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【長文/開幕】さよなら世界【募集中】
日時: 2015/09/25 23:10
名前: 緋織 ◆S2QRgg5fs2 (ID: mXDJajPZ)
参照: http://www.kakiko.info/bbs3/index.cgi?mode=view&no=16046



【↑は過去スレです。新規様も大歓迎です!】




「全て悪い夢だったら良かったのに」と言った人が居た。


舞台は非魔法世界、19世紀西洋にある国シチーリア。
銃の普及や警察組織の力によって治安が安定してきたと思われたその時、複数の犯罪組織が表舞台に立った。
恐喝や暴力により勢力を拡大したその組織を当然のように誰もが皆恐れた。

そして最も恐れていた事が起こった。

犯罪組織はそれぞれ『共存』を求めず、勢力を持った邪魔な組織を潰そうと国全体を巻き込み争いを始めた。
裏社会では毎日のように抗争が繰り広げられていたが、徐々に表社会にもその影響が出るようになってしまった。
争いを恐れる国民達を守る為にと警察組織も立ち上がり、それは歴史に残る争いとなった。


——美しさ、優しさ、優雅さ、完璧さ、そして名誉ある男、勇気ある人、大胆な人——
人々は媚びるようにその意味を込めた言葉で彼らを【マフィア】と呼んだ。




【このスレは長文となっております】


こんにちは、緋織と申します。
元はライと名乗っていたものです。
今回は長文、返信期間なし、というルールを加え前スレをリメイクさせていただきました。
さよなら世界を閉鎖し忘れていたばかりに、あちら側で反応できずに大変申し訳ありませんでした。
しかし、出入りしてくださった方々をみて、リメイクを決断しました。



※このスレは旧なりの「さよなら世界」というスレを再建したもので、前スレから約三年の歳月が流れています。ドールファミリーの壊滅、新勢力や新たな役職の登場等、勝手な変更点も多々ありますが、前スレで楽しんで下さっていた方には是非引き続き楽しんでいただければと思います。

また、このスレは2スレ目という事もあり、お友達の寝退さまと二人で管理させていただきます。キャラの承認やスレの編集等も私が不在の際にはお願いする事になると思いますが、ご了承下さい。





【ルール】

Ⅰ 荒らし、本体同士の喧嘩は禁止です。最低限のマナーは守って下さい。
Ⅱ 今回は長文スレとさせていただきます。最低650文字以上でお願いします。
Ⅲ 魔法や超能力、不死身等の設定は禁止です。一般的に入手不可能な武器の使用も禁止します。
Ⅳ 最強、超美少女・美少年設定はご遠慮下さい。直接的な描写でなければ問題ありません。
Ⅴ 恋愛は相手を不快にさせない程度。ギリギリの性的描写は構いませんがそれ以降は飛ばして下さい。
Ⅵ 相手が不在(落ち)状態の時に勝手に攻撃をけしかけたり、話を進めないで下さい。進行に狂いが生じる恐れがありますので一切禁止です。
Ⅶ ドッペル禁止です。長文なので何日以内に返信を〜というルールは設けませんが、完全に返信が止まり呼び掛けても本体からの応答も無い場合は新しく始めても構いません。
Ⅷ キャラの作成は一人三体までとさせていただきます。キャラを作り直す際は、消したいキャラを申告して下さい。
Ⅸ 記号の乱用や、あまりにも世界観を壊してしまうようなキャラの言動、暴走は禁止です。
Ⅹ 死ネタは理由とキャラ名をスレ主に申告して許可を得て下さい。許可なく勝手に死なせたりしないで下さい。また絡んでいる相手の了承も取って下さい。





【登場する語句の説明・各組織の名前や説明】 >>1
【役割と参加者様一覧】 >>2
【参加用紙】      >>3





Page:1 2 3 4 5 6 7



Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.62 )
日時: 2015/10/11 14:06
名前: ナタノ (ID: rRIugyj2)



