雑談掲示板

水が枯れた暁に……2【雑談・呟き・その他】
日時: 2021/07/23 16:54
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: QzFVPILQ)

 はいどうも! 枯水暁でございます!!
 水が枯れた暁に……が連動してしまったので、まあ実験的に? 新たにスレッドを作りました次第でございます。これは連動しないといいなあ。早すぎる第2弾です(笑)

 スレッド関連でここしばらく色々あったので、自分、何かに取り憑かれてるのかなとか思っている昨日この頃です。

 ちゃんと回りそうな予感がしたので、このスレッドを使っていこうと思います!!
 お気軽にご来スレください!

 !注意!
・このスレッドでは、タメ口OKです。もちろん敬語もOKですが、タメ口が苦手な方は御遠慮ください。
・カキコのルールは守ってください。皆様が気持ちよく雑談できるよう、ご協力お願いします。
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・荒らしは極力無視してください。喧嘩はよそでどうぞ。主は干渉致しません。
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・まあ、楽しくわいわいやりましょうや(*´ω`*)

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Re: 水が枯れた暁に……2【雑談・呟き・その他】 ( No.920 )
日時: 2021/07/22 16:31
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: fu6eACgs)

 ああ、まただ。また、朝が来た。あと、何回? この世界が滅ぶまで、あと、何日だ?
 この狂った世界は永遠に続く。不滅の、世界。
 じゃあ、狂わせたのは、誰?
 それは、きっと。

 1

 教室は、様々な音が混ざり合う。挨拶もそうだし、雑談もそう。声が、音が、絡まる、ほつれる。耳元で糸がくすぶり、私の神経を刺激する。麻痺してしまった感覚はそれに何を感じるというものでもなく、また、麻痺していると自覚している分、私の心には虚無感だけがただただ広がる。

「日向、おはよう」

 突然背後から投げかけられたその言葉に、私はなんら驚くことも無く、似たような言葉を返す。
「おはよう、リュウ」

 彼の名は笹木野 龍馬といい、リュウというのは所謂あだ名というものに当たるのだが、彼のことをそう呼ぶ者は、私を含めた三人のみ。理由はそれなりにいくつかあったりするのだけど、一番大きな理由としては、おそらくリュウ本人が嫌がっているということだろう。
 嫌ならリュウと呼ぶのをやめようかと提案したところ、曖昧にはぐらかされたことが何度かある。どうやら、私達三人に呼ばれる分には構わないらしい。

 私がリュウの気配に気づかないなんてことはありえない。故にリュウが私に近づいていたことは分かっていたし、そのことはリュウも理解している。というよりそもそも、これは毎朝のことなので、今日もリュウは私の言葉を聞いて、くしゃりと顔に笑みを浮かべる。

 その笑顔が眩しくて、私は目を細めた。

 リュウの適性魔法属性は【闇魔法】であり、闇に携わる者は一般的に趣味嗜好や性格がが偏っていたりねじ曲がっていたり、そうでなくとも表舞台に出ることが少ない性質であることを考えると、リュウのような人格の闇魔法士は特殊と言える。まあ、適性魔法属性と性格の関係性は、明らかになっていないけれど。でも少なくとも、その傾向があることは確かだ。

「今日の昼、あいつらと食べるって覚えてるか?」
 リュウが確認のために私に尋ねる。その答えは「もちろん」であるのだが、私はそれ以上に短い言葉でそれを伝える。
「うん」

 私が彼らとの約束を忘れるなんてことは有り得ない。何故なら彼等は私にとって、一番優先すべき人物なのだから。その中には、リュウも含まれる。私に彼等以上に大切にすべき者はいないし、彼等以外に大事に想っている者はいない。強いて言うなら、家族、くらいのものだろうか。
 しかし私が家族と思えるのはたった一人だけ。他の奴等は違った。両親は違った。ただの『同居人』だった。

 それは、彼等が死んでも変わらない。

「へえ、覚えてたのか」
 どういう意味だろう。私はあまりものを忘れるような性質ではない。
 私が首を傾げると、リュウは苦笑した。
「日向って、興味が無い事はすぐに忘れるだろ? この間、『一緒に食事をする意味がわからない』って言ってたから、気になったんだ」

 成程、そういう事だったのか。けれどそれは違う。確かに私はそう言ったけれど、それと私が興味を無くすことはイコールではない。
「それは世間一般での話。私はリュウ達が一緒に食べたいって言うなら、それが私が一緒に食べる意味になるよ。興味を無くす理由にはならない。私の意味が、それだもの」

 最後の言葉は曖昧だったけど、それで十分通じたようだ。リュウはまた、綺麗な笑みを浮かべる。
「昼、一緒に行こうぜ。今日は第四館らしい」

──

 授業の終わりを告げるベルが鳴ると、一斉に、とまではいかないものの教室にいた大半の生徒が外に出るべく二つの出入口に流れていく。学食に行こうだとか、どこそこで弁当を食べようだとか、そんな話し声が開きっぱなしの耳に入る。

 新学期が始まりまだ一ヶ月も経っていないというのに、もう教室ではいくつかの塊が形成されている。個々で親しくしている者が集っていたり、周囲に合わせて親しげに振る舞う者が集っていたり、後者に含まれるほとんどが人間族であることを考えてみると、やはり人間とは何かしらの集団に属していないと不安になる生き物なのだろうか考えたりする。

 私は、どうなのだろうか。不安になりはしないけど、やはり、傍に居られると……嬉しい?

