二次なりきり掲示板

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『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】
日時: 2016/04/06 15:55
名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)
参照:  音楽で世界に愛と夢を!((( 

 お知らせ>>40(募集の件)






— —

以下、意味不明な駄文が続きます。読まなくても大丈夫です。

— —
































——このご時世じゃ、所有される者達が、弱者が、変わり者が、虐げられるのは大して珍しくないことだけど、


ゴシュジンサマは酔って狂っちまったように、何度も何度も俺の身体に鉄拳を減り込ませ続けた。役立たずとか鈍間とか大莫迦者奴隷の分際でとか、そんな酷い言葉だけが不思議なほどよくこの耳に聞こえてくる。心の麻痺した俺はそれを聞いてもなんとも悲しいとか悔しいとか思えないのだけれども。感覚麻痺。痛覚もぶっ飛んじまってこれだけ殴られているのに身体も痛みに鈍感になっているようだ。

身も心もぼろぼろのボロ雑巾。今の私を掲揚するにこれほどぴったりなたとえは無い。俺は雑巾みたいなものだったのに。仕える相手のために命を絞って働いて、使えなくなったらポイ捨てされる。それなら捨ててもらった方が楽だったのに、使えなくなったって理由で我が主は毎日毎日、俺のことを殴るのさ。今日もそれさ。
もう、心を無にして終わりが来る日を待っていた。それが一番、辛くない。


——それでも我々は、愛と音楽のブレーメンズ。そんな悲劇の世を憂いて病んじまうよ!


そう思っていたのにさ、意識が朦朧として輪郭を失くして、そろそろ眠れそうって思っていたら。
かしゃんってガラスが割れる音がして、目の前には男が立っていた。ゴシュジンサマではなかった。


——皆々様ご存知の通り、我々はブレーメンズ・オーケストラなり!


俺がゴシュジンサマと呼んでいた人は、頭から血を流してその場にぱたりと倒れていた。鉛みたいな心をしていた癖に、俺はその光景に目を奪われて、間抜けに口をぽかんとしていた。何がどうなっている。

『 どんな弱きにも敬意を払え 』

それが私の信条でね、と“団長”は闊達そうな笑顔を見せた。他人が笑っている顔なんて久々に見たような気がする。しかし言っている言葉の意味はこの時の俺には良く解らない。

『 芋虫の前にも女王の前と等しい敬意を払い傅け、その目を見つめ、その声に耳を傾け、その手を取り 』

己が口に出す言葉の通り、彼はぐったりとへたり込んでいる俺の前に膝をつき、目線を絡ませ、手を取った。まだ状況が飲み込めなくて俺は何も口に出してはいないけど。

『 そして、素晴らしき友となれ 』

俺の目をみた彼はまた、愉快そうに目を細めてみせた。


——全てのものに歓喜と祝福を! 忘れられぬ希望を、君の音で、音楽で!


『 やあ親友、共に音楽で食っていくつもりはないかね 』


もうすぐ死ぬのだとばかり思っていた全く予想外の出来事。
この素っ頓狂で酔狂な男の率いる音楽団が、俺の人生を180度変えてしまうだなんて、普通は思わないじゃないか。
夢見る様な、何処か自身で満ち足りた不可解な奴の双眸に俺も悪夢を見ちまったんだ。

「 ……いいよ、あんたについていってやる 」


——ようこそ、ブレーメンズ・オーケストラへ!!