>>58

扉を叩いて少しするとドカッというどこかに何かをぶつけるような音がして大よそ女性らしさとはかけ離れた野太く大袈裟な声が「うはっ!?」と扉越しに響いてきた。机に突っ伏して寝ていたのならライトに頭でもぶつけたのだろう。一般からすれば女性らしさを含まないその悲鳴をラブラドールはレイディっぽくて素敵!だとか思いながら聞いていた。

靴が床をこする音がしてフラヴィがこちらに近づいているのが伝わってくる。いつもよりほんの少し大股だからもしかしたらあまり機嫌が良くないのかもしれない。フラヴィが机に突っ伏して寝ている時用の起こし方も考えなきゃ、と真剣に考えていると目の前の扉が開かれた。ラブラドールは最高の笑顔で微笑んで不機嫌顔のクイーンレディの前に盆を恭しく掲げる。

「お届け物でーす」

フラヴィは途端に目及び瞳孔をカッと光らせると開口一番にこう叫んだ。

「ケーキだ!! しかもそれショートケーキじゃねーか!! アタシがチョー気に入ってるやつ!」

瞳に光を宿し指を差してそう叫ぶフラヴィは文句なしにキュートでラブラドールはデレデレと緩む頬を抑えられない。するとフラヴィは紅茶やお菓子が落ちるのもまるで考慮せずむしろ構わんと言った調子でそれを運んできたラブラドールにがばっと抱き着く。ラブラドールは器用に盆のバランスをとりながらフラヴィに抱きしめられる感覚を充分に堪能した。正直脳内で考えていることは変態そのものであるが、口に出さなきゃバレないのである。

「ラァァビお前マジで出来た子だよホンット解ってる! 最近ホント頭働かねーってのに色々雑務ばっかりでよっけーに疲れるしで出掛ける暇もねーしあー偶にはいちごの乗ったショートケーキ食いたいわーとか思ってたんだよもうホント気が利くゥッ! よし、入れ。一緒に食うぞ!」

「ふっふっふ〜。なんてたって私はレイディの側近だからね!レイディの事はお見通しなのです。
何か手伝える仕事あったらお手伝いするからなんでも言ってね!あ、これは表の会社の出納決算書だよ。あとはレイディがハンコ押すだけの状態にしてあるからね」

ラブラドールは書類をフラヴィに手渡してお茶の準備を始める。甘いショートケーキは確かに魅力的だが、現在体重計と格闘中のラブラドールからしてみれば仇もいいところだった。

「ケーキはレイディがぜーんぶ食べちゃっていいよ。私、今体重計と仁義なき戦いの途中だから」

昨日見た時もほとんど減っていなかった体重を思い出してラブラドールは一瞬歯を食いしばる。基本的に食べたいものは食べたい時に食べたいだけ食べるのがラブラドールだが、体重が増加の一途をたどればそうも言ってはいられない。これでも一応立派な乙女なのだ。体重なんてどうでもいいとは割り切れないものである。

「レイディは細身でいいなぁ〜」

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.63 )
日時: 2015/10/12 01:20
名前: 時谷 空 ◆AdKeSZp7eg (ID: .x5yvDPk)

>>61

心外だと不満を漏らすがしかしその姿を変えることはないのだろう青年に思わず声を上げて笑う。まるで服や見た目に頓着しないといった様子で、しかしこう言っては失礼なのだろうがこの短い時間の付き合いで、彼らしいとそうロベルトは思っていた。何もかもが面倒臭いとでもいうような振る舞いだが一つの物事などに集中した時にはきっとロベルト自身にもわからない未知のパワーを発揮するのだろう、出会ってから一つの隙も許さないような人間だ、他に何か隠し持っているに違いないという長年の警察人生の勘だった。

しかしながら先ほどマフィンの美味さに素直に美味しいと頷くスタンリーは幼く見えそれは身長のせいか、小さな口で主張する八重歯のせいなのか、はたまたスタンリーという人間を構成するすべてだろうかと考えながら小さくマフィンを齧るスタンリーを見下ろしていた。素直に出てきた名前はおそらく本名なのであろう。人間は不自然に何かを偽ろうとするとどこか癖がでてしまいがちなのだが、この青年にはそれがなかったためにロベルトはそれを信じ頭に記憶させた。

