雑談掲示板

みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】
日時: 2022/06/30 06:43
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

再始動予定につき調整中!
注意書き多くてきもいね、もっと気楽に書ける場にするから待っててくれ!



略してみんつく。題名の通り、みんなでSSを書いて投稿しよう! というスレです。SSの練習、作者同士の交流を目的とした場所になっております。投稿された作品に積極的に感想を言い合いましょう。稚拙な感想だから、と遠慮する必要はありません。思ったことを伝えてあげることが大切です。

優劣を競う場所ではありません。自分が上手くないと思うそこのあなたこそ、参加してみてほしい。この場で練習をしてみて、他の参加者様にアドバイスを求めてみてはいかがです? お互いに切磋琢磨しながら作品投稿が楽しめると素敵ですね。

自分はそれなりに書けると思ってるあなたは、いつもの自分と違う作風に挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。または、自分の持ち味をもっと伸ばすのも良いでしょう。みんつくに参加することで、新たな自分を見つけるキッカケになるといいなと思います。

読み専の方も大歓迎です。気に入った作品があれば積極的にコメントを残していただけるとスレが盛り上がります。当然、誹謗中傷や批判など、人が見て傷付く書き込みはNGです。常に思いやりの精神を持って書き込みましょう。


*作品の投稿は最低限ルールを守ってお願いします。
↓↓
・お題は毎月3つ出題します。投稿期間、文字数の制限はありません。ただし、お題に沿ってないSSの投稿はやめてください。そういうのは削除依頼を出します。
文字数について、制限はありませんがどんなに短くても140字くらい、長くても20000文字(4レス分)以内を目安にして下さい。守ってないから削除依頼、とかはしません。
・二次創作は禁止。ですが、ご自身の一次創作の番外編とかIfストーリーのようなものの投稿はOK。これを機に自創作の宣伝をするのもありですね。でも毎回自創作にまつわる作品を書くのは駄目です。たまにはいつもと違う作品を書きましょう。
・投稿するときは、作品タイトル、使用したお題について記載して下さい。作品について、内容やジャンルについての制限はありません。
小説カキコの「書き方・ルール」に従ったものであればなんでもカモン。小説カキコはそもそも全年齢なので、R18ぽい作品を投稿された場合には削除をお願いすることもあります。
また、人からコメントを貰いたくない人は、そのことを記載しておくこと。アドバイスや意見が欲しい人も同じように意思表示してください。ヨモツカミが積極的にコメントを残します(※毎回誰にでもそう出来るわけではないので期待しすぎないでください)
・ここに投稿した自分の作品を自分の短編集や他の小説投稿サイト等に投稿するのは全然OKですが、その場合は「ヨモツカミ主催のみんなでつくる短編集にて投稿したもの」と記載して頂けると嬉しいです。そういうの無しに投稿したのを見つけたときは、グチグチ言わせていただくのでご了承ください。
・荒らしについて。参加者様の作品を貶したり、馬鹿にしたり、みんつくにあまりにも関係のない書き込みをした場合、その他普通にアホなことをしたら荒らしと見なします。そういうのはただの痛々しいかまってちゃんです。私が対応しますので、皆さんは荒らしを見つけたら鼻で笑って、深く関わらずにヨモツカミに報告して下さい。
・同じお題でいくつも投稿することは、まあ3つくらいまでならいいと思います。1ヶ月に3つお題を用意するので、全制覇して頂いても構いません。
・ここは皆さんの交流を目的としたスレですが、作品や小説に関係のない雑談などをすると他の人の邪魔になるので、別のスレでやってください。
・お題のリクエストみたいなのも受け付けております。「こんなお題にしたら素敵なのでは」的なのを書き込んでくださった中でヨモツカミが気に入ったものは来月のお題、もしくは特別追加お題として使用させていただきます。お題のリクエストをするときは、その熱意も一緒に書き込んでくださるとヨモツカミが気に入りやすいです。
・みんつくで出題されたお題に沿った作品をここには投稿せずに別のスレで投稿するのはやめましょう。折角私が考えたお題なのにここで交流してくださらなかったら嫌な気分になります。
・お題が3つ書いてあるやつは三題噺です。そのうちのひとつだけピックアップして書くとかは違うので。違うので!💢



