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『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 / イベント中 〉
日時: 2016/08/01 13:18
名前: 林銭 (ID: OjDUGINw)
参照: http:// まったり進行推奨です。

… … …


! 8月1日 〜 8月31日 『 龍鬼祭 』 >>85


… … …


・はじめに

このスレッドでは『長文以上中文未満』という新ルールを設けさせていただきます。『書く気になれば難なく長文を書くことが出来る方』を対象とした文字数制限無しのスレッドです。重要な局面では長文でのやり取りをお願いすることも御座います。キャラシートも長文スレのように作り込める方のみの募集とさせていただきますので、特に細かいルールは設けません。長文スレでの最低限の規約を心得ている方のみ参加申請をお願い致します。


… … …




遥か昔 ーー……

その大陸には人々を正しい方向に導き繁栄を齎す存在である『聖龍』と、人々を脅かす存在である『鬼神』が存在した。聖龍は人々に自らの力を宿した神器を与えて共に戦うことで鬼神を封印することに成功したが、それと同時に力を使い果たし、聖龍も命を落とした。

人々は聖龍の死を嘆き大陸の東側に【龍ノ国】を築き上げ平穏に暮らしていたが、鬼神の存在が忘れ去られた頃、大陸の西側に【鬼ノ国】が出現した。

鬼ノ国を築いた人物は、鬼神が封印される直前に遺した鬼神の神器を手にしてしまった者達だった。鬼ノ国の皇族は代々城の地下に眠る鬼神の言葉に従い国を繁栄させ、国の民の生気を少しずつ吸い上げ蓄えていた鬼神は着実に力を取り戻していった。

やがて鬼ノ国では力を取り戻した鬼神によって生み出された魔物達が人々を虐げるようになり、その事実を隠す為に国境は封鎖された。
しかし復活目前となっていた鬼神の前に一人の男が現れる。彼は鬼神を再び封じに来た訳でもなければ鬼神の言葉に耳を傾けようともせず、一つ不気味な笑みを浮かべれば鬼神の心臓部にその鬼の力を宿している刀を突き刺した。


   『お前の意志は俺が継いでやるよ、鬼神』


鬼神が完全に命を落とす直前にその瞳に映した人物は、数日前までは鬼神に忠実に従っていたはずの鬼ノ国の第一皇子であった。

そして再び戦乱の世が幕を開ける ーー……




… … …


『 世界観 / 説明 』 >>1

『 役柄 / 参加者 』 >>2

『 キャラシート 』 >>3


… … …

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Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.52 )
日時: 2016/02/23 15:35
名前: 六巴 (ID: laYt1Tl.)

【雨笠 稚菜 / 国境】

 自身の身長を優に超す薙刀を構え、じっと目の前の狼のような姿を模した魔物を見据えた。まるで今にも弾け飛んでしまいそうな空気を肌にひしひしと感じる。初めて真正面から対峙するそれは、この世の物とは思えぬなんとも形容し難い雰囲気を持っていた。ただ一言で言ってしまえば、兎に角気味が悪いのだ。
 新人だという事で比較的魔物の少ない場所へ出されたのはありがたかった。こんなものが大勢いる場所へ行かされていたらその雰囲気だけに圧倒されていたかも知れない。主に新人で構成されたこの即席部隊は大きな円を描くように陣形をとっていた。下手に固まっていては囲まれる危険性があるのだ。どうも魔物は知能数は低いようで連携を取るなんてことをせず、ただ近くにいる人間に襲いかかっているようだった。お陰で分断も容易に出来、目の前の一匹、コレを討つのが稚菜の役目だ。

 訓練は精一杯重ねてきた。村でも唯一の用心棒として来る日も来る日も薙刀を振るっていた。新人内での手合わせだって勝利数の方が多い。最近入隊した新人なりには優秀であって、決して弱いという訳ではない。実力はちゃんとある筈だった。
 それが分かっているのに怖気づいてしまっているのは、やはり実戦経験の無さからだろうか。

(落ち着け。ここで怖気づいて一体誰を守れるっていうんだ。ここは戦場で、決して怖がってる暇はない……!)

