雑談掲示板

みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】
日時: 2020/11/02 19:01
名前: ヨモツカミ (ID: HJg.2TAk)

略してみんつく。題名の通り、みんなでSSを書いて投稿しよう! というスレです。SSの練習、作者同士の交流を目的とした場所になっております。投稿された作品に積極的に感想を言い合いましょう。稚拙な感想だから、と遠慮する必要はありません。思ったことを伝えてあげることが大切です。

優劣を競う場所ではありません。自分が上手くないと思うそこのあなたこそ、参加してみてほしい。この場で練習をしてみて、他の参加者様にアドバイスを求めてみてはいかがです? お互いに切磋琢磨しながら作品投稿が楽しめると素敵ですね。

自分はそれなりに書けると思ってるあなたは、いつもの自分と違う作風に挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。または、自分の持ち味をもっと伸ばすのも良いでしょう。みんつくに参加することで、新たな自分を見つけるキッカケになるといいなと思います。

読み専の方も大歓迎です。気に入った作品があれば積極的にコメントを残していただけるとスレが盛り上がります。当然、誹謗中傷や批判など、人が見て傷付く書き込みはNGです。常に思いやりの精神を持って書き込みましょう。


*作品の投稿は最低限ルールを守ってお願いします。
↓↓
・お題は毎月3つ出題します。投稿期間、文字数の制限はありません。ただし、お題に沿ってないSSの投稿はやめてください。そういうのは削除依頼を出します。
文字数について、制限はありませんがどんなに短くても140字くらい、長くても20000文字(4レス分)以内を目安にして下さい。守ってないから削除依頼、とかはしません。
・二次創作は禁止。ですが、ご自身の一次創作の番外編とかIfストーリーのようなものの投稿はOK。これを機に自創作の宣伝をするのもありですね。でも毎回自創作にまつわる作品を書くのは駄目です。たまにはいつもと違う作品を書きましょう。
・投稿するときは、作品タイトル、使用したお題について記載して下さい。作品について、内容やジャンルについての制限はありません。
小説カキコの「書き方・ルール」に従ったものであればなんでもカモン。小説カキコはそもそも全年齢なので、R18ぽい作品を投稿された場合には削除をお願いすることもあります。
また、人からコメントを貰いたくない人は、そのことを記載しておくこと。アドバイスや意見が欲しい人も同じように意思表示してください。ヨモツカミが積極的にコメントを残します(※毎回誰にでもそう出来るわけではないので期待しすぎないでください)
・ここに投稿した自分の作品を自分の短編集や他の小説投稿サイト等に投稿するのは全然OKですが、その場合は「ヨモツカミ主催のみんなでつくる短編集にて投稿したもの」と記載して頂けると嬉しいです。そういうの無しに投稿したのを見つけたときは、グチグチ言わせていただくのでご了承ください。
・荒らしについて。参加者様の作品を貶したり、馬鹿にしたり、みんつくにあまりにも関係のない書き込みをした場合、その他普通にアホなことをしたら荒らしと見なします。そういうのはただの痛々しいかまってちゃんです。私が対応しますので、皆さんは荒らしを見つけたら鼻で笑って、深く関わらずにヨモツカミに報告して下さい。
・同じお題でいくつも投稿することは、まあ3つくらいまでならいいと思います。1ヶ月に3つお題を用意するので、全制覇して頂いても構いません。
・ここは皆さんの交流を目的としたスレですが、作品や小説に関係のない雑談などをすると他の人の邪魔になるので、別のスレでやってください。
・お題のリクエストみたいなのも受け付けております。「こんなお題にしたら素敵なのでは」的なのを書き込んでくださった中でヨモツカミが気に入ったものは来月のお題、もしくは特別追加お題として使用させていただきます。お題のリクエストをするときは、その熱意も一緒に書き込んでくださるとヨモツカミが気に入りやすいです。
・みんつくで出題されたお題に沿った作品をここには投稿せずに別のスレで投稿するのはやめましょう。折角私が考えたお題なのにここで交流してくださらなかったら嫌な気分になります。



