雑談掲示板

【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
日時: 2019/03/25 17:31
名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)

皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。


こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。

主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。

荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。


※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。


〜書いてる小説リスト〜

●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)


~創作イラスト紹介~

●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)

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Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.73 )
日時: 2019/01/03 12:50
名前: † 彩都 †◆fnkquv7jY2 (ID: NjH/FOiY)

>>72
>>そういえば直接触れないと能力発動しなかったんですっけ...
 そうなんや……

>>分かりました!次回からはそうします!
 有難う御座います。

>>(ただ、飲み物に素手で触れるって絵的にどうなんだろうとか心配してたり)
 女子高生の指の出汁が入っているから絵的にエロい(((

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.74 )
日時: 2019/01/03 13:29
名前: 名無しのアキラ (ID: oTbgEp62)

たまげたなあ(

Re: 【暫定】〜V計画〜 ( No.75 )
日時: 2019/01/03 18:30
名前: 名無しのアキラ (ID: d/L4GWe2)

こんばんは

最近は小説を書く以外にやる事がないですね〜
いいことだ(^^)

Re: 〜V計画〜初の合作完結を目指す ( No.76 )
日時: 2019/01/07 05:31
名前: 名無しのアキラ (ID: DJGcfnI6)

フレスヴェルグの下では激しい攻防戦が繰り広げられていた。
スター流の美琴とヨハネスはレーザーの雨を建物を使って上手く避けながら、再び跳躍して本体を目指す。大樹のように拡散するレーザーの樹の枝を、浮遊するの自律兵器を踏み台にしながらフレスヴェルグ本体に近づき......

「この間合いなら!」

美琴が腕を振り翳し、ヨハネスは拳に炎をちらつかせ、技を撃つ体制に入るが......

フレスヴェルグは大きく羽ばたき、移動を開始する。突風が2人を押し返し、フレスヴェルグとの距離はますます遠くなっていく。
無理に飛んで接近しようにも、再びあのレーザーによる迎撃の嵐によってついに押し返されてしまった。
ピンポン球のように飛んで行った美琴とヨハネスは真下の建物の屋根を突き抜け、地面に叩きつけられた。

更に上空では、エンジェリカの天使、エリアスがフレスヴェルグへの追撃を行なっていた。飛行機には真似出来ない複雑な航路を飛ぶことにより、弾幕に囚われずにいたエリアス。
しかし周辺を同じく飛び回る、羽型の自律兵器のせいで攻めあぐねている。自律兵器はフレスヴェルグ本体と同じ材質で出来ているのか、破壊こそできるものの、とても頑強で対処に時間がかかる。しかも本体からは未だに後続の自律兵器が射出され続けている事から、恐らく相当の装弾数がまだまだあると思われる。

地上からはアンダルシアの魔術師、リクセスとエクセリオによって、空を焼き尽くさんばかりの魔法の数々が打ち上げられては炸裂していた。
リクセスの炎の大魔法“滅亡の業火(ロストフレイム)”は、火の玉として打ち上げられた後、空中で太陽の如く輝きを放って大爆発し、空中の自律兵器を吹き飛ばし、その炎は本体へも到達した。
エクセリオは自身は隠れながらも、多数の幻影を操りながら戦っている。彼の能力による「幻花千隊」は、空気や水蒸気に魔力を混ぜて作り出した、ほぼ本物の兵士達による軍隊だ。展開した弓兵の軍団による矢の雨、魔導師達による魔法の一斉放火は、この世界でも最大規模の火力だ。

フレスヴェルグの周辺は爆発し続け、その合間からは美琴やエリアスが絶え間なく纏わりつく。

しかしーー


なにかがおかしい


フレスヴェルは微妙に身体を動かしたり、羽ばたいて移動するだけであり、動きに鈍りはなく、しかもちゃんと反撃をし続けてくる。
むしろ攻めているレジスタンス側の方がダメージが蓄積していっていた。

前線から一歩引いた間合いの後方でその様子を見ていた、レジスタンスのリーダー、ラヴォンは、唸るように歯を食いしばり、戦局に焦りを感じていた。
その隣ではスター流ヒーロー群の創始者、スター=アーナツメルツも額に汗を浮かべる。