その他
ルールを読んでもわからないことは気軽にヨモツカミに相談してください。


*みんつく第1回
①毒
②「雨が降っていてくれて良かった」
③花、童話、苦い

*みんつく第2回
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色

*みんつく第3回
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

*みんつく第4回
⑩逃げる
⑪「明日の月は綺麗でしょうね」
⑫彼岸花、神社、夕暮れ

*みんつく第5回
⑬アンドロイド
⑭「殺してやりたいくらいだ」
⑮窓、紅葉、友情

*みんつく第6回
⑯文化祭
⑰「笑ってしまうほど普通の人間だった」
⑱愛せばよかった、約束、心臓

*みんつく第7回
⑲きす
⑳「愛されたいと願うことは、罪ですか」
㉑嫉妬、鏡、縄

*目次
人:タイトル(お題)>>
Thimさん:小夜啼鳥と(お題③)>>181-182
むうさん:ビターチョコとコーヒー(お題⑲)>>183
心さん:君に贈る(お題⑭)>>184
黒狐さん:神の微笑みを、たらふく。(お題⑳)>>195
よもつかみ:燃えて灰になる(お題⑱)>>196
むうさん:宇宙人が1匹。(お題⑳)>>200



*第1回参加者まとめ
>>55
*第2回参加者まとめ
>>107
*第3回参加者まとめ
>>131
*第4回参加者まとめ
>>153
*第5回参加者まとめ
>>162
*第6回参加者まとめ
>>175
*第7回参加者まとめ

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Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.54 )
日時: 2020/06/29 22:22
名前: サニ。◆6owQRz8NsM (ID: sN0nJGSA)

*心さん

まずは感想ありがとうございます。自分でも内容をガトーショコラレベルでがっちりみっちり詰めたいので、まさかそのようなお言葉をいただけるとは…分かりました、もっとクソほど詰めてきますね!!!!!!!(やめろ)
内容を詰めるとなると、私は頭の中で物語をアニメーションにしてこねこねする手法をしています。そして最終的に1本のアニメが出来上がるので、それを文に落とし込む。というような流れです。
ご参考までに、とは行かないでしょうが、ごま塩程度に……

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.55 )
日時: 2020/09/01 15:03
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

*第1回参加者まとめ

Thimさん:小夜啼鳥と(お題③)>>5>>26
サニ。さん:赤(お題②)>>6
心さん:(お題②)>>7
サニ。さん:たをやめのゆり(お題①)>>9
12さん:毒にも、薬にも(お題①)>>11
ひがさん:(お題②)>>16
ずみさん:(お題②)>>17
海原ンティーヌさん:(お題②)>>18
スノードロップさん:毒に侵される神(お題①)>>22
心さん:ヒマワリ(お題③)>>24
ヨモツカミ:リリーオブザヴァリー(お題①)>>25
スノードロップさん:俺とあいつとそっくりな(お題②)>>29
かるたさん:嫌いなひと。(お題②)>>31
ひにゃりんさん:(お題②)>>32
12さん:I've(お題③)>>34>>129
スノードロップさん:君の花(お題③)>>36
心さん:オレと君(お題①)>>37
流沢藍蓮さん:Rainy Day(お題②)>>41
祥さん:帰り道にて、きみと(お題②)>>46
むうさん:雨だれの前奏曲(お題②)>>49

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.56 )
日時: 2020/06/30 20:49
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

*みんつく第2回・お題7月編
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色(三題噺)

参加者の皆様大変お待たせしました。7月のお題はこの3つです。
ルールを守って楽しくSS投稿をして下さいね。
※7月になったからと言って6月のお題を書いてはいけないわけではありませんので、好きなお題で作品を執筆してください。

また、管理人さんにお願いしましてみんつくをカキコのトップページからも飛べるようにリンクを貼っていただきましたので、スレを探すのが面倒なときなどに活用してください。

それではLet'sEnjoy!(>ω<)

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.57 )
日時: 2020/07/02 17:37
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: tI3DMzcY)

【深夜でござるがもう七月なので()
 今月もよろしくお願いします。】

お題④:寂しい夏
タイトル 「永遠に後輩。」


 今は夏。私は此処に立ち尽くす。


 森博嗣の、【すべてがFになる】の書き出しを今の状態なりにアレンジしてみただけ。そんな事を私は思う。原作は読んだことがないけれど、その書き出しだけで大いに興味をそそられる。

 私は一人、此処に立ち尽くしていた。薄暗く、窓からの光が数筋注ぎ込む、いや舞い落ちるだけの準備室。例えるならその光は、デジタルで絵を描く時のレイヤー効果、スクリーンに近いだろう。カーテンの淡い緑色を透過した白い光。取り留めもないことを思いながら、私はそっと空の棚に手を置く。
 僅かにホコリが付着しただけで、そこまで汚れてもいない。当然だ、大掃除を先程終えたのだから。夏休みの部活、最後の週はひたすら部室と準備室を整理して掃除をするというよく分からない伝統がこの部活にはある。もしかしたら伝統なんかではなく、純粋に片付けの出来ない顧問に都合よく使われていただけかもしれないが。

