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【一時期】『 トロイメライの隠し場所 』【閉鎖】
日時: 2015/11/06 14:57
名前: 佐鳥 (ID: zflF3NFd)
参照: ありがちだと知っていても、それでも俺はやりたいんじゃ。

 お知らせ ⇒ >>406
 新組織できました ⇒ >>407







真夜中の路地裏に、僕と君の二人きり。

あまりに大量で吸い取りきれなかった血液を思わず吐き出しては、ぐったりとして心臓を動かさなくなった君の顔をもう一度見つめた。だらんと垂れる頭を支える首には、二つの穴が目玉の様に開いていた。そこからどろどろ、紅い液が。それを見ても何も思わなくなってしまったのは、僕が本当に怪物になってしまったという証だろう。それを怖がることすらなくなった。

顔に飛び散った人間の血をべろりと舐めとる。
本当にくだらない。生者にも死者にも成りきれず、その狭間に存在しては世間に隠れることもなく、殺/戮を繰り返す。それしかできず生と死の瀬戸際に在り続ける闇の眷属。異端の一族。

そんな僕らを人々は、悪魔とか、“吸血鬼”だとか呼んでいた。

そう呼ばれるたびに、僕はいつも御伽噺を思い出す。


         或る奇跡の十字架の話


————吸血鬼の弱点ともよばれる其れの中で、唯一、彼らに味方する十字架

————ここではない海の向こうの錬金術師が生み出した、魔法の十字架


 それを手に入れる吸血鬼は、雨水であれ聖水であれどその体に受け入れ、杭を打ち付ける前に跳ね除ける屈強な心臓を手に入れ、月だけではなく朝日をも制することができるだろう。

 もしも手に入れたなら、僕は昼を生きる存在になれるのだろうか。
 もしも手に入れたなら、あの子に会いに行けるかな。
 もしも手に入れたなら、僕等は——僕は幸せになれるのだろうか。

 



   奇跡の十字架、その名を人呼んでトロイメライ


 ( ……残念だけど、それが欲しいのは君だけじゃない )

 ( 探せ、この国の隅々まで! 君が自由を手にしたいなら! )

- - - -

『 キャラ募集中でございます 』

- - - -

>>1  『 ご挨拶 』
>>2  『 世界観 』
>>3  『 募集枠 』
>>407 『 募集枠2 』
>>4  『 参加者様 』
>>5  『 登録証 』 ←(容姿の欄に追記しました)
>>6  『 規則 』(※必読。更新することがあります)
>>7  『 スポット 』


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Re: 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.379 )
日時: 2015/09/28 17:29
名前: フレア (ID: nLPrrFyW)

>>378【赤月本部/ヴェノーレ=ファルファッラ】


(うわぁ...僕なんか変なスイッチ押しちゃった感じ?めんどくさ)

肩を震わせ目を見開き、その矯正されている歯を隠すことなく笑う上脇を見てヴェノはとても失礼なことを頭の片隅で考えていた。相手がおかしくなればなるほど自分は冷静になるというものだ、ほんとなら自分もおかしくなりたい所なんだけれど。「慇懃無礼」と、その言葉に内心少し驚いた。まさにその通りなのだ、上手く隠しているつもりはなかった(というか隠す気がなかった)が、こうも強調して言われると腹も立つものである。

くるりと振り向いたヴェノは手を後ろに回して、血が出るのでないかというほど爪を立てて腕を握る。痛みで自分の苛立ちを抑えておかなければ、今にも自分のことを睨む様な目つきで見つめる男に罵詈雑言を浴びせそうなのだ。
ケラケラと笑う顔ではなく、ププーッという様な小馬鹿にした笑みを浮かべ、目を細めて上脇の視線を受け止めた。

「だから怒ってないですってば。そう見えるんなら、それは僕の生まれつきの顔と雰囲気なんでー。ていうかやっぱり気づきました?慇懃無礼な態度、これが僕なんでわかってもらえるとありがたいんですけどネ。」

あとバカじゃないですよ、そう言った時には後ろの腕を掴むのはやめており、爪のあとがついて内出血を起こしているであろう場所を隠す様に前で腕を組んだ。
慇懃無礼なら態度を取るのが自分であり、普段ならそれがわかる様に振舞ったりなどしない。だってあとが面倒くさいし、自分が不利になる様な立場に自ら行くのは至極バカらしい。上手く立ち回ってなんぼの世界で、そんなリスクを犯すなんて世界から消えたい人間がする事だ。

