雑談掲示板

水が枯れた暁に……5
日時: 2022/11/07 17:27
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: MwHi91Vk)

こんばんはございます。親記事編集を怠けに怠けまくった枯水暁です。こんな怠惰の限りを尽くすスレ主ですが皆様のおかげでこのみずかれも5スレ目に到達致しました。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。調子に乗っていきます。GOGO!
新規のお客様も大歓迎です。本スレはスレ主の『呟き・雑談・更新報告』を主に行うスレとなります。

 ↓↓↓ご一読願います↓↓↓

【ルール】

 話題は基本なんでもOKです。皆さんで楽しく会話しましょう。誰かに不快な思いをさせる話題やそのおそれのある話題は御遠慮ください。
 荒らしさんはスレ主が荒らしと判断した場合全て無視します。ご了承ください。また、荒らしさんが来た場合反応しないでください。
 過度のものでなければ自作品の宣伝も大丈夫です。感想交流の出来る人とお近付きになりたいです。
 タメでも敬語でもどちらでも大丈夫です。

【お客様】
 みょみみょ 様
 謎の女剣士 様
 ベリー 様
 浅葱 游 様
 みーいん 様
 心 様
 緑川蓮 様
 唯柚 様
 オノロケ 様
 げらっち 様
 坂蜻蛉 宙露 様
 優澄 様
 ディゲラ 様
 
 
*短編感想交流会のお知らせ【梅雨パーティ】
 第五回の短編感想交流会を開催致します。
 以下交流会に関するレスを貼ります。
 概要  >>1
 参加者様>>6
 この企画が、皆様の良き出会いのきっかけになりますように。
【終了致しました】

【創作物】
『この馬鹿馬鹿しい世界にも……』【完結】
 ダーク・ファンタジー板

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Re: 水が枯れた暁に……5【短編梅雨パーティ】 ( No.4 )
日時: 2022/05/26 00:36
名前: ベリー◆mSY4O00yDc (ID: QUANNGwI)

梅雨パーティ参加

【変わらない梅雨と変わり続ける太陽】


ザーザー

そんな無数の水が弾ける音をよそに、俺は頬ずえをつきながら授業を聞いていた。6時限目は古文の授業。先生が何か古文を音読しているようだが俺はそんなものに興味を示さず窓外を見ていた。さっきから変わらない景色。梅雨に入ってから余計この景色は変わらない気がする。まあ、別にそれでも良いんだけどな。
運動、勉強、才能。全てオール平均の俺は今の現状に満足していた。この平穏が無くなるなんて人を爪や指で殺すぐらい嫌だよ。
ところで、こんな平凡な俺でも嫌いなこと、人種ぐらいはある。

「では…ここは真緒(まお)さん!古文を現代語に訳してください。」

「…えっ?!私ですか?!えっとえっとぉー『吾輩はねこで…候?名前は未だないです。いづこ…?いつどこで生ま…生れしやほうとはかりのつかぬ??生まれた方が良かったと計り知れない!』」

これは有名な『吾輩は猫である』を古文にしたものを現代訳するのだ。しかし、この真緒は意味がわからない現代訳をしている。
俺が1番苦手なもの、いや、人は努力をしない人だ。この統治 真緒(トウチ マオ)とかいう奴は、結構なお嬢様できっと何不自由なく育てられたのだろう。そんな環境下で勉強せずに遊び呆けてるなんて怠惰にも程がある。そのため俺は統治 真緒が嫌いだ。
まあ、対面した事が無ければ話したこともない。しかし遠目から見ていると、休み時間はだいたい真緒を中心に人だかりができている。