 でも、その顧問ももう居ない。去年の春、彼は隣の市へ異動になった。
 
 私たちの部活は、かなり専門的な技術と知識を必要とする。その上、無くなってもあまり困らない部活だ。いや、結局全ての部活なんて必要ないのかもしれない。生きていく、それのみを考えるのならそれはそう。でも、私たちの部活は本当に役目が無かった。運動部のように賞を取るでもない。もうほんとに、ただダラダラと集まって個人の作業をして、適当に反省会をして。そんな部活だった。だけど、入部した私たちは────少なくとも私は────そのルーズさを愛していた。
 彼の教えていた教科の、後任としてやって来た教師は、新しく出来た陸上部の顧問になった。
 顧問の後任を頼まれた社会の教師は、期限付きでそれを引き受けた。その期限とは───私たちが引退するまで。新しく一年生などは採らない。私たちが引退した時点でこの部活は廃部。私たちは永遠に後輩だ。
 通常三年生が引退するのは夏休みの部活動最終日。つまり、今日。引退式とかお別れパーティだとか、そんなことをいちいちやる部活ではない。だけど。

 酷く寂しい夏だった、今年は。

 昨年と一昨年は、沢山の先輩がいた。ずっと圧倒的な技術を持って部活を引っ張ってきた三年生。人数は少ないけれど、大きな信頼を集めていた二年生。そして、三年生がちょうど二年前に引退して、その次の年に二年生が引退した。夏を何時までと言うのか知らないけれど、彼らの存在は大きかった。
 そっと私は準備室内をゆっくり歩いて移動して、部室の方へ戻る。他の部員は皆先に帰ったようだった。私たちの部室はちょうど校庭に面していて、運動部が練習している姿を眺めることが出来る。
 中心を使っているのは陸上部。青い空と、白いジャージ。焼け付くような陽射しが照らす校庭の白い砂。ガラスを隔ててもなお聞こえてくる喧騒が、私が1人だからかやけに響く。

 やっぱり、今年の夏は寂しい。

 また部室を移動して、私は自分の荷物を持つ。扉を開けて外に出て、鍵を手に取って締める。しっかりと戸締りをしてから、私は鍵を返すために職員室へ向かった。
 途中、第一音────第一音楽室の略────の前を通る。中から響いてくる吹奏楽の楽器の音。いくつか知っているメロディーがあったから、ほんの少し口ずさんでみる。廊下には私ぐらいしかいないから、酷く虚しく響くだけなのを分かっていて。
 
 三回目だけれど、寂しい夏だ。

 職員室で鍵を返して、そこにいた顧問にこれまでの礼を言う。それ以上、何も言わない。そして私は、昇降口に向かった。



【最近みんつくが私にとっては一人称を書くための練習場になってますね。
 冒頭のすべてがFになるの所、マズかったら良い感じに書き直すので言ってください。】

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.58 )
日時: 2020/07/02 02:03
名前: 卯 (ID: mcolBGSc)

夜分遅く失礼いたします。卯と申します。
かなり抽象的(詩的?)な出来だ……これってどうなの?? と首を捻りつつ投稿させていただきます。

双子なり和モチーフなり同性同士の重い感情なりが大好きです。そんな話を書きました。
次は百合など書きたいです。切実に。

+++

タイトル:あいにおぼれる
使用したお題:⑥鈴、泡、青色(三題噺)


 ぽやぽやと溶けはじめた栗色の髪。穏やかにぼくを映すまあるい目。鼻、口の形も見せる表情もなにもかもが似通ったもうひとりのぼくは、ただただ微笑みを湛えていた。
 ゆるく、唇を月の形に結んで、しあわせだったねとこれから訪れるおわりを祝福している。まだら模様に解けては戻っていく“ぼく”は、どうしてしあわせだなんて思えるのだろう。わからないし、わかりたくもなかった。理解してしまえば、ぼくがぼくのしあわせを否定することになってしまうから。
 ただ、すべておわるのなら、なにも考えず思わずそのまま――その一心で“ぼく”を見つめ続ける。ハの字に曲げられた眉に心がきゅうと萎むのは、気のせい、気のせい。顔を背けて違和を感ずるなと念じ続ける。

 重たくなって、ぷかぷかと水中を漂う着物。
 上へ上へと流れていく、ぼくらを縛り上げる飾りの紐。
 紐の先につけられた金色の鈴――音を鳴らすことのできない、ぼくらの居場所を知らせる大事なお道具。

 なにかが弾ける音がした。反射に身を任せて“ぼく”を見る。
 水が、つめたい水が、ぼくらを覆おうと蠢いていた。弾けたのは無数の泡。ばらけていく形のない硝子玉の中で煌めいたぼくの片割れ。不安そうに身を寄せて、それでも笑顔は崩さずにいる。

(きみの気持ちも教えておくれよ。“ぼく”の気持ちはわかっているでしょう?)