 それでもかたかたと震える手を見て情けなさを痛感する。少し前まで畑で働いていた農民だった事を考えると、それも仕方ないのかもしれない。戦いなんて無縁ののんびりとした平和で普遍的な日常であったのだ。
 しかし稚菜はそんな考えを許せなかった。そんな甘えで自分を許したくない。烈旋隊へ入隊を決めてからそう決めたのだ。
 実戦経験がないのは多くの人々が同じなのだ。この魔物達はつい最近現れたばかりで、寧ろ戦闘経験のある人の方が少ない。自分と同じように突然居場所を魔物に奪われ、今この瞬間望まずに武器を握っている人だって必ず居る。

 強く短く息を吐き、薙刀を握り直した。

「……覚悟しろ。」

 とっと地を蹴り魔物を目掛けて飛び出し、間合いを詰めると薙刀を大きく斜めに振り下ろす。さすが獣と言ったところか間一髪の所で避けられる。追撃しようと下から振り上げると刃の先端が少し掠ったらしく、鮮やかな紫色した血液が宙を舞った。話には聞いていたが、その異様な光景にぎょっとした瞬間魔物が稚菜に飛び掛かる。寸での所で防ぐが柄に噛み付かれ振り払おうとしてもその力は簡単に払えるものでは無かった。薙刀を少し上へ持ち上げ一気に下へ振り下ろし、それに合わせ魔物の顎へ膝を打ち付ける。幸い皮膚が硬化した箇所ではなかったらしく魔物は悲痛の声を上げ柄から離れた。その瞬間を見逃さず薙刀を大きく振りかぶり魔物へと渾身の力を込めて振り下ろす。今度は確実に魔物の首を捉え、重い振動の後に先程とは比にならない量の血液が地面へ叩きつけられた。

(……これ見ただけでも正直ぞっとするんだけど。)

 頬に流れる汗を拭いながら地に倒れ伏せた魔物を見る。驚く事に首は皮一枚がなんとか繋がっているような状態であるにも関わらずまだ息があったのだ。

「……さっすが化物、って感じ。」

 背筋が寒くなるのを感じるが、コレがもう動けやしないのは明白だった。そう、もう時期に死ぬのだ。それに魔物はこれ一匹だけではなくまだまだ多くの魔物が、ここ龍ノ国へ攻め寄せてきている。烈旋隊の仲間もそこで戦い血を流しているのだ。死に掛けのコレにトドメを刺している暇なんて今はない。

(なんちゃって。そんな理由並べて……やっぱり甘いな。)

 新人の自分が魔物の群れの方へ行ったとしても先輩達の邪魔になるだけであって、自分は少数の魔物を討ちながらここの守りを固めておくべき。そう判断した。見渡す限り周りに魔物は居ない、苦戦を強いられている仲間も居ない。仲間とは距離もあるし、助けに行くほどの事態も生じていない。防衛の陣形を崩してまで動く必要はなかった。だから今、この魔物を殺さないでいる理由は何も無い。

(魔物は憎い。村を奪ってそこに住まう人達を奪って、母さんの心も奪った)

 しかし目の前で藻掻くこの生き物をどうするべきか判断に迷う。

(憎しみに駆られて殺す? このまま苦しむ様を眺めとく?)

 殺さない理由はない。寧ろ、今ここでトドメを刺すほうが懸命である。もしかするとこれが仇となり足元をすくわれるかもしれないという可能性も皆無とは言えない。それでも何故か、このまま殺すのは惜しかったのだ。

「どうせ助からないならこのまま何もしない方がコレにとっては地獄かぁ……。殺す理由もないな。」

 薙刀を握り締め、ただ死に向かうその魔物をぼんやりと眺めていた。

————

>>51
九九、稚菜の登録ありがとうございます! まさかまさか二人共登録して頂けるとは思ってもいませんでしたので大変喜んでおります;;
精一杯頑張らせて頂きます!!


