雑談掲示板
- 第十一回SS大会 お題「無」 結果発表
- 日時: 2014/02/27 20:57
- 名前: 風死(元風猫 ◆GaDW7qeIec
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs/index.cgi?mode=view&no=16247
第十一回SS大会 お題「無」
>>523に第十一回大会結果紹介
始めましての方は、初めまして! お久し振りの方達はお久しぶり♪
何番煎じだよとか主が一番分っているので言わないで(汗
余りに批判が強ければ、削除依頼しますので!
題名の通りSSを掲載しあう感じです。
一大会毎にお題を主(風猫)が決めますので皆様は御題にそったSSを投稿して下さい♪
基本的に文字数制限などはなしで小説の投稿の期間は、お題発表から大体一ヶ月とさせて貰います♪
そして、それからニ週間位投票期間を設けたいと思います。
なお、SSには夫々、題名を付けて下さい。題名は、他の人のと被らないように注意ください。
投票について変更させて貰います。
気に入った作品を三つ選んで題名でも作者名でも良いので書いて下さい♪
それだけでOKです^^
では、沢山の作品待ってます!
宜しくお願いします。
意味がわからないという方は、私にお聞き願います♪
尚、主も時々、投稿すると思います。
最後に、他者の評価に、波風を立てたりしないように!
~今迄の質問に対する答え~
・文字数は特に決まっていません。
三百文字とかの短い文章でも物語の体をなしていればOKです。
また、二万とか三万位とかの長さの文章でもOKですよ^^
・評価のときは、自分の小説には原則投票しないで下さい。
・一大会で一人がエントリーできるのは一作品だけです。書き直しとか物語を完全に書き直すとかはOKですよ?
――――連絡欄――――
第一回大会 優秀賞作品一覧 >>17に掲載!
第二回SS大会 エントリー作品一覧 >>84に掲載!
第二回大会 優秀賞作品一覧 >>110に掲載!
第三回SS大会 エントリー作品一覧 >>171に掲載!
第三回大会 優秀賞作品一覧 >>185に掲載!
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第四回SS大会 結果発表 >>239に掲載!
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第十一回SS大会 エントリー作品一覧 >>515に掲載!
第十一回SS大会 結果発表 >>523に掲載!
_____報告
第四回大会より投票の仕方を変えました。改めて宜しくお願いします。
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Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.199 )
- 日時: 2012/03/30 18:30
- 名前: 夕凪旋風◆PQzQy5g.72
- 参照: 後書きー。
*後書き*
…………………………、長えよこれ。
と、まあ、はい。ここまで読んでくださった方、お疲れさまでした!
前々から面白そうな企画だなあと思って影でこそこそっと見ていたのですが、第四回になったところで「受験も終わったし、僕も書いてみるか」というノリで参加させてもらいました。とっても楽しかったです、ありがとうございました。
これは僕が書いている小説の番外編なのですが、まあぶっちゃけ、読んでいなくても大丈夫じゃないかなと思います。ので、何の小説なのかは敢えて言わない← ただ、「夏」というお題でピーンときて書いただけだし。むしろ、別物。
夏が来ると僕は何だか切なくなってきます。なんででしょうねw 友人は「夏だぜ、海だぜ、あっはっはっはっは」みたいな人と「夏かよ、マジかよ……」みたいな人に分かれるのですがww あら、不思議。
書きたいものをどんどん詰め込んでいったら、何だかすっごいグダグダしたものになってしまいました。文章とかかなり読みづらい上に、話も訳わからない件について(これ、「夏」関係してるのかな……?)。そして、小説もグダグダならば後書きもグダグダっていう。すみません。これからは、読んでいて苦痛にならない小説を目指していきたいです。
それでは風猫さん、そして最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました!
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.201 )
- 日時: 2012/04/03 18:25
- 名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497
こんばんは風猫^^
毎回SS大会楽しませてもらってます^^
えっと……今回はものすごく惚れた作品がありましたので投票しようと思っています。
まだこのあとにイイのがボン!ボン!って出てくるとおもうけれど……
ほんとに みなさんスゴいのでビックリしちゃいます……
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.202 )
- 日時: 2012/04/05 14:26
- 名前: 夜深◆4QOlS8qZ..
