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- 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』
- 日時: 2016/08/28 18:13
- 名前: チェスティミスティ (ID: zflF3NFd)
悲しみの雨に濡れながら、女の死の傍で男が生まれた。
生まれた男は女の手を取り、自分の思いのたけを語った。
“愛しているよ” それ以上に自分と彼女の間に必要な言葉なんて無いのだとそう信じていた。
彼女の涙雨に濡れながら、女の死の傍で男は生まれ、そして彼女に約束をした。
その誓いを聞いた人間はこの街に誰一人としていない。
彼自身を除いては、誰一人としていないのだ。
生まれた男は空を見上げた。
「――――嗚呼、今日はなんていい天気」
▼ 雨降る夜に現れる殺人鬼の話
駄々をこねる子供の様に空が涙を流してる。何が不満で泣いてるの。
ばたばたばたばた上から音が。大粒の雨は固い地面をじわじわ黒く染めて行く。
絶え間なく街を包み込む真っ暗な雨の夜のこと、悪魔は楽園に下り立った。
これは雨音なんかじゃない、こいつは奴の足音だ。
雨の降る夜やってくる、あいつは汚い殺し人。
穏やかで優しい平和な街を汚く変えて行くのはあいつ、あいつだよあいつ、悍ましい奴!
そうさ、雨が降り頻るなら今夜のお出かけは中止になさい。
そうだ、雨が降り注ぐなら早くおうちに帰りなさい。
街角で迷うお嬢さん、ダンスパーティーの会場は一体どこなのか分からなくって困ってる。
今なら間に合う、せっかくだけどおうちまで引き返して。
ふらりふらふら、街に下り立つ船乗り。おうちが遠いなら仕方がない。とにかく今は予約して。即刻御宿を予約して。
お勤め御苦労お巡りさん。いつでも背後に注意して。何処から奴が飛び出してくるかわからないったらわからない。ほら、其処をなにかが横ぎった。追いかけようなんて思わないで。
ざあざあ雨が降り頻るなら、そりゃ雨ではなくて足音だ。
誰彼かまわず殺したがるあいつに首を狙われちまう。
嗚呼ほらもう、近くに! 奴が来ているぞ!
ほら、今街角で娘が!
ほら、今道端で船乗りが!
ほら、今突き当りで警察が!
ほら、今此処で、今度は君が――
*
『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』
*
――――何人死ぬか、解らない――――
―――
――――――――――長文? 参加者および予約受付中
⇒お知らせ (>>15)
▼ Chapter
【 開幕『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 -血の雨が降った跡- 】
『コンセプト』>>1
『概要』>>2
『募集要項』>>3
『登録証』>>4
『規則』>>5
『COMING SOON』>>6
『ロケーション』>>7
▼登場人物
( この中にレイニィデイコメディアンがいるのかもしれないのですね!! )
・Aireal・unber/エアリアル・アンバー( 本心のつかめない幼い子供 )>>12 ⇒ PL:~様
・Archivieren/アルヒフィーレン>>13 ( 図書館の最奥 ) ⇒ 二毛猫桜様
・Calista = Priscilla =Waldron /カリスタ=プリシラ=ウォルドロン ( 少女好奇心 ) >>10 ⇒ チェスティミスティ
・erissthia・noir=vasch・KATE/エリスティア・ノワール=ヴァスク・ケイト( 静かなる抱擁 )>>18 ⇒ ~様
・Gustav=Reinhold=Rodenwaldグスタフ=ラインホルト=ローデンヴァルト ( 頭の悪い溝鼠 ) >>9 ⇒ チェスティミスティ
・Jean=Michael=Poincare/ジャン=ミッシェル=ポワンカレ( 官隊の平たい靴底 ) >>31 ⇒ 囮様
・sess=thandlia・uarechsheel/セス=サンドリア・アレクシール ( 常識人の皮を被った道化 )>>12 ⇒ ~様
・Valentin Hotteterre/ヴァランタン・オトテール ( 働き者の猫被り ) ⇒ あまちゃづる様
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.26 )
- 日時: 2016/08/25 15:25
- 名前: ちぇすみす(ぬしです) (ID: zflF3NFd)
- 参照: http://コピペ
<<本編中での注意>>
・ロールを回す際、同時に絡む人数は4人まで。あらかじめ文章を投下する順番を決めてからやり取りを始めること。しかし、順番のPL様がなかなかやってこない場合には次の順番のPL様がロールを回して下さって構いません。こちらの判断はPL様の独断にお任せいたします。