「日向!」

 リュウが私の元へ来た。私は頷いて、昼食である弁当を掴み、席を立つ。私の弁当袋はカバンのような形で、持ち手があるのが便利だ。黒で統一された無地で、男物か女物かと言われれば、男物の商品だ。私は私物に男物を持っていることが多く、たまに変な目で見られたりする。とは言っても黒が特別好きな色だという訳でもない。目立たないから、選ぶことが多いというだけだ。

「ほら、あの人が……」
「えっ、うそー……」
「しっ! 声が大きい!」
「ごめんごめん。でも、確かに何かしそうではあるよね、雰囲気が」

 教室を出て廊下を歩いていると、こんな声が聞こえてきた。私は耳がいいので小さく話してても聞こえるし、それに悪口は堂々と言われた方が潔くて好ましい。
 なんてことを考えていると、隣で負の気配を感じた。毎年の事だというのに、リュウは未だに気にするらしい。なので珍しく話し掛けてみる。

「春だね」
「季節を感じる瞬間ではないと思う」
 何となくぐったりとしたリュウの声。

 そうなのだろうか。春になると新入生が入ってくる。八年前の『あの事件』は私の住む[大陸ファースト]以外にも知れ渡っているので、私の事を知っている者も多い。犯罪に対する好奇の目を、決まって新入生は何故か毎年向けてくる。もちろんその目の中には恐怖だとか嫌悪だとかも含まれているのだが、それでも圧倒的に好奇心が含まれている事が多いのだ。時には直に接触を図る者もいる。あれは一体なんなのだろう。スリルでも楽しみたいのだろうか。

「おれが一緒にいるのも日向に対するイメージダウンに拍車をかける要因なんだろうな」
 ポツリと零すリュウの言葉に、私は反応しない訳にはいかなかった。

「あいつらの言うことなんて、無視すればいい」
 足は動かしながらも顔をリュウに向け、私は言った。私とリュウは並ぶとリュウの方が少し背が高いので、私が見上げる形になる。
 リュウはしばし停止して、誤魔化すような笑いを浮かべた。

「悪い」

〔邪神の子〕なんて呼ばれるリュウは、怪物族の名家、『カツェランフォート』に血縁がある。リュウは怪物族の中では、いや、怪物族の中でもかなり特殊な体質を持っており、そのため〔邪神の子〕なんて呼ばれたりしている。かつて世界が黒と白で分かたれていた時代に比べると、怪物族と人間族の共存も進んだが、それでもやはり差別はなにかしらある。リュウが比較的多数の生徒に慕われているのは、容姿も良く、剣や魔法の才能に秀でており、さらに勉学にも精通しているという多才の人物だからだろう。

「ひなたー!」

 あまり盛り上がりのない会話をしていると、突如視界に淡い桃色が映り込んだ。それは私に向かって直進している。回避しようかとも思ったけど、そうすると後が面倒なのでそのまま受け止めた。

 細い腰に回した私の腕に、さらりと桃色の髪が落ちた。ストレートの長髪は一切のほつれがなく、なんの抵抗もなく私の腕をすり抜ける。

「危ない」

 私が言うと、スナタは私を見上げた。仄かに光る銀灰色の瞳が、私の顔を覗き込む。
 それからふにゃりと笑みを浮かべ、「えへへ」と笑った。何がそんなに、と尋ねたくなるくらいの、幸せそうな表情だ。

「廊下を走るな!」
「わあっ」

 後ろからやってきた蘭に、スナタは襟を掴まれ私から引き剥がされる。私の腕から人肌特有の温もりが消え、空気の冷たさが感じられた。

「暴力反対!」
「暴力じゃない!」

 二人の賑やかさは廊下の騒がしさに良く合っていたので、私は特に何をするでもなく見守っていた。昼休みはどの学校よりも長い。時間はまだたっぷりある。なんせ一時間もあるのだ。心配事があるとすれば、昼食をとるためのスペースが先客で埋まってしまうという事くらいだ。

「二人とも、やめろよ」
 しかしリュウは放っておかずに仲裁に入った。もともと仲のいい二人なので、言い合いはそこで終わる。そしてスナタは私に近づき、くっついてきた。
「行こ!」

 いちいち腕を組む必要があるのかと思わないでもないけれど、嫌だと感じる訳でもないので好きにさせることに決めて、左腕を預けた。

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