早速過ぎるのですが稚菜で絡み文を書きました。どなたか絡んで頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.53 )
日時: 2016/02/25 17:01
名前: ワルハル (ID: v/CxltbU)

お久しぶりです。
家のパソコンが壊れてしまい……しばらくは来れそうにありません。ご迷惑をおかけして申し訳ありません……。

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.54 )
日時: 2016/02/27 22:55
名前: 莱 (ID: /p7kMAYY)
参照: http://なぐり書き過ぎて申し訳ない...;;


>>All

きちんと手を握り返してくれた兄に胸がときめき慧理は更にこの兄の役に立ちたいという思いを確認し微笑んだ。
たとえこの先どんな辛いことがあったとしても兄のため立ち止まることなく歩いていこう。これ以上兄を苦しませないために。
幾人を殺めてきた慧理の手を包み込んでくれる兄のためならどんな汚れ仕事でもこなしてみせようと誓うくらい慧理は兄を慕っている。

「...!」

考え事をして眉間にシワを寄せていた慧理だったが振り向いた無邪気な笑顔に一呼吸間を置くとぽぉっと微かに頬を染めた。
その後の兄の言葉にハッと視線をずらすとそこには龍の国の皇族たちがいた。
全く気づかなかったあたり相当兄に見惚れていたんだな、と慧理は少し呆れたように小さくため息をつき様子を伺った。
長男を守るためなのか弟妹達が慎重に前後を陣取っている。先頭を歩いていた皇女の独特な構えを怪訝そうに一目見ると視線を落とした。
全く面識が無かったわけでは無かったが、久しぶりなどと言って懐かしむほどの仲の人など居なかったので慧理は大人しく兄と王がやり取りするのを見ていた。
それに兄が親しげに話しかける龍ノ国の第一皇子がどうも気にくわなかったからである。
別に何が、という訳ではないが兄が皇子を見る瞳に自分が映ればいいのにと毎回妬ましく思ってしまう。
しかし口に出せるはずもなく慧理は幼い頃から密かに無駄な敵対心を向けていた。
ふんっとそっぽを向くもの兄がどんな表情をしているのかが気になり横目でそのやり取りを見るが面白くないものは面白く無いわけで、時折髪をいじったりなどしながら第一皇女や第二皇子をしげしげと見つめ

(今日は血が見れるかなぁ)

少しうずうずしてきた慧理は余裕の表情をにじませ小さく笑みを浮かべ皇女と第二皇子を品定めしていた。



【盛大に遅れて申し訳ありませんでした!
最近忙しくて...。これからテストがあるのでまた少し遅れてしまうかもしれませんが、どうぞ把握宜しく御願いします...!
ご迷惑をおかけします】

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.55 )
日時: 2016/03/01 22:38
名前: 六巴 (ID: laYt1Tl.)

>>54
【龍ノ宮 東雲 / 国境】

(まったく、こういう時に第一皇子だなどと関係ないだろうに。素直に守らせてくれないのは困りものだな。)

 自身を守る様に陣形を取る二人の弟妹にやれやれと苦笑を浮かべる。元より自分の言う事を素直に受け取るような性格ではないが、こういう時くらい兄である自分に甘えてくれてもいいのにと思う。自分を心配してくれているのと同じくらい、いやそれ以上に心配をしているのだと少しでも伝わってくれれば。なんて、そう分かって欲しいと今まで頑張ってきた結果がこれなのだからもう諦め半分といった所だった。自我を貫くな、などという事ではないが長男として少々物悲しく思う所もある。

 そんな事を思っていると、向かい側から声が届く。その声を聴いて瞬間的に鳥肌が立ち、背筋が凍った。悪い考えが頭を過ぎるが、この場にその声の持ち主は居ない。ただ似ているだけなのだろうと自身を宥め東雲は安堵に強張った肩の力を抜く。
 大丈夫だと。