「態度が気に入らないって言われてもですね...って、はぁ?アンタ、それ本気で言ってるんですか」

少し悩んだ声から一転、呆れと苛立ちを含んだ声音に変わったヴェノの額にはシワが寄っている。目の前の男の視線を受け止めながら、この男は自分が嫌な事をわざわざ引き受けると思っているのだろうかと、そう思う。そりゃあ深い付き合いなわけでもないし、こうやってきちんと話したのなんて今日初めてだ。それでも、頭のいいこと男ならその短時間の間にわかっていてもおかしくはないと思うのだけれど。

(本当に嫌なら途中で誰かに押し付けてさっさと逃げるし)

そう心中で呟けば、小さなため息をついて目線を上脇から逸らす。もういい、意地とか照れとかどうでもよくなってきた。ここまでわからない奴には言葉で言わないと伝わらないと、バカな同僚たちに振り回されて学習したのだ。

「僕、ほんとに嫌なら途中で逃げますから。それをしないって事は別に嫌じゃないって事デスよ。それにこう見えても案外楽しんでるんですけど、貴方と隊長探して歩き回るの。そりゃ苛立つ事の方が多いですけどね。」

トロイメライの隠し場所 』 ( No.380 )
日時: 2015/09/28 17:45
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: 1000字が消えて死にたいorz

>>370

【橘花小路/小田島八千代】

苦笑交じりに返答するその人は、八千代が出会ってきた多くの人間と同じ意見を口にした。多くの人は雲一つない晴れた空と爽やかな空気を好み選ぶ者が多いのだ。
八千代はその返事に微笑む。愛想よく振る舞うのはもう癖だ。そしてそれが礼儀礼節の一つであるとすら思うのだから。この濃い闇の中では、そんな表情すら相手に届いているのかはわかったものではなくてもだ。

「左様で御座いますか。それでは貴方様は晴れやかな空をお好みになるのですね。私もそれはそれとして美しいと感じますわ」

言葉の通り、意外そうな声色の相手。しかしその程度では八千代は怒らず、ふふふと笑っているだけだった。吸血鬼とは、他人の命を食い荒らす粗野な魔物であることに違いない。それに目の前の相手はそのことを揶揄している様ではないから、特段嫌とも思わない。
どんなものを食べても空腹は満たされず、どんなものを飲んでも喉の渇きは潤わない。ただ嗜好品として楽しむことは出来ても、この命を繋ぎ止めておくためにはどうしても他人の命が必要なのだ。

「この様な私が上品なんて……いいえ、そのもったいなきお言葉、褒め言葉として受け取らせていただきます」

八千代は軽く屈んで礼をし、頭を上げた。
実際にそう言う野性的な性をした吸血鬼が多いからこそ、この人は呑気な自分に驚いているのだろうかと考えた故に、八千代はこういう。

「左様で御座いますね。仰る通り私達には人間に同じく様々な者が御座います。……元は人間だったのですからそれは当然と言えば当然なのでしょうがね。しかし、やはり食事の仕方も多種多様である故にか……乱暴を働いてしまう者もいるかもしれません」

目の前の男性は吸血鬼を相手にしているにも関わらず、まるで人間を相手にするように会話し続けてくれる。そのことから彼は吸血鬼ではないのかと思っていた。もしかしたら吸血鬼は粗野なものであるという考えの吸血鬼なのかもしれないが、それでもなんだか八千代は次第に不自然さを感じるようになった。彼自身を含んでいないであろう「あなた達」という言葉がそれを自信に変えさせる。彼は自分とは違う。人間らしいと。
「ご忠告を有難う御座います。今のそれは心に留めさせて頂きます」


しかし不思議。人間が人殺しの吸血鬼に出会って、此処まで冷静に対応することが出来るのだろうか。返答を聞き、やはり彼が人間であることがわかると八千代の心はまた困惑する。少し聞きにくそうに八千代は彼に質問した。

「野暮な問いとは思いますが……私は貴方様を吸血鬼なのだと勝手に思っていましたが、貴方様は自信を人だと仰いました。それでどうして吸血鬼を前にそこまで冷静なのでしょう」

