雑談掲示板

【雑談歓迎?】藍色蓮のダイアローグ
日時: 2019/07/27 12:37
名前: 流沢藍蓮 (ID: wpMcBRiE)

*ただいまァ! 私は戻ってきたァ!

  ◇

 どーも、藍蓮です。

*データ置場のつもりが、独り言+雑談用の板になっちゃいました(苦笑)

*「そうだ、皆様。雑談しませんか?」
 固定メンバー以外も入ってきたら楽しいかなぁと思い、スレッドの趣旨を変えてみました。データ更新もたまにはしますし独り言も呟きますが、雑談するのも楽しいかなぁと思いましてね。固定メンバー以外、ここって入りにくい雰囲気ですよね? 別にそんなことないので、新入りさんもウェルカムですよ。「ダイアローグ」にしたら人来るかな……。

 最低限の礼儀さえ守れればそれで構いませんので、新入りさんも雑談してみませんか?
 まあたまにぶっ壊れて独り言呟いてますが、そこはまあ、放っておいてくださいっと。
 
 小説の感想を頂けるのは嬉しいのですが、感想は小説板ではなくてここに書き込んでいただけると嬉しいです。目次を作る都合上、支障が生じてしまうので……。


*最近設定集全然更新していませんが、いずれはしますからね!?
 需要がないんですねハイ。頭の中の設定だけは無駄にあるのに。

 読書好きです。ファンタジーを全力でLOVE。
 乾石智子(いぬいしともこ)というマイナーなファンタジー作家さんをどの作家さんよりも愛しております。「この本を読まずして日本のファンタジーは語れない!」とさえ言われた作家さんですからねぇ。そこのファンタジー好きさん! 一度は読まなきゃ人生損ですよ?

>>720 小説アドバイス!
>>722 返信(探す時用。このスレは最近進みが速いので役立ててください)

*今現在、執筆中作品(更新停止中除く)
・「魂込めのフィレル」 複雑ファジー板
・「青空に咲く、黒と金」 複雑ファジー板

 その他目次 >>727

0 神々の召喚魔法 >>100
  「Stories of Andalsia アンダルシア”断片集”」>>274
  断片 雨の日の奇跡 >>340
  断片 錯綜の幻花 >>465>>471
  投稿した物語メモ >>723
  
1 Stories of Andalsia アンダルシア魔道原則 >>1-7
 a 魔法素関連>>1
 b 魔導士関連>>2
 c 魔法関連>>3
 d 特殊職関連>>4
 e 神話関連>>5
 f 召喚・契約関連>>6
 g「力」関連>>7

2 Stories of Andalsia アンダルシアの国々について >>10-13 >>29 >>33
 北大陸>>10-13 >>29 >>33
 属国群>>13 >>29 >>33
 三大国家>>10-12

 a アンディルーヴ魔導王国>>10
 b 帝政アルドフェック>>11
 c セラン王国>>12

 d ティファイ聖王国>>13
 e 神聖エルドキア>>29
 f アーチャド法国>>33
 g 皇国イグノシア>>
 h 共和政シエンル>>573
 
 i プルリタニア>>
 
島国>>
 j シエランディア(→新生シエランディア共和国)>>
 
 k 軍国イデュオン>>150
 k-1 イデュオン軍歌>>151
 
南大陸>>
 l ダルジア帝国>>

3 Stories of Andalsia アンダルシア列神伝 >>
 a 創世の絆>>
 b アンダルシアの神々>>
 c 神々の位階>>
 d 天界配達人>>
 e 亜神の悲劇>>

4 Stories of Andalsia アンダルシアの異民族・異種族たち >>87 >>125
 a イデュールの民>>87
 b アシェラルの民>>125
 c イェイリア>>
 d 「希少種」ミスル>>
 e ヴァイア族(ヴァンパイア)>>

5 Stories of Andalsia 「戦乱の彼方に」 それぞれの物語概略
 a 青空に咲く、黒と金(「錯綜の幻花」「常世の黒烏」「偽りの救世主」を統合)>>
 b 月影に吼える>>
 c 我ら双子、道具なりや?>>
 d アルドフェックの風雲姫>>
 e 砂底の青金石(ラズリ)>>
 f 悪魔の契約者>>
 g 王を守る星>>
 h 復元のイルシア>>
 i 風の神の名を冠して>>
 j 人形の道標>>

  ◇

 影の神シャリル・エポーネ >>766

>>812 ありがたいコメント! ありがとうございますっ!

