雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

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Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.59 )
日時: 2018/12/28 15:58
名前: 名無しのアキラ (ID: H9KOaXfM)



「みんな巻き込まれないでよ!“滅亡の業火(ロストフレイム)”!」


リクセスが黄金の知恵の輪を手に詠唱する。そして薙ぎ払うように腕を振るうと、広範囲に炎の魔法が広がった。そしてその向こうから迫り来る、青黒い触手の塊のような怪物達を一掃する。
しかしそれでも炎の間を縫って、何匹かが滲み出てくる。

「まったく!よりにもよって、なんでこっちに来るんですかね!」

「ヴァルキュリアの次は怪物退治かあー」

ミヤギは懐から拳銃を抜き、怪物の弱点である触手の中の眼を狙い撃つ。そして動きが鈍くなったところへダメ押しに、今度はフィアが手持ちのカンテラを怪物の中心に叩きつけた。その瞬間、怪物は彼女のカンテラの魔法の炎によって火だるまになり、しばらく身悶えた後に生き絶える。

「ふう、非戦闘員の私とミヤギでも、連携すればなんとか戦えなくはないんだな」

「呑気にそんなこと言ってる場合ですか!後方のここまで敵がうじゃうじゃ来るってことは、前線はもっと大変な事になってるって事ですよ!」

淡々と無表情に話すフィアに、ミヤギが突っ込みを入れる。

「無駄口叩いてる暇があったら、とりあえず化け物に食べられないように必死に逃げなよ」

リクセスの言葉に、ミヤギとフィアは大通りの奥を見る。そこからは、更に大量の青黒い触手の怪物達が、まるで津波のようにこちらへ押し寄せてきていた。





一方その頃、別の場所では、瓦礫の下から這い出してくる1人の少女の姿があった。先程、生き絶えたはずのヴァルキュリア、ソルだ。
確かにあの時ーーインデックスの中に潜んでいた上位者“フレスヴェルグ”の手によって葬られた。しかし生死の狭間で出会った別の上位者“オーティヌス”の手を借り、なんとか生還を果たす。
しかし、それでも身体に蓄積したダメージは大きい。瓦礫から身を起こすも、なかなか歩き出せない。

すると、彼女の手前に空から何かが落ちてきて、クレーターを作りながら着地する。
しかしそれは、彼女が見慣れたものだった。

「イクリプス......?」

そう、彼女はソルの仲間のヴァルキュリア、イクリプスだ。しかし様子がおかしい、目は赤く充血し、血の涙を流している。そしていつもの鉄壁の笑顔もない、無表情のままだ。

「ウゥ......ガウ!」

「イクリプス!あなた、言葉が......!」

イクリプスの動物のような鳴き声に、ソルは彼女の状態を把握した。激しい戦闘による脳内出血によって、言語や記憶に障害が出ているのだ。下手したら今のイクリプスは誤って味方へも攻撃しかねない状況だが......
彼女はすぐにソルの元に駆け寄ってくる。そして片膝をついて彼女の臭いを嗅ぎ、そのまま待機した。

「イクリプス......あなたっていう人は......記憶が無くなっても、私の為に戻ってきてくれたんですね......」

返事はない。しかしその赤い瞳は、ソルのことだけを見ていた。
イクリプスがこんなにボロボロになっても頑張ってるんだ。自分も動かないわけにはいかない。
ソルは両足に力を込めて立ち上がる。

「はあ、はあ......イクリプス、とりあえず安全な場所へ移動しましょう。ついでに武器も探しながら......」

「ガウ!」

ソルはイクリプスの手を借りながら、移動を始める。遠くからは剣戟や爆発音など、戦闘の音が聞こえてくる。辺りは焦げ臭さと埃っぽさに包まれ、そして至る所で黒煙が上がっていた。

「それにしてもーー」

ソルはイクリプスを見ながら呟く。

「ーー相変わらずあなたは、空から落ちてくる人なんですね」

ソルはイクリプスと最初に出会った時のことを思い出しながら呟いた。





建物が破壊され、瓦礫とともにリクセスと一体の化け物が飛び出してきた。距離は2メートルもない、お互いの武器の射程圏内だ。リクセスは即詠唱に入るが、一方タイミングが間に合わず、怪物の触手で吹っ飛ばされてしまう。
しかしリクセスも負けてはいない。前世で培った技術を生かし、受け身をとって起き上がると、すぐに詠唱を再開して炎の魔法をお見舞いした。