吸血鬼とは、人間を殺す悪魔の眷属なのに。

【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.381 )
日時: 2015/09/28 19:48
名前: Dietrich (ID: xOYpbzCU)

【橘花小路/香坂 誉丸】

「暗いと不安になるだろう。こうやってお互いに向き合っているのに今私はあなたの表情一つ伺うことができない。夜だと尚更だし、最近は何かと物騒だ。私も少々誤算だった、まさか外がこれだけ暗いとは思っていなくてね」

 穏やかな声の相手は気品さえ感じさせられる態度でこちらに接してくる。こうなってしまえば相手の調子に自然と合わせることになっても最後まで気づかないのかもしれない。顔こそこの距離で見えないが、彼女の言葉から既にその艶やかさは感じられていた。何も知らない男なら彼女に話しかけられただけでイチコロなのかもしれない。さっきの男もそれなのだろうか。

「それに最近は足元がおぼつかなくてね。簡単な段差に躓いてしまうんだ」

 香坂は何を意識する訳でもなくそんなことを口にして軽く笑った。まだ動けると思っている体も十代の時と比べれば愚鈍になったものだ。

「いや、そんな大層に受け取られてはこちらが恥ずかしいな。失礼なことを言ってしまって申し訳ない、ただ私の素直な感想が述べたくてね」

 相手は怒った様子も見せずに大人の対応、と言った感じで自分の発言を受け流している。昔は人間だったのだろうが、いかにも世間になれたと言った風に見えた。いかにも獣らしい荒い性格を持った吸血鬼もごまんといる中で、彼女のような吸血鬼もそれほど珍しくないのだろうか。

 軽く思案するように手を口元に当てる。相手は屈んでお辞儀をしたようだ。黒く見える影が微かに揺れる、上品に、艶やかに。

「……食事の仕方、確かに中にはただの食事目的だけで人間を襲う訳ではないものもいるのかな。猫が獲物を弄ぶような調子で」

 失礼だったかな、と軽く謝罪を口にしながらも、意見を曲げることはなかった。彼女のようなものもいるのであれば、その逆も必ずいる。人間と同じだ、人間と同じ知能と人間よりも力を持った生き物がその一点を見逃すこともないだろう。

 彼女が自分の言葉を受け入れてくれたことに安堵しながら、ありがとう、と微笑み言った。彼女はどうやら物分かりがいいらしい。できるのであればその性質が周りの吸血鬼にも伝染してくれていたらな、と頭の隅でそう思う。

 そして彼女からこちらに向かっての質問に、香坂は軽く苦笑した。どう言えばいいものか、少し言葉に迷ってしまう。

「……私は仕事柄あなたよりも凶暴な吸血鬼を見てきたからね。大人しいあなたを恐れる理由なんてどこにもないんだよ。それに不躾で何より申し訳ないと先に謝っておくがこう見えて暴力は得意でね、一対一ならどうにか出来る」

 聞き方によれば挑発にも取れる言葉だったが、此処でそう言わなければ相手は自分を見くびって襲ってくるかもしれない。とりあえず不意打ちは避けたかったための布石だった。しかし声の長はいつも通りの穏やかなもので、その中に邪険な針は何も含まれていなかった。再びあはは、と間の抜けた笑い声を洩らす。

「しかし互いにこんなところで喧嘩をしていてもつまらないだろうし、私は買い物帰りだからね。これらを汚したりしたくないんだ」
 

『 トロイメライの隠し場所 』 ( No.382 )
日時: 2015/09/30 15:13
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)

>>379

【赤月本部/上脇助次郎】

 ほんの少し前まで、目の前の少女は外部からの客を相手にする時に浮かべる様な笑顔でこちらに対応していたのだ。しかしこの凄まじい変わり様は何か。否、論ずるまでもなくそれは助次郎自身に原因があるものだと本人ですら解っていることだが、此処まで露骨に悪意やら敵意をむき出しにされたことは助次郎は赤月では大よそ初めてといっても良いことだった。
 彼女へのこれまでのソツのない仕事人のでかい女という評価は見事にひっくり返る。どうにも目の前の少女はそれだけでも十分だというのに厄介な性質を兼備した猛者だったらしい。
 こちらを蔑み、それをまるで楽しんでいるみたいに、ちゃちなやり返しをするヴェレーノは表情とは裏腹に、何やら力一杯に自らの腕を抑えていて、どう見てもそれは爪が肌に喰いこんでいるように見えた。暴れたいのを我慢している蛇のようで、表情こそは大人を達者な口で馬鹿にする子供のようだけれど、随分と余裕がないように見えた。
 