 どうか、“きみ”もしあわせだといってくれ。
 そういっている気がした、その笑顔は真っ青に覆われていた。水はぼくらを覆うことに成功したのだ。
 そうしたら、あとはおわりに向かうだけ。手を繋いで、体を預けて、ひとつになって、未だ萎み続けているぼくのこころも、“ぼく”の問いも水に溶かして眠るだけ。
 おわりを告げる音はしなかった、けれど、時間が来たと悟るには十分だった。つめたい水がぼくらの体をつめたくしていっていることに気づいたから。

(きみもぼくの気持ちをわかってくれているはずだよ)

 いえばぼくらを否定することになるから、絶対、いわない。

(そりゃそうだ)

 真っ青の笑顔が溶けていく。うねる水たちに溶けていく。
 栗色が青色に塗り潰されていった記憶を反芻しながら、まだぼくらはそこにいるかと指の腹を探りあった。膝を擦りつけて、足の指を繋ぎあわせて、額を触れさせ、何度も何度も生きているか確認しあった。
 その確認すらもぼやけていく。鈍く、無に近くなって、そして、

 さいごに見たのは、甘やかな藍色だった。


※※※ 補足――とある村民の手記――

 “災が訪れたと巫様が告げた。
  いつ頃の話かはとっくの昔に忘れられてしまったし、私も忘れてしまった。
  この村の皆が覚えていることは、巫様が神の子が秘める破邪の力によって災を鎮ませよというお告げひとつだけだ。

  巫様のお告げを受け、村は儀式を行うようになった。
  七つになったばかりの子を神の子と崇め、災を鎮ませに――村の近くにある湖に沈ませたのだ。
  双子の方がそういう力が強いのだと告げられたものだから、双子が神の子として選ばれたときには村中が湧きあがったよ。

  災を鎮ませたあとは、神の子は神様に拾われる。神様が神の子を見つけられるようにと願ったのか、いつからか神の子に鈴の飾りを持たせるようになっていった。

  拾われたあとの子供たちが救われていると、未来永劫信じてやまない――”

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.59 )
日時: 2020/07/03 07:37
名前: 待雪草◆U9PZuyjpOk (ID: QrFId7AM)

お題⑤「人って死んだら星になるんだよ」

 『人って死んだら星になるんだよ。』

いつもそう言っていたけど君はずっと僕のことを無視して、金平糖を食べていた。

「星になる…………そんなこと絶対ありえないよ。人間は死んだら燃やされてお墓入り、でしょ?」
「いいや、絶対ありえるよ。」

それが原因で、ずっと喧嘩してた。
でも、ここは静かだから別にそんなことしてもいいだろうけど。

「それと似てるんだけど、金平糖ってさ、星の子供なんだって。近所の家のお馬さんが教えてくれたんだよ?」

今はお前の大好きな金平糖の話じゃないんだ。
そんな話、ただ見た目だけの話じゃねぇか。

「っていうか、もう夏か。じゃああいつらは逃げちゃうね。」
「逃げる理由はお前にある」
「夏ってことは、そろそろ私の出番だねぇ」
「見えにくい位置にいるだけだろ」

ダメだ。今日こそは伝えるんだ。

「…………なぁ、一つだけ言わせて貰う。」
「えっ何?」








『お前も元は人間だよ。“アンタレス”。』

「な…………!」

君____人間界でいうところのさそり座の一等星、アンタレスは、顔をしかめた。

「だから言っただろ?『人は死んだら星になる。』それはお前だよ。」
「………だからって、言わないでよ。私でも気付いていたんだから。“デネブ”。」


彼女が赤く見える理由。
それは、人として死んで今でも燃やされている、毒を持つさそりだから______。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.60 )
日時: 2020/07/04 08:33
名前: むう (ID: oQRxB9kI)


 お題5「人って死んだら星になるんだよ」
 タイトル「Stand by me」

 ********************


 七月七日は七夕の日。
 織姫と彦星が一年に一度天の川を渡り、再会を果たす大事な日だ。
 その事実を採用するならば、私はきっと彦星に会えることはないだろう。
 
 去年はこの日が平日だったので七夕の短冊も学校で書いたが、今年は休日なので宿題で短冊に願い事を書くことになった。
 でも今更、叶えたい願い事なんて、大事なものを失った自分にはない。


 両親が地域の行事に参加しているので、この広い家には私一人だ。
 今いるのは八畳ほどの和室で、神棚には仏壇が置かれている。
 中央に飾られてある遺影の中で、私にそっくりな女の子はりんご飴を舐めながら笑っている。


「怜ちゃん…」


 私には双子の妹がいた。名前を怜という。
 双子というのは性格が正反対だったりすることが多いらしい。怜ちゃんもそうだった。
 自分より勉強ができ、可愛くて優しくて、いつもクラスの中心にいた。
 姉の私はいつも妹の後ろに立ち、彼女の背中から世界を見ていた。