  ◇

*来て下さったお客様

 四季様
 アンクルデス様
 銀竹様
 モンブラン博士様
 mirura@様
 勇騎様
 彩都様
 ヨモツカミ様
 サメノ様


*私は、小二の頃の夢を叶えられるだろうか。
 ってか、このSoAシリーズはいつ完結するのだろうか。

*レスの置き場所メモ
 >>99 「フィレル」シリーズの名前、初登場


 最近描いたイラスト。「魂込めのフィレル」のヒロイン、フィラ・フィア・カルディアルト。

 その絵画が実体化する時、神話と伝説は交錯し、新たな奇跡を呼び起こす――!
 「魂込めのフィレル」、複雑ファジーにて連載中!
 いずれ表紙も作ってみるのです。

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Re: 【雑談歓迎?】藍色蓮のダイアローグ ( No.490 )
日時: 2017/12/23 18:18
名前: 流沢藍蓮◆50xkBNHT6. (ID: Eq9I9Zmo)

*一番の自信作たる短編掲載

◇ ★ ◇ 

*〈Fireworks〉
*テーマ「火花」


「私、花火が見たいの」

 その日、私は言ったんだ。
 夏の終わり。病気だった私はまだ花火を見ていない。
 だから好きな人に言ったんだ。

「私を連れてって」

  ★

 私、天野火花。高校二年生だよぉ。生まれつき大きな病気を背負っていて、高校三年生までは生きられないらしいって。
 でも別にいいんだよ? 私は火花。この名前である時点で……長くはない命だったのかもしれないし。それに今、私はリアルに充実しているんだ! 病人がリア充だよ? あははははは、笑っていいよ?
 私は高校二年生。で、来年には死んじゃうんだって。だから今年見る景色が私の最後の記憶になるの。私には来年なんてないんだし、ね。
 というわけで、私は恋仲のみっくんに連絡を入れたんだ。

「花火が見たい」って。
 
 夏は私の好きな季節なんだもの。どうせ死ぬなら最後、夏の風物詩を見届けてから死にたいなって、できれば海辺で花火を見たいなって、そう思ったの。素敵でしょう?
 みっくんには申し訳ないけれど……。最期のわがまま、付き合ってよ、ねぇ?


 しばらくしてからみっくんが私の病室までやってきた。
 ちなみに近頃の両親は、私のやることに対して何も言わなくなった。私が彼とどこへ行ったって、みんな好きにさせてくれた。
 だから今日彼が来たって、両親は何も言わなかったわ。
 やってきたみっくんは、涼やかな青の浴衣を着ていた。その手には赤い浴衣を持っていた。私の分だよね、絶対!
 みっくんは優しく笑って言った。
「火花? 花火見るって言うから持ってきたよ」
 彼は優しく微笑んで、私に浴衣を手渡した。
「着替えられる? なんなら看護婦さん呼んでもいいけど」
「大丈夫。みっくん、外で待っててね」
 私は浴衣を受け取って広げてみせた。女の子らしい赤い花柄に白いかすみ草、黄色い福寿草。
 福寿草の花言葉は「あなたに幸福を」だっけか。見ていて嬉しくなってきた。
 浴衣を着る。病気は大丈夫かって? これは慢性的だもん、浴衣を着るくらいどうってことないわ。
 でもね、病気は確実に私から力を奪っていったんだ。
 帯を結び終わって。ここでは草履を履けないからスリッパのままで、よしっと歩き出そうとしたら。くたっ、急に足が崩れてそのまま、立てなくなっちゃったんだよね。
 ナースコールを押そうにも、私は今ベッドにいないし。
 困った。うーん、困った。
 だから呼んでみることにしたんだよ? あまり大きい声は出せないけどさぁ。
「みっくーん……」
 そうしたらさぁ、笑ってよねぇ。小さい声で呼んだのに、みっくんったら血相抱えてドア開けて。
「火花!? おい大丈夫かしっかりしろ!」
 大騒ぎで私を抱きあげたの。私、笑っちゃったぁ。
「……火花?」
「いやだなぁ、みっくん……。大げさだよぉ。立てなくなっちゃっただけだもーん」
 病気の理由も原因も、全くわからないんだ。でも私の身体は確実に、死へと向かいつつあったの。
 心配げな顔で、みっくんは私を背負い上げた。ついでに足に赤い草履を履かせてくれた。
「……無理はするなよ?」
「しないしない。じゃあ花火にはまだ時間あるし、夏祭りの屋台を回ろうよ?」
 この時期、私の病院のある地区では花火大会が開催されるんだ。でね、それと同時に屋台もできるの。今日は花火大会最終日のはずだから、きっと賑わっていると思うの。
 楽しみだなぁ。
「みっくん、ゴーゴーゴー!」
 生憎と、私は無理する気でいるよ?
 だって最後の夏なんだもの。無理したって、楽しむんだから。