その他
ルールを読んでもわからないことは気軽にヨモツカミに相談してください。


*みんつく第1回
①毒
②「雨が降っていてくれて良かった」
③花、童話、苦い

*みんつく第2回
④寂しい夏
⑤「人って死んだら星になるんだよ」
⑥鈴、泡、青色

*みんつく第3回
⑦海洋生物
⑧「なにも、見えないんだ」
⑨狂気、激情、刃

*みんつく第4回
⑩逃げる
⑪「明日の月は綺麗でしょうね」
⑫彼岸花、神社、夕暮れ

*みんつく第5回
⑬アンドロイド
⑭「殺してやりたいくらいだ」
⑮窓、紅葉、友情

*みんつく第6回
⑯文化祭
⑰「笑ってしまうほど普通の人間だった」
⑱愛せばよかった、約束、心臓


*目次
人:タイトル(お題)>>




*第1回参加者まとめ
>>55
*第2回参加者まとめ
>>107
*第3回参加者まとめ
>>131
*第4回参加者まとめ
>>153
*第5回参加者まとめ
>>162
*第6回参加者まとめ

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Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.164 )
日時: 2020/11/04 18:25
名前: ヨモツカミ (ID: SqV6rSMk)

>>158心ちゃん
ラノベっぽい展開だな、と思ったらラノベだった……しかし、本当のライトとはなんだろう……作品を読むときって、なんとなく続きを想像しながら読んじゃうじゃない? 助からないだろう、なんて最悪の結末を想定して読んでいて、本当はそんなの裏切ってほしかったのに、本当に鹿崎さん亡くなってしまって、うっわ、あああ!!!! てなってました(笑)

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.165 )
日時: 2020/11/08 11:37
名前: 心◆sjk4CWI3ws (ID: 2WotnGCk)

>>164
(深夜テンションで失礼します)ありがとございます。なんかめっちゃエモなお題がある!!と思って書き始めたのは恐らくお題発表があったすぐ後です。書き上げるまでが怠惰
ラノベを読み漁っているとラノベが書きたくなるんです……比較的情景描写を削りめで書いたらラノベではないかと思っています(主観)
人が死ぬ話をみんつく書いてないなーと思ったので書いたような気がする。めいびー。
私見る分にはバットエンドとメリバが好きなんだけど、書くときはめっちゃ幸せにしたいんじゃないだろうかと最近思います。でも彼女の救済ルートはなかった……

あと11月のお題エモですね!! いいですね!! 勉強が一段落してなんかいい感じになったら書きます多分!

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.166 )
日時: 2020/11/08 12:55
名前: おまさ (ID: f3b3.drk)

お久しぶりです。
アンドロイドというお題があったので「書かないでいられるわけがないじゃないか」半ば勝手に書かせて頂きました。すみません……

そんなわけで、遅くなりましたが私小説「ジルク」の書き下ろし短編になります。
ただ、短編ということもあって本編未読の方には少しわからないこともあるかと思いますが、テーマ自体は分かりやすくしたつもりですので、分からないワードはスルーして頂いても何となく楽しめると思います。
「ジルク」の世界観における、いつもと少し違った視点のお話、お楽しみ頂ければ。

***********

お題: ⑬
題名:「An another automata(with its sarcasm)」
続き>>167









 ごうごうと、砂嵐が唸っている。


 嫌になるくらいの赤砂に塗れた地表。緑も文明もひとしく枯れ果てたその砂漠には、夜風とともに黄昏の帷が訪れてきていた。
 日没後の砂漠は氷点下にもなる過酷な土地だ。だから、こんな時間に砂丘を出歩くのは余程の馬鹿か———それ以外。


 白磁の玉肌、霓裳の如き煌めきの銀髪。静観するような凪の瞳。小柄で華奢なその美貌は作り物めいているが、どこか婉然とした雰囲気すらも滲ませる。


 陽が落ちた砂丘に佇む機構少女〈M-44GN7〉は、目を眇めていた。





「———戦隊各位、応答なし………ボクだけ残っちゃったか」

 あたかもお菓子を食べ残してしまったような、そんな声音の呟きだった。


「まいっか。とりあえずポッドまで戻ろっかな。……まったく、47はどこに行ったんだか」




 こんな時に限って音信不通の探査型機に恨み言をぼやきつつ、怖いくらいに静かな砂丘を歩き出そうとした時だった。
「あれ……」

 ふと、聴覚センサが辛うじて何かを拾った。それを頼りに歩を進める。砂丘の稜線に沿って晦の夜帷を歩いてゆくと、その音の正体が見えてきた。警戒しつつ、砂丘から様子を窺う。
「——、」