「スタンリーね、よろしく。そうか、何処かで聞いたことある、か。…いや、なんというか、新鮮だな…。というか私の自惚れか。存外私のことなど知られていないのだなぁ…」

何処かで見聞きした、そう答えが返ってくるとは思っておらずロベルトは衝撃を受けた。確かに今まで早々と話題になることはなかったが、先の件、そうドールファミリー解決の際に大きく話題となり新聞や記者会見などの類にも説明や今後の方針としての意見などを述べ露出は少なくないはずなのだが、どうやらこのスタンリーという青年にとってはどうでもよいことなのだろう。そう思うと少し自身の思い上がりに恥ずかしくなり一瞬だけ目が合った視線もスタンリーと同じく視線を外しながら頬を掻く。

「あー、ところでスタンリー。君はこの近辺でどこか旨い店を知らないか?」

できれば、片手で食べ歩きが出来るものが好ましい。と付け加えた。話題を逸らすように口にした言葉は羞恥心を隠すためと、どうやらマフィンでは腹が膨れなかったらしいロベルトの胃袋を落ち着かせる為の発言でもあった。

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.64 )
日時: 2015/10/14 22:31
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)


>>62



最近と呼ぶべきかはわからないが、この三年間の間にフラヴィの秘書は代わった。前任のジェラルドの昇格が決まったことにより、その後釜に選ばれたのが目の前でケーキとお茶を持ってにこやかに笑っている女性、今しがたフラヴィが「ラビ」と呼んだラブラドール=フランドールである。
小麦色のお下げを揺らし、春になれば満開になる桜を連想させるような鴇色の眸を携え八重歯を見せて笑う彼女は、茶目っ気たっぷりな娘のように快活な愛らしさを放っているが、彼女もまたディア・ファミリーの一族であり、フラヴィ=ポワンカレの秘書であり、優秀な右腕だ。
生意気ざかりで何処か斜に構えているジェラルドをからかうのがとても楽しかったのものだから、彼が昇進してしまったのは寂しいしとても面白くなかったけれど、今ではそんなことも忘れたかのようにフラヴィはこのラブラドールをいたく気に入り、とても可愛がっていた。
何せ容姿が可愛らしいだけでなく、フラヴィの苦手な事務を任せても不足なくこなし、銃を持たせればがんがんぶちかます彼女の暴れる様な銃撃スタイルもフラヴィには大変愉快であり、さらにはラブラドール自身もこのフラヴィのことを慕っているらしく、良く率直にフラヴィを褒めてくれる。自分のことを好きな人間が基本的にフラヴィは好きなのである。

「サンキューラビ! マジで助かるわァ〜」

少ない量にまとめられた決算書を受け取ると、ぱらぱらとその内容をチェックする。やはり自分がやるより申し分のない出来であり、本当に心底感心する。
それらを自分の机の上のファイルにすとん、と収納したフラヴィは体重計と戦争中だと言うラブラドールの言い草が面白くて男の様に闊達に「HAHAHA!」と手をたたいて笑った。

「へーえ、お前ダイエットしてんの? でもお前そんなにデブってねえんだから必要ないんじゃん?」

「骸骨になっちまうぜ」と冗談めかして口をすぼめ「ム○クの叫び」かのようなポーズを取ってそう問うた。実際にラブラドールはパッと見た感じでも太っているようには思えなし、その上彼女は小柄だ。実際マフィアなんて常に運動しているようなものだし、ラブラドールだって怠惰な生活を送っているとは言えないだろうに。“おんなのこ”というものはどんな子も大抵痩せたがっているようなことを口にする。たとえ脚が棒きれのようであってもそう言う事を言うけれど、フラヴィとしてはそれが良いこととは思えない。もっと飯を食え! と喝を入れてやりたくなるくらいだ。細身の体格を羨ましいとでも言うようにいいな、と口にする彼女だって、別に太くはないけどな。それとも着やせするタイプなのだろうか。ただ褒められたと受け取ったフラヴィはまた嬉しそうに「ふっふっふ……」とドヤ顔する。