— —

※参加者様募集中です。 ちなみに初心者歓迎の中文スレッドです。


— —

『 規則 』   >>1
『 世界観 』  >>2
『 概要 』   >>2
『 参加者様 』 >>3
『 登録証 』  >>3
『 募集 』   >>4>>49
『 イベント 』 >>5
『 お知らせ 』 >>6 (ちょくちょく除くように宜しくお願いします)
『 ご挨拶 』  >>7

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Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.167 )
日時: 2016/05/03 19:19
名前: Dietrich (ID: E616B4Au)

>>160

【宿屋へ向かう道の途中/キャスリン=ステイプルトン】

「……何をへらへらと笑っているんです?」

 キャスリンはいつも力の抜けたような軽い笑みを浮かべている。それがまたガルリの癇に障るのである。自分よりも年を重ね、自分よりも沢山の人に触れてきたであろう目の前の大人が、自分よりも頭が悪そうに、まるで無知のようにへらへらとしている様子は、あまりいい気分のものではない。以前自分が背中を追いかけた男の笑みが一瞬頭を霞む、彼もそう言えば壊れる前は、よく笑っていた。

 しかし目の前の彼女とその男の笑みは全く違うものだ。彼女はどこも壊されている訳ではない、彼女はこうやって笑って来ただけなのだ。何も悪気はなく、周りも何も思わなかったのだろう。ガルリは人の笑みに文句を言えるような立場に自分がいるとは到底思ってもいなかったのだが、やはり気にしてしまう者は気にしてしまう。

「……頭が溶けた人間のような笑い方ですよね、貴女は」

 そうやってちゃんと笑えていたら、何か変わっていたのだろうか。

 彼女のねっとりとした、聞き方によれば女性らしく、妖艶にも取れる声がふと聞き慣れた言葉を使い、ガルリの興味は彼女の言葉にそそがれ、先程の“雛鳥”の説明をしていることに気づく。あぁ、と納得の言葉が漏れ、自分の胸元に刺しゅうされたニワトリをかたどったモチーフを一瞥した。

「……ひよこ、ですか」

 自然と言葉が漏れ、皮肉げに笑みを浮かべる。確かに自分はそんな人間なのだろう。此処で彼女に食ってかかったところでそうなることではなかった。癖のように不満をぶちまけようとしたの喉元を抑え、ゆっくりと飲み込んだ。

「人生は決まった時間しかありません、僕たちは残り時間も知らずに、いつ尽きるか分からない時間を使っているんですから、もう少し気をつけなければなりませんよ」

 自分自身でその人生を立つ方法もある。人生は引き延ばすより、縮ませる方がやりやすい。そんなことを言っても目の前の女性が彼女の生き方を変えるわけではないのだと知るから、ガルリは何も言わなかった。彼女はきっと、彼女なりの選択をしてそうしているのだ。自分のように、何かを目にし、何かを感じて。

「……そんなこと貴女には関係のないことですよね? 僕が息抜きしていようがしていまいが、貴女に害はありませんし……っ」

 むっとしたように言い返すが、不意にのぞきこまれたことによってその言葉も詰まってしまう。慌てて目線をそらし、今度はいつもの自分のペースで歩きだした。

「……僕は一度自分の部屋に楽器を置いてきますので、貴女は自由に集合場所へ行ってください」

 看板を確認し、早口にそういう。まるで拗ねたかのような口調に、ガルリ自身不思議に思いながら。


 このまま解散の感じですか?

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.168 )
日時: 2016/05/04 16:22
名前: Dietrich (ID: E616B4Au)
参照: http://連続すみません!

>>166
【宿屋に向かう道の途中/ハンス・バルヒェット】

 そう言うもんかね、と軽い調子で呟く。やはり兄弟を持った人間にしか分からないような感覚のだろう。比較的に仲が良かった家庭や以前勤めていた家々を思い出しながら、何を言う訳でもなく、静かに過ごしていた自分は何か欠けていた気がすると、そんな思いがふと浮かんでくる。

 アネモイは何に対しても正直でまっすぐな人間で、それを我儘と言ってしまえばそれまでだが、素直な人間と評価した方がいい。こんな彼女が側にいたら、あの人たちも救われたのだろうか。暗い考えが頭をかすめていった。アネモイの正直な振る舞いや、声や表情があの家を満たしてくれていたら。——今さら考えても遅い。

