雑談掲示板

美味しい水そうめん
日時: 2022/02/22 01:01
名前: ヨモツカミ (ID: CwCIVkM2)

人間どもめ。

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Re: 夜もす硝子細工 ( No.159 )
日時: 2020/04/08 08:27
名前: ヨモツカミ (ID: T8etZTyQ)

複雑ファジーで執筆している短編集、「ジャックは死んだのだ」にこないだ載せたお話の解説みたいなの載せたくて。

♯45 いとしのデリア

私の短編集(コロコロタイトルを変えているので、正式な呼び名が無くて困ってる)も、45個ものお話を載せたんだなって思うとなかなか感慨深いですね。
以下は「いとしのイデア」のネタバレになるので、もしもネタバレを読む前に興味を持ってくださった方がいたら、是非複雑ファジーの私の作品を探してみて下さると嬉しいです。

あらすじ。
事務職をしている、どこにでもいるような若い独り暮らしの女性が主人公です。勤務時間は9時から18時くらいで、それほどブラックでもない職場で、普通に業務をこなし、普通に家に帰るだけの日々を送っていて、その日もただ普通に帰宅するだけでした。
主人公の生活の中の唯一の癒やしは、“愛しい彼女”の存在です。ただいま、と声をかけても返事はないし、その小さな体を抱きしめて好きだよ、と告げても笑うことのない、身長40センチメートルほどの、ドール。名前はデリア。
彼女の硬い唇に自分の口を重ねても、冷たいだけだけれど、それだけで、主人公の心は満たされるのでした。
主人公は、その人形に恋をしていました。人の形をしているものの、人形に愛を囁くなんて、自分は相当な異端である。そのことを理解しながらも、デリアに対する一方的な好意で、主人公は幸せを感じていました。

先日、友人とカフェで話していたときのこと。「ねえあんた、彼氏とかいないの?」と。友人との他愛のない話に、「……いるよ、恋人」と、デリアのことを考えながら主人公は答えます。友人のどんな人? という質問に答えられなかったものの、友人がそれを特に気にする様子はなく、彼女は自分の彼氏の愚痴を主人公に聞かせました。
愚痴を聞くうちに、生きている人間と恋をしていたら、こんな悩みすらも愛おしく思えただろうに、デリアは人形だから何もしてくれない、と主人公は考えます。
話を聞くうちに、すっかり冷えたコーヒーを飲み干して、その苦味が口の中に広がって、やがて消えていくのを味わいました。

ベッドにデリアを寝かせて、主人公は就寝します。おやすみ、とデリアに囁いたところで返事は当然ありません。
目を閉じながら主人公はふと、デリアと同じ容姿の女の子がいたら、と考えました。ただいまと言えば、おかえりと返す。抱き締めればその暖かさを感じる。話しかければ相槌を打つ。
大好きだよ、と告げれば、ええわたしもよ、と返してくれる、そんな女の子。
そんな妄想をしたことにはっとして、飛び起きた主人公は泣きだします。デリアにできないことを沢山求めてしまった、と。人形にできないことを、人間にならてきたことを。その罪悪感に呑まれて、主人公は泣きながらデリアに謝り続けました。もちろん、返事なんてありません。

泣き疲れて朝になって、主人公は仕事に行く支度をします。
味気ないトーストを齧り、苦いコーヒーを啜る。
飲み残したコーヒーを捨てて、身支度を整えてから、主人公はビニール袋を取り出します。そこに、人形を入れて、ゴミ捨て場に置きに行きました。
そうして、主人公はいつも通り仕事に向かいます。

***

人形に対する愛着、ピグマリオンコンプレックスなんていうのを参考に書き始めたSSですが、この主人公は完全に人形を愛することはできませんでした。
なので、完璧な愛ではないということで、タイトルをひらがなで「いとしのデリア」としました。
最後の方の一文で『……私は、なにをあいしていたのだろう。』のところが平仮名なのも、無機質で本物ではない“あい”なので、的なこだわりです。

この話で重要なのは、コーヒーの存在です。
コーヒーって、苦くて飲みにくいものじゃないですか? この作中でのコーヒーは、デリアに向けた感情を表せてたらいいなって書いてます。
カフェで友人の愚痴を笑って聞いているときのコーヒーは、冷めても気にせずに飲み干せるものでした。主人公には主人公の恋人がいて、友人には友人の恋人がいる。主人公にとっても、友人にとっても、恋人は自分にとってかけがえのないものであることは変わらない。デリアは主人公にとっていとしいデリアでしかない。だから、コーヒーは冷めていても飲めた。

朝、デリアへ人形であること以上のことを求めてしまったとき、デリアに対する感情はもう、飲み下せるものじゃなくなっていたので、コーヒーの苦味が気になって飲み残し、捨ててしまいます。
そうして、デリア自体も捨ててしまいます。もう自分の愛情が、デリア以上のものを求めてしまったので、デリアと暮らすことはできないと思ったからです。
ちなみに、朝になって、デリアを捨てようと決意した瞬間から、「デリア」ではなく、「人形」と表記するようになったりとか、こだわりポイントでした。


以上です。普段、こんなに頭使ってSS書かないので、こだわりとかをどっかに書きなぐりたくてやりました。
いつも書いてるやつは雰囲気とか、こういうシーンが書きたいって気持ちだけで書いてますねー。
久々に長文書きなぐって満足した。

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