 あれは———剣戟と、果たしてそう呼んでいいのだろうか。

 人影が得物を手に、宵闇を……否、何かを斬り伏せようとしている。


 機敏な動きで相手を翻弄するあれは、ひょっとして〈オスティム〉か。大型種ではないけれど、成人男性の身長ほどある体軀は人間にとっては十分に脅威だ。




《視認対象を雷槍駆逐型と断定》
「——っ……!」
 インターフェースにブリップが灯るや否や反射的に吶喊しようとする、戦闘機械としての本能をどうにか抑え、〈M-44GN7〉はその戦闘を暫し傍観する。



 人影——少年の戦い方は、酷く無様だった。得物の構え方も様になっていないし、一閃の度に剣に振られているような動きが目立つ。技ではなく、力で無理くりねじ伏せるような闘い方。

 振って、打ち合って、殴って、抉って、払って、割いて、斬って、躱して。

 少年は異様なほど〈オスティム〉に執着していた。相手との間合いを図るような真似はせ
ず、徹底して肉薄してゆく。
 






 けれど、……猪突猛進は時として、ただの蛮勇に成り果てる。

 雷槍駆逐型がけたたましく咆哮する。刹那動きが止まったそれに、我が意を得たりと少年が斬りかかる。
 〈オスティム〉はぶるりと身を震撼させるや否や、凭れさせていた槍のような部位を持ち上げた。カウンターで仕掛けるつもりか。
 故意か、それとも化物としての本能か。〈オスティム〉の体で死角になっていて、少年にはその「槍」が見えない。

 ———駑馬風情が、衒うな。

 そう言いたげな一撃が、少年の心の臓を縦貫する。











 ……断じて、否。

 両者の間に入ったのは、戦場にそぐわぬあまりに脆そうな痩躯。けれどその体軀は、戦闘に最適化されたものだ。
 槍柄を横から殴り、〈M-44GN7〉は相対する〈オスティム〉の刺突の位置を逸らし槍撃を回避。呆気に取られる少年を尻目に、幾つかの急所に指で刺突を与える。絶叫が上がる。
 間髪入れず、〈M-44GN7〉は背負っていたガンケースを一旦パージし、ケースから飛び出した無骨な狙撃銃を構えた。

 ——初弾装填。



 撃発。

 .338口径ラプア・マグナムの自動式狙撃銃がけたたましい爆音で咆哮。貫通力の高いフルメタル・ジャケットは1000メートル毎秒超過の初速を以て大気を縦貫、至近距離で放たれた射撃の、ほぼ減衰されていない運動エネルギーが発砲と殆ど同時に〈オスティム〉の頭蓋と脳髄を食い破る。〈オスティム〉の血潮が大地に篝花を描き、怪物は四肢を震わせて沈黙した。





「一件落着……って、」
「ッ……」


 一息つこうとしたが何故だろう。少年はあろうことか、機構少女に刃を向けていた。その形相は、先程〈オスティム〉に執着していた時よりも怒りや屈辱の色が濃い。……怯えも、少々。
 思わず、問うた。


「ボク、いま君を助けたはずだけれど」
「——黙れよ、紛い物」
「へぇ、言うね?」

 純粋に少し驚いたその反応を、少年は嘲弄と受け取ったようだ。けれど少年には、機構人形相手に掴みかかるといった度胸もないようで、ただ唇を噛むだけに留まった。



 錆びたなまくらを構える少年と間合いを保ちつつ対峙していると、少年が口を開いた。

「……訊きたい、ことがある」
「何?」
「———。俺は、アンタらアンドロイドがこいつらと戦ってるところを見たことがある」



 少年は、かつて見たある情景を回想していた。それは戦塵と爆轟、砂塵が入り乱れる戦場。そしてそこに吶喊するのは、華奢な少女の姿を模した戦闘機械たち。
 彼女らは何の未練も執着もなく、笑いながら砂丘に散っていって。……いっそ悪夢のような光景はけれど、現実のもので。

「壊れ果てて、それでも戦って、戦い続けて。アンタらは何で、戦ってるんだ?」



 味方が潰えても戦かず、自らの生にも執着しない。挙句には自爆すら厭わないその姿勢は、なるほど戦士としては赫々たる武勲を挙げるも道理であろう。

 けれど、その在り方を———人間のちっぽけな倫理観が、許容できない。
 彼女らが作られた存在であることは理解しているつもりだが、また同時に感情と自我を持っていることも知っている。だから尚更に、彼女らの在り方が歪に見えるのだろう。


