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神よ、私は美しい……【ポケモン対戦小説】
日時: 2015/08/22 21:30
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28504

どうも、Orfevreこと高坂 桜です。

このたびは、合作スレの新板移転を行うことになりました。

部外者は立ち入り禁止なので、添付URLに避難してください。

目次
登場人物一覧>>1
ストーリー>>2
閑話集>>3

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.17 )
日時: 2015/08/20 02:27
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

名前:館上 閃/たてがみ せん
年齢:中学一年、13歳

性別:女

性格:やや控えめで押しに弱い、大人しい性格。ゆえに予想外のことが起こったりすると崩されやすい(立ち直れないわけではない)。自分の能力を買ってチームに引き入れてくれた迅には感謝しており、彼のために恩返しがしたいと思っているが天祢に怯えてなにもできずにいる。情報収集能力が高く、集めた情報をデータ化して作戦立案などに生かしているが、本人はもっと対戦そのものの実力を上げたいと思っている。知識量は膨大で、それを生かした構築もできるが、実戦になると実力が伴わないタイプ。

容姿:色素が薄めの髪を二つに括っており、体型は年相応に小柄。様々なデータ(対戦相手の情報からプライベートなものまで)が入ったノートパソコンを肌身離さず持ち歩いている。対戦時とミーティング時は気持ちを切り替えて集中するために、銀縁の眼鏡をかける。

備考:『闘神』チームの一員。実力はチーム内では最弱だが、ずば抜けた情報収集能力から、一年生でありながらもメンバーに抜擢された。ポケモンの実力はともかく、こと情報収集能力に関しては他の追随を許さず、迅にも認められているほど。対人戦専門のポケモン攻略サイト、『ポケモン帝国』の管理人(彼女一人で管理しているのではなく、管理しているグループの一員という意味)。彼女の情報収集能力が高いのはこれが理由。

サンプルボイス

「た、館上、閃です……えっと、対戦、よろしくお願いしますね」

「対戦相手の過去の公式戦の記録はすべて洗い出してデータ化しましたが、この人は高レート帯のプレイヤーに近い構成——言い換えれば、テンプレの中に地雷気味な型のポケモンを忍ばせる傾向があります」

「紅林先輩、その、私……が、頑張りますっ」

「す、角南先輩……っ!? あ、いえ、その……な、なんでもありません……」

「ここは絶対に勝たなくちゃ……私を拾ってくれた先輩のためにも、絶対……!」

(有利対面……ここはボルチェンかな。お相手に電気無効はいないし、この人の過去のデータからしても、ここで居座ってくる可能性は低い。交換先に有利なポケモンをぶつけて、またこっちが有利な対面を作るよ)

パーティー
戦術:あからさまなトンボルチェン。パートナーズ全員がボルトチェンジ、またはとんぼ返りを使用できるポケモンで構成されており、サイクル戦を非常に重視している。電気タイプが多いが浮遊持ちや飛行タイプも多いため、地面の一貫性はきっちり消している。

ライボルト
ハッサム
霊獣ランドロス
コバルオン
ファイアロー
サザンドラ
サンダー
カットロトム
ゲッコウガ
シビルドン



各ポケモン詳細

各ポケモン詳細

ライボルト:♂:臆病:避雷針→威嚇:H108、B24、C140、S236
持ち物:ライボルトナイト
技:ボルトチェンジ、十万ボルト、オーバーヒート、目覚めるパワー(氷)
概要:唯一のメガ枠。メガライボルトのテンプレ型で、序盤は威嚇を撒きながらボルチェンでぐるぐる回して相手を削り、終盤は高い素早さから消耗した相手にとどめを刺していく。


ハッサム:♂:腕白:テクニシャン:HDベースに調整
持ち物:突撃チョッキ
技:バレットパンチ、とんぼ返り、はたき落とす、馬鹿力
概要:特殊受けアタッカー、そしてこのパーティーに比較的一貫する氷技を受ける役割を持つ。受けの性能を重視したために火力は控えめ。先制技があるが積み技がないので終盤の全抜きには使いにくい。


霊獣ランドロス:—:意地っ張り:威嚇:A252、S調整、残り耐久
持ち物:拘りスカーフ
技:地震、とんぼ返り、岩雪崩、すり替え
概要:物理版メガライボルトに近い性能。序盤はメガライボルト同様に威嚇を撒きつつ蜻蛉でサイクルを回していき、終盤になるとスカーフのスピードと高い攻撃力で全抜きを狙う。技範囲を狭めてすり替えを採用しており、このパーティーの苦手な居座って積む耐久型を機能停止させることができる。


コバルオン:—:陽気:正義の心:AS極振り、残りH
持ち物:ラムの実
技:インファイト、アイアンヘッド、ボルトチェンジ、ステルスロック
概要:ステロ撒き物理アタッカー。メガガルーラやフェアリータイプへの役割が持てる。ステロを撒いて相手のサイクルを回しにくくする。


ファイアロー::意地っ張り:疾風の翼:AS極振り、残りB
持ち物:拘り鉢巻
技:ブレイブバード、フレアドライブ、とんぼ返り、寝言
概要:終盤の全抜き役。耐久は低いが鉢巻もあり火力が高いので、相手への圧力をかけやすい。寝言で一応催眠対策をしている。


サザンドラ::控えめ:浮遊:C252、S調整、残り耐久
持ち物:拘り眼鏡
技:流星群、悪の波動、とんぼ返り、ハイパーボイス
概要:特殊アタッカー。素早さは微妙だが眼鏡もあり火力が高く、一貫しやすい龍技と悪技で相手に負担をかけていく。ハイパーボイスはトンボルチェンの合間に張られた身代わり対策。


