもの私にはいりません

日本は農業が遅れてるんだから、マンションよりも畑を沢山作れや
この馬鹿どもが

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.129 )
日時: 2019/02/15 03:09
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: 68zgJSvg)

>>128
>>マンションなんてのは家がない奴が買うものなんだから
 学が無い奴も買うよな(((←火に油を注ぐな

>>日本は農業が遅れてるんだから、マンションよりも畑を沢山作れや
>>この馬鹿どもが
 まぁ、それはあるな。
 本当、農業って、衰退しているよねぇ……住居より食べる物を増やせっての(汗)

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.130 )
日時: 2019/02/15 12:32
名前: 名無しのアキラ (ID: E62Bjau6)

>>129
すいませんでした

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.131 )
日時: 2019/02/15 22:15
名前: 名無しのアキラ (ID: EezEIWpY)

鎖が絡まったフレスヴェルグが、無理やり口を開いてレーザーを発射しようとする。それを必死に鎖を引っ張って阻止しようとする不動とイクリプス。
そこへ丁度後ろから面子がやってきた。アンダルシアの魔導師達と、スター流のヒーロー達だ。

「お待たせしましたー! って、この状況はあ!?」

「ーーまた嫌な予感しかしない」

鎖まみれになったフレスヴェルグと、地上でそれを引っ張る者たち。空前絶後の状況に度肝を抜かれた美琴と時雨が思わず声を漏らす。

「ねえリクセス、これって夢なのかな? 目が覚めたりしない? この人達ってちょっとおかしいのかい?」

「うん......夢じゃないし、真面目にやってるよ」

時雨の問いに仲間のリクセスが答えると、空からデスタムーアがふわりと降りてきてーーなんと舌打ちしながら鎖を掴んだのだ。

「ちっ、他にもいい策がない。馬鹿げた作戦だがーー試す価値はあるか」

「そうですね!やりましょー!せいやあー!ーーって、これ切れたりしないですよね?」

美琴もデスタムーアの後ろについて鎖を手にし、腰を落として全体重を後ろにかける。
その光景を銃を片手に呆然と見ていた目黒も声を漏らした。

「ああ、これ俺もやらなきゃ駄目なのか?」

「やらなきゃ奴の口が開いて、僕たち全員黒焦げだけど?」

ヨハネスの言葉に、ため息をつきながらも目黒もそれに参加する。
そして思考を張り巡らせていたミヤギもついに動く。

「ーー車両を探してきます、人力だけでは厳しいでしょう」

「はい、お願いします!ーーって、そんなこと言って今更逃げないで下さいよ!?」

鎖を引っ張るソルの言葉に、ミヤギが珍しくカチンと来たようだ。

「なっ! 私からツケで武器を貰っておいて何ですかその言い方は! そっちこそ私にお金を払う前に死なないで下さいよ!」

そう言い残すと、ミヤギは素早く後方へ駆けていく。あの様子なら彼も“今回は”大丈夫そうだ。
返事を聞いたソルは安堵し、再び腕に力を入れる。


「ヴァルキュリア部隊!気合いいれろお!」

『了解!』

ソルの後ろには、ファランクス、フェイルノート、アイギスの3人が固まって鎖を引いていた。
そしてーーその更に後方では面子に中でも最も背が小さい嘉元が鎖を引き、その横では闇野がその様子を見ていた。

「ーーいやあ、大変そうだな。よし!私も手伝おう!」

「は、早くしな!」

嘉元の苦しそうな声に、闇野もついに鎖を弾き始めた。
そしてデスタムーアのすぐ後ろに、スター流の創始者であるスターと、その弟子シャドウとカイザーも連なった。
その後ろにも、続々と後続の異界人や、増援で駆けつけた連合軍の兵士たちが、次々と鎖を手に引き始めていた。

「大分人が揃ってきたね、このまま何とか引きずり下ろせないかな?」

「ああ、これだけの猛者が集まれば、俺の“重力操作”の能力も合わせれば、あいつを地面に押し倒す事も出来るだろう。だが別々に力んでても拉致があかん、合図で一気に行くぞ!」

デスタムーアの言葉にシャドウも「名案ですな!」とお墨付きの言葉を添える。そのやり取りを聞いていた面子は、互いに顔を合わせた。
そしてソルが「“せーの”で行きましょう!」と声をかけ、メンツ全員はタイミングを見計らって声を合わせた。


『せーー』


そして刹那、フレスヴェルグ姿が視界から消え、前方から物凄い勢いの粉塵の波が押し寄せてきた。衝撃波、地上で踏ん張っていた面子が一斉に吹き飛ばされる。
鎖を引いていたせいもあったのだろう、後方へ押し倒されたソルは、すぐに飛び起きて前方を見渡す。するとどうであろう、先程まで空に鎮座していたフレスヴェルグが、今は地上の旧市街の建物の数々を押し潰し、うつ伏せに倒れているのだ。
そう、「フレスヴェルグを落とした」のである。
しかし手放しには喜べないかもしれない、落ちる場所とタイミングを一歩誤れば、あのフレスヴェルグの下敷きになっていたかもしれない。現に結構な数のメンバーが吹き飛ばされ、各々が多少なりともダメージを受けている様子だった。
そしてその後方では、スターが闇野へ何かを言っている。

「闇野様! “せ”の所で鎖を引いてはいけません! “せーの!”の最後の所で引かなければ!」

「なん......だと、そうだったのか。いや、すまないな皆。だが奴も落としたし、皆も無事で何よりーー」

そんな2人の元へ、バチバチと雷を纏いながら吠える少女の影があった。

「おい!オッサン! お前いきなり引いてんじゃねーよ! 危ねーだろ! 上に落ちてきたらどーするんすかっ!」

ヴァルキュリアのフェイルノートだ。スター流の中では最高指導者である闇野への暴言に、身内の面子は凍りついたような表情とともになにかを言おうとするが。

「ああ、ごめん。私のミスだな、次は気をつけよう」

闇野は素直に謝った、大人の対応だ。

「無駄口叩くなー! ここで一気に仕留めますよ!」

そしてソルが掛け声を上げた時だったーー

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.132 )
日時: 2019/02/15 23:05
名前: 名無しのアキラ (ID: EezEIWpY)

遂に地面に落ちたフレスヴェルグに、異界人とヴァルキュリアの連合軍のメンバーは、各々の武器を構えた。その丁度先頭にいた5機のヴァルキュリア“最初の5人”のメンバーは、リーダーであるソルを中心としたひし形の陣形を組む。
ソルを守るように正面に立つヴァルキュリア、蒼い王冠とはためくマントがトレードマークのイクリプスは、その魔眼で前方のフレスヴェルグ睨みつけていた。

更にその両翼にもそれぞれ異界人が集結していた。
異界人の天使と王族のコンビであるエリアスとグラエキアは、それぞれ前衛と後衛を担当するいつものスタイルで身構える。
反対側では異界のヒーローである巌のような大男、不動仁王が拳を構え、更にその間には異界の学生であり、ここに来てヴァルキュリア化した少女である嘉元がフットワークを効かせられる態勢で構えている。

そしてソルの掛け声とともに全員がフレスヴェルグへ畳みかけようとした時だった。
粉塵の中で建物の数々を押しつぶしたまま動かなかったフレスヴェルグの巨体が、見た目以上の素早さで起き上がってきたのだ。更にしっかりと連合軍の布陣へ対応するように正面へ立つ。
流石に地面に落とされたばかりの空の怪物が、ここまで素早く起き上がってくるとは、誰も想定出来なかっただろう。

(なっ!もう動けるの!?)

ソルを始めとした面子の驚きは、それだけでは終わらなかった。


『ガアアアアアアアッ!』


ここで、初めてフレスヴェルグが「吠えた」。ついにキレたという感じだろうか、街中どころかその先の地平線まで届くレベルで空気を震わせながら吠えるフレスヴェルグ。
更に、なんと胸部の装甲が開き、中から肉食恐竜の腕のようなアームが伸びてきたのだ。姿勢は先ほどよりも前傾姿勢になり、翼は上側にスライドし、文字通り【変形】していく。
素早く起き上がった事といい、咆哮といい、そしてこの変形といい、地上に落ちたのに、不利な状況になったというのに、「絶望」しているのはこいつではなくこちら側の連合軍だった。

「ソルさん! これは!?」

「なんて奴ですの......」

声を漏らすエリアスとグラエキア。

「こいつ......空を飛ぶ怪物でありながら【地上戦】まで想定してたのか!? どこまで......」

「なんだって!? じゃあアイツは“陸地でも戦える”って事かい!? これじゃあ地面に落とした意味がないじゃないか!」

ソルの考察に加減が文句を吐き捨てる。しかしその隣の不動は、動じることなく敵を洞察していた。

「ーーだが、奴の負ったダメージが消えたわけじゃない!あの頭部の傷はまだそのままだ!」

不動が指差す先には、フレスヴェルグの半分が吹き飛んだ頭があった。先の戦闘で大破し、内部の弱点である“コア”がまだ剥き出しになっていたのだ。
グラエキアの鎖が解け、フレスヴェルグは再び口を開いて例の広範囲を焼き払うレーザーを放とうと口を光らせ始める。
その時、ソルには、迷う暇も、他に選択種も無かった。

「ーー行くぞ皆んな! 活路は“ここ”しかない!」

そう叫び、ソルは先陣を切って飛び出した。フェイルノートの「センパイ!」という制止も振り切り、弾丸のように駆ける。そう、あのレーザーを今撃たれれば回避するのは不可能、損害は避けられない。後ろには多くの仲間が控えている、助かる道はーー


【今この瞬間、フレスヴェルグを倒す事!】


ソルに続き、他のヴァルキュリア達と異界人、そして不動と嘉元、エリアスとグラエキアも続いた。
正面からは残っていた自律兵器達が一斉に火を噴いてそれらと対峙する。綱引きからの正に連合軍と上位者の正面衝突、最終決戦!
ソルのバリアはとっくに割れ、その身に攻撃の雨を受ける。それでも止まらない。
そして彼女はヴァルキュリアの腕部一体型のレーザーブレードを起動するーーが、光の刃が現れない。見ると彼女の網膜には“武器故障警報”が出ていた。先の戦闘と今受けたダメージもあり、ついに身体が限界を迎えたようだ。
しかしーー

「まだだっ!」

ソルは壊れた右手で、腰から一本のナイフを抜くと、その身1つでフレスヴェルグへ跳躍する。
当然正面からはフレスヴェルグの弾幕が襲いくるがーー

「来いドラグーン!」

ソルは最後の力を振り絞り、自分の愛機であるドラグーン・プロミネンスを召喚した。そしてそのドラグーンを盾にしつつ踏み台にし、更にフレスヴェルグへ飛びかかる。自律兵器の猛攻を前に、ついに大破し、爆散していくドラグーン......だがその先には、ソルを始めとする5人の影があった。
敵の攻撃を搔い潜った嘉元、不動、エリアス、グラエキア、そしてソルの5人はフレスヴェルグの破損した頭部から覗くコアへ一斉に一斉に飛びかかったーー


『いっけえええええええええええええええ!』


5人の咆哮、そしてーー


キッ


ソルの手にした鋭いナイフの刃先が、フレスヴェルグのコア触れた時だったーー
周囲を飲み込む白い閃光が、周りの全てを飲み込んでいったーー


ーー第3章 完結

次回 第X章へ続く

Re: 【暫定】〜V計画〜【2月完結】 ( No.133 )
日時: 2019/02/15 23:43
名前: 名無しのアキラ (ID: otsWE752)

本スレに書いたからこっちでは簡単に述べておく......


まず某合作の「ラスボス」を撃破しました。もうこの合作には「敵キャラ」はいません。あれが正真正銘の最後の敵です。

戦争はーー終わったのですーー

しかし、オリキャラ達はこの後『ある場所』へ行き、そこで【とある選択】をしてもらいます......


1年半にも及ぶ長編合作の激戦の数々、その終着点で待ち受けるのは一体......