〈M-44GN7〉は少し考えた後、首を傾げた。





「何でって……そりゃ、ボクはそのための存在だから」
「……そんな寂しい自己定義を、アンタらは容れられるのか?」
「できるできないの話じゃないよ。ボクたちは、そういう明確な目的を以て造られたんだから」

 肩をすくめ、〈M-44GN7〉は「じゃあさ、」と首を傾げた。


「君はさっき、何で〈オスティム〉なんかと戦ってたの? いくらなんでも無謀だよ」
「———。それは、人間風情が戦場にしゃしゃり出るなってことか?」
「そうだよ?」
「………っ、」

 兵器というものは、古来から人間の道具だ。
 けれど、攻撃力を追求するあまり、いつしか兵器はひとのからだを痛めつけるものになり、……戦場においては脆弱なひとの体など、むしろ邪魔になるようになった。
 きっとそんなことは、当の人間が最もわかっているはずだ。
 それでもなお、戦場から離れないのは。

「俺が…………俺が、コイツらと闘うのは、それが誇りだからだ」
「………誇り?」
「俺は孤児だった。地上では珍しくはないけれど、気付いたら砂の上で寝てた。それからはいろんな人に世話んなった。飯を装ってもらったこともあった。寝床も分けてもらった」
「………。」
「でも11の夜に思ったんだよ。———与えられるだけの人生に媚びて、何の意味があるのかって」

 人間とは、万物に意味を求める獣の名である。たとえそれが意味のない命題であっても、意味を確認しない限り、ヒトはその存在を認めない。
 だから。


「こうして闘ってるのは……うまく言えないけれど、多分存在証明なんだと思う」
「……でも、闘って散る以外にも存在証明の方法があるとボクは思うけど」








「安寧に溺れたくない。———与えられた平穏を貪る、無様な豚に成り下がってたまるものか」



 少年は言い切る。
 仮に魂を散らそうとも、不侵の高邁さは躪らせまいと。
































「……無様?」



 小鳥の囀るような声だった。
 機構少女は、くつくつと肩を揺らして哄笑している。

「無様、かぁ。……よりにもよって、そんな下らない理由で。そっかぁ」
 
そして———、








「お前なんか、生きてるくせに」





Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.167 )
日時: 2020/11/14 16:04
名前: おまさ (ID: f3b3.drk)

「お前なんか、生きてるくせに」







 弾けるような微笑みに含んだ声音だった。
 そのくせ、どろりとした渇望と怨嗟に塗れた声音だった。


 白銀の双眸に羨望と憎悪を滾らせ機構少女は嗤う。……心底羨むように。嫉妬するように。

「本当は、君はそんなこと望んでないんじゃないの? 本当は、自分の存在なんて判らないんじゃないの?」
「そ、れは……」
「判らないのが嫌で、自棄になってるんじゃないの? ———そうやって君は思考停止の末に、せっかくの命をかなぐり捨てようとしてるんじゃないの?」


 後半は嫉妬を通り越して侮蔑も滲むような嗤笑を以て、機構少女は少年を糾弾——否、啓蒙している。
「その歪んだ価値観、一度撓めた方が君のためだよ。そんな生き方は、あまりにも勿体ない」

 自分にはない「命」というものを持っているのに。 それを、……あろうことか投げ捨てようとは。
 よくも、ぬけぬけと。




 命の容れ物であるヒトが、模造品に過ぎないアンドロイドに命の価値を問われるとは、まさしく皮肉と呼んでいいものだ。



「……お、れは、死にたくは、ない。死にたいとは、思って、ない!!」
「けど、生きていたいとも思わないんでしょ? ———それはもう、死んでることと同じだよ」
「っ!?」



 生きる意味なんて、ない。
 生物には本来、そんな命題に答える余裕などない。ただ、生きるのに必死なだけだ。生命の樹形図の延長線上にいるヒトの生にもまた、意味などという高尚なものはない。

 故に、ヒトを生かすものがあるとするなら———ヒトはそれを、「目的」と呼ぶ。
 人生における「目的」は人によって千差万別だが、人類という種の観点からすれば「目的」は共通する。