タイトル:『恋の煙』
うだるような熱さの中、
冷蔵庫を開けて牛乳のように腰に手をあてて飲むコーラは格別だ。
ぴちぴりと来る炭酸と扇風機の弱い風が少しの間、
涼しさを連れてきてくれる。
もうすぐ腰に届いてしまいそうなくらい長い、私の黒髪。
そろそろ切ろうかと思う。 失恋もしたし。
私とヨースケは部活仲間にも認められているお似合いのカップルで、
(全く想像できないけれど)将来ケッコンするんじゃないかとまで言われていた。
けど、ヨースケの住んでいるマンションの隣に2歳年上の大学二年生が引っ越してきた時から自体は一変。
そう。私という髪のきれいな彼女がいながら(これはただの自慢だ)、ヨースケは汚い茶髪の下品に大きく口を開けて笑う女に恋をしたのだ。
以前、ヨースケは私に「君の口角が上がる笑い方が好きだ」と言っていたから、余計に悔しかった。なんで、と思った。
テレビをつけてみると、お昼のニュース。
いつもと何も変わらない、利発そうなニュースキャスターが淡々と、
関西のお昼のニュースを読み上げていく。
「今日未明、〇×県〇〇市にあるマンションで、11階から白い煙が上がっている、とマンションの近くに住む女性から通報があり、火は11階から10階に燃え移りましたが、約1時間半後に消し止められました。
火元の部屋には、10代後半と見られるの男女2人が煙を吸うなどで意識不明の重体です。警察は詳しい出火原因を調べると共に、発見された男女の身元確認を急いでいます」
枝毛を探す手を止める。
今、テレビに写っていたのは、多分、いや、絶対そうだ。
ヨースケのマンション。
ヨースケの浮気が発覚してからというもの、私は彼に一切連絡をしていない。 あっちからもしてこないから私たちの仲は完全に終わったはずだ。
でも、テレビに映るマンションを見て、
お願い、ヨースケ、生きていて。
そう思った。
ヨースケのお父さんは毎日パチンコに行って夜は帰ってこないし、
お母さんは看護師だから時々ヨースケのいるマンションに帰ってこられないことがある。
それを良いことに私とヨースケはよく一緒にマンションの一室でお菓子を食べ散らかしたり、とりとめのない話をしていた。
ヨースケは昨日、その大学生と一緒に部屋で遊んでいたのだろうか。
ヨースケがバランスゲームで失敗するたびに、彼女は茶髪を揺らして、大きな口を開けて笑うのだろうか。
突然のことすぎて、わからなくなった。
ひとつだけわかったことは、私はまだ、ヨースケのことが好きで、ヨースケの癖のある髪を触りたいし、彼の私服の趣味の悪さをふざけて批評したりしたいということ。
ヨースケは生きているのだろうか。
あんな下品な大学生の名前をつぶやきながら、彼が天国にいくなんてありえない。
生きていてほしい。 生きてなきゃだめだ。
自分でも驚いたけれど、そう思った次の瞬間に、
私は白いソファに突っ伏して泣いていた。
これからも私の恋は続くのだろうか。
うだるような熱さの中、私の頬を流れる涙と額の汗を乾かしていく小さな扇風機だけが元気に首を振っていた。
**
こんにちは。
以前、「冬」をテーマに雪の結晶のことを書いた夜深(よるみ)です。
チャットモンチーの『恋の煙』を聴きながら、掲示板を見ていたら、ここをまた見つけて、久しぶりに書こうと思ったら恋愛小説っぽくなりましたw
"私"は"ヨースケ"への未練(?)に、ここで初めて気づきましたが、
そのきっかけが怖いニュースだったなんて、ほんとに怖いですね。
自分の大切な人にもう二度と会えないかも知れない、
って思うと、人は泣くのでしょうか。
書いていて結構楽しかったです。
テーマ「冬」の時に、何人かの方が私の書いたお話を評価してくださり、とても嬉しかったです!
