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Re: あわいをうつろう小舟に揺られ [いちいち・指名制][〆] ( No.56 )
日時: 2021/03/11 17:09
名前: 紫月 ◆8OwaNc1pCE (ID: w1UoqX1L)

>>53/心ちゃ

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 「隆良さん……ッ」
必死に訴え掛けてくるような実鈴の表情に隆良は目を見開き、深呼吸を繰り返す。

  
 「違うんです、私、」
 
 そんな時だった。実鈴がカーディガンの裾を握り締め、身体ごと自分に接近させてきたのは。
落ち着きそうだった気が動転していて上手く動かなかった脳がまた作動停止になったのは。
 
 近い、とにかく近い。

その言葉が隆良の脳を襲う。
「あなたが笑ってくれたら嬉しいし、そんな顔してたら悲しいし、えっと」
優しい、自分を楽しい気持ちにさせてくれる言葉を並べてくる実鈴をじっと見つめ、隆良は何も言えず曖昧に笑った。 
すき、と言いかけたことには触れられず、眉根をゆったりと下げ。

 「うん、ごめん。心配させちゃって、大丈夫この通り、全然……はは……オレも、実鈴ちゃんと居たら楽しいし、実鈴ちゃんがそんな必死にしていると苦しくなる。実鈴ちゃんと話してると癒されるし、だから、あの、ありがとうな、無理、させちゃって」

 ぐい、と接近させてきた実鈴の肩に手をあて距離を取りたいように押したものの、力加減を間違えたのか押し倒すような形になってしまい。
「あ……、ごめっ、そ、そんなつもりはなくてっ」
実鈴の顔が近い、と混乱し馬乗りになっていた隆良はぱ、っと離れ謝り。その上ずった声になってしまいカッコ悪い、と思っていて。