雑談掲示板

みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】
日時: 2022/06/30 06:43
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

再始動予定につき調整中!
注意書き多くてきもいね、もっと気楽に書ける場にするから待っててくれ!



略してみんつく。題名の通り、みんなでSSを書いて投稿しよう! というスレです。SSの練習、作者同士の交流を目的とした場所になっております。投稿された作品に積極的に感想を言い合いましょう。稚拙な感想だから、と遠慮する必要はありません。思ったことを伝えてあげることが大切です。

優劣を競う場所ではありません。自分が上手くないと思うそこのあなたこそ、参加してみてほしい。この場で練習をしてみて、他の参加者様にアドバイスを求めてみてはいかがです? お互いに切磋琢磨しながら作品投稿が楽しめると素敵ですね。

自分はそれなりに書けると思ってるあなたは、いつもの自分と違う作風に挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。または、自分の持ち味をもっと伸ばすのも良いでしょう。みんつくに参加することで、新たな自分を見つけるキッカケになるといいなと思います。

読み専の方も大歓迎です。気に入った作品があれば積極的にコメントを残していただけるとスレが盛り上がります。当然、誹謗中傷や批判など、人が見て傷付く書き込みはNGです。常に思いやりの精神を持って書き込みましょう。


*作品の投稿は最低限ルールを守ってお願いします。
↓↓
・お題は毎月3つ出題します。投稿期間、文字数の制限はありません。ただし、お題に沿ってないSSの投稿はやめてください。そういうのは削除依頼を出します。
文字数について、制限はありませんがどんなに短くても140字くらい、長くても20000文字(4レス分)以内を目安にして下さい。守ってないから削除依頼、とかはしません。
・二次創作は禁止。ですが、ご自身の一次創作の番外編とかIfストーリーのようなものの投稿はOK。これを機に自創作の宣伝をするのもありですね。でも毎回自創作にまつわる作品を書くのは駄目です。たまにはいつもと違う作品を書きましょう。
・投稿するときは、作品タイトル、使用したお題について記載して下さい。作品について、内容やジャンルについての制限はありません。
小説カキコの「書き方・ルール」に従ったものであればなんでもカモン。小説カキコはそもそも全年齢なので、R18ぽい作品を投稿された場合には削除をお願いすることもあります。
また、人からコメントを貰いたくない人は、そのことを記載しておくこと。アドバイスや意見が欲しい人も同じように意思表示してください。ヨモツカミが積極的にコメントを残します(※毎回誰にでもそう出来るわけではないので期待しすぎないでください)
・ここに投稿した自分の作品を自分の短編集や他の小説投稿サイト等に投稿するのは全然OKですが、その場合は「ヨモツカミ主催のみんなでつくる短編集にて投稿したもの」と記載して頂けると嬉しいです。そういうの無しに投稿したのを見つけたときは、グチグチ言わせていただくのでご了承ください。
・荒らしについて。参加者様の作品を貶したり、馬鹿にしたり、みんつくにあまりにも関係のない書き込みをした場合、その他普通にアホなことをしたら荒らしと見なします。そういうのはただの痛々しいかまってちゃんです。私が対応しますので、皆さんは荒らしを見つけたら鼻で笑って、深く関わらずにヨモツカミに報告して下さい。
・同じお題でいくつも投稿することは、まあ3つくらいまでならいいと思います。1ヶ月に3つお題を用意するので、全制覇して頂いても構いません。
・ここは皆さんの交流を目的としたスレですが、作品や小説に関係のない雑談などをすると他の人の邪魔になるので、別のスレでやってください。
・お題のリクエストみたいなのも受け付けております。「こんなお題にしたら素敵なのでは」的なのを書き込んでくださった中でヨモツカミが気に入ったものは来月のお題、もしくは特別追加お題として使用させていただきます。お題のリクエストをするときは、その熱意も一緒に書き込んでくださるとヨモツカミが気に入りやすいです。
・みんつくで出題されたお題に沿った作品をここには投稿せずに別のスレで投稿するのはやめましょう。折角私が考えたお題なのにここで交流してくださらなかったら嫌な気分になります。
・お題が3つ書いてあるやつは三題噺です。そのうちのひとつだけピックアップして書くとかは違うので。違うので!💢