これからも暇を見つけたら書いていこうと思うので、
是非よろしくお願いします。
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.203 )
- 日時: 2012/04/06 15:08
- 名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6
『壊れたエアコン』
茹だるような暑さに、私、龍崎サナは、ソファーとお友達になってました。
タダでさえ貧血気味な私に、このような暑さ、加えて。
なんで、エアコンが壊れてるってんねんっ!!
「大丈夫? 何か買ってこようか?」
折角、彼氏のラナ君が遊びに来てるのに、何も出来ません。
「ごめん、何も出せなくて……」
おでこにつけてるハンカチがもう、ぬるいです、先生……。
「じゃあ、アイス買ってくるよ。少し休んでて」
「んっ」
からからからー。
エアコンが壊れたから、超レトロな扇風機とやらを取り出して使ってる。
ウチは、パパが扇風機をドライヤー代わりに使ってるので、メンテはバッチリされてる。
けど、この時代、そんなの使うの、ウチだけのような気がするのは、気のせいかな?
そういえば……夏祭りのとき、ラナ君が可愛いきんぎょ、すくってくれたっけ。
私はすぐに紙が破れちゃって、一匹も掬えなかったけど、ラナ君、ああいうのって、得意らしく10匹くらいくれたな。あのきんぎょも、今は死んじゃって、代わりに生きていたときの映像を使って、壁のオブジェに映してる。ちょっとだけ、涼しい気分になった。
それにしても、扇風機の風、ちょっと気持ち良いな。
あーっていったら、声が震えるから、宇宙人の声ーなんて冗談良いながら遊んだっけ。
それもきっと、ウチだけなんだろーな。
ああ、暑い。ぼーっとしてきちゃった。
それに……だんだん眠くなってきちゃって…………。
気がつけば、側にラナ君がいた。
もう帰ってきたんだ。
………あれ? 涼しい?
がばりんちょって起きちゃった。
ばさりと、何かが落ちて……ああ、ブランケット?
「サナ、起きたの? 大丈夫? アイス食べる?」
「うん、大丈夫。って、あれ? エアコン、直っちゃった?」
気がつけば、さっきの茹だるような暑さも全くなくなってる。
換わりにあるのは、程よく涼しくそよぐ風。しかも凄く冷たくないんだ。
本当に程よいって感じ。
そうそう、エアコンってこうだよね!!
「あ、サナー! アイス、何味にする?」
「バニラ&クッキー!」
「オッケー!!」
冷蔵庫から、持ってきてくれたアイスは、私の好きなメーカーのアイスだった。
こういうところは抜かりないよね、ラナ君って。
「そうだ、エアコン、どうして直ったの?」
「あ、えっと……困っていたみたいだから、僕が業者呼んで直してもらっちゃった」
「でもこの時期って混んでて、なかなか受けてもらえないんじゃない? うまー♪」
「はむはむ。うん、だから、僕の知り合いに頼んでやってもらっちゃった」
その、ラナ君の知り合いって人が、微妙に気になるんですが。
「えっとその……修理費用は……」
「大丈夫、タダでやってもらったから」
「マジ?」
「うん、マジ」
いつの間にか、アイスはすっかり空になっていて。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
互いにぺこりと頭を下げて、笑い出す。
「その様子なら、もう大丈夫だね」
「うん、元気いっぱいっ!!」
思わずサムズアップしてしまう私。
と、思い出した!!
今日の重大な目的!!
立ち上がって、ばたばたと自分の部屋から、ゲームソフトとヘッドマウントディスプレイを二つ、引っつかんで持ってきた。
「お待たせ! 今日はこれをラナ君とやりたいなって思ってたの!」
「サバイバルホラー?」
こくこくと頷く私。結構、人気のシリーズで面白いって話なんだけど。
「一人でやるのは怖くって」
てへぺろっと頭を掻く私。
「うん、面白そう。僕もやったことないし」
さっそく、ヘッドマウントディスプレイを装着しちゃうなんて、ラナ君、気合入ってるみたい。そういえば、ガンアクション、すごく得意だっけ?