サンダー:—:図太い:プレッシャー:H204、B252、S調整
持ち物:ゴツメ
技:ボルトチェンジ、熱風、羽休め、霧払い
概要:物理受け。あえて毒々を切って、このパーティーの弱点であるステロ等を消し飛ばせる霧払いを採用している。


カットロトム:—:控えめ:浮遊:HCベースにS調整
持ち物:食べ残し
技:リーフストーム、ボルトチェンジ、目覚めるパワー(氷)、毒々
概要:地面タイプ、特に水と複合したポケモン対策。サンダーの代わりに毒々を入れてあり、耐久を殺す役割もある。


ゲッコウガ:♂:無邪気:変幻自在:CSベースに調整
持ち物:命の珠
技:ハイドロポンプ、冷凍ビーム、とんぼ返り、挑発
概要:テンプレからは少し外れた珠アタッカーのゲッコウガ。基本的にはタイプ一致+珠で威力の上がった特殊技ととんぼ返りを圧力をかけていくが、サポート型のポケモンを挑発で機能停止にさせる役割もある。


シビルドン:♂:冷静:浮遊:仮想敵に合わせ調整
持ち物:オボンの実
技:ボルトチェンジ、火炎放射、馬鹿力、怒りの前歯
概要:明確な役割があるわけではなく、単体で幅広いポケモンに対応できるため、パーティー単位で対応の難しい穴を埋める役割。要するにオールラウンダー。この型の場合はこのパーティーでは有効打を与えにくい耐久型のポケモンをやや意識した技構成となっている。

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.18 )
日時: 2015/08/20 02:36
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

名前:米田栄一朗よねだえいいちろう
性別:男
年齢:14歳(早生まれの中3)
性格:どちらかというと物腰が柔らかくて冷静、頭もよく真面目で誠実、そのため、迅だけでなく、チーム内の信頼も厚い。
容姿:身長はすでに170後半とかなり高くて細身、眼鏡をかけているため、どうしてもヒョロヒョロとした印象だが、決して不健康なわけではなく、そこそこ引き締まっており、眼鏡を外せば案外イケメンだったりする。
パーティー:
エースは眼鏡ラティオス、逆風こそ受けたがまだまだ現役。これを軸に相性保管を重視したパーティーとなっている。

・ラティオス
・クレッフィ
・ガルーラ
・ギャラドス
・ドダイトス
・マフォクシー
・ポリゴン2
・ローブシン
・メガヤンマ
・エンペルト

サンプルボイス

「まったく、お前は昔から変わらないな迅、もう少し違う言い方もあっただろう?」

「決勝戦だぞ天祢、少し前に負かしたそうだが、相手もここまで勝ち上がってきたんだ、なめてかかるなよ」

「陽介、お前の相手は昨年、お前の同期で最強と謳われた相沢華音か、厳しい戦いになるだろうけど、去年ほどの凄みはない。付け入る隙はあるはずだ」

「覚えとけよ閃、この悔しさを、その悔しさが必ずお前を強くするからな」

「迅!任せとけ、オレは1年前とは違う!絶対お前に回すからな」

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.19 )
日時: 2015/08/24 11:15
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: oLjmDXls)

名前:紅林 迅(クレバヤシ・ジン)
性別:男
年齢:中学三年生の15歳
性格:律儀で堅苦しく、礼儀を弁える性格。指揮官のようなカリスマでチームを引っ張ってきたリーダー。後輩への指導も手厳しくも的確なものである。その上で、弱い人間と戦うことを嫌い、腹いせと言わんばかりに完膚なきまでに叩きのめす。言葉で直接罵ることはないが、その実力で相手の精神を削いでしまうほど。しかし、一連の行動に悪意があるわけではなく、自分が認めた実力者を敬うなど、相手へのリスペクトも心がけている。
備考:頭の回転が非常に速く、読みの精度は雫をも上回る。さらに、この読みには多くの敗北と勝利から学んだ経験をフルに活用するため「直感」と呼ばれるものも彼の場合は全て無意識に計算されて打ち出された答案に過ぎない。
総じて、非常に優秀なプレイヤーといえよう。
そして異名は『闘神』。その恐ろしいほどの汎用性を持つパーティ故、どんな状況にでも対応できる構築を何パターンも持っていることからである。
しかし、本人はその異名を好んでいるわけではなく、「ただのサブカルチャーな物好き」と自虐している。

サンボイ
「紅林 迅だ。手合わせ願おう」
「見せてもらおうか、速山 翼。貴様の実力とやらを」
「お察しの通りだ。生憎、貴様程度では俺を倒すことはできん」
「御剣 琥子……? 生憎、負けた人間のことなど、逐一覚えていられないのでな」
「貴様に何か通じるものを感じていたのかもしれない。貴様はボーマンダ、俺はゴウカザル。これは物好き同士が互いの意地と信念を貫くための戦いだったのだな」
(残念ながら、その読みは外れ。交代先はこっち、ゴウカザルだ!)
(-----------速い……! まさか、今の択ゲーを一瞬で見切ったというのか!?)

