雑談掲示板
- 踊る白衣の駄目文士
- 日時: 2019/04/30 06:34
- 名前: 月白鳥◆8LxakMYDtc (ID: ZyuFLaAM)
小説の裏設定や草案を置くだけの独り言スレ。話しかけていただければのんびり反応します。
*めもりあ*
このスレに取り置きした設定一覧。自分用。
>>29 目覚ましの歌
>>104 時代の話
>>112 魔法杖旧案
>>121 魔法史の変遷について
>>122 『タビドリ』世界線に於ける上位存在の分類
>>127 呪文メモ
>>142 守神メモ
>>152 いろいろメモ
>>153 いつか使うかもしれない音声記録
>>170 ログナンバー簡易メモ
>>174 『神曲』簡易説明
>>178 第四ログ草案
>>179 永久ログと変動ログ
>>180 旧世界線機械の説明書
>>192 登場キャラ草案
>>242 原点とのつながり方
>>251 展開メモ
>>252-254 『NOIR』世界観設定
>>273 登場生物メモ
>>289 星守の祭文
>>292 用語解説:星守
>>297 登場キャラ草案
>>300 『露草の青』設定メモ
>>305 呪文(法)メモ
>>306 『露草の青』用語設定
>>311-312 『露草の青』キャラ草案
>>320-321 Log 00002関連キャラ
>>323 『露草の青』サブキャラ草案
>>324 『露草の青』メインキャラ草案-1
>>328 『棺桶には千寿菊を一輪』 メインキャラ設定
>>330 〃 用語メモ
>>331 金庫の子守歌
>>332 『器龍奇譚』 用語メモ
>>333 案内人設定メモ
>>334 術の読み方メモ
>>337 『棺桶には千寿菊を一輪』 キャラ草案-1
>>342 〃 キャラ草案-2
>>352 〃 キャラ最終設定
>>353 〃 駅名一覧
>>367 〃 施設名メモ
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Re: 百匁蝋燭の傍らにて ( No.162 )- 日時: 2016/08/15 03:24
- 名前: 月白鳥◆8LxakMYDtc (ID: WF/HAWg2)
*おふざけ
うちのキャラと外部創作サイトの設定のクロステスト。出来心なんですゆるして。
***
「ごきげんよう、SCP-XXX-JP。気分は?」
「悪くはない。強いて言うなら、長らく日光を浴びていなくて憂鬱なだけだ」
ヒトは世界の滅亡を数回経験したことがあるのだと、いつかどこかのおとぎ話は語る。
魔法を知覚することも行使することもできない、無味乾燥とした科学技術だけが横溢する世界から。事象を操るものたちと手を取り、その諫言を耳にし、より長く存続していく世界(ファンタジア)へ。少なくとも八回の改変と淘汰と調整を重ねて、世界は俺達の生きる世界の形になったのだと、埃っぽい『遺物』は雄弁に語っていた。
ならばここは、数回は“やり直している”かもしれない、しかし改変をまだ経ていない世界だ。
やり直しすら元からなかった世界であるとも予想はできるが、俺は前者であると確信している。
「日当たりの良い収容室への移動を検討しましょうか?」
「お好きにどうぞ」
そう、此処は人間が俺達のような存在と隣り合わせに立っていない世界。化学が世に溢れ、魔法が異常な技術と唾棄され、理を冒すものと言って妖精と敵対し、理と幻想と言って目を背けても、成り立つことが出来ていた時代。……過去形なのはあえて語るまい。
とにかく俺は、俺達のような存在が生み出されるよりもずっと前の世界にいる。
所謂これは、パラレルワールドでありタイムスリップなのだろう。並行世界のはるか過去だ。
「投げやりですね」
「喋る唐揚げと会話して誰が投げやりにならないって? 俺の同族の油揚げに笑顔は向けらんねぇな」
しかしながら、この世界はどうやら、完全に異様さと隔たることは出来なかったらしい。俺の差し向かいにいる、低い男の声で喋っているのは、何処からどう見ても皿の上の唐揚げだ。前にはでかいボールが俺にインタビューをしてきたし、本がふわふわと空を飛んでいたのまで見た。
こんなものが当たり前のように溢れている、なんてことは恐らくないだろう。初日に此処で俺と喋っていた、オレンジ色のつなぎを来た連中は、少なくとも俺の知っている人間の形をしていた。それは喋る俺を見て大層驚いたし、部屋から出るまで俺を珍妙な見世物のように見ていた。