「今日はパパもママも居ないし、さくっと夜なべで、エンディングまで行っちゃうわよ!」
「え? ちょ、ちょっと待って、それって……ああっ!!」
ゲームソフトを入れて、私はさっそくスタートボタンを押す。
そう、楽しいデートはこれからだ!!
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.204 )
- 日時: 2012/04/06 15:11
- 名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6
◆あとがき◆
ふう、間に合ってよかった!!
えっと、別サイトで書いているキャラの外伝という感じで作ってみました。
一応、近未来です。はい。
エアコンも高性能だし、外は温暖化でめっちゃ暑い夏を想定してます。
他愛ないひと夏の思い出みたいな感じで書いてみましたが、いかがでしょう?
とにかく、大事なことなんでもう一度。
間に合って、良かったっ!!
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.205 )
- 日時: 2012/04/06 16:59
- 名前: さくら
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21261
こんにちは、風猫さん。>>191で御邪魔させて頂いたさくらです。
カキコでは、二次創作(紙ほか)で活動しています。URLは主スレです。
締め切りになる前に、一度ご挨拶を、という事でコメントさせて頂きました。暇があればどうぞ聞いてやって下さい。
まず、第四回ss大会を開催してくれて有難う御座います。実は前々から、こういうのに参加してみたくて、今回勇気を出して投稿させて貰いました。勇気も出なかったチキンな奴で申し訳ありません。
とても素敵な企画で、とても楽しめました。賞は別に狙っている訳ではありませんが、やっぱり投稿させて頂いて良かったと思います。
投稿した事に、悔いも反省もしておりません!(`・ω・´)キリッ
只ちょっと、もう少しでも文才があればなぁ、と…、(´・ω・`)ハア
私も、ゆかむらさき様と同じ様に、ハートにズッキュンと惚れた作品が御座いましたので、投票しようと思っています。
この先また良い作品が投稿されるかもしれないので締め切りが過ぎたらにしておきますが。
また連絡下さい。今回はどうも有難う御座いました。
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.206 )
- 日時: 2012/04/06 20:07
- 名前: Lithics
はじめまして、Lithicsと言います。
いままで投票も参加もした事がありませんでしたが、毎回楽しく読ませて頂いていました。今回は、既成のものですが折角テーマに合ったものがあるので、参加させて頂きたいと思います。どうぞ宜しくお願いします!
『望夏の灯』
――それは、ただ綺麗な灯。夜の浜辺に広がる幾多の灯篭……蝋燭に紙を被せただけの簡素な造りだが、小さな炎が集まって揺れる様に目を奪われる。それを防波堤の上に座り、見下ろす僕は。きっとこの場にふさわしくもない、能面のような無表情で居るんだろう。
波間に攫われた紙灯篭の一つが、尚その煌めきを失わないのを見ても。灯りを並べる人々の皆が皆、哀しみと愛情を綯い交ぜにした顔をするのを見ても……僕の心は揺れなかった。
「廉、そろそろ時間だ。通夜が終わっちまうぞ……?」
「分かったよ、修介。だけど、もう少し……」
ふと、後ろから男の声。それでも灯から目を離さず声だけで返すと、彼は文句も言わず、隣に座り込んだ。此処は彼と僕……そして彼女が年に一度必ず訪れた特別な場所。通夜の会場から行先も告げずに出てきた僕を、彼が見つけられたのも別段不思議では無かった。
