雑談掲示板

みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】
日時: 2022/06/30 06:43
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

再始動予定につき調整中!
注意書き多くてきもいね、もっと気楽に書ける場にするから待っててくれ!



略してみんつく。題名の通り、みんなでSSを書いて投稿しよう! というスレです。SSの練習、作者同士の交流を目的とした場所になっております。投稿された作品に積極的に感想を言い合いましょう。稚拙な感想だから、と遠慮する必要はありません。思ったことを伝えてあげることが大切です。

優劣を競う場所ではありません。自分が上手くないと思うそこのあなたこそ、参加してみてほしい。この場で練習をしてみて、他の参加者様にアドバイスを求めてみてはいかがです? お互いに切磋琢磨しながら作品投稿が楽しめると素敵ですね。

自分はそれなりに書けると思ってるあなたは、いつもの自分と違う作風に挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。または、自分の持ち味をもっと伸ばすのも良いでしょう。みんつくに参加することで、新たな自分を見つけるキッカケになるといいなと思います。

読み専の方も大歓迎です。気に入った作品があれば積極的にコメントを残していただけるとスレが盛り上がります。当然、誹謗中傷や批判など、人が見て傷付く書き込みはNGです。常に思いやりの精神を持って書き込みましょう。


*作品の投稿は最低限ルールを守ってお願いします。
↓↓
・お題は毎月3つ出題します。投稿期間、文字数の制限はありません。ただし、お題に沿ってないSSの投稿はやめてください。そういうのは削除依頼を出します。
文字数について、制限はありませんがどんなに短くても140字くらい、長くても20000文字(4レス分)以内を目安にして下さい。守ってないから削除依頼、とかはしません。
・二次創作は禁止。ですが、ご自身の一次創作の番外編とかIfストーリーのようなものの投稿はOK。これを機に自創作の宣伝をするのもありですね。でも毎回自創作にまつわる作品を書くのは駄目です。たまにはいつもと違う作品を書きましょう。
・投稿するときは、作品タイトル、使用したお題について記載して下さい。作品について、内容やジャンルについての制限はありません。
小説カキコの「書き方・ルール」に従ったものであればなんでもカモン。小説カキコはそもそも全年齢なので、R18ぽい作品を投稿された場合には削除をお願いすることもあります。
また、人からコメントを貰いたくない人は、そのことを記載しておくこと。アドバイスや意見が欲しい人も同じように意思表示してください。ヨモツカミが積極的にコメントを残します(※毎回誰にでもそう出来るわけではないので期待しすぎないでください)
・ここに投稿した自分の作品を自分の短編集や他の小説投稿サイト等に投稿するのは全然OKですが、その場合は「ヨモツカミ主催のみんなでつくる短編集にて投稿したもの」と記載して頂けると嬉しいです。そういうの無しに投稿したのを見つけたときは、グチグチ言わせていただくのでご了承ください。
・荒らしについて。参加者様の作品を貶したり、馬鹿にしたり、みんつくにあまりにも関係のない書き込みをした場合、その他普通にアホなことをしたら荒らしと見なします。そういうのはただの痛々しいかまってちゃんです。私が対応しますので、皆さんは荒らしを見つけたら鼻で笑って、深く関わらずにヨモツカミに報告して下さい。
・同じお題でいくつも投稿することは、まあ3つくらいまでならいいと思います。1ヶ月に3つお題を用意するので、全制覇して頂いても構いません。
・ここは皆さんの交流を目的としたスレですが、作品や小説に関係のない雑談などをすると他の人の邪魔になるので、別のスレでやってください。
・お題のリクエストみたいなのも受け付けております。「こんなお題にしたら素敵なのでは」的なのを書き込んでくださった中でヨモツカミが気に入ったものは来月のお題、もしくは特別追加お題として使用させていただきます。お題のリクエストをするときは、その熱意も一緒に書き込んでくださるとヨモツカミが気に入りやすいです。
・みんつくで出題されたお題に沿った作品をここには投稿せずに別のスレで投稿するのはやめましょう。折角私が考えたお題なのにここで交流してくださらなかったら嫌な気分になります。
・お題が3つ書いてあるやつは三題噺です。そのうちのひとつだけピックアップして書くとかは違うので。違うので!💢