パーティ
解説:相性補完と多彩に攻められる汎用性を重視して戦うスタンパ。そのため、相手は弱点を突きづらく、逆に突かれてしまう。
さらに、闘神の異名をもたらしたゴウカザルの安定性は役割破壊には十分な火力を持っており、目の前の敵を確実に倒すエース。
そして、最大のギミックはメガガブリアス。相手の意表を突くことができるだけではなく、非常に高い火力を誇る。
特に、相性補完は完璧であり、ほぼ全てのポケモンに弱点を突くことができる。
特筆すべきは、ゴウカザルとガブリアスの2体が受けループに対して非常に強いと言う事である。特にゴウカザルはムドーとラッキーで止まることを知らない。

ゴウカザル:♂:無邪気:猛火:A102 C196 S212
持ち物:命の珠
技:インファイト、オーバーヒート、ストーンエッジ、とんぼ返り、めざめるパワー等
解説:多彩な技を持っている両刀エースポケモン。彼の実質的な相棒であり、無振りメガガルーラならば余裕で落とすことが可能。第四世代トップメタの一角を担ったバトレボの王者は、伊達ではない。かつて、ココを再起不能にしたのも、このゴウカザルである-------

ガブリアス:♂:意地っ張り:鮫肌→砂の力:H44、A252、B92、D12、S108
持ち物:ガブリアスナイト
技:逆鱗、地震、岩石封じ、大文字
解説:物理アタッカー。まさかのメガシンカ型という意表を突く。それだけではなく、メガライボルトのめざパ氷を乱数で耐えるなど、耐性はかなり向上している模様。メガシンカを前提とした運用で、さらにバシャナットなどの組み合わせにも強く出ることが可能。

ギャラドス:♂:腕白:威嚇:HB全振り 残りS
持ち物:ゴツゴツメット
技:氷の牙、滝昇り、電磁波、地震
解説:物理受け担当。電磁波で相手を機能停止に追い込める。ガブリアスとの相性補完はなかなかのもの。
ギャラナットの片割れ。

ナットレイ:♂:慎重:鉄の棘:HD全振り 残りA
持ち物:食べ残し
技:パワーウィップ、宿木の種、叩き落とす、守る
解説:特殊受け担当。宿木の種と叩き落とすでガリガリ相手のHPを削っていく回復の鬼。
ギャラナットの片割れ。

ニンフィア:♂:控えめ:フェアリースキン:HC全振り、残りS
持ち物:???
技:ハイパーボイス、電光石火、あくび、シャドーボール、サイコショックなど
解説:特殊アタッカー。格闘タイプへの唯一の有効打。

バンギラス:♂:意地っ張り:砂起こし:ラムの実:H204、A60、D244
持ち物:ラムの実
技:ステルスロック、岩雪崩、追い討ち、吠える
解説:炎がきついときに選出。相性補完要員。メガガブリアスの砂の力を発動させるために使われる、ということは少ないが、万が一決まった場合は恐ろしいことになる。

ボルトロス:♂:図太い:悪戯心:HBベース調整
持ち物:オボンの実
技:ボルトチェンジ、めざめるパワー、挑発、電磁波

ゲンガー:♀:臆病:浮遊:CS全振り
持ち物:気合のタスキ
技:シャドーボール、ヘドロ爆弾、マジカルシャイン、道連れなど

スイクン:--:のんき:プレッシャー:HBベース
持ち物:ゴツゴツメット
技:冷凍ビーム、熱湯、”絶対零度”、ミラーコートなど
注釈:この頃は、レートでも零度スイクンが使えた。迅がポケモンを引退した知人から貰った、という設定。

ランクルス:♀:冷静:マジックガード:HCベース
持ち物:達人の帯、防塵ゴーグルなど
技:サイコキネシス、気合球、10万ボルト、エナジーボール、トリックルームなど

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.20 )
日時: 2015/08/20 02:37
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

主人公であり、Mr器用貧乏の速山 翼は、基本何でもできるが、何をやってもそこそこ止まり。ある日、秀才でありゲームからは掛け離れたイメージを持つ静谷 未歌と、ポケモンの大会の一回戦で戦うことに。しかし、彼女は天才ゲーマーでもあり、惨敗を喫した上に、「あんな駄竜と戦わされたサザンドラが可哀相」と罵られたことで、リベンジを誓う。

以後、翼は未歌に勝負を挑んでいるがいずれも惨敗。だが、未歌は邪険にこそ扱っていたものの、何度でも挑んでくる翼を悪くは思っていなかった。というのも、彼女は自分が強すぎる所為で一度彼女と対戦をした友人は次々に離れていく。対戦では手を抜けないという彼女の考えがより一層そうさせた。

そんなある日、翼は彼女がクラスの不良に絡まれているのを目撃。以前、未歌に敗れた舎弟が泣き付いてきたので、対決を申し込みにきたのだ。勿論断ろうとする未歌だったが、今度は3DSを学校に持ってきていることに目を付けられ、それをバラすと脅される。内心では脅しに屈していなかった未歌だが、度胸のある彼女は単身で挑み逆に完膚なきまでに叩きのめそうと思い、対戦を受けた。
その後、彼女を気に掛ける翼だが、「関係ない」とあしらわれてしまう。

やはり、対戦は罠だった。次の日、指定された場所に来る途中、彼女はスリが得意な舎弟に気付かないうちに3DSを奪われてしまったのだった。
そうとも知らずに指定場所に着いた彼女は、大戦の直前で3DSがないことに気付いた。これぞ不戦勝と勝ち誇った不良。ここまで回りくどい手段を使ってまで彼女をいたぶろうとした理由は唯一つ。秀才の彼女が気に食わなかった、それだけである。戦うことすらできないという絶望を彼女に与え、どのような形であっても自分の勝利を手に入れようとしたのだ。
しかし、心配してこっそり着いてきた翼が現われ、代打として不良に対戦を挑む。
「こんなちゃっちぃ事すんのは、自分のプレイングに自信が無いからじゃないのか?」と挑発されたのもあり、翼VS不良の対戦となる。