 みっくんと一緒に屋台村に向かった。みっくんは私に訊いた。
「火花は何食べたい?」
 背負われたまんまの私は答えた。
「ふわっふわの綿あめー!」
 あれを食べたのはいつ以来かなぁ。甘いあの味、ふわふわ食感。思い出すだけでうれしくなって。
でも私を背負いながらだと、みっくんはうまく会計できないんだよね。だから私はみっくんのポッケからお財布を取り出して、勝手に会計を済ませてしまった。
「お、おい火花?」
「みっくんは私を楽しませるために頑張るのです!」
 みっくんの驚いた声に、私は無邪気に笑って返した。
 片手に綿あめを持って、もう片方の手にはみっくんの財布。
 私はみっくんの財布を浴衣の袖にしまって、明るく笑った。
「ねぇねぇ! 金魚すくいやりたいな!」
 なんか立てなくなっちゃった私は、係の人に椅子を貸してもらって金魚すくいをやってみた。
 綺麗な赤い金魚がいた。浴衣を着た私みたいな。
だから私はその子を狙って、何度も網をくぐらせたんだけど。結局網は破れちゃって、その子は捕まえられなかったんだよね。
 思わず半泣きになった私の頭に大きな手が乗った。
 金魚すくい屋のおじさんが、私に透明なビニール袋を差し出していた。 
 そこを泳いでいたのは先ほどの金魚。
「……いいの?」
 思わず私が尋ねれば。
「おまけだよ、お嬢ちゃん」
 白い歯を見せて、おじさんはニッと笑った。


 ラムネも飲んだしかき氷も食べた。レモン味のかき氷はつんとさわやかで、切なく痛む味がした。
 みっくんの隣に座って、片手にかき氷の椀を持って、
 見上げた空。
 暗くなっていく空、夕暮の空に、
 不意にアナウンスが響き渡る。

「みなさん、みなさーん! これより、花火大会を開催しまーす!」

 そんな声がしたから。
「海まで行こうか?」
 笑うみっくん。
 私は二人分の器を持って、うんとうなずいた。
「だから、連れてって」


 海辺に座ってかき氷を食べながら、私とみっくんは打ち上げられる花火を今か今かと待ち構えていた。
 ザザァッ、ザザァッ……と寄せては返す波の音が、不思議と耳に快い。
 その静寂を引き裂いて、
 打ちあがる花火よ。

 ドォォオオオオオオン。

 はじめに空にくれないの花が咲いて。
 ドォォォオオオオオン。太鼓みたいに響く、重く深い音。
 花火は次から次へと打ちあがる。

 ドォォォオオオオオン……ドォォォオオオオオン……ドォォォオオオオオン……。

 和音のように重なった重低音。遠雷のような重い響き。
 それとともに打ちあがる花火は時に赤、時に青、黄色に緑、極彩色に輝いた。
 でもどんなに綺麗に輝いたって、花火はやがては見えなくなって。
 完全に消えるその瞬間だけ、何よりも強く鮮やかに輝いて。
 嗚呼、私の命みたいだなと、そう思った。