ケーキの置かれた部屋のテーブルの前、フラヴィはデスクの事務椅子を動かしてそこによっこいしょっと情けない声を出して腰かけた。目の前には白くて綺麗なクリームの乗ったショートケーキがきらきらと美味しそうなオーラに包まれながら皿の上に控えている。本当においしそうだがこういう切り分けられる大きさのケーキは誰かと食べたいものである。例えば、目の前の可愛げ溢れるラブラドールとか。

「まぁ、そう言わずに一口や二口や三口くらいは食べろって! 美味いぜ?」


Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.65 )
日時: 2015/10/15 13:56
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)

>>63



面白いことを言ったつもりはないけれど、ロベルトはおかしそうに闊達に笑った。今の何処が笑いどころだったのか理解できないスタンリーは、唐突の新鮮な反応に何が面白いの? とでも言いたげに怪訝そうな顔をした。
妙なものに捕まってしまったなあ、チンピラに絡まれて気を失うし起きたら起きたでクレオパトラが蒸発してるし、見つけたと思ったら今度は警察総合指揮官に遭遇して職務質問を食らう。無闇に部屋の外へ出たら面倒事に巻き込まれると解っているのに、何で外食なんて思いついたのか、変なことを思いついた昨日の自分に殺意が湧く。
ネガティヴな方向に悩み始めるとキリの無いスタンリーは隣にいるロベルトのことも構わずため息をつく。こうすると重く固くなってしまった気分が幾分か和らいでくれるのだ。

 急に目を覗き込まれて、体に緊張が走ったのは演技でも何でもなく、スタンリーのもともともっている神経質さのせいである。でもどぎまぎと、うろ覚えの人物かのようにロベルトのことを語るけれど、何処かで見たことがあるもなにも、この街を食い荒らすマフィアの一派を追い詰めたロベルトの名をスタンリーが知らない訳がない。要注意人物。脅威の存在。恐れの対象。と、同時に情報屋にとっては客を釣る材料としては格好である。

『スタンリーね、よろしく。そうか、何処かで聞いたことある、か。…いや、なんというか、新鮮だな…。というか私の自惚れか。存外私のことなど知られていないのだなぁ…』

気恥ずかしそうに頬を掻く男を見て、フォローするみたいにスタンリーは首を横に振った。

「ううん、多分あなたのことをよく知らないのは俺ぐらいなんじゃない?」

そう言ってスタンリーは指をさす代わりに右に、左に視線を向ける。行き交う人々の視線が時折此方を向いては突き刺さるのが先程から伝わってくる。好奇を含む眼差しが向けられているのはきっとこのシチーリアのヒーロー、ロベルトである。間違っても隣にいる飼い猫の方が立派な毛並みをしたみすぼらしい男ではないと、スタンリーは信じて疑わなかった。

「……周りが知ってること、俺は知らないってよくあることだから」

なんて変わらぬ調子で言ってみても、それは実際とは少し違う。
恥ずかしさを誤魔化す様に話題を逸らすロベルトは、マフィンを食べていたのにもかかわらずまだ何か食べようと思っているらしく、うまい店は無いかと聞いてきた。普段は即席物ばかり食べているおかげで全く外に出て食べないスタンリーは、地区情報にはあまり詳しくない。しかし、偶然通りかかったところにあった美味しい店だったら少しは覚えていた。ある仕事の一件で関わったマフィアを追っていた時に見つけたものだったが、外装が結構好みだったので記憶できた。名前は忘れたけれど外装さえ変わっていなければわかる。

「ちょっと歩くと思うんだけど……」

最後まで言わないがそこには「それでもいいか」という続きが含まれている。
確かちょうどこの道を行った先、其処を曲がった通りを行けばあったと、思う。

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.66 )
日時: 2015/10/16 15:26
名前: 時谷 空 ◆AdKeSZp7eg (ID: f/YDIc1r)
参照: 食いしん坊か


