雑談掲示板

みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】
日時: 2022/06/30 06:43
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

再始動予定につき調整中!
注意書き多くてきもいね、もっと気楽に書ける場にするから待っててくれ!



略してみんつく。題名の通り、みんなでSSを書いて投稿しよう! というスレです。SSの練習、作者同士の交流を目的とした場所になっております。投稿された作品に積極的に感想を言い合いましょう。稚拙な感想だから、と遠慮する必要はありません。思ったことを伝えてあげることが大切です。

優劣を競う場所ではありません。自分が上手くないと思うそこのあなたこそ、参加してみてほしい。この場で練習をしてみて、他の参加者様にアドバイスを求めてみてはいかがです? お互いに切磋琢磨しながら作品投稿が楽しめると素敵ですね。

自分はそれなりに書けると思ってるあなたは、いつもの自分と違う作風に挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。または、自分の持ち味をもっと伸ばすのも良いでしょう。みんつくに参加することで、新たな自分を見つけるキッカケになるといいなと思います。

読み専の方も大歓迎です。気に入った作品があれば積極的にコメントを残していただけるとスレが盛り上がります。当然、誹謗中傷や批判など、人が見て傷付く書き込みはNGです。常に思いやりの精神を持って書き込みましょう。


*作品の投稿は最低限ルールを守ってお願いします。
↓↓
・お題は毎月3つ出題します。投稿期間、文字数の制限はありません。ただし、お題に沿ってないSSの投稿はやめてください。そういうのは削除依頼を出します。
文字数について、制限はありませんがどんなに短くても140字くらい、長くても20000文字(4レス分)以内を目安にして下さい。守ってないから削除依頼、とかはしません。
・二次創作は禁止。ですが、ご自身の一次創作の番外編とかIfストーリーのようなものの投稿はOK。これを機に自創作の宣伝をするのもありですね。でも毎回自創作にまつわる作品を書くのは駄目です。たまにはいつもと違う作品を書きましょう。
・投稿するときは、作品タイトル、使用したお題について記載して下さい。作品について、内容やジャンルについての制限はありません。
小説カキコの「書き方・ルール」に従ったものであればなんでもカモン。小説カキコはそもそも全年齢なので、R18ぽい作品を投稿された場合には削除をお願いすることもあります。
また、人からコメントを貰いたくない人は、そのことを記載しておくこと。アドバイスや意見が欲しい人も同じように意思表示してください。ヨモツカミが積極的にコメントを残します(※毎回誰にでもそう出来るわけではないので期待しすぎないでください)
・ここに投稿した自分の作品を自分の短編集や他の小説投稿サイト等に投稿するのは全然OKですが、その場合は「ヨモツカミ主催のみんなでつくる短編集にて投稿したもの」と記載して頂けると嬉しいです。そういうの無しに投稿したのを見つけたときは、グチグチ言わせていただくのでご了承ください。
・荒らしについて。参加者様の作品を貶したり、馬鹿にしたり、みんつくにあまりにも関係のない書き込みをした場合、その他普通にアホなことをしたら荒らしと見なします。そういうのはただの痛々しいかまってちゃんです。私が対応しますので、皆さんは荒らしを見つけたら鼻で笑って、深く関わらずにヨモツカミに報告して下さい。
・同じお題でいくつも投稿することは、まあ3つくらいまでならいいと思います。1ヶ月に3つお題を用意するので、全制覇して頂いても構いません。
・ここは皆さんの交流を目的としたスレですが、作品や小説に関係のない雑談などをすると他の人の邪魔になるので、別のスレでやってください。
・お題のリクエストみたいなのも受け付けております。「こんなお題にしたら素敵なのでは」的なのを書き込んでくださった中でヨモツカミが気に入ったものは来月のお題、もしくは特別追加お題として使用させていただきます。お題のリクエストをするときは、その熱意も一緒に書き込んでくださるとヨモツカミが気に入りやすいです。
・みんつくで出題されたお題に沿った作品をここには投稿せずに別のスレで投稿するのはやめましょう。折角私が考えたお題なのにここで交流してくださらなかったら嫌な気分になります。
・お題が3つ書いてあるやつは三題噺です。そのうちのひとつだけピックアップして書くとかは違うので。違うので!💢