次回:X章「最初の古工房」編、お楽しみに(^O^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.134 )
日時: 2019/02/16 00:11
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: BUrrsPnw)

三章完結ですか!
壮大な物語でしたね(*´꒳`*)

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.135 )
日時: 2019/02/16 00:12
名前: 名無しのアキラ (ID: /NZw4Bpg)

独り言

つい最近はカキコは盛り上がってるのだろうか
リク依頼板も盛り上がってる企画とかあるのかな
なんか冷え込んでるような気がして寂しい

後はスレ主もいい加減いつまでも夢見てる訳にはいかないと思う
もうこの合作書き終えたら引退して、将来のために勉強しつつ働かなきゃと思い始める
いつまでもいい歳した大人が小説とか夢見ちゃいかんと

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.136 )
日時: 2019/02/16 00:20
名前: 名無しのアキラ (ID: /NZw4Bpg)

四季さん


こんばんは〜
もうここまで来るのに1年半もかかっちゃいましたね(滝汗)
人生どんだけ無駄にしたんだスレ主は......(泣)
でももう戦闘シーンは二度とありません(っていうか下手したら私が書く最後の戦闘シーンになったかもあれが)

後は会話シーンのみですね......
長らくお待たせしてすいません、もう終わらせますので

ていうか、もう私も小さな夢がこのサイトで叶いましたよ
もう創作活動に関しては何も思い残すことはないですし、
正直こんなに小説を書くことが大変だとは思わなかったので、
もう二度とこんな作品は書きたくないですね(笑)

最終章を書き終えてこの合作を全て完結させた矢先には、私もその後は真っ当な人間としてまじめに生きますよ

そして四季さんには大変お世話になりました
最後まで私の味方でいてくれてありがとうございました
その他の方々にも合作の完結後に一人ずつ挨拶をしに行きますので
よろしくおねがいもうしあげます

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.137 )
日時: 2019/02/16 00:22
名前: 名無しのアキラ (ID: /NZw4Bpg)

一応、カキコの皆さんへ


まず、本当に色々とご迷惑をおかけしてすいませんでした。
そして沢山の【夢】をありがとうございました。

この最終章を書き終えたら、大人しくスレを畳むので、それまでもう少しだけお待ち下さい。

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.138 )
日時: 2019/02/16 05:18
名前: モンブラン博士 (ID: eLd/wVUA)

名無しさんへ
不動が主役級の活躍をしてくれたので嬉しいです!無事にラスボスを撃破し、いよいよ本作は最終回に突入するのですね。闇野はギャグ要員っぽく見えましたが、それが逆に良い味を出していました。
素直に謝るあたりは大人の対応でしたね。
次回作も楽しみにしていたのですが、引退されるのですね。長期連載お疲れ様でした!
最後まで楽しみにしています!

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.139 )
日時: 2019/02/16 15:02
名前: 名無しのアキラ (ID: /NZw4Bpg)

モンブランさん

ありがとうございます! そしてモンブランさんも最後まで一緒に居てくれてありがとうございました(泣)
まあ次回作もやりたい気持ちはありますが、それには本当に限られた時間しか確保できない気がしまして......中途半端な合作をやるぐらいなら、水面下でシナリオやイラストを書き貯め続けたほうがいいかなと思いました

もう少しだけこの合作は続きますが、もう二度と戦闘シーンはなく、会話シーンのみですので、
まあまったり読んで頂ければ、と思います(^^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【3章完結】 ( No.140 )
日時: 2019/02/16 15:18
名前: 名無しのアキラ (ID: /NZw4Bpg)

X章「最初の古工房」編


彼女が最後に見た記憶は、全てが白に塗り尽くされ、白い光に包まれたその後まで......あれからどれぐらいの時が経ったのだろう。
まず最初に感じたのは、まるで夜明けのような暖かい光だった。まぶたを閉じていても分かる。
そして次に感じるのは、ほのかに甘い蜜のような匂いが混じった香り。瑞々しい香りに満ちたこの空気があるということは、近くに沢山の植物があるのだろうか。
最後に感じるのは、固く、ひんやりした石の地面の感触だった。目を開けると彼女、ヴァルキュリア・ソルは、石畳の道の上にうつ伏せに倒れていた。ずっと寝ていたからか、石に触れていた部分が少し痛む。見上げれば、空は死んだように灰色に染まっており、どこまでも曇り空が続いている。

ソルは両腕に力を入れて身体を起こすと、目の前には風に揺らぐ白い百合の花があった。気づけば石畳の道の脇にも沢山生えている。甘い、けれども少し癖のある香りはこのものだったのだ。

眼に映るものは、花壇、金属の柵、石畳の道、木、草、そして色取り取りの花が植えられた花壇の数々だ。
そう、ここは「庭園」みたいだ。

そしてソルは起き上がって立ち上がった時、自身の網膜に情報が流れた。それはクロノグラフの時計のように、ヴァルキュリア自身の体内で時間を測る為の機能なのだが......


『ーーこの世界に......来て......経過した時間......は......“24.872.683年”(※2400万年)......』


「はっ!?」


ソルは自身の身体が出した年数に驚愕し、何もない場所で仰け反ってしまう。自分がおかしくなったのか、それとも......
異界人は、上位者は、そして......他のヴァルキュリアの仲間達はどうなってしまったのだろうか。思考を巡らせれば巡らせる程、津波のように押し寄せてくる不安。

そして......こちらの近づいてくる足音あり......

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.141 )
日時: 2019/02/16 17:40
名前: 名無しのアキラ (ID: tcjbQJAs)

大罪スレ


Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.142 )
日時: 2019/02/16 19:09
名前: モンブラン博士 (ID: eLd/wVUA)

名無しさんへ
急にどうしたんですか?

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.143 )
日時: 2019/02/16 19:15
名前: 名無しのアキラ (ID: tcjbQJAs)

なんとなく今の気持ちを呟いてみました(^O^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.144 )
日時: 2019/02/18 09:52
名前: 名無しのアキラ (ID: 3m/iKLYs)

メガ過疎ってんな

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.145 )
日時: 2019/02/18 11:04
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: NSYl9zNA)

こんにちは!(*⁰▿⁰*)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.146 )
日時: 2019/02/18 11:28
名前: 名無しのアキラ (ID: OyHpT/Lg)

こんにちは〜

昨日から誰もいませんね〜

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.147 )
日時: 2019/02/18 11:41
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: 38oezTUs)

昨日からだったのですね! 気づいていませんでした……。

寂しいですね。(^^;;

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.148 )
日時: 2019/02/19 00:34
名前: 名無しのアキラ (ID: JuUUZ/Is)

静かな庭園を歩く2人の青年と少女。長身の青年は白く高価そうな装飾がついた上着を着ており、彫刻にように整った顔立ちに金髪と宝石のような碧眼が見事に映えていた。
一方、少女の方は黒く沢山のフリルとレースが付いた豪華なドレスで身を包んでいた。艶のある美しい黒髪に人形のように整った顔立ちは、この庭園にはとてもぴったり合う姿だ。
しかし2人とも警戒してる様子だった。青年は手に白く輝く槍を手に、そして少女の方は黒い魔法の鎖をドレスの袖からちらつかせながら、ゆっくりと庭園を散策している。

「ーーここには私たちしかいないのかしら」

ぽつりと呟く少女。庭園は静まり返っており、人はおろか、動物の気配すらもない。

「分かりません......ここがどこなのかも......」

青年も辺りを見渡しながら返事を返す。
少女の名は「グラエキア」。亡きウィンチェバルの王族であり、この世界に最初期に召喚された異界人でもある。
その横に立つ青年は「エリアス」。エンジェリカの王女の側近であり、護衛者でもあった彼もこの世界に最初の頃に召喚されたのだ。
しばらく石畳を歩き、少女は再び言葉を漏らす。

「ねえ、エリアス。この場所に来るまでに“夢”を見ませんでしたこと? そう、あれは......“この世界の成り立ち”を描いたような......」

「ーー! まさか、グラエキア様も同じ夢を?」

エリアスがグラエキアの言葉に振り向いた。そして立ち止まる2人ーー





庭園で目が覚める少し前ーーグラエキアは微睡みの中で「夢」を見ていた。
彼女は気づけば、何もない暗闇の中でフワフワと浮いていた。記憶を辿っても、何故自分がここに居るのかまだはっきりとは思い出せない。けれども仲間と共に強大な敵に立ち向かい、そして最終決戦を終えた辺りまでは何となく思い出せる。
と、言うことはーー自分は死んでしまったのだろうか......

そんな事をぼんやりと考えていたグラエキアの前に、突如莫大な光のスペクタルが弾ける。闇の空間を全て照らす程の光の波には、様々な形と色の模様が浮かんでは消えて行く。更にその模様の数々は浮き上がって立体になり、キューブ型や星形など、あらゆる形に変形して行く。
そこは、まるで自分が“万華鏡の中”に入ってしまったような、未知のエリアだったーー
それは彼女が知る「絵画」や「演劇」、「パレード」と言った彩度を、それを遥かに超える規模の大きさと強さのある物だった。

「な、なんですのこれは!? どうすればいいんですの!?」

身構えるグラエキアの周りの全ての空間に、万華鏡のような変形する模様が形作られては崩れて行くーー
そしてーーその模様と立体は更に形を変えてーー次に形作ったものは、様々な【生き物】達だった。

周囲の空間は青く染まっていき、グラエキアの手前を、胞子のように小さな生き物達が泳いでいく。
そう、ここはまるで海に中のような空間だ。
普段は見えないとても小さな微生物達の身体が、今のグラエキアにははっきりと見ることができた。
更に生き物の誕生は続くーーウネウネと泳ぐ小さなヒモ状の生き物を、少し大きな魚のように進化した生き物がグラエキアの前を追いかけて行く。その向こうでは沢山の小魚達が集まり、魚群を形成していた。小魚達のウロコが光を跳ね返し、海の中に銀幕のカーテンが虹色の光を放ってはためいている。
彼女が重力に引かれて落ちてきた海底に出来た白い砂浜には、堅そうな甲殻類達が砂の上を歩き回っている。
さらに深い青の奥から現れたのは、大樹のように大きく成長した珊瑚の森だ。色とりどりの美しい珊瑚の森は、まるでこの地球上の場所じゃないみたい。
そしてーーグラエキアの頭上、珊瑚の森の上には、沢山のイルカの群れが泳いでいた。


「ーー」


グラエキアは言葉を失っていた。圧倒的なスペクタルで自分の五感に入り込んでくる、膨大な情報。まるで自分は人を超え、別の何かになったような気分。
見渡す限りどこまでも続く美しい世界の中心に1人だけポツン放り出されたグラエキアは、その変わりゆく世界をただ呆然と見つめる事しか出来なかった。

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.149 )
日時: 2019/02/20 05:49
名前: 名無しのアキラ (ID: W4YQ7qxk)

メガ過疎ってんな

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.150 )
日時: 2019/02/20 12:07
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: 86dhFG8A)

こんにちはー!(^-^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.151 )
日時: 2019/02/20 12:17
名前: モンブラン博士 (ID: KkfHXLxA)

名無しさんへ
今日はバイトが休みなので色々書き込みができそうです!

