雑談掲示板
- 【完結】〜V計画〜【夢をありがとう】
- 日時: 2019/03/25 17:31
- 名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: PtJBEP/Y)
皆さま初めまして。今はこの名前で失礼いたします。
こちらは某スレ閉鎖につき、臨時で建てた避難所スレになります。
主に某合作の創作物の保管庫として使う予定ですが、私以外の関係者の方のリクエストや、全く関係のない新参の方からのご質問や問い合わせ等も受け付けておりますので、よろしくお願い申し上げます。
荒らしスレではございませんので、皆さまのご理解を頂ければなと思います。
※2019/03/24 完結しました。また同日を持ってこちらのスレは閉鎖となります。短い間でしたがお世話になりました。
〜書いてる小説リスト〜
●「合作!!三千世界のヴァルキュリア!!」(完結)(リク依頼板・複雑ファジー板)
~創作イラスト紹介~
●「オリキャラ“ヴァルキュリア部隊”設定画」(>>2)
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Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.43 )
- 日時: 2018/10/17 00:54
- 名前: 名無しのアキラ (ID: W5a5Rx4o)
〜創作メモ〜
レジスタンスの車団が、炭の塊のようになった旧市街の街並みを通過していく。見渡す限りの黒いシルエットの不気味な世界を進むのは、非常に恐ろしくなる。
その向かう先、街の中心部付近の噴水広場で、彼らが対峙していた。
一方はレジスタンスのリーダー「ラヴォン」が率いるチームだ。黒い艶のある長髪を後ろで結んだヴァルキュリア「ユキカゼ」と、黒衣に身を包み身の丈程の大鎌を軽々と手にする異界人の少年「ヴェルゼ」。その後ろには黒いローブに身を包み、広範囲の見方を回復できるカンテラを手にする異界の銀髪のホムンクルス「フィア」。
無表情のままのフィアに対し、残りのメンバーは額に汗を浮かべ、緊張した面持ちを浮かべていた。
そしてーー白を基調とし、四肢に蛇が巻きついたような帯模様の衣装に身を包み、胸元に青白い光を放つダイヤのような宝石をぶら下げた少年「デスタムーア」。彼だけはラヴォン達よりも更に前方に出てきて、凍りついたような冷たい表情のまま“それ”と向かい合っていた。
対するは蒼いドレスの上から白い装甲を纏った一機のヴァルキュリア「イクリプス」だ。長い茶髪を左右縦ロールで纏め、頭部には王冠型の装甲を施された特徴的なシルエット。そして既にボロボロになった蒼いマントをはためかせている。
彼女は既に手負いで、左腕には包帯を巻いており、全身の装甲も削れてボロボロになっている。しかしその表情には未だに余裕のある、鉄壁の笑みを浮かべていた。
「......お前が、最後のヴァルキュリアということか。そして、お前がこの戦争、この“ループ世界”の黒幕だな」
「違います」
デスタムーアの問いを、イクリプスは即否定する。レジスタンスの副長アミラや、異界人のビジネスマン、ミヤギ達の活躍によって、この世界に異常な時間軸が発生しているのは明らかになっていた。そしてそんな事が出来る可能性のある人物は......彼の目の前に立っているイクリプス以外には考えられなかった。
「フン、この期に及んで言い逃れとは、哀れな女だ。まあお前が死のうが俺の知ったことじゃない、この宇宙の異物を取り除き、この世界が正常に回ればそれでいい。
せめてもの情けだ、楽に一瞬で死なせてやるーー」
デスタムーアが言い終えるや否や、彼は消えるように一瞬でイクリプスの手前に移動し、手にした黒い片手剣を勢いよく抜刀した。
「“闇斬り”ーー」
一閃が走り、イクリプスの胴体に深く刀身が食い込んだように見えた。しかし刹那ーーなんと2人は鍔迫り合いの状態になっていたのだ。
デスタムーアは黒い片手剣を、そしてイクリプスは手にした青龍刀をお互いに片手で構えている。
一瞬の出来事に思考が追いつかないヴェルゼは、思わず声を漏らした。
