雑談掲示板

【合作】アンドロイド大戦2020【完結】
日時: 2024/02/04 20:37
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

●挨拶:こんにちは、皆さま初めまして。過去に“とある合作(完結済)”のスレ主をさせて頂いた者です。
今回は某氏からのリクエストを受け、前作よりも短編で簡単な合作をやってみたいと思いスレ建てさせて頂きました。
※メインストーリー完結しました(2019/3/30〜2019/6/14)

●ストーリー:2020年の東京ーーロボットとAIの技術発展は遂に一般家庭への人型アンドロイドの普及にも繋がり、徐々に人とロボットの共存世界は現実性を帯びて来た。そんな中、突如日本各地にて未確認超高性能アンドロイド群「パルヴァライザー」が出現するようになり、様々な難事件を引き起こし始める。主人公達はパルヴァライザーへ対抗し、けれども時には味方として協力し合いながら、事件の真相と彼らの正体を追い求める......

●用語集
・アンドロイド:人型ロボットに高性能AIを搭載する事によって完成する。2020年のこの世界ではアンドロイドは大分一般家庭へも普及して来ており、本物の人間のように会話をしたり、自立して複雑な命令を遂行できる機体も入手できるレベルになった(ちなみに一体100万円程)。しかしアンドロイドを用いた犯罪等も増えて来ており、闇ルートにも結構な数の機体が流れているんだとか。
・パルヴァライザー:“粉砕者”の名前を冠する未確認アンドロイド群。略して「ライザー」と呼ばれることもある。全身が「超構造体」と呼ばれる“絶対に壊れない金属”で構成されており、通常兵器では破壊できない(核兵器を使用して、ようやく“気絶”する程度)。現代の科学では製造方法や動力源等は全て未解明であり、また各々が自身の理想を持ち、好き勝ってに動き回っている......
各自複数の能力を持つが、それらを全てアンロックするには人間(※あるいは別のアンドロイド)の“オーナー”を指定して契約する必要があるーーぶっちゃけ、そこら辺の国家の軍隊よりも強い為、国連でも大騒ぎになっている厄介者。
・オーナー:アンドロイドの持ち主ーーぶっちゃけ唯それだけなのだが、パルヴァライザーにとってオーナーの有無は自身の行動範囲を決める重要な要素である為、各自何らかの方法でそれらを解消してる事が多い。
・電気街:都内のとある電気街。パルヴァライザーは自身に必要なアンドロイドや武器のパーツを求め、こういった場所へよく現れるらしい......つい最近は物騒な為、重装備の警官隊や装甲車による非常線も日常茶飯事になってしまった。

●メインストーリー
・1話(>>1-6)「新たなる仲間 編」
・2話(>>7-10)「ナゾの転校生? 編」
・3話(>>11-17)「頼れる博士 編」
・最終話(>>18)「出撃!アンドロイド部!」

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Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.1 )
日時: 2024/02/04 20:38
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

ーー少年は、壊された日常の光景に言葉を失った。
目の前に広がるのは、瓦礫と化した街並みと炎とーー


ーービキニ姿の少女だったーー





『ーー本日のニュースです! 先日から目撃情報が相次いでいる“アンドロイド”は、とても高性能な機体で、人に害を与えかねない事が確認されておりーー』

とある高校の昼休み、生徒達は教室の天井から吊るされたテレビのニュースに注目していた。ここ最近、街に誰も見たことの無いアンドロイドが出現するようになり、様々な事件を起こすそうだ。しかもそのアンドロイド、“なにかがおかしい”。
ーーと言うのも、この2020年になる前から、ロボットの前に遡り、ラジコンヘリの延長線上にある「ドローン」によるイタズラは結構あった。それも警視庁が税金を使って、それ専用の対策部隊まで編成するレベルだ。
それから二足歩行ロボットやAIの急速な成長により、つい最近はこれらのお値段も、頑張れば一般家庭でも購入できそうなくらいになった。
そんな矢先だ。

「遂に人間とロボットの戦争かー?」

「いや、こんなの誰かのイタズラに決まってる。すぐに“オーナー”共々捕まるさ」

「でも、この前は警察の機動隊アンドロイドもボコボコにしたそうじゃないか。きっと軍用のアンドロイドが暴走してるんじゃ......」

「何それ怖い。ていうか、あたし達学校来てる場合じゃなくね?」

生徒達は各々の食事を手にしながらニュースのネタで語り合う。その他の生徒も皆カードゲームで遊んだりゲームをしたり、皆それぞれ昼休みを満喫していた。
そんな生徒のうちの1人、窓際に座る少年は、スマホを手にニュースを読んでいた。見てる記事は“おススメ!アンドロイドのカタログ!一体100万円から!”。

「ーー自作パソコンだけじゃ物足りない。僕もアンドロイドが欲しいけど......うーん、高い......」

彼“高木ペコ”もまた、アンドロイドに興味津々の少年だった。
そして教室の扉が開き、マッチョな体育の男性教師が入ってきた。

「おーいお前ら! 昼休み中スマンが、今日は飯食ったら午後の授業はお休みだ! またアンドロイドで物騒なんだってよ!」

『むうおおおおおおおお!!!』

只でさえ賑やかな教室が、教師の言葉で更にどっと盛り上がる。

「おおー終わりか、じゃあ帰るか」

ペコは机にかけていたリュックサックを手に取ると、他の生徒と一緒に教室を後にした。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.2 )
日時: 2024/02/04 20:39
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

「さーて学校も早く終わったし、パソコンのパーツでも買いに行くかー」

アンドロイド騒動のお陰で?学校が休校になった少年ペコは、その足取りのまま都内の電気街へやって来た。
が、つい最近は↑のせいで、オタクで賑わう平和な電気街も物騒な雰囲気になって来ている。
大きな盾を持った機動隊の一団が街の要所要所で固まり、検問が敷かれ、頑丈そうな装甲車が大通りの脇に停車している。
他には命知らずなマスコミや、動画配信者?らしき人々の姿も見える。例のアンドロイドがこの街にやってくるかどうかも分からないというのに。

「ふはー凄いなこりゃ、何かに巻き込まれる前に早くパーツを......」

ペコが歩き出した途端、地響きーーそして地面が大きく揺れ周辺の色んなものが衝撃で崩れていく。
そして直後襲った爆風によって、ペコは周りの全てと一緒に吹っ飛ばされた。

「ぴゃー!?痛て!」

ペコは運良く街路樹の下にある花壇の茂みに引っかかって助かった。他の人達は大丈夫だろうか......そして起き上がる。大した怪我はしていない、運良くかすり傷だ。
ーー目の前に広がる光景は、砕かれた日常そのものだ。商品が並べられた露店は消し飛び、人々も皆各々の方向へ吹き飛んでいた。粉塵の中、お互いに声をかけ会いながら救護し合っている。
そんな中、かなり“場違いな”格好をした少女が1人、ペコの前に片膝をついて蹲っていた。

ーー赤いビキニ姿の銀髪少女だ。

ペコは、取り敢えず近づいて声をかける。

「あの、君大丈夫!?」

『ーー“オーナー”が居ない私のパワーは半分。現状の私では“フォーチュン”に勝てない』

ブツブツと何かを呟く少女。脳震盪で混乱したか?と、ペコが彼女の頭を見ると、そこには奇妙な光るリングが浮かんでいたのだ。アクセサリーにも見えるが......そのリングはよく見るとかなり細かい作りになっており、電子回路の基盤の様だった。しかも複雑な発光パターンをしている......少年は普段見慣れたパソコンやロボットと触れた経験から、すぐに彼女の正体を察した。

「ーー君、“アンドロイド”なのか?」

その言葉を耳した周辺の人々が振り向いた。

「アンドロイド......まさかニュースの......!?」

「おい君!危ないぞ!」

周囲の人々が声を掛ける中、アンドロイドの少女は何かに反応して立ち上がり、空を見上げた。
そしてペコも顔を上げた時だったーー


『ほれほれ、どうしたのじゃー? 其方のパワーはその程度なのかのお?』


空からふわりと舞い降り、ペコと少女の前に立つ人影......和服の様な服装、だが頭部や脚部にはメカメカしいパーツもある。艶のある黒髪の女性......