その他
ルールを読んでもわからないことは気軽にヨモツカミに相談してください。


*みんつく第1回
①毒
②「雨が降っていてくれて良かった」
③花、童話、苦い

*みんつく第2回
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色

*みんつく第3回
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

*みんつく第4回
⑩逃げる
⑪「明日の月は綺麗でしょうね」
⑫彼岸花、神社、夕暮れ

*みんつく第5回
⑬アンドロイド
⑭「殺してやりたいくらいだ」
⑮窓、紅葉、友情

*みんつく第6回
⑯文化祭
⑰「笑ってしまうほど普通の人間だった」
⑱愛せばよかった、約束、心臓

*みんつく第7回
⑲きす
⑳「愛されたいと願うことは、罪ですか」
㉑嫉妬、鏡、縄

*目次
人:タイトル(お題)>>
Thimさん:小夜啼鳥と(お題③)>>181-182
むうさん:ビターチョコとコーヒー(お題⑲)>>183
心さん:君に贈る(お題⑭)>>184
黒狐さん:神の微笑みを、たらふく。(お題⑳)>>195
よもつかみ:燃えて灰になる(お題⑱)>>196
むうさん:宇宙人が1匹。(お題⑳)>>200



*第1回参加者まとめ
>>55
*第2回参加者まとめ
>>107
*第3回参加者まとめ
>>131
*第4回参加者まとめ
>>153
*第5回参加者まとめ
>>162
*第6回参加者まとめ
>>175
*第7回参加者まとめ

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Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.12 )
日時: 2020/06/04 15:42
名前: ヨモツカミ (ID: jv3c1MFg)

>>6さにちゃん
参加ありがとうございます。さにちゃんらしい作品でなんだか安心しました。安定感。
雨が降っていれば、主人公が迎えに来てくれる、ということかな。考察苦手マンなので、あの子と主人公の関係性をすべて理解することはできないけれど、不穏で救いのない感じ、最高ですね。

>>7心ちゃん
参加ありがとうございます。
華鈴さんの話だ!
えっ、アドバイスかー。最初の頃に比べるとすごく描写が自然になったので、そんなに言えることないですね……。視点切り替えもそこまでよくわからなくなるとか無かったし。
最後の方の「そして二人は、互いに何も傷付かぬまま同じことを思うのだ。」ていう文章が、蓮は別に傷付く要素ないからなんか違くない? と思ったくらいですね。私の読み取る力が足りてないだけだったらごめんなさい。
二人とも「雨は良い」と思うけれど理由が違ってるのがエモだなあと思って好きでした。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.13 )
日時: 2020/06/04 21:26
名前: 12 (ID: euNAXRMM)

まずは初めに。ヨモツカミさん、「みんつく」スレ立てお疲れ様です。さらっと今投稿されてる見させて頂きましたが、同じテーマでも全然違う作品が出来上がったり、同じテーマだからなのか似た雰囲気を感じられたり、それぞれの方の十人十色の作風が見られて、どれもとても面白いです。改めてスレ主であるヨモツカミさんには、このようなスレを立てて下さったことにお礼を言いたいです。ありがとうございます。スレ主という立場で色々と大変なこともあるかと思いますが、影ながら応援しております。
先程は書くことが特に思いつかなくて、自分の作品だけ投稿するだけ投稿しましたが、現在投稿されている方の作品は全員読めたので、短いですが以下感想のようなものを書いていきたいと思います。

>>5
も、元ネタが分からない…!!んですけど、ヨモツカミさんの感想から察するに「ナイチンゲールとバラの花」っていう童話が元ネタなのかな?と思って調べてみたのですが……うおお……ネタバレになってしまうかもしれないので細かくは述べませんが、これは、これはアレですね……うーん……(宇宙猫)
何はともあれ、第三者視点から述べられるナイチンゲールの様子が健気で、やはり原作同様に愛に対する狂気とも言える強烈な熱を感じて、かなり、かなり雰囲気が好きです。いやー、私もこういう感じの話書いてみたいですね!
続き、楽しみにしています!


