雑談掲示板

ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】
日時: 2023/12/27 18:41
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳◆GHap51.yps (ID: WmKEiYPc)

 暗い話もたまにする。基本的ハイテンション。
 これだけ言わせて。

・ケンカすんなよ!!!!

 それだけ。

【速報】
 前のスマホがまさかの復活をとげました☆

*短編感想交流会のお知らせ
 今回の幹事は!
 そう!
 此のわ・た・s((殴殴殴殴

 概要  >>617
 参加者様>>618

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Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.623 )
日時: 2022/04/29 07:36
名前: 月詠 (ID: NYmeGPVQ)

はじめまして(*‘ω‘ *)

枯れ木

うちの周りには桜の木がほとんどない。学校の方に行けばあるけど、学校が遠い。唯一家の側にある桜は、小さな公園の中にぽつんとある。
畑ばっかだから、人も少ない。見に来るのは私くらいだ。

そんな桜の木が枯れた。
私が桜の枝を折ったのがいけなかったらしい。
枝を折って、家に持って帰った。母に見せようとした。母は、枝を折ったらいけないって怒った。喜んでほしかったのにな。

桜の木は、枝を折るとそこから外気に触れて、菌が入り込んだりして、木全体が駄目になるという。そんなの知らなかった。他の木は枝が折れたくらいで枯れない。桜だけがそうなんだ。

さてあなたに質問。
知らなかったとはいえ桜の枝を折ったことによって、桜を枯らした私。
枝を折られると枯れてしまう弱い桜の木。
どっちが悪いかな。
ちなみに梅の木はむしろ枝を折らなければ、勝手に伸び放題になってしまう。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.624 )
日時: 2022/04/30 21:03
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳◆GHap51.yps (ID: .P0pUG22)

『春季パーティー参加』

【”晴れ雨男”の春人くん】

 春生まれの春人くん。
 彼は桜を思わせるふわっとした容姿を持っていて、誰からもモテていた。
 それと、彼は晴れ男みたいな特性もある。
 彼が楽しみにする行事の日には、決まって温かく柔らかい、綺麗な晴れ雨が降るのだ。
 僕は、その晴れ雨が、好きで、好きで……―――気付けば、春人君のことも好きになっていた。
 今度の日曜日は、春人くんの誕生日。

「あのっ……!」

 ほかの女の子にいっぱい誘われてるのを知っていた。
 自分は断られるだろうことも知っていた。
 けど、僕は……―――勇気を振り絞って、言った。

「今度の日曜日、僕の家に来てくれませんか……!」





「うん、いいよ」


 まさか承諾されるとは思ってなくて、それからずっと浮かれっぱなし。
 ……今度の日曜日、初めての恋を、初恋の人に告げる。

「……はぁ……」

 緊張する……。



 ―――当日。

 ……ぜんっぜん、眠れなかった……!
 えっと、約束の時間は十時半だから……片付けしてよう。

 外に出て、約束の場所まで走る。……途中から、ぽつぽつと雨が降ってきた。
 ……少しだけ、日差しが覗く雨、が。

「春人くん……っ!」

 彼が振り返ったときに、見計らったように雲が引いて……光が、春人くんにさして……。

「あ、ゆきくん」

 綺麗な、晴れ雨が、春人くんを更にきれいにさせる。

「……好き、です!」

 気付けば、言葉がこぼれていて、

「うん、俺も」

 気付けば、そう返ってきていた。

「……ッ!」

 今僕が泣くのは、悲しいからじゃない。
 嬉しくて嬉しくて、たまらないから泣くんだ。
 そう、まるで……―――晴れ雨のように。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.625 )
日時: 2022/05/02 23:14
名前: オノロケ (ID: qXBfL4G2)

『春季パーティー参加』
 こんにちは!めっちゃ長いです。

【春戦士~遥~】

「みなさんおはようございます。四月もまもなく終わりを迎えてしまいますね。校門にも桃色の桜道が出来上がっておりました」

 四月の下旬。私たちはGW前最後の朝のHRを過ごしている。
 先生の情感溢れるゆったりとした口調は私の眠気を誘う。さらに窓から差し込む淡い光が全身を包み、日々の疲れをいやしてくれる。
 心地いい朝だ。