「っ!? 今、あいつ“斬った”ように見えたが......ていうかイクリプスの奴、どこから剣を抜いたんだ......!?」
「いや、イクリプスは物凄い速さであの斬撃を受け流し、回避しつつ空間を操る能力であの青龍刀を出現させたんだ!」
ユキカゼの言う通り、イクリプスはデスタムーアの斬撃を紙一重でその場で宙に浮いて前にローリングして躱し、回転しながら能力によって内部が宇宙空間と化した袖の中から剣を抜いて反撃したのだ。
完璧で流れるような攻防、しかしイクリプスの鉄壁の笑みに、少し曇りが現れていた。
「ーー“斬ったな”」
フィアが呟く。彼女の視線の先には、イクリプスの左手があった。それは自身の右空部を押さえるように添えてあり、そこからは微かに出血しているのが見えた。完璧には回避できなかったのだろう。
しかしお互いに引く様子もなく、鍔迫り合いによる力比べをしている姿を見たフィアが前に出てくる。
「おいおいおい、もう斬ったじゃないか。勝負ありだろ」
「フィア!下がれ!」
ラヴォンがフィアを庇うように更に前に出て静止する。
「浅かったか......おい、失せろ三下ども。ここから巻き込まれても知らんぞ」
「あらぁ、あの子はもう勝負ありだって言ってるけど?」
イクリプスの言葉を無視し、デスタムーアは右手の片手剣で彼女の青龍刀を抑えつつ、空いた左手を詠唱と共に突き出した。その掌には闇の魔力を圧縮して作られた漆黒の球が激しく渦巻いていた。
それを迎撃すべく、イクリプスも左手で詠唱を開始する。戦いは剣対剣から、魔法対魔法へと移ろうとしていた......
「黙れ......“波動弾”!」
「“開け、星界の扉”!」
両者の詠唱と共にエネルギーの奔流がぶつかり合い、激流の如き激しい光に渦が辺りを飲み込む。
それは正に、銀河のような輝きだったーー
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.44 )
- 日時: 2018/10/22 15:44
- 名前: 名無しのアキラ (ID: lGkgmMyw)
こんにちは。お久しぶりです^^
某合作のストックを本スレへ投稿してきました!
――ついに始まる、最強のヴィラン『〝不吉な未来〟イクリプス』と主人公軍の最終決戦。
最後に生き残るのは人類か、それとも……
補足:「イクリプス」とは、トプ画の右から2番目のキャラの事です(
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.45 )
- 日時: 2018/10/22 18:04
- 名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: cUIECJXY)
こんばんは。
壮大な戦いですね!
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.46 )
- 日時: 2018/10/24 10:33
- 名前: 名無しのアキラ (ID: Y/THmB0A)
四季さん
おはようございます(^^)
この後どう締めるか迷ってますw
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.47 )
- 日時: 2018/10/24 13:08
- 名前: 四季◆7ago4vfbe2 (ID: gXgq37f6)
こんにちは。
締め方、難しいですよね。(^_^;)
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.48 )
- 日時: 2018/10/25 21:31
- 名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: aommGpO2)
こんばんは〜
四季さん
ごもっともですね〜(汗)
なるべく参加者全員のオリキャラが活躍するようなストーリーを考えてます。
もうヴァルキュリアもほぼ全員居なくなったので、自然と皆様のオリキャラの出番は増えると思います!