そこへ同じくレジスタンスの副長、アミラが、異界からやってきた学生であり、今は色々あってヴァルキュリア化までした少女、嘉元と、他のスター流のヒーロー達を連れてやってきた。
スターがその面子を見た瞬間、表情に一気に余裕と安心が過った。

「カイザー君! それに不動君とシャドウ君まで! みんな無事だったかい?」

「俺たちは全員大丈夫だ、それよりもーー」

「ーーあのでっかい鳥と戦ってる連中を心配した方がいいんじゃないかい?」

不動と嘉元は、並んで旧市街の上空に鎮座するフレスヴェルグを睨みつける。もはや周辺の邪魔者をどけたのか、ゆっくりとこちらに向かってきていた。既にあの口から放たれるレーザーの射程圏内ではあるはずだが、恐らく発射毎にチャージの様なものが必要なのだろう。まだ撃ってはこないが......
一同は各々の構えを取った。また、スターは両腕を組んだままの不動の姿勢で、空の怪物と対峙する。

「シャドウ君、何か策はあるかね」

スターが前を向いたまま、後ろのシャドウに問う。

「ふっ、愚問ですな!ーーと、言ってやりたい所ですが......」

シャドウはいつものお得意、高飛車な笑みと口調で途中まで喋っていたが。

「あいにく、あんなものに策も何もないかとーーまずあんな巨大な物が、しかもあれだけの大火力を持ちながらも飛行してる時点で“イレギュラー”だ。しかも、見たところ奴は“生き物”でも“機械”でもない。更に破壊困難で再生までする未知の物質で構成されてるときたら......」

「まあ、“殴ってく”しかないんじゃないのかね」

シャドウの詰まる言葉に、嘉元が強気の姿勢を見せた。

「その通りだ、俺に出来るのもそれだけだ。俺に砕けぬものは無い!」

不動も加減の姿勢を後押しするように拳を固める。

その時、更にふわりと空から降りてきた人物がいた。胸元の青い宝石と、白を基調とし黒い幾何学模様の入った不思議な衣装を纏う少年。異世界からやってきた謎の人物、デスタムーアだ。
先の対ヴァルキュリア戦で活躍し、主力のヴァルキュリアだったイクリプスを打ち取った。戦争の終結に大きく貢献した、圧倒的な戦力の持ち主の1人だ。

「俺も行こう、お前達の戦い方は見てられんからな」

「デスタムーアか! イクリプス戦のダメージは大丈夫なのか?」

ラヴォンの問いに、「余計の世話だ」と言わんばかりにデスタムーアは小さく溜息をつく。

「あんなもの、ダメージでもなんでも無い。平気だ」

「ははは、なかなか強いじゃないか。まあ、お互い無理せず行こう」

しかしデスタムーアも全くの無傷ではないことを、カイザーは察知していた。その上で上手く声かけをしていく。

フレスヴェルグの口の中が再び発光する。またあのレーザーを撃つ気だ。(来る!)全員がそう思い、それぞれの構えを取り、回避に移ろうとした時だったーー
上空に複数の飛来物あり。そしてそれは空で弾けるとともに、大量の白い煙幕を発生させた。フレスヴェルグの巨体とその周りの自律兵器が雲海に飲まれていく。
するとその途端、フレスヴェルグの攻撃と移動が止む。レーザーも撃ってこなかった。

「なんだこれは......目潰しのつもりか、ふん、“相変わらず”ちょこざい連中だな、“アレ”は」

「ーー左様、“元敵”ながら脱帽だ。“効率的”そして“近代的”。確かに“こんな仕掛け”を好む連中なんて、いかなる世界を探しても“ここ”にしかいないですなあ」

デスタムーアとシャドウは何かを察したように呟き合う。
それは明らかな「支援攻撃」だった。けれども、これ程の大掛かりな煙幕......そう簡単に用意できるものではないが、一同にはこの手の策に心覚えがあった。


『ーーやはり、奴は“目視”で敵を捕捉してる』


そしてそれを裏付けるように、背後から聞き慣れた少女の声が聞こえてくるーー
振り向くとそこには、腰まで届く長髪を後頭部で束ねた、一機の“ヴァルキュリア”の姿があった。白を基調とした装甲服にはピンク色のラインが入っていたデザインが描かれている。