 ……そう。
 浮世に生きとする者は——たとえ蟭螟であっても——生まれ落ちたその瞬間から、「死」に向かって生きている。誰しもが例外なく、死ぬために生きている。
 そしてその誰しもが例外なく、生への執着を持って生きている。それらの執着がなくなることがもしあるとすれば、それは命が潰えたとき。


 だから、生きていたいと思わなくなったことは、『死』んでいることと同義なのである。





「———」
 一瞥を向けた先、少年は呆然とした面色で、構えていた得物をゆっくりと下げていた。













「……あーあ、今回はこんな幕引きか」
 聴覚センサに微かな反応があり、〈M-44GN7〉は後方に目線を向ける。

 見れば、〈オスティム〉が唸りながらじりじりと迫ってくる。兎ほどの大きさの小柄な〈オスティム〉だが、群れているそれらが一斉に飛びかかれば、アンドロイドとて無事では済まない。


 群れのうちの一頭がぴくりと耳らしき部位を動かした瞬間、白群の〈オスティム〉は牙を鳴らして吶喊した。
 一頭が〈M-44GN7〉の臀部に食らいつく。



《警告》
《大腿部アクチュエーター大破》
《N9バイパス破損。したがってこれを破棄。以降はG12バイパスへ流動切替》
《第108から112番疑似神経回路、断裂》


 インターフェースに警告の文字が、やけに喧しく表示される。
 構わず、少年に向き直った。少年は、人型のものが目の前で喰まれるという現実感のない構図に呆然とするほかにない様子だった。




「君は、ボクたちみたいにならなくていい」

《警告》
《インタークーラーに亀裂発生》
《冷却液浸水》

「君は生きてる。 生きているのなら、希望はあるよ。……だって、」

《警告》
《機体の損傷過度により当機体を破《警告》
《警告》《警告》《警告》《警告》《警告》《警《警告》《警《警告》《警《警《警《警告》………。


「生きているんだから。 だから君は、ボクらみたいにならなくていい。……そんな生き方、命が勿体ないよ」



 神の理に反した紛い物であるアンドロイド。その存在意義は死して屍を積み上げることだ。紛い物の命だからこそそれができて、………それしかできないから。
 本物の命を持つ人間は、色んな存在証明ができる器用さを持っているから。


 だからもっと、「生きて」ほしい。

 インターフェイスが警告で埋め尽くされるのも構わずに、〈M-44GN7〉は花が咲くように微笑った。





「生きて」



 そのまま、機構少女は地面に転がった。

 少女の左脚は根元から千切れ、右腕は関節の数が倍になっていた。
 視力は死んだ。鼓膜も既に残っていないけれど、金属製の骨盤が脊骨から外れる音がした。
 右脚の根元から入った牙は、眼窩から侵入した牙と体内でぶつかり、そのまま横へ横へと機械仕掛けの臓腑を喰い荒らしながら進む。
 声帯とともに脳髄が引き抜かれ、下垂体にも亀裂が走る。
 
 最後に、残った綺麗な顔の皮が剥がされ、頭蓋に爪が迫り、そのまま『死』に陵辱される。



 …刹那。
 少女の骸が青白く発光したかと思った次の瞬間、——少年の網膜を暴力的な白光が灼いた。

 自爆。

 至近距離での爆発に少年は吹き飛ばされ、砂の上を転がった。次いで耳朶を殴る爆発音と、ぴりぴりと産毛を焦がすような熱が殺到する。
 その衝撃波と爆風を至近距離で浴びた〈オスティム〉は当然無事では済まない。抉れ出た内臓は爛れ、色々欠け落ちた魂の抜け殻だけが残った。
 当然だが、機構少女「だったもの」は爆散し、完全に沈黙。

———最期まで、その頬を微笑に歪めたまま、機構少女は砂に斃れた。









*****


〈オスティム〉に覆い隠されて見えなくなるまで微笑を保っていたアンドロイド。しだいに夜風がさらってきた砂に犯されてゆくその骸を少年は見ていた。


「…………、」
 気付けば、いつの間にか剣を取り落としていた。砂に落ちた得物を拾い上げようと手を伸ばして、そこでふと伸ばした手を止める。



『生きて』




 ……自分は、思考停止の末に生きることを諦めたのだろうか。闘っているのは、もし命を落としてもそれが戦闘に依るものだと言い訳できるからなのか。
 それは判らない。けれどもし、先のアンドロイドが語ったもの——戦う以外に、自分の存在を確定できるものがあるとするならば。言い訳を考えて死ぬよりも遥かに綺麗な生き方ができると思った。
 それに。