>>6
わ、分からない…!!(2回目)解釈が分からない……!!分かんない、分かんないんですけど、雰囲気、好きです。
あくまで私の解釈なんですけど、"あの子"は"私"の忘れられない人になりたかったんですかね……私にとってあの子はあくまでも、ただの友達。あの子はそれが嫌で、わざと悪い男に捕まって、友達として幻滅されて……最後のあの子は私の幻覚かもしれないけど、無意識にあの子の気持ちに気付いたのかもしれませんね。いやー、感情!!!!ラヴですね!!!!
一応、あの子の願望は叶ってるので、少なくとも私の中ではハッピーエンドです!!!やったぁ!!!(白目)


>>7
も、元ネタが分からない……!!(3回目)宵はく、という作品のキャラクターのスピンオフ、なのかな…??今度読んでみようかと思います。黒髪の少年が色を失う、ってなんだろう。とても気になる。言い回しがとても、とても好きです。華鈴、って子の不遇感が凄くて、なんだろう、この子の過去とか背景は全然分からないんですけど、救われて欲しいですね……この蓮って子が救ってくれるのかな。救われてくれ……。
いつかこの子が救われると信じて、原作の宵はく、読ませて頂こうかと思います……おんなのこのなみだ、つらすぎて…ぴえん超えてぱおんだ……。


>>9
わ、分か((……とりあえず分かるのは、このカップル、人を狂わせるタイプのカップルだ!!!乙女の純情弄びやがって!!うら若き乙女には刺激が強すぎる!!!
この女の子は……もう、戻れませんね……戻れなくなっちゃった子他にもいるのかな……イケナイガールズたちめ……こら!!
耽美な雰囲気、好きです。女の子だけの空間って、秘密の花園、って感じがして、独特で……美しいですよね………。
大変楽しませて頂きました……ありがとうございました……。




失礼しました。
書き殴りで、感想とも言えないようなもので本当にすみません……。
御三方とも、それぞれの良さがあって、面白くて、とても楽しませてもらいました……。
これからも、ちょくちょく自分も投稿しながら、時間があれば、こんな感じに感想投下させて頂きます。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.14 )
日時: 2020/06/04 22:15
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: qYoH3yPQ)

ヨモさん
 アドバイスありがとうございますー! 誉めてくれた! にへらーってしてました。(スルーして下さい)
 華鈴さん傷付く→蓮気付く→蓮も苦しむ
 みたいなことを書いたようなつもりでした。お前ら仲良s···何でもないです。深夜テンションで書いたので、と言い訳します。

12さん
 ふへへ、誉めていただけた······嬉しいです! ちなみに本編はダーファ板、外伝は複ファ板というよく分からないスレの立て方したのでそちらも宜しくお願いしますね(*^-^)
 12さんの話、綺麗にストーリーが纏まってて良いなーと思いました。起承転結がしっかりしてる感じ、好きです。お題から毒にも薬にも、って持っていける発想、見習いたいですー!
 まって私は百合書けない。
 
サニさん
 話がスカスカになってしまうことが最近の悩みなのですが、中身のしっかり詰まったSSで凄いです。勉強になります!

Thimさん
 一人称書けるの羨ましい! 尊敬します。私は一人称が苦手なのです。うわー、元ネタがわかると楽しいだろうな······探して読んでみます、図書館が始まったら。


皆様勉強になります! もっと参加者が増えると良いな! 三題噺のお題で執筆中ですので、その内、多分投下します。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.15 )
日時: 2020/06/05 12:33
名前: ヨモツカミ (ID: bSB/gM6g)

私が百合好きだからか、百合作品の投稿多いですね?? まだ好きって教えてなかった気がしたのですが、そうですヨモツカミは百合好きなので、百合作品の投稿は大いに推奨しております。
次にBLが好ましくて、NLがそんなに……て感じです。同性の許されない愛ってのが好きなんですよ。皆さんよろしくお願いしますねヘヘッ