その他
ルールを読んでもわからないことは気軽にヨモツカミに相談してください。


*みんつく第1回
①毒
②「雨が降っていてくれて良かった」
③花、童話、苦い

*みんつく第2回
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色

*みんつく第3回
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

*みんつく第4回
⑩逃げる
⑪「明日の月は綺麗でしょうね」
⑫彼岸花、神社、夕暮れ

*みんつく第5回
⑬アンドロイド
⑭「殺してやりたいくらいだ」
⑮窓、紅葉、友情

*みんつく第6回
⑯文化祭
⑰「笑ってしまうほど普通の人間だった」
⑱愛せばよかった、約束、心臓

*みんつく第7回
⑲きす
⑳「愛されたいと願うことは、罪ですか」
㉑嫉妬、鏡、縄

*目次
人:タイトル(お題)>>
Thimさん:小夜啼鳥と(お題③)>>181-182
むうさん:ビターチョコとコーヒー(お題⑲)>>183
心さん:君に贈る(お題⑭)>>184
黒狐さん:神の微笑みを、たらふく。(お題⑳)>>195
よもつかみ:燃えて灰になる(お題⑱)>>196
むうさん:宇宙人が1匹。(お題⑳)>>200



*第1回参加者まとめ
>>55
*第2回参加者まとめ
>>107
*第3回参加者まとめ
>>131
*第4回参加者まとめ
>>153
*第5回参加者まとめ
>>162
*第6回参加者まとめ
>>175
*第7回参加者まとめ

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Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.104 )
日時: 2020/07/31 17:17
名前: ヨモツカミ (ID: .JgNVA4Y)

>>99はなちゃん
うっっっ、感想をねだったりしてこの運営何だこいつって思われたかなあと思ってたらこんなに丁寧に感想を下さって、めっちゃうれちい……

リリオブ
タイトルこれ、英語で「鈴蘭」という意味です。鈴蘭は美しい見た目に反して毒の花なので、作中でも鈴蘭が出てきたし、彼女の見た目も鈴蘭イメージです。
エモだしこの二人の組み合わせ最高よね!!!
でもノエルが迎えに行っても二人が結ばれる未来はないので、まあ、もしかしたら友達程度にはなれるのかな、と思います。でも、毒の娘が幸せになる未来は多分ないです(無慈悲か)その毒を悪いことに利用されたり、誰も近づけなくて孤独な生活を強いられたり、そういう存在なんです。だから、ノエルが現れたのはちょっとは救いになったと思います。
あ、気づかなかった。たしかにー□□みたいにみえちゃうね、ありがとうございます、複雑ファジーの短編集に載せてる方は直しました。こっちはめんどくさ、、(

海に還す
確かに突拍子もなさ過ぎて理解しづらいかもしれない。ただゾワッとするようなお話にしたかったので、特に深い意味はないです。世にも奇妙な物語を見たあとに書いたので、ホラーで不思議な感じを出したかったのよね。
ノリとしては、水の妖精(?)が子供をさらって食べていたけど、獲物である少女に逃げられたから付き纏って、つきまとい続けた結果、少女自身が水の妖精(?)そのものにされてしまう、みたいな。これからも鈴の音で子供を誘って喰らう化物は存在し続けるんだよ、怖いねってお話です。
描写は基本丁寧に書くことを心がけてるのでそう言ってもらえてハッピー!

あなたがみえる
そそ。かっぱが人が死ぬと星になるってお題を見て「死体を見に行こう」って台詞だけ思いついたし書きたいけど時間無いから書いてみない? って、持ちかけてきてくれて、二人で完成させました。私達の共通点は百合好きってとこなのでこうなりましたね(笑)
「夜空はあまねく死体遺棄現場」ってフレーズ、かっぱも好きって言ってくれたんですよね~。
親友は語り部に自分の死を見せつけて、忘れられないものにしたかったのでしょう。なんだか呪いみたいですね。どうして死のうとしたかは決めてませんが、学生が死にたいと思うにはこの世には理由がありふれてると思うので、特に決まってなくていいでしょう。
なんだか重たい関係の二人だと思いますが、お互いにお互いが大事だった証拠です。誰も介入できないほど深い絆があったんだろなと思います。

こんな感じかな。長々と語りましたが、暇なときにでも見てもらえたら嬉しいな。

確かに雨から連想されるものは寂しいものだったりすることが多い気がします。そんな中でほっこり話を書いてて、なるほどってかんじです。
みんなに感想かけてるのは最近暇だっただけで、忙しくなったら減ると思うので今だけですね……頑張りすぎてはないので、でも応援ありがとう!
はなちゃんこそ忙しいだろうにありがとうね。とても嬉しかった。コピペして保存した。