 戦い続け、戦うために余計なものの一切を切り捨てた果ての姿がアンドロイドなのだとしたら。
 ……あんな。




『お前なんか、生きてるくせに』





 あんな姿に成り果てるのは———どうしても容れられなかった。

 少年は、剣柄に伸ばしかけた手を引き、晦の暗い砂漠を歩き出した。砂地を歩くのは慣れているはずなのにその足取りはどこか拙い。
 この先、自分がどこに歩いてゆくのかはわからない。そんな不安もあった。
 ただ、戦い抜いたその先で羅刹のように笑うのは嫌なのだと。


 ———そんなささやかな主張を見届けるはずの月も、晦の今宵に限りいなかった。




《了》






******


 



ちょっと専門用語(主に銃)があったので注釈をば。



・砂漠

夜になると寒くなるのは、植物など地中の熱を遮るものがないため、熱が大気中に放出されやすいから。あと、砂漠=砂丘みたいなイメージがありますが、世界の砂漠の大半はネバダ州の砂漠みたいに岩盤が露出してるタイプです。因みに、作中で出てくる砂漠はナミブ砂漠を意識してます。

・338口径が〜

 実在する90年代のライフル用弾。飛距離は結構いい。.338ラプア・マグナム弾のバリエーションのうち.338口径 ロックベース B408が完全被甲弾ですね。
 作中の時代背景に合ってない気がするけれど。


・フルメタルジャケット(FMJ)

 微笑みデブは関係ないです。
 完全被甲弾……つまり、弾を完全に硬い金属で覆った銃弾です。普通の弾は鉛でできているので着弾した時に潰れてかなり甚大な被害を出すので、陸戦条約でFMJを使うように定められてたり。徹甲弾(APSS)も似たようなものですが、あちらはタングステン鋼で弾を覆ってます。


長文失礼しました。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.168 )
日時: 2020/11/08 13:34
名前: おまさ (ID: f3b3.drk)

h
ttps://w
ww.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=article&id=2158

>>166-167の挿絵というか、まぁそんな感じのものになります。
なんか色々書き込みしちゃってすみません……

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.169 )
日時: 2020/11/14 16:19
名前: 12 (ID: ozsBeSlc)

*>>129の続きです。どんどん、面白いお題が出てきて書きたいのに、いくら書いても終わらなくなくなってしまうの、この世のバグかな?と嘆いております。私だけ他の人より時の進み方遅くしてほしい。他の方々の作品も読みたい……それなのに終わらない……多分次で終わります。これはほぼ確実です……次を更新したら皆さんの作品を読んでいきたいと思います…アーメン( ̄+ー ̄)



 高校生になって、僕と君は公立の同じ定時制の高校に進学した。
 君は全日制の学校に行くのだと、僕とは違う学校に行くのだと覚悟していた僕は、君から僕と同じ学校に進学をするということを聞いて驚いた。
 もしかして僕のせいだろうか、僕が寂しい寂しいといつまで経ってもわがままを言い続けるから。もしそうだったら、僕は君にどう償えばいいのだろう、そんな不安が顔に出ていたのだろう。君は僕の心を読むように、半笑いでこう言った。

「高校には進学したいけど、今は、お金が足りなくて。だから働きながら行ける定時制にしたんだ」

 僕の不安は思い過ごし、というかとんだ思い上がりだったらしい。君には君ののっぴきならない事情があった。そして、僕はそんな君の事情を聞いて愕然とした。君の家庭がそんなにお金で困っているなんて、僕はこの時まで全く知らなかった。
 よくよく思い返せば、彼はいつも同じような服を着ていて、休日も何故かいつも制服を着ていた。靴も文房具もかなりボロボロになるまで使っていた気がする。僕はそれらの事実を認識しながらも、今の今まで、何も気が付かなかった。
 ショックだった。自分がどうしようもないやつだということは常々自覚していたけれど、唯一の友達のことですら、こんなにも何も気が付かずにいたなんて。

「……そ、そっか。そうなんだ」
「あ、そんな気にしないでくれよ!大したことじゃないんだ、本当に」
「……分かった。でも何か僕に助けになれることがあったら言ってよ」