その他
ルールを読んでもわからないことは気軽にヨモツカミに相談してください。


*みんつく第1回
①毒
②「雨が降っていてくれて良かった」
③花、童話、苦い

*みんつく第2回
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色

*みんつく第3回
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

*みんつく第4回
⑩逃げる
⑪「明日の月は綺麗でしょうね」
⑫彼岸花、神社、夕暮れ

*みんつく第5回
⑬アンドロイド
⑭「殺してやりたいくらいだ」
⑮窓、紅葉、友情

*みんつく第6回
⑯文化祭
⑰「笑ってしまうほど普通の人間だった」
⑱愛せばよかった、約束、心臓

*みんつく第7回
⑲きす
⑳「愛されたいと願うことは、罪ですか」
㉑嫉妬、鏡、縄

*目次
人:タイトル(お題)>>
Thimさん:小夜啼鳥と(お題③)>>181-182
むうさん:ビターチョコとコーヒー(お題⑲)>>183
心さん:君に贈る(お題⑭)>>184
黒狐さん:神の微笑みを、たらふく。(お題⑳)>>195
よもつかみ:燃えて灰になる(お題⑱)>>196
むうさん:宇宙人が1匹。(お題⑳)>>200



*第1回参加者まとめ
>>55
*第2回参加者まとめ
>>107
*第3回参加者まとめ
>>131
*第4回参加者まとめ
>>153
*第5回参加者まとめ
>>162
*第6回参加者まとめ
>>175
*第7回参加者まとめ

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Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.1 )
日時: 2020/05/30 23:17
名前: スノードロップ◆U9PZuyjpOk (ID: lm2uV2Ic)

はい!参加させて頂いていいですか?

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.2 )
日時: 2020/05/30 23:27
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

>>1スノードロップさん
一番乗り~! ですね☆
参加するときは好きに完成したSSを投稿して下さい。参加の許可をいちいち出すのが大変なので。
読み専の方も参加許可とかは特にないので、好きに読んでコメントをしてみてください。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.4 )
日時: 2020/05/31 00:02
名前: ヨモツカミ (ID: Xyuytlos)

>>3スノードロップさん
小説カキコにある、書き方・ルールって読んだことございますか?  それに則った書き方をして欲しいのですが。
てか、SSというより、詩のようにみえますね。というか……詩ですよね? SSとはショートストーリー、短いお話のことです。詩の投稿は推奨していないので……SSを書いて出直してきてほしいかな、という感じです。
詩の良し悪しはわからないのでアドバイスは専門外です、ごめんなさい。
対象外の作品なので、削除していただける助かります。消えちゃうのが嫌ということでしたら、他のスレに投稿するのをオススメします。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.5 )
日時: 2020/05/31 03:43
名前: Thim (ID: 3XeIwUWE)

『小夜啼鳥と』【お題:花、童話、苦い】


 私はいつも貴女を見ていました。美しい恋の歌、愛の歌を歌う貴女を見ていました。
 貴女がそんな歌を歌うのは、私には少し可笑しく感じられ、貴女に話しかける事が出来ませんでした。だけど、歌い続ける貴女の事を忘れることは出来ずに、貴女が止まっている木からいくらか離れた場所で、私は貴女の歌をずっと聞いていたのです。
 美しく、愛らしく歌う貴女を、私はただ見ていました。

 貴女は一人の青年と出会いました。
 眼鏡をかけた、神経質そうな彼は女性へ捧げる赤い薔薇がないと嘆いています。私は多少不憫に思いましたが、それだけです。だって私は動物。愛に苦しむ彼の心なんてわかりません。私もたくさんの殿方からアプローチを受けますが、私の中にあるのはいかに強い種を残すか、ただそれだけ。だから私は私を競い争い合う殿方の中から一番強い方と番になろうとは考えますが、そこに顔が良いだとか自分への愛情が大きいだとかは、まったく勘定に入れないのです。
 だって、無駄だから。強い種を残すのに、それらは関係がないから。恐らくは私以外の多くの動物たちもそう考えている事でしょう。だのに恋に焦がれる彼女は、愛を歌う彼女にとっては、そうではなかったのです。