実際、不良は強かった。不良の構築した積みパに組み込まれているポケモンはしっかりとした育成論の元育てられたものだったのだ。
しかし、それらも地雷を突いた翼の前に倒されてしまう。
そして逆ギレして飛び掛るが翼の曰く「通販で覚えたけど極められなかった合気道」で返り討ちに。ついでに、その光景を見て怯えた舎弟からも半脅しで3DSを奪い返す。
そして自分のライバルと成り得る翼の可能性を見た未歌は、今度は自分から対戦を申し込んだのだった。

以後、放課後は2人でポケモンの対戦をするのが日課になった2人。
そしてその後、ポケモン対戦超初心者の後輩、東雲 夏奈と出会ったことで、物語は更に動き出す-----------

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.21 )
日時: 2015/08/20 02:37
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

毎日のように対戦に興じる翼と未歌は、ある日、こっそり利用している空き教室で見知らぬ3DSとポケモンのソフトを発見する。翼のものでも未歌のものでもないそれらが誰のものなのか探していると、一学年下の女子生徒、東雲夏奈のものであると分かる。どうやら彼女も、休み時間などを利用してあの空き教室でポケモンをしていたらしく、同士ということで(やや一方的に)意気投合する。

話を聞くに、未歌もポケモン対戦をしているらしく、せっかく知り合った仲なので翼と対戦することに。しかし翼は、彼女の思いもよらぬ奇行に驚愕する。特性を知らず蓄電サンダースに電気技、飛行複合を忘れてボーマンダに地面技、物理と特殊の区別すらついていないようなプレイングを披露する夏奈。パーティーの時点でガチ勢だとは思わなかったが、夏奈はとてつもない初心者であった。

そんなこんなで夏奈にポケモン対戦の心得をレクチャーすることになった翼と未歌。とりあえず現環境でもそこそこ戦える程度のパーティーを構築し、それなりの勝率を上げることを目標に、彼女にポケモン対戦の基本を徹底的に教え込む。二人の指導と夏奈の努力の末、遂にパーティーは完成、夏奈も基本的なことは理解したようで、少なくとも飛行タイプに地震を撃つことはなくなった。

パーティーが完成したので、次はその動きを確かめたい。レートに潜ってもいいが、せっかく未夏の新生パーティーの初陣なので、普通の対人戦にしたいところ。そこで相手を探していると、とある人物が候補として浮かぶ。

対戦候補とは、昨日翼たちと一悶着あったクラスメイト(仮)の御剣鋏弥だった。その時のことをネタにし、半ば脅迫するようにして彼を連れて来きた翼と未歌。脅し紛いのことをされている鋏弥は、渋々ながらも夏奈との対戦を許諾。そして二人の対戦がスタート。負け犬を連れてきたような雰囲気漂う鋏弥ではあるが、しかしその実力は決して低くない。得意の起点構築で自分の勝ち筋に流れを持って行くが、夏奈も先輩たちに教わったことを生かして応戦、さらに先輩たちを驚かせる大胆なプレイングも見せて、見事初陣を勝利で飾ることに。

そんな翼や未歌、夏奈を見つめる、一つの影が——

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.22 )
日時: 2015/08/20 02:39
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

生徒会長・虻村 英一(アブムラ・エイイチ)は容姿端麗で、しかも秀才であることで有名。御剣の最も嫌う人物の1人である。
だが、裏ではその御剣の知らない場所で舎弟の何人かから非行を隠滅した報酬の裏金で儲けていたのだった。
しかし、最近その動きが大人しくなっている。そのため、金が回ってこない。どうやらリーダーの御剣が何者かにやられてから、グループ自体の動きが大人しくなっているのだ。
突き詰めれば、その原因が速山 翼であることに行き着く。

そんなことを知る由もない翼達。好い加減、学校で集まって3DSをすることに限界を感じてきたため、部活動として登録しようとするのだった。部の名前は”極・ポケモン部”という翼の(微妙な)ネーミングになった。

部活動の申請は思った以上にすんなり終わり、今まで使っていた空き部屋を部室として使えるようになる。また、いるだけの顧問の先生を借りることもでき、全てが順調と思われた。
ポケモンの攻略本や育成論をまとめたノートを置いて、完璧だ。

しかし、次の日のこと。放課後に部室へやってきた彼らは驚愕した。部室が荒らされているのだ。備品はぐちゃぐちゃ、机は乱暴にひっくり返されており、攻略本や育成論を纏めたノートは破られていた。

さらにその日の帰り、翼は何者かに後ろから殴られて気絶してしまう。そこを通りかかった少年・古浦 雫に助けられたことで知り合う----------と思いきや、雫は翼の事を知っており、放課後に3DSをしているところを見ていたという。そして彼も極・ポケモン部に入れて欲しいとのことだった。勿論、断る理由はなかった。

そして雫の協力もあり、再び部室を綺麗にしたものの、その次の日も同じような現象が起こった。そこで翼は、未歌と秘密裏に待ち伏せ作戦を決行する。
未歌を部屋の中に忍ばせておき、誰かが入ってきたら笛を吹いて、天井裏に隠れた翼が強襲を仕掛けるというもの。
-------が、これは失敗だった。未歌は途中で寝てしまう。そして、誰かが入ったことに後から気付いて遅れて笛を吹いた。
すぐさま、天井から合図を受けた翼が飛び降り--------------そのまま床へ激突したが、すぐさま侵入者に飛び掛る。

目の前にいたのは雫だった。実は忘れ物を取りに戻ってきたところ不良グループの1人と思われる輩が入ってきたが、雫に気付いてすぐに逃げたらしい。
そこで、次の日に御剣を呼び出すが、そんなことを舎弟に頼んだ覚えはないという。そして、御剣の口から「舎弟の1人が、生徒会長に何かの包みを渡していた」とスリの名人である側近のヤスから聞いたとのことだった。最近の虻村の様子がおかしいことに気付きだす雫。もしや、と不良グループの何者かが裏で生徒会長を脅しているのではないかと言う結論に。

