雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

連レスもどる



Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.64 )
日時: 2018/12/29 21:17
名前: 名無しのアキラ (ID: .KFBFsPs)

地上に群がるフレスヴェルの眷属“恐ろしいもの”達も厄介だ。一匹一匹がそれなりに耐久力があり、一撃で倒せなければ囲まれて苦戦を強いられる。範囲攻撃ができるメンバーが居なければ苦しい戦いだ。
異世界からやってきた死霊術師の少年ヴェルゼは、その手にした大鎌を振り回し、踊るように円を描きながら、囲まれても囲まれてもその敵の群れに風穴を開け、善戦していた。
建物の屋根から屋根へ飛び移り、自分を追ってくる怪物どもを蹴散らしていく。

「ーーキリがない、それに他の連中ともはぐれてしまったな......」

ヴェルゼは屋根から飛び降り、建物の中に身を隠すことにした。手前のボロボロの扉を開くと、そこは商店かなにかの裏口だったようだ。倒れた棚に散乱した箱の数々。
とりあえず一息つく、持ってきた背中のバックから水筒を取り出し、蓋を開けて中の水を口に含む。


『デストローイ!』


「ぶはっ!」


突然散乱した箱の山から飛び出してきたそいつに、ヴェルゼは思わず水を吹き出して、懐の探検を構えた。
二頭身の身長120センチ程のヴァルキュリア、はぐれファランクスである。相当量産されたのか、幾度となく戦ってきた相手だ。しかしヴァルキュリアも全滅した筈だが、なぜここに......しかもヴェルゼが短剣の切っ先を向けても、何もリアクションを起こしてない。

『......? アイム・ファランクス!』

小首を傾げたファランクスは、そのままヴェルゼが入ってきた入り口から出て行く。このまま騒がれると化け物に見つかって厄介だ、ヴェルゼはファランクスを追いかけようとするが、その時外が一層騒がしくなっていることに気づく。
そして表に出たヴェルゼの瞳に映ったのはーー白い壁だった。通りを塞ぐように、壁が出来ていたのだ。
そしてその壁の隙間からは大量の槍が突き出ており、突っ込んでくる怪物達を押し返している。

否、それは単なる壁じゃない。それは大量の はぐれファランクス達が折り重なり、一斉に盾を構えた「陣形」だったのだ。

『デストローイ!デストローイ!』

壁の端っこ、ヴェルゼに一番近い所に、先程箱から飛び出してきたファランクスがいた。
しかもちょいちょいとヴェルゼを手招きしている。
状況が掴めないものの、通りを化け物達が蹂躙しており、逃げ道があるとすれば、あのファランクスの方しかなさそうだ。
ヴェルゼは再び短剣から大鎌に持ち替えると、姿勢を低くしながらファランクスの壁の方へ駆け寄る。

すると、まるでヴェルゼの通り道を確保するように、ファランクスの陣形の端にアーチ状の入り口ができた。
これには流石のヴェルゼも驚く。敵である筈のファランクス達が自分を支援している?どういうことだ?

ヴェルゼがアーチを素早く潜り抜けると、その途端再びファランクス達が動いてその穴を塞いだ。

『アイム・ファランクス!』

「お前......これは一体......?」

先程の1匹のファランクスが「やったね!これで安心!」と言わんばかりにぴょんぴょん跳ねている。
ヴェルゼは思う、これ程の陣形、指揮官クラスのヴァルキュリアが居なければ、はぐれファランクスだけでは到底作れない。まさか......



スター流のヒーロー、美琴とヨハネスのコンビも、建物の屋根を2人で駆けながら戦っていた。
2人の武器はなによりもその鍛え抜かれた身体と武術だ。頑丈な身体で敵の攻撃に耐え抜き、必殺の挌闘技で1匹ずつ仕留めていく......しかし2人の技はどれも敵単体を捉えて大ダメージを与えるものが大半だ。
なかなか敵の数が減らないだけでなく、他の仲間ともはぐれてしまっていた。

「くそう!しつこいな!」

「ヨハネスさん!上です!」

美琴の声にヨハネスは上を向くと、空から無数のレーザーが木の枝のように分岐しながら、雨のように押し寄せてきた。フレスヴェルグ本体のレーザー攻撃だ。
美琴が両手をかざして、そのレーザー攻撃を弾き返した。しかも彼女は敵の攻撃を反射する能力まで持っている。大量のレーザーの雨を防ぎ、更に金色のオーラとともにそれらはフレスヴェルグの元へ戻っていくが......