「彼こそが本当の恋人なのだわ」
「あぁ、なんて可哀想なのかしら。どんな宝石なんかより尊い彼の愛が報われないなんて……」

 毎夜毎夜、星と愛の話をしていようと、どれほどの時間を愛の歌へ捧げようと、それらを理解できなかった彼女は、その時愛というものを理解しました。
 明日の晩の舞踏会までに、愛する人が求める赤い薔薇を探さなければならないと嘆く彼を見送ってから、彼女は羽搏いて何処かへと行ってし舞う彼女を見て、私は猛烈に嫌な予感がして慌てて彼女の後を追いました。

「赤い薔薇をくださいな。そうしたら、私が一番綺麗な歌を歌ってあげますから」

 彼女が毎夜歌う歌は近所中に響き渡り、その綺麗さはみんな知っています。しかし赤い薔薇なんてここいらではそうそうありません。四方八方を飛び回り、とうとう彼女は赤い薔薇の咲く木を見つけました。
 赤い薔薇の木は言いました。この冬の寒さと霜の冷たさ、そして嵐の傷で薔薇を咲かすことが出来ないのだ、と。
 そんな赤い薔薇の木に彼女はなおも食い下がります。

「たった一輪だけで良いのです。どうにかなりませんか?」

 そんな彼女の熱意に押され、赤い薔薇の木は一つだけ方法がある、と言いました。
 私は赤い薔薇の木の様子に違和感を覚えました。どうにも、その方法を彼女に教えたくないような、そんなふうに感じたからです。
 そして、私は赤い薔薇の木の提案を聞いて、思わず悲鳴を上げてしまいました。

「貴女が本当に赤い薔薇を欲するならば、月の光のさす間、歌を歌うのです。さすればその綺麗な歌声で薔薇の花が咲きましょう。そして薔薇の花を咲かせたら……」
「その薔薇を、貴女の心臓の血で、赤く染めるのです」
「薔薇の棘を貴女の胸に突き刺し、一晩中私に歌を捧げて下さい。そうすれば貴女の血が私に流れ込み、一輪の赤い薔薇が出来上がりましょう」

 私は、赤い薔薇の木が言う事が信じられませんでした。否、信じたくもなかったのです。
 だって、心臓に棘を突き刺してしまえば、そんな事をしてしまえば彼女でなくっても生き物であればだれだって死んでしまう。たった一輪の薔薇を得るために、彼女が死ななければならないなんて、そんなの馬鹿げている!
 きっと、彼女だってそう思っている筈。そう思って彼女を見た私は、驚きました。

「薔薇一輪を得るためには、死はあまりにも大きい代償だわ」
「私だって私の命は尊いもの」

 女の表情はあまりにも凪いていて、そこには怒りも悲しみも存在しませんでした。存在するのはそう、ただ一つ……。

「だけど、恋は命よりも尊いものだわ!」
「それに、私一匹小鳥の命が、人の心に比べて一体どれほどの価値があるかしら」

 歓喜。
 彼女は何よりも喜んでいた。あの青年の恋が実る事を。自分の命で一つで薔薇が手に入る事を。
 私は彼女が信じられなかった。なんでそんなにも喜べるの? だって、だって、その薔薇を手に入れたその時、貴女は死んでしまうのよ?
 その時、青年が通りかかりました。青年はいまだに赤い薔薇がないと嘆き、目を赤くさせていました。そんな彼に彼女は語り掛けます。凛とした、一切の迷いのない声で。

「喜んでください。今晩、私が貴女に赤い薔薇をさしあげます。きっときっとどんな薔薇よりも綺麗な薔薇を咲かして見せますわ」
「ですから、貴方は本当の“恋人”になってくださいね。きっと、きっとよ」

 けれど、青年は彼女の言葉が分かりません。不思議そうに彼女を見つめるだけです。当たり前でした。だって彼は人間で、彼女はただの小さな鳥なのですから。だけど彼女はそんなことも承知で、嬉しそうに何処かへと羽搏いて行きました。彼女が羽搏いていくのを見て、彼も何事もなかったのように、赤い薔薇の木の少し先にある彼の家へと帰って生きました。
 私は彼女を追いかける事が出来ませんでした。そこにへたり込み、夜が来るのをただ待ちました。いっそ、彼女が後から目を覚まして、馬鹿馬鹿しいと。薔薇如きの為になぜ自分が命を散らさねばいけないのだと、そう考えなおしてくれることを願っていました。神にすら祈りました。
 しかし、無情にも彼女は日が沈み月が少し顔を出したころに、薔薇の木の元へと戻ってきてしまったのです。