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.152 )
日時: 2019/02/20 13:19
名前: 名無しのアキラ (ID: ze5eguY6)

四季さん、モンブランさん

にんにちは〜(^^)
そしてモンブランさんアルバイトお疲れ様です(^^) 是非お金を貯めて、創作活動に必要なものやイベント、オフ会へ使ってくださいw

自分は最近は......ゆっくりですが合作の方を進めさせて頂いております
でも資格勉強とかもそろそろ始めなきゃいけないので、この合作終わった後はしばらく小説書きはお休みかな
ただやっぱり「次回作(しかも多分合作)」に向けて、設定やイラストをしっかり書き溜めて行こうと思ってますw

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.153 )
日時: 2019/02/26 14:28
名前: 名無しのアキラ (ID: gGD5WQGQ)

ーー深い微睡み。エンジェリカの天使、エリアスもまた、「夢」を見ていた。
目の前によぎるフラッシュバックにような光景、それを傍で見つめるーー
白い暖かな光の中から声が聞こえるーー


『この世に生まれし“戦乙女(ヴァルキュリア)”よ、この【聖槍】をもって人々を導くのですーー』


「ーーはい、“女神様”」


女神、ヴァルキュリア......聞き慣れた単語、これは一体......
2人の女性の声ーーそしてエリアスを包み込んでいた白い靄が吹き飛び、目の前には巨大な城塞が現れる。
そこでは大勢に兵士達が剣を振るい、殴り合い、吠え、そして血を流しながら戦っていた。
城塞を巡って殺し合う兵士達、しかしその城壁に掲げられた国旗を見上げて、エリアスは驚愕した。

「これは!“ウィンチェバル”!?」

そう、彼が見ているのは、仲間の少女グラエキアの故郷であり、そしてこの後亡国と化してしまう、ウィンチェバル王国と隣国ローヴァンディア帝国の戦いだった。

「殺 せ!皆殺しだ!」

「奴らを入れるな!火矢をあびせろ!」

「そ、そんな......」

エリアスは話では聞いていたグラエキアの故郷を、今この瞬間目の前での殺し合いとなって現れた事により、絶望してしまう。
折り重なるように積み上がっていく骸、血で染まる大地、目を覆いたくなる光景ーー
そんな中、再びあの女性の声が聞こえてくるーー


『ーーこれからは人ではなく“神”を中心とした世界が必要なのです』


「誰だ!?」


思わず振り返りながらその声に叫ぶエリアスーー
しかし気づけば、そこはまた違う世界ーー見渡す限りの砂丘には、複数の黒い忍者装束の男達が横たわっている。その中心にぽつんと立つのは、岩山のような上半身の筋肉むき出しにした大男の姿があった。
彼もエリアスが見慣れた男だった。

「......不動仁王さん?」

エリアスがグラエキアの故郷の風景を見た後は、不動の過去が現れた。
返り血と自身の傷で赤く染まった両拳に不動は俯き、何かの想いに浸っているようだった。


『ーー俺達が幾ら傷つき戦い続けても、常に悪は存在し続ける。真の平和は何処にもないのかーー』


それは紛れも無い、不動自身の心の声だった。
更に世界は暗転しーーエリアスは、見慣れた城内へ移動させられていた。しかし城の広間には瓦礫が散らばり、城壁も崩れてきている。この光景は......そう、そこはエリアスが王女の護衛任務に就いていた「エンジェリカ王城」のものだった。
そして瓦礫の中心に、見慣れたうずくまった少女の姿があった。艶のある金髪に、真紅の瞳ーー

「アンナ王女!」

彼は普段は口にしない、彼女の名前を思わず叫んでしまったエリアス。久々に見た主人の元へ、鳥のように羽ばたいて向かう。
うずくまったまま、ゆっくり顔を上げるアンナ。その瞳は虚ろであり、その下には割れた宝石のネックレスがあった。
そしてエリアスが彼女に触れようとした途端ーーアンナ王女の姿とその周りの風景がガラスのように割れて消え去り、真っ白な空間が現れる。
全ては過去であり幻ーーけれども1つ、“幻じゃ無い奴”がいた。
エリアスの瞳に何かが宿るーー


「“何者”なんだ、“お前”は......!」


エリアスの殺意が籠もった声に、目の前に“光”が現れる。それが何なのかは分からないし、本当の姿なのかも知らない。けれども“彼女”は確かにそこに居た。


『わたしは宇宙の刻が始まる前、即ち“混沌”より出しものーーさあ見せるのです、貴方たちの【答え】をーー』


そこで視界が全て白い光に覆い尽くされ、エリアスの夢は途切れていたーー

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.154 )
日時: 2019/03/04 18:48
名前: 名無しのアキラ (ID: ZmDwsidk)

パシフィックリムとかビートレスのコメ欄に色々書いてる人が大勢いるけど、

スレ主から言わせればあんなのぜーんぶ“お門違い”なんだよなあ

いいですか?

私もカキコで合作を書いてますけど、ロボットアニメに必要な物なんてただ1つですよ

絵や設定なんか全部どうでもいい

それはーー



【ロケットパンチで悪い奴らをぶっ倒す“かっこいいロボット”】



ただ1つ!

それが【男】なんだよ!

絵や設定に愚痴ってる奴は三流以下のゴミ!

はっきりわかんだね

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.155 )
日時: 2019/03/04 18:52
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: FLmZUaaw)

>>154
『目からビーム』も欲しかったりする……(隙自語)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.156 )
日時: 2019/03/04 19:01
名前: 名無しのアキラ (ID: cNHm02n.)

目からハイドロポンプ?(本格的♂作品違い)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.157 )
日時: 2019/03/04 20:44
名前: 名無しのアキラ (ID: cNHm02n.)

エリアスとグラエキアは飛ばされて来た庭園の道の途中で立ち止まり、互いに見た同じ夢について語り合っていた。
それはこの星の始まりと、人の業のようなものだった。
そして再び歩き出しーーエリアスの方が何かを感じ取る。

「グラエキアさま、この先、何者かの気配を感じます」

「ほんとうに?」

彼の言葉にグラエキアが袖から闇の鎖を少し伸ばした。エリアスも「慎重に行きましょう」という言葉を添え、彼女の前に立つ。
そして進んで行くと庭園の間に十字路があり、そこに「彼女」はうずくまっていた。
腰まで届く長い銀髪を頭の後ろの高い位置で結んでる、1機のヴァルキュリア。白を基調とした衣装にはピンクのラインが走っているデザイン。
そのヴァルキュリアも顔を上げ、そしてエリアス達の顔を見て驚いた。

「ソルさん!?」

エリアスとグラエキアが、銀髪のヴァルキュリア、ソルへ駆け寄ってくる。
ソルは身体に目に見えるダメージこそ無いものの、少し衰弱してる様子だった。そしてよろよろと立ち上がる。

「エリアス、グラエキア......貴方達もですか。ここは一体......」


『どうやら、お前達も閉じ込められてしまったみたいだなーー』


男の声に振り向くと、庭園の木々の間から岩のように大きな影が姿を現わす。逞ましい上半身に迷彩服のズボンを履いた大男、不動仁王だ。
更にその影からひょこりと小さなメイド服を着た少女が現れる。異世界からやって来た学生の嘉元だ。

「無事だったかい、それよりも......そこの柵の向こうを見てごらんよ」

嘉元がソルの向こう側にある柵を指差した。蔓が巻きついた鉄の柵。ソルは近づき、そこから少し身を乗り出すとーー

「ーー! なっ!」

ソルは慌てて身を引っ込めた。グラエキアとエリアスもそっと柵に近づき、そして“下”を見た。
ーー何もなかったのだ。この庭園は空中に浮いていることが判明する。
しかもこの世界、地上はなく、地平線の先までどこまでも灰色の空と雲海が続いているようである。
正に一種の「あの世」のような光景だ。

「レーダーのエコーが帰ってこないのはおかしいと思っていましたが、“そういう事”ですか。この世界、【どこまでも何もない空間が続いている】」

「ふーん、じゃあその柵の向こうへ落ちたら最後、永遠に下に落ちていく訳かね」

「......想像しただけでも肝が潰れそうですわね」

ソルと嘉元の言葉に、グラエキアが震え上がる。
一方、不動とエリアスは、同じ方向を見つめていた。その視線の先には、小さな一軒の建物がある。霧の中にある小さな協会のような建物の窓からは、微かにロウソクの灯りが漏れていた。
この空中庭園の中心部辺りにあるそれ以外にはここに建物はない。この世界唯一の“人はいそうな場所”だ......

「......行くなら、あそこしかないか」

「ええ」

不動とエリアスに続き、ソル、グラエキア、嘉元も後に続く......
世界の果て、この先に待っている物とは、いったいーー

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.158 )
日時: 2019/03/04 22:27
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: NIpdS5dg)

>>156
 そんな語録があったのか……(困惑)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.159 )
日時: 2019/03/05 01:18
名前: 名無しのアキラ (ID: tKTo6QVc)

>>158
確か野々村竜太郎がしゃしゃり出て来た頃からよく聞いた気がする
「泣き男」ってな感じに

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.160 )
日時: 2019/03/05 02:18
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: 9.lDVonE)

>>159
 成程なぁ。

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.161 )
日時: 2019/03/05 07:56
名前: 名無しのアキラ (ID: tKTo6QVc)

複ファの合作スレ参照えらいことになってんなw

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.162 )
日時: 2019/03/05 19:36
名前: 名無しのアキラ (ID: AcJJiwUc)

ソル達は庭園の中央にある小さな教会のような建物の玄関まで来た。木製で模様の掘られた両開きの扉は微かに開いており、中からロウソクの灯りがこぼれてくる。
中には机や棚などが見え、沢山の物が置かれているようだ。人気はない。

「わたしが行きます......」

まだ体力が回復しきっていないソルが、ヨロヨロと扉の前まで来る。そして右手で太もものホルスターから拳銃を抜き、左手で扉をノックしようとする。
エリアスと不動が「いや自分に任せろ」と言う前に、ソルは扉を叩いた。

コンコン......

「失礼します、どなたかいらっしゃいますか?」

返事はない。

「失礼、入りますよ」

そしてソルは扉を開き、すぐさま拳銃を構えて扉の周辺に敵がいないか確認する。その手際の良さは流石だヴァルキュリアだ。
閉所での近接戦闘や危険の察知能力は他の種族よりも高い故に、体力があるか無いかなんて関係ない。
そして開いた扉の向こうにはーー

そこは「工房」のような建物だった。中はロウソクの灯りと暖炉によって暖かく、居心地はいい。しかし曇った鏡など、かなり古びた印象もある。
並べられたチェストの上には木製のフレームに金属製のネジやバネ、歯車が組み合わさったオブジェのようなものが並んでいる。組み立て途中の物もあり、まるで昔の発明品のようーー
と、嘉元が近づいた手前の組み立て途中の発明品の部品の1つが、重力を無視してふわりと浮き上がる。

「うわっ!」

慌てて仰け反る嘉元だったが、その部品はまるで意思があるかのように、発明品のハマるべき部位の所まで飛んでいき、カリャリと合体する......
人がいないのに勝手に動く部品......各々は警戒しつつ固まる。
気づけば、周囲の組み立て中の発明品部品が、チェストの中や机の上から勝手に浮かび上がっては、工房の中をふわふわ飛び回っては合体していく。
机の引き出しやチェストの蓋も勝手に開き、設計図らしき本のページも勝手にめくれていく。
まるでそこに何かがいるように......

「何ですかこれは......気味が悪い」

「だが、害は無いようだなーー」

拳銃を握りしめるソルの横を不動が通り過ぎて、工房の奥へ進んでいく。
ロウソクで照らされた内部を進んでいくと、一番奥まで到達した。
そこには本棚がいくつか並び、真ん中には木製の祭壇のようなスペースがあった。脇のテーブルには、まるで今いれたばかりのような紅茶の入った銀にカップとポッドが置いてある......
湯気に乗って紅茶の香りが部屋に漂う中、一同は祭壇へ近づいた。

その上にはーー製本中の紙や、インク、ペン、筆、絵具などが、さっきまで誰かが作業していたかのように置いてあった。

「ーー気が引きますが......これも調べてみましょうか」

ソルが手前にあった本に触れるーーと、その瞬間、パサりと勝手に本が開き、ページがめくれていく。
そして白紙のページで止まった。
そしてーーそのページに誰も筆記用具も使っていないのに、勝手に文字や絵が浮かび上がっていく。そしてページ一杯になっては、また次のページにめくれ、そして何かが描かれていく......


“ここは天界の王国......建国記念日の前夜祭として恒例の王女の誕生日パーティは、悪魔による襲撃の被害が大きく、開催は困難......”


「ないだいこれは? おとぎ話かい?」

「こっちにもありますね......気味が悪い」

嘉元とソルは祭壇の上で自動的に書かれていく文章と絵を見て回っていた。


“この小さな王国には資源が豊富であり、幾度となく隣国の侵攻を受けながらも、その優秀な魔導士部隊の活躍によってこれを退けてきた。そして今回の侵攻に対し、初となる「天使」の召喚を試みた試みた魔導師は......”


