雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

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Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.81 )
日時: 2019/01/13 12:32
名前: 名無しのアキラ (ID: rAcBIZJ6)



「バッチコーイっすよー!おそい!おそい!おそーーーーーい!」


桃色のツインテールをなびかせながら駆け回り、左腕部一体型のエネルギー火器“ハイレーザーキャノン”を撃ちまくる、青帽子がトレードマークのヴァルキュリア、フェイルノート。耐久力こそ一部のヴァルキュリアには劣るものの、トップクラスの機動力と、最長の有効射程、そして最大の貫通力を誇る。
ポジション的には後衛向きのヴァルキュリアだが、フェイルノートは大胆にもフレスヴェルグの真下付近まで潜り込み、更にそこから跳躍、装備したボード上のウェポンキャリアーの上に乗って、その推進力を持って背後まで回り込んでいった。

その後塵を追うように、他の面子も後に続いていた。
その中の1人、アンダルシアの魔術師の少年、ヴェルゼは、フェイルノートの大胆な攻めに、呆れを通り越して怒りの感情まで湧いてきていた。

「ヴァルキュリアの奴! 前に出過ぎだ!」

「いや、でも“あの馬鹿”が敵を引きつけてくれてるお陰で、もの凄く戦線を押し上げられたね」

ヨハネスはフェイルノートの動きの策を既に読んでいた。彼女はフレスヴェルグの側面へ回り込む事により、相手の注意を散漫にし、正面から打ち合っているヴェルゼやヨハネス達との十字砲火を狙っていたのだ。どんな敵であれ、四方からの攻撃を全て捌ききるのは難しくなってくる。
しかもフェイルノートはフレスヴェルグの反撃を回避できる最低接敵距離のようなものを意識しているようだ。多数の自律兵器のレーザーも、ボードをうまく切り替えして避け、またあえてボードを盾にしながらそれを受け、更に敵の攻撃を倍返しにするが如く多彩なエネルギー兵器の連弾をシャワーにように放射して薙ぎ払ったりしていた。

「フェイルノートは見た目以上に強いヴァルキュリアだ、特に“撃ち合い”じゃあね。あれそう簡単には落ちないよ。ソルの奴もあいつに今の前衛を全部任せてるんだろう、それだけの戦力なんだよ」

「じゃあ今がチャンスですね! 私達も遅れないように行きましょう!」

美琴が一同を追い抜き、更に高速で駆け出した時、1匹の はぐれファランクスが飛び出してきて、美琴へ何かを差し出した。アンテナ付きの長方形機械には液晶があり、ダイヤルとボタンがある。
急ブレーキをかけて停止した美琴と、それに追いついた一同がファランクスを囲んだ。

「ファランクスちゃん! これは......?」

「“無線機”だね、例の“策”とやらが始まるのか」

ヨハネスはファランクスから無線機を受け取る。





ソルは水路に身を隠しながら、自身が飛ばした髪留め型の偵察機から送られてくる膨大な情報を処理していた。彼女の両眼の網膜には無数のデータの列が高速で流れていく。
その傍で片膝をついてその様子を見守っていた不動仁王は、痺れを切らせて立ち上がる。

「おいガキ! いつまでそこで休んでるつもりだ! 俺の足を引っ張るようならお前も往生させてやる!」

「ーー黙れ、馬鹿が」

不動の方は見た目通りに、ソルは見た目以上に、相変わらず2人とも口が悪い。まるで磁石の同極を反発させたようにぶつかり合う。
早速不動はソルの胸ぐらを遠慮せずに掴むがーーソルはそれを左手で捌き、そのまま左腕の肘で不動の腕を挟み込んで“脇固め”の技の態勢に入った。彼女の技は体格差などは関係なしに、上手く決まれば外せない......そのままソルがやろうと思えば更に技をかける事も可能ではあるが、彼女は技をかけたまま少し前に進み不動を放り出す。
そして不動も巨体に似合わず素早い、すぐに切り替えして拳を向けて迫ってくる。

(あーめんどくせえ)

ソルは再び不動の拳を捌きつつ側面に回り込んだ。それでも不動の怒りは治らない。更に踏み込んで向かってくる。
その時、ソルの目が光る。


(この作戦の概要は、まあ“見せた方が”早いか)


ソルは柔術の構えから、両腕を上げてベアナックルの構えへ移る。柔術から打撃技の構えになったのだ。
そこへダイレクトに飛んでくる不動の拳、ソルは盛り上げて構えた両腕の盾でそれを受け止めた。
ミサイル並みの破壊力のあるパンチ、普通の女の子だったら吹っ飛ばされてしまうところだが、彼女はヴァルキュリアだ。それを受けても全く仰け反らないーーいや、流石にそれはおかしな防御力だった。いくらヴァルキュリアとは言え、スター流のパンチはそんなに緩くない。通常のパンチじゃない、プロレスのプッシュパンチのようなそれは、どんな相手でもダメージを与えられる筈だ。体格差のあるソルならば、後方へ押し出されるのが物理の法則にかなってるが......


キィィィンーー


耳鳴りにような音とともに、不動の拳はソルの手前に存在した“見えない何か”によって受け止められた。それは物質とも違う、まるで磁石や斥力みたいに、空間そのものに拒絶されたように不動のパンチ力を受け止め、拡散させていってしまった。
不動は“未知の現象”の前に、気づけば怒りが治まっていた。本能的に怒りを通り越し、冷静になったのだ。これがもしも相手してるのが敵だったら、尚更スター流のヒーローには必須な事だ。
不動はゆっくりと拳を戻しーー

「ーーおいガキ、一体何をした」

「まったく......人にものを聞く態度ですか、それは」

ソルも拳を下げた。
そして不動にはーーソルの身体を全て覆って庇える程の、半透明の巨大な“機械の手”がうっすらと見え始めていた。
更に、その後方にいいる、その機械の手の主らしき、半透明の未知の存在も徐々に見えてきた。背丈は10メートル前後だろうか、日輪のように輝く双眼が、不動を見下ろしていた。
以前とは全く違う、未知のヴァルキュリアの能力を前に、不動の怒りは鎮火した。


『少し、話しますよ』


不動が落ち着いたのを確認し、ソルは無線機を取り出すと、プレストークを押した。

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