『時間がないので端的にお話ししますが、“策”があります』


少女の言葉に、一同は目を見開く。不動仁王が、見慣れたその少女の前に一歩出てきた。

「ーー“ソル”、それはどんな策だ?」

「あの、そんなの決まっているでしょう?」

少女ーーヴァルキュリア・ソルは、今にも舌打ちしそうな表情で不動の問いに返した。


『アレを“撃ち落とす”策ですよお!』


ソルが言った途端、フレスヴェルグが煙幕を吹き飛ばしでまた姿を現した。
対峙する両軍、まさに今、決戦の火蓋が切られようとしていたーー

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.77 )
日時: 2019/01/07 15:31
名前: 名無しのアキラ (ID: CDC8lHoc)

こんにちは

スレタイ変更しました

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.78 )
日時: 2019/01/07 16:01
名前: モンブラン博士 (ID: G/sjXE/A)

ついにソルと不動が合流!シャドウの軽口も変わりませんね。フレスヴェルグを打ち落とす策がどんなものか楽しみにしています!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.79 )
日時: 2019/01/07 21:33
名前: 名無しのアキラ (ID: GFG6Zkuw)

モンブランさん

こんばんは〜
作戦はいくつか考えていて、それぞれのキャラの能力を活かしたものにしようと思ってます^_^
途中で目黒に手伝ってもらったり、最後には闇野もチラッと上手く出番を用意しようと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

また明日は自分非番なので、また1話頑張って更新しようと思います!

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.80 )
日時: 2019/01/10 19:01
名前: 名無しのアキラ (ID: EDQfsp0.)

フレスヴェルグの口が雷の如く発光すると、無数のレーザーが分岐しながら、雨のようにソル達へ迫ってきた。

「“散れっ!”“走れ!”」

ソルは一同へ叫び、自身も回避行動に移る。しかしソルが命令する前から、みんなは先に既に各々動き出していた。
ソルはまるで風に舞う木の葉のように、アクロバットな軽業でレーザーの嵐を擦り抜け、そしてその軽々とした動きの勢いを殺すことなく反撃にも利用していた。身体を駒のように回転させ、四肢とその長い銀髪を使って、レーザーの弾幕を弾き返す。彼女の髪の毛はまるで鋼のように敵の攻撃を弾き返し、そして絹のように滑らかな光沢を放ちながら美しく曲線を描いていく。
その彼女の後ろでは、不動仁王が怒りに燃えた灼熱の拳で、敵の攻撃を撃ち返していた。彼の拳によってレーザーは物理法則を無視して屈折され、代わりに周辺の建物をチーズのように切断していく。

そしてソルがタイミングよくレーザーの包囲網を擦り抜け、傍の水路へひょいと入って身を隠すと、それに不動も続いた。



まるで世界樹の如くレーザーの枝を広げていくフレスヴェルグの攻撃に、各々は散りながら各自自衛していくことを余儀なくされた。
旧市街の下層を駆けるグラエキアの頭上からは、絶え間なく地上で破壊された建物の瓦礫が落ちてくる。
彼女はそれらを、自身の能力の産物である闇の鎖を振り回し、弾き飛ばしながら退路を確保していた。
そしてその上空から風を切って彼女に近づく影ーー背中から純白の翼を生やしたエリアスが、グラエキアを助けようと更に高度を下げる。

「エリアス!」

「グラエキア様、こちらへ!」

接近に気づいたグラエキアは手を伸ばし、エリアスはそれをしっかりと握りしめた。エリアスは力強くグラエキアの手を引き上げると、そのまま抱きかかえるように手前の安全な建物の上に降りる。
見事なコンビネーション、しかし安心したのも束の間、今度はフレスヴェルグが放ったレーザーの束が2人を追いかけてきた。
再びグラエキアを抱えて飛び立とうとするエリアス、しかし人1人持ち上げながらに飛行では、やはり動きが鈍る。

そしてレーザーがエリアスに当たりそうになった瞬間、その間に入った何者かの陰によってそれは遮られた。
その箱のような頭部パーツを被り、大楯で攻撃を跳ね返すその姿は、グラエキアがこの異世界に来て最初に出会った人物のものだった。

「ギリギリ間に合ったで」

「ファランクス!」

グラエキアが最初に出会ったヴァルキュリアの少女、ファランクスは盾を構えながら首だけ振り返り「久しぶりやな」と返事を返す。
攻撃を凌ぎ切ったファランクス、しかし表情は曇っていた。見ると、フレスヴェルグの放ったレーザーの束の1つが、彼女の脚に絡みつき、傷つけて行ったようだ。盾ではカバーが難しい脚をやられた。
ポタポタと左脚から出血するファランクス。