「こら、遥(はるか)さん。目が閉じてしまっていますよ。四月は活動が大変なのは分かりますが、私たちの未来を担う戦乙女としてしっかりして下さいね」
「すみません。先生の穏やかな声色に思わず聞き入ってしまいました」

 私は席を立って深々と腰をまっすぐに折る。
 先生は眼鏡の奥の瞳を柔らかく細め、私に席に座るよう言った。

「いつも応援していますよ。ふふっ。それでは朝のHRを終わりにします」

 先生が教卓の上の出席簿を手に取ったのを合図に、生徒が号令をかけた。

「起立。気をつけ。先生に礼。万年桜様に礼」

 みな一斉に窓側に体を向け、遠くの山の上で華やかにそびえる一本の大樹にお辞儀をする。
 私たちの命を支える神に近しい存在──万年桜様だ。一年中桃色ただ一色を咲かせている。

 号令も終わり、一時間目の授業の準備を始めようとした、そのときだった。

《警報! 警報! 三春区A‐6エリアでtype‐Sの怪物出現。春戦士は至急現場へ!》

 こんな朝から現れるなんて。やっぱり四月は忙しい。
 私は教室の窓を思い切り開き、中にいるみんなに手を振る。

「それでは行って参ります」
「遥さん!」

 先生がおろおろとした様子で私を見つめ、胸元で両手を絡ませ握りながら言った。

「万年桜様のご加護がありますように。頑張って下さい」

 私は先生に小さく笑みを浮かべると、すぐに窓に向き直る。
 春風が吹き抜け、心体ともにポカポカと温もりが沸いてくる。春を守るために。みんなの未来を守るために。
 私は今日も怪物と闘う。

 窓枠に足をかけ、私は思い切り空中に飛び出す。
 暖かい風を浴びながら私は腕についた桜模様の時計に触れる。

「変身!」

 二文字の言葉を唱えると、私の周りを桜の花びらが舞い始めた。
 柔らかな花びら達は回る速度を上げていき、そして頑丈な鎧に変化を遂げる。
 それに次いで、赤色の靴や手袋を私の手足に、桜模様をあしらったスカートを下半身にまとう。

 対怪物用に作られた戦闘服に身を包むと、私は空を飛び、怪物のもとへ向かった。

────────────

「怪物。確認しました」
「了解。戦闘体勢に移行せよ」

 私は耳元の小型通信機で春戦士管理委員会と連絡をとっている。私が戦闘体勢に切り替えたのを確認すると、相手はばつの悪そうな声で話を続けた。

「遥。怪物のもとに向かう道中で何度も警報を聞いただろう」
「はい」
「今は四月。我々から春を奪おうとする怪物が大量に発生する時期だ。近年の怪物の凶悪化もあり、人手が足りない」
「つまり、一人であの怪物を倒せと」

 私は目の前の怪物に指を差してみせる。相手にはモニター越しでコイツが見えているだろう。

 相手は苦笑混じりに私にそうだと告げる。

「人類の未来のために精一杯闘ってくれ。万年桜様のご加護があらんことを」

 通信が切れる。
 一息ついて私は目の前の怪物を睨み付けた。
 怪物のtypeはSummer、Fall、Winterの三種類。私の前にいるコイツはtype‐S。つまりSummerだ。Summerの厄介なところはなんといってもその技の威力。体内の莫大な量の熱エネルギーを媒体としているため、技一つ一つの一撃性能が高い。

 そんなことを考えていると、怪物がついに攻撃を始めた。高熱によって体表をドロドロさせている巨体から、直径二メートルほどの炎のヘドロとでも言うべき歪(いびつ)な玉が四、五つほど放たれる。

「水桜!」

 私は赤い手袋から水流の渦を呼び起こす。怪物に向かって伸びた一本の太い渦から炎の玉めがけて何本にも枝分かれする。水流が炎を弱めると同時に、渦を伝う桜の花びらが炎を包み、そのエネルギーの核を浄化する。