“外宇宙からの地球へ対する猛攻は増すばかりだ。新たなる仲間を得た同志達だが、敵の襲撃が再びすぐ間近まで迫っている。こちらの戦力はたった四人、さてどうしたものか......”


ソルと嘉元が本を見つめる中、その後ろでは不動とエリアスとグラエキアが固まっていた。
その異変にソルが最初に気づき、声をかけようとした時だった。


「これは......“俺たちの世界”の話だ」


不動の言葉に嘉元とソルは声を上げる。

「ええ、確かに。しかもこの本、私が居た時よりも遥かに“未来”の事も書かれているようですね......」

「なんて事ですの......まさかこの本に書かれている事が、今の私達の世界だとでも?」

「何ですって!?」

エリアスとグラエキアの言葉に、ソルは文章を瞳の“スキャナー”の機能を用いてキャプチャーし、解析を進め出す。
更新されていく複数の謎の本、そして、すぐにソルはその本の特性に気づいた。

「ーー! 待ってください、この本......物語が途中でいくつか“分岐”してるようです。しかもそれぞれ話の結末が違ってきてます」

「何だと? おいガ......いや、ソル、それはどういうことだ?」

なにかを言い直した不動。

「恐らくーーこの本は、皆さんの世界の『世界線』、即ち【未来を予知した結果】を書いてるようです」

「“ふかし”じゃないのかい?」

ソルの予測に嘉元が尋ねるが。

「いえ、恐らく事実でしょう。心当たりがあるものも中には書いてありーー」

エリアスは言葉を途中で遮り、工房の奥の裏口へ視線を向ける。それとほぼ同時に不動も同じ場所を見た。


「ーー扉の向こうに“何か”居ます」

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.163 )
日時: 2019/03/05 19:42
名前: 名無しのアキラ (ID: AcJJiwUc)

お知らせ

この後の合作で訪れる場所は、工房の奥にある「扉の向こう」
そして旧市街の広場の2つのみです
扉の向こうには今合作で最後に出会う人物(っていうか先に登場した上位者というキャラの本体)がおり、またこの世界の成り立ちが分かるという最後です
旧市街の広場では合作のエンディング(お別れ)があります

戦闘描写はもうありません、もうすぐ終わりますので、どうかもう少しお付き合いよろしくお願い申し上げます。
待たせてごめんなさい、でももうすぐ必ず完結させます!

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.164 )
日時: 2019/03/05 20:17
名前: モンブラン博士 (ID: OFC/9big)

名無しさんへ
完結楽しみにしています!ロケットパンチがお好きということは、名無しさんもマジンガーZが好きなのですか?
あれは男のロマンですよね!!

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.165 )
日時: 2019/03/05 22:16
名前: 名無しのアキラ (ID: AcJJiwUc)

モンブランさん

こんばんは〜
自分マジンガーZは見た事ないのですが、ゲッターロボとかなら少し見たことありますよ!
ゲッターロボはちょいグロですが面白いですよ〜(^O^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.166 )
日時: 2019/03/06 22:42
名前: 名無しのアキラ (ID: CVb/7G0A)

ソル達は恐る恐る工房の裏口を開けたーーすると眩しい光と同時に、少し癖のある甘い香りがどっと部屋の中へ入ってくる。
そして裏口の向こうには、一面に広がる“百合”の花畑があったのだ。しかし先ほどエリアスや不動が感じた気配の主は見当たらない。

「誰もいない......? この光景が“世界の果て”なんでしょうか......」

「そうですね......確かに先ほどは何者かの気配を感じたのですが......グラエキア様、見てください。奥に何かありますよ」

エリアスがグラエキアの後ろから声をかけ指を指す。花畑の中央ーー光を反射して銀色に輝く竿状の物が刺さっていた。
機械的な形状のそれを見たソルは声を上げる。

「あれは......まさか“オリジナルのグングニル”!?」

「グングニル......確かお前の仲間のイクリプスとかいうガキが使う神槍の事か」

ソルの言葉に不動も反応した。一同はゆっくりと花畑の中央へ歩き出す......

「ええ、ですがあいつ......イクリプスの使うグングニルは彼女の能力の産物である“複製品”即ち『コ ピー』です。オリジナルのグングニルは“神界”に存在するとされますが......

「へえ、じゃあアタイ達は神様の家にお邪魔させてもらった訳かね......ん? ちょっと待ちな、なんだい“コレ”は......」

グングニルを目前にし、一同は嘉元の言葉で立ち止まる。
ーー花畑の中央は少し土がドーム状に盛ってあり、花はなく土が露出していた。その中央にはグングニルが地面に突き立てられており、“その手前”......地面に“奇妙な石ころ”が置いてある......
大きさは果実のメロンほどだろうか、白く角ばった石ころには、所々に正円と思われる穴が綺麗にぽっかり開けられており、そこからはドロドロと黒い液体が絶えず流れ出ては地面に染み込んでいく......
この世界に来て、一番不気味なオブジェクトかもしれない......

「......はあ、“これ”も調べましょうか......」

「ソルさん、気をつけて」

発狂要素の連続登場に、ため息をつきながらその石ころへ近づくソルと、グラエキアを庇うように前に出てきたエリアス。
ソルは石ころの手前で片膝を付き、ヴァルキュリアの網膜の機能を使って、スキャンを開始しようとした時だったーー


『ーーヴァルキュリア並びに異界人との接触を検知。“工房”所有権の移行シーケンスを開始する』


「っ!」

何者かの声に、ソルはバックステップで石ころから距離を取り、みんなの元へ戻る。エリアス達も謎の声に警戒し、すぐに円陣を組んでそれに対応するーー
まるで頭の中に直接話しかけてくるような、テレパシーのような声。
が、この花畑にはーー彼ら5人以外には誰もいなかったーー
そして、ソルは、その声の主を一つ推測したーー

「......“お前”なのか?」

ソルは、手前に転がる白い“石ころ”に向かって話しかける。

『ーー“5名”分の“神座”を生成。ガイダンスに基づき工房の再稼働を実施せよ』

「ちょっと待てー! 誰だ“お前”は! ここは何処!? 何者なんだお前は!」

ソルは拳銃を抜き、石ころに向けた。

『ーー質問へ回答する』

「なんだいコイツは......もはや生き物でも機械でもないじゃないか。気持ち悪いねえ」

嘉元が石ころをジト目で見つめる。

「ただの石ころの分際で俺に指図するとは! ソル、こんな気味の悪い物は破壊させてくれ!」

「まあまあ不動さん落ち着いて」

理不尽な理由で怒る不動を宥めるエリアス。
真っ白い石ころは相変わらず所々に空いた穴から黒い液体をドロドロと流しながら、テレパシーのような方法で頭の中に直接話しかけてくる。

『ここは宇宙が誕生する前から存在する空間【最初の古工房】という場所だ。この空間は“時間が完全に停止”している為、君達は擬似的に不老不死になっている』

「なんですって......? 工房......さっきの建物の事か......それで、お前は?」

時間停止や不老不死に関しては、ソルには心当たりがあった。ソルの体内時計によると、彼女達がここに来てから既に約2400万年が経過してるという結果が出ていた。けれども時間が停止しているにも関わらず、自分たちが自由に動ける理由などは、最早理解できるレベルではなかった。
彼女は石ころへ拳銃を向けたまま質問を続ける。

『私に名前は存在しない。ただ工房の“前任者”から、ここの管理を引き継いだだけの存在に過ぎない。私が起動した時には、前任者は既に“高次元”へと旅立った後だった。故に前任者についての情報もここにはない。今は私がこの工房の管理をしている』

「あらまあ、それはお疲れ様ですわね。それで? 貴方達はこんな場所で一体何を?」

グラエキアが皮肉も含めた上で尋ねたーー


『ここでは【世界】を作っている。そしてーーこれからは【君達が望む世界】を作るのだ』

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.167 )
日時: 2019/03/09 18:20
名前: 名無しのアキラ (ID: j6IsXiE6)

テラ過疎ってんな

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.168 )
日時: 2019/03/09 19:50
名前: モンブラン博士 (ID: wGlnOXyE)

名無しさんへ
個人的には少しずつ新しいスレが立ってきたような気がします。特に二次創作(総合)では……

Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.169 )
日時: 2019/03/09 20:05
名前: 名無しのアキラ (ID: E1Za0.9Q)

モンブランさん

確かに二次創作板系は盛り上がってる気がする
うらやましい

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.170 )
日時: 2019/03/12 20:14
名前: 名無しのアキラ (ID: z4ONdzY2)

白く角張った大理石のような石ころから告げられた言葉に、一同は困惑した。

『ーーここでは君たちの世界の“歴史”を、君たちが望むように“修正”する事が出来る』

工房の方から、いくつかの魔道書が飛んで来て、石ころの周りで円を描くようにフワフワと舞い始める。そして開かれるページの数々には様々な世界の光景が描かれており、それらはまるで現実のように動いて形を変えていった。それらはどれもとても安定した、平和で、争いのない世界だったーー

『私は“戦争のない平和な世界”を実現すべく、様々な世界を構築してきた。しかしーー』

魔道書のページがめくれて行くにつれ......どの世界も滅びの一途を辿っていったーー

『それは不可能だった。人間から争いを取り上げると、人は“死滅”する』

「それは解せませんわね」

グラエキアが怪訝な表情を浮かべる。

『それは“戦う事”こそが【人間の本質】だったからだ。幼い子供のおもちゃの奪い合いから、国家同士の戦争まで、人間は戦いを取り上げられると生きていけない』

「石ころの分際で人間を語るな!このクソガキが!」

不動仁王が怒鳴り散らすが、そんな彼らの前に、いくつかの魔道書がピタリと止まる。それは不動仁王の故郷の光景、そして他の一同の故郷の光景であったーーどれも平和の影には、必ず争いが、そして戦争が絶えなかった......
エリアスの天空の故郷、エンジェリカは、最早その発端すら殆どの人が知らない戦争を数百年と続けてきた。
一方、グラエキアの故郷ウィンチェバルは、召喚されたとある存在によって消し飛び、某国と化す。今は人は減り、君の悪い魔物達が増えるばかりだ。
不動仁王の故郷も、暗黒星団の侵略者達と戦う日々が続く。

『現に“君たち”がそうだ』

その後また別の魔道書が一同の前に止まる。それは今まで自分たちが飛ばされてきた、ソルが居た異世界の光景だ。
ーー彼女の世界には人間とヴァルキュリアという二つの種族がおり、違いに住処を分けて暮らしていた。人間はその行動力で大地を開拓し、ヴァルキュリア達はその科学力で地中や海中、そして宇宙に1000mクラスの「アーコロジー」と呼ばれる巨大な建築物を建造して、お互いにあまり干渉しないように生きてきた。
しかし......人間はヴァルキュリア達から貰った技術で戦争を繰り返し、人を、そしてヴァルキュリア達をもその戦果に飲み込んでいく。
次第にヴァルキュリア達も反撃を始め、ソル達のような戦闘に特化した“ソルジャー”タイプによる「ヴァルキュリア部隊」が誕生してしまったのだ。
しかしこれは上位者達が意図的に生み出した、今までの戦争の発端である。

『そこで私は【計画された戦争】を永久に繰り返す世界を構築する事にした。その為には上位者の力と人の心を持ち、そして永遠に戦い続ける事が出来る“駒”が必要だった』

開かれたページには、空から落ちてくる、完全な防護と光の武器を持つ天使のような姿が描いてあったーー


「“ヴァルキュリア”......」


それは呟いた彼女、ヴァルキュリア・ソルが一番よく分かっていた事だった。
ソルが生まれる数千年前、ヴァルキュリアのご先祖様達と人類が遭遇した頃から、既にこうなる事は上位者達によって仕組まれていたのだ。まるで人間と戦う為に生み出されたような種族・・・しかしーー

「でも残念でしたね。ソルさんは貴方達の思い通りにはならなかった」

「そうさ、人類とヴァルキュリア、そしてあたし達“異界人”が手を組んだら怖いもの無しさ。観念しな!」

エリアスと嘉元が石ころの前に立ちはだかる。

『君達の力は計り知れない。君達は人に生れながらも人を超え、そして人を失っているーー君達は別の形の【上位者】であると認めざる得ない』

石ころは再びエリアス達の世界が描かれた魔道書を手前に持ってきた。


『ーーその“上位者”の力で、君達の世界の未来を書き換えてくれ』

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.171 )
日時: 2019/03/12 21:05
名前: モンブラン博士 (ID: LlGxaR3g)

まあ不動は既に人の力を大きく超え、人間らしい感情もかなり失って怒りでしか感情を表すことができませんからね。怒りの権化とは言え、少し可哀想な気もしますが……石に上位者であると認められたってことはある意味で不動はスターを超えて師匠超えを果たしたのかもしれませんね!

