雑談掲示板
- 水が枯れた暁に……5
- 日時: 2022/11/07 17:27
- 名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: MwHi91Vk)
こんばんはございます。親記事編集を怠けに怠けまくった枯水暁です。こんな怠惰の限りを尽くすスレ主ですが皆様のおかげでこのみずかれも5スレ目に到達致しました。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。調子に乗っていきます。GOGO!
新規のお客様も大歓迎です。本スレはスレ主の『呟き・雑談・更新報告』を主に行うスレとなります。
↓↓↓ご一読願います↓↓↓
【ルール】
話題は基本なんでもOKです。皆さんで楽しく会話しましょう。誰かに不快な思いをさせる話題やそのおそれのある話題は御遠慮ください。
荒らしさんはスレ主が荒らしと判断した場合全て無視します。ご了承ください。また、荒らしさんが来た場合反応しないでください。
過度のものでなければ自作品の宣伝も大丈夫です。感想交流の出来る人とお近付きになりたいです。
タメでも敬語でもどちらでも大丈夫です。
【お客様】
みょみみょ 様
謎の女剣士 様
ベリー 様
浅葱 游 様
みーいん 様
心 様
緑川蓮 様
唯柚 様
オノロケ 様
げらっち 様
坂蜻蛉 宙露 様
優澄 様
ディゲラ 様
*短編感想交流会のお知らせ【梅雨パーティ】
第五回の短編感想交流会を開催致します。
以下交流会に関するレスを貼ります。
概要 >>1
参加者様>>6
この企画が、皆様の良き出会いのきっかけになりますように。
【終了致しました】
【創作物】
『この馬鹿馬鹿しい世界にも……』【完結】
ダーク・ファンタジー板
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Re: 水が枯れた暁に……5【短編梅雨パーティ】 ( No.11 )
- 日時: 2022/06/05 14:48
- 名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: 81QlFga2)
『梅雨パーティ参加』
【この地にいきたい】
空が泣いている、なんて、そんなことはあるはずないだろう。神の涙、なんて、そんなことはありえないだろう。そんなことを考えた奴は、頭がおかしいのでは無いだろうか。比喩だとか例え話だとか空想話だとか、そんなことはわかっている。本気でそう考えている奴なんていないだろう。それはわかっている。だけどそれでも、どうしても、考えてしまう。そう思ってしまう。馬鹿だと、感じてしまう。
雨なんてただの天気だ。快晴ならば空は笑っているのか? 曇りなら不機嫌なのか? 雪なら寂しがっているのかな。台風なら怒っているんだろう。だけどそんな表現はあまり見ない。快晴と台風くらいなら見かけるけど、わざわざ曇天に注目する人なんて少ない。私だってそうだ。曇りよりは晴れが好き。晴れよりも、雨が好き。
神の涙なんて、それこそもってのほかだ。烏滸がましいにも程がある。涙を流すということは神には目があると言うのか。神が人間と同じ姿をしていると言うのか。何故人間が神の模造品と考える? 何故人間が特別だと思う? 確かに人間は明らかに他の生物とは違う。知性があり、感情があり、表情がある。だけどそれだけだ。人間は特別でも何でもない。神の涙ということは神も人間と同じ感情を抱くのだと考えているということか? そうなんだろう。馬鹿馬鹿しい。愚かしい。
私はバスから降りた。特に意味もなく安物のビニール傘を差す。石でも投げつけられているような衝撃が傘から手に伝わる。どうやら私は雨に嫌われているらしい。そんなに激しく私を打たなくたって、すぐにこの場から立ち去るのに。
傘から垂れた水滴が、風に乗って袖に当たる。ほら、傘を差すことに意味は無い。傘を差していないと変だと見られるから、差しているだけ。傘を差すだけで、私はこの場所に、沢山の人々が歩くこの大通りに溶け込む。どうしてだろう。ああ、考える必要なんて無いんだった。足元はもう水に濡れてぐちゃぐちゃだ。雨は大地に触れたその瞬間から雨という名を剥奪される。ただの水に成り果てる。だけどその水は、私達が生きるために必要不可欠な命の水。傍にあることが当然であるあまり気づけないだけの、私達を支える重要な柱。
しばらく歩いて、車が通る隙なんてない、人々で埋め尽くされた大きな交差点が目に入った。ちょっとだけ顔を顰めて、けれど足は止めずにその中へ。雨は靴底の辺りまで満ちている。高いヒールは好きじゃない。背伸びするのは、好きじゃない。梅雨の息苦しさと二酸化炭素の息苦しさに、ああ、生きているんだと実感する。雨と風の冷たさに、いま私がここにいるんだと実感する。息苦しい。だけどこれは、嫌いじゃない。道行く彼等と肩や傘が当たって通りにくい。ああ、いきづらい。改めてそう感じた。
交差点を抜けて、人通りが少ない方へと進む。いくら都会と言えど、全ての道に人が詰まっている訳では無い。大通りもあれば小道もある。店が軒並み並んでいる道、――墓地へと向かう道。
よく考えたら、こんな天気の日にお墓参りに来るなんて、おかしいだろうか。でも、今日はあなたの命日だもの。そう。あの日も確か、雨が降っていた。
私は墓地の入口付近で借りた手桶と柄杓を置いて、墓石の前で手を合わせ、掃除を始めた。まずは布で墓石を拭う。墓石は小さくはないけど大きくもない。さほど時間はかからない。それに、掃除をしなくても墓石はそれなりに綺麗だった。
水の入った手桶から、柄杓で水を掬い、墓石に雨を降らせた。私の雨は空の雨に飲み込まれた。それでも私の雨は、確かに存在する。
それも一通り終えると、肩にかけた鞄から供え物を取り出した。活き活きとした花は既に水鉢に入っている。私が備える花は、それとは真逆の枯れた花。水を失った、涸れた花。あなたは私が趣味で作っていたドライフラワーを好きだと言っていた。綺麗な顔で、美しいと笑っていた。久しぶりに作ったこれを、墓前に置いた。
神が完全だとすれば、花も獣も人間も、不完全だ。生きた花も、枯れた花も、全て等しく不完全で不格好で普通で美しい。特別でないからこそ私達はこの世界に生まれ、惹かれ、そして還っていくんだろう。そうして巡っていくんだろう。雨が水と成り、また雨となるように。特別であることに意味はない。人は神には成り得ない。その必要が無い。人間は不完全であるからこそ、特別でないからこそ、これほどまでに美しいのだから、この世界を美しいと感じられるのだから。感情は空には持ち得ない。涙は神には持ち得ない。不完全な私達だからこそ持ち得る美しいもの。私達はこれらを抱えて生きていく。決して捨てることは許されない、特別な権利。
私は線香をあげ、合掌した。地中で眠るあなたに向けた言葉を思い浮かべながら、目を伏せて、息を閉じた。
ああ、いきぐるしい。
だけどそれが、心地良い。
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