 気にしないでくれ、そう言われてしまうと、心配することですら僕には不相応なのだと、そう言外に伝えられてるような、そんな気分になる。いや、君が無自覚であるだけで、事実そうなのだろう。僕ができることなんて、何もない。お金の援助だなんて君の望むことではないだろうし、第一それは僕の親ができることであって、僕にできることなんかじゃない。唯一できる話を聞くことですら拒絶されてしまえば、僕は、僕は。



 モヤモヤした気持ちを抱えながら家に帰り、何をするやる気も起きず、そのまま眠りにつくと、なんだかよく分からない夢を見た。
 夢の中で僕は植物で、君は僕を育ててくれている。水を与え、土を耕し、日に当て、それらのルーティンをこなさないと、僕はすぐに萎れてしまう。だから君は毎日この面倒なルーティンをこなし続ける。何も言わずに、僕のそばにいる。
 現実と何も変わらない、なんて酷い夢だろうと、そう思った。今の僕は植物となんら変わらない、いや植物だって話くらいは聞けるだろう。植物未満だ。ただ生きてるだけ。なんで生きているか分からない。生きるなら、君のために生きたかった。なのに、それなのに、僕にできることは何もないのだ。
 ぜえぜえと荒い呼吸と共に目を覚ます。
 じんわりと気持ちの悪い汗が身体中に纏わりついている。
 中学二年のあの夏から、なんら変わらず、僕は君のことが分からないでいる。分からせてもらえないでいる。
 君の内側に僕は入れない。あの優しい笑顔を向けられる度に、僕にできることは何もないのだと、そう思い知らされる。思い知らされる度に、苦しくなる。君とずっと一緒にいたい。だけど、それを口に出したことはない。出せるわけない。そんな資格、僕にあるわけないのだ。何もできないくせに、君を困らせてばかりの僕に。
 

 己の罪は自覚している。けれど未だ贖罪の方法は見つからないままだった。




#





 ほどほどに平凡な時間が過ぎていった。
 僕は大きく体調を崩すこともなく、今も普通に学校に通えている。
 君は学校が終わると、すぐに働きにいってしまって、僕と一緒にいる時間は前より少なくなった。それでも仕事の時間になるまでは、ほとんど僕と共にいた。前より君は細くなった気がするし、顔色も悪くなった気がする。けれども、大丈夫?だなんてそう言うと、君は大袈裟に元気に振る舞おうとするので、変化に気付いても指摘することはしなくなった。
 多分、僕はずっとこうなのだろうと思う。
 生きていても中途半端、君への気持ちも中途半端、あーだこーだ言いながら、ラインの手前で二の足を踏んでいる。
 僕が病弱だからなんてのは理由の一要素でしかなく、僕が何もできない大元の理由は、ひとえに僕がどうしようもなく意気地なしだったからだ。
 僕の目の前にあるのは、そびえ立つ岩壁などではなく、やんわりと拒絶を含んだ冷風だけだった。
 ただ、一歩進めばいいだけ。
 僕には、その一歩が、難しかった。



 こんなのは、ただの言い訳にしかならないけれど。
 
 



#


 ある日、君は無断で学校を休んだ。
 おかしいな、だなんて先生が言って、お前は何か知らないか、だなんて聞かれても、何も分からない、何も知らない自分が恥ずかしかった。
 君はいつも体調が悪くて休むとき、先生には連絡しても、僕にそれを伝えることはけしてなかった。身体の弱い僕に万が一うつして体調を悪化させることが嫌なのだという。そう言われてしまえば、僕は、ああそうか、とそれを受け入れることしか出来ない。
 事実、君と初めて出会った時、僕はこの身体のせいで、君を傷つけてしまった。目の前で、さっきまで遊んでいた人間が倒れて、幼い君がどれだけショックを受けたか。ベッドの上で目を開けて、震えながら心配そうに僕を見つめていた君の表情が今でも忘れられない。
 僕が君の表情を忘れられないように、君もまたあの時の光景が忘れられないのだろう。
 君は優しいから。弱くて愚かで我儘な、どうしようもない僕を見捨てられない。
 嫌なくらいに鮮明な記憶が僕達を縛り付ける。
 いっそのこと君と出会わなければよかったのに、と何度も何度も思った。
 きっと君がいなかったら、僕はとうに死んでるだろう。君は僕の生命線だ。君の為に生きたいだなんて、大嘘だった。そんな大層なことを言いたい訳じゃない。ただ、僕が君と生きたいのだ。
 友情というには重すぎて、恋情というには苦すぎる。
 どうしようもない名前のつけられないこの感情を口に出すことは憚られた。
 ただ、君を愛していた。それだけは確かだった。