そして虻村が廃工場に出入りしているところを目撃した生徒の証言を元に翼達はそこに殴りこむ。御剣の舎弟である不良達の中央に虻村の姿が。
「追い詰めたぜ!」と啖呵を切った翼。御剣も舎弟に、勝手な動きをするなと咎める。しかし、そのときだった。不良2人が未歌と夏奈を捕まえたのだ。
高笑いをする虻村。そこでネタばらしと言わんばかりに自分が黒幕であることを暴露する。
全ては翼を潰すためにやったことだったのだ、と。この不良達は既に自分も支配下にあることも。
虻村は「ゲーム」と称し、人質を賭けた3対3のポケモン団体戦を申し込む。

先方の御剣は見事にその噛ませ犬スキルを駆使し、自分の元舎弟に負ける始末。これによって、いきなり後の無くなる翼達。
しかし、中堅の翼が不良を撃破。そして最後は雫と虻村の一騎打ちとなる。

対戦の途中も虻村を説得しようとする雫。しかし、彼は聞き入れない。それどころか、「愚民共に代わってこの学校を支配してやっていた僕に感謝したらどうだい?」と返す。だが、この発言で虻村に対し、完全に”敵”という認識を持った雫が危機的状況を押し返す。虻村のエースであるいばみがクレッフィに苦戦するも、深読みを狙ったことで流れが変わり、逆転した。

気付かない間に取り巻きもボコボコにされており、1人だけになる虻村。土下座して卑屈な態度で誤る虻村に手を差し伸べる雫。しかし、そのときだった。彼はその手を払い、雫へ殴りかかった。
ははは、よくも邪魔したな、ははは、と狂った笑みを浮かべる虻村。しかし、怒った翼の右ストレートを避けることはできなかった。

後日、全ては公になり、虻村は生徒会長を解任される。さらに今まで不良グループに関わっていた件や学校の金を裏で動かしていた件などがすべて大っぴらになったことで学校にいられなくなり、転校したそうだった。
ついでに、ちゃっかり臨時の生徒会長の座は雫が頂いたんだとか。

ある日。雫はあるチラシを持ってきて言った。

「一緒に全国を目指さないか?」

と--------------

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.23 )
日時: 2015/08/20 02:40
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

chapter1
雫が出場を打診した全国大会に向けて奮闘する翼達であったが、あるひとつの問題が生じた。それは人数不足、大会には5人のメンバーが必要だったが翼達の「ポケモン部」には4人しかいなかったのだ。5人目のメンバーを集めるべく、校内を奔走する翼達であったが、成果はほとんど0、唯一、モブ男子が古いポケモン雑誌を提供することで大会の情報を得るのみに留まる。そんな折り、翼のクラスに一人の美少女が転入してくる。

chapter2
転校生の名は相沢華音、大富豪の令嬢であり、並外れたルックスをもつ彼女は男子達の注目の的となる。だが翼はこの少女に見覚えがあった。彼女は全国大会のベスト4の実績を持つ有名プレイヤーで、モブ男子が提供したポケモン雑誌にも特集が組まれていたほどであった。翼は彼女をチームに招き入れようと声をかけるが、彼女の口から帰ってきたのは「もうポケモンは引退した」の一言だった。

chapter3
華音の「ポケモンは引退した」という衝撃の一言によって断れたのち、華音は部内でも話題になるが、何の因果か未歌に水をかけられた翼は風邪をひいてしまう。翼が薬をもらおうと病院に向かったとき、再会したのは他でもない華音だった。病院で再会した華音から「母親が上流階級の男性と結婚してから気苦労で体調を崩したから地元に帰ってきた」という話を聞く。要するに母親の体の都合からポケモンに避ける時間がなくなり、ポケモンを引退したということだった。諦めきれない翼は華音の母親の病室に直接会いに向かう。

chapter4
翼の話を聞いた華音の母、祐佳は華音がポケモンを密かにやめてることを知り、華音に再びポケモンを始めるように促す、祐佳は華音に「華音に好きなことを我慢させることは自らの薬にならない」と伝え華音を説得する。母親の一言で気持ちの傾いた華音に対して、祐佳は「翼くんがポケモン勝負で勝てば華音はポケモンを再開する」という提案をだし、両者は承諾する。

chapter5
迎えた運命の勝負、華音の全国レベルの力に圧倒される翼であったが、華音のブランクによるプレイングミスの隙をついて勝利を収め、母親との約束通り、華音はポケモン部へと入部。さらに、華音は翼に逆鱗を覚えた力ずくのタツベイを渡したのだった。

chapter6
華音がポケモン部に入部してから数日後、ポケモン部に送りものが届く。差出人は祐佳。その中身は無線ルーターであった。これで部室でもレート対戦が出来るようになり、ポケモン部は改めて始動したのだった。

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.24 )
日時: 2015/08/20 02:41
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

 メンバーも集まり、地区予選へのエントリーも済ませ、遂に全国大会への第一歩が踏み出せた翼たち。しかし予選までまだ時間がある、その間は、雫を筆頭として各人の強化を行うことにした。パターンは三種類あり、一つはポケモンの育成。全国大会は10パートナーズルールという、ポケモンを10種類登録し、その中から出場ポケモンを対戦ごとに選んでいく形式を取るため、自分に最も相応しいパートナーズを選んでいかなくてはならないのだ。これは雫も含め全員に共通することである。二つ目は予選までに各地で行われる個別の大会に参加し、大会の雰囲気、初対面の相手との対戦に慣れること。そして三つ目は、各人の弱点克服。これについて雫は、個別でメニューを用意した。対戦経験の浅い夏奈と、ブランクで読みの精度などが鈍っている華音は、それぞれ経験を積むため、勘を取り戻すために、ひたすらレーティングで対戦。翼と未歌は、お互いに対戦することになった。



