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- 【中・長文】Survivors【募集継続中】
- 日時: 2017/12/03 05:44
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: YaQzuwJ5)
平和で、退屈で、つまらない日々が一変した日。
人が人ではなくなり、襲い来るようになった日。
生き残る道を、真剣に模索しなければならなくなったあの日。
僕らは、生存者となる為に戦わなければならなくなった。
――――
初めましての方は初めまして。
間宵蛾と申します。
ゾンビ物ですが、ホラー要素よりサバイバル要素の方がよっぽど強いかもしれません。
このスレッドはフィクションです。
実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。
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- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.107 )
- 日時: 2017/09/02 09:17
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: vY0CyER0)
【1日目/09:52、(香取 梨香)】
渚が槍と袋を受け取ると、梨香はまた人差し指を自分の唇に当て、静かに行こう、と示した。
足音を立てないよう、慎重に昇降口へと近づく。
幸い手前の柱の近くに異常者は居らず、一番手前の靴箱と壁の間にも異常者の姿は見えなかった。
そこで、梨香は大きく振りかぶって、しかし足音などを立てないよう気をつけながら、手にしていた50円硬貨を少し離れた廊下の窓めがけて投げつけた。
かちん、という音が鳴り、窓に弾かれた50円硬貨が高い音を立てて床に転がっていく。
それは小さな音だったが、昇降口周辺の異常者を引き寄せるには十分であった。
「行くよ」
50円硬貨を追っていく異常者達を見た梨香は小声で言い、渚の手を引いて、静かに、しかし足早に昇降口の扉へと向かう。
扉は開け放たれており、二人はそれ以上特に難もなく外に出ることが出来た。
「……ふぅ。ここまで来れば一応平気かな」
昇降口を出て数分、周囲に異常者が居ないのを確かめ、梨香は安心したように溜息を吐いた。
そして渚に持たせっ放しだった槍と袋を返すよう手を出す。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.108 )
- 日時: 2017/09/03 10:58
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:53、(御薬袋 渚)】
渚は香取の言葉に神妙な面持ちで頷くと、遅れを取らないように速足で香取の背中を追いかけた。勿論音を出さないように細心の注意は払って。
一歩間違えれば渚も香取も異常者に襲われタヒぬ、という緊張感が渚の肩を強張らせ呼吸を自然と浅くさせていた
だが香取が五十円玉を上手く使って異常者達を誘導してくれたおかげで、二人は異常者に襲い掛かられる事もなく、目指していた昇降口から外へ出ることに成功した。そして周辺に異常者が見当たらない所――つまり一応気を多少抜いても良い場所に辿り着くと、渚の方からスッと力が抜ける。
「……ありがとう。香取さんが居なかったら、多分私は学校から出ることも出来なかった」
緊張の糸が解けたのか、それもつい先程まで過度の緊張のもとにあったからか、そういう渚の表情からも強張がなくなっていた。そして代わりに気の抜けたような笑顔を、香取へと向けていた。
だが香取の差し出された手に気が付くと、慌てた様子で預かっていた槍と袋を返す。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.109 )
- 日時: 2017/09/04 05:53
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: evK4EJEz)
【1日目/09:57、(香取 梨香)】
「……まだ、学校出ただけだし、礼を言うには早いんじゃないかな」
笑顔で感謝の意を口にする渚に、梨香はなんとなく小恥ずかしくなって槍と袋を受け取りながら思わずそっぽを向いた。
案外と厳しい言葉が出たが、梨香は少しずつ声が細くなりながらも続ける。
「……ただ、私もあんたが居なかったら今頃校舎ん中であいつらの昼飯になってたよ。こっちこそありがとね、渚」
数秒の間。
梨香は少し朱の差した顔に微笑を浮かべて振り向き、「行こう」と呟いて歩き出した。
直後、遠雷のような音が響き渡り、梨香の足が止まる。
ただの音ではなく、かなり高速で近づいている何かの音だ。
何の音だろう、と梨香がそれとなく上を向いた直後だった。
辺りに空気を切り裂くような爆音が轟き、空をシャープな形状をした灰色の飛行物体が飛び抜けて行った。
思わず袋も取り落して耳を塞ぎながら、その姿を見た梨香が呟く。
「せ、戦闘機……?」
その呟きは爆音が再び遠雷へと戻った後のものであり、渚にも十分聞こえた。
あんな高速で飛ぶものジェット機かロケット以外にないし、あの形状は間違いなく戦闘機だろうとは容易に想像がつく。
それは偵察の為の空撮に来た航空自衛隊のRF-4EJ偵察戦闘機だったのだが、梨香にはそんなことは知る由もない。