「ファランクスさん!」

「大丈夫やで」

エリアスが心配して声をかけるも、すぐに次のレーザーの嵐が襲ってきた。エリアスはグラエキアを抱えて飛び立つが......
なんとファランクスも片脚の脚力のみで、素早く上手く動き回りながらレーザーを回避していた。しかも周囲からはわらわらと彼女の子分、はぐれファランクス達が湧き出てはレーザーを相殺していく。

上手く避けながら、身近にあった塔の後ろに隠れた3人。
するとファランクスはすぐに腰のポーチからガーゼと包帯を取り出し、自身の脚に巻きつけていく。流石はヴァルキュリアとても慣れた手つきだ。

「ウチらも、アンタらと戦ってる最中に随分と難儀をさせてもらたからな、片脚でも動き回れるよう訓練は詰んどる」

包帯を巻きながら語るファランクス、相変わらず表情には乏しいが、その声と喋り方はなんとなく交換が持てた。

「ふん、流石ですわね。褒めて差し上げますわ」

「それにしても、昔とは動きといいその姿といい、全く別の次元に到達してる様に見えますね。やはり復活した時の影響なのでしょうか」

応急処置を済ませたファランクスは立ち上がりながらーー

「せやな、確かに女神様とかいう人に復活させてもらた時に、オマケでアップグレードしてもらたんや。でもそれだけじゃないんやでーー」

そしてファランクスは右手に2連装レーザーライフルを構える。

「ウチらは復活するちいと前に“訓練”してきたんや」

「訓練?そんな短時間で?」

ファランクスは「せやで、けどなーー」と返す。


『ウチらは“アイツ”の能力を使ってなぁ。この世界では一瞬とも言える時間の間に、“5年”......いやもう【10年】ぐらい分やろか......気が狂うほど訓練してから、この世界に蘇ったんや』


「!?」


ファランクスの意味不明な言葉は、グラエキアとエリアスにとっては衝撃的だった。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.81 )
日時: 2019/01/13 12:32
名前: 名無しのアキラ (ID: rAcBIZJ6)



「バッチコーイっすよー!おそい!おそい!おそーーーーーい!」


桃色のツインテールをなびかせながら駆け回り、左腕部一体型のエネルギー火器“ハイレーザーキャノン”を撃ちまくる、青帽子がトレードマークのヴァルキュリア、フェイルノート。耐久力こそ一部のヴァルキュリアには劣るものの、トップクラスの機動力と、最長の有効射程、そして最大の貫通力を誇る。
ポジション的には後衛向きのヴァルキュリアだが、フェイルノートは大胆にもフレスヴェルグの真下付近まで潜り込み、更にそこから跳躍、装備したボード上のウェポンキャリアーの上に乗って、その推進力を持って背後まで回り込んでいった。

その後塵を追うように、他の面子も後に続いていた。
その中の1人、アンダルシアの魔術師の少年、ヴェルゼは、フェイルノートの大胆な攻めに、呆れを通り越して怒りの感情まで湧いてきていた。

「ヴァルキュリアの奴! 前に出過ぎだ!」

「いや、でも“あの馬鹿”が敵を引きつけてくれてるお陰で、もの凄く戦線を押し上げられたね」

ヨハネスはフェイルノートの動きの策を既に読んでいた。彼女はフレスヴェルグの側面へ回り込む事により、相手の注意を散漫にし、正面から打ち合っているヴェルゼやヨハネス達との十字砲火を狙っていたのだ。どんな敵であれ、四方からの攻撃を全て捌ききるのは難しくなってくる。
しかもフェイルノートはフレスヴェルグの反撃を回避できる最低接敵距離のようなものを意識しているようだ。多数の自律兵器のレーザーも、ボードをうまく切り替えして避け、またあえてボードを盾にしながらそれを受け、更に敵の攻撃を倍返しにするが如く多彩なエネルギー兵器の連弾をシャワーにように放射して薙ぎ払ったりしていた。

「フェイルノートは見た目以上に強いヴァルキュリアだ、特に“撃ち合い”じゃあね。あれそう簡単には落ちないよ。ソルの奴もあいつに今の前衛を全部任せてるんだろう、それだけの戦力なんだよ」

