雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

連レスもどる



Re: 【暫定】〜V計画〜【X章開始】 ( No.148 )
日時: 2019/02/19 00:34
名前: 名無しのアキラ (ID: JuUUZ/Is)

静かな庭園を歩く2人の青年と少女。長身の青年は白く高価そうな装飾がついた上着を着ており、彫刻にように整った顔立ちに金髪と宝石のような碧眼が見事に映えていた。
一方、少女の方は黒く沢山のフリルとレースが付いた豪華なドレスで身を包んでいた。艶のある美しい黒髪に人形のように整った顔立ちは、この庭園にはとてもぴったり合う姿だ。
しかし2人とも警戒してる様子だった。青年は手に白く輝く槍を手に、そして少女の方は黒い魔法の鎖をドレスの袖からちらつかせながら、ゆっくりと庭園を散策している。

「ーーここには私たちしかいないのかしら」

ぽつりと呟く少女。庭園は静まり返っており、人はおろか、動物の気配すらもない。

「分かりません......ここがどこなのかも......」

青年も辺りを見渡しながら返事を返す。
少女の名は「グラエキア」。亡きウィンチェバルの王族であり、この世界に最初期に召喚された異界人でもある。
その横に立つ青年は「エリアス」。エンジェリカの王女の側近であり、護衛者でもあった彼もこの世界に最初の頃に召喚されたのだ。
しばらく石畳を歩き、少女は再び言葉を漏らす。

「ねえ、エリアス。この場所に来るまでに“夢”を見ませんでしたこと? そう、あれは......“この世界の成り立ち”を描いたような......」

「ーー! まさか、グラエキア様も同じ夢を?」

エリアスがグラエキアの言葉に振り向いた。そして立ち止まる2人ーー





庭園で目が覚める少し前ーーグラエキアは微睡みの中で「夢」を見ていた。
彼女は気づけば、何もない暗闇の中でフワフワと浮いていた。記憶を辿っても、何故自分がここに居るのかまだはっきりとは思い出せない。けれども仲間と共に強大な敵に立ち向かい、そして最終決戦を終えた辺りまでは何となく思い出せる。
と、言うことはーー自分は死んでしまったのだろうか......

そんな事をぼんやりと考えていたグラエキアの前に、突如莫大な光のスペクタルが弾ける。闇の空間を全て照らす程の光の波には、様々な形と色の模様が浮かんでは消えて行く。更にその模様の数々は浮き上がって立体になり、キューブ型や星形など、あらゆる形に変形して行く。
そこは、まるで自分が“万華鏡の中”に入ってしまったような、未知のエリアだったーー
それは彼女が知る「絵画」や「演劇」、「パレード」と言った彩度を、それを遥かに超える規模の大きさと強さのある物だった。

「な、なんですのこれは!? どうすればいいんですの!?」

身構えるグラエキアの周りの全ての空間に、万華鏡のような変形する模様が形作られては崩れて行くーー
そしてーーその模様と立体は更に形を変えてーー次に形作ったものは、様々な【生き物】達だった。

周囲の空間は青く染まっていき、グラエキアの手前を、胞子のように小さな生き物達が泳いでいく。
そう、ここはまるで海に中のような空間だ。
普段は見えないとても小さな微生物達の身体が、今のグラエキアにははっきりと見ることができた。
更に生き物の誕生は続くーーウネウネと泳ぐ小さなヒモ状の生き物を、少し大きな魚のように進化した生き物がグラエキアの前を追いかけて行く。その向こうでは沢山の小魚達が集まり、魚群を形成していた。小魚達のウロコが光を跳ね返し、海の中に銀幕のカーテンが虹色の光を放ってはためいている。
彼女が重力に引かれて落ちてきた海底に出来た白い砂浜には、堅そうな甲殻類達が砂の上を歩き回っている。
さらに深い青の奥から現れたのは、大樹のように大きく成長した珊瑚の森だ。色とりどりの美しい珊瑚の森は、まるでこの地球上の場所じゃないみたい。
そしてーーグラエキアの頭上、珊瑚の森の上には、沢山のイルカの群れが泳いでいた。


「ーー」


グラエキアは言葉を失っていた。圧倒的なスペクタルで自分の五感に入り込んでくる、膨大な情報。まるで自分は人を超え、別の何かになったような気分。
見渡す限りどこまでも続く美しい世界の中心に1人だけポツン放り出されたグラエキアは、その変わりゆく世界をただ呆然と見つめる事しか出来なかった。

連レスもどる