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- 【中・長文】Survivors【募集継続中】
- 日時: 2017/12/03 05:44
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: YaQzuwJ5)
平和で、退屈で、つまらない日々が一変した日。
人が人ではなくなり、襲い来るようになった日。
生き残る道を、真剣に模索しなければならなくなったあの日。
僕らは、生存者となる為に戦わなければならなくなった。
――――
初めましての方は初めまして。
間宵蛾と申します。
ゾンビ物ですが、ホラー要素よりサバイバル要素の方がよっぽど強いかもしれません。
このスレッドはフィクションです。
実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。
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>>3 舞台設定等
>>4 募集要項
>>5 人物ファイル
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- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.87 )
- 日時: 2017/08/18 20:20
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: 9Gb.eK5t)
【1日目/09:30、(香取 梨香)】
渚がやや慌てた様子で自在箒の柄だった棒を受け取るのを後目に、梨香は次の自在箒のブラシ部分を取り外す作業に入る。
元々切羽詰まったような状況でのこうした作業は手慣れたものだ。流石にこんな事態は初めてだが。
「よし……と」
自在箒の柄改め長い棒二本目を手にした梨香は渚を振り返って得意げに微笑んだ。
「次は技術室行こう。テープか何か手に入るかも」
技術室はこの真上、特別教室棟3階だ。
深呼吸を一度し、廊下へと歩み出る。
廊下には相変わらず異常者の姿はなく――
――否、居た。
先程通ってきた渡り廊下から、女子生徒の異常者がのたのたと歩いてきていた。
――さっき別の女子生徒の腸を貪っていたあいつだ。
梨香は瞬時にそう判断し、渚を後ろに庇うように立ち、手にした棒を槍のように構える。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.88 )
- 日時: 2017/08/20 20:30
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:28、(御薬袋 渚)】
こんな状況だというのに、安心できる要素など無いに等しい状況なのに、渚は香取を一緒に居ると――彼女に微笑みを向けられると、不思議と安心できた。
技術室へ行こうという香取の言葉に、渚は相変わらずオドオドした様子が抜けないながらも頷いて、後ろを追いかける。
香取を追い掛けて廊下へと出る。なんとなく気配がして渡り廊下へと視線を向けると、先ほど腸を貪っていた異常者が、のたのたとした動きながらもこちらへ歩いて来ていた。
反射的に身体がビクリ震え思考も真っ白になりかけたが、香取が自分を庇う様に前へ出てくれた事で渚は何とか平静を保つ事が出来た。
渚は顔を強張らせながらもギュッと、手にしている棒を握った。何かできる自信は無いし、誰かに暴力を振るった経験すらない。下手に手を出せば足手まといになる事も予想できた。けれど香取の負担を少しでも減らせるよう、せめて気持ちくらいは――香取に任せきりではなく最低でも自分の身くらいは守らないとという気持ちが、少しだけ、ほんの少しだけ渚の心を奮い立たせた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.89 )
- 日時: 2017/08/21 07:51
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: 9Gb.eK5t)
【1日目/09:30、(香取 梨香)】
棒を槍のように構え、じりじりと異常者と向かい合う梨香。
間合いは棒で突くことを前提に取り、異常者の間合いには入らない。
女子生徒の異常者がゆらゆらと二人の方に顔を向けた。
目は焦点が合っておらず、こちらを捉えられているのかも怪しい。
口からは血が滴っているが、当人のものか先程食べていた女子生徒のものか。
少なくとも、急に俊敏に襲いかかってくるようなことも、それどころか二人に向き直ることもなかった。
「……」
梨香にはその女子生徒に見覚えがあった。
先程腸を貪られていた女子生徒といつも一緒に居た気がする。
親友でも異常者になってしまえば見境なしか。
と、女子生徒の異常者はふらふらと顔の向きを変え、階段の方へと行ってしまった。
梨香は構えたまま、拍子抜けにも似た感覚を覚えた。