それにはまずはイクリプス戦に決着を付けなければ・・・
自分の好きなオリキャラのお話になると、長引いて作者自身が苦しむというジレンマにハマった気がしますw
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.49 )
- 日時: 2018/10/27 01:45
- 名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)
後方に飛んで光りの渦から逃れたラヴォン達、しかし絶え間なくその中心部から放たれる風圧と衝撃波によって、前に進むのは困難だ。それどころか、全身を押し戻されて拒絶されるように、踏ん張っても踏ん張っても、ズルズルと後方へ流されていく。
「ラヴォンさ〜ん!」
そんな爆風の中、後ろから近づいてくる人物達がいた。白い忍者装束を身にまとったスター流ヒーローの少女「美琴」だ。彼女は両腕で顔をガードし、姿勢を低くしながらだが、この衝撃波の中を素早く移動してきた。
それに続き、インバネスコートを着込んだ美琴と同門生の少年「ヨハネス」もやってきた。
更に上空から、羽音と共に異界人の天使「エリアス」も降りてきて、ラヴォンを庇うように手前に着地した。この風の中でも自由に飛び回れるとは......流石本物の天使としか言いようがない。
頼もしい限りだが、このタイミングで援軍が来たのはナイスタイミングと言うべきか。この状況下では下手したら全員やられかねないかもしれない......
そして光の渦が弾け、大爆発と共に2つの影が飛び出した。2人は火花を上げながらぶつかり合って高度を上げていき、中央時計塔の上で再び剣を交えた。
デスタムーアは剣でイクリプスを突き飛ばすと、手を高々と上げて詠唱する。
「消し飛べ、“流星雨”」
その手のはるか先、夜明けの空には、代わりに見たことの無い星々が輝く宇宙がうっすら見え始める。そしてその奥からこちらへ落ちてくる、無数の火の玉......いや、それは光の塵の尾を引く、無数の流星群だった。
雨のように降り注ぐ流星はデスタムーアの脇を抜け、イクリプスへ向かって降り注ぐ。
ここまでスケールの大きな攻撃となると、もはや目の前の事への理解が追いつかず、もしかしたら動けなくなってしまう者も出てくるだろう。正に夢の出来事のような光景だ。
しかし......イクリプスは冷静だった。重力に身を任せて地面に落下しながら、その目で流星の数々を追っていた。ヴァルキュリアの網膜に映るロックオンカーソルを流星のひとつひとつに合わせていく......頭部アーマーからはカリカリとFCS(火器管制システム)が演算する動作音が漏れ、この状況下に最適な「答え」を叩き出そうとしていた。
全神経とエネルギーを頭部へ集中し、その身体は真っ逆さまになって落ちていく......諦めたか?イクリプスが瞳を閉じる。地上からその光景を見上げるラヴォン達は思った。
目の前まで流星が迫り、その熱気を肌でジリジリと感じる距離まで詰められた。それでも彼女は一向に動こうとしない。
(諦めたのか、それともまだ何かする気なのか、ヴァルキュリア......どちらにしろ、もう逃げ場はないぞ)
デスタムーアは空中に留まりながら、その冷徹な瞳でイクリプスを見下ろす。下には地面、上からは無数の流星。落下死と隕石爆撃の挟み撃ち状態。
しかし、眠るように目を閉じたイクリプスのまぶたの裏には、ある懐かしい光景が広がっていた......
★
ーー腰まで届く絹のような銀髪に、一途で強い眼差しの赤い瞳。自分より拳ひとつ分ぐらい背の小さい、ヴァルキュリアの少女。
後ろから抱きつくと、丁度彼女の髪に顔が埋もれ、甘く優しい香りとふかふかの髪に包まれる......
いつも冷静で、どんな時も真面目で、時々怒られたりしたけど、でもそんな彼女が時々見せる笑顔は、正にみんなを照らす「太陽」そのものだった。
彼女の声が聞こえてくる。
『わたしは死んじゃっても、それでも、あなたの心の中から、あなたを照らし続けるからーー』
その声は、正しく彼女の盟友「ソル・ヴァルキュリア」に間違いなかった。
『だから、頑張って......ずっと......いつまでも......側にいるよ......』
消えていく、ソルの姿と声。イクリプス頰を一滴の涙が伝っていった。
「ソルちゃん、ありがとう......わたし達、2人ならーー」
イクリプスが目を開けるーー
そして、彼女の網膜には縁を描くようにルーン文字が流れ、全身にエネルギーが流れていく。
デスタムーアは眼を見張る。壊れかけの人形ごときに、何故ここまでの力が溢れ出てくるのかと......