>>100むうさん
ひ~~~ごめんなさいごめんなさい! 見落としてました! 気をつけてるつもりなんですけどそういうの稀にあるみたいで……陰湿ないじめとかではないので私のこと嫌いにならないでくださいね! 教えて下さってありがとうございます。


わー、他にもあったらどうしよ。みなさんも自分の小説載ってないなと思ったら教えてくださいね……ヨモツカミも万能運営ではないので。至らないところがあって申し訳ないです。


>>101ひにゃりんさん
返信ありがとうございます!
投稿期限を設けてないのはみんなに丁寧に時間かけて書いてほしいからなので、焦らず書いてほしいなーと思います。
私の言葉が励みになったなら良かった! 是非また参加してくださいね。応援しております。

>>102ルビーさん
楽しいホラーでしたね(笑)ルビーさんのこういう楽しい話かけるとこ本当に尊敬します。私も書きたい……


Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.105 )
日時: 2020/07/31 19:17
名前: 鈴乃リン◆U9PZuyjpOk (ID: td2y1rdc)

最後の日に制覇致しますっ
お題④ 『さよならの意味。』


「なんで人ってさ、『さよなら』っていうんだろう。」

つい最近持った悩み。
さよならっていうよりも、『またね。』っていう方がいいじゃん。
でもその事を親友である照に聞いたら、彼女はこう答えた。

「まぁ、言い方も人によるじゃん!私だってさよならって言うよ?」

いつもと変わらないひだまりのような温かい笑みを私に向けた。

でも、何かが違った。
私がその質問を照に話してから、彼女の顔に、影があるような気がする。
にこにこ笑ってても、何か隠してるみたいな。

そう感じてから一ヶ月。夏になった。
登校に使う道も、蝉の声で煩くなった。

或る日、いつものように2人で通学路を歩いてた時に、事は起こった。

冷たい雨が降る日だった。




「ごめん!今日さ、弟のお迎え、私が行くことになっちゃってさ、一緒に帰れないの!」
「ううん、大丈夫だよ。じゃあまた明日ね。」



『さよなら。』








その会話が、彼女と交わした最後の言葉だった。







次の日に知った。
照が、家で親に殺された。
ずっと前から、虐待を受けていたことも、初めて知った。

あの言葉が、あの『さよなら』の言葉が、こういう意味をもたらしていたなんて、私は知らなかった。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.106 )
日時: 2020/07/31 23:41
名前: ヨモツカミ (ID: Xyuytlos)

>>105リンちゃん
マジ最終日に滑り込みするやんって驚きました(笑)
さよならって別れの挨拶は次がない感じして少し寂しいですよね。実際に照との次はなかったわけだけど。照はもう、いつ次がなくなるかわからなかったから「またね」は言えなかった感じかな。短いのにストーリーがしっかりあって良かったです。でも、情景描写をもっと増やすこともできるし、それをすることでもっと繊細で緻密な作品になると思うので、描写を増やしてみる練習もしてみていいと思いました。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.107 )
日時: 2020/07/31 23:46
名前: ヨモツカミ (ID: Xyuytlos)

*第二回参加者まとめ
心さん:永遠に後輩。(お題④)>>57
卯さん:あいにおぼれる(お題⑥)>>58
待雪草さん:(お題⑤)>>59
むうさん:Stand by me(お題⑤)>>60
千葉里絵さん:永遠の婚約(お題⑥)>>61
千葉里絵さん:星と恋と死(お題⑤)>>62
ひにゃりんさん:記憶の星空(お題⑤)>>63
祥さん:粘着質な独り言(または懺悔、反省文、ラブレター(お題④)>>64
心さん:星を造るひと(お題⑤)>>66
ヨモツカミ:海に還す音になる(お題⑥)>>73
ライターさん:その夏、僕は。(お題④)>>77
ヨモツカミ:そこにあなたが見えるのだ。(お題⑤)>>78
サニ。さん:クズの細道(お題⑤)>>79
待雪草さん:ペンネームと彼(お題⑥)>>82
むうさん:保健室クラブ ~私の居場所~(お題⑤)>>83
優羽さん(お題⑤)>>84
金鳳花さん(お題⑥)>>85
おまささん:雨が降っていてよかった(お題②)>>87
むうさん:碧と傷痕(お題⑥)>>90
蜂蜜林檎さん:金魚救い(お題④)>>92
心さん:ヘブンリーブルー(お題⑥)>>95
ルビーさん:(お題⑤)>>96
鈴乃リンさん:さよならの意味。(お題④)>>105

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.108 )
日時: 2020/08/01 00:00
名前: ヨモツカミ (ID: tmrndZ0M)

*みんつく第3回・お題8月編
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

8月になりました。今回追加されたお題はこちらです。個人的に⑨がめためたに読みたくて今回の参加者様たちにとても期待しております。
台詞のお題考えるのが難しくて、お題……募集してますよ。

では8月もLet'sEnjoy!