(参加希望です。今日はもう遅いので途中で投稿し、続きを明日投稿したいと思います。
小説書き初心者+童話オマージュ…?二次創作…?初挑戦なので色々な方のアドバイスが聞きたいですが、どうか今しばらくお待ちください。)

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.6 )
日時: 2020/05/31 01:09
名前: サニ。◆6owQRz8NsM (ID: hO98WZ1Y)

お題【雨が降ってくれていて良かった】

タイトル「赤」


「雨が降ってくれていて良かった」

 そう言ってあの子は、満面の笑みでこっちを向いた。手には血がこびり付いた凶器。真っ白なはずのワイシャツは血で赤く染っている。真下には、酷い有様になった、人だったもの。私は遅かった。『ほんの少しだけ』、遅かった。
 だけど。


 ────雨なんて、降ってなかった。


 事の始まりはあの子に好きな人が出来たと言ってきた時だと思う。思えばそこから始まっていたのだろう。あの子は頬を薄紅色に染めて、私に嬉嬉として話していた。お相手は少し大人びた人だという。私にとってはその話が、少しどうでも良くて半分聞き流していた。
 話すだけ話して満足したのか、あの子は直ぐにくるりと踵を返し、その人と約束があるからと去っていった。その時は私は良かったねーとひらひらと手を振って送り出したのだけれど、今思えば、私はそこで止めてやるべきだったのかも知れない。

 それから数日がたったある日、あの子は目をとろんとさせて付き合えることになったと話してきた。そりゃよかったじゃないの、と返したが、また直ぐに予定があるからと先に帰って行った。特に私に害がなければあの子の恋人にはさほど興味が無い。まあ、今まで真面目で恋人の1人すら作らないしシャットアウトしてきた子だ、ここいらで甘酸っぱいものでも味わっていればいい。幸せそうで何よりだと思っていた。
 が、その翌日からあの子が急に来なくなった。数日ではない、十数日もだ。最初はついにサボりをするようになったかとその程度だったのだが、連絡が全く取れないのだ。何度電話しても繋がらず、メッセージアプリでメッセージを送り付けても、既読がつかない。メールも音沙汰無し。一体何があったって言うんだ。なにか良くないことに巻き込まれているのではと思い、私はあの子の家に先ず向かった。
 そして必死に走ってたどり着いた家は、かかっているであろう鍵がなく、簡単に扉が開いた。ますます怪しい。ええいままよ、と思い切って扉を開けた。

 目の前には、鎖で繋がれたあの子と、明らかに同年代ではない別の人間が、気味の悪い目で立っていた。

 その目はあの子に向けられていて、私に気づいたあの子はにこりと笑いかけて、この人が私の恋人なの、と言ってのけた。着せられているワイシャツはサイズが全くあっておらず、恐らくは後ろにたっているそいつのものだろうと察せる。ちらりと見えた足には生々しい赤い斑点が、夥しいほどに付けられていて、思わず目を逸らしたくなった。私は何を見せられている。
 恋人だと言われた別の人間は、その子の腕をつかみぐいっと引き寄せ、恋人ですよろしくー、と軽々しく言ってのけた。その目はただただ気持ち悪い。こちらを『嫌な意味で』見定めている。するするとあの子の腰周りに手が降りてくる。そしてそれを恥ずかしそうにしつつも受け入れているあの子。
 
 その瞬間、私は『理解してしまった』。
 私の友人だった『あの子』はもう居ないのだと。

 無遠慮に台所に押し入り、『フライパン』と『包丁』を手に取って、『そいつら』に振りかざした。情けない悲鳴が聞こえたがもう何も関係ない。やめてと懇願する声も聞こえたが関係ない。もうどうでもいい。さっさと目の前から不快なものを消し去りたかった。消えろ、消えろと。ああ、消えろ。気持ち悪い感触が顔に、手に、至る場所に伝わったが、もうそれすらどうでもいい。早く消えてくれ、お願いだから。