確かにこちらを見た筈だ。
こちらを人と認識したのなら襲いかかってきていた筈だ。
だが、まるで二人のことを無視して行ってしまった。
満腹で興味がなかったのか、こちらを何か別のものと認識したのか、それとも――
「目が……見えて、ない?」
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.90 )
- 日時: 2017/08/21 22:24
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:30、(御薬袋 渚)】
渚は香取の後ろに居るうえ、香取自身異常者と間合いを取っているので、渚と異常者の距離はそれほど近くはない。
それでも顔を強張らせながら渚は両手で棒の端をギュッと握り、それを頭の上へ振りかぶっていた。もちろん渚の性格上、人生で棒をそのように使った事などないので、ドラマや映画の見様見真似である。もし異常者が急に近づいてきたり、香取が危なくなったら棒で思いっきり叩いてやろう、という気持ちで。
だが結論的に言えば、そのような事にはならなかった。
こちらの方を見はしたが、それだけだ。異常者はこちらから視線を外して、階段の方へと向かっていった。
渚は行き場の失った棒を下ろすと、心底安堵した様子で息を吐いた。
渚は修羅場にならなかったことで安心しきっており、『なぜ襲ってこなかったのか』という考察などしていなかった。
『目が……見えて、ない?』
けれど、香取の一言によって渚の頭は半ば強制的に思考が開始される。
確かに先程の様子はこちらの事など見えていないような動きだった。というかそうでなければ説明が付かない。勿論、襲うトリガーが明確にあって、今の渚と香取はそれに該当しなかった、という仮説も立たないわけではないが、それも薄い様に感じる。
ならば、ならばだ。視覚ではなく、別の感覚で状況を掴んでいるとすれば、考えられるのは――
「もしかして、音を頼りにうごいている、のかな……?」
先程は渚も香取も音を出さなかった。音を頼りにしているのであれば、気が付かなかった説明は付く。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.91 )
- 日時: 2017/08/22 18:17
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: nJ9riueE)
【1日目/09:31、(香取 梨香)】
「音か……」
確かに、渚と最初出会った時、近くに居た異常者はまず渚が教室の戸を開けた音に反応していた。それまでは教室の戸に半ば背を向けていたのだから、音に反応したとしか考えられない。
加えて、梨香が投げたランニングシューズが教室の窓にぶつかった音。それで一瞬歩みを止めた。歩みを再開したのはランニングシューズが床に転がった――やはり“音”。
その後渚が教室に引っ込んだのには反応した様子が全くなかった為、目は殆ど見えていないか全く見えていない可能性が高い。
「……試してみる価値はありそうだね。ありがとね、渚」
つい名前で呼んだが、梨香本人はそんなこと気にする間もなく思考に耽っていた。
聴覚以外はどうだろうか。
鼻は利くのだろうか、触ったら流石に分かるだろうか、もしかしたら目は全く見えないわけでもないかもしれない。
――これから嫌ってほど試せるか。
兎も角、今は技術室だ。
梨香は一応棒を両手でいつでも構えられるように持ったまま、ゆっくりと階段に向かって歩き出す。
行き先への通り道も階段、先程異常者が入っていったのも階段だ。
どうか下へ降りる方に入っていますように、と心の中で願った。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.92 )
- 日時: 2017/08/22 21:41
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:32、(御薬袋 渚)】
呼んだ香取本人は気にしていないようだったが、名前で呼ばれた渚は小さく身体を震わせた。勿論恐怖でではない。嬉しさからの震えであった。
渚は香取に命を救われたと思っているし、先ほども自信を庇う様にしてくれたことから既に香取に多大な信頼を置いている。そんな香取に名前で呼ばれた事が、単純に嬉しかった。
嬉しさに顔が綻び掛けるが、流石にそんな場合ではないという事は自覚しているので渚はかぶりを振って表情を、思考を元へと戻す。
それから香取の背中を追い掛け、当初の目的である技術室へと向かう。先程異常者が向かったのと同じ方向であるので、その両手は棒をギュッと握っている。
「居ませんように……居ませんように……」
渚は香取の後を追いかけながらも誰に言う訳でなく呟くように、祈るように小さく口ずさんでいた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.93 )
- 日時: 2017/08/23 05:19