「ああ……。あいつは『迎え火』が好きだったな。良く不謹慎だと言ったもんだが」
「……今年は灯が多いね。修介、あいつも喜んでると思う?」
今さら、その感傷は無意味だ……しかし、それでも。毎年の盆には此処を訪れて、死者の霊を迎える火を見て、花火のようにはしゃいでいた彼女の姿が瞼に焼き付いて離れない。きっとそれは、隣に座る男、修介だって同じだろう。この揺れる灯の中の少なくない数が、世を離れたばかりのあいつを性急にも呼び出しているモノなのだから。
「だろうな。全く、わざわざ盆に逝くなんて……これを狙ったとしか思えんよな」
「はは、違いない……」
呆れたような修介の声は、全く変わっていなかった。今でも、拗ねたように反論する彼女が隣にいるような気がして。それを宥めるのが僕の役目で……時には修に重ねてからかい、ふくれていく彼女を見て笑うのが……僕達の日常だった。それは当たり前のように続き、終わるとすれば歳を刻んだのち穏やかに……そう思っていたのに。
「……ほら、行くぞ。さっきから、おばさんがお前を探してるんだから」
「ん……」
声に応えて立ち上がり、砂浜に背を向けて……肩越しに、一度だけ振り向いてみた。目に映る、やけにぼんやりとした視界は涙のせいではなく……この地方の夜に特有な海霧の為だ。僅かに灯篭の和紙が濡れ、余計にその輪郭を滲ませる。その幻のような光景に、ふと一つの疑問が氷解するのを感じていた。
「そうか……綺麗だから。理由なんてそれだけかな」
「…………?どうした?」
薄く笑う僕に、修介が怪訝な顔を向ける。悔しい事にそんな事、この男はずっと前から分かっていたのだろうが。彼女が『迎え火』を必ず見に来た理由は、ただそれが綺麗だから。死者を呼ぶとか、盆の行事だからと。そんな事よりも、灯の本質……誘蛾の如き煌めきを好いていたのだろう。そういう、単純な奴だった。
「なんでもないよ。行こう」
「はあ……勝手だな、おい」
修の脇をすり抜け、防砂林へと歩く。追ってくる彼の、砂を踏む足音を聞きながら……やはり、そこに彼女の足音が足りていない事を思い知った。
――思えば。彼女が死んだという事を、僕はまだ自覚出来ていない。だから、この目から涙が流れる道理はなくて……繰り返し想うのは、最期の日の追憶。まるで自分に納得させるように、ふとした瞬間に思い出される光景だった。
<続く>
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.207 )
- 日時: 2012/04/06 20:10
- 名前: Lithics
『望夏の灯』-2
その日。僕は夢と現の狭間を漂いながら、彼女の事を考えていた。
――耳朶を打つのは、雨音だろうか。途切れずに鳴り続ける音は、何だかとても心地好くて……誘われるような瞼の重さに任せて、再び眠りに落ちそうになったのに。ふと、そのBGMが一斉に消えて。痛いくらいの静寂に、何か虚しい夢を見ているような不安に襲われた。今、目を開けないと……全てが消えて失ってしまう気がして。
「あ、やっと起きた? もう、お見舞いに来て寝ちゃうなんて」
「ぁ…………美奈?」
叱られた子供のように、慌てて目を開けた先には。斜陽に染まって尚、真白いと分かる部屋。雨音ではなく、それに似たリズムを刻む蝉の合唱。窓際に置かれ、西日を吸い込む清潔なベット。その上で横になりながら、優しく微笑む人……それらは、決して幸福ではないけど。僕にとって、失いたくない光景の一つに違いないのだ。だからこそ、ここに来て眠ってしまった事を後悔した……もう、残りは少ないと言うのに。
「うん、私よ……廉ったら寝ぼけてるの?」
ベット脇に座る僕の手が彼女が伸ばした手に包まれる。その暖かさは、寝起きで呆とする僕には心地よかった。くすくすと笑う声が、蝉の声と混ざって……それだけで、酷く穏やかな気分にさせてくれる。