「そちらこそ随分物騒なモノを飼っているな。どういうつもりかは知らないが、我が国へ危害を加えるのは止めて頂きたい。」

 魔物を引き連れていたのは白髪の男性と淡い紫の混ざった黒髪の女性の二人だった。いずれにしてもどちらも若く、東雲と同じ、またはそれより下だろう。その鮮やかな白と黒は魔物の中に堂々と当然のように立っており、美しくもその異質さから不気味だと感じるには十分だった。
 赤い目と目が合ったと思うと、その口からは心臓が止まるかと思う程衝撃の言葉が発せられた。

「……まさか……!?」

 目を見開いて、前方の二人を凝視する。はく、と小さく口を動かすが声も言葉も出なかった。一度呼吸を落ち着かせ「大丈夫だから、頼む、此処は任せてくれ」と撫子と丹へ囁く。この弟妹達はまたこの危ない状況で自分より前へ出てしまうだろうという考えからの言葉だった。敵の頭を前にして自分が後ろに居る訳にはいかない、と。何より、ちゃんと確かめなければならない事が出来たのだ。東雲は自身の前に居る撫子の横を通り抜け、前方を見据える。
 昔語りをする様に、男性は愉快そうに微笑む。東雲にはそれと同じ様に笑う事は出来なかった。冷や汗が頬を伝う顔に、隠そうにも隠しきれない困惑がありありと浮かぶ。

「そんな、どうして……? 来都、君は、一体何を……!?」

 悪い考えはそのまま現実へと姿を変えた。あの時と一切変わらない声、それに相反して姿はまるで違っていた。
 艶やかな黒髪は色が全て抜け落ち、透き通るばかりに真っ白な白髪へ。結われていないその髪は風に靡いて益々輝いて見えた。かつての黒い髪の奥に隠れていた、まるでどこまでも続く宵闇の空の様な黒い、しかし日の下では夜が明けた空の様に青く綺麗な瞳は、真っ赤な夕日が激しく燃え盛っているかのような赤い瞳へ。
 そして何より、あの時と変わらない筈の穏やかな表情の奥に、身の毛もよだつような狂気を感じる。

 一年半。その短い時間でここまで変わってしまった友人へ、東雲は一体何と言葉を掛ければ良いのか分からなかった。ただ、一年半前はこんな再会を想像もしていなかったし、望んでもいなかった。それは昨日も今日も、きっと明日も変わらない。
 少なくとも、東雲はそうであった。

 けれど、その時その場で言葉を交わしていた友人は違ったのかもしれないと、今更ながらに思ったのだ。




【お疲れ様です來様! テスト等あって大変でしょうが、最近は特に冷えますのでどうぞ御身体に気を付けて下さい…!】

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.56 )
日時: 2016/03/01 21:29
名前: 朧月 (ID: nLPrrFyW)

【龍ノ宮 撫子/国境】

「丹よ、詫びることは無いぞ?あても同じ事を思っとったしな。」

後ろにいた弟の軽口、そして悪いと思ったのか謝罪したのを聞いて撫子はクツクツと喉を鳴らす。めんどくさいことは嫌いだが楽しいことは好きな彼女としては、弟である丹の発言を面白く思ったのだろう。目を細めて一度だけ視線をよこし、ぺろりと赤い舌を覗かせる。こんな表情もするような人があの無気力とは思えないが、同一人物であることは事実であるのだから世の中不思議な。きっとこの戦が終わればまたいつものような彼女に戻るのであろう。


「何かあったも何も、先に仕掛けてきたのはそっちじゃろう?」


耳に届いた声がとことなく聞き覚えがあって、嫌な予感を感じながらも軽い口調でそう返した。刀を握る手に力が入るのは、きっとこの不信感を押し込めたいからだろう。
久しぶりに感じる恐怖は一体全体どこから来るものか、かすかに揺れた刀先に目を細めれば自嘲気味に笑みを漏らして前を見据える。