 でも……。
 つい三週間前のあの日は確か、酷く雨が降っていて、天気予報では嵐が続くと言われていた。
 怜ちゃんは前述したように頭が良かったので、進学塾に通っていたのだが、塾から出るスクールバスが水たまりでスリップして、転倒したのだ。

 母親は酷く泣いた。
 いつもはにこやかな顔をくしゃくしゃにし、大勢の人がいるお葬式で号泣した。
 父親は、やりきれないというように首を横に振るだけだった。
 
 私は、何も言わなかった。
 過去はどうやっても変えられないということは小学生の私にでも分かることだった。
 ただ、その時から自分はとんでもない罪を犯したのだと思うようになった。


 私がもっと頭が良ければ、怜ちゃんと一緒に塾に行くこともできた。
 私があの日、「嵐がひどいから今日は休んで」と言えば、怜ちゃんは死ななかった。
 私がもっと怜ちゃんのことを考えて行動していたら、こう言うことは起こらなかった。


『悠ちゃん、見てみて! またテスト100点とったよ!』
『すごいねぇ。怜ちゃんは自慢の妹だよ』
『ううん、私は悠ちゃんの方が凄いと思う。悠ちゃん大好きだよ』


 おまけに怜ちゃんが死んだ日は…七月七日。
 私たちの誕生日の日だった。
 こんな日に、神頼みで願い事を書いたってどうにもならないだろう。

 もうやめよう。こんな宿題なんか意味がない。
 私は学校でもらった短冊を、手でくしゃくしゃに丸めようとし…。



 私は見たのだ。
 仏壇の前に、今までなかったものが置かれてあるのを。
 確かあれは、怜ちゃんが使っていたミュージックプレイヤー?


「お母さんが持ってきたのかな」


 仏壇の側へ行き、プレーヤーを手に取ってみる。
 電源を入れると、ホーム画面にデジタル文字が表示された。


『録音データが一件あります』


「え…? こ、これかな」


 怜ちゃんが録音をしているところを、私は見たことがない。
 何を録音したのだろう。何で録音したのだろう。
 胸の鼓動が速くなる中、ボタンを操作して録音画面をモニターに映し出す。

 再生ボタンを押す。



『こんにちは、月瀬怜です』



 怜ちゃんの明るい声が聞こえた。


『これを聞いているってことは、悠ちゃんがそこにいるんだね』


『これは、悠ちゃんに向けた私からのメッセージです』


『まず初めに、お誕生日おめでとう。大好きだよ!』


『悲しい時、寂しい時、いつもあなたが側にいてくれました』



 ―――怜ちゃん。



『だから、これからも側にいてください』


 ―――ムリだよ。もう、手の届かないところに貴方は行ったじゃない。


『もし、私がいなくなったりしても、側にいてください』


『私はどんな時でも、悠ちゃんの側にいます。応援してます。愛してます』


 ―――怜ちゃん。怜ちゃん怜ちゃん怜ちゃん怜ちゃん。


 ずっと会いたかったよ。ずっとあやまりたかった。ずっと過去をやり直したかった。
 ずっと好きだった。ずっと後悔してた。ずっとずっとずっと。


『だから泣かないでください。だから諦めないでください。悠ちゃんを応援してます』
「無理だよぉぉ……怜ちゃんにまた、会いたいよぉぉぉ!」


 七夕だからとか、年中行事だからとか、そんなことは関係ない。
 私は、私は……っ。
 また、妹に会いたい。また妹の側にいたい。
 人は死んだら星になるって言うけど、それなら、私はその星の側で輝きたい。

 叶えてほしい願い事、本当はあるけれど、絶対に叶えることは出来ないと分かっているから。
 妹に、また会いたい、という願い事は、もう叶えられない。
 でも私は、たった一人の怜ちゃんの姉として、妹に会いたいのだ。

『悠ちゃんが大好きな曲を歌います。[Stand by me]』


 和室を流れるゆったりした曲調。私たち双子が大好きだった曲。
 ぐすんと鼻をすすりながら、私は手に持ったままだった短冊をじっと見つめる。
 私が今叶えたい願い事は。




『Stand by you』




 ~終わり~
 

 
 

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.61 )
日時: 2020/07/05 00:30
名前: 千葉里絵 (ID: nTqYZLt2)

 リハビリ的な感じで投稿させていただきました。正直、これ同性で書こうと思ってたのですが、NLっぽさが出るようにしました。GLとして読むことは難しいかもしれませんが、BL程度なら薄めなら行けるのでは()と思っています。
 幾つになっても文章が苦手で、しかもこちらリハビリなので、感想を頂けると喜びます。


*****


タイトル:永遠の婚約を
お題:⑥鈴、泡、青色(三題噺)