 太い渦はそのまま怪物に直進を続ける。
 そして──命中。よし。

「グオオォオオォア!!」

 怪物はけたたましく叫んだかと思うと、今度はあたり一辺をその大きな口で吸い込もうとする。
 物凄い勢いで怪物の口に春風が飲み込まれていく。

「花吹雪!」

 私はすかさず、何千もの桜の花びらを怪物の口に次々に飛ばしていく。この花びらは柔らかな見た目とは裏腹に鉄をも切り裂く強靭な刃を持つ。これが怪物の口に入れば一溜まりもないだろう。
 ただ、怪物はそれを見るとすぐに吸うのをやめ、花びらを燃やし尽くそうと前方に炎の息を撒き散らす。
 花びらが端から端へと塵になっていく。
 ──狙い通りだ。

 私はそのまま両手袋に力を込める。身体中を雷電が走り始め、不規則に強い光を放つ。本来はこの目立つ光で怪物に警戒されてしまうが、コイツは自分で吐いた赤い息のせいで前側の視界が遮られている。その隙をついて私は思い切り、象でも即死するほどの強力な雷を怪物に大量に浴びせた。

「春雷!」

 雷は全て命中。怪物からは湯気のようなものまで出ていた。

「グギャアァアアアアアア!!!」

 さっきよりもでかく高い、耳をつんざくような雄たけびが街に響く。だが、怪物の体はすぐに動かない。さっきの雷の攻撃で体が芯から硬直してしまっているのだ。

 ここで決める。

「ひゃ」
「うわああああぁん!! ママァアァ! パパアアア!」

 え?
 最後の技を繰り出そうとした瞬間、背後に少女の泣き声を聞いた。私は思わず振り向いてしまう。
 見ると、半壊した建物の瓦礫の影で少女が体を丸くしていた。一瞬、私の時が止まる。
 どうしてこんなところに!? 逃げ遅れた?
 怪物から目を背けたその一瞬が事態をさらに悪化させた。

 怪物の硬直が治ってしまった。体がでかい分、硬直時間も短いということか。

「ギャアアガァガアアアギアァアアア!」

 まずい。完全に暴走状態だ。わずかにある知性も捨て、はちゃめちゃに攻撃をしてくる。特に威力の高いtype‐Sだとなおのこと厄介になる。

 怪物が私と少女めがけて大量に炎の玉を投げつけてくる。大きさもさっきのよりも何倍も大きい。
 さらに怪物は最大まで口を開き、腹一杯に息を吐いた。玉のスピードが急激に上昇する。

 少女が危ない!

 猶予はほとんどない。靴にブーストをかけ、ただ少女に向かって走る。
 少女も炎の玉の存在に気づき、目を見開いた。

「ああぁああぁああああ!??!」

「秋桜!」

 桜の花びらが私たちの前で結界(バリア)を張る。
 ギリギリ間に合った。
 ただ、

「結界の強度が甘い!」

 早く強度を上げないと、私も少女も炎に飲まれ、丸焦げどころか形すら残らなくなってしまう。
 炎の玉が何度も何度も結界を殴ってくる。その震動が骨にまで伝わる。
 わずかな視界からかろうじて周りを見てみると、炎の玉がアスファルトの地面を喰っていた。

 まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい

「……くぅっ!!」

 ただ結界を張るだけしかできずに、私は限界を迎えるのか?
 私は春を守りたいのに。みんなを守りたいのに。

「お、おお、お姉ちゃん! こわいよぉお!! ママァ! パパァ!」

 少女の泣き声が背筋に響く。
 子ども一人すら守れず私は死ぬのか。

 私は……私は!