『ーーどこまでも、飛べるねっ!』
そして、イクリプスは身を翻して大地に足から着地した。旧市街の地面を震わせ、亀裂が走る。
更に、右の拳にレーザーブレードの光の刃を発生させ、自分の丁度真上に落ちてきた流星に正拳突きを押し当てた。
それと同時に、他の流星群も地面へ同時に激突し、旧市街は瞬く間に熱と爆風に包まれる。
一見、イクリプスが隕石に粉砕されたように見えたが......デスタムーアは自身の目を疑った。
彼が見たものは、稲妻の如く大地を駆け、隕石を己の拳で砕き、弾き返し、更にそれを踏み台にしながら、再び空へ登ってくるイクリプスの姿だった。
彼女が弾いた小型の流星は、まるでビリアードにように他の流星群も巻き込みながら散っていく。イクリプスの驚異的な反射神経とパワー、スピード。そしてヴァルキュリアのFCSによって叩き出された正確な計算があってこそできる技だ。
更に降り注ぐ流星の間を稲妻にように、複雑なジグザグ軌道を描きながらジャンプして移動し、しかも邪魔な隕石はその拳で叩き落とす......
しかし手負いの彼女にも限界はあったようだ。丁度着地した隕石の上で、微かに脚を滑らせてしまう。そして彼女の計算にも狂いが生じてしまった。
斜め上から飛翔してきた流星が、イクリプスぶちかまされた。
「がっ!」
もろに食らった。大きな破片が横腹を貫通し、風穴をあける。吐血。衝撃と裂傷で内臓
続いて脳震盪、視界が180度回転し、耳鳴りで聴力も失う。全身の力が抜け、そのまままた重力に吸い込まれていく......
けれども、なぜだろう。意識が朦朧になっても、視界が暗転しても、“彼女”の声だけはしっかり聞こえた。
そしてーーイクリプスの目には、自分の手を引く、ソルの姿が映った。これは幻だ。でも、イクリプスにとっては、そんなことはどうでも良かった。また彼女と出会えるなら、夢だろうが幻だろうか、それは世界一の宝だった。
ソルに手を引かれたイクリプスは、一閃の流星の如く、デスタムーアの懐へ飛び込んだ。その姿はまさに不死鳥の如しーーもはや、なにものでも今の彼女を捉えることは不可能なのかもしれない。
刹那、放たれたイクリプスの拳ーー
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.50 )
- 日時: 2018/10/27 03:19
- 名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)
地上からデスタムーアとイクリプスの激戦を見上げていたエリアスは、「二人の戦いを止めて来ます!」と言い残し、大きく翼を広げて飛び立った。純白の羽と共に舞い上がり、力強く羽ばたいて一気に高度を上げていくーーその姿を見ただけでも、彼の相当の実力を伺えた。
もはやエリアスの挙動は、地球上のいかなる飛行生物の能力も凌駕するレベルだった。これが本物の「天使」なのか。
ラヴォンが止める間もなくエリアスが飛び立った後、続いて美琴も駆け出した。
「私も行ってきます!」
「あっ、ねえちょっと!」
ヨハネスが制止しようと追いかけて手を伸ばした途端、美琴の姿は彼の視界から消えた。日々のスター流のヒーローとして鍛え抜かれた脚に力を込め、ロケットのように重力を無視して大空へ飛び出す美琴。
彼女は元々プロレス技を主力とするヒーローだ。プロレスとはリング上だけじゃないーーロープやマットを利用したジャンプ技など、他の格闘技には滅多に見られない、三次元的な動き・攻撃をすることが出来るが......流石にプロレスラーでも、そこまでは跳ねない。というか、美琴はリングどころか会場の外にまで飛んで行けるレベルのジャンプ力の持ち主だった。
どのように鍛えればああなるのか......