・文章の最初に「居場所/名前」を必ず表記すること。現在位置を周囲に知らせることで乱入や合流等のイリュージョンが可能に(((
・ちなみにローテーションに上げた以外にもこういう場所があったらいいんじゃね?という意見が御座いましたら登場させていただいて構いませんです。世界観に合ってさえいればになりますが、余程現代的とかで無ければローテーションに加えさせていただきたく思います^^
・モブキャラはいくら作って下さっても構いませんが、モブキャラのメイン使用はNGです。登場したモブキャラで、もしも他のPL様が使っても構わないZEというキャラクターがいらっしゃいましたら、作り手様はご一報くださいませ。登場人物のモブ欄に追加していきます((
・時間を朝から急に昼や夕方にスキップさせるのはご遠慮ください。
―――――――――――――
【event1について
物語は、3人目の被害者が出た3日後の朝の風景から始まります。
季節は冬の始まりであり、いつもはきらきらと注がれる日光も厚い雲に覆われてしまい少し肌寒い頃。
事件の色濃く余韻に包まれた不穏なクリストフェル・サールストレームの街では二等官の警官が聞き込みをする中、今世間を騒がせている奇々怪々な喜劇役者の話題で持ちきりで御座います。
ファーストシーンですので今回は特に何か制約もなく、登場人物の皆様は自由に行動して下さいませ。他のキャラクターとの交流を楽しみつつ、先ずは雰囲気に慣れること、雰囲気を作り出すことを第一目標として頂けたら幸いです。
しかし、その中で一度で構いません。「レイニィデイコメディアンについてどう思っているのか」、キャラクターの思いを描写していただくことを第二目標に((( 頑張ってみてくださいませです。
皆様、どうか、不穏な朝を(いや?もしかして平穏な朝を)思い思いの朝をお過ごしくださいませ。
2か月ほど様子を見てから次のイベントに移動したいと思います。】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.27 )
- 日時: 2016/08/25 15:26
- 名前: ちぇすみす(ぬしです) (ID: zflF3NFd)
- 参照: http://コピペ
【 開幕『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 -血の雨が降った跡- 】
――奴の足音が遠ざかった朝のことである。神聖なるクリストフェル・サールストレームの町中は、血腥い話題で持ちきりだった。腕章をつけた警官達が聞き込みに励むその中での出来事である――
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.28 )
- 日時: 2016/08/27 21:22
- 名前: ~ (ID: bUOIFFcu)
【アイ/見世物小屋付近】
ぱらぱらとまばらな拍手が起こり、中からたくさんの人が出てくる。
端的に言って、朝一番の見世物は面白くなかったのだろう。小屋から出てきた人々の話を盗み聞きすればまるわかりだ。見世物についての話題がまるで出てこない。
そんなつまらない見世物だったのに、なぜ人々は小屋を出ずにここに集ったままだったのか、更に警官たちが数人ここに来ている理由はといえば―――
『ねぇ聞いた?あの、レイニィデイ......えっと......』『これで3人目らしいよ?』『ほんと物騒で嫌だ......』『警官がぎらついてて子供が怖がるのよ、やめてほしいわね』
―――それは、レイニィデイコメディアンのせいだろう。
やたら長ったらしいこの名前は、勿論その人の本名ではなく、誰かがつけたあだ名みたいなものらしい。雨の日に限って出没し、人の命を奪う殺人鬼―――を、具現した名前をつけようとしたようで、割とぴったりな名前じゃないかと思う。警官たちは事情聴取のために、人の集まるここに来ているようだ。
そんなビッグな話題で持ち切りなうえに、見世物もつまらないときたら、もうすることはひとつしかない。本来ならおばさんとかが好きな世間話ってやつ。こういう事件が起こると、人はいつもより割り増しで下世話になるらしく、あることないことをぺちゃくちゃ喋り倒していた。
じゃあ、ぼくは、そんな人々をぼうっと眺めて、何してんのかといえば。
『あら、どうしたのあなた?』
お姉さんというにはいささか歳をとっているであろう女性が、ちょっと身をかがめてぼくに話しかけてきた。ぼくの身長じゃ、子ども扱いなのは仕方ないけど、これでも一応15歳なのにな。
だからぼくは、
「んー、そっちこそどうしたの?おーばーさんっ!」
『まぁっ...!失礼な子ね!』
...どうせここから先の人生でこの女性と関わることなどないだろう。にやりと悪質に口角をゆがめておばさんと呼んでやれば、おばさんは顔を赤くして立ち去っていった。
こういうのは、実に愉快だ。
「んふふー、ふーん、ふふーん」
鼻歌を歌いながらその場を離れ、てくてく歩いていく。もっと面白い誰かに会えないだろうか?