 そのときだった。こつぜんと怪物の攻撃が止まり、同時に雄たけびが私の耳を支配した。

「ギャガァアアァア!!」
「え?」

 何が起きた? 私は状況が理解できず、いまだ結界を張り続けている。
 だが、一人の声によって全て理解できた。

「待たせたな! 遥! 一人でよく頑張ったな」

 ──仲間だ。
 私と同じ、三春区エリアを担当する仲間が、自分が相手していた怪物を倒し、私のもとに駆けつけてくれたのだ。

 ふいに体から力が抜ける。

 どうして、こんなにも心が暖かいんだろう。
 なぜだか目頭も熱くなって、今までの不安や緊張がどっと溢れてくる。四月は怪物の数が多く、精神的にもかなりキていたのだろう。
 でも、仲間がいる安心感だけで、こんなにも心が楽になるなんて。

「遥! まだ闘えるか?」

 仲間の言葉ですぐ我にかえる。今はまだ戦闘中だった。私は鎧の袖で目を乱暴にこすり、仲間に笑いかける。

「よし! じゃあこの子は俺が守るから遥は怪物にとどめをさせ!」
「はい!」

 これは私の闘い。私たちから春を奪おうとする怪物からみんなを守るんだ。

 私は結界をとくと同時に靴にブーストをかけ、地面を思い切り蹴って、怪物めがけて飛ぶ。

 いまだ暴走中の怪物は私に大量の炎の玉を送りつける。でも、信じられる仲間がいるから私にはもう何も怖くない。

「百花繚乱!」

 手袋から伸びる春風が渦を巻き、鋭い刃を持つ桜の花びらがその中を縦横無尽に飛び回る。
 風はどんどん大きくなり台風に、竜巻に、ハリケーンに姿を変えていく。

 怪物の放つ炎の玉も吹き荒れる春風の流れに捕らわれ、桜の舞に切り裂かれながら、次々に浄化されていく。風が勢いを保ったまま怪物に突撃した。

「ギャアアアアァア!!!!」

 怪物がそのでかい図体で必死に抵抗している。その隙をついて私は靴にブーストをさらにかけ、一気に怪物の胴体に向かう。

 私は春戦士。春を、みんなを守るために生きている。こののどかな世界を誰にだって奪わせない。

「夏にも、秋にも、冬にだって。奪わせてなんかやるもんかああああ!!」

 鼻先が触れそうなほどに怪物に近づき、両腕を怪物のお腹に突っ込んだ。中はとても熱い。早くしないと両腕どちらも溶けてしまいそうだ。手袋に力を込める。
 
 type‐Sにとっておきの技でとどめをさしてやる!

「桜花火!」

 怪物のお腹の中に花びらの塊を、春のタマシイを放り込む。

「グ、グギャア────────」

 雄たけびが最高点に達する前に、怪物は熱エネルギーの核ごと爆散し、文字通り桜の花火となった。

 私は力尽きて、地上に降りるとそのまま仰向けに寝転ぶ。
 勝った。私は怪物から春を守り抜いたんだ。
 空雲から差し込む一筋の光が私を祝福してくれる。
 さらに、視界いっぱいに広がる桜の花びらが私を眠気へと誘った……。

────────────

「はっ!」

 私はベッドの上で体を飛び起こす。
 いつの間に寝ていたのだろう。どうやらここは学校の保健室のようだ。するとタイミングよく誰かが中に入ってきた。私はカーテンのしきりから顔を覗かせる。

「先生!」

 先生は私を見るとたちまち顔に笑顔を咲かせて、小走りで近づいてきた。流れに身を任せて私の胸に飛び込み、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「遥さん。ああよかった。よく頑張りましたね」
「ありがとうございます」

 涙目で私を心配してくれてなんだか恥ずかしい。けど、心がポカポカ暖かい。

「きっと万年桜様のご加護があったからですね」
「はい。でもそれだけじゃありません。私を信じてくれたみんな、私を守ってくれた仲間のおかげでもあります」

 先生は涙を手で拭うと、にこやかな表情を私に向けた。私を見守ってくれる万年桜様がいて、心配してくれる先生がいて、助けてくれる仲間がいて、ああ、私は幸せ者だ。
 すると、春戦士管理委員会から携帯に連絡が来た。
 私は今回の戦闘についての報告をする。