 しかしその口の減らなさに助次郎のフラストレーションは溜まる一方で眉目の皺が深くなる。ふてぶてしい言い訳は酷く子供じみているが、逆にこんな殺伐とした仕事に就いてもある意味こうも人間らしく育つんだなという嫌味な感心ももつ。

「あーもうムカつく。だから餓鬼は嫌いなんだよ。あのさあ、君が慇懃無礼だろうと傲岸不遜だろうと僕は一向に構わないんだけど、それでも客の前ではマナーってものがあるでしょ? だからそのイラつく態度どっかに捨てろって言ってんの。君はそんなことも出来ない不器用な人間じゃないんじゃないの?」

続く彼女の言葉は、助次郎からしたら詭弁以外には形容しがたいような詭弁に聞こえた。嫌いな人間を相手にするから不遜な態度をとっているんだろうが。それを楽しんでいるとは厭味か。助次郎の怒気を孕む声は、次第にその感情を大きくしていった。以下にも欠陥が浮き立ちそうなイライラした目元に口元だけがひきつり笑いを浮かべていた。——しかし助次郎はそれを爆発する前にしぼませて、足を止めた。
ふう……とそっぽを向いて諦めたようにため息をつく。すると、白けた様に小さく笑い声を零し、また眼鏡の奥の目を芝居がかったような笑顔で細める。何だか疲れた。

「なら言い方を変える。オメーなんかじゃ僕が不愉快だわ。君みたいな躾のなってないガキと当てもなく隊長さん探しするくらいなら日を改めます。……なんか悪かったよ。忙しいトコお邪魔しちゃって。それじゃあごきげんよう」

 ニッコリとした笑顔を張り付けたまま、助次郎は方向転換をし、そのまま歩を進めるのだった。

【なんというか最初から最後まで不躾で申し訳ありませぬが色々とgdgdになる予感がしたものでこの様にさせていただきました。追っかけていただいてもあっかんべーで終わっても構いません;; どっちにしろイベントについては何とか致します>】
 

Re: 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.383 )
日時: 2015/09/30 18:18
名前: ナタノ (ID: V32VFdCN)
参照: 進行できなくて申し訳ないです


>>364


【どこかへ向かう道の途中/落花 裏葉】

「えぇ?私は私みたいな人より才蔵くんみたいな人に増えて欲しいけどなぁ。そうしたら世界はもう少しだけ優しいんじゃないかって、思えそう」

才蔵のような優しい人がもっと増えたら、そうしたらきっと世界はもっと生きやすくなる。才蔵なら輪廻の事だって簡単に受け入れてくれそうだと裏葉は微笑む。輪廻と才蔵と裏葉が並んで立っている姿を想像して、あぁ、こんな未来があったならと思わずにはいられない。

「超おばあちゃん!!あはは、なにそれ!は、初めて聞いたよそんな言葉。
ふふ…でもそうだね、百歳まで生きるなら二十歳超えたくらいじゃまだまだ若いか」

才蔵の突拍子もない言葉に裏葉は愉快そうに笑いながら頷いた。結婚というワードに早くないかと驚く才蔵に「意外とこのくらいの年で結婚する人多いんだよ」と教えてやる。晩婚化が進んでいるといっても若いうちに結婚する人間も後を絶たない。
結婚するなら愛する人と結ばれたい、なんて少しだけドリーマーな事を考えている裏葉はお見合いを頑として受け付けはしないけれど、さすがに周りがあぁも次々と結婚すれば焦るものである。

寂しそうに見える才蔵の、その人生について裏葉は少しだけ考えた。彼はどんな人生を送ってきたのだろうか。優しそうに微笑んでいるからといって幸せな人生を送ってきたとは限らない。むしろ、本当に深く傷ついた人間ほど案外その傷を隠して生きているものだと、裏葉はそう思っている。
だから、その寂しさを少しだけ裏葉に分けてくれないだろうかと提案をしたのだ。
笑顔で帰ってきた答えに裏葉も満面の笑みを浮かべる。