 ふと見ると、アネモイは不満そうな表情を浮かべていた。よく思えばもうちゃんとした女性の頭をなでると言うことも失礼なことだ。少し乱れた髪を直しながら手を下す。服装に全く無頓着な彼女の世話係は彼女の兄であったが、流石にこういうことに彼女が無関心なことではないだろう。

「なるほどねぇ……まぁ嬢ちゃんが気の向くままやればぁいい」

 アネモイの何処か幼い表情や言動を眺めながら、彼女が以前は一人で踊り子として生きていたのだと思うと、女性は不思議だと思う。身近にいたのはいつも少女だけであったハンスにとって、アネモイほどの完全な女性と話すことはあまりなかった。10歳ぐらいのの子供の笑顔とアネモイの笑顔が重なる時もある。

「あぁ、無理に運ばなくても良い。嬢ちゃんに世話になるのは気が引けるからなぁ」

 彼女の口笛の音を聞きながら、歩を進めて行く。後どれぐらいだったかと、道のりを思い出しながら。

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.169 )
日時: 2016/06/17 19:05
名前: Hama=guri (ID: SqYHSRj5)

一応上げさせて頂きます

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.170 )
日時: 2016/06/26 10:25
名前: ぼろぼろ ◆2sf6Q83aJk (ID: H/CWJliZ)

『 登録証 』


「あら、新しい子かしら?可愛いわねぇ。私はクラウディアよ。ああ、そんなに固くならないで。大丈夫。これから宜しくして頂戴ね。いつでも頼って」
「私はいいのよぉ、楽しんでるあなた達を見るのが楽しくて仕方が無いんだから。ね、気にせず演奏を続けて。...それに私本番以外で楽器に触るのあんまり得意じゃないの」
「ちょっと、いつもそうやってつっかかって。ほら笑った方がいいわよ。あっ、こら」



名前/ヨミ「Claudia=Ailey=Ainsworth/クラウディア=エイリー=エインズワース」

性別「女」
年齢「28」

性格「落ち着いており穏やかで常に微笑みを絶やさないが話してみると天然でおちゃめ。深いことは気にせず浮かぶ雲のように周りに身を任せる。悪く言えば自分に適当で自分の意思、意見を表に出さない。年齢も年齢なのではしゃぐ事も少なくどちらかと言うとはしゃぐ仲間を見て微笑む保護者的立場。もちろん悪いことをしたら「こら」と叱るがびっくりするほど迫力が無い。年齢の子にはよくなめられるが本人は困ったように笑うだけ。しかし、なめられてもその抜群の抱擁力や年季()で母親変わりとして見りることも多く何だかんだで慕われている。」

容姿「金髪だが光は鈍くどちらかと言うとクリーム色寄り。傷んでいるわけでもないようなので生まれつきで少しパーマをかけたようにふんわりと胸下くらいまで伸びている。うなじにほくろがある。前髪は作っていなくて右目が隠れている。左目しか見えていないが常に目を細め微笑んでいるため瞳の色はよく見えない。実際は明るい碧眼でクリーム色の長いまつげを伏せるとなかなか絵になるような色。唇は赤く白人の特徴である白い肌によく映えているためはかない印象を受ける。」
服装「褐色のドレス。年齢が年齢だと自分でわかっているのでもう丈が短いものを履くことは少なくなった。ふくらはぎの半分ほどの長さ。襟は高めでキッチリと首をしめている。胸元にひし形の穴を開けているデザイン。谷間。黒色のコルセットをつけている。コルセットの下の方に小さくアフガンハウンドのワンポイント刺繍がしてある。首にはもう古いだろうチョーカーが我が物顔で巻きついておりどことなく誰かの執着を感じる。」