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: nJ9riueE)
【1日目/09:32、(香取 梨香)】
「……」
念のため、渡り廊下の方を振り返る。
腸を喰われていた女子生徒は――
――どうやら、めでたく異常者の仲間入りを果たしたらしい。
腸を引きずり、地面を這いずってゆっくりとこちらに向かってきている。
あまりゆっくりし過ぎると今度はアレに追いつかれかねないな、と思いつつ階段の方を覗き込んだ。
下へ向かう階段の前に、女子生徒の後ろ姿が見える。
先程の異常者だ。
どうせなら階段を下らせてしまおうと、梨香はポケットから10円玉を一枚取り出し、階段の下、一階と二階の間の踊り場に向かって放った。
ちりーん、と小さな音が響き、階段の前に立っていた異常者が反応する。
階段に向かって一歩踏み出し――
「あっ」
――そのまま、バランスを崩して転げ落ちていった。
どたどたと転げ落ちる音が止まって数秒。
梨香がそっと踊り場を覗き込む。
転げ落ちた異常者は、踊り場に仰向けに倒れたまま動かない。よく見ると首が変な方向に曲がっていたし、頭を中心に血の池が広がり始めていた。
「……行こうか」
妙な罪悪感にばつの悪い顔をしながら、小さく溜め息を吐いて上る方の階段の一段目に足をかける。
目が見えていないからか、知性がないからか、いずれにせよ異常者は階段を下ることが出来ない可能性が高いことは分かったが、今後実証していこうという気にはならなかった。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.94 )
- 日時: 2017/08/23 20:45
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
異常者……とは言え、見たことのある女子生徒だったモノが階段を派手に転げ落ちたのを見たこともあって、渚も小さく声を漏らす。だがすぐに口を手で抑えて強引に声を押し殺した。
「う、うん」
手を外しながら、なんとかそう言葉を返す。
階段の踊り場は見なかった。恐らくあの転げ落ち方、そして音から惨状を察したのかもしれない。いくら名前は知らないとはいえ、見知った顔の惨状など見たくないのだろう。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.95 )
- 日時: 2017/08/24 01:08
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: WYyERamx)
【1日目/09:35、(香取 梨香)】
階段を上った先、特別教室棟三階の廊下。
例によって梨香は角から廊下を見渡した。
手前から物置、視聴覚室、技術準備室、技術室、物理準備室、物理室、そして奥の突き当りに音楽室。
目的は技術室だが、その技術室の手前側の戸が開いているのが見える。
奥の突き当り、音楽室の戸と壁の角には異常者らしき男子生徒が立っているが、技術室の戸とは距離がある為、何かしない限りは大丈夫だろう。
梨香は「異常者が居る、静かに行こう」という意味で、人差し指を渚の唇に押し当て、その指を自分の唇に当てた後廊下の方を指した。
渚の反応を待つことなく、ゆっくりと廊下へと歩み出す。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.96 )
- 日時: 2017/08/24 22:24
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:37、(御薬袋 渚)】
香取が角から様子を伺っている間、渚は緊張している様子で口元をキュッと固く結んだまま、大人しく待っていた。渚も一緒に覗き込もうかと思ったが、下手に出しゃばるよりも香取に任せた方が無難で、そして何よりその方が香取の邪魔にならないと思えたため、結局一緒に覗き込むような事は一切なかった。
だがそんな固く結んだ渚の口元に、香取の指が押し当てられた。
突然の出来事に思考が暴走し、渚は目を見開いて固まる。そしてその指が今度は香取自身の唇に当てられた事で、渚の思考はさらに暴走する。
「(なに、突然……それにこれって――間接キスってやつじゃ――)」
渚は異性関係はおろか人間関係すら放棄して一人走ってきたため、今回のような事には全く耐性が無い。既に香取には多大な信頼を置いているので、嫌悪感の類を抱くことはなかった。けれど、それは混乱しない理由にならない。
けれどその後香取が廊下の方を指さしたのと、何より今の緊迫した状況が、渚の思考をかろうじて平静に保たせていた。
そして何とか辿り着く。「廊下の向こうに、静かにする必要あるモノが居る」という結論に。
渚は若干顔を紅潮させながらも、廊下へ踏み出した。香取の背中を追いかけた。
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