 雫は真っ先に未歌の弱点を克服することを考えた。まず最初に翼と対戦させることで、未歌の弱点——予想だにしない展開に弱い、崩されてからのリカバリが効かない——を浮き彫りにする。実際、翼の新メンバー(実際に新メンバーにするかどうかはタクさんと相談)に思いもよらない動きを見せられ、未歌のサイクルは崩されてしまう。そこから立て直すことも出来ずに敗北寸前まで追い込まれる。その一戦で、未歌自身も薄々感じていた、彼女の決定的な弱点が露呈する。



 とりあえず未歌の弱点克服のために、弱点が露呈する状況に彼女を慣れさせることにした。そしてそのために、二つの要素を雫は用意する。一つは自分、未歌と対戦し、テンプレなどとは程遠い、正に型破りなポケモンたちを用いて、彼女の読みをことごとく外させる。もう一つの要素は、サイクルを崩されてからのリカバリ。相手の予測不能な一手でそれが起こることが多いのだが、しかし純粋に読み負けて、ポケモンを一体戦闘不能にされて構築として崩されることの方が多い。むしろ大事なのはこちらだ。大会でも相手をメタるためだけのポケモンはいるだろうが、基本的にはテンプレートに近いポケモンが多いはずである。未歌が雫に徹底的に負かされると、雫は後の対戦を翼に任せ、いつもより早く学校を出た。



 向かったのはとある高校。門の前で立っていると、一人の女子生徒が出て来る。雫はその少女と親しげに言葉を交わすと、一つの約束を取り付ける。そして翌日、昨日の少女が部室に現れた。彼女は雫の先輩のような存在で、この中学校の卒業生らしい。彼女がここに来たのは、母校が懐かしくなったから……ではなく、未歌の特訓の相手をするためだった。



 果たして未歌と少女の対戦が始まった。相手の序盤の動きは、概ね未歌の思った通りの動きだった。目立ってマイナーなポケモンはおらず、構築もおかしな点は見られない、技構成もテンプレートっぽい。意表を突かれるようなことはなさそうなので、胸を撫で下ろす未歌。しかし、途中で少女の動きに変化が訪れる。技も行動も、特におかしなところはない。だが、次々と未歌のポケモンが戦闘不能になっていく。未歌からの攻撃はほとんど通らない。こちらの行動が完全に読まれているのだ。サイクルを崩され、そこから立て直すことも出来ず、そのままあっけなく押し切られる。結局、未歌は少女に完敗だった。聞くところによると、少女は三年前の全国大会でチームを準優勝に導いた立役者で、相当な強者らしい。



 特訓のためとはいえ、連日負け続きの未歌は少しピリピリしていた。何度も翼や雫、少女と対戦しているが、予想外の展開になったり、サイクルを崩されてから、なかなかリカバリすることができない。そんな自分に、腹が立っているのだ。夏奈は経験を積んで着実に強くなっている、華音もかつての力を取り戻しつつある。翼も恐らくは……しかし自分は——と帰り道で思っていたそんな時、後ろから声を掛けられる。少女だ。帰り道まで彼女は着いてきていたようだ。そして「焦らずに、今自分がチームのためにできることを考えて、その通りにすればいい」と諭される。いきなりそのようなことを言われても、なかなか簡単には割り切れないのが人間の性だが、しかしその言葉で未歌は、自分のすべきことを見つめ直すのだった——

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.25 )
日時: 2015/08/20 02:44
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

「良いか、ボーマンダの竜舞空を飛ぶは強い!」
「ナンセンス。サザンドラの流星群こそが最強」
「いーや、馬車の飛び膝蹴りでお前のサザンなんざお終いだ! ん、どうした? ギルガかクチートと組むか? ん?」
「そっちこそマニューラの氷の礫でご臨終。マンダは何かと組んでも結局オワコン」
マンダだサザンだと自分の相棒(と書いて嫁と読む)を自慢し合っていがみ合いに発展し、一歩も引かない、いつもの2人。結局互いのエースを口汚くディスり合うという見ていて鬱な言い争いに。
そこに華音が遅れてきて、翼に「放課後に来てほしいところがある」と言う。
翼は「別に良いけど」と承諾した。
ちなみに、結局マンダとサザンはどっちが強いのかと夏奈に聞かれる雫。とりあえず彼は
「両方共スカーフガブの逆鱗で確1だね」
と答えたのだった。

どうやら、華音によるとこの間の一件で翼のことを気に入った華音の母・祐佳が翼にまた来て欲しいと言ったとのこと。
だが、窓越しに2人が一緒に下校するところを見ていた未歌は一瞬、嫉妬のようなものを覚えるが、無視することにした。

次の日、先日翼はどこに行っていたのだろうと考える未歌。そんな中、今日も華音と一緒に下校しているところを見てしまう。
ふつふつと嫉妬の感情が浮かび上がってくる。翼を独り占めしようとする念が浮き彫りになった瞬間だった。実は前から体型でも性格でも自分を上回る彼女に劣等感を感じていたのだ。