>>65



よく知らないのは俺ぐらいじゃないか、と見るからに一回りも二回りも年下であろうスタンリーにフォローをされ、ロベルトはさらに気恥ずかしくなり、はは。と短く空笑いしながら視線を同じく左右に向けながらその好奇な目を向ける人々に軽く手をあげ挨拶をする。今のやり取りを聞かれていたのだろうかその中にはくすくすと笑いを零す人々が多く見受けられ、ロベルトは恥ずかしさもあったのだが、その市民らの笑顔を見れただけでも損ではなかった。何よりもこの今平和な事がただただ嬉しかった。特に今時点では抜け出してきた状態ではあるものの携帯への着信を知らせる者はいないし、何より憎たらしいマフィア共をまだ目にしていないなんとも平和なこの時間、市民らの笑顔。それだけでもなんと喜ばしいことなのだろうか、と。

「いや、すまない。少し、取り乱してしまった。」

再度視線をスタンリーへ戻すと苦笑いをし一人勝手に焦り羞恥を覚えていた事へのフォローを感謝する。その頃にはとっくに熱くなっていた頬は冷まされていた。

『……周りが知ってること、俺は知らないってよくあることだから』

そう漏らすスタンリーにロベルトは少しだけ声音を下げ試すような事を口にする。

「なんだか君は周りが知らない様な事を多く知っていそうだなぁ。」

周りが知っている事は多くは知らない。しかし周りが知らない事を多く知っている。なんとも天邪鬼な考えだったが、少し歩くというスタンリーおすすめの場所は何となく期待できそうだ。そう思うと期待に胸が膨らみ、同時に先ほど腹を満たせなかった怒りなのかロベルトの腹がぐううと音を立て主張してくる。

「よし、すぐ今こう。案内してくれるな?」

もう腹が減って死にそうだ!と言わんばかりの勢いでスタンリーの背中を叩くときょろきょろと見回す。彼が薦める店はどこだろうか、どんなものを紹介してくれるのだろうか。割とこの近辺はよく食べ歩きをしたものだと、あの店は少し味が薄いだとか濃いだとか思い出していると自然と涎まで垂れてきそうになり、いかんいかんと首を振り我に返るとスタンリーに早く行こうと期待の眼差しを向けた。

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.67 )
日時: 2015/10/22 13:23
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: スタンリー@閉鎖空間(じぃー…)


 気恥ずかしげに、その感情を誤魔化しているみたいな笑い声が聞こえると、ロベルトはサービス精神か元々愛想がいいのか、周りに挨拶を振り撒いた。その様子をスタンリーのまだ眠り足りないとでも主張したげなグレーの眸は冷静に、しかしじっとりと観察していた。ロベルト=アルジェントはスタンリーの予想と人物像が大分ぶれていることが分かった。
 なんというか、簡単に言えばもっと偉そうな口ばかりのおっさんかと思っていた。見た目の老け具合からするとおそらく四十代程度。そのぐらいの年になるとこう言ったお偉い立場の人間と言う者は精神的に図太くなるものだと勝手に思っていたが、どうにも様子を見る限り違う。身のこなしや浮かべる表情は若々しさが垣間見え、されどももともと持っている雰囲気は流石それぐらいに生きた人間だ。とても落ち着き払っていてる。立場も相まってどこかのチンピラ程度じゃ太刀打ちできない威厳がある。
 偉そうなおっさんなら大抵周りを侮っていてつけ入るすきの一つや二つはありそうなものだけれど、彼の場合は違うみたいだ。
 
 この人では遊べない。下手をすると自分の身が危うくなるもの。無理や欲張りなんて面倒くさいことをして身を滅ぼすのは趣味じゃない。けれどもこれもビジネスだ。彼と関わっておくことでもしかしたら今日スタンリーはとてつもない収穫を得ることになるかもしれない。
 苦々しく礼を言うロベルトにスタンリーは「別に……」とまたピリオドまでたどり着くことの無いしょっぱい返事を返してしまう。別に構わないという意味合いと伝わらずに周りの反感を買う事は数知れず。