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.172 )
日時: 2019/03/12 21:58
名前: 名無しのアキラ (ID: z4ONdzY2)

モンブランさん

コメントありがとうございます!
次回でほぼクライマックスというか、核心へ近づきます!
是非読んでください!!

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.173 )
日時: 2019/03/12 22:00
名前: 名無しのアキラ (ID: z4ONdzY2)

グラエキアの手前に、再び彼女の故郷であるウィンチェバルが描かれた魔道書が飛んでくる。現実と寸分違わない光景が広がるが、これはまやかしだ。グラエキアは目を背けようとした時ーーそこに一瞬、目にとまるものが映った。
それは見慣れた王宮の中、自分とその両親が楽しげに会話しながら食事をしている光景だった。
しかしそれはあり得ない光景だ。ウィンチェバルは今は亡き王国、王族も殆どが死に絶えた。
けれどもその光景はーー有り得ないけど、正に本物のようにリアルだった。

グラエキアが目を反らせずに、まるで魔道書に意識を吸い込まれていくように見ていると、後ろからエリアスがそっと声をかける。

「グラエキア様......これは現実ではありませんーー」

『それは間違いだ。魔道書に書いてる事は全て、この“最初の古工房”の力を用いて、オリジナルと寸分違わない精度で【実現】できる。それは最早オリジナルと言える』

石ころが「“好きなように未来を変えられる”」と語ると、そんなエリアスの前にも1冊の魔道書が飛んできて開かれる。そこには自分が忠誠を誓った王女が、何の不自由もなく自分の職務を遂行し、そして自分へ笑みを浮かべてきているのだ。「エリアス!貴方と一緒なら、私も頑張れるわ!」と言ってるように......
久しい理想の王女の姿に、エリアスも一瞬心を奪われる。

更に不動仁王に前にも魔道書が......開かれたページには、散っていった筈の仲間達が、こちらに振り向いて手を差し伸べていた。「これからも共に戦おう!」と言ってるようだ。

「ーーここなら......わたくしの王国を救えるんですの?」

「グラエキア!」

グラエキアが呟いた言葉に、不動がならぬと檄を飛ばす。

『君がそう望むなら可能だ。“王国が滅びなかった”世界線で、また新しい世界を構築すればいい』

俯くグラエキア。

「ーーわたくしは、王族の血を引く者として、祖国の為に忠を尽くさなければいけません」

「アンタねえ! だからと言ってこんな石ころにお願いしてまでやる事はないだろ!」

「っ! 祖国の為なら、わたくしはこの身だって捧げる覚悟でしてよ! その為なら何だって......」

嘉元に問い詰められても、グラエキアは相変わらず反論してくる。しかしその瞳には涙が浮かんでいた。


「ーー何か、引っかかりますね」


一同が動揺する中、ヴァルキュリアのソルは真逆に冷静になっていた。ヴァルキュリアはピンチになると冷静になる習性があるのだ。
ソルは一同を掻き分けて、石ころの前まで来た。


「ーー貴方、さっき“オリジナルの世界”と言いましたよね? もしもこの工房で“私達が望む世界”を作り上げたなら“元の世界”はどうなるんですか?」


『ーー』


ソルがふと投げた質問に、石ころは、暫く答えなかった。今までどんな質問にも直ぐに答えてきたが、この質問は想定外だったのか、処理に時間がかかるのか、それとも......“相当都合が悪かった”のかーー
その光景に、相当してた一同も治り、少し我に返ったようだ。冷静なヴァルキュリアのソルは、居てくれるだけでも仲間を落ち着かせてくれる。
そして石ころが再び回答しだす......

『ーー質問に回答する。元の世界は“そのまま”時間軸が経過していく』

「やっぱり......こいつの能力では“オリジナル”の世界には干渉できないんだ......」

「ソル? それはどういう......」

グラエキアがおろおろと聞く。彼女にあるまじき姿だ。

「グラエキア、この石ころの能力はあくまで【“世界のコ ピー”を作って、それを自由に編集する】だけ......つまり、貴方が居た“本物の世界”を救う事はできません」

「なっ、そんな事って......」

崩れ落ちそうになるグラエキアを、そっとエリアスが受け止めた。

『最初の古工房で作成した世界は、オリジナルと完全に同じ世界だ。そこには最早“オリジナル”と“コ ピー”の違いは存在しない』

「それは......“彼女が救うべき故郷”ではない......!他も全部同じだ!作り物だ!」

不動の言葉と同時に、グラエキアはそっとエリアスの腕から起き上がる。その表情には、いつもの余裕のある凛とした笑みが浮かんでいた。

「ーーわたくしも、甘い夢を見たものですね」

その後直ぐにグラエキアは、石ころへ鋭い視線を向ける。
そして5人は石ころへ迫った。そして互いに顔を合わせ、全員が出した【答え】をソルが石ころへ突き出した。



『さあ“チェックメイト”です。私たちはーー

ーー【最初の古工房を破壊する】!』



猛禽類のような瞳で石ころを睨みつける不動、「腹くくりな!」と睨みつける嘉元。
ーーしかし、石ころは冷静なままだった。

『ーー最早、君達の思考は理解出来ない。しかし、その命令を遂行する事は可能だ』

石ころは続ける......

『ーーそこにある「グングニルの槍」を抜けば君達の“答え”は達成できる。この空間の力の源は全てその槍だ。供給元を失うことによって最初の古工房は破壊され、枷が無くなった君達全員が元いた世界へ送還される』

「グングニル、これがーー」

全ての元凶......
そしてソルがグングニルに手を伸ばした時、石ころが更に続けたーー





『ーーしかしヴァルキュリア・ソル、君はこの最初の古工房とも特に繋がりが強い人物だ。
ほぼ君を中心にループ世界が構築されていたと言っても過言じゃないーー






ーー故に、そのグングニルの槍を抜けばーー





ーーヴァルキュリア・ソル、君は【この世から消滅する】』

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.174 )
日時: 2019/03/13 17:13
名前: 名無しのアキラ (ID: NfizQ6NQ)

こんにちは

合作の最新話を複ファ本スレにて更新完了いたしました
完結まであと少しです
また荒らしっぽいコピペが至る所に貼られておりますが、スルーでお願いします
(有志の方々が既に通報済み)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.175 )
日時: 2019/03/13 17:29
名前: 名無しのアキラ (ID: NfizQ6NQ)

もうリク依頼板と雑談掲示板を合併してもいいのではなかろうか。
両方とも過疎りすぎて、最早分けておく必要がなくなってきている。
リク依頼板に関しては息してるスレが5個ぐらいしかないし。

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.176 )
日時: 2019/03/16 20:40
名前: 名無しのアキラ (ID: tcjbQJAs)

テラ過疎ってんな

とりあえず合作のX章完結→次回からエピローグです



石ころがソルに告げた言葉は、いわば“自己犠牲”だ。
ーー時空の狭間にあるこの空間“最初の古工房”に一度入った者は永遠に老いることはなく、そこから様々な次元へ干渉できる、正に“神”になるようなもの。そしてそこから生まれた新種族“ヴァルキュリア”は正に天使のような存在だった。
その中でも彼女、ヴァルキュリア・ソルは特別な存在であった。上位者たちが作り上げたループ世界の中でも、彼女だけは全てのループの“記憶”を引き継げた。それは彼女を中心に世界のループが回っていたからである。

故に彼女はこの最初の古工房との繋がりは最も強い。それを断ち切ればどうなるかを想像するのは容易いだろう・・・

「またデタラメかい! いい加減にしな!」

『私の答えに間違いはない。それはヴァルキュリア・ソル、君自身が一番理解している事だ』

ブチギレる嘉元に淡々と返事をする石ころ。だがソルは何かを悟ったように沈黙していた。

「ーー別の道を探しましょう。もう、この石ころの言うことは当てにならない」

「全くその通りですわ! 今後この石ころは喋れないよう、私の闇の鎖で縛っておきますわ」

ーー最初の古工房がある限り、世界のループは続き、どこもかしこも戦争が繰り返される。その庭園の中心にある神槍“グングニル”を抜けば、工房は破壊され、もう二度と世界の悲劇は繰り返されない。
しかしそれには、掛け替えのない仲間であるヴァルキュリア、ソルの犠牲が必要だ。


「ーーもう、いいです」


そう言い残し、スタスタとグングニルに歩み寄るソル。
一瞬唖然とした空気に飲まれるが、すぐに一同は行動に移す。

「どうせ私は“悪役”です、皆さんだって私の事が本当は好きじゃないんでしょう? 戦争で多くの人を殺めた私に、戻った所で居場所はないです」

「なんだと!? ふざけるな! そんな勝手は俺が許さん!」

そして真っ先に駆け出した不動がソルの肩を掴むが、彼女はそれをするりと抜けるとーー
一同に向けて拳銃を構えたーー
しかしそれ以上に驚いた事が一同にはあった。
ソルは、涙を流していたのだ。

「これは、ヴァルキュリアの使命......こうなる事は、私が一番良く理解していました。全ては、私達が始めてしまった事ーー」

ソルの手は震えていた。

「ーーそうですか、分かりました」

「ちょっと、エリアス!?」

エリアスの返事に、グラエキアが驚きを隠せない。
しかし彼は何かを悟ったように語り続ける。

「それが貴方の使命ならば、私は止めません。けれどもーー」

エリアスはその青い瞳でソルを捉えながらーー


「ソルさんは“悪役”なんかじゃない。貴方は多くの人を導き、そして救った『英雄』だった。その行いに、決して間違いはない」


彼もまた、拳を固めていた。

「勝手にわたくし達を呼んで、勝手に一緒に戦わせて、そして最後は勝手にいなくなっちゃうなんて......ヴァルキュリア・ソル! わたくしは、貴方のことを一生許しませんことよ!」

ビシッと指差すグラエキアも、少し涙を浮かべていた。

「アンタ、本当にそれが終わりでいいのかい!? アンタにだって、もっと幸せになる権利だってあってもいいじゃないさ......」

嘉元の言葉にソルはーー


「ーーいいえ、嘉元。私は“世界で一番幸せなヴァルキュリア”でしたよ。みんな......ここまで一緒に戦ってくれて、ありがとう......」


こんなに心から感謝の言葉を言うのはいつ以来だっただろう。ソルは少し胸に詰まる物がありながらも嘉元の言葉へ答えた。

「......いい旅をな、ソル。俺は、お前が戻って来るまで、悪と戦い続けるぞ」

「ふっ、ええ......」

不動の言葉に、いつもなら「馬鹿ですか」と返事をする所なのだが、今回だけは彼女は笑みを返した。
そして一歩槍に近づいた時だった。ソルはふと何を思ったのか、彼女は制服の首元にあるマゼンダのリボンをしゅるりと解くと、それをエリアス達へフワリと投げた。そしてそのリボンは、丁度グラエキアの腕の中へ落ちる。

「ーーそんな物しか残せないけど、それを皆んなへ渡して下さい。“いつでも、そばにいる”って......」

そしてソルは手前の“グングニルに手をかけーー




「ーーさよなら」




そう言い残し、そっと引き抜くーー

そこから辺りを白い閃光が全てを包み込み、何もかもが消えていったーー

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.177 )
日時: 2019/03/16 20:49
名前: モンブラン博士 (ID: eLd/wVUA)

ソル、消滅しちゃったんですか!?もし本当に消滅したとなったら不動はかなりショックを受けると思います。何しろ長い間、一緒に行動したり敵対して一騎打ちしたりと絡む機会が多かったですから、彼にとってソルは心の中でカイザーやシャドウやヨハネスたちと並ぶ友だと思っているはずです!X章の完結おめでとうございます!いよいよエピローグですね!