「...怪我でもしたら、帰って説教コースじゃからな。お主も、あての前で怪我でもしたら問答無用で手当させてもらうぞ。」


囁かれた言葉に一瞬悩んだ後、仕方ないというように息を吐いて構えていた刀を下ろす。兄には困ったような笑みを見せ、現れた二人のうちの一人...撫子的にはとても気にかかっていた男には呆れたような視線を向けた。
悪い予感は的中したらしく、自分が思っていた最悪の事態を凌駕するようなことが起こってくれて頭が痛い。「丹よ、あてが居らんこうなったらバカ兄者たちのことよろしく頼むのう?」なんて後ろにいた弟に言えば、軽い足取りで後ろへと下がって兄へ場所を譲った。視線は一度この場で自分以外の女である慧理へ、なんとなく目が合った気がしたのでゆるりと口元に微笑を浮かべれば視線を逸らした。特に興味が無いということなのか、はたまたただの気分だったのかは知らないが。

ゆっくりと、握っていた刀を鞘へと収めて息を吐く。ガンガンと痛んでいた頭は多少なりとも落ち着きはしたが、それでも胸に渦巻く気持ち悪さは拭えない。
この二人が誰かなんて、兄の表情なんかを見ていればあらかた察しはつく。それに自慢ではないが洞察力は高いほうだと自負しているため、記憶を巡らせて重ね合わせればなんとなくだけれども分かるものなのだ。


(何が起こっとる?...流石にあてだって、嫁ぎ先の候補に上がった奴のことをすぐに忘れるほどバカじゃない。それが兄者の友人ともなればなおさらじゃ。)


ただ静かに、視線は兄たちに向けたまま思考を巡らせる彼女はやはり冷静で。昔見た姿とはまるっきり変わってしまった事への驚きもあるが、何よりも二人が刃を交えなければならないかもしれないということが気がかりであった。
きっと自分と父しか知らない嫁ぎの話、それに上がったのが今目の前で兄と対峙している来都である。ほんとに何度か話をしたぐらいだったし、兄の友人と言うだけで深い関わりもない。それなのに父が勧めてきたのは、その人柄と自分の言動を考えたゆえだったのだろう。
恋愛感情を抱いた覚えはない、けれど興味がなかったと言えば嘘になるほどには意識をしていた。後にも先にも、撫子がこういった話に肯定的な返事をしたのは来都だけである。とはいえ、その理由は「兄者の友人だから」という単純なものなのだけれど。


【お答えありがとうございます。もし何か不備や至らぬ点がありましたら、何なりとおっしゃってください。

お疲れ様です。テストは大変ですよね...お体をお壊しにならぬ程度に頑張ってくださいっ。】

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.57 )
日時: 2016/03/01 23:34
名前: あまちゃづる (ID: GlabL33E)
参照: http://テスト…お疲れ様です( ;‾▽‾) 頑張ってください!^^

>>56

 【 国境 / 龍ノ宮 丹 】

 丹は姉の視線に表情を和らげた。普段の撫子は、血の繋がったきょうだいである丹にも分からないことが多い。軽口に笑う彼女はいつもより身近に感じられた。
 こんな場面でなければ、もう少しこんな姉と話してみたかった——しばらくそんな時間は取れないような気がするけれど。
 皆で、落ち着いていられる時間をまた取られるようになったなら、兄姉ともっと過ごしてみようか、と思う。弟妹を特別可愛がる丹だが、比べて兄姉との関わりは薄めだ。嫌っているわけでは勿論ないのだけれど、この国を背負うだろう兄も、不思議な雰囲気のある姉も、接する距離を丹なりに考えていた結果である。


 丹は視線の先に並ぶ男女を眺めて、そっと息を吐いた。和やかにきょうだい間の親交を深める機会なんて当分来そうにない、なんてことすら考える。 
 まるで絵巻の鬼のよう。変貌したその姿を例えるならきっと、この表現で間違いないだろう。
 見間違うわけはない。外交の場での重要人物だ。例え目立つところの容姿が変わっていても、細かい情報を拾えば誰かなんてすぐ分かる。会うたび、言い方は悪いけれど——立場上観察していた相手だからなおさら。
 予想をはるかに過ぎた再会に、困惑だとか悲しみだとかはあまりない。それより先に立つのは怒りだった。表情を消して、その苛立ちを落ち着かせようとゆっくり呼吸する。