大した努力もしてないくせになんで俺より幸せそうな顔をしてるんだよ。

何度努力しても平均な俺と違って真緒は生まれつきの環境も人柄もいい。憎い。憎くてたまらない。努力しても平均でしか居られない俺らとは真反対であった。

キーンコーンカーンコーン

「あら、チャイムがなってしまいましたね、本日の授業は終わりです!挨拶をお願いしますー」

先生がそう呼びかけると当番がいつものように礼の挨拶をする。そうして、いつもと変わらない日常の1ページは幕を閉じよう…としていた…

「あ、日直の子!この資料職員室に持って言ってくれないかしら?」

今日の日直は俺だ。めんどくさいからもう1人の日直に頼もうかと思ったが、もう帰っている。俺は仕方なくその資料を持って職員室へ向かった。
俺の教室は1階。職員室は4階である。俺はげんなりしながらもその資料を運んで行ったのだった。
このオンボロ学校にエレベーター等もちろんなく、階段を一段一段地道に上がるしか無い。筋肉もなく、ひょろひょろで体力もやしの俺は少しの運動で汗をかいていた。梅雨に入り湿気が多くなってきたこともあり、余計ジメジメしてイライラする。
職員室へつくと『しつれーしまーす。』と適当な言葉を言い入り、無人の担任の先生の机に資料をドサッと置いてやった。その後は簡単だ。帰ってゲームをやるだけ。ようやく家に帰れるのだと思いながら窓の外をふとみる。古文の授業の時と同じ灰色の雲にバケツをひっくり返したように振る無数の雨。
もしかしたら変わってるかも。そんな淡い期待を持った俺が馬鹿だった。
ーそういえば傘忘れたわー
そんな重大なことでも気にせず何も考えず下駄箱へ向かった。
下駄箱を開けて上履きと外履きを入れ替えて履く。俺が職員室へ資料を持っていっていた間にほとんどの生徒は帰ってしまったらしい。俺も早く帰るか。
そう思いながら出口をでると1人の少女が校庭で踊っていた。
ビショジショな制服なんて気にせず楽しそうに朗らかに水溜まりを踏んで靴下をビショビショにしながらクルクルと舞っていた。
コイツ何やってんだ。関わらないでおこう。
そう思って帰路につこうとする。出口の門が近づけば近づくほど少女の舞いが良く見えてしまう。肩までの赤髪を振りまきながら、全身ビショビショになりながら、それでも構わずに踊り続ける。 それが美しく、暗雲が立ちこめる中太陽のように眩しく見えたため立ち止まってその舞いにいつの間にか見入ってしまった。
雨が降っている。そんなこと気にならないぐらいその舞いは美しかった。
少女は気がつくと俺の元へ走ってくる。よく見たらそいつは統治 真緒だった。俺が嫌いな人物である。嫌いな人物だからと言って関わりたくないという訳でない。逆にこいつの泣き顔を見たい…という方向の嫌いだ。

「君。見てたでしょ!」
「そりゃ門が運動場の前にあるんだから嫌でも目につくだろ。」

俺は、『お前の舞いなんか興味ない』アピールをしながら言ってやった。真緒は『あはは』と苦笑いをする。泣く…学生である俺らは泣くなんてことはほとんどない。だからこいつの泣き顔は期待してないが、苦笑いを見れただけでも十分だ。

「けど君~。途中からずっと私の事見てたよね?」
「なっ…?!」

見られてないと思った。いや、見てなかったら俺の方に近づいて来ないよな。こいつの落ち度を幾らか見つけてぶつけてやろうと思っていたが無理なようだ。

「え〜何何?私の事好きになっちゃった?」

真緒はニヤニヤと笑いながら俺を肘で叩く。こういうからかいも俺は大嫌いである。自分がおもちゃにされてる感覚がどうしても我慢できない。

「お前のことなんて大嫌いだよ。」
「かーらーのぉー?」
「…」

呆れた。俺はそう思い学校の門をくぐり抜けようとする。しかし、真緒はもっとからかいたかったのか着いてくる。

「好きって言っちゃえよぉ?ほらほら!」

俺の体内温度は着実に高くなっていった。こいつを殴ろうとさえ思った。しかし、そうなれば最悪停学処分である。俺は我慢した。我慢した…けれど、少し鬱憤を晴らしてもバチは当たらないかと思った。