「む……そうだね、少し寝ぼけてるのかも」
……だって、目の前の彼女の姿が。以前の元気な美奈と変わらないなんて、そんな幻視をしてしまう。少しこけた頬に浮かぶ笑みから、三人で遊びに行った海での華のような笑みを。痩せて乾いた手が、初めて手を握った時の緊張の汗に湿った感触を。そんな都合の良い望みを思い起こさせる……僕にとって、残酷すぎる皮肉だった。だから、その泣いてしまいそうな感傷を、態とおどけた口調で誤魔化してみる……それもきっと、彼女は全て分かっていて。
「ありゃ、開き直ったな? ふふ……じゃあ、私が起こしてあげる」
にやりと、悪戯な笑いまでは良かった。そんな本来の彼女らしい決して純真な娘ではない感じ(本人に言った事は無いが)で……明らかに邪な悪戯心を持っている辺りが、僕は大好きだったから。
「え、…………ん!?」
――でも、悪戯にしたってこれは酷い。だって、こんなのは一生忘れることが出来ないじゃないか。蝉音が鳴り続ける中で、時間だけは淀んで流れない感覚がした。
「ん……んふふ、蓮の顔、真っ赤だね……」
「……夕日のせいです、きっとそうだ」
……突然のキス。そりゃもう眠り姫だって起きるに違いない、まことに男らしい突然さ。どこか甘い感覚だけ残して、ゆっくりと離した彼女の顔も夕日に照らされて赤く。
「ふふ、修介に見られたら怒られるかな? なにせ、あなたの『王子様』だものね?」
「ははっ、よく覚えてるね。美奈は……『悪い魔法使い』、だっけ?」
――それは、古いセピア色をしたような思い出。幼稚園で出会った修介と僕、そして美奈は毎日のように一緒に遊んで。或る時、童話の『ごっこ遊び』をしようと言ったのは、確か美奈その人だったと思うのだが。
「そ。だって、お姫様よりも格好良かったんだもの」
美しい姫の役から、美奈は真っ赤な顔をして逃げだして。仕方がないから修介と僕がじゃんけんをして……最初に必ずグーを出す癖を見破られた挙句に、僕が『眠り姫』の役を賜ったのだった。もっとも修介が演じる所の『王子様』は、あまりにシュールで……今でも本人の前では禁句の一つではあるが。
「……楽しかったな。もう、お姫様は御免被りたいけど」
「うん! あはは、二人共、ちょっと似合ってなかったわねぇ」
思い出は色褪せても、なお煌めいて。二人で同じ記憶を思い返せるのは、これ以上無い幸せだと思えた。こういう思い出は、他にも数え切れない程ある。高校に入って僕と美奈が付き合い始めても、修介を交えた三人の関係はほとんど変わる事は無く……
――だからこそ。満たされていたから、失いたくなかったのに。
「……廉? ほら、またそんな顔する」
「え? あっと、ごめん……」
僕を見上げる美加の眼は、薄く潤んで。一度は俺に合わせて起き上がった身体も、今はベットに戻ってしまい……握っていた手は、もはや握力を無くしていた。思わず、息を呑む音を押し殺す。その微笑みも、悪戯っぽい目も声も……何も変わらないというのに。
――それだけで。もう残りなど無いと、気付いてしまった。
「ふふ……きっとね、魔法使いも……お姫様に恋をしたんだと思う」
「うん……」
「あ~あ、童話みたいに魔法が使えたら……」
何かに憧れ、囁くような声は。弱った僕の心を酷くざわつかせる。それでも……最後まで気丈な彼女の前で、僕が弱みを見せるわけにはいかなかった。
「いいよ」
「え?」
「魔法、僕が叶えてあげるから」
この世に魔法があるのなら、こんな時に使えないなんて嘘だ。支離滅裂な言葉かもしれないが、僕は本気だった。美奈は、やっぱり少しだけ驚いた顔をしたけど……
「じゃあねぇ……廉?」
「……ああ。ほら、目を閉じて」
言いたく無かった。それが彼女の願いでも、口にしたなら、もうこの時間は終わってしまうから。でも、美加は嬉しそうに……華のように笑って。ためらう事なく、その瞼を閉じてしまった。
「――ごめんね」
今度は僕から。軽く重ねた唇は、すこしだけ暖かく――――
