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- Re: あわいをうつろう小舟に揺られ [いちいち・指名制][〆] ( No.52 )
- 日時: 2021/02/06 14:27
- 名前: 紫月 ◆GKjqe9uLRc (ID: w1UoqX1L)
>>49/心さん
はい、了解しました! ご自愛くださいませ。
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嬉しそうに微笑んだ実鈴を目の前にし、隆良もくしゃくしゃっと紙を丸めたように目に皺を寄せて明朗快活な笑みをぱぁっと浮かべ「へへっ」と照れ臭そうに声を漏らす。
周りの空気が一気にほわほわと和み切り、隆良もそわそわと落ち着かなさもあるも何だかこの空間が自分が今まで過ごしていたかのように、とろけてしまうように感じるのだ。
それは、初めての感覚だったのは確かだった。
四人兄弟の長男として育ち盛りの弟たちをまとめていくことが大変で学校でもバスケ部のエースとしてチームを見ていかなければならなく一息つく暇もなかった。大学に通うことになってからは上京するも独り暮らしで炊事洗濯、それから日々のアルバイト、たまりにたまった山のような課題、発表、何もかも積み重なって辛かったのは事実でそれも自分の選んだ道だからと弱音も吐くことすら一人の時も出来なかった。
毎日家に帰って、家族の姿も騒がしさも何も感じない真っ暗な闇に包まれた変哲もない自宅に帰る度に寂しく、やりどころのない虚無を感じることもあった。それが何時もの事で慣れてしまった部分もある、でもこうして誰かと話すこと、それも……好きになった女の子とこんなにも話せていることが隆良にとってとても、嬉しくかけがえのないものとなっていた。
こんなたった数分で思えてしまうなんて、凄いな、と隆良は涙ぐみそうになる。
真剣に目を伏せた実鈴はふわっと頬を淡いさくらんぼ色に染めて繋いでいた手を突然離し、隆良は眼を剥いてびくぅっと背筋を凍らせてしまう。
すぅっと血の気が引いて、血が止まるような感覚を覚え、指先が震える。手を離してしまうだけでこんなにも不安で寂しく思うのだ。彼女は此処に居る、目の前に居るのにも。
「わ……!? わ、えと、私は……ッ」
「……え、あ……えっと」
拒絶された? と何かが胸に押しかかって来るようで眼を逸らし、離されたまだ実鈴の体温の残る手を一瞥し、瞼をゆっくりと伏せる。
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