 それをもっと、もっともっと早く君に伝えれば良かったと、今になって思う。

 
 
 

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.170 )
日時: 2020/12/01 19:05
名前: ヨモツカミ (ID: k04O7tlk)

12月になりましたねー!?!
お題考えてないやてへぺろ!!!!
人くる頻度減ったし今回お台無しでもよくね? とか思う反面、やっぱ考えなきゃとも……うーん、このまま私が思いつかなったら12月のお台無しね(笑)

参加お待ちしております!

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.171 )
日時: 2020/12/05 05:24
名前: ヨモツカミ (ID: 8iPtY1IM)

考えた結果、特にお題思いつかなかったし、お題はまあ、たりてんだろってことで、新しいお題の追加はやめておきます。
あんま人も来なくなってしまったし、まあ、私も書き途中の作品あるし、なんか、うん、ねむいのでこれで。

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.172 )
日時: 2020/12/22 22:14
名前: Thim (ID: vMCZimuM)

Thimです。つい最近、よっしゃー!あとはラストシーン書いて終わりだー!って所まで書いたのに保存してなかったせいで全部パアになってしまった、Thimです。みなさん保存大切に……。
読みたい気分で数人読めたので、投稿します!早く全部読みたいのに、読むのが遅いせいで!上から順にみていっていますので、後半に一切目を通していません!なので矛盾点とか(これ○○でもう言ったよ、とか)があったりしたらすみません!!


12さん
>>34
ひぇ、始まり凄くドキドキする。みてる側から見たら明らかにおかしいのに、その可笑しい奴からの初めて言葉が何か普通過ぎて。
始まりは宇宙人登場か?ってドキドキしていたけど、進んでいくうちに植物お前ー!いい奴だったのか!そうだよな、急に自分がそんな姿になったら……そしてそんなことになってもそれでも誰かに気を使えるの、とてもすごい事だよ!と思いつつ、語り部の彼「俺」さんも、寝起きで急にそんな事が起こって、自分は何も悪くないのに最終的に一緒に過ごすことを提案するなんて、いい人(?)達ばかり……。
両親の呵責→良心の呵責?
二人で平穏に、家族のように過ごしていたのに……なぜ!そしてここでおわるんかい!さっきまで暖かい雰囲気だったのに、急に冷たい雰囲気になって、その書き分けもすごくて、すごく!好き!です!!早く続きを読みたい!でも私は読むのがとても遅い!自分が憎い!!

スノードロップさん
>>36
『神様の会話』は読んだことがないのですが、とても短かかったのでさらっと読めましたので感想をと。
福禄寿さんが説明なしで出てきたので誰だ!?ってなったのですが(笑)。その後一体何があったんだろう、と気になってしまいました!先に心さんが言われていたように、普通の書き方の奴でも読んでみたいです!また描写とか付け足して、リメイクを上げ直したりはなさらないんでしょうか?(あ、これはヨモさんからのお許しが出ればなんですけど!)

心さん
>>37
読み終わって、ん?正体?見た目ちゃらめ彼女と彼氏君の話じゃないの?と思っていて全然分かんなかったんですけど、他の方のコメント見てえあー!あれか!あれなのか!!ってなりました。
なるほど。確かに叩いたり、自転車に乗ってるのに目が合ってるのかとハテナだったのですか。はーーん!そういう事か!謎は全て解けた!(人のお陰で)
ひゃー。でもそう考えると自分も気を付けなきゃですね。でも自分のもこう考えていてくれてたら、とか考えたらなんだか愛おしくなってきますね(笑)
ぶっちゃけ、一人で読んでいた時は未来の話でアンドロイドかなにかかな?とか、とんちんかん(でも機械と言う面では一緒ですよね!ポジティブ!)なこと考えていました!

Re: みんなでつくる短編集【SS投稿交流所】 ( No.173 )
日時: 2021/01/04 15:46
名前: ヨモツカミ (ID: IN1GbSPA)

あけましておめでとうございます、お題……考えるのが……面倒なので……とりあえずスレは上げておきます。
今年もよろしくお願いします。

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