>>9さにちゃん
二回目の投稿ありがとうございます。
女子校の夫婦みたいな二人がイケない関係だって知っちゃうというエモーショナルの塊みたいなシチュ、ヤバじゃん。愛した。脳を痺れさせるような毒、死なない程度の毒。毒が全身を満たしていく心地よさとか甘美な感じ、えちじゃん。愛するわ。


>>11 12さん
百合だ……。あっ、参加ありがとうございます。はじめまして。
店の上の存在だと思っていた人が、急に人間味を見せると、身近な存在になったような気がしますよね。女神やかぐや姫でなく、人間の先輩が愛おしい。
「食べてしまい(たい?)欲望を飲み込んで」「私の服を先輩が私の服をぎゅっと握りしめ」など、ちらほら誤字があるので直したほうが素敵になりますよ。
薬よりも毒になりたい三葉さん、ヤンデレぽくて凄い好き。
二人とも溺れているから、沈んでいくしかないって表現激エモで溺死しましたね。これ共依存ですよね? 最高じゃん、愛してる。
12さんの描写、全体的に好きです。言葉選びとかがとても私好み。

>>13楽しいですよ、こういうみんなで同じお題で書いてくっていうの! 喜んでいただけて何より。こういうの、参加者がいなければ成り立たないので、参加してくださる方に感謝です。


>>14心ちゃん
あっ、ただの仲良しじゃん。どこまで仲良しさんなんだよ尊いな。
それは二人の関係をよく知る人しかわからない描写なので、蓮から華鈴さんに対する気持ちの描写もあったら丁寧かなって感じます。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.16 )
日時: 2020/06/05 19:39
名前: ひが (ID: 6J53CjAQ)