―人間に恋をして、全てを投げ打って陸に上がった王女がいた。最期には、泡になり、何もかも失い、消えてしまったという―

 この話を、幼い頃はおとぎ話、成長してからは歴史として学んだ。既に手にしていた幸せを潰してまで得たかった愛情を得ることも出来ず、姉たちの助けも拒み、最期には消えてしまったこの王女の話を聞く度に愚かだと感じてしまう。

 何も人に恋するのが悪いだなんて思わない。彼女の時代に魔法が追い付いていなかったわけではない。相手を海に連れ込むことだって出来たはずだ。

 彼女が陸に上がることを望むのではなく、相手を海に連れて来ていたら、歌で人間を魅了してしまっていたら、泡になるなんて契約の時点で諦めて海で他の人魚と幸せに暮らしていたら。

 彼女は幾つもの選択肢を持っていながら、それを無視して自身が全てを犠牲にして陸に上がることを望んだのだ。愚かだとしか思えなかった。

 かく言う私も人間に恋をした。けれど、あの王女様のような真似はしない。人間になれる薬は自分で調合したし、陸に上がりきることはなく、あくまで私は海の生き物、相手は陸の生き物として生きている。

 夕方、私が浅瀬にいると、軽やかな鈴の音がする。この音が合図で、私は人の身になって、恋人の元に向かう。そんなに長くは人間でいられない。ほんの数時間砂浜を二人で歩くだけ。

 だけど、それが何よりも愛しい時間で、私にとっての幸せだった。月が上ぼる前、海が濃い青に沈む頃、私達は別れのキスを交わしてそれぞれの在るべき場所に戻る。私は深い海の底。彼は明るい陸の家。

 そんな風に私達は愛を確かめ合っていた。そんな中、ある日今まで一度もされたことのない質問をされた。

「なあ、いつもお前がこっちに来てくれてるだろう?俺が海に行くことは出来ないのか? 」

 思っても見なかった質問だった。人間が海に行くことは出来る。長時間じゃないが呼吸は可能だ。だけど―

「―どうして、なの?」

「ん?それは、特に理由なんてないさ。ただ、お前はいつも俺に合わせてこっちに来てくれてただろう?だから、たまには俺も。な? 」

 その心遣いが嬉しくて、きっと私は隠しきれない笑みを浮かべているに違いない。こんな申し出を断る理由もないものだから、私は服のポケットから小さな瓶を取り出した。掌にすっぽりと収まるほど小さな瓶。

「これを飲めば一日程度海中での呼吸が可能になるわ。慣れるまで少し苦しいけれど、それでも来るの? 」

 私がそう訊ねると、彼は嬉しそうに笑いながら力強い頷きを返してくれた。

 約束は次の日、待ち合わせ場所は一番大きな岩の下の洞窟。目立つ場所だからすぐに分かる。

 でも、彼は来なかった。一日中待ったが来なかった。それ以降、あの軽やかな鈴の音が私の耳に届くこともなくなった。

 彼に捨てられたのだと悟った。もう二度と彼が私の名を呼ぶことも、一緒に砂浜を歩くことも、ないのだと思った。彼が好きだと褒めてくれた長い金色の髪も、今ではもう必要ない。可哀想な髪は短く切られ、波間を漂って消えていった。

 周りの人は皆、彼のことなんか忘れてしまえと言ってきた。もちろん、私だって忘れるつもりだった。だけど、心のどこかで、彼はこんなことをする人じゃない、何か理由があるはずだと思い続けていた。そんなはず、ないのに。

 そんな風にして一年が過ぎて、私が一人小さな魚たちの近くでぼうっと座り込んでいた時

―チリン

 あの、懐かしい鈴の音が聞こえた気がした。どこか、遠くで。でも、陸から聞こえるときよりも遥かにハッキリと。あの人がいるのかもしれない。鈴の音を頼りに、私は深い青の中を泳ぎまわる。鈴、すず、私を待つあの人が持っていた鈴。

 泳ぎ回って、もう日も沈みきった頃に、あの日の待ち合わせの大岩の下に着いた。そこが音が一番近く聞こえる様に感じて、うろうろと泳いで回る。

 あの日以来一回だって近付かなかったこの場所で、いつ死んだのだろうか、大きな鮫が転がっていた。そして、この鮫から鈴の音が聞こえたような気がした。

 私は、躊躇いもなく手近にあった岩で鮫の腹を切り裂く。いや、切り裂くというよりは、何度も何度も腹の辺りを岩で引っ掻いた。何回目だろうか、ようやく鮫の腹が切れて内臓が見えた。青い海と対比的な赤黒い内臓に手を突っ込んで弄ると、胃の辺りからちりんと鈴の音が聞こえてくる。私は胃を引っ張り出し、また岩を突きつける。やっと破けた胃からは―

