雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

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Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.49 )
日時: 2018/10/27 01:45
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)

後方に飛んで光りの渦から逃れたラヴォン達、しかし絶え間なくその中心部から放たれる風圧と衝撃波によって、前に進むのは困難だ。それどころか、全身を押し戻されて拒絶されるように、踏ん張っても踏ん張っても、ズルズルと後方へ流されていく。

「ラヴォンさ〜ん!」

そんな爆風の中、後ろから近づいてくる人物達がいた。白い忍者装束を身にまとったスター流ヒーローの少女「美琴」だ。彼女は両腕で顔をガードし、姿勢を低くしながらだが、この衝撃波の中を素早く移動してきた。
それに続き、インバネスコートを着込んだ美琴と同門生の少年「ヨハネス」もやってきた。
更に上空から、羽音と共に異界人の天使「エリアス」も降りてきて、ラヴォンを庇うように手前に着地した。この風の中でも自由に飛び回れるとは......流石本物の天使としか言いようがない。
頼もしい限りだが、このタイミングで援軍が来たのはナイスタイミングと言うべきか。この状況下では下手したら全員やられかねないかもしれない......

そして光の渦が弾け、大爆発と共に2つの影が飛び出した。2人は火花を上げながらぶつかり合って高度を上げていき、中央時計塔の上で再び剣を交えた。

デスタムーアは剣でイクリプスを突き飛ばすと、手を高々と上げて詠唱する。


「消し飛べ、“流星雨”」


その手のはるか先、夜明けの空には、代わりに見たことの無い星々が輝く宇宙がうっすら見え始める。そしてその奥からこちらへ落ちてくる、無数の火の玉......いや、それは光の塵の尾を引く、無数の流星群だった。
雨のように降り注ぐ流星はデスタムーアの脇を抜け、イクリプスへ向かって降り注ぐ。
ここまでスケールの大きな攻撃となると、もはや目の前の事への理解が追いつかず、もしかしたら動けなくなってしまう者も出てくるだろう。正に夢の出来事のような光景だ。

しかし......イクリプスは冷静だった。重力に身を任せて地面に落下しながら、その目で流星の数々を追っていた。ヴァルキュリアの網膜に映るロックオンカーソルを流星のひとつひとつに合わせていく......頭部アーマーからはカリカリとFCS(火器管制システム)が演算する動作音が漏れ、この状況下に最適な「答え」を叩き出そうとしていた。
全神経とエネルギーを頭部へ集中し、その身体は真っ逆さまになって落ちていく......諦めたか?イクリプスが瞳を閉じる。地上からその光景を見上げるラヴォン達は思った。

目の前まで流星が迫り、その熱気を肌でジリジリと感じる距離まで詰められた。それでも彼女は一向に動こうとしない。

(諦めたのか、それともまだ何かする気なのか、ヴァルキュリア......どちらにしろ、もう逃げ場はないぞ)

デスタムーアは空中に留まりながら、その冷徹な瞳でイクリプスを見下ろす。下には地面、上からは無数の流星。落下死と隕石爆撃の挟み撃ち状態。

しかし、眠るように目を閉じたイクリプスのまぶたの裏には、ある懐かしい光景が広がっていた......





ーー腰まで届く絹のような銀髪に、一途で強い眼差しの赤い瞳。自分より拳ひとつ分ぐらい背の小さい、ヴァルキュリアの少女。
後ろから抱きつくと、丁度彼女の髪に顔が埋もれ、甘く優しい香りとふかふかの髪に包まれる......
いつも冷静で、どんな時も真面目で、時々怒られたりしたけど、でもそんな彼女が時々見せる笑顔は、正にみんなを照らす「太陽」そのものだった。

彼女の声が聞こえてくる。


『わたしは死んじゃっても、それでも、あなたの心の中から、あなたを照らし続けるからーー』


その声は、正しく彼女の盟友「ソル・ヴァルキュリア」に間違いなかった。


『だから、頑張って......ずっと......いつまでも......側にいるよ......』


消えていく、ソルの姿と声。イクリプス頰を一滴の涙が伝っていった。


「ソルちゃん、ありがとう......わたし達、2人ならーー」


イクリプスが目を開けるーー
そして、彼女の網膜には縁を描くようにルーン文字が流れ、全身にエネルギーが流れていく。
デスタムーアは眼を見張る。壊れかけの人形ごときに、何故ここまでの力が溢れ出てくるのかと......


『ーーどこまでも、飛べるねっ!』


そして、イクリプスは身を翻して大地に足から着地した。旧市街の地面を震わせ、亀裂が走る。
更に、右の拳にレーザーブレードの光の刃を発生させ、自分の丁度真上に落ちてきた流星に正拳突きを押し当てた。
それと同時に、他の流星群も地面へ同時に激突し、旧市街は瞬く間に熱と爆風に包まれる。

一見、イクリプスが隕石に粉砕されたように見えたが......デスタムーアは自身の目を疑った。
彼が見たものは、稲妻の如く大地を駆け、隕石を己の拳で砕き、弾き返し、更にそれを踏み台にしながら、再び空へ登ってくるイクリプスの姿だった。
彼女が弾いた小型の流星は、まるでビリアードにように他の流星群も巻き込みながら散っていく。イクリプスの驚異的な反射神経とパワー、スピード。そしてヴァルキュリアのFCSによって叩き出された正確な計算があってこそできる技だ。
更に降り注ぐ流星の間を稲妻にように、複雑なジグザグ軌道を描きながらジャンプして移動し、しかも邪魔な隕石はその拳で叩き落とす......

しかし手負いの彼女にも限界はあったようだ。丁度着地した隕石の上で、微かに脚を滑らせてしまう。そして彼女の計算にも狂いが生じてしまった。
斜め上から飛翔してきた流星が、イクリプスぶちかまされた。


「がっ!」


もろに食らった。大きな破片が横腹を貫通し、風穴をあける。吐血。衝撃と裂傷で内臓
続いて脳震盪、視界が180度回転し、耳鳴りで聴力も失う。全身の力が抜け、そのまままた重力に吸い込まれていく......
けれども、なぜだろう。意識が朦朧になっても、視界が暗転しても、“彼女”の声だけはしっかり聞こえた。

そしてーーイクリプスの目には、自分の手を引く、ソルの姿が映った。これは幻だ。でも、イクリプスにとっては、そんなことはどうでも良かった。また彼女と出会えるなら、夢だろうが幻だろうか、それは世界一の宝だった。

ソルに手を引かれたイクリプスは、一閃の流星の如く、デスタムーアの懐へ飛び込んだ。その姿はまさに不死鳥の如しーーもはや、なにものでも今の彼女を捉えることは不可能なのかもしれない。


刹那、放たれたイクリプスの拳ーー

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