『なんだか君は周りが知らない様な事を多く知っていそうだなぁ』

 ああ、察しの良い奴。もはやこいつ、もう俺の正体に気付いているんじゃないのか。
 浅黒い眉間に皺を寄せて、スタンリーは不満げにロベルトを見た。相手のことは勘ぐるくせにスタンリーはこう、靴も脱がずに心の中に入ってくる客があまり得意ではないのだ。しかし、相手も警察だ。疑いをかけることだって厄介極まりないが仕事だし大得意なのだろう。多くの人間と出会ってきたに違いない。経験値が底知れない。

「……別に」

 呟くような短い一言はとても頑なだけどとても小さく、しかし食いつく勢いのロベルトに背中を叩かれると自分でも驚くぐらいに大きな声が出て、重たい瞼に隠れた眸は全開になった。少し丸まりがちだった背筋はピンと伸びて反り返るくらいで叩かれたところを反射的に手がさすっていた。吃驚した。

「ちょっと歩けば……あるんだよ……いったぁ……」

ぽつりぽつりとした口調は少しだけ早まって、心底痛そうに眉間に皺を刻みロベルトを見る。不満げながらもスタンリーは珍しく自分から話題を振った。

「……力、強いんだね」



【なんというかロベルトさんが可愛すぎて辛い私です……b】

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.68 )
日時: 2015/10/28 23:39
名前: 時谷 空 ◆AdKeSZp7eg (ID: 42M2RXjr)

>>67

別に、とどこか苦々しい言葉を漏らしていた彼が今度は恨めしげに言葉を吐いた。そんなに強く叩いたつもりはなかったのだが跳ねるように背筋を伸ばし痛みを和らげるように背中をさするスタンリーにロベルト自身も驚きそこまで力が入っていただろうか、と苦笑いを零す。


「……力、強いんだね」

そう興味本位からか初めての質問にロベルトはスタンリーをまるで自分の子供でも見守るかのような表情で答える。

「まぁ、警察だしなぁ。」

少しずつちょっと歩けばという言葉を頼りに歩みだせしながらぽつりぽつりと自身の事を語る。

「…昔から身体鍛えるのが好きでなぁ、まぁ警察になるために…っていうと大げさだけど小さい頃から憧れていた職業だったし、それでだろうか、鍛え始めたのは…」

しみじみと思い返せばまだロベルトが10代の頃、これもありきたりではあるのだが平凡に過ごしていた幼き時代にチンピラに絡まれていた所を警察に助けられた次第で。10代ってのは何にでも影響されやすい多感な時期でもあったし、ロベルトが警察を目指すのもこれまたありきたりであった。自然と警察官になり、ただただ真面目に職務をこなしていたが愛する家族を殺され一度は警察にならなければ妻や娘は殺されずに済んだのではないか、と後悔もしたがマフィアさえいなければそんな思いもせずに済んだはずだ、とマフィアを根絶やしにするという大きな目標もできた。おかげかせいかはさて置き、堅実にロベルトは指揮官という立場まで上り詰めたのだった。頂点に立ち気付いた事もあった。今まではマフィアへの復讐というものが彼の根底にあったのだが、マフィアに怯え暮らす人々を守りたい。とい願いへといつしか彼の目標は変わっていった。ロベルト自身それが家族への報いだとも思え今では復讐をしたいと望むことはなくなっていった。守りたいものが大きすぎると自嘲もしたがこの大きな手で守っていければ、と自身の手のひらを見つめそう考えていた。

「…手が大きい人間に育ってよかったと思っているよ。はは、君のように小さな手ではこうまで成長できなかっただろう」

スタンリー位なら片手で持ち上げられそうだ、と冗談を交えながら豪快に笑った。



【遅くなりすみません…!
おじさん属性は全部天使にみえま(ry どうぞかわいがってやってください(?)】

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.69 )
日時: 2015/11/06 15:59
名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)



『まぁ、警察だしなぁ。』

 脆弱なスタンリーには重さのある一撃も、そう言えば当然のことなのかもしれない。体を張ってシチーリアを駆けまわる警察と言う職務は体力が肝だろう。軟弱な奴に勤まるものではない。ロベルトのように権威ある立場の人間ならばもしかするとそれでもいいのかもしれないが……