あれがごく正常な、この世界での反応だとするならば。
「で、だ。研究だか調査だか何だか知らんけど、世間話じゃないなら手短にしてくれ。監視カメラの下で言葉を選ぶのは結構疲れるんだ」
「……では、これよりインタビューを開始します。対象はSCP-XXX-JPです」
この異形どもは、時に自分自身さえ含めて、他の異形を人の眼から隠す集団だ。
彼等が何と呼ばれるのかは知らない。具体的に何をして、どうやって世間の眼を隠匿し続けているのかも、俺は知らない。だが彼等は彼等なりの崇高な目的を掲げ、その為に日陰者になったことは察しがついた。
「先日もお聞きしましたが、確認のためにもう一度。貴方は我々の生きる世界の未来から訪れた、と言う証言、間違いありませんね」
「確信してる、とだけ言っとこうか。俺自身が望んで此処に来た訳じゃないんだ」
「貴方独自の力でこの場に来たわけではないと。当時の状況をお教え願えますか?」
机の上の唐揚げは流暢に俺達の言葉を操り、あの老いた鍛冶屋よりも尚不愛想に訪ねてくる。唐揚げに人情を期待するだけ無駄な話かもしれないが。
考えれば考えるほど、室内に香ばしい油揚げの匂いが充満していくようだ。頭を振って強引に意識から振り払い、質問へと返す為に、頭の中の記憶を漁る。
――しかし、それは朝から変わらない日常だった筈だ。
夜明けと共に古びた家屋の軒先で目覚め、寝ぼけながらも簡素な朝食を取り、頼りない医者をからかいに行った。そいつは丁度診療所の中を掃き掃除し終わったところだった。開け放たれた窓からは、繁殖期の星明群蜂(スターダスト・ビー)が盛んに出入りしていた。
初冬の変わらない日常。俺は診療所で一日中暇を潰すつもりだった。弟子は長い長い渡りの先導で春まで戻ってくる予定はなかった。怪しいモノと触れる機会は、その時に限っては特に無かったはずだ。
ならば、一体何処が特異点だったのか?
「蜂が、特異点を持って来たんだ」
気付けば俺は、そんな一言を口から零していた。
唐揚げが素っ頓狂な声を上げる。その衣を濡らす油は、困惑の体現だろうか。
「繁殖期になると、オスバチがメスバチの気を引く為に光り物を集める……そんな習性のある蜂が俺達の世界にはいる。それが、変なものを持って帰ってきてた」
「その蜂が横溢していないか後で確認しましょう。拾得物の特徴などは分かりますか?」
「何なんだろうな。見た目は銅みたいな金属の楔に見えたが、それにしては重すぎた。それに、耳を近づけると、こう……中から、回路に電気が通るときの音がした。勿論光るわけもない。あの蜂どもの興味を引くようなものには見えなかったけど、それでもあれは巣に持って来た」
目の前の唐揚げは言葉を失った。
肉がパサパサになるんじゃないかってくらいに油が皿に広がって、料理のくせに人間臭く動揺しているのが見て取れる。もしかすると、あの奇妙な楔のことを、彼等は知っているのだろうか。外部に漏らしちゃマズいものだったのかもしれない。
長い長い沈黙。何時までも終わる気配のないそれを、俺は自分で破った。
「変な音のする金属なんて、誰だって中身が気になるだろ? だから俺は鍛冶屋に頼んで、あれのちょっとした繋ぎ目にドライバーを当ててこじ開けた。――中を見た途端見る見るうちに気が遠くなって、気付いたらあの交差点の電線にいた」
「中? スクラントンが外部破壊を受け付けるハズが……嗚呼、いや。SCP-XXX-JP、それの中にどのようなものが入っていたか分かりますか?」
唐揚げの声が切迫している。妙な単語については敢えて聞き流した。
しかしまあ、この世界に、あれは無かったのだろうか。
「金の板、銀線の回路、ルビーの発振子。驚くようなもんでもない」
「驚くようなものは何も無かった? 貴方はそれが何か分かると?」
「何もくそも、俺達の世界にありふれてたものさ」
あれは魔法道具ですらない。単なる児戯だ。
認識したものに無秩序な現象を叩き付ける、紛れもない失敗作。
「インタビューを、終了します」
唐揚げは苦しそうに声を絞り出し。
徐に録音機器を切って、ふらふらとよろめきながら部屋を辞していく。
「嗚呼」
溜息のような呪詛が、いつまでも。
いつまでも、部屋にこびりついた。
「未来は、甘美だ」
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