「えへへ、じゃあじゃあ好きな食べ物とか聞いてもいい?」

裏葉は幼馴染になった才蔵のことが知りたくて、小首を傾げた。

Re: 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.384 )
日時: 2015/09/30 20:19
名前: フレア (ID: nLPrrFyW)

>>382【赤月本部/ヴェノーレ=ファルファッラ】

「餓鬼呼ばわりですか。そりゃ、僕はまだ成人してないですし?アンタに比べたら生きてる年数なんてちっぽけなものかもしれませんケド。ていうか何なんですか、そんなに僕嫌味ったらしく見えます?」

ニコリと、そう言葉を返して笑みを浮かべる。餓鬼と言われようと怒ることはない、そんなの自分が一番分かっているのだ。周りより一回りも二回りも年齢が低く前線は不向き、こうやって皮肉を叩いて人を煽るのだって半分以上は自己防衛。パーソナルスペースに入らせないように、決して傷つきたくないがためにこうやって周りを不快な思いにさせる。そんな人間を大人だと、そういう連中は遅かれ早かれダマされて不幸絵の道一直線だろう。そう考えれば目の前の男の言うことは正論で、やはり賢いのだと改めて実感させられる。

また、またそんな風に笑いかける。芝居がかったような笑み、自分の進駐を見透かされそうなその瞳、バカにしたような小さな笑い。そんなのを見たいわけではないと、ヴェノは心の中で叫ぶ。そんな顔しか向けさせないようにしているのはヴェノ自身だけれど、それでも自分が望んでいるのはソレではないのだ。

(案外僕は不器用だよこのクソがっ、見掛け倒しで悪かったな...って、ちょっと待って、今この人なんて言った?また、また僕やらかした?)

口に出さないように心の中で毒づいている間に、どうやら何かを言われたらしい。にっこりとした笑顔、それを見て不味いと本能的に思った。多分、確信はないけれど、「不愉快」「日を改める」「ごきげんよう」そんなことを言われたはずだ。その言葉をつなぎ合わせて、足りないところを頭の中で補って2秒。何を言われたのか分かり、サッと血の気が引く感覚がした。意味がわからない、自分が焦る必要なんてないはずだ、そうは思えど感覚と本能には逆らえない。あとあと起こるであろう羞恥心の来襲とか、この男からの皮肉な言葉とか、そんなの全て無視して足と手が動いた。

「っ、待ってください!」

2、3歩前に歩いて上げた右手で上脇の腕を掴む。決して力入れず、いとも容易く振り落とすことができるであろう最小の力。今、この男はどんな顔をしているのだろうか。嫌そうに歪んでいる?それともなぜ引き止めるのだと驚いている?わからない、彼の表情で一番見ているのがあの演技がかった笑みと苛立ったものだけだから。それ以外の反応が思い浮かばない。

「そ、の...僕が、悪かったです。失礼な態度を取ってしまって申し訳ありません...だから、えっと。もう少し、いいですか?」

不安そうに視線を彷徨わせ、おずおずとそう言えばギュッと唇を噛み締める。何がいいですか、なんて言わなくてもわかるだろう。このままもう少し一緒に探してもいいかと、珍しいヴェノからのお誘いだった。これで、自分が先程言ったことが嫌味や皮肉ではないことがわかってもらえただろうか。本当は言わなければいけないことがたくさんあるのに、普段素直にならないからかうまく言葉にできなくて困ってしまう。

「そ、れに...上脇さんの用も、気になりますし。早めに伝えなきゃいけないかもだし、僕が伝えることも、できるでしょう...?」

ゆっくりと息を吐いて、緊張でありえない速さで脈打つ胸を正常に戻す。まだまっすぐに上脇を見ることはできないけれど、それでも沈黙が耐えれなくて再び口を開いたのだった。


【なんとなく繋げさせて頂きました!蹴っていただいても構いませんが、よろしければ引き続きよろしくお願いいたします...!】

小田島八千代 ( No.385 )
日時: 2015/10/01 21:36
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)

>>381

【橘花小路/小田島八千代】


 確かに今日は何時になく暗い夜で、まるで行燈の光の無い寝室を連想させる。相手の姿を縁取る輪郭だけは解るのに相手がどんな顔をしているのか、どんな表情を浮かべているのかといった情報は此方には伝わってこないまま。ただ、その影は八千代よりも少し背が高く大きいように思われた。そう言えば、背の高い人は怖くて苦手だと人間だった頃に妹の誰かが言っていたななんて関係のないことをふと思い出す。