しかし空中では、流星の雨を掻い潜ったイクリプスが、今まさに渾身の拳をデスタムーアへ叩き込む瞬間だった。間に合うかっ!?
「くっ、“聖槍”!」
「間に合って!“太陽の拳”!」
エリアスは聖気をまとめ、物質化した白銀に輝く槍を手に、美琴は魂の黄金の光を拳に纏った。2人の大技だ。
あれ程の密度の、しかも隕石の雨という圧倒的な質量を持っても、直撃して吐血し、脳震盪で視界が180度回って暗転しても、それでもイクリプスは超えてきた。
デスタムーアは、剣を構えるのが一瞬遅れた。まさかこれ程の大技を、ボロボロになりながらもこのスピードぜ抜けてくるとは想定できなかったというのも勿論ある。
しかしそれ以上に彼は驚愕したものがあった。
それは幻影かーー彼には、イクリプスの肩に手を貸す、先程死んだはずのヴァルキュリア「ソル」の姿が、はっきりと目に映ったからだ。
拳自体は小さい筈だ。しかし迫ってくるイクリプスの拳は、デスタムーアには惑星サイズの大きさに感じられた。迫撃する「死」というイメージ。
(これでっ......!)
イクリプスの脳裏に浮かぶ「殺意」。脳のリミッターが外れ、桁違いの力を叩き出せる......しかしそれは諸刃の剣だ。脳内出血のせいで記憶を失っていき、やがては理性なき獣と化す。既に失った記憶のせいで、仲間も攻撃してしまった。いつかは世界で一番大事なソルの事すらも忘れてしまう......でももう彼女はいない。失うものは何もなければ、なんでも出来る......一瞬そんな事も考えた彼女だが......ふと、声が聞こえた気がした。
『あなたは英雄だよ......“自分”を見失わないでね......わたしは......いつもここにいるよ』
「っ!」
イクリプスは、“ヴァルキュリア”へと戻った。
そして、その拳はデスタムーアの鼻先で寸止めされ、凄まじい衝撃波が彼の脇を通過する。
大爆発ーーダメージもなく、吹っ飛ばされる事もないが、その最強の拳から放たれた波動は周囲の空気を圧縮して吹き飛ばし、空の雲を全て一瞬で吹き飛ばした。
「!」
予想外の攻撃に、エリアスと美琴は眼を見張るも、その自身の必殺技の勢いまでは殺 せずーー
デスタムーアの両側から飛び出した美琴の黄金の光を纏った拳はイクリプスの左目を、そしてエリアスの槍は彼女の心臓に当たるコアを貫いた。
ーーわざとガードしなかったのか、それとももはやその力も残ってなかったのか......
(力が......くっ、一体何が......)
イクリプスの技を受けたデスタムーアは全身の力を奪われ、地面へ落ち始める。それと同時に、イクリプスも反対方向へ落下し始めた。
(相打ち......なのか......ふっ、一瞬とはいえ、あんなダメージを負いながらも俺の力を奪ってみせるとは......敵ながら見事......)