ーーアンドロイド!


ペコはすぐにその女性が、ニュースで話題になってるアンドロイドだと理解した。
そして彼女の後方から、サイレント共に警官隊が到着した。中には人型のロボット警官も混じっている。

「そこのアンドロイド! 武装を解除して投降しろー!」

『阿呆か。アンドロイドはオーナーの指示に従うものじゃぞ?』

そして黒髪の女性アンドロイドが腕をあげるとーー彼女の周囲の空間が水の波紋の様に歪む。そしてその中から、まるでブリキの兵隊の様な甲冑姿の人型が大量に現れ、警官隊に襲いかかり、そして揉み合いになる。

「うわー!?なんだこいつらは!?」

「こいつら......全員アンドロイドだ!」

ブリキ兵アンドロイドの軍団に怯む警官隊。
ーーまるでファンタジーゲームの“召喚獣”の様な技に、ペコは目を見開いた。と、そんな彼に少女が近寄って来た。相手の女性アンドロイドはまだ警官隊の方を向いている。

「すみません、貴方にお願いがあります。私の“オーナー”になって下さい」

「ええー!? いや、まあ丁度アンドロイド欲しかったからいいけど」

「肯定と受け取ります。これで私、“境界閃”の名を冠する【ホライゾン】の複数の能力がアンロックされました」

「マジか! 僕はペコ! それで、君の能力はーー」

刹那、少女ーー“ホライゾン”の両拳が光を放つ。それはまるで熱した鉄......いや、まるで太陽のような輝きだった。

『んんー? おや、なんじゃ。少年、主がホライゾンのマスターだったのかの?」

ホライゾンの変化に、女性アンドロイドが振り向いた。そして彼女が召喚したブリキ兵アンドロイドがホライゾンへ襲いかかるが......まるでマシンガンの様に早い回転の拳撃の前に、次々と撃ち抜かれては地面へ倒れていく。ホライゾンの光る拳は鋼鉄をいとも簡単に溶かして貫通する程に熱を帯びている様だーー近づいたら危なそう。

「オーナー! 私の能力は“物の境界線を操る能力”! そして今の私は“太陽の表面”を自分の両手に転送しています!」

「ひゃー! そりゃどんなアンドロイドも一溜まりもないやー!」

そして更に召喚された後続のブリキ兵も押しのけ、ホライゾンは女性アンドロイド懐へ飛び込んだ。

『ーーおっとお?』

しかし、女性アンドロイドはホライゾンの拳......いや腕を捌いてその攻撃を回避し、更に再び召喚したブリキ兵が出てきた空間の歪みに、今度は自身が入り込んで、姿を消すーー

「消えた!?」

「オーナー、あのアンドロイドは“財宝”の名を冠する【フォーチュン】です。空間を自在に操り、自身の財宝を召喚して戦います」

『その通りじゃ!』

そして近くの雑居ビルの上の空間が歪み、黒髪の女性アンドロイドーーフォーチュンが再び現れる。

『ふふーん、まあ暇潰しに程度には楽しませてもらったぞ?』

「コラー! 君もオーナーの命令でこんなイタズラやってるのか!」

『そうじゃ!』

「そのオーナーは誰だ!?」


『“妾自身”じゃ!』


「なんだとー!? そんな事ありなのか!?」

フォーチュンと語り合うペコ。

「オーナー、フォーチュンは“自分自身”をオーナーとして契約したアンドロイドです。恐らく彼女の能力の内の1つなのでしょう」

「なんてこった、じゃあオーナーの存在によるデメリットも存在しないのか......」

『ーーじゃ、また会おうではないか!』

「あ、コラ待て!」

ペコが叫ぶも、フォーチュンは構わず空間の歪みに姿を消す......

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.3 )
日時: 2024/02/04 20:41
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

未確認アンドロイド「フォーチュン」との交戦の末、なんとか警官隊を振り切って自宅まで帰ったペコとホライゾン。そしてペコはホライゾンから“パルヴァライザー”シリーズと呼ばれる、未確認アンドロイド群の話を聞く。
ーーパルヴァライザー、それは“粉砕者”の名前を冠するアンドロイド群であり、製作者やその目的が一切明かされていない未知のロボットである。そして彼ら、なんと全身が“絶対に壊れない金属”で構成されているというのだ。その他、現代の科学力では解明できない未知の能力も持ち合わせる、正に「動くオーパーツ」!

彼女、ホライゾンもその内の一機である事が明らかになり、ペコは結局彼女のオーナーになる事にしたのだった。



翌日......あの後、とりあえず学校から貰えた女子生徒用の制服を着込み、ペコとホライゾンは通学路を投稿していた。
するとその途中、旗や拡声器を持った抗議団体が活動していた。

「アンドロイド反対ー!」

「俺たちの仕事を返せー!」

ペコは彼等と目を合わせないように、ホライゾンは珍しい物を見るようにまじまじと見つめながら横を通り過ぎる。

「ーーオーナー、彼らはアンドロイドの何に抗議してるのですか?

「うーん......まあ要は“企業がアンドロイドに人間の仕事をさせるようになり、就職できない人達が出てきた”んだよ」

「どのような職種ですか?」

「うーんと、主に“介護職”と“セキュリティ”の仕事だね」

ペコは自身の知識を上手く頭の中で整理し、分かりやすいように噛み砕きながら語る。
ーー以前は「残業が多い」「身が持たない」という理由で、常に警備職や介護の仕事は人手が足りなかった。近年不法入国などで増えてきた外国人労働者も言葉が分からず、複雑なセキュリティの仕事や、コミュニケーションが大切な介護の仕事は難しかった。
ーーそんな“需要”にすっぽりと収まったのが「アンドロイド」達だったのだ。疲れず学習もするアンドロイドは、瞬く間にお仕事のシフトを埋めていき、一時は人手不足解消に繋がると信じられてきた。しかし徐々にアンドロイドの導入は人間の割合を超え、2020年の今となっては最早人間を雇うメリットを見出せなくなっていた。当然職を失う人も出てくる。そしてそれは“反アンドロイド派”の誕生へと繋がってしまった......