 雨の臭いがする。嫌な臭いだ。埃っぽくて、じめじめとした、人を不快にさせる臭い。私の全身を濡らしながら、滝のような雨が地面を撃ち続ける。喝采のように思えた。世界がその手を幾度となく打ち鳴らし、私の使命の達成を祝福してくれているのだろうと。違った、例えこれが自己満足のスタンディングオベーションだったとしたら、どうして濡れそぼった私の服は、こんなにも重たいのだろうか。錘のようだった。私の歩みを鈍らせ、思考を曇らせていく。
 これは現実から目を逸らすためのものだ。今度はそう割り切ろうとした。無理だった。湿っぽい空気と裏腹に、乾いた号砲を響かせる雨滴の粒が、私の罪を滲ませていく。とても綺麗で、鮮やかな赤色。傷口の血はどす黒くて、勢いがないままだらしなく漏れるように溢れ出た命の雫は、汚れた雨に打たれて次第に鮮紅色へと姿を変えていた。この雨が隠蔽のためのものであれば、こんな風に彼の死を、象徴的に、誇張して私に見せつける必要はなかっただろう。
 彼の身体には今、風穴が二つ開いていた。一つは胸、心臓付近に穿たれたもの。もう一つは額、動かなくなった彼の死を、誰の目から見ても決定的なものにするための銃創。それはいずれも、他ならないこの私がつけたものだった。
 この雨は糾弾だ。茫然とし、膝を折り、身動き一つとれないままの私が行きついた結論は、そんなものだった。それまでに思い浮かんだいくつもの可能性、そのどれもが現実味を持っていなかったのに対し、この終着点だけはきっと間違ってはいないと理解できた。だって、私の背を叩くそれは、まるで銃弾のようで。降りしきり、圧し掛かり、肩に荷を乗せてくるのは罪の意識を表しているようで。何より、喝采だと思っていた血を叩く雨粒の声は、きっと祝砲でも何でもなく、罵詈雑言の雨霰のように聞こえてきたからだ。
 両手が痺れていた。小型の拳銃とはいえ、華奢な少女に過ぎない私の手に余る反動がするものだから。両手でしっかりと握って撃ったにも関わらず、肩が外れてしまいそうになる衝撃。物理的な覚悟が必要だったが、それ以上に精神的な覚悟が必要だった。指全体がじんじんと麻痺していて、とうとう拳銃の重みにも耐えかねて零れ落ちてしまった。かしゃんと、小さな音を立てたが、それも驟雨の営みに紛れていく。どうして今なのだろう。撃つ前から拳銃を握っていられなかったら、きっと撃つこともなかっただろうに。
 私の目の前で、壁に寄りかかるようにしてこと切れている男は、私とは一回りどころか、二回り以上歳が離れていた。ジャーナリスト、そう呼ばれるものを生業としているらしい。それが指す仕事を私は知りはしなかったが、私にお金をくれる大人たちにとって、邪魔な人間だったらしい。
 初め私に与えられた役割はあくまで監視だった。最近嗅ぎまわっていると思しき人間のお目付け役として、年端も行かない少女に過ぎない私が選ばれた。理由は私にもすぐわかった。この人は、正義の味方だった。そしてそれと同時に理解したことがもう一つ、この人はきっとろくな死に方をしないということだった。
 貧しい格好をし、わざと階段から転げ落ちて青あざだらけの私を見つけ、彼が保護するまではすぐだった。彼の住処の玄関付近、茶色く、烏の糞が手すりについたままのベンチに座っていたら、買い物に出かけようとした彼に保護された。
 両親に虐待されるいたいけな児童を装った。実家に送られることをひどく怯えた素振りをして、素性を明かさないままを貫いた。警察に相談すると実家に帰されるから止めてくれと懇願した。親なんて、物心つくまえに死んでしまったと言うのに。
 わざとつけた傷から滲んだ血と埃、砂とに塗れた襤褸のワンピースの肩ひもに手をかけて「何でもするから」と交渉した。けれどこの男は、その誘いには乗らなかった。だが、帰りたくなるまで守ってやると、私に衣食住を提供してくれた。
 代価として家事をすることとなったが、その程度は雇い主たちの下で習得済みだった。男には、「親にご飯も掃除も押し付けられていた」と嘘をついた。彼は簡単に信じた。
 その後の日々は、思い出したくない。それに囚われてしまうときっと、私という人間は二度と立ち上がれなくなってしまうだろうから。
 雨は嫌いだ。私の両親が死んだ理由も、雨だったらしい。私がまだ、生まれたばかりで、ドライブをしていた時、雨にタイヤを取られて交通事故に繋がったらしい。私が生き残ったのは奇跡で、そうでなければ今頃は、天の上で一家団欒していたことだろう。その後、独りぼっちの人生にいいことなんて一つもなかった。雨は嫌いだ、一度ならず二度までも、私の家族を奪って行った。
 私は男の監視を馬鹿正直に行っていた。彼が何を調べているか、いつ頃取材に向かっているのか。誰と情報を共有しているのか。それをつぶさに報告した。監視の延長線上に何が待っているのか知りもしないで。
 そう、まさに今日だった。まだ曇り空に過ぎなかった頃、組織の上司に今週の報告を終えた時のこと。彼の暗殺が決まったのは。凶器は手渡された拳銃だった。犯人役として一人死体を用意しているから、自分に前科が憑く心配はしなくていいと上司は言った。
 その後のことは、何も覚えていない。しくじったら、どういった末路を辿るのか私はよく知っていた。仲の良かった人たちが何人も、その末路を辿っていたからだ。そして、ここで私がこの正義の味方を逃がそうとしたところで、彼が他の刺客に殺されることに変わりはない。私に選ぶことができるのは、私自身の生死に限られていた。
 雨は嫌いだ。憎たらしくて、見るだけでうんざりしてくる。その筈なのに、私はどこか今日の雨が必要なものだったと感じ始めていた。もう動かない、私が殺した彼の表情を見る。脳天を貫かれているというのに、その表情はいつも私に向けていた、優しい保護者の顔をしていた。
 初めに胸を撃ち、壁にもたれかかった後。私がその銃口を彼の額につきつけたその瞬間。彼はひどく申し訳なさそうな顔をしていた。うすうすそうなんじゃないかと疑っていたのだと、言及しなかった自分の甘さを彼は笑っていた。笑いごとじゃないというのに。
 彼が最後に、私に伝えようとした言葉は、雨音と銃声とに塗りつぶされて、目標も定まらないまま虚空を独り歩きし始めてしまった。
 雨が降っていてくれて良かった。吐息を漏らすように呟いたその最期の言葉を、聞かずに済んだから。その言葉が呪いとなり、鎖となり、茨となって、私を締め付けることはきっと無いだろう。
 雨がふっていてくれて良かった。命を示すこの赤が、私の瞼の裏に焼き付いてくれた。きっと私は、この罪を忘れることができないだろう。
 雨が降っていてくれてよかった。流した涙を、なかったことにできるから。自分で選んだ道だ、後悔なんて似合う訳が無かった。
 雨が降っていてくれて良かった。彼の息遣いを聞かずに済んだ。彼の吐息が止まるその瞬間を、知らないでいられた。
 雨が降っていてくれて良かった。私の号哭さえ塗り潰して、上司たちからも隠してくれる。
 やはり、雨が降っていてくれて良かった。雨のせいにする訳にはいかないのだから。雨が私の幸せを奪っているのではなくて、たまたま私が不幸のどん底に陥っている時、驟雨が通りかかるだけだ。
 だから、きっと、私の中で振り出したこの雨が、止んでくれることは決して無いだろう。晴れる兆しなんて見えないのに、傘も差さずに、私は頭を垂れるように蹲ったまま、一寸たりとも動けずにいたのだった。