 暫くすると、もうそいつらは動かなくなった。終わった、終わったんだ。緊張が解けたのか、私はその場にへたりと座り込んでしまった。目の前には、変わり果てた人だったものが2つ。ああ、なんて酷い有様なんだろうか。なんだか涙が出てきた。
 ぽたり、ぽたりと流れ落ちる。それはあの子だったものの顔らしき場所へと落ちる。それ以上そこに涙を落としたくなくて、私は何故か顔を上にあげる。
 と、目の前に誰かがたっているのに気づく。足には、夥しいほどに付けられた赤い斑点。着せられているのはサイズがあっていないワイシャツ。そしてそのワイシャツは、真っ白のはずなのに真っ赤に染まりきっていた。そう、あの子だ。友人だったころの、あの子。私の手には血がこびり付いた凶器。真下には、もう動かない『なにか』。幻を見ているのだろうか、あの子はもう私が『殺したのに』。目の前にいるあの子は、満面の笑みでこちらを見ている。そして───

「雨が降ってくれていて良かった」

 そういった。雨は、私の涙。次々と零れてくる涙は止まることはなく、私の意識に反してなにかの顔へと落ちていく。なんでそんなことを言うの。


「だって雨が降っていたら、あんたは傘を持ってきてくれるから」


 その言葉は、『今でも』忘れることは無い。



思いついたものをさっと書いてみただけ。なんでこんなのしか書けないんだろうか(遠い目
執筆作業の息抜きに参加希望ですよ(死んだ目)

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.7 )
日時: 2020/06/20 07:12
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: 229DITyo)

スレ立てお疲れ様です! 
6月20日に一回書き直してますー。

【雨が降っていてくれて良かった】

 これは、かつて存在したはずの記憶。書き換えられる、前の─────

 
 雨は先程から降りしきり続けている。いつもは人通りの多い鳥居前町も、出歩いている者なんてほとんどいない。
 いや、此処に例外が一人。パシャパシャと水を蹴散らす音を立てて、緑髪の少女は疾走していた。命風神社の宮司候補である、清和華鈴である。

 雨は良い、と華鈴は思う。

 泣いているのかいないのか、傘をささなければ自分ですら分からない。父親にひどく叱られて。いつもは意図が分かっているから耐えられる華恋の言葉にすら耐えられなくて。
 また、飛び出して来てしまった。そしてまた、逃げてしまう。
 ───蓮の、家へ。



 雨は良い、と蓮は思う。ほんの少し歩く速度を緩めて、蓮は顔を上げる。雨雲の塊が、もう少しで真上にきそうな気がして、蓮は再び速度を上げた。歩きながら、蓮は思う。

 雨が降っている時の音が好きだ。人工的な音がなくて静かだと思うけれど、喧騒とも取れる音。

「楓樹叔父さんに頼まれたものは、っと……」

 そんなことを呟きながら、蓮は傘を左手に持ち替える。ポケットに突っ込んである紙を手に取って、パラリと開く。魚屋の隣の曲がり角で立ち止まって、ぼんやりと紙を眺めていた時。不意に、誰かの足音が響いた。


 華鈴は魚屋の角を曲がろうとした時、微かに動揺した。泣いている所を見られるのは格好悪い、と思うのは自分だけだろうか。
 少し目元に触れてから、少女は蓮に問いかけた。

「蓮? 何してるの?」

 自分の周りに広がっていた静寂が破られたのを感じて、蓮がフッと顔を上げた。

「華鈴さん…? ちょっと、傘どうしたんですか!?」

 たったっ、と走りよって傘を共有すると、華鈴の目元がほんの少し赤いことに蓮は気付いた。泣いてたのかな。慰めてあげなきゃ、なんて思った蓮は華鈴の顔を見た。

「華鈴さん? 泣いて、」

 その時、びくりと蓮の肩が跳ね上がった。雨が車軸を流すような大雨へ変化したからだ。
 雨粒が軒先を叩く音やら傘を叩く音やらがいきなり大きくなる。
 傘と前髪の影になって見えない目にハッとして、今度は蓮が俯いた。
 このまま続けて言っていたら、華鈴はきっと傷ついていたかもしれない、と。泣いてるのが格好悪いと思ってるのは、自分だけかもしれないけど。

 華鈴は、傘の中で再び鼻の奥がつぅんとしてくるのを堪えていた。傘だと、雨の雫が当たらないから誤魔化せない、と思って。
 不意に大きくなった雨音で何と言おうとしたのかは聞こえなかったのだけど、きっと蓮なら、と思う。