「でも最近じゃ、バグなのか知らないけどアンドロイド達が“給料”を上げるように言いだしたりもしてるよ。一体どうなっちゃうんだろうね、この世界は」

「......」

2人は街角の抗議団体を見届けながらその場を後にする。



少し余裕を持って家を出たペコとホライゾンの2人は校門まで到着する。そして学園の並木道を歩いていると、前に生徒達の集団が居た。その中心部には、どうやら1人の女子生徒とアンドロイドが居るようだ。

「きゃー! “エリカ”様ー!」

「“新型”のアンドロイドもお綺麗ですわ!」

ペコとホライゾンは遠巻きにその様子を見ている。どうやら彼らは優等生を集めた“特待生”クラスの子達みたいだ。何かしらの優れた才能を持つ者や、成績の優秀な生徒達の集まりなのだ。
そんな様子を見ているペコの隣に、1人の少年が並んできた。

「ーーよう。いいアンドロイドだな」

ペコは学園でもあまり人に話しかけられるようなキャラじゃなく、慣れない突然の声かけに軽くビクついた。振り向くと、そこには着崩した制服に金髪、それに十字架のネックレス......明らかに“チンピラ”っぽい格好で、正にロクな理由で話しかけてきなさそうな少年だ。しかし意外だったのは、そんな彼の後ろには、黒いスーツ姿のアンドロイドの男性が構えていたのだ。温暖色の体表から、彼はすぐにロボットだとわかる。整った服装で鞄を手にする彼の方は正に“執事”な感じ、対照的な2人だった。

「おはようございます。何か御用でしょうか?」

「おう、おはようーーあ、別に“カツアゲ”とかじゃないぜ? ただ珍しいアンドロイドだなと思って......声をかけちまった」

ペコを庇うように前に出てきたホライゾンに阻まれた少年は思わず一歩後に引く。すると、その後ろに控えていた、少年の執事型アンドロイドがそこで初めて口を開いたーー

「ーー流石に他人のアンドロイドを“ナンパ”するのはどうかと思うが」

「あ? お前バカか! 俺はそんな事をする訳ねーだろ!」

ーーかなり意外な口調、そしてジョーク(?)。不思議な雰囲気の2人だが、害はなさそうだ。ペコも少し安心する。

「あ、ありがとうー。君のアンドロイドもかっこいいね!」

「そうだろう? 私は松崎家に代々お仕えするアンドロイド“グロウ”だ。アップグレードや身だしなみは徹底しているつもりだ」

「ああー......先に言われちまったが、俺は松崎だよーー折角だし、LINEでも交換すっか?」

「うんいいよ! 僕ペコ! よろしくー」

オーナーよりも先にアンドロイドの方が自己紹介とは......ペコは思わず苦笑いしながらスマホを取り出した。
それにしても、手前の特待生の集団は賑わっている。果たしてその中心部にはどんな人物が......?

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.4 )
日時: 2024/02/04 20:42
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

特待生の集団の中心には2人の少女がいた。1人は華奢な体格で黒のロングヘアの少女。もう1人は......フリフリがてんこ盛りのメイド服を着込んだ銀髪少女だった。

「エリカさまー!」

「新型アンドロイドですか!?」

何という人気っぷり、まるでラノベの世界だー。ペコとホライゾンが呆気にとられてその様子を見ていると、松崎が彼らの隣にやってきた。

「あの子は特待生クラスのお嬢様、エリカっていうらしいぞ。成績優秀スポーツ万能、まさに絵に描いた優等生だよなー」

着崩した制服の松崎は、まるで遠くの物を見るような視線で彼女達を見ていた。
そんな中、静かにその様子を伺っていたホライゾンが、ペコへ顔を近づけ耳打ちする。

「オーナー、あのアンドロイド......“パルヴァライザー型”だと思われます」

「ホワイ!? マジで!?」

驚愕の表情で振り返るペコ。これは慣れないけど行くしかないか......ペコとホライゾンはそろそろとその輪の中に入っていく。
近くで見ると、エリカという生徒は結構気弱なのか、容姿端麗だけどその表情はちょっと困ったように苦笑いをしていた。
一方、彼女のものと思われるメイド型のアンドロイドは余裕の笑みを振りまいていた。

「あ、あのー」

丁度エリカの正面に出てきたペコ。周りから「なんだコイツ」という冷たい視線を浴びる。

「いやー、いいアンドロイドですねー。僕も“最近”アンドロイドをお迎えしたんですよー、良かったらLINEを交換しませんかー?」

「え、ええ......」

かなり棒読みなセリフになってしまったが、とりあえず目標達成だ。LINEを交換して、後はゆっくり色々聞いてみる......流石にこんな学園内じゃあ捜査もまともに進まない。
そして2人がスマホを取り出し、ふるふる機能を使って通信しようとした時だったーー
一陣の風が吹き、その強風に煽られてエリカのスカートがめくれそうになる。「きゃっ!」と慌ててそれを抑える彼女だったが、その拍子に足を躓き、ペコの方へ飛び込むように倒れてしまう。

「んなー!?」

ペコのところへ抱きつくように倒れたエリカ。ふんわりと香る彼女の匂いに、ペコは一瞬頭がくらくらした。
そして、その様子を見ていた後ろのメイド型アンドロイドの表情が豹変する......

「貴方! お嬢様に何をしやがるんですのおおお!」

メイドアンドロイドの頭から文字通り「カチン」という音がするのをペコは聞き逃さなかった。それは人間の“キレる”とは少し違う、ブレーカーのスイッチを入れるように、アンドロイド特有の何かしらのモードを切り替えた際に生じる音だった。

「ーー! “アリア”やめなさい!」

エリカが叫ぶが、メイドのアンドロイドは聞く耳を持たず。

「お嬢様への無礼......許しませんわ......“アリアンロッド”、戦闘モード!」

メイドのアンドロイドーーアリアンロッドは、身の丈ほどもある巨大な車輪型のデバイスを転送すると、それを片手にペコ達へ襲いかかってきた。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.5 )
日時: 2024/02/04 20:43
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

突如突っ込んできたアリアンロッドによる車輪の一撃は、間に割って入ってきたホライゾンによってガードされた。そして、更にホライゾンはその車輪ごとアリアンロッドを後ろへ押し戻し、吹っ飛ばした。

「ーーアリアンロッドは私と同じサポートタイプのアンドロイド、そこまでパワーはありません」

「うわー!? いきなり何だよ!? エリカさん、“非常停止”コマンドを!」

周りの生徒が悲鳴をあげて散っていく中、ペコがエリカに指示を出した。

「え、ええ! アリア、非常停止!」

『ガアアアアアア!』

エリカが叫ぶも、アリアンロッドはそれを無視し、獣のような咆哮を上げると再びペコとホライゾンへ向かっていく。

「ああ!? あのアンドロイド、何でオーナーの指示に従わないんだ!?」

「うーむ、流石にこのままでは私のオーナーにも危害が及びそうだ。ここは私の“腹部大砲”であのアンドロイドを破壊するしかないと判断した」

驚愕する松崎の隣で、彼のアンドロイドのグロウは勝手に腹部の装甲をパカっと開放するとーーウィーンと折りたたみ式の砲身が中から伸びてきた。何ともレトロでコミカルなデザインの武器だ......そして松崎は一瞬指示に遅れる。

「食らえ! 俺の大砲!」

「バーカ! 何勝手にーー」

松崎が指示を出す間も無く、グロウはすぐに大砲から爆音とともに大きな実弾を発射する......グロウもちょっとアレなアンドロイド臭がする。ここまで来ると正に「戦場」、子供同士のアンドロイドの喧嘩どころじゃない。
ーーが、しかし、飛んできた実弾を、何とアリアは手にした巨大な車輪を盾に弾き返す。爆発する砲弾の破片と炎の中から現れたアリアンロッドは、そのメイド服こそ汚れてはいるが、大してダメージを負っていないように見える......

「ーーマジ卍だな。流石に俺の必殺大砲で無傷なのは、ちょっとショックだぞ」

「何だありゃ......まさかあのアンドロイド、今ニュースで話題になってる......グロウ逃げるぞ!あれにゃ勝てっこねー!」

校内最強の不良である松崎も、流石に戦闘兵器であるパルヴァライザーが相手ではどうしようもないと察したようだ。そこへペコ達も回り込んできて合流し、アリアンロッドと対峙する。

「オーナー、アリアンロッドの車輪は彼女本体と同じく“超構造体”で構成されているようです」

「何だって!? 自分のボディ以外も超構造体で出来ているのか?」

「はいーーこれも彼女の能力の1つと思われます。恐らく彼女の能力は“超構造体で物体を作成”する能力。しかも、その能力であらゆる物を作成できるとするなら、かなり厄介です」

「お前ら何の話してるんだ!? って、来たー!」

ペコとホライゾンの話に松崎が割り込んだ途端、再びアリアンロッドが地面を蹴って此方へ突撃してくる。今度はホライゾンとグロウの2人掛かりでアリアンロッドの車輪を受け止める......が、先程よりもパワーが上がってるのか、2人ともジリジリと押されて交代していく......