【投下してみました。不備がありましたら仰ってください。誰かが絡んでくれると嬉しいです】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.29 )
- 日時: 2016/08/26 09:30
- 名前: チェスティミスティ (ID: zflF3NFd)
- 参照: http://コピペ
>>28
【早速の素敵文ありがとうございます!! しかし惜しい。この文章では>>5『 規則 』の項目にある禁止事項を一つ守れていないようです……;; 改めてご確認くださいませ<m(__)m>】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.30 )
- 日時: 2016/08/27 21:21
- 名前: ~ (ID: bUOIFFcu)
>>29
【>>5確認してきました。記号の使用は無しということですね。見落としていたというか、すっかり忘れておりました...;;修正します】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.31 )
- 日時: 2016/08/28 18:25
- 名前: 囮 (ID: 9oy0/Hp9)
――― レイニィデイ・コメディアンと血の惨劇/官隊の平たい靴底 ―――
「一等官の、ポワンカレであります。活動報告の件でお邪魔させて貰いました。お時間よろしいでしょうか」
「ぼく?ぼくはねえ、ポワンカレさんだよ、よくこの辺をパトロールしてるんだ。困ったことがあったら言ってねえ」
「あれ、きみどこかで会ったかなあ。他人の空似って奴かもしれないんだけど…きみの言う通り。ああ、大丈夫だよ。今すぐお縄にかけて署に連行する訳じゃないからね」
「巷で噂のレイニイデイコメディアンがどの路地裏から当てるゲームをやってるよりもさ、今日の仕事をどう仕上げるかに気を回した方がさ。きっとその方が楽しい。遊び半分であいつに関わらないほうがいいんじゃないかな」
・ Jean=Michael=Poincare/ジャン=ミッシェル=ポワンカレ
性別「男」(二択)
年齢「22」
性格「世間知らずの甘ったれという性質持ちだが、成長するにつれてそれは薄まってきている。のんびり屋で、全体として楽観をベースにした発言が多いが、ネガティブな面が無いわけではない。頭が切れる訳でも無い癖に、謎の余裕がある。現金な奴で、意外とケチん坊。オブラートな口調だが人格に裏打ちされたものではなく心が狭い。行動派で、ゆっくりと吐き出される言葉よりも先に足が動く。足を使いながら考えるスタイルで、口達者でない分を行動で補おうとしているようだ。」
容姿「身長は190cm程度。黒に近い茶色のボリュームのある髪をショートのツーブロックにしている。前髪は太い眉の当たりまでまっすぐ伸ばしている。肌はほどよく焼けた褐色で顔立ちは西や南の国の顔に近い。黒い大きな瞳はまぶたがやや落ちて来ていて眠たげに見える。鼻は横長に広く穴は楕円形。口は大きくもなく小さくもなく僅かに開いて空気を通す。」(過度な自画自賛は禁止。髪の色や目の色などは基本的には現実味のあるものをセレクトください。詳しければ詳しいだけ主が喜びます)
服装「防弾チョッキを着た上から、白いワイシャツを下地としてクリーム色に青のストライプのネクタイを締め下は黒いスラックスに茶色い革ベルト。その上から深い紫色の裾が長い大きなロングコートを羽織り、紫色の側面に銀筋が入ったヘルメットをかぶっている。」(近世 服装でググればバーッと出てくるのでキャラクターにぴったりなものを選んでください。詳しければ詳しいだけ主が喜びます)