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.109 )
日時: 2020/08/01 02:14
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: tI3DMzcY)

8月一発目の投稿が感想ってどうなんや? と思ったので、とりあえずこちらを……後で加筆修正などするかもです。

お題⑧「なにも、見えないんだ」
「記憶の果てに沈む。」


 横断歩道の前、信号で立ち止まってぼんやりとレンは空を見上げた。今まで二値化された夕暮れに慣れきっていたから、その空は不気味なほど紅く赤く鮮やかに見える。むしろこちらの方が怖く感じるほどに。ざわざわと揺らぐ中に立ち尽くして、微かに息を零した。ちらりと横目で見上げてみれば、信号はまだ赤だ。
 夕暮れで思い返された色で塗られた記憶に沈み込んで、彼はどうしようもない最初を思い出す。


 それは、蒸し暑い夏の夜だった。母、咲織の喪が開けて幾日か経った時のような気もする。今日は毎年恒例の夏祭りが命風神社で行われていて、彼もそれに行く予定だった。途中までは確かに祭りに向かおうとしていたはずで、その証拠に甚平を着ているしあずま袋も持っている。だが、何となく気が乗らなかったのだ。それはもしかしたら、明るくてきらきらした祭りがあまりにも今の自分の境遇には合わなかったからかもしれない。叔父であり育ての親でもある楓樹は町内会の仕事やら何やらをしに行くらしく、夕暮れ前から家を出ていったのだが。
 黒のサンダルが乾いた土の地面を踏みつけて、道の端に転がっていた小石を蹴り飛ばす。人の気配なんて全然辺りにはしなくて、どんちゃん騒ぎの幽かな音が風に乗って流れてくるだけだ。木綿の涼やかな肌触りとは裏腹の、鈍い冷たさの風が肌にぶつかる。
 それに何故かどうしようもなく腹が立って、風に八つ当たりしても仕方ないのに少年は叫びそうになった。息を吸って、腹に力を込めて、身体をくの字にそらして、叫ぼうとしたその時────

 不意に、心地のいい風が吹いた。

 顔を元に戻して、息を吸い直して、咳き込みそうになるのを堪えて前を見る。そこに立つのは、蓮よりも年上と思われる少女だった。彼女の冷涼な美貌に目が引き寄せられて、その次に鮮やかな白と緋袴に目が動く。その衣は何よりも雄弁に彼女の身分を物語っていた。

「巫女……さまが、なんでここに…………?」
「やめて、その呼び方。私は華鈴。それ以外の何者でもない。」

 緑髪が風に靡き、力を僅かに抜いた少女の下駄が微かな音を立てた。夕暮れの光が滑り込んで、黒い瞳を照らしていく。

「華鈴、さまは……」
「華鈴でいい。君は?」
「あ、ぼくは井上蓮と言います…………えと、じゃ、華鈴さんはどうしてここに……?」

 生温い風が長い髪を揺らして、彼女は鬱陶しげにそれを払う。ちらりと己の服装を見下ろして、せめてとばかりに絵元結を引き外した。女なら羨ましがるであろう美しい髪を、しかし彼女は無造作に後ろへ跳ね除ける。
 一挙手一投足があまりにも綺麗で、蓮は華鈴から目が離せなくなった。ゆっくりと桜色の唇が動き、彼女は蓮の問に答えを返す。

「私がここにいた理由かぁ。ん……」

 そう言って彼女は黙り込んだ。ふっともう日の沈みかけた空を見上げては息を吐きだす。

「なにも、見えないんだ。」

 なにも、見えない。小さく蓮はその言葉を反芻して、自分なりに意味が咀嚼してできないものかと考え込む。そんな様子を目にして、華鈴はその歳に見合わぬ自嘲のような表情を浮かべて言った。