『ガアアアアアア!』

「くっ、まさかアリアンロッド型にここまでパワーがあるとは......想定外です」

「ーーぐっ、これが“女の怒り”のパワーか!」

「お馬鹿! アンドロイドが怒りでパワーアップするかよ!?」

予想外のパワーに厳しい表情をするホライゾンと、グロウの頓珍漢な台詞に空かさず突っ込みを入れる松崎。
そして一歩引いた間合いからその様子を伺っていたペコの脳裏に、1つの作戦が思いつく。
背後を振り向くとーーそこには通学路の並木道に設置された噴水が。怒り、パワー......

「ーー! ホライゾン! アリアンロッドを噴水へ放り込め!」

『!』

ペコの咄嗟の指示を受け、ホライゾンは体勢を変え、アリアンロッドを彼女自身の勢いも乗っけて、上手くそのまま噴水の方へ押し出した。
闘牛のようにダッシュしてきたアリアンロッドはそのまま噴水へダイブするーー水飛沫が上がり、周辺へ一時の雨を降らせる。そして水蒸気を上げながら、アリアンロッドは停止した。

「ふう、“なんちゃって液冷システム”だよ。オーバーヒートして暴走したアンドロイドにも効果あるかなって思って」

「す、すげえ......オタクの発想だな......」

ペコと松崎が停止したアリアンロッドの様子を伺っていると、彼女のオーナーであるエリカが駆け寄って来た。

「2人とも御免なさい! 何と謝れば......」

「なーに問題ない、マジ卍だ。普段、十司がやってる恥ずかしい事の数々に比べれば、これぐらい可愛いものだ」

「オイ......」

ずいと出てきて胸を張るグロウに、松崎は最早ツッコミする気力も残ってなく、萎え落ちしそうなレベルだった。
ーーと、そこへ竹刀片手に地響きを立てながら向かってくる人影が......

「コラー貴様ら! 朝っぱらから校内でアンドロイド・バトルとはいい度胸だな!」

「やべっ!センコーに見つかった!」

松崎が悲鳴をあげる。最強の不良にも恐ろしいものがあるのだ。
そして逃げる間も無く間合いを詰められる。
熱血漢として有名な体育の教師......鍛え上げられた肉体にタンクトップが似合う。
そして問題児の面子を見た途端、教師も驚きの表情をした。

「何だと!? 松崎は兎も角、ペコ、それに優等生のエリカまで......ぬうううう! だが私の教え子には全員差別なく“愛情”を注がねばならぬ! お前ら全員ーー」

ぐっと握り拳を固めた教師は言い放った。

「“補習”だー!」

『ひいー!?』

3人は悲鳴を上げ、その後1日、教師から“アツイ”特訓を受けることとなった。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.6 )
日時: 2024/02/04 20:45
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

その日の夕方......ペコ、エリカ、松崎の3人はヘトヘトになって校舎から出てきた。彼らは自身のアンドロイドを校内で戦闘モードで稼働させた罰として、熱血体育教師からアツアツの“特訓”を受けてきたのだった......
校門では彼らの3機のアンドロイドが待っていた。

「オーナー、お疲れ様でした」

「はあ......運動は苦手だよ......こりゃ明日は筋肉痛だな......」

オーナーであるロボットオタクのペコを出迎えるアンドロイドのホライゾン。銀髪のツインテールが夕日を浴びて輝いている。

「まじ卍、ご苦労だったな。ああ、それと......ちゃんと宿題もやっておいてくれたまえ。また俺も一緒に怒られるのは嫌だからな」

「もう俺、オーナー辞めようかな......」

今にも萎え落ちしそうなヤンキー松崎とそのアンドロイド、かなり他のロボットとは感覚がズレてるグロウのコンビ。

「お嬢様〜! わたくしのせいでこんな事に......何とお詫びすればいいか......」

「ううん、大丈夫よ。アリアは私の事を守ろうとしてくれたのよね、ありがとう」

エリカが笑みで返事をすると、アリアンロッドは「おじょうざま〜!」と叫びながら、文字通り目から水鉄砲のように涙(?)を吹き出した。
ーー果たしてアンドロイドにこのような機能があっただろうか?
その後、3人は互いに連絡先を交換して別れた。小さな友情の始まりだ。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.7 )
日時: 2024/02/04 20:46
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

次の日朝ーー筋肉痛による重い腰を上げて、ペコとホライゾンは通学路を進む......
が、早速異変に気付いた。他の生徒の数が物凄く少ないのだ。ペコは「これは何かやらかしたか」と思いつつも、その理由を確かめるべく学校へ足を向かわせる。
そして、半分閉じられた正門の前まで到着すると、昨日の熱血体育教師がタンクトップ姿のまま、暑苦しい程の元気の良い声で挨拶活動を行なっていた。

「むっ! おおー! ペコにホライゾンじゃないか! もしかして、また俺との“特訓”に来てくれたのか!?」

「お、おはようございます! そういう訳じゃ無いんですけど......あの、今日って......?」

ペコを見つけるや否や、猛スピードで駆けてきて絡んでくる教師。

「うむ、それがだな......通達が遅れたんだが、今朝また“アンドロイド”が電気街に出没したらしくてだな。今日も残念ながら休校になってしまったのだ......だがな」

体育教師は続ける。

「俺との“特訓”だったら365日いつでもOKだぞ!」

「そ、そうだったんですかー? 分かりました、ありがとうございますー!」

サーっと教師から逃げるように後者の方へ逃げて行くペコと、教師に一礼してからそれを追うホライゾン。
そんな2人の背中を見送る体育教師は、ちょっぴり寂しそうな表情をしていた。

「オーナー、逃げるなら校舎とは反対側の方向へ行った方が良かったのでは?」

「まあ......確かに学校に用事は無いもんね......でも折角だし机周りを整理してから帰ろう」

2人は校舎へ向けて歩き出す。そして花壇が並ぶ通学路に差し掛かった時、そこで何やら作業をしている黒い短髪の少女が居た。ピンクに花柄の可愛らしいエプロンを身につけ、脇に置かれた車輪付きカートから苗や道具を取り出しては、それを花壇へ植えていく......
ふとそんな彼女が気になったペコは足を止める。休校し静かな校舎の前でポツンと居る少女だが、その手つきや視線の動きから、ペコはアンドロイドオタクとしての勘が働いた。

「ーー彼女、アンドロイドなのかな? でもオーナーの姿はないな......」

何故だろう、ちょっと気になったペコは、そろそろと彼女の横から近づくと声をかける。

「あのー、こんにちはー。君ってアンドロイドだよね?」

「......?」

少女と目が合うペコ。少女はややツリ目で赤い瞳をしており、アンドロイドと分かっていても、本物の人間のように眼力が強い。
変わった雰囲気の少女アンドロイドに、ペコは一瞬びくりとする。

「......何か用?」

「えっ? あ、いやー......なんか珍しいアンドロイドさんだなって思って、声をかけちゃった」

自分から話しかけておいて、戸惑うペコ。

「そう、じゃあ邪魔だからあっち行ってて」

そう吐き捨てると、彼女はペコを無視するようにまた黙々と花壇の作業に戻る。
ペコは少女アンドロイドの意外な反応に戸惑いつつもそこから離れ、後ろでその様子を見ていたホライゾンの所にまで戻ってくる。