備考「新米の一等警官。交通整理やパトロールが主な仕事。そりが合わない住民の説得は一言で済ませず繰り返し繰り返しやる。瞬発力よりも持久力に秀でており、何度も何度も見て回れるのが売りである。小さな料理店を経営している家に生まれた次男坊で、若干甘やかされて育ったせいかゆっくりと喋り語尾を伸ばす癖が有る。もったりとした喋り方だが上司の前では少し改まる。長く喋りつづけることは出来ないので、伝えることがたくさん有る場合には言葉を途中で切る。長男のように家業を継ぐことを望み親に弟子入りするも、そのスピードについていけず自分に合った仕事を探すことになった。体力だけは無駄にあったジャンは、建設業の日雇い労働をしつつ求職活動をする。遠い地方に出掛けていって仕事を探し、親の僅かな金を頼みに雇われてはクビになる生活を繰り返しているうちに、やるせない思いや無常観のようなものがどこかに漂いはじめる。自分は何を頼りにして生きるべきか、どうすれば明日メシを食っていけるのだろうという問いに対する答えが見えてきた。絶対に頼れるものなどどこにもない、しかし人のためになることをするのが仕事である。自分に向いている仕事を探すあまり、自分にできることさえ見えなくなっていたようだとどうやらジャンは気がついたらしい。それからジャンは遠くまで旅をして仕事を探すのをやめ、地元の警察官として働き始めた。警察の手足として働くことは将来の夢では無かったが、今の仕事にやり甲斐は感じており、自分が動くことによって街の治安が少しでも良くなってみんながぐっすりと眠れるようになればいいなと思っている。今の仕事をこなすのに精一杯で出世のことは考えておらずぼちぼちで構わない、メシさえ食えればそれでいい。食べることは好きでけっこう食べる。(警官や一般市民、貴族等の身の上はこちらにお願いいたします。キャラクターの過去や趣味嗜好、本省や野心、苦悩とすることから喜悦とすることまで気が済むまで語って下さいませ)
その他「一人称はぼく、二人称はきみ。イメージカラーはクリーム色」
募集「ジャンがお前呼びして親しげに声をかける相手」
レイニィデイコメディアンについてどう思いますか?
「レイニイデイコメディアンなんて殺人鬼にしては随分と可愛らしい名前だって思うの、ぼくだけ?殺された人にとっては喜劇どころじゃないのにね。それはそうと、これだけ少ない手掛かりで犯人を捕まえられるかな」
- - - - - - - - - -
予約宣言してから日が大分経ってしまいましたがキャラチェックお願いします。
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.32 )
- 日時: 2016/08/28 18:16
- 名前: チェスティミスティ (ID: zflF3NFd)
- 参照: この時間の取れなさ
>>30
【修正を有難うございます。直していただければ特段問題はございませんのであまりお気になさらないで下さいな。
そうなんですよね、このなりきりは出来る限り小説らしく作り上げたい次第でございます所以での絵文字記号禁止とさせていただいています。しかし「語尾に音符が着きそうな軽快な調子で~」とかそんな書き方ならこちらも特段構いませんので。次回からはお気を付けくださいませ<m(__)m> 】
>>31
【お久しぶりでございます。囮様がいらっしゃるのをお待ちしておりました。 キャラクターチェックをさせていただきましたが、記入欄横の()を消していただければこれと言って問題は御座いませんので登録許可とさせていただきますので、お時間がある時にそちらだけお願いいたします。
のんびりとしているようで実は行動派なのだというギャップが素敵です^^ 備考欄で語られた彼の半生も人間らしさを感じることが出来て興味深いです。素敵ですbb
かなり後になってしまうとは思うのですが、警官キャラ(女性で二等官ではありますが…;)を投下しようと考えている次第でありまして、そいつでなくても本編中で出会えたら嬉しいなと思います^^】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.33 )
- 日時: 2016/08/28 18:41
- 名前: 囮 (ID: 9oy0/Hp9)
>>32
【お久しぶりです、待っていて下さって...(ほろり)早速の登録ありがとうございます!