 桶の水を全てひっくり返し終わったかのように、弱まった雨がしとしとと降りおちる。
 二人で一つの傘をさして大通りへ出れば、遥か向こうに見える山の稜線で雲が切れていた。
 そこから強く射し込む西陽は、雨雲との対比が強烈で。

「ねえ蓮、あの光がなんて言うか知ってる?」
「名前があるんですか?」

 水に濡れた髪を揺らして、華鈴は頷いた。

「天使の階段、って言うんだって。綺麗だよな。」
「それって、天使が綺麗だから降りて来る階段も綺麗なんでしょうか。それとも······空が、天使が降りてくるから光をキラキラさせてるのですか?」

 蓮のその曖昧な問いかけに、華鈴は意表を突かれたような顔をした。

「どっちだろうな。でも、私は···空は、人の気持ちを分かってるんじゃないかな、って思うんだ。」
「人の、気持ちを······そうだとしたら、素敵ですね。」

 華鈴は蓮へ振り返った。きょとんとしている彼をちらりと見て、彼女は笑う。笑ったまま華鈴は、自分の言ったことが本当だと良いな、と思いながら傘のそとへ手を差し出した。もうほとんど霧雨に近いものが降っていて、やっぱり空は人の気持ちを分かってるのかな、なんて。
 だったら、また泣きそうになってしまったときは雨が降ってくれる。きっと大丈夫。

 そうして華鈴は思う。
────雨が降っていてくれて良かった。



(じゆめいの昔的な。外伝スレの方にも載せさせて頂きます。
今回は視点をわりと何回も変えたので、ちゃんと内容が伝わってるのかな? っていうところがあるのでアドバイス貰えると大変嬉しいです。)

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.8 )
日時: 2020/05/31 15:38
名前: スノードロップ◆U9PZuyjpOk (ID: td2y1rdc)

はうう…………SS向いてない………

難しい………!

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.9 )
日時: 2020/05/31 17:30
名前: サニ。◆6owQRz8NsM (ID: hO98WZ1Y)

お題【毒】

タイトル「たをやめのゆり」


 甘ったるいチョコレートの匂い。空気を吸うだけで胸焼けをしそうなその場所は、男子禁制の女の花園。あまいあまい、恋の話に焦がれる日々を過ごす、少女たちの楽園。いわゆる『お嬢様学校』。
 バレンタインという世間の催しも、この楽園にも欠かせない乙女たちの祭りである。憧れの人に、自ら手がけたチョコレートや、遠方から取り寄せたよりすぐりのチョコレートを渡す。甘く、それは甘く、そしてある種背徳的な行事であった。
 この楽園には1人の『王子』がいた。そしてその傍らには『王女』がいた。2人はいつも仲睦まじく、また他の乙女たちの憧れの的であった。王子と王女、誰もが2人に焦がれた。それはまるで『恋』をするかのように。

 1人の乙女が、バレンタインに王子と王女にチョコレートを渡そうと思い立った。いつもは遠くから、まるでショウケースの中に佇む『人形』を思いこがれる子供のような瞳で見つめていた。お近付きになりたい、少しでもいいから、お話をしてみたい。すがるような思いで、乙女はチョコレートを作った。甘く、とろけるようなチョコレートを。
 渾身の作品を作り上げた乙女は、いざ授業が終わるやいなや、王子と王女へそのチョコレートを届けようと足を急いだ。だがたどり着いた先は案の定、同じ考えなのであろうほかの乙女たち。その先にはお目当ての王子と王女が囲まれていた。これでは到底お近付きになることも出来やしない。
 さすがにその場は諦めて、日を跨いで翌日にでも渡しに行こうと思い、乙女は離れた。とぼとぼと併設されている寮へ帰る道、しばらくして、とある空き部屋の、普段始まっているはずの扉が少しだけ開いているのを見つけた。なんでこんな場所が開いているのかしら、と好奇心でその隙間から部屋の中を覗き見る。
 
 見えた先は、王子と王女が、チョコレートを手を使わずに口と口だけで食べあっている光景。

 あまりの刺激に、つい息を漏らしてしまう。それが聞かれたのか、部屋の中にいた2人は扉を見やる。そして見ていた乙女と目が合った。あってしまった。
 乙女は慌てて頭を下げて、その場から立ち去ろうとするも、不意に声をかけられる。