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.178 )
日時: 2019/03/16 21:26
名前: 名無しのアキラ (ID: yeUBzBdY)

モンブランさん


こんばんは〜(^^) そう言っていただけると、ここまで苦労した甲斐があった気がしてきましたw ありがとうございます、とても嬉しいです(^^)

一応若干ネタバレですが
最後、全ての元凶である最初の古工房が破壊され、世界のループは停止、クロスオーバーとして参戦していたオリキャラ達は鎖を断ち切って自由になり、皆元の世界へ送還されていきますが......
これにより歴史は修正され、最後は全てのオリキャラがお互いにお互いの事を何もかも【忘れてしまう(※歴史が修正され、そもそもこの合作の物語は全て“無かった事”になる)】というラストを予定しています
(まあ強いて言うなら、もうこの物語を覚えているのは皆さん【カキコ民】のみって感じで......w)

オリキャラ達は全員元の世界へ戻り、全てを忘れてまた何事もなかったかのように元の物語で活躍し始めます
けれどもこの合作での経験は残っており、それを糧に強くなって生きていく......
またヴァルキュリア達も全員が異界人との出会いを忘れてしまい、今度はまた何事もなかったかのように、人間達と共存の道を歩んでいく......
けれども、彼らの邂逅の名残の様なものはどこかに残っており、皆んな“なんとなく”、まるで夢の様な感覚でぼんやり覚えている......って感じにしようと思ってます

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.179 )
日時: 2019/03/16 21:34
名前: 名無しのアキラ (ID: yeUBzBdY)

また今後の私の活動の予定ですが、まず1年間は引退します。
理由は資格勉強等もありますが、2020年に向けてちょっとまた新しい合作をやってみようと思ったからです。
ーーと言うのも、実はこの後近日公開する合作のエピローグ【禁断の章】のラストにて、
この世界にとある“異変”が起きます。それが、この2020年に始まる、新たなる戦いのフラグになる......って感じにしたいです(^^)
およそ【1年】という長い準備期間を設ける事により、次回の合作は今作とは比べ物にならない規模で行ける筈です(^^) また1年間準備する事、更にそもそも“この合作を完結させた経験”のバックボーンもあるので、この2020年の合作はより現実的になって来ると確信しています。
(ちなみに今作はほぼ何も準備しないで始めました......ここまで来るのに、かなり皆さんに助けて頂きましたすいません)

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.180 )
日時: 2019/03/16 21:41
名前: 名無しのアキラ (ID: yeUBzBdY)

と、ここまで長々と書いてきたけど......

もうスレ主は人生を創作に捨ててるな(笑)

ーーもう人間辞めてるわ......


>>179の話なんかも、日本のバブル時代に提唱されてた【ハイパービルディング計画】にかなり近い構想だわ

ーーついにスレ主も“狂人”の領域に突入したか?(笑)

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.181 )
日時: 2019/03/17 21:28
名前: 名無しのアキラ (ID: BoHMDKlU)

一時期うちの合作の参照の伸びがおかしかったけど、つい最近はだいぶ落ち着いたな
絶対誰か5ちゃんとかTwitterに合作のURL貼ったんだよなあ(名推理)はっきりわかんだね()

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.182 )
日時: 2019/03/17 22:33
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: TrDpH2mI)

こんばんは!
合作人気があるのですね!

Re: 【暫定】V計画【X章完結→エピローグへ】 ( No.183 )
日時: 2019/03/17 23:20
名前: 名無しのアキラ (ID: T0Q2d2cc)

人気ある(意味深)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.184 )
日時: 2019/03/19 23:25
名前: 名無しのアキラ (ID: DkwJA1fE)

夜の旧市街ーー地面に降りて動かなくなったフレスヴェルグの上には、辺りを真昼の如く照らす白い球体が現れていた。その周辺にはレジスタンスや連合軍、そしてヴァルキュリア達が集まって、その光景を見守っている。
ソル達5人が消えて、およそ2時間が経過しようとしている時だ。
地上ではレジスタンスのリーダー格であるラヴォンとアミラが人間側の軍の指揮をとり、ヴァルキュリア側は居なくなってしまった指揮官のソルに変わり、副隊長のイクリプスが味方へ指示を出す。
フレスヴェルグを包囲し、その頭上に現れた太陽の様に輝く球体の解析に追われる。あの5人はどこへ消えたのか、フレスヴェルグは本当に死んだのか、そもそもこの世界の成り立ちと奴ら、“上位者”の正体とは一体なんなのか......

そしてある時、突然白い球体が輝きながら大きく弾け、そして辺りに白い光の粒子を撒き散らしながら消滅する。衝撃波が街を吹き抜け、それはまさに星の爆発の様な、けれどもどこか美しい光景だった。
その様子を下で見ていた異界人のヴェルゼと、ヴァルキュリアのユキカゼは、フレスヴェルグの異変に真っ先に気づいた。

「ユキカゼ見ろ! フレスヴェルグが!」

ヴェルゼが指差す先。そこには完全に機能が停止したのか、崩れ落ちて行くフレスヴェルグの巨体があった。ボロボロと土塊の様に崩壊し、そして、地面に倒れていった。山の様に大きな巨体だ、それ相応の振動と衝撃波が再び街を駆け巡る。
勝鬨上げる余裕もない、ただただ呆気にとられる人々。

だがしかし、そのフレスヴェルグの手前に現れた“4人”の人影を見るや、人々の表情に一気に明るさが戻る。
白い礼装の青年、黒いドレスの少女、巌の様な肉体の大男、そして白と黒の対比が美しい小さなメイド......


『おおおおおおおおお!』


一斉に上がる勝鬨、そして駆け寄ってくる人の群れーー
そこには多くの人間、異界人、そしてヴァルキュリア達の姿があった。
真っ先に駆け寄った大きな影、金髪碧眼紳士のスターは、不動仁王の肩に手を回しながら叫ぶ。更に他のスター流のヒーロー達の姿もあった。

「無事だったか不動くん! 見たまえ、“我々の”勝利だよ! 君が、いや、君達がこれをやったんだ!」

スターが広げた腕の先では、種族や世界の壁を超え、互いに1つの目的の為に沢山の人々が集まり、皆同じ歓声を上げていたのだ。

「あ、ああ......」

「ーーあれ? 不動さん、どうしたんですか?」

同じくスター流のヒーローの1人、忍者装束の少女、美琴は不動の顔を覗き込むように尋ねる。
しかし今の熱狂の中心にいる不動達は皆、どこか浮かれない様な表情をしていた。
レジスタンスのリーダーのラヴォン達もまた、付き合いの長かったエリアスとグラエキアの元へ駆け寄った。

「おう! 生きてたのかエリアス、グラエキア! 後で一杯やろうぜ!」

「ラヴォン......貴方も、ご無事で何よりですね......よかった」

そしてラヴォンもすぐにエリアスの少し暗い表情に気づく。
そこへ、ヴァルキュリアの一団もやってくる。真っ先に飛んで来たのは、桃色の髪を両サイドで纏めたヴァルキュリアの少女、フェイルノートだ。

「エリアスくん、グラ子ちゃん!ーーあれ、“センパイ”は?」

「......」

手を上げて喜んだフェイルノートだったが、すぐに彼女のセンパイーー“ヴァルキュリア・ソル”をキョロキョロと探し始める......しかし見当たらない......
エリアスの表情から、一部の面子は何かを察し始めるが......
その時、フェイルノートのすぐ後ろにいたヴァルキュリア部隊の副隊長、イクリプスは、何かを感じ取ってふと顔を上げた。
それに吊られて他の面子も同じ方向を見るーー

ーー落ちたフレスヴェルグの残骸の丁度天辺、そこにはーー銀色の髪を風になびかせ、白い竿状の物を手にした少女の姿があった。
誰かが声を上げるよりも真っ先に早く、イクリプスは駆け出し、あっという間に高い残骸を駆け上って少女の前に立つ。
ーー長い銀髪を後頭部で束ねた、赤い瞳の少女。白を基調としピンクのラインが入った戦闘服を着た少女の手には、イクリプスが見慣れた聖槍が握られていた。
「グングニル」。その槍のオリジナルは神界に存在するとされ、この世界ではそのコ ピーしか存在しないとされるが......彼女の手にするそれは......

「ーーソルちゃん? ソルちゃんなの?」

虚ろな瞳の少女は形こそ無二の盟友であるソル・ヴァルキュリアだが、只ならぬ雰囲気に言葉をかける。
少女ーーソル(?)は顔を上げた、イクリプスを目に捉えるとーー

「ーーあれ......イクリプス? わたし、どうして......」

ソルは、片手を額に当てながら、槍を杖にする様に前のめりになる。それをそっとイクリプスが受け止めようとした、その時だった。


『質問に回答する』


ーーと、その声はソルの足元、そこに転がっている、まん丸い、3つの穴が空いた“石ころ”からした。否、声と言うよりはテレパシーの様に、一同の脳に直接メッセージを送る様なものだった。
そして、その白いまん丸い石ころを見つけたソル、エリアス、グラエキア、不動仁王、そして佐治嘉元の5人は、表情が一瞬強張るとーー


『ぎゃあああああああああ!?』


全員が一斉に発狂しそうな悲鳴を上げる。ソルは飛びのいて、イクリプスの方へ逃げた。

「何故お前がここに!?」

『ーー“質問に回答する前に”質問に回答する。
最初に言った通り、“最初の古工房”が破壊されれば、当然そこに居た者は外の世界へ弾き出される。私も君達と同じ原理でここへ来た』

指差すエリアスの質問にあっさりと返事をする石ころ。
熱狂は一部収まり、周辺に居た人々は皆ソルと石ころ達へ注目していた。

『ヴァルキュリア・ソル、君の質問へ回答する』

あっちの世界では角ばっていた石ころは、今は完全な球体型になっており、3つ空いた穴から流れ出ていた黒い液体の流出は止まっており、代わりにLEDの様に七色の光をピコピコと光らせていた。

『ーーヴァルキュリア・ソルは元はと言えば最初の古工房の産物であり、そこが破壊されれば彼女自身もこの世から消滅する筈だったーー』

石ころは語る度に自身に空いた穴からもれる光を点滅させる。

『しかし君はこのループ世界で多くの異界人達と戦い、傷つき、そして「この現実に存在する物質」を取り込んで肉体と精神を再生し続けた。
結果、工房による生命維持の必要性が徐々に減っていき、遂には“完全なヴァルキュリア”として独立するまでに至ったのだ』

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.185 )
日時: 2019/03/19 23:56
名前: 名無しのアキラ (ID: DkwJA1fE)

暇だったから某作者陣の“性別”をググってみたけど・・・殆ど女性なのな(笑)
(まあ男子も混じってたけど)

ーー女は“テクニック”で詐欺をする、男は“パワー”で強盗をする・・・

女のニオイは香水とお菓子、男のニオイは汗と焼肉

【技の女】と【力の男】

つまり、ネット小説掲示板やSNSで悪さを働くのは女の方が向いてるわけだな!(笑)

がっはっは!(^^)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.186 )
日時: 2019/03/20 00:29
名前: 名無しのアキラ (ID: UJAz/6kk)

世間一般論や生物学的には“タマ付き”は男性ホルモンの所為でキレやすく攻撃的であり、「犯罪者は男性」が多いというイメージがあるけど・・・

色々な作者が集まるカキコのトップ3が全員女性であることから察するに、女も“見えないところ”では結構悪さをしてるかと思われる
カキコでも男で盗作やリアルBANされた作者をまだ聞いたことがない
また男はキレやすい一方で計画性や検索力に優れる面もあるから、小説界において「これやっちゃアウトだろ」って事を理解してる男性作者が多いのも要因の1つだと思われる

ーーまあ『ネットで悪さを働くなら【バレない様に】やれ』とは言いたく無いけどさ・・・
例えばーー万引きするなら“別の商品と混ぜる”とかさ・・・財布拾ったら“金だけ抜いて残りを捨てる”とかさ・・・悪さを働くにしても、普通“バレないように”やるよな?