空からは更にそれらを押し潰さんばかりの量のレーザーが降ってきて、美琴とヨハネスを、周囲の眷属である化け物ごと襲いかかった。

「うひゃあ!?」

「防ぎきれませーん!」

見境なしの攻撃にたまらず声を上げるヨハネスと美琴。そのまま建物の屋根が破壊され、美琴とヨハネスは再び大通りに落とされた。

しかし、そこで2人は更に驚くことになる。
何かの大群がこちらへ突っ込んでくるのだ。すかさず姿勢を立て直して拳を構える2人。
しかしその大群は2人を避けて通り過ぎて行き、しかも今まで自分たちを追いかけていた怪物の軍団と戦い始めたのだ。
小さな背丈、白い装甲、トレードマークの槍と盾のセット。その姿は今まで2人が嫌なほど見てきた連中だった。

「馬鹿な!ファランクス!?」

ヨハネスが驚きのあまり、思わずこいつらの名前を口に出した途端、屋根の上から放たれた連装レーザーライフルによって怪物達が薙ぎ払われた。

「“せやで”」

そのレーザーライフルの主が屋根から降りてきた。重厚な白い鎧、後頭部でまとめた癖毛、そして奇妙な箱のような被り物......そう、このやる気のなさそうな目をした少女こそ、はぐれファランクス達の親玉である......

「ヴァルキュリア・ファランクス!? なんのつもりだお前!それにその姿は......」

「そしてその言葉!関西弁ですね!」

「いや、それはどうでもいいよ......」

美琴の指摘に突っ込みを入れながらも、ヨハネスはしっかりファランクスと向き合って拳を構えていた。

「これか? ウチら“アップグレード”して復活したらしいんや、ええやろ?」

「いや、そうじゃなくて!」

「なんで関西弁になっちゃったんですか!?」

「おい......」

新型の2連装となったレーザーライフルや、新しい装甲を見せつけるようにポーズをとるファランクス。しかし美琴の興味はそこにはないらしい。

「ウチ、暴走したイクリプスに殴られてもうてな、そん時に言語プログラムがバグってもうたみたいやーーっと」

ファランクスが不意に姿勢を横に向けると、そこへ包囲網を突破した怪物達がなだれ込んできた。
化け物達がファランクスと美琴達へ襲いかかる。
美琴は化け物の攻撃を交わして空高く舞い上がり、ファランクスは左腕で化け物の触手を防いだ。


「“エルボードローップ!”」


「“大盾”」


美琴は落下する勢いで化け物を地面にめり込ませ、ファランクスはそのまま左腕で化け物を押し返して吹っ飛ばした。2人の技が炸裂した瞬間である。

「“盾兵”は“左腕”が肝心なんや。ウチなら素手でも、左腕は鋼鉄並みに鍛えてるんやでーーっと、そろそろやな」

再びファランクスが戦場の方に目をやった時だった。ファランクスの陣形に手前、化け物の群れの上空から、大量の矢の雨が降り注ぎ、奴らを殲滅していく。
気づけば遠方の建物の上には、なんと弓兵の一団が現れているのだ。しかも見た目人間のようである、ヴァルキュリアじゃない。

「ヨハネスさん見てください!弩級隊ですよ!」

「あれは......ファランクスには弓兵を召喚する能力は無かったはず......?」

降り注ぎ矢の雨を眺める美琴とヨハネスの後ろから近く影があった。


『僕の“能力”だよ』


振り向くとそこには、まるで靄がかかったように淡い金髪の小柄な少年の姿があった。身に纏うローブは元は金色なのだろうが、驚くほど色褪せており、キラキラ感はほぼない。身長も150センチほどしかない。
明らかに戦場には場違いな少年だが、美琴とヨハネスは以前レジスタンスの拠点で彼と会っていた。

「エクセリオさん!あの弓兵はエクセリオさんの能力だったんですね!」

「ほーん、“エクセリオはん”っちゅうのか」

「見事な連携だよね......まさか2人は知り合いだったのかい? どうやったんだ?」

ヨハネスは殲滅された怪物達の亡骸を見ながら尋ねる。しかしエクセリオの事を見下ろすファランクスの様子から、それは無いような雰囲気だった。

「ーーいや、連携もなにもない。ウチとエクセリオはん は“当たり前のこと”をしたまでや」

ファランクスの意味深な言葉に、美琴とヨハネスは驚く。


「“盾兵”で足止めし、“弓兵”で撃つーー」


「ーーお違い住む世界も種族も違っても、考える事は同じみたいだね」


ファランクスがそっと突き出した拳の挨拶に、エクセリオもコツンと優しく答えた。

連レスもどる