デスタムーアは自身でも驚いた。何故自分は敵であるヴァルキュリアへ敬意を評しているのかと......全知全能を極めた神々である自分にも、分からない事もまだあるのかもしれない。
こうして重力に身を任せ、落ちていくのも悪くない。そんな感傷に浸りながら、風に流される。
しかしそんな彼をキャッチしてくれる人間がいた。美琴と同門のヒーロー、ヨハネスだ。そしてその後ろからラヴォン達も駆け寄ってくる。
★
イクリプスは地表へ近づくと、スラスターが自動的に点火して減速し、足から着してみせた。しかし力尽きて片膝をつく。
丁度ラヴォン達が走ってきたその手前だった。そして空から彼女を追ってエリアスと美琴が降りてくる。彼らは、イクリプスへどうしても話さなければいけなかった。
「ふっ、ふふ......不思議だよね。全然痛くないんだもの」
左目をえぐられ、胸部に空いた風穴から絶え間なく出血しながらも、イクリプスは微かに笑みを浮かべながら話し出した。
自ら行った攻撃による傷だが、エリアスと美琴は、そんな彼女から思わず目も背けたくなる。
デスタムーアはヨハネスの手からすり抜けると、自分の脚で立ち上がった。イクリプスの大技を食らってもすぐに起き上がれるとは、彼も見た目以上に大したタフネスを持っているようだ。
エリアスはイクリプスへ向けていた槍を霧散させる。敵意はない。もはや、勝敗は決した。急ぐ必要もない......そう判断したのだ。
「イクリプスさん、貴方は......デスタムーアさんを攻撃した時、途中で拳を止めましたね?」
「ええ?うーん......そうかなぁ?わ......わかんないや......」
口の中を血でいっぱいにし、片膝を地面につきながらも、エリアスの問いに答えるイクリプス。
「でも......思ったの。ソルちゃんも死んじゃったし、これ以上......あなた達と戦う意味はないって......」
「......仲間の為に戦ってたのか、お前は」
ヴェルゼはイクリプスの姿を見て、何故か自分たちを連想した。彼女も同じだと、人もヴァルキュリアも、大切な何かを守る為に戦っていたのだと。
イクリプスは、ふと空を見上げた。
「ああ......最高に楽しかったな......美しい地球、共に大地を駆けた仲間......わたくしも......随分いい人生を過ごさせて頂きました......」
瓦礫の山の間から入った日光が、スポットライトのようにイクリプスを照らす。
そしてーーイクリプスは空へ手を伸ばしたーー
『“ヴァルキュリア”......わたくしは......いつまでも......あなたに夢中です......』
風が吹き、彼女の瞳から輝きが消えるのを感じた。
立ったまま、石像のように動かなくなるーー
その姿は、まさに今天に羽ばたいていこうとする天使「ヴァルキュリア」だったーー
蒼き伝説のヴァルキュリアーーここに眠るーー
Re: 【暫定】某合作、ラスボス撃破に成功 ( No.51 )
- 日時: 2018/10/27 03:40
- 名前: 名無しのアキラ◆gAG34vIFP2 (ID: pXtR.R/E)
〜某合作のお知らせ〜
長らくお待たせして申し訳ございませんでしたが…(殴
本日、ついに某合作のラスボスキャラである最強のヴィラン「“不吉な未来”イクリプス」が死亡しました。
よって本合作のメインストーリーはクリアとなり、実質「完結」となります......