「悪さを働くな」とまでは言いませんけど・・・カキコ民の方々はこういうステルス性というか、悪い事をするにしても、それを“バレない様に”やる工夫に欠けてる人が多いと心底思います
だから作者同士のトラブルも絶えないんです
ステルス性は自衛能力にも直結する重要なチカラです
悪い事をやっても発見されなければトラブルになりません
精々「あれ?」っていう疑問を周囲にバラまくだけです
目立ちたがり屋なのか馬鹿正直なのかは知りませんが、それが他の作者にバレるから炎上するんです

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.187 )
日時: 2019/03/20 00:27
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: LDMmFU1Y)

>>186
>>色々な作者が集まるカキコのトップ3が全員女性であることから察するに
 誰なんだ? 3トップって?

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.188 )
日時: 2019/03/20 00:30
名前: 名無しのアキラ (ID: UJAz/6kk)

>>187
“スターターデッキ”の目玉カード

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.189 )
日時: 2019/03/20 00:40
名前: 名無しのアキラ (ID: UJAz/6kk)

勘違いされたくないので>>186に付け加えさせて頂きますが、
「バレなきゃ悪さをしてもいい?」って訳じゃありません
人間、1度でも悪い事をすると、その後は暫くの間は頭がおかしくなって、マトモに生活できません
過去にやらかした悪事は、もう変えられません

【だから、もう2度とやるなよ】

って事ですよ
人間一生チャンスがありますから、諦めずに頑張れ

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.190 )
日時: 2019/03/20 01:04
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: LDMmFU1Y)

>>188
 分からないのでもう少しヒントを……(汗)

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.191 )
日時: 2019/03/20 01:24
名前: 名無しのアキラ (ID: UJAz/6kk)

じゃあ今度外部サイトで教えます

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.192 )
日時: 2019/03/20 13:57
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: 4Jr2Rq/s)

>>191
 pixivのアカウントがあったら、そこで教えて?

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.193 )
日時: 2019/03/20 19:50
名前: 名無しのアキラ (ID: TDrH4qtY)

そして、地平線に光が灯るーーそう、「夜明け」だ。上位者が死んだことにより、この世界には「朝」が訪れたのだ!人々は皆それを指差しんがら喜びの歓声をあげる。

石ころの言葉に、イクリプスは怪訝に目を細める。洞察力に優れるイクリプスは、僅かな情報であっても直ぐに事の真相を見抜いてしまう。そしてイクリプスはソルのことをま直ぐ見つめて捉えた。

「ーーソルちゃん? “この人”がどなたか知りませんけど......その聖槍といい、また1人で“危ない事”したようですわね?」

「ああー......はい......」

いつもソルに怒られてるイクリプスだが、今回は立場が逆な様だ。ちょっとたじろぐソルにーー

「ダメじゃないですの! 勝手に1人で突撃して、“また”怪我したらどうするんですの!」

「あ、すいません......」

檄を飛ばすイクリプス。
聖槍を抱えながら、ぺこりとお辞儀をするソル。滅多に見られない光景だ。ソルは自身が前に出て作戦をこなす事が多く、危険な目に何度もあっており、その度にいつもこうなる。
イクリプスもムッとした様な顔で目を釣り上げていたがーーすぐにまた何時もの余裕のある笑みを浮かべてくれた。

「でも......本当に無事で良かったですわ......」

そして軽く抱き合い、その後ソルの手を引くイクリプス。

「さあ、行こうソルちゃん。みんなが待ってますわ。それとーー」

イクリプスの視線は、ソルの足元に移る。

「“あなた”も行きますこと? まあ、ずっとここに居て下さっても結構ですけど」

『君達の存在は、即ち私の存在意義である。そうして貰えると助かる』

イクリプスは「あらあら」と少し皮肉も込めた返事を返すと、ひょいと石ころを片手で抱えてあげる。
そして2人はフレスヴェルグの残骸の上から飛び立ち、スラスターを吹かせながら下へと滑空していった。

「おおー! ヴァルキュリアだー!」

「人とヴァルキュリアが力を合わせて勝ったんだー!」

「“石ころぉ”も、ええぞ」

大勢の熱狂の中に降り立つソルとイクリプス。そこにはエリアスやグラエキア、嘉元と不動仁王の姿もあった。
と、グラエキアがずいと前に出てくるとーー

「ーーこれ、返しますわよ」

パシっとソルへ何かを投げる。受け取ったそれは、自分が選別に渡した、自分のピンクのリボンだった。

「ーーなんと言えば......お恥ずかしいながら、只今戻りました」

「はいはい、よく戻りましたわね。このわたくしへの借りは、高く付きますことよ?」

グラエキアからリボンを返してもらったソルは、再び綺麗にお辞儀を返した。
そしてその熱狂の中、イクリプスに抱っこされた石ころが再び光りながら喋り出した。


『ーーだがしかし、“君たち”とは、もうお別れだ』


「え?ーーあっ!」


石ころの言葉に、ソルは何かに気づき声を上げる。その先には、エリアス達の姿があったがーー
その異変に、レジスタンスの副将のアミラや、ヴァルキュリアのフェイルノートも直ぐに気づいた。

「ーー!? ちょっと、皆さん!?」

「あれ! どうしたんすか!? 身体がーー!」

注目の先にあるエリアス達。見るとーー身体が少しずつ半透明になっていくのだ。それは彼らの下半身、足先から顕著になって現れている。
それでエリアスは、その事を思い出した。

「ーーああ、すみません皆さん。すっかり忘れていましたが、私達はこの後の“パーティ”には参加できそうにありませんね」

「なんだって!? どういうーー」

「ーー“歴史は修正される”でしたわね」

レジスタンスのリーダー、ラヴォンの言葉を遮る様に、グラエキアが石ころに言われた事を告げた。

「ーー“ここまで”か......」

「まあ、仕方ないね」

喜びもつかの間、「夢の終わり」を悟ったように、不動と嘉元は夜明けを見上げたーー

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.194 )
日時: 2019/03/20 22:49
名前: 名無しのアキラ (ID: TDrH4qtY)

旧市街の大通りでは、大勢の人間が勝鬨と熱狂の渦を作っている。そこから少し離れた路地に彼らは集合していた。異世界からやってきたヒーローの一団、“スター流”の同志達だ。
元の世界では常に悪と対峙し続けて来た彼ら、この世界に来て未知の脅威と遭遇するも、遂に生き残り、人間軍を勝利に導いたのだ。

そのスター流の創始者である金髪碧眼の“スター”本人と、更にその師匠である黒ずくめの青年“闇野髑髏”は、円陣の中心に立ち、“最後の”スピーチをしていたーー
そう、彼らもまた、この異世界の鎖から解き放たれ、今まさに元の世界に帰るーーつまり、この世界から消滅しようとしていたーー

「時間がないから簡潔に済まそう。まず、君達、今回は本当に良く頑張ってくれた」

スター流だけでなく、別宇宙ではヒーローの頂点の座に着く闇野からの労いの言葉に、同志達にも感慨深い思いがこみ上げる。
そしてーー

「ーー君達の助けが無かったら、恐らくこの戦いには勝てなかっただろう」

「闇野様、それは......!」

スターが思わず声を漏らすも、闇野は続ける。

「ーーこの“宇宙”には私達スター流の同志がまだ知らぬ、未知なる恐ろしい【悪】がまだ居る。
奴らは必ず、また我々の前に姿を現わすだろう......」

闇野はこの世界に居た、否、【まだ居るであろう】“上位者”の事を言っていた。既存の“概念”に囚われない、正に“未知”の敵。

「我々スター流はヒーローの名に恥じることなく、元の世界に戻っても初心と鍛錬を忘れず、再び来るべき悪と対峙する事を忘れてはならない」

「ーー心得ております」

「当然です、日々の鍛錬は己を裏切らない。私もこの世界での教訓を生かします!」

闇野の言葉を頷きながら聞いていたシャドーとカイザーも誓いを立てる。

「この世界でも上位者相手に勝ったんです!次も必ず生き残れますよ!」

「相変わらず楽観的だなあ美琴さんは......ま、君のそういう所も嫌いじゃないけどね」

美琴の言葉に、ヨハネスが呆れながら相槌を打つ。
お互いに言葉を交わすスター流の同志達。そしてスターが闇野へ一歩近づいた。

「そろそろ“時間”ですな......闇野様はこの後どうなされるのです?」

「ーーしばらく“旅”をする。“ヒーロー”とはある日突然現れ、平和な世界が訪れれば消えるものだ。だが再び“巨大な悪”が君達の前に現れたのならーー」

闇野はそっと右手を一同の前に差し出してーー


「また“共に”戦おう! 我々スター流は、必ず生き残るんだ!」


『ーーはい!』


一同は円陣を組み、皆差し出された闇野の右手に、己の手を重ねて声を上げたーー


刹那ーー


ーー彼らの姿はもう路地には無かった。





旧市街の石橋の上で2人の少年が腰を下ろし、瓶に入った黒い液体を飲んでいた。
彼らは異世界からやって来た魔術師、リクセスと時雨だ。
リクセスはいつも表情に余裕がる、自信に満ち溢れたイメージの少年で、時雨は肩まである黒い髪と水干のような服を着込んだ、ちょっぴり陰があるイメージの子だ。
時雨の方は黒い液体を口に入れるとーー

「ーーそれにしても、随分変わった飲み物だね、これは。だが美味い」

「“コーラ”って言うらしいよ、本当に“変わった世界”だったね」

2人は語り合いながら瓶を傾け、そしてこの“異世界”の夜明けを見届けていたーー

「ーーでも、僕たちヴァルキュリアだけじゃない、あんな巨大な神様まがいすらも倒したんだ。セラン戻っても、きっと生き残れるよね」

「ーーうーん、ちなみにそういうのって、この世界では“死亡フラグ”って言うらしいよ」

リクセスの言葉に、時雨は思わずクスリと笑ってしまう。彼が滅多に見せない表情だ。

「おいおい、リクセス。なんだいそれは、只のこの世界の“いい伝え”みたいなものだろう?」

その問いにリクセスは自信ありげな笑みでーー

「ーー当たり前さ、次も僕たちが勝つに決まってるーーじゃ、あっちに戻っても宜しく!」

「ああ、じゃあまた“向こう”で!」


ーーそして、拳をコツンとぶつけた、2人の少年の姿が消える。
その橋の上には、空になった瓶が二本、並んで置かれてるだけだった......

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.195 )
日時: 2019/03/21 08:24
名前: 名無しのアキラ (ID: 2ZiSxBv6)

今気づいたけど、次回の更新で合作が最終話になる可能性大......

1年半も続いた合作が、あと1話で終わるのか......?
(ちなみに完結後に番外編?的なのもちょっと更新する予定です。まあその頃にはカキコ引退してスレも閉鎖してるけど)

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.196 )
日時: 2019/03/21 08:43
名前: 名無しのアキラ (ID: 2ZiSxBv6)

カキコのオリジナル小説で「完結」でスレタイ検索した結果に震える

・コメライ新(13)
・コメライ旧(25)
・ダーク(18)
・ダーク過去ログ(89)
・複ファ(31)

正に「機知の戦い」の領域だわ......

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.197 )
日時: 2019/03/21 08:44
名前: モンブラン博士 (ID: E3D67Wdg)

残り1話ですね。最後の最後に闇野が伝説のヒーローらしい威厳を見せつけてくれて嬉しいです!
皆、あの世界からは消えてしまいましたが本当に素晴らしい活躍だったと思います。最終話も楽しみにしています!闇野の旅は何億年も続きそうです(苦笑)でも彼のことですからスター流のピンチにはまたフラッと現れるのかなと思っています!

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.198 )
日時: 2019/03/21 14:40
名前: 名無しのアキラ (ID: q6yLQhn.)