「遥。今回もご苦労だ。君たち春戦士のおかげで『春一季計画』も順調に進んでいる。次も頼むぞ」
「はい!」

 私が明るく返事をすると、携帯の中から相手の微笑がかすかに聞こえた。
 そして電話が切れた。

 私は一息つくと、改めて自分の役割を確認する。
 四十年前、地球温暖化の影響で世界はいわゆる終末期を迎えた。夏はマグマの中にいるように暑く、逆に冬は極寒の地へと変貌する。もはや人間には打つ手が無くなった。
 そんな時だった。科学の世界である一本の桜の大木に注目が集まる。
 それが万年桜様だった。
 万年桜様はいかなる気候においてもその美しさを保ったまま朽ちることはなかった。万年桜様の花びらには周囲の異常な熱エネルギーを核ごと浄化する作用があったのだ。人類に希望が再び訪れた。
 そしてすぐに『春一季計画』は実行された。
 簡単に言うと、一年の季節を春夏秋冬の四季から春の一季にかえることで地球温暖化の影響を受けずに済むようにしようというものだ。

 すぐさま人間は万年桜様の遺伝子を受け継いだ桜を世界中に植えることに成功した。ただ、それだけでは桜が花を咲かせる前に人間が滅んでしまう可能性がある。そこで熱エネルギーを何ヵ所かに凝縮し、時間稼ぎを試みた。
 しかし、それが別の事態を招く。
 ──怪物が生まれた。
 人間は焦りすぎたのだ。大規模な熱エネルギーの急激な凝縮は突然変異をもたらした。
 そして、最終的に残った一つの選択肢が闘うこと。
 万年桜様の花びらの浄化作用を利用し、春戦士を誕生させた。それは見事に成功し、私たちの代まで命を繋いでいった。
 浄化の力を持った桜たちは世界各地で咲き誇り、先人たちを称え続ける。
 私の役目はいまだ生き延びている怪物をやっつけること。みんなの意志を私は継いでいる。
 
 私が春を守るんだ。

 先生に別れを告げ、帰宅しようと学校を出る。
 すると、

「あ! お姉ちゃん!」

 なんと、さっき助けた少女が母親と手を繋ぎ、私のことを待っていた。少女に歩み寄り、腰を低く下げる。

「守ってくれてありがとっ! お姉ちゃん!」
「怪我は大丈夫?」
「うん!」

 少女はきらめく夕日の下で、とびきりの笑顔を見せてくれた。
 頭を何度も撫でてから、少女とも別れる。

 私が守れた笑顔は、私の生きる意味になる。
 怪物が滅ぶその時まで、私は闘い続ける。

 気付けば、街並みから桃色が姿を消している。桜たちは青い花びらのつぼみを実らせていた。もうすぐで五月。皐月桜が咲く季節だ。
 私は青春が息吹く音色を感じながら、また一歩足を踏み出した。

 私は遥。春とみんなの笑顔を守る、誇り高き春戦士だ。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.626 )
日時: 2022/04/30 23:50
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: 6eyUga5Y)

『春季パーティー参加』

【出会いと温度と心の壁と】

「っくしゅ!」
 紫音(しおん)はくしゃみをした。花粉症だろうか? いや、そうではない。確かに春になって花の蕾は膨らみ、そして開花しているものもあるが、紫音は花粉症をまだ発症していない。

「暑くなったと思えば寒くなるし、なんなんだよ、もう!」
「紫音は寒がりだな」
「やまにぃはいいなー。冬の間ずっと薄着なのに風邪引かないんだもん」
「いや、その代わり俺は夏に弱い」

 彼らがいるのは学校の教室。紫音がやまにぃと呼んではいるものの、彼らは同級生であり、クラスメイトだ。やまにぃとはいわゆるあだ名に過ぎず、彼らの上下関係を表わす呼び名ではない。

「それにしてもさ、今年はやまにぃと一緒のクラスになれて良かったなー! 去年は別々だったから」
「そうだね。せっかく俺についてきたのに全然一緒にいられないって泣いてたね」
「は?! 泣いてないし!」
「はいはい」