<続く>
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.208 )
- 日時: 2012/04/06 20:13
- 名前: Lithics
『望夏の灯』-3
――それで、御伽話はお終い。結局、僕は魔法使いでも王子で無く、彼女は眠り姫では無かったのだ。そんな微妙にずれた配役のまま、エンドロールすら無いその幕切れを……僕はただ彼女の傍で見つめる事しか出来なかった。
「おい……廉? お焼香、お前の番だぞ」
「ぁ……ああ、分かった」
通夜の会場は、彼女の親族や弔問者で溢れかえっていた。高校のクラスでも、地元でも明るく人気者だったのだから当たり前なのかも知れないが。そこは哀しみに包まれてはいても、美奈の思い出話をする人々は皆、柔らかな顔をしているのが印象的だった。
(やっぱり……僕には過ぎた相手だったかもね、君は)
焼香に向かう途中にすれ違う、どの人の顔にも薄い涙の跡。チラリと振り返ると、僕の隣に座っていた修介の眼にも……僕には隠したかったのだろう、それは見なかった事にして。控えめに焼香を焚く間にも、どんな言葉を掛けていいのか分からず……結局は迷いだけを残して席へ戻った。
(…………)
正座をして、雑多な人々の会話を聞く。読経は既に終わっていて、誰とも会話をしない僕は唯々そこに居るだけ……彼女の事を考える事さえ無かった。
(なんで、泣けないんだろ……僕はこんなに……)
こんなに、どうしたというのか。今ある感情が哀しいのか、それとも喪失感なのか。自分の事なのに全然分からなくて、自分が空になるようで……酷く不安になる。それでも独り変わらず、能面のような顔で座る僕は周りにどんな風に見られているのか……そんな事を考える自分は、先ず自分から嘲笑されるべきだと思った。
「ごめん、修介。やっぱり今日は帰るよ」
「……そうか。調子悪いなら、ちゃんと休めよ」
「分かった……それじゃあね」
居た堪れなくなって、今度こそ通夜の会場から逃げ出した。外に出た途端に、夏夜の空気が肌に纏わりつく。普段なら不快である感覚も、それも彼女との思い出に繋がるからか……自分が空っぽになるような不安を和らげてくれる気がした。だから今は、自分を卑下しなくても済むように、美奈の事だけを考えていたかった。
(……もう一度、見に行こうかな)
そして。ふらりと、誘われるように海岸へ。僕らのお気に入りの防波堤へと続く道には、それこそ数えきれないほどの思い出がある。手に取るように思いだせるモノから、唯々笑い転げただけで、その理由を思いだせないようなモノまで……一つ一つが、大切な思い出。あとで修介にも訊いてみようと考えながら、ゆっくりと歩いた。
○●○●
――相変らず、海辺の火群は綺麗だった。その絶えず揺らめき、むしろ心許ない程の儚さが。灯した人の気持ちや、込めた願いなんて知りようもないのに……それこそ揺れる灯のように、僕の心を揺らす。
(…………)
ついに、言葉も無くした。確かに在るはずの想いは、ちいさな心から少しも出る事なく……それは僕自身だけしか伝わらない。だからなのか、言葉にも表情にも出来ない感情は。此処に来ると、どうしようもなく溢れてきそうで辛かった。
「あれ……? あ、もしかして」
「……え?」
<続く>
Re: 第四回SS大会 小説投稿期間 3/21~4/8 ( No.209 )
- 日時: 2012/04/06 20:16
- 名前: Lithics
『望夏の灯』-4
――不意に、懐かしいような声がした。そんなはずは無いのに、美奈の声に似ているような。瞬間、凍りついたような時間を経て、慌てて振り返った先には。
「ふふっ、やっぱり。あなたが、廉クンだよね?」
「……! 君は……どうして?」