感想ありがとうございます(^^)

まあ「夢の終わり」みたいな感じですよね
どんな夢も物語も、いつかは終わるもの・・・
私も次回の更新を最後に、カキコを引退します
いい歳した大人が、いつまでも創作活動なんかやってたら子供に笑われてしまいますので・・・
これからは現実の為に生きます

ちなみに合作本スレの参照数ランクは複ファじゃ12位っぽい
なんでも長く生きてりゃ、塵も積もって山になるもんだ
まあ、まだまだ上には上がいるが・・・

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.199 )
日時: 2019/03/21 18:43
名前: 名無しのアキラ (ID: X10o1WcM)

テラ過疎ってんな
まあこっちは後1話だけ更新すれば引退だし、
カキコのサ終までには間に合うから楽でいいけど

でも問題は、スレ主が戻ってくる予定の2020年にカキコがどうなってるかなんだよなあ・・・

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.200 )
日時: 2019/03/21 20:15
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: hX3.TjLk)

こんばんは〜。

>>196
あまり多くはないのでしょうかねー。(・・;)

>>198
複ファで12位、凄いです!
日々の積み重ねですね。

>>199
もうあと1話になっているのですか! 結構進んでいますね!(>_<)

Re: 【暫定】〜V計画〜【残1話】 ( No.201 )
日時: 2019/03/22 13:34
名前: 名無しのアキラ (ID: SFQXucy2)

>あまり多くはないのでしょうかねー。(・・;)

割合を計算するのは面倒ですが、
例えばコメライ(新)の完結率は「0.0074%」ぐらいですね(完結スレを総スレ数で割った場合)

・コ:0.0074%
・ダ:0.0092%
・複:0.015%

ーーまあ、カキコで小説を完結させる事は、ほぼ不可能って結果ですね
しかし、そこら辺のソシャゲのガチャよりも低確率とは・・・しかも私の合作に参加して下さっている作者様の名前もチラホラ・・・
ーーまあ【無から有を作り出す】という事が、いかに難しいかという事ですよ
小説を一本完結させられる、作者様の優秀さがよく分かります

小説を書くということは、正に【0“ゼロ”への挑戦】


>複ファで12位、凄いです!

数字が全てを物語っている


>もうあと1話になっているのですか! 結構進んでいますね!(>_<)

参加者の皆様のお陰です(^^)

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.202 )
日時: 2019/03/22 14:43
名前: 名無しのアキラ (ID: S4bMYT/M)

ちなみに、もしもこの合作が完結すれば、

カキコ史上初となる合作の完結ともなる

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.203 )
日時: 2019/03/22 15:47
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: bb2lJVsg)

>>202
>>カキコ史上初となる合作の完結ともなる
 複ファ史上初かもしれないなぁ……? 一応二次創作だけど、完結作品はあるし。

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.204 )
日時: 2019/03/22 16:05
名前: モンブラン博士 (ID: 2PXuuMM.)

私も少し調べてみたのですが私の作品にもいくつか完結させられているものがあって良かったです!
一応完結させることができるよう努力はしていますが、それでも低確率なので自分の構成力の無さが嘆かわしいです。個人的に二次創作(総合ルビ)は完結率が高そうです!
私のアクセス数は平均で2000くらいですから、名無しさんにはまだまだ及びませんね。
複雑ファジー初の完結を心待ちにしております!!

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.205 )
日時: 2019/03/22 18:30
名前: 名無しのアキラ (ID: SFQXucy2)

彩都さん

そうなんですか?


モンブランさん

確かにモンブランさんの完結作品は沢山ありますし、何年もカキコで執筆してますもんね
はっきり言って、そこら辺の作者よりも優秀なんだと思います


ーー全ては“数字”が物語ってるんだよなあ

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.206 )
日時: 2019/03/22 18:34
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: bb2lJVsg)

>>205
 うん。
 旧板の方だけど、『殺人鬼『ラストフール』の憂鬱』っていう作品があった。
 今は『殺人鬼『ラストフール』の狂宴編』やってる。
 一応本編は完結済み。

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.207 )
日時: 2019/03/22 22:47
名前: 名無しのアキラ (ID: 2S/GMFSU)

ふーん、どれどれ......

......えっ、合作?......あっ(察し)

ていうか私と四季さん、藍蓮さん、モンブランさん、彩都さんの中だと、

小説を完結させた経験のない作者って、俺だけなんだよなあ・・・

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.208 )
日時: 2019/03/24 21:50
名前: 名無しのアキラ (ID: IEq/W9BY)

旧市街の教会の屋上ではヴァルキュリアのユキカゼと、アンダルシアからやって来た異界人のヴェルゼが別れを惜しんでいた。
夜明けを背景に立つ2人はほぼ最初期に遭遇した者同士であり、そして最後まで共に戦って生き残ったのだった。
既にヴェルゼの身体も半透明になっており、この世界にも後少ししか残れない状態だった......

「ここまで来てくれたのに、何も報酬を渡せなくて、すまなかったな......ヴェルゼ君」

「まあ、仕方ない。もしも“次”会う時があったら、その時にでも頼む」

いつもは辛口だが、今回のヴェルゼはとても紳士的だった。ひょっとしたら彼は報酬よりも大切な何かをもう見つけたのかもしれない......どんどん薄くなっていくヴェルゼの影、そして、ユキカゼはーー

「ーーヴェルゼくん、代わりに......これを受け取ってくれ」

「ユキカゼ、これは......」

なんと、帯刀していた自分の刀を鞘ごとヴェルゼへ、両手で丁寧に差し出した。

「もう私には、いや“この世界には”必要がない。この刀は私が今まで使って来た中でも最高の武器だ、君ならきっと扱える。だからーー」

ユキカゼはヴェルゼに刀を受け渡しーー

「“生き残って”くれ」

「......わかった」

ヴェルゼも両手でしっかりと刀を受け取る。
そして、彼はそっと右手を差し出した。

「それじゃあ、元気でな。ユキカゼ」

「ああ、君も達者でな」

そして握手を交わした、刹那ーー
ヴェルゼの身体は消え、この世から消滅していた。ユキカゼの刀もしっかりと持ってーー
その後ユキカゼは日が昇る地平線に向かって敬礼する。





旧市街の中心部の広場では、ラヴォンとソルの前に4人の異界人が並んでいたーー
1人はエリアス、白い制服に身を包んだエンジェリカ王国の天使の青年だ。優れた槍術と頑丈な天使の身体でみんなを護衛してくれていた。
そしてその隣に居るのは、黒いドレスを着こなした艶のある黒髪の持ち主の少女、グラエキアだ。
2人は最初期にこの世界に召喚されて出会い、その後行動を共にして来た。ヴァルキュリアと戦いながらもこの街まで辿り着き、ついに人間軍を勝利まで導いた。

「ーーお別れ、ですね......短い間でしたが、お世話になりました。ありがとう」

「あらエリアス、お世話していたのは、わたくし達の方ではなくて?」

グラエキアの言葉にエリアスは「それはお互い様ですよ」とニコリと笑みを返した。

その横には巌の如し鍛え上げられた上半身の大男のヒーロー、不動仁王と、背丈が小さくメイド服を着ている黒髪の少女、嘉元がいた。
不動仁王も最初期にこの世界に召喚されてからは様々な激戦を繰り広げた。嘉元はその後に召喚されて、色々あって只の人間からヴァルキュリア化まで果たし、共に最後まで戦ってくれたのだ。

「......頼もしい“戦士”だったぞ、お前達はーーだが......可能ならば、もっと“別の形”で出逢いたかった......」

「あーあ、元の世界に戻ったら、またつまんない学校に通う日々だよ」

とても意外な事に、不動からは賛美と別れを惜しむ言葉が漏れた。
そして嘉元も悲しみを紛らわすように言葉をかける......
その手前に立つソルとラヴォン。

「皆さん......すみません、なにもお礼を渡せなくて......」

「ーー俺に関しては気にする必要はない。ヒーローには、報酬よりも大切なものがある」

「確かに、このままじゃ働き損だねえ。今度アンタに“コーヒー”でもおごってもらおうじゃないか」

申し訳なさそうなソルに、不動も嘉元も笑みを返す。
グラエキアとエリアスも同じく最高に上々だった。

「この借りは高くつきましてよ? ま、それを私に返すまで、精々頑張って生き残りなさいな。ふふっ」

「私も気にして居ませんよ。“皆さんに出会えて良かったです”ーー」

そしてーーエリアスが右手を差し伸べるーー
消えかかる4人の影......もう最後に出来る事はこれぐらいしか無かった。もはや「言葉」もいらなかった。5人は円になり、互いに自身の右手を重ねていった。


ーーまた会おう


最早、その別れの言葉までは聞き取れなかった。けれども、その意思はしっかりと伝わった。それはーー世界と種族を超えた「結束」が叶った瞬間だったーー
そして風が吹き、朝日が昇るとーー4人の戦士の姿は消えて居た。
旧市街、否、世界の中心にぽつんと取り残されたソルは、ふと空を仰ぎ、何かに思い耽る......

そして手にした聖槍を掲げ、それに願ったーー





ーーさようなら“伝説の戦士”、ありがとう、みんなーー






ーー終わったよ。




合作!!三千世界のヴァルキュリア!!(完結)

執筆期間:2017/08/26〜2019/03/24

執筆者:13名
●名無し(スレ主)
●四季さん
●ハガ音さん
●流沢藍蓮さん
●モンブラン博士さん
●ゼラチンさん
●amtさん
●彩都さん
●金平灯さん
●ryuuuさん
●水滝契さん
●ルイージさん
●MRKさん

Re: 【暫定】〜V計画〜【カキコの完結率】 ( No.209 )
日時: 2019/03/24 21:53
名前: モンブラン博士 (ID: dazaZHls)

完結おめでとうございます!不動が最後まで主役級の活躍をしてくれて生みの親として本当に嬉しかったです!私も二次創作(ルビ)の戦闘中をたった今完結してきました!
本当に長い間、連載をありがとうございました!カキコ初の大快挙ですね!!

Re: 【完結】〜V計画〜【閉鎖・引退準備中】 ( No.210 )
日時: 2019/03/24 22:12
名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: z7pDaLdQ)

完結おめでとうございます!ヽ(*^ω^*)ノ

途中からはあまりお力になれず申し訳ない部分もありましたが、進めて下さってありがとうございました。
合作が完結するなんて、とても凄いことだと思います。

改めて、完結おめでとうございます。
そして、お世話になりました!

Re: 【完結】〜V計画〜【閉鎖・引退準備中】 ( No.211 )
日時: 2019/03/24 22:23
名前: 名無しのアキラ (ID: s.hXp3sA)

モンブランさん、四季さん

こちらこそ色々お世話になりました(泣)
今は時間はないので改めて後日挨拶をしにきますが、完結してもその後の後始末に追われそうですね(汗)
只もうそれが終わったら、もうカキコには来ませんので、その後もよろしくお願い申し上げます。

Re: 【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】 ( No.212 )
日時: 2019/03/24 23:17
名前: 名無しのアキラ (ID: rs2knhmE)

モンブラン博士さん

最後まで一緒に戦ってくれてありがとうございました。
皆様のオリキャラとご協力のお陰でございます。私は何もしていませんよ(汗)
私1人では絶対に完結できなかったでしょう。
私はこれから1年ほどカキコを離れてリアルの仕事や創作の修行に入ります。
しばらく会えませんが、2020年になったら必ず戻ってきます。
今まで本当にありがとうございました!


四季さん

いつも一緒に手伝って下さって本当にありがとうございました(泣)
四季さんはいて下さるだけで、とても心強かったです!
しばらくカキコを離れますが、いつか必ず戻ってきますので、その時必ず会いに行きます!
今まで本当にありがとうございました!

Re: 【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】 ( No.213 )
日時: 2019/04/17 18:20
名前: 流沢藍蓮◆50xkBNHT6. (ID: WNoZKFaw)

*お久し振りです&完結おめでとうございます!

 執筆者の1名、流沢藍蓮です。
 半年以上も消えていて済みませんでしたっ!
 只今復帰しましたー。
 今後ともよろしくお願いいたします!

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