 そう話す二人の近くに人はいない。二年になって生徒がシャッフルされたとはいえ、既にクラス内は複数のグループで分かれている。あるグループは他クラスや校庭に行き、あるグループは教室の隅に固まっている。別に彼らは嫌われているわけではないが、この状況は彼らがクラス内で孤立していることを表していた。しかし彼らはそれを気にすることなく、むしろ好都合だとばかりにずっと一緒にいる。

「あ、あの」

 無論、孤立しているのは彼らだけではない。彼らと友達にでもなろうと言うのか、一人の少女がやってきた。不幸にもグループの溜まり場に選ばれたエリアに自分の席があるこの少女は気まずそうに、人が少ないエリア、すなわち彼らから少し離れた場所でぽつんと立っていたのだ。

「あっ、その、わたし、結愛(ゆま)っていいます」

 顔を真っ赤にして黙ってしまった少女に、紫音はにこりと笑いかけた。

「初めましてかな? わたしは斎藤(さいとう) 紫音です」
「山間(やま) 陸(りく)です。結愛さんって呼べばいいかな? 結愛さんも一緒に話す?」

 陸もそれに続き、結愛が二人の間に入れるよう手招きする。結愛は顔を真っ赤にして頷いた。
「はい! あっ、星橋です!」
 随分と言葉足らずだが、おそらく星橋というのは苗字だろう。

「星橋結愛ちゃんかー。綺麗な名前だけど、画数多くて大変そうだね」
 冗談めかして笑いながら紫音が言うと、結愛は緊張がやや緩んだ顔で言った。
「そうなんです。テストとかだと名前書くだけで時間を取られるのでそれが辛くて……」
「あはは! わかるよ。私も星橋さんほどじゃないけど画数多いからさ。自分の名前は気に入ってるんだけど、しんどいんだよね」
 紫音はちらっと陸を見た。
「陸はいいよね。『陸』って名前はちょっとあれだけど、苗字なんて二秒あれば書けるでしょ?」
「そんなことない。紫音とは違って丁寧に書いてるから三秒は要る」
「ほら、三秒じゃない! っていうか、私とは違ってって何よ!」

 結愛は気まずそうに笑っている。自分は蚊帳の外だと感じているのだろう。無理もない。二人の会話を聴きながら話しかけるタイミングを見計らっていた結愛は、明らかな違和感に、もうとっくに気づいているのだろう。

「二人の帰り道って、どの方面ですか? もしよかったら」
「ごめんね」
 結愛が言い終わらないうちに、紫音はその申し出を断った。
「星橋さんと私たち、帰り道真逆だから」

 一瞬、しん、と静寂が包んだ。離れた場所から聞こえる騒がしい笑い声が静かな空間に流れ込む。

「は、ハイ」

 肯定と言うよりも承諾と言うよりも、ただの二音を奏でるように結愛は答えた。紫音は笑った。
「ごめんね、方向一緒だったら良かったのにね」

 ****

 結愛の背中を、紫音と陸は見た。彼らの帰り道は一本道だが、結愛が二人に気づく様子はない。
「……嘘ついちゃったね」
「嘘なんて、日頃からついてるじゃん。今更だよ」
「それは……。うん、それもそうだね」

 自分勝手なことを言っているようにも見える紫音の表情に、影が落ちた。

「仲良くなったって、どうせおれ達を受け入れられないよ」

 春は出会いの季節。世間はそう言って浮き足立つ者で溢れている。春と出会いを結びつけた作品だって多いだろう。

 しかし少数、出会いを望まぬ者も存在する。自らの世界に閉じこもり、外の世界へ踏み出すことを恐れる臆病者。

「うん、そうだね」

 これは彼らの物語。外部の人間が口を出すのは筋違い。

 さて、それはどうだろうか。彼らの背を押す第三者も必要なのではなかろうか。幼い彼らには、他者の助けが必要なのではなかろうか。

 彼らに互い以外の救いが訪れるのは、もう少し先の物語。

 ……そんな物語は、果たして存在するのかな。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.627 )
日時: 2022/05/04 21:10
名前: 雨音◆AeSXx8aCtY (ID: vbDCTCsI)

【感想】

謎の女剣士さん
毎回思うんですけど、キャラ達皆が原作と同じような口調になっているのが
すごいと思います!善逸の来れない理由が善逸らしさがでています!