「ほえー、アンドロイドにあんな事言われたの初めてだよ」

2人はその場を後にした。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.8 )
日時: 2024/02/04 20:48
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

更に翌日、ペコ達は教室で朝のホームルームが始まるのを待っていると、勢いよく扉が開いていつもの体育教師が入ってきた。特にこの学校はゲームは漫画は全て自己責任で自由に持ち込めるものの、流石に絡まれるとめんどくさいので、皆各々の私物をゴソゴソと机の中にしまい始める。

「おーし、お前ら聞いてくれ。今日は転校生の来る日だから、紹介すっぞ」

「おおー、もしかして可愛い子!?」

「いやどーせ“ビックマム”だろ!がっはっは!」

「男子サイテー!」

相変わらずペコのクラスはいつもテンションが高い。まあ特に問題児が居る訳でもなく、至って平和でいいのだが。
そして教室の扉が開き、金髪を肩までで切り揃えた碧眼の少女が入ってきた。意外なルックスの転校生に、一瞬教室は静まる。そしてクラスの面子と正対する彼女の視線は真っ直ぐで、中々眼力があった。可愛らしい容姿だが、結構気も強そうだ。

「初めまして。私はリシェル。リシェル=ブラッケンハイムよ。よろしく」

そして彼女が澄んだ声で自己紹介をすると、どっとクラスから声が溢れる。

「うわー留学生!? よろしくー!」

「リシェルちゃんメアド教えて〜」

「男子臭すぎー!」

あわわ......こりゃジャパニーズ動物園だと思われても仕方のない光景......ペコが苦笑いしながらその光景を見ていると、その横を涼しい表情のままリシェルが通り過ぎていく。そして彼女が指定された自身の席に着くと、いつも通りのホームルームが始まった。



その昼、ペコはホライゾンと同じ席で昼食の準備をしていた。ペコはカップ麺、ホライゾンは自宅から持ってきたお弁当だ。彼女の弁当箱は女の子らしからぬ、保温効果のある金属製のゴツいものだった。黒光りする弁当箱は、まるで秋葉原で売ってる、おっさん達が好みそうなガジェットみたいだ。あまり見た目は気にせず、性能だけをとことん追求していく、ホライゾンらしい選択だ。
そしていざ食べようと2人が箸を付けようとした矢先、いつもの体育教師が入ってきて、ペコ達の元へやって来た。
ペコが本当によく動き回るなこの教師は......と思っていると、彼は手に教科書一式を持っていた。

「ようペコ元気か? ちょっと悪いんだけど、リシェルさんが見当たらないから、後でこの教科書を渡してくれないか?」

「ああ、いいですよ!」

ペコが素直に教科書を受け取ると、教師は「よろしく!」と言い残して教室を出て行った。
そして丁度それと入れ替わるように、今度はリシェルが教室へ入ってくる。
彼女がペコの机に近寄ってきた辺りで、彼は声をかける。

「あのー、リシェルさん。これ、君の教科書......」

「え? ああ、ありがとう」

ちょっと驚いたように立ち止まり、ペコから教科書を受け取るとリシェル。
だがそこで、ペコは彼女の“異常”に気がついたのだ。

「ーーあれ? 君“アンドロイド”じゃないか?」

「なっ!? 何言ってるの?」

きょどるリシェル。

「いや、だって君の瞳、それカメラだよね? レンズが見えるけど......」

「オーナー、リシェルでしたら、先程校舎の裏口に居ましたよ。恐らく今もそこに居ると思われます」

「ええー? じゃあ、この人は一体......誰なの?」

リシェル(?)とホライゾンの顔を交互に見るペコ。

「さあ? 私は知りません。とりあえずこれ以上オーナーの手を煩わせないよう、私がこの教科書をリシェル本人にお届けしましょう」

そう言い残し、大胆にもホライゾンは教科書を持って窓から校庭へダイブして、そのまま駆けていく。

「ちょ! ちょっと待ってください!」

その後を、同じく3階の窓から飛び降りて追いかけていくリシェル(?)。この時点で彼女が人間じゃないのは明らかだ。

「うわー!? なんだなんだ!?」

ペコもカップ麺が伸びると困るので、速攻で食べ終えてあとを追う。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.9 )
日時: 2024/02/04 20:49
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

ててーっとリシェルの教科書セットを持って駆けていくホライゾン。そして校舎裏口にてリシェルを発見するが......何やら様子が変だ。こちらに背を向けて誰かと話をしている。リシェルの前には黒塗りの高級そうな車が数台停車しており、更に黒服の男が数人居る。
突然走ってきたホライゾンに、黒服の男達がリシェルを庇うように前に出てくる。しかもポケットに手を伸ばし何やら物騒な物を取り出しそうな勢いだ。

「なんだお前はー!?」

「私はパルヴァライザー型アンドロイドのホライゾンといいます。リシェルに教科書を届けに来ました」

ーー教科書......? 一瞬固まる黒服の男達。だが直ぐに手前の男が「後にしろ!」と吐き捨ててきた。
が、その後ろからリシェルが出てきた。そして教科書を受け取る。

「ありがとう、ホライゾン」

「お嬢様!? 相手はアンドロイドですよ!」

「大丈夫、彼女はクラスメイトよ」

リシェルは相変わらずいつも冷静で落ち着いてる。
しかし凛々しいリシェルの表情が、その後少し曇った。ホライゾンの後ろから彼女のオーナーである少年ペコと......なんとリシェルに姿形が瓜二つの謎の少女が駆けて来たのだ。

「“ミッシェル!”。影武者が主人の所へ来たら意味ないでしょ!」

「あれれ!? リシェルさんが2人? 一体これは......?」

キョロキョロと2人を交互に見るペコを見て、先に来ていた方のリシェルが何か諦めたように溜息をつくと。

「2人とも、ちょっとこっちに来て」

ペコとホライゾンを一人でどこかへ連れて行く。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.10 )
日時: 2024/02/04 20:51
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

校舎の裏に連れてこられたペコとホライゾンは2人のシェリーから事の事情を聞くことに。
何でもこの片方のシェリーは、実はアンドロイドで、しかもミッシェルという名前まであるそうな。
そしてこのシェリー、今は何でも英国マフィアの首領らしいのだ......

「なんだって? 君はヤクザ者だったのーー」

ペコが言いかけた刹那、彼の目の前で交差する剣戟。ホライゾンのレーザーを纏った手刀とミッシェルが抜いたロングソードがぶつかる。
腰を抜かしたペコにミッシェルはーー

「リシェル様に無礼な言葉......許しませんよ」

「いや、あの......カタギにいきなり剣を抜くもんじゃないと思うよ?」

尻餅をつき、両手を上げながら言うペコに、ミッシェルも自分が少し熱くなっていたことに気づいたような。「そうですね......失礼しました」と言いながら剣を収める。

「まあ、とにかく私達の秘密が皆んなにバレると困るのよ。だからこの事は暫く黙ってて貰える?」

「う、うん......」

尻餅をつくペコに対して、片膝を折って顔を近づけるリシェル。金髪が眩しく、青い瞳が宝石のように人そ誘い込む輝きを放っているのだあ。
ペコの言葉を聞くと、リシェルは安心したようににこりと笑みを浮かべると立ち上がり。

「ありがとう、ペコくん。でもーーもしも約束を破った時は......分かってるわよね?」

振り向きざまにそう言うリシェル。

「ああ、分かったよ......誰にも言わないよ」

その笑みの裏に隠された、彼女の微かな殺意。見た目は可愛いけど、恐ろしい女の子なのだ......