(白々しい、と思うなんて失礼に当たるだろうけど……)

 向こうの第一皇子、来都の言葉は、丹の警戒を加速させる。その姿、魔物の状況、思い当たらないなんてあるはずがないのに、この皇子は確実にわざととぼけているだろう。兄姉の返しを聞きながら、丹は軽く眉を寄せた。
 兄が前に出るのを黙って見送り、丹は刀の切っ先をさげて構えを解いた。兄と、兄の友人としての来都のやり取りを遮るのは躊躇われる。双方、どんな形であれ、今の立場の違いを飲み込む機会にはなるだろう。……兄の安全より、その心情を考える自分も馬鹿だろうけれど。ただ、進んで前に出る兄に警戒心が足りないのはあるだろうから、帰ったら小言を言おうと心に決めた。

「任せて。姉上様も、私が居ないときには兄上様やきょうだいをよろしくね……全く、猪突猛進なのだから」

 姉にはからりと笑って見せても、兄が動揺しているのが分かるだけ、丹の頭は冷えていく。
 一歩引いて兄と来都のやり取りを眺めていた丹は、ふと、視線を感じてふっと息を吐いた。向こうの第一皇女からの、じっと見定めるような視線には遠慮がない。何を期待されているのかは知らないが、己の価値を軽く見られるようなことになったら困る。自分を隙とでも思われたら、両親にも、きょうだい達にも申し訳がたたない。何も読み取らせてやるものか、と丹は愛想笑いを浮かべて首を傾げた。実際の戦闘には正直自信はないけれど、こういった腹の探りあいならまあ出来る。困ったふうの笑いの裏、一応隠すそぶりは見せながらも、観察するような冷静な目で慧理を眺める。
 彼女と対峙するには相性が悪い。それは前から……外交のときから思っていたこと。優先順位をきっぱりと来都に定めている慧理には口車が通じにくいように思える。駆け引きで彼女を操れる気がしない。戦場で相手をするには難しいな、と丹は目を逸らした。
 刀を握る手に力を入れ直す。ずっしりとしたそれが自分に似合うとは思わない。鍛練を怠りはしていないのに、何度振るってもどこか手に馴染まない刀を持て余しているのだろうか、どうも落ち着かない。
 慧理から視線を外せば、微笑みを浮かべた来都が自分を見ているのにかち合った。これには純粋に戸惑う。すぐに視線は烈旋隊へと移ったので、まあ視線は通過しただけなのだろうと納得して、丹も気にはしなかった。
 兄の声は揺れているように聞こえた。外交上の重要人物以上の関係をあちらと築いていたのだから、やはり衝撃も大きいのだろう。その動揺もはっきり伝わる。
 丹はにこりと微笑んだ。うわべだけの愛想笑いの目は酷く凪いでいる。当然だ。だって丹は顔見知りぐらいの相手と道が分かたれたやるせなさなどより、自国を攻撃し、兄の信頼を蹴るような、その行為を腹立たしいと思う。
 情報が欲しい。兄に口添えしようと開いた口から出た声は、自分で考えていたものより静かで冷えている。

「兄上様の仰る通り、私も気になるなあ。しばらく見ない間に随分様子が変わられたようだけれど……ご説明は頂けないのかな?」

 すかさず繕うように朗らかな声で「久方ぶりにお会いしたのだもの。お話をしたいでしょう」と茶化して続ける。実際どちらと交えても、戦いとなっては厳しいのだから、穏便にしておきたい。
 兄の後ろに控えたまま、丹は今思い出したように刀を鞘に納める。どうせ丹の刀の腕なんて知れているし、抜刀したままでは物騒だろう。魔物の近くで武器をしまうのに抵抗感はあるけれど仕方ない。

>>45
 早とちりしましたうおお恥ずかしい!!((( 了解致しました! 丁寧なご対応ありがとう御座いますm(_ _)m】

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.58 )
日時: 2016/03/09 17:15
名前: ワルハル (ID: cx1920xY)
参照:  