②のお題で参加させて頂きました。
他の方へコメントする余裕が私にはありませんので、特段私にコメントは下さらずとも気になさらないでください。応答が無い可能性があります。むしろ高いです。
ですがもし、最後まで読んでくださった方がいらっしゃるなら、お礼だけ述べさせていただきます。ありがとうございました。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.17 )
日時: 2020/06/05 19:45
名前: ずみ (ID: adrD0C/g)

お題「雨が降っていてくれて良かった」

 酷い雨だった。
 五月の中旬、音を立てて降り注ぐそれらは風物詩と言うには些か主張が強すぎて、いつもならば余りの喧騒に耳を塞ぎたくなっていたかもしれない。
 一つの水滴が、頬を伝って転がり落ちる。そのままやがては地に落ち玉砕する。でもそれらは雨に交じっては意味を成さない。私の抱くこの感情さえも、空から降り注ぐ雨が誤魔化してくれていた。
 上を見ても下を見ても、どこまでも景色は灰色だった。余りに色の少ない景色。死んだ街並み。いや、死んでいるのは私だろうか。まあ少なくとも、悪い心地はしなかった。余計なものがない世界は、傷に触れるものがないから。
 ああ、いっそ全てを洗い流してはくれないだろうか。この穢れた私の身も、頭に染み付いた記録も、写真に残る楽しそうなワンシーンさえも。全てまっさらになってしまえばいいのに。そしたらこんな気分だって、きっとまあ晴れるに違いないのに。
 雨が降っていて良かった。もしも今の天気が晴れならば、私は否応なく思い出してしまうのだろう。君といつか巡り逢ったその日の事を。どうしようもないくらいに茹だるような暑さの、見上げれば海に白が泳ぐ晴天の日。私たちの出逢いは言い逃れできないほど恣意的で、運命などとはとても言えないものだったが、それでも私はあの日あの時、あの場所で『逢った』のだ。その事実は変えようが無い事実ではあるし、歪めようのない真実であった。
 お互いに深く、愛していた、はずだった。でも間違ってたみたいだ。それは私の勝手な独りよがりでしかなくて、私はそれが耐えられなくて。そして気付けば、失っていた。誰が失わせたのと言われたら、きっと答えは私なのだろう。
 もしも今この手に、君の感覚が残っていたとしたら、私はどうしたんだろうか。それを愛おしそうに頬擦りしただろうか。裏切り者の残り香を憎んだのだろうか。もう既に流れ落ちてしまったそれは、今更追いかけることも取り戻すことも出来ないし、ましてやそんな事をしたいとは思っていないので、本当にどうでもいいことなのだが。
 本当に、なんの意味があったのだろう。とても短いとは言えない間の中で、目まぐるしく感情を乱高下させ、身体を何回も交わらせ、何度だってお互い証明しあったはずだ。それなのにいつからか、感情は死に絶え、優しさも失い殴り合いみたいに身体を重ねるようになり、お互いの感情を証明することが怖くなっていった。こんな関係、続けるのは馬鹿馬鹿しいものではあったけれど、でも失ってしまえば、それこそ私はただ馬鹿になってしまう気がしていた。結局、私はその馬鹿になってしまったのだけれど。
 もし意味があるとすれば、多分それは本当に最後の最後だけだったのだろう。
 愛する人を、自分だけのものにする感覚。心の中のみに閉じ込め、私以外の誰とも関われなくすること。その感覚と行為のみが、私が得たものだった。
 その際生じた目が痛くなるような彼の赤も、黒も、さっきまで私にこびりついていたはずだったけれど、いつの間にか流れ落ちていた。誰かにあの人を見られることも無かった。蔓延る鉄の匂いだって、誰か他の人に知覚されるより先に、流されてしまうのだろう。そうやってあの人の全てが洗い流された頃に、あの人は本当に私の心の中だけのものになる。