「……確かに、今宵はいつにも増して暗う御座いますね」
 
それにしてもこの人は幾つなのだろう。声の張り具合からそれほど年老いてはおらず、若々しさを感じるもののその佇まいや落ち着いた話し方は完成した人間のように大人びているのだ。
軽く笑うその人は、最近は足元がおぼつかないと言う。それに対して八千代はつられる様に小さく笑った。

「そんな。まさか八十路のご老人でもありますまいに」

八千代の方は二十代後半で時が止まったとは言えど、それでも八十路どころではない程の年増なのだけれど。今となっては八千代の世界を埋め尽くす人間は年下ばかりだ。だからこそこんな風に自分にも余裕ができるのだろう。気を張ったり善良ぶったりする必要がない、それだからこそ。
それでも可笑しいと思うのは、さすがにこの男性が歩いて足元がふらつく様な年齢とは思えなかったものだから。確かに今夜の闇が濃すぎて足元がおぼつかないと言うのなら、それはそれで納得なのだけれど。
急に気恥ずかしそうな態度をとるから、無礼にも可愛らしいなんて思ってしまって、思わず八千代はそのゆったりとした声色を嬉々として弾ませ、また笑う。

「いいえ、それでも私にとっては光栄の限り故に、謝らないでくださいませ」

今までとは様子が違う打って変わって湿り気のある質問に八千代は少し戸惑った。彼は自分の発言に謝意を見せつつも、それでも意見が変わることは無いとばかりの気迫がそこにはある。人間とは言え、確か先程彼は知識があると言っていた。その知識が人間が作りだした創造以外の真実ばかりであるとするならば、彼はただの人間ではないのかもしれない。しかし、それでも今の言葉だけで彼が吸血鬼の自分にとって不穏な存在と決めつけるのは聊か気が早いことだろう。
ただ彼の言葉を肯定した。吸血鬼は元来無慈悲なもの。殺した人間を無残姿にして遊ぶ人間性が疑わしい様なものだっていない訳ではないのだ。長い時間の中で出会った吸血鬼達の中に、そんな心の冷えきった者が居たことを、八千代は覚えている。

「否定はできません」

おっとりと何処か明朗としていた八千代の声は、寂しげに地面に沈んで行った。
自分の疑問に彼は答えてくれた。どうにも彼は凶暴な吸血鬼に関わる仕事をしているらしい。そのような仕事が人間の間にあるとは知らなかった八千代は想像がつかずにへえ、と曖昧な相槌を打った。

しかし暴力が得意と聞いた八千代はぎゅっと体が縛られる様な、体がこわばるような感覚に囚われて、静かに息——いや、空気を呑む。それが何時までたっても怖いのは誰にとっても当然のことと思っていたい。
しかし、今のは挑発かあるいは牽制だろうか。まるでいつでもこちらを殺しに係ってこられるのだと言われているようだった。こちらの警戒心が高まる分に思う、もしかして相手もこちらを警戒しているのだろうか。

「……まあ、それは怖いこと」

少し放心したような八千代の声が、闇の中でぽつりと返事をした。
しかし、再び余分な力のまるで入っていなさそうな柔らかな笑い声が聞こえて、八千代も緊張の糸がほどける。

「それもそうですね。私も痛いのと乱暴なのは好きではありません。……なんて吸血鬼である以上、言えた立場ではありませんが喧嘩をしないことには賛成で御座います」

ああ、この人は穏やかな分にいざとなった時にこちらを恐怖させる人なのか。八千代はまるで合わせるみたいにまた笑う。

「……それでは、そろそろ私は失礼致します。今晩の宿を探さねばなりません故に」

【どう展開するべきか思いつかず解散フラグを立ててしまいましたすみません;; 因みに続けても問題なく(( 】

Re: 【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.386 )
日時: 2015/10/01 22:22
名前: 霧時雨 (ID: rE1CEdls)

>>376 【深夜の公園/三宮裕次郎】

「いえ、結構です。十分、分かりやすかったですな。」
そういうと、微笑みを返し、ちらりと後ろの赤月の三人を見る。
録音、筆記共に取れている様だ。まあ、自信も記憶しているため問題は無いが。