イメージは固まっていたのですがなかなか形にならなくて、一夜で書き上げたもので雑になってしまい申し訳ございません。()は消させていただきました。矛盾だらけのキャラシートですが一番伝えたかったことを汲み取って頂けて嬉しいです。
自分は備考欄だけで文字数を稼ぎましたが、深みのあるキャラクター造形は長文ならではですので色んな方と絡んでみたいです。ジャンの上司!楽しみにしております。
それでは、これからよろしくお願いします。】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.34 )
- 日時: 2016/08/31 15:20
- 名前: チェスティミスティ (ID: zflF3NFd)
>>28 >>付近ALL様
【グスタフ=ラインホルト=ローデンヴァルト/見世物小屋付近】
寒い季節が到来すれば、散歩をするのにも少々注意が必要になる。
この冷気を受け続ければ道路は徐々に徐々に鋼鉄の様に固く冷たく質を変え、気紛れにうっかり者の足を取って行く手を阻む。それだと言うのに青年は何かから逃げようとするかのようにやけに急いだ足取りですたすたと何処かへ向かっていた。いつものことだ。彼のような下賤の民にはのんびりしている暇がない。ぎゅっと俯いて、腕に汚い灰色の布きれをはぎ合わせて作ったような、ちゃちな肩掛け鞄を抱いていた。
元々痩せて窪んだ貧しい頬が低気温でさらに引き攣るのを感じながら、彼は安らぎを忘れた街を行く。俯いたままに目玉だけで左右を眺めてみると、そこにあるのは真っ当な紳士淑女達の不穏の表情、不満の言葉。
――――レイニィデイコメディアンを早くひっ捕らえろ!!
娯楽と自然が同時に栄えるこの街は『華と緑のクリストロム』と民衆に謳われ、長きにわたり愛されていた。この街からあまり離れたことが無い青年にはよくわからないけれど、治安の良さでは近隣の街に劣ったことが一度もないと言う。まるで楽園のようなこの場所もとある喜劇役者が登場したその日を境に崩壊の一途を辿り始めた。
「今でも信じられないわ。この街でこんなむごたらしい犯罪が起きるだなんて思いもしなかった」
「その通り、『華と緑のクリストロム』でかような惨劇が引き起こされるとは……」
「捕まれば即刻死刑に違いない。そうであるべきだ」
永い間この場所は、この場所だけは安全だと信じていた心の清い民たちが陪審員気取りで語り合うそれを彼は心で嘲笑った。彼は他人に対してよく遜り、それを上回るほどに冷笑する。“小物”と呼ばれる悪党とはいつの時代でもこのように器が狭い。
(へへ、バァカな奴ら! 犯罪ならお前らの極身近に当たり前に存在してたってんだ。今更気づくだなんて鈍間にも程がある!!)
数メートル離れた所で彼らをもう一度振り返れば、青年の身体は脊髄から凍りつくような感覚に苦しめられた。“紫色のコート”が彼の視界に飛び込んできたのだ。明らかに動揺する彼の視線はコバエの様に右上から左下へぴゅんぴゅんと動く。光の勢いで前を向くと早足に拍車をかけて、もやは走る勢いで前進する。
嗚呼、不味い。警官はまずい! 虎の威を借る狐も脱兎となって逃げ遂せる!!