月詠さん
最後の「どっちが悪いのか」と言う問いを小説の中に入れると言うアイデアが
すごいと思います!自分は、”私”も悪いし、”私”を止める人が居なかったことも悪いと
思います!

シャード・ナイトさん
短い話の中で、ゆきくんと春人くんの甘い話をまとめていてすごいなと
思います!すごく続きが気になりました!

オノロケさん
読み終わった時、遥がこの後、またどんな活躍をするのだろうととても続きが
気になりました!また、戦闘の時の風景描写が細かくてすごいです!

枯水暁さん
自然と読み進めて、終わった時にはここはどういう事なんだろうと
考えてしまいました!また、描写が細かくてすごいです!


感想上手くなくて、もっと言いたいことあるんですけどあまり上手く書けませんでした。
けど、皆さんの短編本当に面白くて、もうすごく!すごーく!マジで面白かったです!

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.628 )
日時: 2022/05/04 08:00
名前: オノロケ (ID: LSLpMGC2)

『春の短編感想』(敬称略)

雨音【さくら】>>620
さくらちゃんどうしちゃったんだろう?
描写からして死んでしまったのかなあ。
満開の桜が話し手にとっての悲しみになるんですね。
話し手の言葉一つ一つが淡々としていて、さみしい気分になりました。
タイトルをひらがな表記にしたのが細かくていいですね。

謎の女剣士【公園】>>621
話し方からして話し手はレオナですかね。違ったらすいません。
パーティ二人だけって悲しいですね。
みんなもっと来てあげて(笑)
話し手の前向きな姿が健気!

月詠【枯れ木】>>623
桜の木ってそんなやわなんですね。勉強になるー。客観的に言ってしまえば話し手が悪いと思います。あなたが弱いのを知らなくて傷つけてしまったというのは言い訳にはならない。
でも話し手もただお母さんに喜んで欲しかったんですよね。
善意の過ちは判断が難しいなあ。

シャード・ナイト☪*。꙳【”晴れ雨男”の春人くん】>>624
晴れ雨ってのがすごく新鮮!
……の使い方がうまいですね。ゆきくんの緊張感とか言葉にならない気持ちが詰まってるように思いました。
春人くんが振り返って光が差すのが神秘的で好きです。
晴れ雨は『楽しみにする行事の日』限定らしいですが、これは単に誕生日だから?それとも……。
嬉し涙を晴れ雨に例えたのマジで天才か!と思いました!
短い中で晴れ雨の設定を使いこなしててほんと凄い。

枯水暁【出会いと温度と心の壁と】>>626
結愛ちゃんが可哀想だ。ウワアァ。大人しい子の勇気が簡単に砕かれるのがすごく心にクるたちでして。紫音の嘘に気づいてますよね?悲しい。
紫音と陸が自分達の世界に閉じこもってしまうようになったきっかけが気になりました。
結愛ちゃんがいるとき、紫音が陸をやまにぃと呼ばなかったのは意図的でしょうか?すごく気になってもどかしい。
タイトルの出会いと心の壁は分かるんですけど、温度がなんとなく引っ掛かります。
最初の二人のやり取りに関係があるのかな?心の温度差ってこと?

最後の文も意味深で……。
色々と気になった作品でした。

『最後に』
今回は春というテーマに沿った明るい話もあったり、逆にさみしい話もあったり。色々と考えさせられる回でした。
バトルものをお出しした私が浮いている(笑)

今後の執筆の参考になることも多く、とても楽しかったです!
幹事のシャード・ナイト☪︎*。☪︎さん及び参加者の皆様に感謝申し上げます。

ありがとうございました!

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.629 )
日時: 2022/05/05 19:16
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: Vu1CZfvE)

感想交流期間、今日までだと勘違いしてました!すいません!!