「では、次は私ですな。基本的に、赤月は様々な武具を扱います。中には武器といえぬ武器もありますぞ。
そして、その大体が固有の武器を持っています。私であれば、この仕込み杖でしょうな。」
そう言うと杖を見せるように軽く上げる。中身には日本刀が仕込まれているため、見た目以上に重い物だ。

「さて……長居は無用。お互いに情報も交換できたことですし、ここは大人しく去ると致しましょう。
あなた方は先に支部に帰投し、報告を頼みますよ。」
赤月の三人に告げると、老紳士は空を見上げる。月もわずかに傾きつつあった。
日が明けるには早すぎるが、それでも日付は変わっている。あと二三時間もすれば、空が白み始めるだろう。
万が一、だが後ろから襲われることも無いだろう。相手にとって、何のメリットも無い。念のため、いつでも抜刀はできるようにしてあるが。

「おっと、最後に一つ、吸血鬼である貴方に塩でも送りましょうか。ただの、老人の忠告ですよ。
……迷いがあるならば、断ち切っておきなさい。その迷いは何時か、貴方自身を焼き尽くしますぞ?」
立ち去る間際にそう言い、笑うでも怒るでもなく、相手の何処かを、その黒い瞳で見透かし。
最後に軽く会釈すると、公園から立ち去った。

トロメラ ( No.387 )
日時: 2015/10/02 07:06
名前: 佐鳥 (ID: LuHX0g2z)
参照: http://ともかく流れに身を任せますか!

>>383

【どこかへ向かう道の途中/真谷才蔵】

「いやぁダメダメ。おれ結構わがままだし頭ヤバいほど悪いから世界が大変なことになるって」

優しい、という形容詞が胸の奥に突っかかって飲みこめないままになりながら、冗談を言うのと同じノリで才蔵はそう言ってヘラヘラ笑う。
裏葉の目に、才蔵という男はどんなふうに見えているのだろうか。穏やかだとか優しいとか、そんな言葉の似合う人間だと思われているような気がするけれど、周りが言うほど自分は頭の中を慈愛で一杯にした人間ではないと、そう思っている。
我ながら難儀な性格をしていると思うのは、周りから篤実な人間だと思われるたびに、そう評されるたびに、自分だけが知っている神経質さや臆病さ、それ故の子供染みた部分を外に出せなくなっていくことだった。それが誰かの心を傷付け、また裏切ることに才蔵自身が耐えられない。ただそんな自分を真谷の一族だけが受け入れた。
才蔵は裏葉の愛嬌の滴る優しい微笑みに気持ちを返すように笑う。裏葉はいつも何気なく笑う。裏も表も無いそれは女らしくて柔和なもので、それが何だか安心する。

「超おばあちゃん!!あはは、なにそれ!は、初めて聞いたよそんな言葉。
ふふ…でもそうだね、百歳まで生きるなら二十歳超えたくらいじゃまだまだ若いか」

才蔵の言葉に裏葉は楽しそうな笑い声をあげた。「え、超おばあちゃん面白い?」と半ば彼女につられるように笑いながら才蔵は問い返す。ウケを狙ったつもりで言ったわけではなかったから少し胆を抜かれたような、でも相手が自分の言葉を馬鹿にせず笑ってくれるとそれはそれでこちらも気分が良いから構わないし、むしろ嬉しいのだけれど。

「若い若い、人生まだ始まってないくらいに若いよ二十歳は。とか言っておれも二十歳なんだけどね」

正確には二十歳と2,3年程度なのだが。そう言えば裏葉はいくつなのだろう。自分と同い年程度かその前後と言った風な顔立ちをしているが、聞いていないから真偽は定かではなく、でも話し方や雰囲気はまだまだ若さがある。
しかし二十歳を過ぎてその程度で結婚する人が多いなんて知らなかった才蔵は裏葉に告げられる事実に驚きを隠せず目をぱちくりさせ「やばいね、驚きすぎる」と先程からの調子で貧しいボキャブラリーを晒す。でもよくよく考えてみたら才蔵自身の親も結婚は割かし早い方だったような気がしなくもない。