―青いベルベットか何かだっただろう小箱と、魔法のあの人に渡した鈴。

 そっと小箱を開ければ、そこには真っ青な海のような宝石が嵌めこまれた二人分の指輪に、私と彼のイニシャル。

「迎えが遅れてごめんなさいね。でも、遅刻しすぎよ」

『こんなに会うのが大変だと思わなかったよ』

 懐かしい彼の声が聞こえた。




―人魚姫は泡になって美しい最期を遂げた。でも、人も人魚も現実ではそんなに美しい死は望めない。精々、青い海の深い底で、思い人に鈴の音で見つけて貰うくらいしか出来ないのだから―

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.62 )
日時: 2020/07/05 14:28
名前: 千葉里絵 (ID: 5BJThqDo)

 すごく此方のお題も好きだったから、という理由で突貫工事で二個目のお題を書いてしまいました。申し訳ない。あと、これ、すごく、「思ってたんと違う!!!!」って仕上がりです。そもそも、BLで書くつもりなかった。

 !!腐ですよ!!


*****


タイトル:星と恋と死
お題:人って死んだら星になるんだよ。



 夜空に輝く美しい光。宝石箱をひっくり返したような、控えめで、それでいて華やかな空の輝きに思わず感嘆の声が上がる。初めて訪れた親友の故郷の夜空は何にも増して美しい物だった。

 隣で一緒に星を見上げていたはずの男から、痛いほどの視線が向けられていることは気がついていたが、無視して空を見上げ続けた。今日でお別れの男に未練タラタラなんて終わりは死んでも御免だった。

 いつかは終わりが来るのが人間関係の道理で、それが思っていたより早かったというだけ。彼は明日にでも可愛らしい婚約者のところに行かなくては行けないし、自分はそれをすっぱり諦めるつもりなのだから。

「なあ、この地域で語り継がれてる話なんだがよ。お前がこういうの好きそうだから聞かせてやる」

 そう横柄な言葉遣いで告げる男は、相手からの返事も待たずに短い、物語と呼んでもいいものかと怪しい話を聞かせてくれた。

 昔からこの地方では、人に尽くすことを美徳とする習慣があった。それは他の地域でも美しいこととはされているが、この地方ではそれがとりわけ強く、最大の献身は命を落とすことだった。
 ただ命を落とすだけではダメで、誰かのことを心から思い、願い、その人のためだけに命を落とす事に意味があるのだという。そして、人のために落とした命は未来永劫輝き続け、空に浮かぶ美しい光となり、永遠の命と美と愛を受けられるのだと。
 そして、相手を思った強さの分だけ、美しく光り輝けるのだと。

「なんだか、不思議な話ね。死んだ人間が星になるなんて」

 だとしたら、あそこに輝く星々も元は誰かの命だったのだろうか。あそこで美しく燃えるように輝く赤い星も、静かに粛々と辺りを照らす青い星も、誰かのために献身的に己の命を燃やした人々が得た美しさなのだろうか。

「……ねえ、私がいつでも美しくありたいのは貴方が一番良く知ってるわよね? 」

「あたりまえだろう。何年の付き合いだと思ってるんだ」

 そう答える相手の眉間におかしな程の力が込められる。この男は自分が言いたいことが分かったのだと感じた。

「私が、どんなに努力しても受け入れたがらない人間が居ることも分かってるわよね? 」

幼い頃から言われてきた「男らしくない」という呪文のような言葉に、未だに苦しさを覚えることがある。隣に立つ彼の男らしさを垣間見るたびに、自分が異端で異分子で、世界から拒絶されるのが仕方ないことなのだと気付かされる。

「だからね、誰にも文句を言われない美くしさが欲しいの」

「……お前は十分綺麗だろうに、周りの目なんて気にするな。お前の美しさを分かるやつの方が多いだろう」

 この男の分厚い唇から吐き出される優しい、不器用な言葉に思わず笑いが漏れる。こんな自分をいつまでも美しいと言ってくれるのは、きっと彼だけに違いない。美しい盛りを過ぎれば、自分はもう無価値な人間へとなり果ててしまう。

 男らしい豪胆さはいつまでも消えないが、美貌は一瞬で消えるのだ。その束の間の美しさだけを追ってここまで20年間頑張って人生を生きてきた。

 この夜空と、優しい伝承を聞くまでは、少なくとももう20年は頑張って行くつもりで居た。今日を最後に隣から彼が居なくなることも、全て自分の糧にして、美しさに磨きをかけるつもりで居た。

 でも、こんな話を聞いたら、もう駄目だった。隣の彼が自分のことを気に掛けることがなくて良い様に。記憶には残っても、気遣うことがなくて済むように。婚約者と仲良くやっていけるように。星になってしまいたいと思った。