「そこの貴方」
「こっちへおいで」

 振り返れば、柔らかく微笑んでいる、『王子』と『王女』。よくよく見ればこちらに向けて手を差し出している。胸が高鳴る。酷くたかなる。乙女は頬を染め上げ、胸の高鳴りに息を切らしながらそちらへ向かう。2人は扉を閉めて近づいてきた乙女を、引っ張る。

「チョコレート、持ってきてくれたんだよね」
「私たちと食べましょう?ああ、だけれど」
「『その口』で、『食べさせて』」

 乙女は震える手で、自ら作ったチョコレートを口にくわえ、2人へと差し出す。
 その瞬間、乙女のチョコレートは『毒』へと変わる。その場の空気も、『毒』へと変わる。いや、この2人そのものが、『甘美な毒』のようだ。
 見るものを狂わせ、近づいてきた『乙女』を、『おとめ』へと変える『毒』。甘く甘く、甘ったるい────『毒』。

「頂きます」 

その日、乙女は『毒』に『おかされた』。


────嗚呼、なんて甘くて美しくて、気持ちいい『毒』なんでしょう!



百合が書きたかっただけです。反省も後悔もしてない。
懲りずに投下します。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.10 )
日時: 2020/06/03 20:57
名前: ヨモツカミ (ID: MslgMsXs)

皆さんお早い参加をありがとうございます。
少しずつ読んで返信していきたいと思います。

>>5 てぃむさん
参加ありがとうございます!
あ、オスカー・ワイルドですね!? 知ってる作品が題材で嬉しい。ナイチンゲールとバラの花、凄い好きです。
オマージュできてると思うので、このままのノリで書ききっていただきたいです。完成したら感想書きますので。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.11 )
日時: 2020/06/05 13:05
名前: 12 (ID: euNAXRMM)

『毒にも、薬にも』  お題【毒】






「貴女みたいな人を、毒にも薬にもならない人っていうんでしょうね。鉢屋」

 執筆する手を止めることなく、こちらに目線を向けるわけでもなく、彼女は、先輩は、まるで独り言でも呟くか如く机越しの私にそう言った。
 あまりにも自然に繰り出された彼女の突然の発言に戸惑いながら、私はその言葉の返事を探す。彼女の真意を測りかねながら。

「えっと…もしかして、馬鹿にしてます?私のこと」
「違うわ。褒めてるのよ」

 やはりこちらの方を向くことなく、彼女は私の問いかけにそう返した。どう考えたってそうとしか思えなかったが、彼女の中でどうやらアレは褒め言葉だったらしい。凡人の私には彼女の言葉が理解できない。それはいつものことだけれど、今日の彼女の言葉はいつにも増して摩訶不思議だった。
 目の前の先輩、草薙すずめは中学三年生という年齢でありながら、いくつものベストセラーを書き上げた今話題の天才若手作家である。
 一言で言えば、彼女と彼女の作品の魅力は"美しい"ただそれに尽きる。文章力、構成力もさることながら、何度も読み返したくなるような舌触りのいい言葉のセンス、かぐや姫の生まれ変わりだと言われても信じてしまいそうな彼女自身の美しさに、彼女の作品に惹かれ近づいた人間、反対に彼女の美しさに惹かれ作品を読んだ人間は、皆息を漏らし、そして納得する。
 彼女と彼女の生み出したものたちはまさに一体だ。彼女の作品はそのまま彼女自身であり、そのどちらもが筆舌に尽くしがたいほど美しい。
 彼女たちの熱狂的なファンは多く、彼女の後輩である私、鉢屋三葉もまたその一人である。
 今でこそ彼女とこうして話しているけれど、私は凡人以外の何者でもなく彼女の言う通り毒にも薬にもならない、ただの人だ。
 私と彼女が出会ったのに意味なんてなかった。必然なんてなかった。
 私がただ、文章を好きで。彼女もまた文章を好きだった。ただそれだけだった。



#




 何となく文章を書くことが好きだった。
 だから、中学では文芸部に入ろう。そう決めていた。
 そうして足を運んだ大して広くもない部室でたった一人黙々と執筆をしていたのが彼女だった。