備考「街の貴族のお抱え花職人の家に生まれた。母親を早くに亡くし父と3人の弟と暮らしていた。生活を彩る綺麗な花達が大好きでいずれ自分も父のあとを継ぐのだろうと思い育ってきたがお屋敷に来た一人演奏者の気まぐれの演奏に魅せられ楽器に興味を抱き始め、庭で教えてもらううちに上達した。それでも趣味程度と割り切っていたがクラウディアの腕に父親がその演奏者の所属するオーケストラに入るよう後押しをした。13の時にオーケストラに入れてもらいヴィオラに出会う。めきめきと上達し16の時にはじめてプロとして混ざり演奏をした。その時の感動は今でも忘れられないと本人は笑って話す。またオーケストラ内に恋人が居た。大人っぽい2人は中睦まじく誰もが応援するカップルだったが彼氏の方が暴力を振るうようになり、クラウディアはそれを献身に受け止め受け入れていたがクラウディアの身を心配した団員達が別れさせた。クラウディアは全然気にしていないわ、と微笑んでいるが首についた贈り物のチョーカーを取れないところを見るとまだ少し引きずっている模様。団長とは歳が近いため親しくよく話したり飲んだりするような砕けた関係(でもよろしいですか!)」
その他「」

役柄「弦楽器奏者」
担当楽器「ヴィオラ」


いめーじぼいす「低すぎないハスキーボイス寄りの声。おっとりした話し方のため眠たくなる声とも言われる」


君にとって音楽とは如何なる存在か?

「居場所をくれるもの」


こんな感じでよろしいでしょうか?やっと投下できました!
訂正等ありましたらどうぞご指摘くださいませ!

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.171 )
日時: 2016/07/01 00:28
名前: Hama=guri (ID: SqYHSRj5)

上げさせて頂きます

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.172 )
日時: 2016/07/01 02:28
名前: ジュン(June) (ID: PUkG9IWJ)

>>171
本編で絡んではないので初めまして、になるんですかね?
突然すいません、ジュンといいます。

本当はキャラシを書いた際、乗っかりたい人のキャラシのスレ番号で書くのが一般だと思うのですが、ユザネで書かせてもらってたため分かりにくかったと思います。すいません。えっと、改めて、うちのアシュリーで兄貴分乗っかりさせていただいて宜しいでしょうか…?

文章意味不明ですね、すいませんm(_ _)m

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.173 )
日時: 2016/07/16 09:26
名前: フレア (ID: NLcS5gZX)

【宿屋に向かう道の途中/アネモイ=カデンツ】


「ふふっ、あまりフラフラしておったら兄者たちに怒られてしまうがな。まぁ、そうさせてもらうとしよう。気の向くままに動いた方が、何かと気楽やし。」


分かれ道に差し掛かった際、歩みを止めてハンスの方を向く。「右の気がするぞ!」と指を指してそう言うが、右に行ってしまえば行き止まりである。彼女のインスピレーションは、演奏や踊りにはいかせてもこういった事にはまったくもっていかせない。だからこそ迷子になったり、保護されたりしているのだ。


「何じゃ、少しは頼っても良いんよ?なにせうちは「オネーサン」なんやし。」


いくらでも迷惑をかけてくれ、そういって胸を張るアネモイは「お姉さんぶりたい少女」に見えてしまう。料理の腕は皆無だし、いつもは世話を焼かれる立場にいる彼女の言葉は些か頼りなかった。
しかし本人は真面目に言っているのだろう。妹として生きてきたアネモイからすれば、「だれかのお世話がしたい」と思うのは必然なのがしれない。もちろん、現状はその逆である事は周知の事実でもあるが。


「皆、うちのことを子供扱いする...もう立派な大人なのだから、少しぐらい頼ってくれても良いのに。その辺に関しては凄く不服や。」




【Dietrich様。
返信をしておらず申し訳ありません。本人した気でおりました...。 「お前なんかと絡んでられるか!」と思われましたら蹴って構いません、本当に申し訳ありませんでした...<(_ _*)>】

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.174 )
日時: 2016/07/16 15:58
名前: Dietrich (ID: Da2si9iJ)