今後は完全な完結に向けて、エピローグを更新していくことになるとは思いますが......少しイラスト等、色々準備したいので、しばらく合作を休止するかもです(汗
ただこのサイトに来なくなるわけではなく、更新頻度が落ちつつも、ちゃんと掲示板へはコメントを返していきますので、よろしくお願い申し上げます。
(ただ以前から告知していた通り、ニコニコ動画アカウントやPixivアカウントの投稿作品は全て削除。またTwitterアカウントに関しても本日をもって閉鎖致します)
そして最後まで応援して下さった方々、本当にありがとうございました(土下座)
Re: 【暫定】〜ヴァルキュリア開発計画〜 ( No.52 )
- 日時: 2018/12/15 20:43
- 名前: 名無し (ID: bdjBkUDc)
ーー“伝説”と呼ばれたヴァルキュリアがいた。
ある日、突然空から落ちてきた彼女は、彼の地でもう1人の名もなき少女と出会い、2人は文字通り「世界」を変えた。
たった2人で世界を駆け出した彼女たちの後には、その姿を追って多くの者たちが続いた。
ある者は導きを求め、ある者は希望を求め、そして、人は、彼女の中にーー
【神】を見たーー
ある者にとってそれは“絶望”であり、けれどもまたある者にとっては、まさに“英雄”だった。
★
ラヴォン達は瓦礫の山の上に立つ人影を見上げていた。石像のように彩度が抜け落ち、灰色に石化してしまっている。そんな彼女の表情は、この上にないぐらい笑顔だった。
一体何を思ったのだろう、彼女にはーー伝説のヴァルキュリア「イクリプス」は、最後に何を見たのだろうーー
動かなくなったそれにもはや意味はないけれど、しかし彼らはなぜか彼女から目を背けられなかった。
撃つべき敵の筈なのに、もう戦争も、ヴァルキュリアの時代も終わったというのに。
どこか、なぜか、それは寂しさのような、自分達の存在意義や居場所がなくなったような、虚無で、虚空なものだった。
「ーーったくよお」
最初に沈黙を破ったのは、先頭に立つラヴォン本人だった。
「ーーなーにがしたかったんだ、お前は」
彼女の笑みに問いかけるも、無論返事はない。その言葉はラヴォンの呆れとも、そして史上最大の遊敵手への親しみにも似たような気持ちが込められているようだった。
「他に、私たちに道は無かったんでしょうか......ヴァルキュリアと人間は分かり合えたのでしょうか」
スター流のヒーロー、美琴が後悔して呟くように言う。するとその背後から、そっと彼女の肩に手を添える人物がいた。美琴の師匠のスターだ。
「いや、分かり合えたさ。ヴァルキュリアは悪者なんかじゃなかった。
この事をこの世界の人達に伝えれば、きっとヴァルキュリアと人間の争いは無くなる」
「それが、これからの僕達の“戦い”なんですね」
スターに続き、美琴と同門のヒーロー、ヨハネスもやる気満々の表情で呟いた。
すると、人間側の連合軍所属のヴァルキュリア、ユキカゼがみんなの前に出てきた。
「本当に、恐ろしい敵だった。君達の協力がなければ、きっと勝てなかったと思う。
改めて礼を言わせてほしい。本当に......ありがとう、みんな」
ユキカゼの言葉に、みんなの表情にふと笑みが浮かんでいた。
「一応俺も本職は“頼まれ屋”だからな......依頼された仕事をしたまでだ」
「へえー、でもヴェルゼ。それって随分な大仕事だったよね。
じゃあ、ちゃんと報酬は貰わないとね」
「まあ......そういう話は、おいおい、な」
異世界からやって来た死霊術師の少年ヴェルゼに、同じく異世界の組師の少年リクセスが、少し意地悪そうな笑みを浮かべて語りかけた。
「うむ、報酬は勿論、古代遺跡の解析を進めれば、君達が元の世界に戻る方法も解るかもしれない。
今後も是非我々に協力させてくれ」
「いや、私は大丈夫だぞ。この世界に居ても、食べ物と酸素には困らなそうだし」
「私も最悪この世界でも問題ありません。
うちに会社の商品を買ってくれるカモは、この世界にも幾らでも居そうですし」
ユキカゼが提案する中、異世界からやって来たホムンクルスの女性フィアと、異世界で会社を経営していたビジネスマンのミヤギは、すっかりこの世界に適応してる様子だった。
というかこの2人なら、きっとどんな世界に飛ばされたとしても、上手くやっていけそうだ。
「貴方達ねえ......でも、どっちの世界でも、どちらにしろ、わたくしは戦いの運命からは逃げられなくてよ」
異世界からやってきた王族の血を引く少女、グラエキアはそう言うと、石になったイクリプスを見上げた。
「あの世でまた出会ったその時は......一緒にお茶でもしましょう。イクリプス」
「まあまあ、そんな事を言わないで下さい、グラエキアさま。今は、彼女が無事天国に行ける事を願いましょう」
グラエキアは異世界の天使、エリアスと一緒にその場を後にした。
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