 ああ、本当に。

 雨が降っていて、良かった。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.18 )
日時: 2020/06/06 17:40
名前: 海原ンティーヌ (ID: f8sp8LGo)

「今日朝食ってねぇんだよな」
「マジで? 雨が降っててくれて良かったな」

 笑いながら友人が言い放つ。俺はつられて頷きかけたが、咄嗟に首を横へ捻り返した。なんで、雨? いや、そもそも雨なんて降っていただろうか。友人は神妙な顔をする俺を不思議そうに見ている。

「雨とか降ってなくね」
「は? 降ってるだろ」

 友人はそう言って俺の背後を指さした。俺はノータイムで振り返る。窓枠に切り抜かれた青い空から、沢山の影が今まさに落ちてきていた。ピンク、紫、オレンジ、黄緑。ご丁寧に包装までされた、数えきれない程の『飴』たちが、すました顔で次々と降り注ぐ。
 あんぐりと口を開けた俺に、友人は心底嬉しそうな声色で笑った。

「後で拾いに行こうぜ」







『雨が降っていてくれてよかった』
タイトルは特にございません。
314文字なのでセーフかな……と。お納めください。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.19 )
日時: 2020/06/07 00:16
名前: かるた◆OCYCrZW7pg (ID: 1QZ0dT0Q)

 初めまして、普段は小説板の方でちまちま小説を書いている者なんですが、ヨモさん主催のスレが立って嬉しくてしばらく読み専をしていたので、感想だけこちらに置かせていただきます。お前に感想貰いたねえよと思った方がいたらこそっと教えてもらえると削除しますので、お気軽に仰ってもらえると嬉しいです。
 好きだなと思った作品に絞って書かせていただきます。



 >>005 Thim様

 初めまして、コメライの方で作品を書かれている方なので一方的にですが存じております。お題に合った童話風の文体が美しくて好きです。恋に落ちると周りが見えなくなる、といいますがその典型なのかな、と思いました。恋は命より尊いもの、という台詞がまさに恋に狂っている感じがしてとても好きです。元ネタ知らなかったんですが、すごく楽しめました。続きを楽しみにしております。

 >>011 12様

 初めまして。すごい好きな雰囲気の文章なので知ってる方の可能性もありますが、誰かはわからないので初めましてで失礼します。好きすぎました、語彙力がなくなるぐらい好きです。そんなに百合読まないんですが、12様のこの小説を機にそういう小説も読んでみようかなって気持ちになりました。三葉ちゃんの愛はいい意味で一途で深くて、そして歪んでいるっていうか、そういう愛の形もまたいいよねって思いました。先輩も三葉ちゃんの愛を受けて彼女に溺れる表現が、少しずつ毒に侵されていく感じでいいなと思いました。起承転結がしっかりしていて、すごく綺麗に終わっていてSSとして私は最高だなって思いました。素敵な小説をありがとうございます。読めて幸せでした。