「じゃあ今がチャンスですね! 私達も遅れないように行きましょう!」

美琴が一同を追い抜き、更に高速で駆け出した時、1匹の はぐれファランクスが飛び出してきて、美琴へ何かを差し出した。アンテナ付きの長方形機械には液晶があり、ダイヤルとボタンがある。
急ブレーキをかけて停止した美琴と、それに追いついた一同がファランクスを囲んだ。

「ファランクスちゃん! これは......?」

「“無線機”だね、例の“策”とやらが始まるのか」

ヨハネスはファランクスから無線機を受け取る。





ソルは水路に身を隠しながら、自身が飛ばした髪留め型の偵察機から送られてくる膨大な情報を処理していた。彼女の両眼の網膜には無数のデータの列が高速で流れていく。
その傍で片膝をついてその様子を見守っていた不動仁王は、痺れを切らせて立ち上がる。

「おいガキ! いつまでそこで休んでるつもりだ! 俺の足を引っ張るようならお前も往生させてやる!」

「ーー黙れ、馬鹿が」

不動の方は見た目通りに、ソルは見た目以上に、相変わらず2人とも口が悪い。まるで磁石の同極を反発させたようにぶつかり合う。
早速不動はソルの胸ぐらを遠慮せずに掴むがーーソルはそれを左手で捌き、そのまま左腕の肘で不動の腕を挟み込んで“脇固め”の技の態勢に入った。彼女の技は体格差などは関係なしに、上手く決まれば外せない......そのままソルがやろうと思えば更に技をかける事も可能ではあるが、彼女は技をかけたまま少し前に進み不動を放り出す。
そして不動も巨体に似合わず素早い、すぐに切り替えして拳を向けて迫ってくる。

(あーめんどくせえ)

ソルは再び不動の拳を捌きつつ側面に回り込んだ。それでも不動の怒りは治らない。更に踏み込んで向かってくる。
その時、ソルの目が光る。


(この作戦の概要は、まあ“見せた方が”早いか)


ソルは柔術の構えから、両腕を上げてベアナックルの構えへ移る。柔術から打撃技の構えになったのだ。
そこへダイレクトに飛んでくる不動の拳、ソルは盛り上げて構えた両腕の盾でそれを受け止めた。
ミサイル並みの破壊力のあるパンチ、普通の女の子だったら吹っ飛ばされてしまうところだが、彼女はヴァルキュリアだ。それを受けても全く仰け反らないーーいや、流石にそれはおかしな防御力だった。いくらヴァルキュリアとは言え、スター流のパンチはそんなに緩くない。通常のパンチじゃない、プロレスのプッシュパンチのようなそれは、どんな相手でもダメージを与えられる筈だ。体格差のあるソルならば、後方へ押し出されるのが物理の法則にかなってるが......


キィィィンーー


耳鳴りにような音とともに、不動の拳はソルの手前に存在した“見えない何か”によって受け止められた。それは物質とも違う、まるで磁石や斥力みたいに、空間そのものに拒絶されたように不動のパンチ力を受け止め、拡散させていってしまった。
不動は“未知の現象”の前に、気づけば怒りが治まっていた。本能的に怒りを通り越し、冷静になったのだ。これがもしも相手してるのが敵だったら、尚更スター流のヒーローには必須な事だ。
不動はゆっくりと拳を戻しーー

「ーーおいガキ、一体何をした」

「まったく......人にものを聞く態度ですか、それは」

ソルも拳を下げた。
そして不動にはーーソルの身体を全て覆って庇える程の、半透明の巨大な“機械の手”がうっすらと見え始めていた。
更に、その後方にいいる、その機械の手の主らしき、半透明の未知の存在も徐々に見えてきた。背丈は10メートル前後だろうか、日輪のように輝く双眼が、不動を見下ろしていた。
以前とは全く違う、未知のヴァルキュリアの能力を前に、不動の怒りは鎮火した。


『少し、話しますよ』


不動が落ち着いたのを確認し、ソルは無線機を取り出すと、プレストークを押した。

Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.82 )
日時: 2019/01/14 13:12
名前: モンブラン博士 (ID: iXCFcTGk)

不動の怒りが鎮火するほどのソルの新しい能力、気になります!もしかすると何かを召喚する能力でしょうか?

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