「部員はワタシしかいないわ」

 黒髪のセミロングをほんの少し開けた窓からの風に靡かせながら、彼女はそう言った。今と変わらず、私の方なんて少しも見ずに。初め、私はそれを天才故の傲慢さからの態度だと思った。彼女のことは、この時点でもう知っていた。自分とは違う世界の人間。そういう認識で、不躾な言動にも怒りすら湧いてこなかった。

「皆、辞めちゃったから。ワタシ以外ね」

 だけどすぐに分かった。
 そう呟く彼女の横顔があまりにも哀しげで、寂しそうだったから。
 彼女はちゃんと人間だったんだと、そんな実感が、やっと湧いたような気がした。
 人伝いに聞く彼女はまるで神話に出てくる女神のようで、それまで私は他の人々ように熱狂的になれないでいた。彼女の文章は読んだことはあった。面白いと思った。彼女の顔は見たことがあった。美しいと思った。それだけだった。本当に、ただ、それだけだった。
 彼女もまた私と同じ人間なのだと分かって、途端に溢れてきたのは彼女に対する愛しさだった。
 何も考えられなくなった。高熱を出した時みたいなふわふわした気分で、気がついたら、こう呟いていた。意識して、彼女に向けたものではなく、ただ自然と口から出ていた。

「好きです先輩」
「……え?」
「私、先輩のこと、好きになっちゃいました」

 

#



「出会い頭にあんなこと言われて、ちょっと怖かったわ。…告白はされたことはあったけれど、貴女みたいに押しの強い人ははじめて」
「褒めてます?」
「貶してるわ」

 そう話す彼女はやはり私の方を見てはくれなかったけど、どこか照れているような、ばつの悪そうな顔をしていた。
 二年前のあの時と比べて、綺麗だけれど無表情が多かった先輩は少しだけ感情豊かになったように思う。文芸部の部員は相変わらず私と先輩の二人だけ。私が話しかけ、先輩はこちらを見ずに答えるだけ。だけど変わったこともある。

「先輩、こっち向いて」

 私の言葉に先輩は素直に手を止め、こちらを見上げる。目を瞑っているのは無意識なのだろう。先輩のまるごとを貪り食べてしまいたい欲望を飲み込んで、唇を合わせるだけの優しいキスを落とす。下顎を軽く撫でると、先輩は私にだけ聞こえる音量で甘い声を漏らした。

「ん……ね、ねぇ。三葉。ワタシが卒業しても、ずっと一緒にいてくれる?そう、約束してくれる?」
「先輩、内部進学ですよね?大丈夫。あと三年は一緒にいれますよ」
「!…そ、それじゃ駄目。約束して。卒業しても、高校生になっても、大人になっても、ずっと一緒にいるって」
「………」

 私が黙っているのを見て、私の服を先輩がぎゅっと握りしめ、今にも泣き出してしまいそうなそんな表情になる。答えなんて決まっているのに、口に出さない性格の悪さには我ながら笑えてしまう。
 先輩は天才で、そして孤独だった。先輩の才能と美しさは周囲を殺す毒で、周りを依存させる麻薬だ。だから誰もいなくなった。天才だけど、ちゃんと人間な先輩は、それが苦しくて、寂しくて、仕方なくて。
 先輩からしてみれば、私は彼女の薬なのだろう。孤独を埋めてくれる薬。本当は毒にも薬にもならない何の変哲もない人間なのに、彼女には私しかいないから。そう思わせたから。騙されて、貴女は私の言葉を飲み続ける。
 可哀想な先輩。毒や薬にしかなれなかった、可哀想で、愛らしい先輩。
 絶対に手離したりするものか。


「…一緒にいますよ。先輩が私といてくれるなら、ね。ずっと」


 私がそう答えると、先輩は嬉しそうに、心底嬉しそうに潤んだ目で笑った。そして自分からゆっくりと私の唇に自らのそれを合わせた。全身で私を抱き締めて、私の体温を確かめる先輩は、まるで溺れている者が助かるために何かを掴もうとしてる様に似ていた。溺れているのは私も一緒で、掴んだ先は、一緒に沈むしかないのに。

「……大好きよ。三葉」

 今はこれでいい。対処療法的な薬でいい。貴女の孤独を紛らすための、代替のきく有象無象で構わない。
 だけど、いつかは、絶対。

「……私もです」

 貴女を殺す致命的な毒に。
 
 
 

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