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.11 )
日時: 2024/02/04 20:53
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

その日の授業もアンドロイドの事件の関係で早く終わったペコとホライゾンは、いつも通りの帰宅路につこうとしたーーが、工事の為の通行止めだった為、別の道を進む事に。
そしてしばらく進むと、見慣れない大きな豪邸が見えてきた。白を基調とし、微かに赤みが入った茶色のカラーリングは、なんとなくチョコケーキを連想させなくもない。
そしてその入口の門の柱にしがみつき、何やら呟きながら困ってる様子の男性が一名。

「うーむ......困ったなあ......このままでは......うーむ......」

あまり手入れをしてないのか、緑の髪がウルフカットっぽくなっちゃってる痩躯な白衣の男。ペコとホライゾンが背後から近づいても気づく気配なし。
とりあえず声をかけるペコ。

「あのーー」

「うぉっわあああ!?ーーって、なんだ子供か......脅かさないでくれたまえ。今はちょっとヤバいんだよ......」

「何かあったんですか?」

「うむ、実はうちのアンドロイドの調子が良くなくてだな......部品を買いに行かなければいけないのだが......やはり久々の外は苦しいものだ」

何か遠い場所を見るような視線で住宅地を眺める男。ペコは生活上こういう仲間は沢山知っている為、すぐに事を察した。

「うーん、良かったら買ってきてあげましょうか? お小遣いくれたら行きますよ!」

「うむ、それは有難い話だが、多分君みたいな学生にはちょっと難しい買い物になるだろうから......」

男は手にしたメモを眺めながら言う。それを覗き込むペコ。

「ーーこれはアンドロイドの内蔵小型バッテリーじゃないですか? 小さな部品を動かしたりする」

「むっ! お主分かるな!? さては“君も”アンドロイド オタクのようだな......よし、ここは1つ、君にお使いをお願いできないか!?」

藁にもすがるような表情でお願いしてくる男。

「いいですよ〜、僕はペコ。後でお会いしましょう!」

「私はエドワード=ブラン三世だ! 頼むぞ少年!」

そうして別れる二人。ここからペコの「おつかい」が始まった。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.12 )
日時: 2024/02/04 20:54
名前: アロンダイト (ID: 6nKXkMq.)

エドワードから貰ったお金でアンドロイドの部品を買ったペコとホライゾンは、ちょっと寄り道して電気街をブラつく。
そして街の中に点在する公園で一息つこうと立ち寄った時、そこに見覚えのある1人の女性がいた。片膝を折って目線を合わせ、子供達に囲まれて、何かを配っている。

「ほーれ、これが妾の家来の証し! 金ピカのメダルを其方達に授けよう」

「わーい! ありがとう、お姉ちゃん!」

子供に囲まれる、黒い長髪に和服にメカがくっついた様な衣装の女性。バイザーと狐の耳の様なアンテナが特徴の、アンドロイド。

「フォーチュン!?」

「うーん? おや、久しぶりじゃのお、少年」

走ってくるペコとホライゾンに気づいた女性型アンドロイド、フォーチュンは、いつも通りの不敵な笑みを浮かべている。

「久しぶりじゃないよ! 今度は何をしているんだ!?」

「何とは失礼な、ただ子供達にメダルを無料配布してるだけじゃ」

フォーチュンは手の平に開いたワームホールから、チャリンと金色のメダルを出現させて見せた。

「ーー? 今日は街で暴れてる訳じゃないんだね......」

「失礼な奴よのお、妾はあくまで自衛の為に戦ってるだけじゃ。其方らが襲ってこない限り、妾も何もせんよーーそうじゃ! 其方にもこのメダルを授けよう!」

そう言うとフォーチュンは立ち上がり、ペコにメダルを渡そうとしてきた。

「ーー純度100%の“黄鉄鉱”です。害はありません」

警戒するペコに、スキャンした結果を言うホライゾン。黄鉄鉱といえば金にそっくりな鉱物で、見間違える事もあるんだとか。

「そ、そう? じゃあ......ありがとう」

「うむ! ありがたく受け取るが良いーーというか、今日は暇じゃから、妾は其方らと遊びたいのじゃー! 何処かへ連れて行ってくれ!」

「ええー!? それはちょっと......」

「オーナー、フォーチュンは放置しておくよりも、側に置いておいた方が市民の安全が確保できると思われます」

いきなりのフォーチュンの提案に戸惑ペコだったが、ホライゾンの助言を聞いて了承する事にする。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.13 )
日時: 2024/02/04 23:15
名前: アンクルデス合作消すな (ID: V016OUVU)

フォーチュンを連れたペコとホライゾンはその足でエドワードの家に向かう。
その途中、ふとペコは一軒のフラワーショップの前で立ち止まる。店で花の手入れをする少女......何処かで見覚えが。
そう、先日学校の校庭の花壇で花を植えていたアンドロイドだった。
ここで働いていたのかー。ペコが近づいてくると、その少女型アンドロイドが顔を上げる。可愛らしいエプロン姿に反して、表情はなんだか不機嫌そう。

「やあ、久しぶり」

「......」

むすっとした顔をして返事をしない。

「ええっと......あ、そういえばリシェルさんって知ってる? なんか君の事を言っていたけどーー」

「リシェル!? まさか、組織の奴!」

少女型アンドロイドは、エプロンの下から黒いナイフのような物を取り出した。刃先がこちらに向いてる、明らかに武器。驚いて下がるペコと入れ替わるように、ホライゾンが前に出てきた。
一方、一緒についてきたフォーチュンはというと......横で呑気にしゃがみ込んで花を見ていた。マイペースにも程がある......
一触即発か。と、店の奥からまたもう1人の少女が出てきた。黒い長髪と同じエプロンを着た少女は、その光景を見るや否やーー

「リッパー!? 何してるの? やめて!」

「でも、こいつら組織のーー」

「ーーちょっと、宜しいでしょうか?」

ここでホライゾンが口を開く。

「私達は高校のクラスメイトであって、リシェルの組織等とは何の関係もありません」

「ああー、そうそう! 僕らはあんな“ヤクザもん”じゃないよ」

「え、違うの......?」

ホライゾンとペコの話を聞き、リッパーと呼ばれたアンドロイドは武器を下ろした。



ーーリッパーのオーナー[美奈]に話を聞いてみると、リッパーは元は過去に殺し屋型アンドロイドとして製造されて汚れ仕事をさせられていたようだ。
今でも組織との繋がりは断てず、時々厄介毎に巻き込まれそうになるらしい。

「そうだったんですかー。まあ過去は過去だし、僕はそんなに気にしなくてもいいんじゃないかな、って思うよ」

「ありがとう! 良かった優しい人たちで......リッパーも、すぐに武器を出しちゃダメよ?」

「だって......う〜」

美奈に怒られたリッパーは、まるで親に怒られた子供みたいな表情を見せる。きっとオーナーにとても忠実なアンドロイドなのだろう。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.14 )
日時: 2024/02/04 23:16
名前: アンクルデス合作消すな (ID: V016OUVU)

リッパーと美奈と別れたペコ達は、エドワードの豪邸の前まで戻ってきた。インターホンを鳴らすーー

『おおーペコ君! 戻ってきてくれたか! ちょっと遅かったから、てっきりバックれたんじゃないかって心配してたんだよ! さあ入ってくれ!』

カシャン......と門のロックが外れ、豪邸への道が開かれる。

「オートロックだ、凄いなあ〜」

門を潜り、美しい花壇を進むペコ達。きっと誰かがちゃんと手入れをしてる証拠なのだ。
そして屋敷の入り口に立つと、また扉が自動的に開きーー白衣を着た青年、エドワード=ブラン3世が待っていた。