【宿屋に向かう道の途中/ハンス・バルヒェット】

「……そうか」

 右を向くがそう言ったままそちらに向かうことはなく、軽く相手の服を引っ張って自分の記憶通りの道をたどることにする。今までの経験上、彼女のこういう類の発言は全く信用できないことが分かっていた。それよりも自分が記憶した通りにいった方が彼女も良いだろう。

「……頼りにはしたいと思うがなぁ、男が女に頼るのが一番辛いもんだ」

 確かにアネモイは成人女性であり、頼りになる部分もあるのだろうが、自分は彼女よりも年上であり、彼女に迷惑をかけるとなるとそれは人としてどうかとも思われた。それがたとえ彼女の望みであったとしても、である。

「それに女性に力仕事なんざ似合わねぇよ。……あんたは特にそうだな」

 華やかな仕事をしてきたアネモイがわざわざここまで来て力仕事をすることはない。仕事にはそれぞれ得意不得意もある、今までやってきた分慣れていることもある。自分にはできない事をアネモイがやって、自分ができることをしたらいい。

「……此処には色々な奴がいるだろ。嬢ちゃんを必要としてるやつに力を貸してやってくれ」



 大丈夫ですよ! 絡んでいただけるだけで嬉しいですので!

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.175 )
日時: 2016/07/27 20:26
名前: フレア (ID: nLPrrFyW)

【宿屋に向かう道の途中/アネモイ=カデンツ】


「うぅ、あっちの方じゃと思うのに...」

自分の意見が通らなかったことに若干拗ねながらも、それ以上の文句は言わずにあとを歩いていく。自分自身でも通らないのはわかっていたのだろう、歩いていくうちに機嫌は元通りになっていた。

「そんなもんか?あんまり気にせんでもええと思うけどなぁ...。男とはようわからんもんじゃ。」

顎に手を当ててそう言えば、軽く息を吐いて考えることをやめにした。元より頭を使うのは好きではない、気楽にのんびりと過ごす方が楽である。「男」と「女」でこうも違いがあるとは思わなかったが、入団してすぐにお叱りを受けた服装も自分が女だからという点があるのかもしれない。そう思えば些か不満である、着るものなんて個人の自由であろうに。

「...そうやな、ハンスさんの言う通りにするわ。兄者と違って、正論を言っとりそうやしな。」


【そう言ってもらえると助かりますっ】

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.176 )
日時: 2016/07/31 09:28
名前: Dietrich (ID: Da2si9iJ)

【宿屋に向かう道の途中/ハンス・バルヒェット】

「……男ってもんはいつまでも意地っ張りなんだよ」
 
 微かに苦笑してそう呟く。人を頼ればいいのにそれを格好悪いとかなんだかんだ言い訳を付けて一人で背負いこんでしまう節がある人物を、今まで何度も目にしてきた。彼女にしてみれば自分もそう見えるのかもしれない。しかし自分にしてみれば、これは自分自身の責任であるように思われた。

 違う方向に歩みを進めるうちに彼女の機嫌も元に戻っていく。怒るかな、と一瞬思ったがそうでもないらしく、安心して道を進んでいった。微かな睡魔が若干脳の動きを鈍らせていく。

「人間ってのには適材適所あるからなぁ。少なくともそれを性別で分けようってのは違うもんだが、まぁそういうこともある……嬢ちゃんは此処に来るまでは華やかな表舞台にいて、俺は庭師やりながら子どもの世話してたってわけだ……せっかく人生費やしてきたこと今役に立てなきゃなぁ」

 不満に思っただろうか、とそう言い訳を添えてみる。事実、自分の経験が役に立ったことはあまりないが、これから先そんなことがあるかもしれない、なんて考えたこともあるのだ。

「おいおい、それは可哀想だなぁ。嬢ちゃんの兄貴は嬢ちゃんをちゃんと心配してやってくれてるじゃねぇかぁ?」

 俺の言うこともそんな簡単に信用しちゃいけねぇよ? と苦笑しながらそういう。自分の言葉にそんなに責任を持ちたくないという言い逃れにも聞こえそうだ。 


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