幼馴染となった裏葉は屈託なく、才蔵にとってはとても困った質問をしてきた。好きな食べ物について問われてしまった。
はっきり言って今は吸血鬼となった自分に普通の人間と同じように料理を口にすると言う食事方法は意味を成さない。ただ、嗜好品として楽しむ程度の面白さがある程度でどれだけものを食べたところで満腹感は得られない。「えっとー」なんて言って時間を稼ぎつつもその目は右に左に泳ぐ。何と答えればいいことか。誤魔化す答えを考えているのがそのせいであからさまになっているが、そんなことは気にせず、才蔵は思いついたように言った。

「飴かな! はちみつレモンとかの!」

才蔵のポケットにはよくカラフルな紙に包まれたキャンディが入っていることが多い。才蔵を気に入ってくれている兄や姉が分けてくれたり、当主がいつの間にか気紛れにポケットに忍ばせてくれていたりとキャンディには結構縁がある。最初に飴をくれたのは当主だった。
彼には何も言っていなかったと思うけれど、それは幼少期、才蔵がよく祖母からもらっていた飴と同じものだった。何処から買ってきているのかはわからないが、それはなんとなく偶然では無いような気がしている。彼は吸血鬼である以前に不思議な所があるから。

「他にもイチゴとかメロンとかフルーツ系も好きなんだけどー、じゅわーってくるサイダーみたいなのも最近あるじゃん? あれも好きなんだぁー」

からころと舌の上で転がしては噛み砕いてしまう。味を楽しむよりもそちらの方がメインの楽しみだったりする。

「裏葉ちゃんは飴だったらどんなのが好き?」

【じわじわと】『 トロイメライの隠し場所 』【イベントの】 ( No.388 )
日時: 2015/10/03 17:16
名前: Dietrich (ID: xOYpbzCU)

【橘花小路/香坂 誉丸】

「いや、こうも暗いと足元も見えないからね。流石に其処まで年を食ってはいないよ」

 そんな年まで吸血鬼と対峙するような物好きなことをしているのだろうか——場合によってはしているのかもしれない、その時でも愉快に笑っているのかもしれないと心の中で苦笑しながら思う。

 相手の声が笑う。こんな自分の冗談に笑ってくれたのだろうか、その柔らかな声が明るい笑みに弾んでいた。穏やかでありながら彼女の声はどこか可愛らしくもあった。香坂も嬉しげな笑みを口元に浮かべる。

 自分の質問に彼女は比較的素直に答えてくれているようだ。もしそれが嘘だったとしても、彼女に少しの利益もないだろうし、また不利益もないだろう。否定できない、とそう言った彼女の声は沈んでいた。

 彼女の性格を勝手に推測するならば、彼女は好戦的な吸血鬼ではないのだろう。人間性を豊かに含んだ獣はどれだけ辛いのだろうか、と微かな思考がかすめて行った。人間を追い詰め、その首筋に己が歯を突き立てるその瞬間は彼女は何を考えているのだろう。野性的な飢えが彼女の理性を抑えているのだろうか。

 今まで出会ってこちらで処置をした吸血鬼はほとんど好戦的な吸血鬼で、大体のものが彼女とは違っていた。こうやってまともに会話できるかどうかすら危ういものもいた。これはいい機会なのかもしれない。あちら側の意見を聞ける数少ない相手だ。

「驚かせるようなことを言ってすまないね。経験があると言っても私はただの人間だから」

 いつ夜の生き物の餌食にされるか分からない。そういう恐怖がいまだにないと言う訳ではないのだから。人間を恐怖に陥れる彼らに微かな犯行をしたって責められるものではないだろう。だとしても彼女に八つ当たりをすることはなかったな、と微かな後悔を抱き始める。

 今晩の宿とそんな言葉が聞こえ、香坂は思わず声をかけていた。それが先ほど抱いた後悔からか、”吸血鬼”と言う人間とはまた違う生物を理解する機会を長引かせるためだったか、自分にも分らなかった。

「……少し、あなたについて行っても良いかな。いや、何、人間にも嫌なやつはいてね、あなたのような可憐な女性を見て悪質な性質の者が声をかけてこないとも限らない」

 穏やかに笑ってそう言った。実際荷物もそんなに重くはなかったし、今夜この後に用事などもなかった。帰って寝るだけ、と言うのも妻ならないだろう。

「夜道を久しぶりに歩くんだ、一人では寂しいのでね」



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