雑談掲示板

水が枯れた暁に……5
日時: 2022/11/07 17:27
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: MwHi91Vk)

こんばんはございます。親記事編集を怠けに怠けまくった枯水暁です。こんな怠惰の限りを尽くすスレ主ですが皆様のおかげでこのみずかれも5スレ目に到達致しました。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。調子に乗っていきます。GOGO!
新規のお客様も大歓迎です。本スレはスレ主の『呟き・雑談・更新報告』を主に行うスレとなります。

 ↓↓↓ご一読願います↓↓↓

【ルール】

 話題は基本なんでもOKです。皆さんで楽しく会話しましょう。誰かに不快な思いをさせる話題やそのおそれのある話題は御遠慮ください。
 荒らしさんはスレ主が荒らしと判断した場合全て無視します。ご了承ください。また、荒らしさんが来た場合反応しないでください。
 過度のものでなければ自作品の宣伝も大丈夫です。感想交流の出来る人とお近付きになりたいです。
 タメでも敬語でもどちらでも大丈夫です。

【お客様】
 みょみみょ 様
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 坂蜻蛉 宙露 様
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*短編感想交流会のお知らせ【梅雨パーティ】
 第五回の短編感想交流会を開催致します。
 以下交流会に関するレスを貼ります。
 概要  >>1
 参加者様>>6
 この企画が、皆様の良き出会いのきっかけになりますように。
【終了致しました】

【創作物】
『この馬鹿馬鹿しい世界にも……』【完結】
 ダーク・ファンタジー板

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Re: 水が枯れた暁に……5【短編梅雨パーティ】 ( No.17 )
日時: 2022/06/05 23:22
名前: オノロケ (ID: p303PjA6)

 梅雨パーティ参加です。
もう一作書きたかった(´;ω;`)

 『雨と流れて』

 その日は絶好の快晴だった。街中を朝日が照らし、まるで前日の嵐が無かったかのように世界は優しく揺れていた。

 みんなにとっては素敵な日ってやつだろうか。でも、僕は苦しいんだ。僕はあるはずのない、僕の居場所を探し彷徨う。

 露を散らしながら踊る若葉たちを、足を引きずりながら横切る。
 眩しい。なにも見えない。闇夜なんかよりもずっと恐ろしい。助けを求めたって意味がない。それで助けてくれるのは明るすぎる人ばかりだから。

 もう、僕は……。

「ねえ、君」

 可愛らしい小鳥のような声。
 目元に手をかざして、僕は後ろを振り向く。

 そこには、青いかっぱに青い傘をさす不恰好な少女がいた。さらには青く透き通った髪がちらりと見える。
 彼女は言った。

「やっほ。私はアメ。そう、君の知ってる灰色の空から降ってくるあのアメだよ」

 この子は何を言ってるんだろう。もしかして迷子かな?
 僕は無言で交番のある方を指差してみせた。

「ちがーう! 私は迷子じゃない!! 私はアメなの」

 残念ながら雨は自然現象だ。雨が人間なんてのは、なんかの擬人化漫画でしかありえない。
 この少女はきっと雨になりきっている迷子に違いない。水溜まりで何回もジャンプしている間に親に置いてかれたんだ。自分が小さい頃もそんなことがあった。

 少女は頬を膨らませてこちらを見つめてきた。

「さては信じてないな。なら一日だけ、君の好きな日に私が降ってあげる」

 少女は僕に手を伸ばして続ける。

「さあ、いつ私が降ってほしい? いつでもいいよ」

 どうやら少し面倒な子のようだ。こういうときはさっさと逃げるに限る。
 足を引きずるスピードを上げ、僕は若葉の上の迷子劇場の舞台を降りた。

「あ、待ってよ! どこいくの」

 どこに行くか? そんなの僕に分かるわけない。ほっといてくれ。偽善迷子が。

「また、逃げるの?」

 なっ!

「まだ、逃げるの?」

 ……ならどうすればいいっていうんだ。僕は僕の居場所を探し続けるしかないんだ。そんなの無いって分かってても。

「もう、諦めたら?」

 諦める? どうやって? 子供に何がわかる。

「君の好きな日に私が降ってあげる」

 少女はもう一度言った。
 そっか。そういうことか。こんな幼い子供から見ても僕は。

「じゃあ六月十三日」
「……どうして?」
「僕の誕生日なんだ」
「うん。君はいいセンスしてるね」

 少女が笑った。自分のことを雨って言っておいて、君は眩しいじゃないか。
 どうして、世界はこんなにも光にまみれているの。どうして、そんなに残酷なの。

 少女はいつのまにか消えていた。僕はまた足を引きずりながら歩く。

──────
────
──

 六月十三日、僕は学校の屋上に座っていた。少女の言っていた通り、今日は雨だ。
 濡れた前髪が目にかかる。なんだかくすぐったくて、僕は少し笑ってしまった。

 さて、それじゃあそろそろ行こう。
 僕は立ち上がって、屋上のフェンスを越えて、そのまま落ちる。

 風が気持ちいい。諦めるってこんなに気分がいいんだ。
 周りには雨がいた。
 僕より輝いて、僕を光で隠している。
 この雨があの少女なんてありえない。でも、それでも僕は、少女に感謝したい。

 死ぬ勇気をくれてありがとう。こんな世界から僕を逃がしてくれてありがとう。

 僕は雨流を勢いよく泳ぐ。

 さよならみんな。僕には無理だよ。この眩しくて明るくて、全てが輝いてみえる世界で生きていくなんて。

 僕はアメだから。影を求める雨男だから。

 闇よりも何も見えない光ってのは怖いからさ。

 瞬間、頭に衝撃が走る。
 前髪に隠れた視界からかすかに見えた。血と雨が混ざって辺りが桃色に染まる。

 ──綺麗だ。

 雨がだんだん弱くなってくる。
 僕は光に打ちつけられながら目を閉じた。

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