雨音 様
 僕以外『見えない』ということが、すごく気になりました。知らないならまだしも、『見えない』。幽霊?頭の中のお友達?それとも幻覚?不思議なお話でした。

謎の女剣士 様
 にわかどころかほとんど観てないのでわからないのですが、ダイの大冒険の世界にもハンバーガーってあるんだ!とびっくりしました。視点主さん、優しい心の持ち主ですね。

月詠 様
 最後の問題提起にどきっとしました。こういう書き方もあるのか、と勉強になります。
 私はどちらも悪くないと思います。全ての物事は誰かにとっての悪であり、同時に善でもありますから。言ってしまえば、どちらも悪いと思います。世間で言う悪は、『私』だろうとも思いますが。

シャード・ナイト☪︎*。꙳ 様
 全体的に、綺麗な文章だな、と思いました。描写や表現が上手だっていうことももちろんそうなのですが、雰囲気が。晴れ雨っていうのもセンスあるし、涙と晴れ雨をかけて表現するのもすごく上手だと思いました。

オノロケ 様
 本格的な短編だぁぁ!流石としか言いようがなかったです。この短さのなかで設定もキャラクターも物語の展開もギュウッと凝縮されていて、それでいて違和感も拒否感もなく読めました!最後の『青春が息吹く』という文で、背筋がゾクッとしました。怖いとかそっちの意味じゃないです。すごいな、上手いな、と、そっちの意味です。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.630 )
日時: 2022/05/20 20:39
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: zDlVHOi6)

いつ言おういつ言おうとしてたら、なんとこんな日付にΣ( ´・ω・`)
なーちゃん、次の短編交流会の幹事どうする?もし希望(誰かを指名したい・募集かけたい とか)がなければおれが幹事しようかなと思ってる。おれが早く言わなかったのが悪いんだけど、可能であれば早めに返事欲しい。月曜までに貰えなかったらおれが幹事するって方向で動くつもりなので、よろしくお願いします。言うの遅くなってほんとごめん。

─────────────────

すごく今更なのは理解していますが感想の返しを書くのが好きなので失礼します……(まとまった時間が出来たら書こうと思ってたら気づいたら時間が経っていた)

>>627
感想ありがとうございます!
もし良かったら考察していただけると嬉しいです!今回はいつもよりは複雑じゃない、はず。
描写細かくかけていましたか? 良かったです。描写苦手なので嬉しいです。
感想ありがとうございました!

>>628
感想ありがとうございます!
あ、もしかして真白さん推しなのも似たような理由だったりしますかね(((
きっと気づいていると思います。
二人がああなってしまった理由、語ってもいいのだろうか?!でも考察もして欲しい!!でも語りたい!!!どうしよう?!??!!ある程度時間が経ったら自スレで語るかもです。
それは意図的ですねぇうへへははは。
これは言ってしまおう!(語りたい!)
タイトルの『温度』は、お題が春なのに思いついたこの話に春要素が少ないなあと思って、頭から絞り出した春要素です。お察しの通り、序盤の二人の会話がヒントです。気づいて貰えて嬉しい。
三寒四温って四字熟語、あるじゃないですか。春は寒くなったり暖かくなったりっていうあれ。やまにぃのフルネームは『山間 陸』、紫音のフルネームは『斎藤 紫音』。やまにぃから苗字を、紫音から名前を取って繋げると山間紫音――さんかんしおん ってなるんですよ。まあ、言っちゃえばそれだけなんですけど。
その名前の小ネタのヒントになったらいいなあと思ってタイトルに『温度』を入れました。それだけだと味気ないのでオノロケさんの言う通り、『心の温度』も掛けています。
感想ありがとうございました!!

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.631 )
日時: 2022/05/22 08:10
名前: シャード・ナイト☪︎*。꙳◆GHap51.yps (ID: gVRtGOy2)

>>630
 うぉあん、しばらく体調不良とかその他諸々が重なりinできてなかったよごめんなさいね!
 うーん、でも前回(もしかして前々回?)にさかつゆさまが立候補(?)してたし……でもみずっちに任せるよ。

Re: ただのヲタク少女の雑談です【春季企画】 ( No.632 )
日時: 2022/05/23 07:36
名前: 枯水暁◆ytYskFWcig (ID: EJcBss6o)

返信ありがとう!了解しました。

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