「さあこっちだ......って、なんかアンドロイドが一体増えてないかい?」

「あーええっと、実はさっき友達になって......」

「フォーチュンじゃ、宜しく頼む!」

片手を上げて挨拶をするフォーチュン。

「ふむ、まあいい。一緒に上がってくれ!」

ペコ達はエドワードに連れて行かれた。



エドワードの屋敷は歩き回るだけでも大変そうなぐらい広かった。内装も綺麗なままで、埃も殆どない。
そして階段を下り、地下に入るとーー途端に雰囲気が変わった。銀行にありそうな鋼鉄のドアはまるでシェルターのよう。そこから先は研究所のように白い廊下が続く。
その一室、中央に人が入れる程の大きさの卵型カプセルが設置された部屋にきた。エドワードが脇にあるパソコンを操作すると、カプセルのカバーが開く。
中にはーー胸にかかる程度に伸ばした茶髪の、メイド服を着たアンドロイドが寝かされていた。
エドワードはそのアンドロイドの側頭部のカバーを開き、ペコから貰ったパーツを交換する。

「......う、ううん......お主か。客人も来ているようだな」

目をこすりながら動き出したアンドロイド。白を基調とし、茶色のアクセントが入ったメイド服は、まるでそれ自体が1つのスイーツみたいだ。

「紹介しよう! 彼女は僕が開発したアンドロイドの[ココア]だよ!」

「うむ、私がココアじゃ。直してくれた例に、お主らにおやつをご馳走するぞ!」

「マジか!やったー!」

ココアの修理に成功した一同は、そのまま上に上がっていった。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.16 )
日時: 2024/02/04 23:19
名前: アンクルデス合作消すな (ID: ydKqKqtw)

ココアが用意してくれた手作りお菓子の数々でティータイムを過ごす一同。
自重しながらも人目を盗んでは小さく切り分けられたケーキや、並べられたクッキーに手を伸ばしていくペコ。それとは対照的に、彼のアンドロイドであるホライゾンは、かなり控えめにお菓子を口にし、時々紅茶を飲むだけだ。
途中で友達になったアンドロイド、フォーチュンはというと、ケーキやお菓子、紅茶の味だけでなく、色や香りも楽しみながら食してる様子だった。

「そうだ、ペコ君。良かったら今度、私の研究仲間と一緒にオフ会を開くんだけど......良かったら君も参加しないか? 君とはいい友達になれそうだよ」

「本当ですか? 是非参加させて下さい!」

エドワードの誘いに素直に応じるペコ。
ココアも修理でき、問題児だったフォーチュンも大人しくなった事だし、とりあえず今日は一件落着だ。めでたしめでたし。



翌日、エドワードが企画したオフ会は15時からの開催予定だった。丁度その日は学校が早く終わった為、その足でエドワード亭に訪れるペコとホライゾン。インターホンを押すと、ほぼ同時に門が開いた。
玄関の戸を開けると、向こうに綺麗に両手を膝の前で合わせて、メイド服着込んだココアがお出迎えしてくれた。

「ようこそエドワード亭へーーなんちゃって」

スカートを摘んで敬礼してみせたココア。

「あはは、凄い凄い! まるで本物のメイドさんみたいだ」

「......一応、私は本物のメイドのつもりじゃぞ?」

「オーナー、それは失言です。ココアに謝罪して下さい」

おっと、またペコの“失言癖”が発動してしまったようだ。
表情が固まるペコ。

「あ、すいませんココアさん......」

「ーーはっはっは! 嘘じゃ嘘じゃ! 褒め言葉として受け取っておこう!ーーそれにしても皆の衆、真面目だな。時間前なのに、もう皆んな揃ってるぞ」

「そうなんですか? きっとココアさんの手作りお菓子を、皆んな早く食べたかったんですよ!」

「オーナー、“ぐっちょぶ”です」

ペコのお世辞に、今度はホライゾンは右親指を立てた。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.17 )
日時: 2024/02/04 23:21
名前: アンクルデス合作消すな (ID: ydKqKqtw)

ココアに案内されて応接室に行くと、既に2人の男性と1人の小柄な少女がテーブルに付いていた。
小柄な少女が立ち上がると、こちらへ寄ってきた。

「あっ、ペコさんですよね? 初めまして! 私は渚教授の助手型アンドロイドの“マクルト”といいます!」

少女ーーいや少年型なのか? かなり中性的なボディのアンドロイドだ。丁度レモンと同じ色のミドルヘアのアンドロイドは、デフォルトの表情から少し笑ってるように見える。

「僕が渚だよ。ロボット工学の中でもAIを専門に研究してる者だ。よろしく、ペコくん」

20代後半......いや30路にギリギリ行ってるのだろうか。しかし渚は整った顔に短めの黒髪は若々しく見える。細い目がカッコいいお兄さんなのだ。

「私は烏丸といいます、サイバネティクスの研究をしてます。よろしくお願いしますね」

もう1人は銀髪オールバックの優しそうなおじ様だ。結構な長身で、白いワイシャツでもバリバリお似合いだ。

「サイバネティクス、ですか?」

「ええ、要は義体、即ちサイボーグ等に関する研究をしてるんですよ」

どうやら烏丸氏に関してはアンドロイドは連れて歩いてないようだ。
そんな会話をしてる内に、エドワードがココアと一緒にやって来た。ココアが押してる台車の上にはお菓子や紅茶セットが盛りだくさん。
そこから楽しいお茶会が始まる......筈だった。



皆んなでお菓子と紅茶を味わいながら会話する中、エドワードがこんな話題を切って来た。

「そういえば、最近確認されてる未確認アンドロイドのパルヴァライザーの事なのだがーー」

その言葉に、ペコはピンと反応する。

「そうそう、僕もそう言えばなんですけど、ホライゾンはパルヴァライザー型のアンドロイドなんですよ」

「ーーなんだって? この子がかい?」

渚教授のいつも余裕のある表情に一瞬焦りが浮かぶ。そしてペコが「はい、そうなんです。この前街で出会ってーー」と此処まで言いかけた途端ーー


『ひゃー!?』


テーブルについていたメンバーが、一斉にホライゾンを見て飛び退いた。



「パルヴァライザーって、なんでそんな大事な事を黙ってたんだい!?」

「あ、すいません......聞かれなかったので......」

エドワードの質問に、座ったままお辞儀をするように頭を下げるペコに一同唖然。

「だ、だが大丈夫だ! 私のココアのバリアーは絶対に壊れないぞ! パルヴァライザーが相手でも大丈夫......」

「もちろんじゃ〜ーーって、いつから私がホライゾンと戦うって話になったんじゃ?」

エドワードの言葉にココアは首をかしげる。

「確かにココアのバリアはエドワード博士のお墨付き......」

自身のアンドロイドのマクルトの背後から臨戦態勢を取る渚教授。

「いや......待ってください......確かにココアのバリアは鉄壁の防御力を誇りますが.....
何もオーナーである私達自身が無敵になる訳じゃない。生身の私達が攻撃されたらアウトなのでは......?」

烏丸の冷静な分析に、エドワードは何か閃いたようだ。

「ーーしまった! 私とした事が! ココアの防御力を追求するあまり、己自身の防御策を講じるのを忘れてしまった!」

「なんてこった......貴方とあろう人が、此処は仕方ない! マクルト、君の力を見せてやるんだ!」

「わかりましたー! あちょー!」

渚教授のアンドロイド、マクルトが元気よく飛び出してくる......が、
ホライゾンはケーキを指したフォークを口元に持っていき、今まさにあーんと口を開いてそれを食べようとしてるポーズで固まっていた。まるで静止画だ。
そして、そのままパクりとケーキを食べて、もぐもぐ食す。

