雑談掲示板
- 雑談と絵と何か【Twitterはじめました】
- 日時: 2021/01/16 23:05
- 名前: おまさ (ID: lrmrc2fo)
こんにちは、主に複雑ファジー版で小説を書いている者です。
さて。
このスレは雑談スレです。多分近況報告とかイラスト、趣味全開の妄言とか飛び出すと思いますが、皆様も気軽に書き込んで頂ければ!
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投稿している作品(尚、全部複雑ファジー版の模様)
・ジルク【キャラ募集中】
・【リレー企画】セイテンノカゲボウシ
・セイテンノカゲボウシEX ほか
どうでもいいけどトプ画変えました。
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Re: 雑談と絵と何か ( No.120 )
- 日時: 2020/10/02 18:48
- 名前: おまさ (ID: EVSliHeE)
書きためていた短編のうちのひとつです。短いし、文章も結構柔らかめに書いたので読みやすいかと。
感想など頂ければ幸いです。
***
短編「昼下がりにて」
庭で、子供が泣いている。
大声で声を上げる様は、あたかも自分の存在を世界に主張しているかのように、それはそれは元気に泣いていた。
昼下がりの家の庭。緑の萌える芝生の上で走り回っていた子供は、膝小僧をすりむいていた。
日陰の縁台からその様子を傍観していた私は、どう声を掛けようか迷った。
今年で齢6つになる子供であるが、そのわりにいささか泣き虫なのは情けないような気もする。だから慰めるのも違うような気がするし、かと言ってぴしゃりと叱りつけるのも親としてどうなのかと逡巡していたのだ。
迷った挙句、とりあえずは傷口を水で洗ったあと絆創膏を貼ってやった。
水が傷にしみるのか、傷口を洗ってやった時は更にぎゃんぎゃんと泣き喚いた子供だったが、その後はケロっとして再び庭を駆け回り始めた。
………最後に泣いたのは、いつだったろうか。
妻がこの子を産んだ直後、急逝した時だろうか。二十代の頃、社会の理不尽さを嘆いた時だろうか。正直、三十路になった今ではそう昔のことは思い出せない。
けれどそのいずれの時も、私は慟哭してはいなかったのだろう。
母は病床に伏して死んだ。
母が死んだときのことはよく覚えている。すぅっと息が抜けるように穏やかな最期であったことも、私と兄で一晩中泣き続けたことも。
しかしその当時、私はまだ学生であった。……まだ泣くことを許されていたのだ。
いまは、どうだろうか。
社会に出て、いつの間にか涙は乾いていた。
ひとは現代社会の歯車として動くなか、加速していく社会にいつしか擦り減ってしまうものだ。私自身もその例に漏れず、感情をすり減らしていた。——否、そうあることを社会に求められていたのだと思う。
ちらと庭先に一瞥を向けた先、子供は蝶を追いかけているところだった。
感傷に浸る暇もなく、耐えて生きる。そんな窮屈な生き方を、いつかはこの子も、味わうことになるのだろうか。
「———、」
……ならせめて、子供の時くらいは我慢せず泣いた方がいい。
屈託のない笑顔を浮かべていてほしいし、時には元気に、正直に泣いていてほしい。
———子供が無慈悲な現実に打ちひしがれるまでその夢を守るのが、大人の役目だから。
眼前、再び子供が躓いた。今度は肘を怪我したらしい。再びきんきんと響く、若い泣声。
そんな子供のわんぱくさに私は、しょうがないなと腰を持ち上げた。
《了》
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