ただこの国でジェット戦闘機など持っているのは米軍か自衛隊くらいであることは彼女にも分かるし、飛ぶとしたら恐らく自衛隊だろうというのも容易に予想出来る。
自衛隊が助けてくれるかもしれない、という一抹の希望が生まれた一方で、外は自衛隊が動くような事態になっている、という不安も生まれた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.110 )
- 日時: 2017/09/04 22:15
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:58、(御薬袋 渚)】
渚に人の心を読み取るような能力がないのは当たり前であるが、その上に家族以外とこうして話すこと自体殆どなかった事もあり、洞察力も著しく低い。
そのため香取がそっぽを向いたことに加え、厳しい言葉を聞くとどこか寂しそうに表情を曇らせてしまった。が、その後細くなりながらも続いた言葉に、渚は驚いたように目を丸くさせた。それから微笑みと言葉を向けられると渚から先程の寂しそうな表情は完全に無くなり、代わりに花が咲いた様な笑顔が『ぱあ』と浮かんだ。
それまで聞いたことのないような音が聞こえたのは、その時だった。
香取と同じく渚も持っていた袋を取り落として思わず耳をふさぐ。そして渚の目には、映画でしか見た事の無いような『飛行機』が飛び去って行くものが見えた。厳密に言えばそれは飛行機の中でも戦闘機と呼ばれるものであったが、あまりに馴染みのない事と驚きゆえに、『戦闘機』という単語すら浮かべることが出来なかった。
けれど、耳をふさいでいた手を離すとほぼ同時に聞こえた香取の呟きで、渚は先程のものが戦闘機であることを理解した。
「戦闘機が出てくるって……一体どうなっちゃってるの……」
先程の笑顔がかき消され、代わりに不安そうに表情を曇らせてしまっていた渚の口から、そんな言葉が漏れる。
渚に自衛隊の知識などほとんどないに等しい。けれど、これまで見たことがない、戦闘機が飛んでいるだなんて冗談のような状況を目の当たりにして、言い知れぬ危機感は感じ取っていた。勿論今までも感じていなかった訳ではないが、それ以上に、だ。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.111 )
- 日時: 2017/09/05 01:43
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: QrFqqwfB)
【1日目/09:58、(香取 梨香)】
「エライことになってきたね……」
渚の不安げな呟きに、それとなく答えながら自分の袋と渚の袋を拾い上げて差し出す。
自衛隊といえば、市内には駐屯地がある。
あれは陸上自衛隊だが、自衛隊は自衛隊なので、この事態にも何らかの対応をしている筈だ。
もしくは警察か。
――そういえば警察はどうした。
最初、梨香は自分で携帯電話を持っていながら「これだけの騒ぎなら誰かが呼ぶだろう」と思って通報等はしようともしなかった。
周囲を見る限り、警察等が来た様子はなく、誰も呼ばなかったのだろうか。
それとも、どこもこのような騒ぎになっていて、警察も――
はたと、自分がかなり不安になってきていることに気付き、自分より気の小さいであろうこの同級生は大丈夫かと思い、袋を取った渚の手を引き寄せ肩を抱く。
軽くぽんぽんと肩を叩きながら、励ますように囁いた。
「大丈夫、私らならきっとやってけるよ。さ、行こう」
そっと離れながら、目指すべき方向へと向き直る。
校舎前の並木に遮られ、街の様子は見えない。
どんな状況かは分からないが、兎も角行ってみるしかないだろう。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.112 )
- 日時: 2017/09/05 22:59
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:59、(御薬袋 渚)】
香取に差し出された袋を何とか受け取ったはいいが、渚の内心には不安が渦巻いて平静と言えるか疑問なほどなっていた。そんな心境であるから良くない予想、最悪のケースばかりが浮かんできた。
そんな渚に渦巻くものを断ち切ってくれたのは、香取だった。
無意識のうちに香取に軽く身体を預けつつ、渚は二回うなずいた。一回目は了承の意、そして二回目は少しだけ強い、自身を鼓舞させるような頷きだった。
そっと離れた渚に一歩近づいて、渚も同じ方向を見据える。
無意識のうちに槍を持つ渚の手は、キュッと握られていた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.113 )
- 日時: 2017/09/06 19:31
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: w3Re2V0V)
【1日目/10:04、(香取 梨香)】
いつも通学する時は特に気にすることもなく、三分程で上る学校前の坂を、普段の倍以上の時間をかけて警戒しながら下ってみたが、途中異常者等に出くわすことはなかった。
明らかにここで誰かが襲われたのであろうという夥しい量の血痕はいくらかあったが、肝心の身体がないのだ。
血の落ちた跡で出来た道はどれも校舎か街の方へと続いている。
どうやら、襲われた者は皆異常者と化して歩いて行ってしまった後らしい。
並木を抜けて、角を曲がれば街が見える――
といった辺りで、先行する梨香が立ち止った。
手で一旦止まるように示し、前方をよく見るよう指差す。