考えてみれば、最初は2人っきりだったあの空間。その空間に夏奈や雫、そして華音。だんだん人が増えていった。それが嬉しくなかったわけではない。しかし、同時に彼との時間が減っていったのも事実だ。
と、そこに翼が「この間は悪かったな、サザンドラの流星群はやっぱつえーよ」と謝ってくる。そして、
「今度、一緒に2人で対戦しようぜ」
と持ちかけてくる。しかし、
「私なんかといても不快になるだけ」
と断る未歌。
「怒ってるのかよ」と言う翼に「自分の行動を省みたらどうかしら」と言って去ってしまう。

そんな中、翼と華音の2人が一緒に下校していたという噂はたちまち広がり、ポケモン部でも波紋を呼んだ。
何日か経ったある日、翼が華音の家でパーティを開くから来て欲しいとみんなに言う。
「ほほう、それじゃあお祝いの赤飯が必要のようだね。僕買ってくるよ」と怖い笑顔で返す雫。かなり怒っているが、翼はそれに気付いていない。が、雫も一応行くようだった。夏奈も訝しく思うが行くことにした。
しかし未歌は嫉妬から「行かない」と言ってしまうのだった。

結果、パーティは裕佳の退院祝いだった。どうでも良いが一応お祝いなので赤飯は無駄にはならなかった。ついでに赤飯が血でもっと赤く染まることもなかった。しかし、結局来なかった未歌のことが心配になった翼はその日の夜、「今度、デパートのマルチの大会で一緒に参加しないか」とメールを彼女に送る。

自分の行動を悔やんだ未歌は「わかった、いく」と返す。しかし当日。エントリーが定員を超えたため、出場者を決めるクジに外れて参加できず。
あまった時間を持て余すようにデパートをぶらぶらする2人。だが、気まずい所為かなかなか話せない。
思えば、2人きりになったのはいつ以来だろうか、と考える未歌。そして自分がむしゃくしゃしていたのは、翼を独り占めしたかったからということに気付く。
そこで「俺ちょっとジュース買って来る」と言って、店に向かう翼。歩き疲れた彼女はベンチで待つことにした。そこで偶然、華音を見かける。

歩き疲れたのを忘れて、華音の方に駆けて行く未歌。一方の華音は退院した母に街を紹介していたのだが、デパートではぐれてしまって探していたのだ。
だが、そんなことを知る由もない未歌に「翼は渡さない」と詰め寄られ、いきなり対戦を申し込まれる。そんなことをしている場合ではないのだが、仕方なく対戦を受けることに。

対戦は接戦の末、華音が勝利した。
翼との関係を教えて、と未歌に迫られる華音だが「誤解だよ! それは---------」と言っている間に祐佳がやってくる。彼女の説明で誤解が解け、一件落着。
そこに翼も戻ってきて、4人で昼食を取ることになったのだった。そして、未歌の恋情を悟った華音は彼女の恋を応援することに決めたのだった。

帰り。「仲直りの印だ」と言って翼が小包を未歌に渡す。中にはサザンドラのメタルチャームが入っていた。
すると未歌も自分も悪かったし、怒ってパーティに出なかったからごめん、と謝る。
そして「また2人で……こんな風に出かけない?」と誘ったのだった。

Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.26 )
日時: 2015/08/20 02:45
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

 日に日に地区予選が近づいていく中、特訓を続ける極・ポケモン部一同。しかし毎日同じことの繰り返しで、そろそろ精神的にきつくなってきた。いくら強くなるためとはいえ、パターン化した特訓はほぼ単純作業だ、精神がすり減っていくのも当然である。雫としても、このまま部員のモチベーションが下がるのは困るので、部員たちで適当になにかしらの大会や、校内で対戦のできる相手を探すことにした。



 適当に探すと言っても、翼や未歌たちにはアテがあった。そう、いつか夏奈の初陣の相手にした、クラスメイトの御剣鋏弥だ。前回と同じように、翼が半ば脅迫して彼を部室まで連れて行くが、その道中で雫と遭遇した。その後ろには、見慣れぬ女子生徒が一人。どうやら彼も、対戦相手になってくれるというクラスメイトを連れて来たらしい。人数は多いに越したことはない。さらに鋏弥とは対戦経験があり、手の内もそこそこ透けているので、完全に初見の相手はありがたい。ということで喜ぶ翼たちだが、その女子生徒を見るや否や、鋏弥の態度が急変する。同時に、相手の女子生徒も鋏弥に反応を見せた。女子生徒は鋏弥になにか言おうとするが、最後まで言うことはできず、鋏弥も一同を置いて立ち去ってしまった。



 とりあえず女子生徒と共に部室に向かう一同。女子生徒の名前は、御剣ココ。そう、あの御剣鋏弥の姉だそうだ。今はポケモンを半ば引退しているようで、レートに潜ったり大会に出るなど、積極的な対戦はしていないとのこと。それでも完全にやめたわけではなく、全国へ行くメンバー探しの時は断られたが、軽く対戦する程度なら、という条件付きで今回は了承してくれた。そんなことよりも翼たちが気になっているのは、鋏弥の態度。どう見ても姉弟喧嘩をしているか、そうでなくとも普通の関係ではないことは明らかだ。ココから話を聞くが、どうやら昔からあんな感じで、家でもほとんど言葉を交わしていないようだ。ココとしては、なんとかしたいと思っているが、彼女も明確に鋏弥が自分を避けている理由は分からないらしい。



 そんな話を聞かされ、対戦する気が削がれてしまったポケモン部一同。気になることだが、他人の人間関係に干渉することは憚られる。しかし夏奈が真っ先に、二人の関係を改善させたい、と意見する。一応、彼女の勝利で飾った初陣の相手なので、それなりの恩義は感じているようだ。それに続き、華音もできることなら、と夏奈に着く。しかし、最近になって大人しくなり、脅して対戦相手にしているものの、翼や未歌にとって鋏弥は、なにがあろうと不良のリーダーである。未歌を嵌めて絶望を与えようとした時のことは忘れようがない。二人の仲直りに賛成の夏奈、華音と、それを渋る翼、未歌。雫は鋏弥の素行を知ってはいるものの、虻村を失墜させた時の件もあり、中立に立っていた。結局、この日は特に何もせず、部活は終了した。