「よし!あと2匹ーー」

リクセスは次なるターゲットへ向きを変えようとした瞬間だった。偶然にもちょうど彼の背後へ転がってきた触手の怪物、リクセスをその瞳に捉えると、その後頭部へ触手のビンタを放った。
後頭部を打たれる、脳震盪。リクセスの両膝から力が抜け前に倒れこみそうになる。
倒れるリクセスへ、ミヤギとフィアが声を上げようとしたその時だった。

横から放たれる銃弾の嵐、それは今まさにリクセスを踏みつぶそうとしていた怪物を切り裂いていった。
更に近くにいたもう一匹も、颯爽と現れた青いマントの人物に、素手で紙のように切り裂かれた。

「ガァ!」

そう、この青いマントの人物こそ、かの伝説のヴァルキュリア、イクリプスだ。そして、その向こうには、片膝をついて息を荒げる銀髪のヴァルキュリア、ソルの姿があった。

「残弾......ゼロ......」

「......! ヴァルキュリア! なんでここに!」

気がついたリクセスは、突然荒げる現れたソルの姿に、思わず知恵の輪を向けるが......
すぐにソルを庇うようにイクリプスが飛んできて立ちはだかった。獣のように低い唸り声を上げている。
しかし、ソルはイクリプスの力が入った背中に優しく触れる。

「大丈夫......彼らは......わたしの......味方です......」

今のイクリプスに、ソルの言葉の意味は理解できない。しかしソルのその心のオーラを読み取ったイクリプスには、その事を理解できた。

「うぐ......相変わらず、無茶な戦い方をするじゃないですか......“アンダルシア”の魔法使いというものは」

「ーーいや、君に言われたくはないよ」

しばらく呆然としていたリクセスは、またいつもの高飛車な口調に戻っていた。色々分からない事がある、死んだはずのヴァルキュリア達が復活していて、しかも今この瞬間に自分を助けてくれたと。
その様子を見ていたフィアは、すたすたとソルとイクリプスの元へ近づいていく。

「もう、いいだろう」

「ちょっと!フィアさん、なにを!危ないですよ!」

ミヤギの警告も無視し、フィアはソルの傍まで来た。今のでソルも体力を使い果たしたのか、ペタンとお尻をついて動けない様子だった。
ことりと地面に置かれか、フィアのカンテラ。そして彼女はその炎を調整し、一段と大きくした。
すると白く暖かい光がソルとイクリプスを包み込んだ。2人の傷が消えていき、内側から体力がみなぎってくるようだった。

「ソル......ちゃん」

「イクリプス!?脳の損傷が治ったんですか?これは......回復の魔法なんでしょうか」

ぼそりとイクリプスが喋った事に、ソルはフィアが自分たちを治してくれたんだと理解する。

「あ、ああー気持ちいい......ふふっ、とても素晴らしい術をお持ちなのですね。感謝しまーー」

記憶と言葉を取り戻したイクリプスが、フィアに感謝を告げようとした時だった。
突然フィアが、音を立ててうつ伏せに地面へ倒れる。

「えーーなに!?」

ソルは慌ててフィアを回復姿勢にして寝かせた。ミヤギとリクセスも駆け寄ってくる。

「いやあーなに、大した事じゃないさ......私の魔法は命を燃やして、他者を癒すんだ。きっともう、限界なんだろう」

「なっ!どうしてそんな大事な事を言わなかったんだい!?」

リクセスも前世で似たようなものを見ていたから、癒しの魔法には高いコストが付き物なのは理解していた。だからこそ、尚更そんな重要な事を今まで黙っていたフィアに、激しい感情が込み上げてきた。
ソルは「これか!?」と慌ててカンテラの炎を絞る。

「何故って......誰にも聞かれなかったからさ......私のことなんて、君たちはあまり気にしないだろう......」

「なんて自分勝手な!勝手に馬鹿な事をするなよ!」

リクセスが声を荒げる中、ソルとイクリプスはーーなんと無表情に戻って、とても静かで冷静になっていた。ミヤギはその顔を見て一瞬驚くも、すぐにヴァルキュリアの特性を思い出した。

ヴァルキュリアは、窮地になればなるほど冷静になりーー“策を打ち出す”生き物だとーー
しばらく沈黙していたソルは、ふと口を開き、突拍子も無い事を言った。


『ーー“燃焼の三要素”を覚えていますか』

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