「何も見えないんだよね。暗くて、沈んでて。自由なんてものがどこに存在するかもわからない。本質的なことは何も見えなくて、あるのは上っ面だけ……」

 あまりにも大人びていて抽象的なその言葉は、蓮では上手く消化できなかった。だから、他になにか汲み取れやしないかと彼は華鈴の目を見つめる。

「なんてね。ちょっとした冗談だよ、気にするな。」

 そう言ってふわりと笑い、少女は蓮に向けてそう言う。じっと己の目を見つめていた蓮の目を見返すように見つめ合い、華鈴は微笑んだ。互いが見つめ合う事で成されてしまったそこはかとなく気まずいな空気を、打破しようと試みたのは蓮だった。

「もし、よければ。屋台とか、いきません?」

 その蓮の問いに、彼女は驚いた顔をした。辺りに視線を投げて、人がいないかを確認する。

「え、良い……のかな。」
「やっぱりだめ、でしょうか……」
「でも、見つかってしまったらアレだから、さ。きみが怒られてしまうよ?」

 蓮がそれに答えを返そうとしたその時、不意に轟音が響いた。はっとして二人が顔を上げて、東の方角を見つめる。家々の重なり合う間を透かし見れば、美しく煌めく花火がもう既に上がり始めていた。紺色の空は花火の背景となって淡い赤に照らされ、星々を超えるように輝く。

「私たちは、ここに居ない?」
「それでも、いいですけど……」

 花火の轟音と激しくなる喧騒が遠くから響いて反響して、華鈴は静かに微笑んだ。こんな空気が好きだ。棘もなくて逆に柔らかく甘やかすものもなにもない。

「きみは、優しいんだね。」
「え?」
「君は、本当に優しいなぁ。父様の機嫌取りなんてなにも考えず、私に接してくれる。他の者達は皆みーんな父様を優先して私の自由などおかまい無し。外ふらついてる私を連れ戻せば父様の覚えが良くなるとか、恩恵があるとでも思ってるのかな。」 
「父様、って神主さまのこと……?」

 一転して荒々しい口調で放たれたその言葉もまた、蓮は半分も理解できなかった。疑問を浮かべながらでも、蓮は満面の笑みを閃かせた。理解出来た部分は、彼にとってとても嬉しいことだったから。
 立て続けに打ち上がる花火の音にかき消されないよう声を張って、少年は言う。

「わあ、人から褒められるのってうれしいですね……華鈴さん。」
「え……うん、そうだな! ……ねえ、蓮。私、明日も君と会ってもいいかな?」
「べつに、いいですよ? でも……ぼくなんかと会って何するんです?」

 そう言って、少年は首を傾げた。

「秘密。会ったら話してあげる。だから、また遊んでね!」

 少女もまたそう言って笑って、さらりと髪を揺らして振り返った姿が美しかったことを、蓮は今でもよく覚えている。



「レン。レーン! 信号変わってるぞ!」

 ブランのアルトが呼ぶ声に引かれて、ふっと意識が今に浮上した。夕暮れを見て思い返していた過去に虚しくなって、レンはくっと息を詰める。秋津の夏の匂いが甦ってきそうになって、さらに苦しくなる。でもいくら想起したところで足元は踏み固められた土とかではないし、手に握られたのはあずま袋でもない。
 
「ハイ! 今行きマス!」

 もう、過去のことだ。そう思って彼は、そっと白と黒の線上に足を踏み出した。




【外伝スレの方にも載せさせて頂きます……! 感想と言いますか、アドバイスが欲しいです! 】

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.110 )
日時: 2020/08/01 02:25
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: tI3DMzcY)

感想へ返信! 少しづつ他の方の感想も書きます……Now Loading…………


よもさんへ
ありがとうございまァァす!
そうかな、そういえば……自分なりの文体もみつけていけるとなによりなのだけども、まだまだだから…………
私は青色がめっちゃすきなので、頑張りました。海の青って素敵だと思うんです。あと平仮名。あおいろ、っていいですよね。字面にそこはかとないエモみがある。
よもさんと感性似てたら私も嬉しいなぁ、最初これ百合でもノーマルでも、どちらの解釈でもできるように書くつもりだったんですよね。でも、だんだん私がノーマル大好きだからか少年になりました。ボクっ娘解釈でもたのしいかもしれません。
最初に百合を思いつくあたり、やはり似ている……(?)
8月も頑張ってください…………!