「みっくん、綺麗だねぇ」
「これでいいのか?」
「うん、いいよー。私、この花火が見たかったの」

 漆黒の空に浮かび上がる、幾重にも咲いた鮮やかな花たち。夜空を彩る、夏の風物詩。
 ――これを、見たかったの。


 蝉の声と潮騒の音、そして花火の重低音。
 夜空を彩る幻想的な光景。
 いずれ私は散るのだとしても、この光景だけは忘れたくない。
 死の間際、私はきっと何度でも、この光景を思い出す。
 みっくんが優しく私の髪を撫でた。私はみっくんの腕の中にその身をゆだねた。
 この幸せな時間が永遠に続けばいいのに。

  ★

 永遠なんて、存在しなかった。
 やがてついに花火は終わって、海岸は夜の静けさに包まれる。
 ザザァッ……ザザァッ……。
 寄せては返す波の音とやたらうるさい蝉の声だけが今、世界にある音のすべてだ。
 私もみっくんもしばらくは何も言わなかったけれど。
 不意にみっくんが、私を強く抱き寄せたんだ。
「……みっくん?」
 ……みっくんは、泣いていた。

「……お前のことが好きだよ、火花。だから逝かないでくれ、もっと俺の傍にいてくれ……!」

 なんだ、そんなことか。きっとあの花火を見て、そんなに感傷的になったんだね。
 私は笑ってみっくんを抱きしめた。
「私もみっくんのことが大好き。大丈夫、どこにも行かないよ」
「でも病気が……」
「みっくんらしくなーい。ネガティブやめよ、私は元気!」
 笑って私はすっくと立ってみる。
 立てた。足がちょっと震えたけれど大丈夫だよ。私、立てるもん!
「……火花」
「帰ろ、かーえろ! 今日は楽しかったよみっくん。だからこれあげる」
 私は先ほどの赤い金魚の入ったビニール袋を、みっくんの手に乗せた。
「……いいのか? あんなにこだわっていたのに」
「みっくんのためだからこだわったんだよ? 私は金魚より食べ物がいいのー」
「即物的というかなんというか……」
「ま、そういうことで!」
 ビニール袋をみっくんの手に押しつけるようにして。
「帰ろう!」
 みっくんと手をつないで。星光る夜道を歩いて帰った。

  ★

 そのあとみっくんと少し話をして、みっくんにあげた金魚の名前を決めて。それで私とみっくんは別れたの。
 別れた途端だるくなって、押し寄せた眠気。
 そうだよ私、無理してた。あんなに歩くなんてできなかったのに。
 でも思い出がほしかったんだよ。
 永遠に記憶に残る、私のひと夏の思い出が。
 だから無理した。だから平気なふりして歩いたの。
 ああ、息が苦しくなる。



 ――みっくん、みっくん。


   次に誰かと付き合うときは、長生きできる子を選ぶんだよ――――?


  ★

 それから一週間後に火花は死んだ。安らかに、眠るようにして。
 あの子が渡した赤い金魚。今なら意味がわかるんだ。

 どうせ私は死ぬから、この子を私と思って育てて、泣かないで。

 どこまでも優しくて、どこまでも無邪気で。どこまでも強がりで、どこまでも残酷で。
 そんな火花は僕の心に、消すことのできない暗い炎をつけた。
 僕はこれから彼女の死を抱えて生きることになるのだろう。あの優しくて残酷な、ひと夏の思い出とともに。
 金魚の名前はファイアワークスにしてと、あの子が言ったんだ。
 その意味は花火。
 あの子は知っていたのだろうか。近いうちに自分が死ぬことを――。
 
 ゴーン、ゴーン。重苦しい鐘が鳴る。
 今日はあの子の葬式の日だ。
 もう空に花火はなくて、ただ波の音だけが変わらないけれど。
 僕は心の中で君に問うた。



 ――火花、火花。
  僕は、あなたの、
 

  幸せになることが、できましたか――――?


 儚く散った鮮やかな火花は、もう二度と戻らない。


◇ ★ ◇

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