 >>016 ひが様

 描写力がすごくて読んでいて悲しくなりました。お題に一番合ったアンサーみたいな作品だなって思いました。正解なんてもちろんないと思ってますが、このお題に一番似合うお話だと純粋に思いました。雨が降っていてくれて良かった、その言葉には彼女のたくさんの感情が詰まっていて、最後の数行で泣きそうになりました。彼が分かっていてなお彼女のそばにいたこと、彼女に優しく接したこと、一緒に過ごした時間がこんなにも苦しく辛いものになると思いませんでした。
 最初は何でも信じて馬鹿なおじさん、とでも思っていたはずの彼女が最後には「雨が降っていてくれて良かった」と何度も繰り返し思い込もうとしているほど、彼が大事な存在だと気づいたこの変化がとても好きです。全く応答なくて構いません。こちらこそ素敵な小説をありがとうございます。


 また時間ができたときに他の方の小説も読んで感想書きに来たいと思います。書けたら小説も投稿できたらなと思っております。お題も好きなものばかりで、ヨモさんのセンスの良さを感じます。これからも作品がたくさん増えて、たくさん交流ができる場になればいいなと陰ながら応援しております。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.21 )
日時: 2020/06/07 21:59
名前: ヨモツカミ (ID: P2KlADJo)

>>20 綾音ニコラさん
はじめましてこんばんは。
ええと? 投稿する上での最低限のルール、読めなかったのかな? とおもうので、いいますね。

*お題に沿ってない作品の投稿はやめてください。

ルールは守らないとみんなが気持ちよくスレを利用することができなくなります。
せっかく投稿してくださったのに申し訳ございませんが、その作品は削除して頂けると嬉しいです。
次参加するときはお題に沿ったSSを投稿してください。

あと、あんまり未完成品を投稿するのも推奨していません。完成してないないのにどうしてそれを堂々と投稿するのかなって気持ちになります。あとで加筆するならまだしも、未完成でお題にも沿ってないとなると、もう場違いですので、そのへんをよく理解して頂いた上でまたの参加をお待ちしております。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.22 )
日時: 2020/06/07 23:49
名前: スノードロップ◆U9PZuyjpOk (ID: 9xFDIMsA)

さ、再チャレンジします………!

【毒に侵される神】

『ふぅん………君はしょぼいね。』

目の前にいる僕にそっくりな神が言った。

「………お前は何様だよ?」
『神様。』
「………ボケかますんじゃねぇよ。本当にお前は誰だよ。」
『さァ、誰だろうね?』

神は冷たく笑い、僕をじろじろと見る。

『お前、見た目しょぼいし、もうちょっと派手にできねぇのか?しかもそんな下ばっか向いてさ、死人みたいな顔してやんよォ?』
「うるさい。お前になんで僕がいろいろ言われなきゃなんないのさ。」
『神になりたてのおこちゃまだな。』
「黙れ………僕はこれから師匠から与えられた試練があるんだよ。」
『………あっそ。』

今は…………ちょっと休憩に洞窟に来たんだが。
ただ、今喋っている神は、僕にとっては僕の悪い所ばかり指図する“毒”だ。
言葉自体に毒が染み込んでいる。投げかけられるととても痛い、毒。

『まァ、人間上がりのくせにな。』
「………!てめぇ………」

神の中でも元人間の奴は落ちこぼれとみなされる。
僕だってさんざん馬鹿にされた。
そんな自分を変えたかった。
何故、人間上がりは落ちこぼれなのか。
何故、馬鹿にされるのか。

神は僕の心を読んだかのように言った。



『可能性は無限大だ。』





その瞬間、神の姿が割れた。
ぱりんっ、と。
破片が僕の足元に儚く散る。
「は………?」



その破片を手に取る。



「か、鏡………!?」





そうか、あいつ、ヤケに僕にそっくりだった。
つまり…………



「未来の、僕…………!」




毒はあいつじゃない。僕の弱い心だ。
僕の弱い心が、毒だったんだ………。


『可能性は無限大だ。』


可能性は、無限大…………!


あいつは、僕を罵りに来たんじゃない。
僕に自信を持たせに来てくれたんだ………。



ありがとう、僕。
僕は毒の張る洞窟から出た。
青空が手にある破片に映った。

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