むうさんへ
ありがとうございます! 彼は絵に描いた子なのか、神様なのか、生贄なのか。きっと読む方によって印象は変わることだろうと思いますので、ここでの明言は避けますね。
でも、彼女はきっと勇気をもらいましたよね。明日へ生きるための。書いてて楽しかったです。わぁい。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.111 )
日時: 2020/08/01 22:05
名前: 憑◆R1q13vozjY (ID: Jyubo2Ms)

 第一回、第二回の感想だけ投げさせて頂きます。
 解釈違いとかあったらすみません。

――――

>>18/海原ンティーヌさん
この話めっちゃほっこりしますね。
凄く短いのに情景がしっかり浮かぶし、世界観がはっきりしてるなぁと思いました。というか色とりどりの飴が空から降ってくるとか可愛いな、こんな世界に行ってみたいです。あと飴がどんな味なのか普通に気になるので、友人たちと一緒に拾いに行きたいなぁなんて思いました。


>>73/ヨモツカミさん
こういう不思議でちょっと怖い話、凄く好きです。
感覚的な感想で伝わりにくいなぁと我ながら思うのですが、全体的に涼しさを感じる話だなと思いました。鈴って聞くと風鈴を思い起こす人なので、リンリンリンっていう鈴の音の描写には聴覚的な涼しさを感じたし、少女の最初の話(真っ青な水槽を~の件)では水中の中にいる風景が目に浮かび、視覚的な涼しさみたいな、そんな印象を受けました。そして最後に少女が人を食べるところでは、背筋がゾクッとするような気持ち悪い冷たさを覚えました。だからなんでしょう、夏の暑さを和らげるのに丁度良かった(?)です。
情景の描写が鮮明的だからでしょうか、単発のドラマか何かで映像化して観てる感覚に陥る文章だなと思いました。


>>77/ライターさん
僕あの、やまなしの話好きなんですよ……! 初めてやまなしを読んだときに「かぷかぷ」っていう表現が面白くて仕方なくて、だからなのか「かぷかぷ」っていう単語が脳裏にそのままこびりついてるんですよね。それを言うとクラムボン、って言葉もよく分かりませんが。途中で「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」と原作の一文が出てきたときにはちょっと鳥肌が立ちました。引用の仕方がキャッチー的で上手だなぁ、って。
そういえば花火って、打ち上がってからすぐに消えますよね。花火が消え行く様って、少し寂しさや切なさを思わせる感じがあります。後半で彼女が消えるシーンで、花火が上がったことを描写したのは、彼女が消えていくのを止められなかった語り手のやるせなさとか、彼女と語り手の関わりが物理的に消えてしまったこととか、そういうのも掛け合わせてるのかなぁと思いました。


>>90/むうさん
話が激重だ……友達の定義に触れる話は胸がぎゅっと締め付けられるような思いがありますね。彩夏ちゃんの友達の定義に対する考え方が似ていたので、余計に「うわこれしんどいな……」となりました。この読後感をなんと言えば良いのか分からないくらいに気分が沈む話ですね。
今まで親友と思っていたものが急に無くなったのに、妙に冷静な自分がいることを自覚して葛藤する彩夏の価値観と、親友が嫌いだと思いながら離れられない雛の価値観のすれ違いを感じさせるのが上手いなと思いました。文章として彼女たちの感情を詳しく描写はされていないなと思いましたが、その分色々考察の余地があるなぁと。メッセージ上のやりとりもなんか生々しいというか、彼女たちの青い感じというか、まだ精神面で熟成してない感じが顕著ですね。勢いで「じゃあもう連絡しなくていい」と言ってしまう所が特に。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.112 )
日時: 2020/08/03 16:48
名前: むう (ID: oE5JCiQw)

>>111 憑さん


 素敵な感想をありがとうございます。
 いつも甘々な物語ばかり書いているので、人生こんなにうまくいかねえよなと思った私の天邪鬼気質がこう言う作品を生みました(笑)
 友達って何なんだろう? という考えからでたテーマです。
 いつかこの彩夏と雛・二人が自分なりの友達の定義を考えられたらいいなあと思って書きました。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.113 )
日時: 2020/08/06 07:06
名前: ライター◆sjk4CWI3ws (ID: HLOK10zo)

>>111
憑さま
感想ありがとうございます! 私もやまなしが好きでですね、かつて小学校の教科書に載っていたのを思い出して……
そうですね、日本の文化的に散るものって美しいとされているとおもうんですよね。桜然り、花火もまた然りです。
その件のあたりは、「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」って言う原作の辺りとも掛けてみたりなどなどしています!

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