「ーーあれ? 襲ってこないですよ!」

マクルトが振り向きながら渚教授に指示を仰ぐと、ホライゾンが静かに右手を上げる。

「ーー少し、喋らせて頂きたいのですが。私は皆さんに攻撃したりしません」

「え、そうなの? なんでだ?」

エドワードが問うと。

「“攻撃する理由”が無いからです。アンドロイドは命令されたり、プログラムされてない限り、人を攻撃しません」

「まあ、最もな回答ですね......モンブラン氏、彼女は大丈夫そうですよ」

烏丸の言葉に、少し皆んなは落ち着いたようだ。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.19 )
日時: 2024/02/04 23:23
名前: アンクルデス合作消すな (ID: ydKqKqtw)

誤解も解け、いよいよお待ちかねのティータイム。
渚教授と烏丸はーー

「それにしてもこんな近くでパルヴァライザーを見れるとはね、ちょっと分解してみたいよ」

「それは私も興味ありますね!ーーなんちゃって、嘘ですけど」

「ちょっと〜、怖い事言わないで下さいよ〜」

ペコは思わず突っ込む。

「私もパルヴァライザーについて色々調べてはいたんだが......どうもパルヴァライザーには“ネジ”や“ボルト”みたいな小さな部品がない。というか、“組み立てた”痕跡すらないんだ! “全部のパーツが最初からくっついてるんだよ”。
まるで、最初からこの姿で生まれてきたみたいにーー」

「そもそも、“絶対に壊れない金属”をどうやって加工したんだって話にもなりますよね〜。あーむ」

エドワードのパルヴァライザー研究の成果を聞きつつ、マクルトがクッキーを口に運ぶ。

「まあ、僕がこれを言ったら終わりだけど、パルヴァライザーは人間に作れるアンドロイドじゃないね。認めたくは無いが、現物が“そこ”に座ってるんだから、認めざる得ない」

渚教授が紅茶を飲みながら、向かい側に座ってるホライゾンのことを見つめる。

「パルヴァライザーには製作者の記憶とかは無いのじゃろうか?」

「私達パルヴァライザーは皆“気がついたら大地に立ってた”というのが殆どです。製作者の記憶こそありませんが、けれども【何者か】によって私達が野に放たれたのは事実です」

ココアの疑問にホライゾンが答える。

「宇宙人とか、ですかね?」

マクルトが大きな目をキラキラ輝かせながら呟いた。

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.21 )
日時: 2024/02/04 23:25
名前: アンクルデス合作消すな (ID: ydKqKqtw)

翌日、ペコは職員室でいつもの熱血体育教師に相談事をしていた。

「[アンドロイド部]を作りたい......だと?」

ペコがパソコンとプリンターで作った企画書を見ながら体育教師は呟く。企画書には部活動ではあるものの、活動内容は「アンドロイドに関する雑談、オフ会(自腹)」のみであり、どちらかというと同好会的な物だった。

「面白そうじゃないか! 遂にうちの学校にもアンドロイドの活動がやってきそうだな。経費も必要ないし、後は適当な空いてる教室さえ確保すればすぐにでも作れるぞ!」

「ありがとうございます!」

ペコと教師は固く握手を交わす。



そしてペコとホライゾンは物置になってた教室の半分を整理して机を並べ直し、“アンドロイド部(仮部室)”を作成した。
早速声掛けしてみた結果だが、松崎とエリカに関しては断られたーーそして集まったのはこの2人ーー

「ふふん、面白そうじゃ無い」

「色々アンドロイドについて教えてほしいな......」

実は英国マフィアの首領である少女リシェルと、花屋の彩里がペコの声に応じてくれた。2人ともアンドロイドのオーナーで、ペコのクラスメイトなのだ。
更に......部室のドアを開ける者が1人ーー

「あ、あの〜......」

『新 入 部 員 ! ?』

3人は同時に声を合わせて振り向いた。
黒い長髪にあどけなさが残る、ちょっとおどおどした表情の女子生徒が扉から顔を出していた。
その後ろには、アンドロイドらしき黒いジャケットを羽織った黒い短髪の少年型アンドロイドが控えている。

「にゅ、入部......したいんだけど......」

「うん、いいよ! さあ入って」

ペコは2人を招き入れる。

「ーーまだ出来立てって感じの部室だな。これから掃除しないとな」

アンドロイドの少年が初めて口を開く。

「わたし、錫宮花鈴......よろしく」

「俺はガルディだ」

「ええ、よろしく錫宮さん。ガルディ君」

「こちらこそ、よろしくね!」

リシェルも彩里も優しい女の子でよかった。

「よし! じゃあ次は講師の確保だね! 実は、ちょうど暇そうな博士が居るんだよ」

「そうなの? 是非会ってみたいわね」

ペコの言葉にリシェルが興味を示す。



その日の午後、アンドロイド部一同は、エドワードの豪邸に尋ねていた。そしてペコからエドワードにアンドロイド部の顧問になって欲しいとお願いしている。

「私が、部活動の顧問に?うーん......いきなりそんな事言われても......」

「はっはっは! いいではござらんか! 主にはピッタリな仕事じゃぞ」

「そうですよ〜、外に出る練習にもなるし。社会貢献にもなると思いますよ!」

ココアに便乗するペコ。

「なんか酷くね!? まあ、別にいいけど......」

「そうね。この屋敷も広そうだし、ここもアンドロイド部の拠点になりそうだわ」

「というか、もうこの屋敷を部室にすればいいんじゃないか? どうせ部屋も余ってるんだろ」

「お菓子美味いな。おい博士、屋敷の花の手入れをしてやるから、もっとクッキーを作っておいてくれ」

「ちょっとリッパー! 少しは自重しないとダメよ!」

「おい......」

リシェルとガルディ、更にリッパーと彩里の言葉に、エドワードもたじたじ......

と、次の瞬間、地震のように大きな揺れが伝わってきた。同時に爆音のような音が遠くから響いてくる。電気街の方角だ。
何事かと一同が慌ててると、テレビに電気街の様子が生中継で映る。

『速報です! 現在、電気街にて複数の未確認アンドロイドが暴走しており、警官隊との衝突がーー』

「あわわ、遂に現れたか......」

「オーナー、今度の相手は複数です。放置しておけません、行きましょう!」

ペコにホライゾンが言いよる。

「ええ!? ペコ君行くの? いくらアンドロイド部だからって、そこまで頑張って活動しなくても......」

「でも、ほっとけない......彩里、私の能力を使う時だと思う」

リッパーもオーナーである彩里の意思に反してやる気を見せた。

「せっかく日本に来たんだし、私も加勢するわよ」

「リシェル様、準備は出来ております」

リシェルの言葉に、後ろで控えていた彼女のアンドロイド、ミッシェルも出てきた。

「わたしも......誰かを守りたい」

「しょうがねえな、でもヤバくなったらお前を連れて逃げるぜ、花鈴」

錫宮の言葉に、ガルディも答える。

「わ、私は行かないぞー!?」

「阿呆、主も来るんじゃよ」

逃げようとするエドワードを、彼のアンドロイドのココアが捕まえる。

「はあ、仕方ないか。じゃあ僕も行くか」

最後にペコも出撃の意欲を見せた。


「それじゃあアンドロイド部の皆んな! 電気街を救いに行くぞー!」


『おおー!』


アンドロイド大戦2020 メインストーリー 完結

Re: 【合作】アンドロイド大戦2020【完結】  ( No.22 )
日時: 2024/02/20 20:04
名前: ヨモツカミ (ID: WzSnq68g)

絵も文章もヘタクソで最低だなお前!!!!!!
氏ね!!!!!

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