>>52


<龍ノ国・神羅香織side>

 辺りには鮮血が舞っている。それらが地に着く前には、香織はすでに次の獲物を狩っていた。
 一瞬でその命を枯れさせることが可能な急所のみを的確に狙い、確実に瞬殺していく。それはもはや、一つの芸術といっても過言ではない程の動き——まるで、剣舞だった。

 急所を狙うのは決して慈悲などではない。効率と安全、ただそれだけの為に、そこを狙う。要するに、彼女にとって戦いとは、スピードが命なのだ。

 彼女からすれば魔物というのは、苦痛すら与えられる事も許されないモノ。もしくは、存在すら許されない、生まれてくる事すら罪である存在。例えそれがどれだけ理不尽であろうとも、香織はその考えを曲げた事は無い。

 ふ、と新人たちをメインにして組まれていたはずの一部隊に目を向ける。それぞれ小さなチームに分かれて、魔物を確実に、慎重に殺していっているようだ。
 この分なら問題も無いだろう——香織は再び視線を戻そうとしてその動きを止めた。

「……何をしている」

 彼女の視線の先に居るのは一人の少女と一匹の魔物。魔物はまだ生きているにも関わらず、少女はそれをじっと見つめている。
 確実に殺さなければ、後で何があるか分からない。香織はそれを、経験でよく知っていた。

 考えるより先に、体が動く。背後に来ていた魔物を一閃すると、その最期には目もくれず、走りだしていた。

 無意識のうちに魔物との距離を目で測り、その行動パターンを計算する。死の淵に追いやられた魔物——いや、動物は、本能からだろう、相手を道連れにしようとする。

 男なら、問題無いのかもしれない。だが、女は別だ。
 どうやっても訓練された男に力で勝る事などない女は、技を磨くしかない。技を磨き、短期決戦を臨む。そうしなければ——戦いが長引けば長引くほど、死ぬ確率が増える。

 脳裏に、今は亡き戦友の姿が浮かぶ。何故だろう、いくつもの勇ましい姿、笑顔を知っているはずだというのに、思い浮かぶのは彼らが簡素な棺に横たわった、最期の——もうすでに、終わった後の顔。

 ——またもや無意識のうちに体が動いていた。

(一刻でも早く、あの魔物を殺さなければ——)

 柄にも無く、そんな焦りが頭の中を駆け巡る。

(もう二度と、死なせるものか。魔物に仲間は——この国の民は死なせない)

 そこにあるのは、異常なまでの魔物に対する嫌悪、後悔、そして——恐怖。

 香織は大きく右手を振りかぶる。目で測った距離からすると、今からの行動に何ら支障は無い。
 銀が彼女の手から滑り、なめらかな弧を描く。その刀は陽の光を反射しながら、魔物の首めがけて、飛来した。



——————————



お久しぶりです。テストも終わってパソコンもなおりましたので、早速投稿してみました。

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.59 )
日時: 2016/04/19 10:51
名前: 林銭 (ID: tOdZcpTQ)
参照: http://お久しぶりです。


長らくスレを放置してしまいましてすみませんでした;;年度末〜新年度で何かとバタバタしてしまい…参加者様方もお忙しいようでしたので、皆様まだ居らっしゃるようでしたら再びスレを動かしたいと考えているのですが、どなたか居らっしゃいますでしょうか…?

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.60 )
日時: 2016/04/19 18:04
名前: 朧月 (ID: CQQxIRdY)

お久しぶりでございます。
年度末なんかは忙しいですからね、なかなか浮上できないのも仕方ありませんよ(苦笑)
私は適度に浮上しておりますので、再開されるのならば参加させていただきたいです。

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.61 )
日時: 2016/04/21 09:31
名前: 六巴 (ID: laYt1Tl.)

お久しぶりです。
お疲れ様です林銭様。体調を崩されないようお気を付けくださいね…!
自分も長らく浮上出来ていない身でしたが、宜しければ参加させて頂きたいです…;;

>>58
長い間返信を書けず申し訳ありませんでした!
もしいらっしゃれば返信文を書かせて頂きたいと思います…すみません;;


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