 鋏弥の回想と一人語り開始。
 今でこそ鋏弥は姉のことを避けているが、しかし昔からそうだったわけではない。むしろどこに行くにも彼女に着いて行き、よく一緒にいた。とりわけ鋏弥がココを好きな理由は、ポケモンだった。昔のココはそこそこの有名人で、かなりの強者であった。大会では何度も優勝経験があり、鋏弥はそんな彼女を尊敬していた。「勝っても負けても楽しいし、どんな結果でも得られるものがあるのがポケモン」というのが彼女の持論で、鋏弥もそれを信じて疑わなかった。
 ココが中学一年生になったある日、彼女は全国大会の地区予選に出場することとなった。鋏弥もその応援に、会場へと駆けつけた。昨年には凄まじい強さの三年生が相手を蹴散らしていたと、ココたちの学校は評価されている。そしてその再来とまで言われるほどに、ココたちのチームは快進撃を続けていた。しかしその快進撃は、中途で止まることとなる。相手チームは強者揃いで、ココたちのチームにも黒星が目立ち始める。そんな中、相手のエースらしい人物とココの一騎討ちとなり——彼女は敗北した。言い訳のしようもないほどに惨敗だった。しかし鋏弥は知っている。いくらボロボロに負けても、いつも笑顔で帰って来る彼女の姿を。負けても楽しいし、得られるものがあるのが、彼女のポケモンだ。全国出場が叶わなかったことは残念だが、彼女にはまだ、来年と再来年が残っている。今回は負けてしまったが、健闘を称えようと、鋏弥は彼女を迎える。だがそこにいたのは、彼の知らない、意気消沈する姉の姿だった。
 そしてこの日を境に、御剣ココはすべての大会に姿を現さなくなった。そして御剣鋏弥は、自分の考え方を改め、不良グループのリーダーとなった。



 翌日、雫は一枚の紙を持ってきた。それは、週末に行われる大会の知らせである。雫はこの大会に、部員で出場しようというのだ。昨日の御剣姉弟の件がまだ尾を引いているというのにこんなことを提案するとはどういうことかと言うと、彼のが言うに、予選も近いので、御剣姉弟のことは忘れようということだ。予選は10パートナーズルールというレギュレーションを採用しており、週末の大会はそれに酷似したレギュレーションで行われるらしい。つまり、週末の大会で予選や全国で行われる10パートナーズルールのようなレギュレーションに慣れておこうというのだ。雫の言うことはもっともで、夏奈以外の三人は納得するが、夏奈は昨日のことについて冷たすぎるのではないかと反抗。そんな彼女に雫が言い放ったのは「誰か応援してくれるような観客がいるといいかもね」という意味不明の言葉だった。さらに去り際に「この大会は参加者があんまり集まってないみたいだし、もう一人くらい誰か連れて行きたいね」という言葉も残していく。華音はそれら二つの言葉で雫の言わんとしていることが分かった。雫の表向きの目的は、部員たちをパートナーズルールに慣れさせること。しかしその裏では、御剣姉弟の関係修復を図っているのだ。それを理解した華音は、翼や未歌を連れ、ココと鋏弥に大会のことを話す。ココには鋏弥が出るから観に来て欲しいと、鋏弥にはココが来ることを伏せておいて出場して欲しいと。



 中立の立場だった雫としても、似た状況にある知り合いがいたので、ココのことは放っておけなかった。一見するとココと接しようとしない鋏弥に問題があるように見えるが、しかし実際に問題なのはココの方だ。事実は複雑だが簡単に言うと、彼女が対戦に復帰することが、鋏弥との関係修復に必須だ。そのために、弟の対戦する姿を見せつけようというのだ。彼女が対戦から身を退いた理由は知らないが、弟が勝利を求めて戦う姿を見れば、なにか変わるかもしれないという、ある種の賭けである。
 そしてやって来た、大会当日。慣れないルールに戸惑うポケモン部一同。夏奈は早々に敗退し、完全に実力の戻っていない華音と、未歌もとんでもない地雷を踏んで敗退。準決勝まで残ったのは翼と、まさかの鋏弥だった。



 準決勝が始まろうという時、電車を乗り間違えて遅れて来たココは、ちょうどステージに弟が出て来る様子を目撃。そしてその対戦を見届ける。
 かなりの接戦となる翼vs鋏弥だったが、あと一歩というところで鋏弥が敗北。決勝に進んだのは翼だった。
 負けた後、会場の廊下を一人で歩く鋏弥。その前に、ココが現れる。結局負けた、なにも得られなかったと語る鋏弥に対しココは、そんなことはないと返す。そして、鋏弥が必死で戦う姿を見て、鋏弥のお陰で、本気で対戦に向かい合っていたあの頃の熱意を取り戻せたと言う。それに対し鋏弥は「勝手にしろ」などと素っ気なく返すが、内心では喜んでいた。ココにもそれは分かる。こうして、御剣姉弟の間にできた溝は、埋まったのであった。



 後日、ココが鋏弥を連れて部室にやって来た。大会に誘ってくれたことと、二人の関係が改善されたことに対する謝礼を言いに来たらしい。これからココも、本格的な対戦に復帰するとのことだ。そのことを喜ばしく思いながら、ポケモン部一同は、迫る地区予選に向けて、特訓を開始するのであった。


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