その女の子は、気付かぬ内に僕の後ろまで来ていた。揺れる灯に照らされた柔らかい笑みが、彼女が美奈に似ているけど別人である事を教えてくれている。しかし、今僕の名を……唖然とする僕を見て、彼女は慌てて謝って来た。
「あっ、ごめんね、美奈ちゃんに聞いてたから……私ね、母方の従妹なの」
「従妹……そっか、なんとなく似てるから吃驚したよ」
顔立ちも、背格好も同じくらいで。ただ雰囲気だけが微妙に異なる彼女だけど……今まで通夜にいたからか、その雰囲気に少し違和感を感じていた。
「うん、私も……美奈ちゃんの話の通りだから驚いちゃった」
「はは……変な話を吹き込んで無いといいけど」
悪戯っぽく笑う顔は、美奈のそれに近くて……思わず苦笑いを。美奈にこんな年の近い従妹が居たなんて知らなかったけど……なんとなく地元の人では無いような気がしたから、それも当然かもしれない。
「……ふ~ん、此処が美奈ちゃんのお気に入りの場所、か」
「ん……? そうだね、あいつから聞いてた?」
「うん。でも来た事はなくって……さっき御通夜で、修介クンって子に詳しい場所を聞いたの」
「ああ……」
「ふふ、なんとなく分かるな。綺麗だものね、此処からの眺め……」
それきり、会話もなく浜辺の灯を見ていた。僕の知らない美奈を知る機会ではあるけど……その美奈と似通った彼女の顔がどうしても見て居られなくて。結局、意外な形で沈黙を破ったのは彼女の方だった。
「ね……あなたも、魔法掛けられたんじゃない?」
「え……?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。思わず振り返って見た彼女は、やはり柔らかく微笑んでいて。それは決して、冗談を言うような雰囲気ではなかった。
「あなたも、泣けないんでしょう? だから……」
「あ……」
唐突に、違和感の正体に気付いた。彼女から伝わる哀しみに反比例するかのように、その表情は酷く穏やかで。通夜の会場にいた人達と異なる点と言えば、その頬に涙の跡が無いという事。
「子供の頃、美奈ちゃんの家……叔母さんの家に遊びに来たんだよね」
静かに話し始める口調は、懐かしさに溢れた……別の意味で泣きそうになるような優しい声。そんな声のせいか、語る彼女の瞳の奥に、居ないはずの美奈が映っているような気がした。
「でね? 理由は思い出せないけど、私が酷く泣きだした事があって。その時に、美奈ちゃんが傍に来て言ったの。『実は私、魔法使いなの! だから、もう泣かなくてもいい魔法を掛けてあげるね』ってね」
「…………」
くすくすと笑う彼女の横で、僕は呆然とそれを聞いていた。きっとそれは、美奈が演じた『悪い魔法使い』の事だろう……『悪い』の単語を端折るあたり、美奈らしいが。
――思い出した。その『魔法』は……一時期は泣き虫だった僕に、美奈が最も得意とした決まり文句。『眠り姫』を魔法で眠りへと閉じ込めたくせに、もう泣かないように励ましてくれる……そんな矛盾した、役でさえ隠しきれない悪の魔法使いの優しさ。
「……廉クン?」
「は……はは……うん、そうだね。僕も、そのせいで今も泣けないんだ、きっと」
「……そっか。ふふっ、今になると迷惑な魔法よね」
初めて正面から顔を見合わせて、二人で笑う。かなりの偶然で出くわした僕らだが、案外、美奈の手でも加わってるのかも知れないと思った。同じ『魔法』で心に想いを閉じ込められた僕らは……きっと周りよりは長く彼女の事を想うだろう。
「さてと……じゃ、私は行くね」
「うん、さよなら……」
「じゃあね!」
ひらひらと手を振りながら、背を向けた彼女に。その名を訊こうとして、やはり障りのない挨拶を返すだけに留めておいた。美奈の面影を追う事に、大した意味など無いだろうと、今ならそう思えたから。元気に去っていく背中が見えなくなってから、僕もちらりと浜辺の灯を一瞥して、それに背を向けた。
<続く>
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