坂の下、学校の敷地の入口で、門の柱に白と黒の自動車と、それに連なるようにトラックが突っ込んでいた。
白と黒の自動車は大破しているが、屋根に赤いランプと「四12」の文字が見えることから県警の、市内の警察署の警邏車両だと、何度か警察のお世話になった経験のある梨香はすぐに察した。
トラックが前部から煙を吐いている一方でパトカーはただ潰されているだけであるところから察するに、どうやら門の前に停車していたパトカーにトラックが突っ込み、その勢いで門の柱と挟まれる形となったパトカーは押し潰されてしまったらしい。
よく見るとパトカーの運転席にはハンドルに突っ伏したまま動かない人間の姿も見える。
生きているのか死んでいるのか歩く死者なのか定かではないが、間違いなく警察官だろう。
梨香はやや緊張した面持ちで一度渚の方を振り向き、再び門へ向き直るとそのパトカーの方へと慎重に歩き始めた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.114 )
- 日時: 2017/09/07 18:20
- 名前: Hama=guri (ID: SqYHSRj5)
【1日目/10:05、(御薬袋 渚)】
目の前に広がる光景は、普段だって見ないようなタチ悪いホラー映画のようだった。
異常者が居ない事には安心できたが、それで完全に気を抜くほど渚も暢気ではない。普段では絶対見ない量の血を見ながら渚はキュッと槍を握り、口を一文字に結んで香取の背中を追いかけた。
香取が止まった事で、驚いたように目が見開かれるが、その目はすぐに指さされた方へ向けられた。
なにやらめちゃくちゃになっている
それが渚の正直な感想だった。数秒間見てようやく、それがパトカーとトラックである事を認識する。認識すること自体には時間が掛かってしまったがその車両――パトカーの運転席でハンドルにもたれかかってしまっている人間が居る事にはすぐ気が付くことが出来た。
香取の表情で、意図も受け取れた。渚は小さく頷くと槍を今一度キュッと握りしめ、香取と歩幅を合わせるようにじりじりとパトカーへと近づく。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.115 )
- 日時: 2017/09/08 05:17
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: w3Re2V0V)
【1日目/10:07、(香取 梨香)】
パトカーに近付くにつれ、これまでの血や肉の生臭さとは違う異臭が漂い出した。
その臭いに覚えのあった梨香は何の臭いだったかを思い出し、渚にそれ以上近付くなと手で示す。
よく見るとパトカーの車体の下に、その異臭の根源であろう液体が見えた。
ガソリンが漏れ出ているのだ。
梨香は一人パトカーのドアに手が届く範囲まで慎重に近付き、恐る恐るドアに手を伸ばす。
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと引っ張ると、ノブが動く前にドアがあっさりと開いた。
パトカーが押し潰された衝撃で外側に大きく歪み、逆に閉まらなくなってしまったらしい。
開かないよりマシか、と思いつつ運転席の様子を見る。
警察官の死体だが、見た目からして胸から上が不自然に歪んでいる。
恐らく事故の衝撃で即死したのだろう。
梨香の視線はゆっくりと下へと下りていく。
腰のベルトには革製のホルスターがあり、中から腰のベルトと繋ぐ紐が出ているのが見えた。
この紐には見覚えがある。
ベルトと、拳銃を繋ぐコードだ。
本来はランヤードという名の器具で、脱落防止の為に取り付けられるものだが、梨香は知る由もなかったし、仮に知っていたとしてもこの状況ではどうこうしようもないどうでもいいことだった。
兎も角、拳銃が残っているという事実が重要なのだ。
車内を覗き込むと、恐らく運転席の警察官と同じ原因で死亡したのであろう警察官が助手席にも見えた。
梨香は、唾を飲み込むとそっと運転席の警察官のホルスターに手を伸ばし――
――数分後、パトカーの物色を終え両手に物を持った梨香は、門の近くのバス停の待合所を顎で示し、自身もそちらへと向かっていった。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.116 )
- 日時: 2017/09/08 21:22
- 名前: Hama=guri (ID: SqYHSRj5)
【1日目/10:09、(御薬袋 渚)】
それまで香取の背中を追いながらじりじりとパトカーへ近づいていた渚だったが、手で制されると大人しく止まる。渚自身も鼻を付くような臭いは気付いたものの、パトカーからある程度離れた位置で止まったので何の臭いかはわからず仕舞いであった。
それからパトカーを物色する香取を、渚は先程制された場所から緊張した面持ちで見守っていたが、警察官の胸が不自然に歪んでいるのを認識すると無意識に顔を逸らしてしまった。渚は映画などの創作物ですらそういうショッキングなシーンは好まない。というか間違っても見ない。そんな渚にとって死体は、先ほどから何回も見ているとはいえ慣れるようなものではなかった。
それでも意を決したように視線を戻し、パトカーの中を確認している香取をただただ見ていた。
それから、香取にバス停を顎で示されると誰に向けるでもなく――いや、自身を奮い立たせるためか渚は緊張した面持ちのまま二回ほど頷くと、バス停へと歩き始める。
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