 スタンリーは歩いているうちにいつの間にやらロベルトの顔を見る様になった。笑ったりはにかんだり微笑んだり、温みのある表情を良く浮かべているけれど、初めて顔を合わせた時、スタンリーという怪しい鼠を見つけた時の冷える様な鋭い目つきは研ぎに研ぎ澄まされていた。何かいけないことをしているような気分になって目を逸らしたくなるような警察官の不気味な目。警察としての職務に彼はきっと怠りを知らない。厄介な奴なんだと解る。

そうこうしていれば彼はスタンリーが初めて自分のことを問うたことを微笑ましげにした。
聞いてもないのに自分語りが始った、とか白けた若者らしい冷たさを心の中だけで発揮するスタンリーはそれでも彼の話を何でもない普通のことの様に聞いていた。そのしみじみとした様子は彼の漂わせる若々しさとは相反して見える。やっぱこの人おっさんなんだなと。

彼の語る人生にはそこかしこに「ありきたり」という言葉が付属していた。幼き頃に悪を退治する警察と言う職業に出会ったこと、その人に影響を受けて警察を目指したこと、夢をかなえまじめに職務を全うしていたこと。されども彼が語るとどうも荒波を乗り切った人生のように聞こえて仕方がないのは何故なのか。「ふうん」とか「すごいね」とか素気ない相槌ばかり打ちながらもスタンリーはその話を最後まで聞いていた。
スタンリーは不意に言う。

「大変だよね、マフィアの駆除ってのは」

他人事風に言ったこの言葉は本心だった。もちろんほとんどマフィアの鐘で飯を食っているスタンリーはマフィアを恨んでいるわけでも愛しているわけでも何でもないけれど、例えば自分がこの警察と言う立場だったとしたらどうだろう。連帯行動が必須となる組織で働くことなんてまっぴらごめんだが、マフィアと戦わなければいけないなら自分は間違いなく殺されているから、それをしている警察は並々ならない者達だろうとか、思ってみたりする。だからって金が出ないなら感化も味方もできないが。

小さな手、と言われたスタンリーは少しムッとした様に無言でまた額にしわを寄せ、眉目を吊り上げた。自分に拘りはないけれど、ロベルトは決して陰気に嫌味を言った訳ではないのだろうし凄く嫌だとも思わないけれども、なんか癪だ。小さな手なんて女々しいではないか。
貰ったマフィンの大きな欠片を無理やりにでも口の中に押し込み自らの黒い手を目いっぱいに広げてみる。
まるで骨と皮しかないみたいな痩せた指が手から生えていてどうにも貧相。スタンリーは諦めて笑うロベルトの隣で溜め息をついた。

もう一度顔をあげると、数メートル先に深緑のボードの建てられた黒板が見えた。十字路の角に建てられた新しいカフェだが其方ではない。その店を曲って4件目に在る方に連れて行ってみよう。

「……あの角曲るよ」

そう思いスタンリーは進路を告げた。


【こちらも遅れてすみません; いやー、ロベルトさんとスタンリーだったらマジで親子だったとしても年齢差的にはいけるかと(( 
 天界属性なロベルトさん!!】

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.70 )
日時: 2015/11/06 16:34
名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)
参照: やっとロミオさんを動かす気になったのにこの仕打ち。




 ピッ、と機械的な高音が下かと思うとすぐにガランと豪快な音と共に熱いコーヒーが取り出し口から落ちてくる。買ったその場、と言うか自販機の前で一口其れを飲むとロミオは深くため息をついた。
 