 誰にも文句の付けられない完璧なまでの美くしさと、彼との未練のない別れ。これ以上ない素敵な話だと思った。心の底から素晴らしい話だと思ったのだ。別に、彼に忘れられたくないとかいう醜い感情ではなく。ただただ、この方法が最も二人のためにいい手段だと感じたのだ。

 そう思って、無言で相手の顔を見つめると、深い青の相手の瞳に自分の姿が映りこんでいた。そこに写る自分の瞳が凄く頼りなげで、まるで引き止めてくれとでも訴えているように見えてしまって、思わず目を逸らした。

 逸らした目線の先にはまた、美しい星々が飛び込んできた。その輝きにまた羨ましさと悲しさを抱くと、隣から何かポツリと呟く声が聞こえた。

「……いいのにな」

 それは、ずっとお前と居られたら良いのにな、と言ってる様に聞こえてしまって。涙が止まらなくなった。

 私もよ。そう言ってあの不器用な言葉しか紡げない厚い唇にキスを落としてあげたくなる。そして、星になったらそれも叶わないものとなるのだと、ようやく気がついた。

 そして、代わりに可愛げのない言葉が零れる。


―一番美しい姿で、アンタのための星になりたい。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.63 )
日時: 2020/07/13 21:14
名前: ひにゃりん (ID: Vdbma5tA)

お題⑤
「記憶の星空」


人は死んだら星になる。昔、誰かがそんなことを言っていたような気がする。もしそうなら、天国とは星空なのだろうか。
星が見えなくなったのは街の明かりが原因ではなく、天国に行ける人が減ったから?
そんなことを考えていたら、突然名前が呼ばれた。
「花宮さん、次の問題お願いします」
「へ、あ、えと」
シーンとした教室。今日も、笑い物にさえなれず私はいらない子になっていく。


この街に、星は出ない。いや、違う。私には見えないんだ。昔は見えたはずなのに今は見えない。
きっと、天国から遠すぎるんだ。他の子はちゃんと生きているから見える。誰かの役に立っているから、
誰かを幸せにしてるから。私と違って。
家に帰ると、いつも私は絵を描く。みんなが笑っている絵、泣いている絵、…私が、その中にいる絵。
あと、お姉ちゃんの絵だ。お姉ちゃんは凄くいい人。だから天国も見えたし、行くことも出来た。
お姉ちゃんの手を握っている時だけ、私はいい子になれたんだ。いつも一緒に天国を見てた。
今、あの星光ったね。ほんとだ、何か言ってるのかな。
そんなことを言いながら、いつも二人で笑ってた。
絵を教えてくれたのもお姉ちゃん。私をくれたのはお姉ちゃん。
「もう、お姉ちゃんのところには行けない。」
何気なくカレンダーを見る。明後日は七夕だ、最後の。
何年も前から言われていた。
彦星が移動してしまったんだ。理由は分からないけど今回が最後の七夕だと騒がれていた。
私には関係ないけどさ。

ね、星(セイ)
なーに?
お姉ちゃんが星になったらさ、彦星さんに、織姫さん捨てないでって
お願いしたいなぁ。

ううん、なぁんでも。




朝。物凄い雨音で目が醒めた。
驚いて窓の外を見ると道が湖のようになっていた。
テレビで、いつでも避難できるようにと言っていたので荷物をまとめる。
家にはやっぱり私だけ。



避難所は私の通っている学校だった。たくさんの人が来ている。
すぐに帰れると思っていたけれど、なかなかそうもいかず、七夕が近づいていった。
「ねぇママ、おほしさま、見れないの?」
「…ごめんね、ごめんね。」
中には泣いている人もいて、なんだか…嫌だった。
『お姉ちゃん…見えない…お星様みえないよ…』
昔、泣き噦る私を慰めてくれたのは、いつだってお姉ちゃんだった。
「…」
「…」
「…っ!」
「ちょっと、花宮さん!?」
気づけば、駆け出していた。
自分の教室から紙を、
美術室から絵の具とペンキを、
いろいろな道具を、体育館へと運ぶ。
そして…







『先日の豪雨災害、最後の七夕の日に、避難所の学校である奇跡が起きました。
女子生徒が突如絵の具等を使い、星空の絵を書き上げたのです。
その絵は、専門家の目から見ても相当評価されるもので、避難者のなかでは、その絵を
見て涙を流しているものもありました。しかし、女子生徒は、美術の成績が
特別良いということはなかったらしく、星空のみ、正確にえがけるようです。
しかし、その中に一つのみ、実際には無い星が…』

数年後。星は星空の画家として暮らしていた。今でも星は実際には無い星を最後に付け加える。
星の記憶の星空には、こちらを見守る、優しい星が常に輝いていた。


待っていてくださり、有り難うございました!

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