――
ベージュのチェスターコート、黒いフロックコート、黄土色のツイードジャケット、深緑の木綿のスカート、ステッキ、ハンチング、青年が被っているのと似たようなキャスケット。先程の閑静な通りとは違い其処に立っているだけでそういうものを身に纏った人々の行き交う様子がうかがえる。建物に寄り添うように道の隅っこで青年は上がる呼吸を整えんと小さくその場を3周、今度は5周ぐるぐるしながら深呼吸する。しかし、自分は何処まで来てしまったのだろうと辺りを見回せば、この民衆は建物の出口からわらわらと出てきていることが分かった。此処は何処かと辺りを見回せばどうにも見世物小屋らしい。人々は朝から見世物見物に来ていたというわけか。
「……」
今丁度終わったところらしいけれど、次の開演は何時なのだろう。
青年にしては珍しい好奇心だった。こう言った娯楽の類には大して興味がないというのにいったいどういう風の吹き回しだろう。自分でも意外だった。しかし、開演時間の調べ方がわからない。入り口付近に立っている関係者らしい男に聞くのが一番手っ取り早いような気がするが、いかんせんあまり近寄りたくない姿だ。
身に着けている紳士の着る様な偉そうな三つ揃えはいけ好かないがまだ許してやろう。しかし彼の顔全体を覆う銀色のペストマスクは見世物小屋らしい面白おかしさの欠片も無い。単純明快な気持ち悪いと言う感情が青年の心にじわじわとした重圧をかけ、どうにも話しかけるのに抵抗がある。出て行く人一人一人に贈る一礼の様子はそれはそれはゾッとするほどきちんとしている。その様子さえ人間ではない何か、心臓を持たない人形の様に機械的だった。
ありゃ駄目だ。ならばほかに適任者はいない者かあたりをきょろきょろ探す。すると死角より先に聴覚が何かを捕えた。機嫌の良さ気なメロディが青年の耳を付く。
そのメロディの発信源を追うと、青年はまた奇妙なものに鼻白む。頭の先からつま先までを覆う様な真っ黒なコートを着たそれはおそらく大人ではない。しかし両親と思しき人物も傍には見当たらず、1人で自由に楽しそうに歩いていた。これだってさっきの銀色の烏野郎に引けを取らず不気味だろう。だろうけれどもまだ子供である分ましかもしれない。こんな朝早くから1人でこんな魔術師みたいな格好でふらつくなんて、若くして頭のネジを失くしてしまっている可能性も少なくはないが、取り敢えず先程のよりは恐れを抱かずに済むから、こいつに聞いてみようか。
「おいガキ、そこの見世物小屋次はいつ開演なのか知らねえか」
【なっが!!!((( 遅くなりましたがアイちゃんに絡ませていただきました! どうなるのかは謎ですがこの二人面白そうだなと思っていたもので、勝手ではありますが嬉しいです。彼(いや、私)は己が子供嫌いなことを忘れていた……!!】
- Re: 『 レイニィデイコメディアンと血の惨劇 』 ( No.35 )
- 日時: 2016/08/31 21:43
- 名前: ~ (ID: bUOIFFcu)
【アイ/見世物小屋付近】
「おいガキ、そこの見世物小屋次はいつ開演なのか知らねえか」
鼻歌を歌いながら気ままに歩けば、上から声を掛けられた。物理的に上からだし、言い方も「上から」と言うに申し分ない不遜な態度。詳しく言えば、後方の上から声を掛けられたので、闇色のケープを軽く翻し、くるりと振り返って顔を上げ、声の主を確認した。
目に映ったのは薄ら汚れた痩身の男。年はそれなりに若そうに見えるけど、髪はぼさぼさだし目つきはきつくて隈があるしそんな目つきと放った言葉の割にはへらへらと笑っているしで、あまりいい印象は受けない―――端的に言えば小者感の凄まじい人物だった。身長もそこまで高くはない。
その男のさっきの言動からして、大方、ぼくを子供だと思って見くびっているのだろう。勿論それは間違ってないし、その態度は正解だ。ぼくは子供なのだ。
だがまあ―――そんな大人を見ると。
「んん、開演?そうさなぁー......」
ついつい、からかってしまいたくなるのが、子供の性分で。
「なぁに、もしかしてお兄さんも噂好きなのかなぁ?どうせここに来る人たちは見世物になんか興味無いんだよ。興味あるのは物騒なお話だけでさ......ね、そうでしょ?それとも、もしかしてお兄さんはなんかマズいことやっちゃって、警官さまがたっくさん来てるこの場所で自分から逮捕されに来たのかなぁ......?」
開演時間なんて知ったことではない。興味ないし、そもそも本当に知らない。
そう、つまらない見世物より、よほど人間の方が面白い。心の内を見透かされたときの人間ほど愉快なものはない。この男だってどうせ噂を聞きに来ただけなのだ。見世物なんか誰が見るか。
最後に付け加えた一文はただの冗句だけど、もしかしたらこのお兄さんがコソ泥とかどこかの放火魔だったってこともあるかもしれない。だとしたらどんなに面白いのだろう。
「んふふ、どうなの、お兄さん?」
目深に被ったフードで顔のほとんどは見えてないだろうけど、口元だけはニィッと笑ってるのが見えるはずだ。さあ、どんな返答を見せてくれるのかな。楽しみで仕方ない。
【スレ主様>>絡んでくださってありがとうございます!質問に対する返答がなってませんがそこは気にせず!((】
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