 夜の巡回から戻ってきたロミオはひどくやつれた顔をしていた。今日は散々な目に遭ったものだ。夜の見回りはいつになっても慣れないもので、なんだか嫌な予感がする日に限って何も起きないし、何も起きないだろうと思っていると誰かと誰かが殴り合いのけんかをしていたりする。其れで、その日が今日だった。立場上、割って入らないわけにはいかないロミオが慌ててそのゴリラのような厳つい野性的な雰囲気丸出しの男と背がひょろたかくてカマキリみたいな不気味な顔をした男の掴み合いに割って入ると、5秒もたたない間に両社から腹に一撃ずつ喰らって自分の出番は終わった。非常に嫌だが義務なので今日の出来事を隊長に報告する。しかし自身の所属する警察B隊の隊長に報告をする前にどうしても喉が渇いて飲み物を買うことにした。しかし目の疲れからか微糖と間違えて無糖を押して文字通り苦い思いをして咽込む彼である。本当に碌なことが無いな、とつくづく今日という日というか自分を呪わずにはいられない。どうして自分はこんなにもダメな人間なのかと、こう言った些細な問題ですら頭を抱えたくなる。つくづく自分で自分を攻撃しがちになるのは彼の良くない癖である。

しかし、買ってしまったものは仕方がない。諦めて苦いコーヒーを飲むことにした彼は休憩スペースに移動することにした。落ち込んでいますオーラを体いっぱいに出しながら、スタンリーは背を丸めて俯き加減で歩く。時々コーヒーをすすりながら。

「……」

しかし困ったことに疲れ目が思った以上にひどいのか、目の前にある形ある物の輪郭と言う輪郭がぶれてしまって仕方がないし、どうも体が重い。気づけばロミオはその場に座り込んでいた。

Re: 【長文/開幕】さよなら世界【募集中】 ( No.71 )
日時: 2015/11/14 02:18
名前: 時谷 空 ◆AdKeSZp7eg (ID: 1qauGher)

>>69



ロベルトが自分勝手に語る過去の話は素っ気なく相槌を打つスタンリーにとっては退屈だったのかもしれない。しかしそれでも途中で止めることなく最後まで聞いてくれた事、それから出会ったばかりの頃に比べてしっかりと顔を見てくれるようになった事、警戒心を解いてくれたのだろうかと、シチーリアに在住するスタンリーと少しでも打ち解けられた事を素直に嬉しく思っていた。


「大変だよね、マフィアの駆除ってのは」

そう同調するような言葉を漏らすスタンリーにロベルトはそうだな、と真剣な表情を一瞬浮かべるがすぐに気の抜けたような顔になりスタンリーを見下ろした。

「うちには優秀な部下が沢山いるからなあ。最近は他国から優秀な人材も借りてきたし、平和な国にしてみせるさ。君らが安心して暮らせる国にね。」

実際に対策課のメンバーが活躍を見せる現在ではマフィアの動きも抑制出来ているのだろうし、仮に何かあったとしても正義の心を持った彼らが悪に屈するはずもないと考えているしもしもの時には私がいる。適当な事を言うようではあったがしかしそこにはロベルトなりに彼らへの信頼もあったのだろう。子供染みた考えだとも言われそうだったが、他者には理解しがたい絶対的な自信がロベルトにはあった。

小さい手と故意にではないが乏したことを根に持ったのかスタンリーが一人自身の手を広げてため息をついたところでロベルトは自身の手のひらをスタンリーの手に重ね比べるのを踏み止まる。さすがにこれ以上してしまってはスタンリーが可哀想だろうか。行き場をなくしたロベルトの手のひらはそのまま俯き納得いかないとでも言いたげなスタンリーの頭に置き、わしゃわしゃとその柔らかな髪を乱暴に撫でる。言葉を発するとスタンリーの怒りに触れてしまいそうで、ロベルトなりの慰めでもあった。

しかし不意に顔を上げ、進路を告げるスタンリーにロベルトは内心ほっとし、それに従い歩いていくがふとした疑問を思いスタンリーに投げかけた。

「そういえば今更なのだが、教えてくれといったのは私だが君はこのまま付いてきて大丈夫なのかい?この後の予定などは…?」

私の腹は全然大丈夫なのだがね!!といらぬことを念押ししてスタンリーのこの後の予定のお伺いを立てる。







【もしスタンリーさんが息子だったらもううざいくらいに構い倒してますねbb離別でもいいですし、続けていただいてもいいですし…いかがいたしましょうか!】


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