「お前のことなんて大っ嫌いなんだよ!」
「なんて言って本当は…」
「うるせぇ!大した努力もしてねぇくせにヘラヘラと笑っておいてよぉ!それに金持ちで友達も沢山?意味わからねぇよ!なにもしてねぇくせに馬鹿面で学校に来んじゃねぇ!」

俺は心の内を全て明かしてやった。真緒は「えっ?」と呟きながら1歩、1歩と後ろへ下がっていく。そんな中無慈悲に振り続ける。前髪から数滴水が流れ落ち目の中に入る。目を擦ると泣いているように見えてしまうため俺は我慢して、眉間に皺を寄せて真緒を見つめた。
真緒は俺の方を真っ直ぐに見つめる。真緒はロングヘアの方に入る部類の髪型である。前髪も整っていていつもサラサラだ。しかし、今は髪はベチャベチャ前髪はぐちゃぐちゃで前髪を伝って目の中に雫が入り、涙のように雨水が真緒の頬を伝う。

「努力をしてないのは。君もそうでしょ。」

真緒がいつも朗らかな明るい声とは違う低い地を這うような声で俺を突き刺す。俺が努力をしていない?ふざけるのも大概にしろ。俺は努力して今にいるんだ。努力して平凡な日々を手に入れてるのだ。

「嫌なことが無い。何も起こらない。日常が素晴らしいと妄信しいつまでも自分を正当化する。」

いつものホンワカとした真緒とは思えない鋭く低い声で俺を何度も何度も突き刺してくる。
嫌なことが無いなんて最高じゃないか。何も起こらないのが最高じゃないのか。

「平凡は最高だ。眉目秀麗よりも底辺よりもデメリットが少なく人と余計に関わらなくて良い。それを努力してようやく俺は手にしたんだ。けど…お前は、お前は…!」

努力しなくても友達がいて、勉強出来なくても金でカバー出来て。妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……

ー羨ましいー

俺は悔しさで舌を噛みながら鬼の形相で真緒を見つめていた。
俺も、真緒みたいな生活をしたい。真緒みたいに友達に囲まれて、真緒みたいに勉強が出来なくても進学に困らなくて、リア充してるお前になりたくてなりたくて仕方がないんだよッ!

…あれ、俺は平均が至高だったんじゃないのか?努力して手に入れた平凡が最高だったんじゃないのか?

「君は、努力しても平均しか取れない。努力しても報われない。だから自分に言い聞かせてたんじゃない?『平均が至高だと』」
「……」
「分からなくはないよ。平均は幸せ。平均の方が何も無く事を成し遂げられる。」

真緒は何かを噛み締めるかのように、過去を振り返り後悔しているように、悔しそうに一言一言ハッキリといった。

「だけど、そうじゃなかったでしょ」

ポツッポツッ

いつの間にか雨音は俺達の髪から流れる雫の音へと変わっていた。
平均は幸せだ。これは揺るぎない事実である。しかし、それよりも、それよりも。

「キラキラしたいでしょ?赤白 共羽(セキシロ トモバ)君っ。」

その瞬間。太陽の光が俺たちの目を刺激した。一瞬目を瞑ってしまうが、直ぐに真緒を見る。真緒は風を感じながら「してやったり」と笑っていた。

「じゃね!共羽君っ!また明日~!」

そう言って統治 真緒は帰ってしまった。
平均が最高だ。平凡が至高だ。けれど…まあ。

もう少し努力してみるかな。

俺はさっきとは打って変わった晴天の元、帰路についた。

ーーーーーーーーーーー

初参加ですがこれで大丈夫でしょうか…
この後にこの小説の解説など出しても大丈夫ですか?初参加のため粗相のないようにしたいのですが、なにかやらかしてしまったのであれば教えていただければ嬉しいです…

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