雑談掲示板

【開催】第14回 紅蓮祭に添へて、【小説練習】
日時: 2022/06/18 14:16
名前: 浅葱 游◆jRIrZoOLik (ID: bC2quZIk)

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 執筆前に必ず目を通してください:>>126

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 ■第14回 紅蓮祭を添へて、 / 期間:令和4年6月18日~令和4年7月31日
 白く眩む日差しの中で、水面は刺すように揺れていた。



 □ようこそ、こちら小説練習スレと銘打っています。


 □主旨
 ・親記事にて提示された『■』の下にある、小説の始まりの「一文」から小説を書いていただきます。
 ・内容、ジャンルに関して指定はありません。
 ・練習、ですので、普段書かないジャンルに気軽に手を出して頂けると嬉しいです。
 ・投稿するだけ有り、雑談(可能なら作品や、小説の話)も可です。
 ・講評メインではありません、想像力や書き方の練習等、参加者各位の技術を盗み合ってもらいたいです。


 □注意
 ・始まりの一文は、改変・自己解釈等による文の差し替えを行わないでください。
 ・他者を貶める発言や荒らしに関してはスルーお願いします。対応はスレ主が行います。
 ・不定期にお題となる一文が変わります。
 ・一作品あたり500文字以上の執筆はお願いします。上限は3レスまでです。
 ・開始時と終了時には「必ず」告知致します。19時から20時を目安にお待ちください。
 ・当スレッドのお題を他所スレッドで用いる際には、必ずご一報ください。
 


 □お暇な時に、SSのような形でご参加いただければと思います。


 ■目次
 ▶︎第1回 氷菓子を添へて、:今日、全てのテレビ番組がある話題について報道していた。
 >>040 第1回参加者まとめ

 ▷第2回 邂逅を添へて、:彼女はいつもと変わらない、甘い匂いをまとっていた。
 >>072 第2回参加者まとめ

 ▶︎第3回 賞賛を添へて、:「問おう、君の勇気を」
 >>119 第3回参加者まとめ

 ▷第4回目 袖時雨を添へて、:手紙は何日も前から書き始めていた。
 >>158 第4回参加者まとめ

 ▶︎第5回 絢爛を添へて、:「フビライハンとエビフライの違いを教えてくれ」
 >>184 第5回参加者まとめ

 ▷第6回 せせらぎに添へて、:名前も知らないのに、
 >>227 第6回参加者まとめ

 ▶︎第7回 硝子玉を添へて、:笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。
 >>259 第7回参加者まとめ

 ▷第8回 一匙の冀望を添へて、:平成最後の夏、僕こと矢野碧(やの あおい)は、親友の中山水樹(なかやま みずき)を殺した。
 >>276 第8回参加者まとめ

 ▶︎第9回 喝采に添へて、:一番大切な臓器って何だと思う、と君が言うものだから
 >>285 第9回参加者まとめ

 ▷第10回 鎌鼬に添へて、:もしも、私に明日が来ないとしたら
 >>306 第10回参加者まとめ

 ▶︎第11回 狂い咲きに添へて、:凍てつく夜に降る雪は、昨日の世界を白く染めていた。
 >>315 第11回参加者まとめ

 ▷第12回 玉響と添へて、:――鏡よ、鏡。この世で一番美しいものは何?
 >>322 第12回参加者まとめ

 ▶第13回 瓶覗きを添へて、:赤い彼女は、狭い水槽の中に閉じ込められている。
 >>325 アロンアルファさん
 >>326 友桃さん
 >>328 黒崎加奈さん
 >>329 メデューサさん
 >>331 ヨモツカミ
 >>332 脳内クレイジーガールさん

 ▷第14回 紅蓮祭に添へて、:白く眩む日差しの中で、水面は刺すように揺れていた。


 ▼第n回目:そこにナマコが置いてあった。
 (エイプリルフール企画/投稿期間:平成30年4月1日のみ)
 >>156 悪意のナマコ星さん
 >>157 東谷新翠さん
 >>240 霧滝味噌ぎんさん


 □何かありましたらご連絡ください。
 →Twitter:@soete_kkkinfo
 

 □(敬称略)
 企画原案:ヨモツカミ、なつぞら
 運営管理:浅葱、ヨモツカミ

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Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.252 )
日時: 2018/07/12 22:53
名前: あんず◆k.P9s93Fao (ID: /6afuyyo)


 
 足元に揺らめく水が肌を包んだ。風は生温い吐息のように吹いている。生きているみたいだ。想像よりもずっと温かい海を、手を繋いで歩いていく。転ばないように一歩ずつ。水面は闇の中でもお喋りに煌めいている。月明かりがこんなにも夜を照らすことを、初めて知った。
 
「宇宙に願って叶うならさ、海だって、叶えてくれそうだよね」
 
 鼻歌まじりに聞こえてくる機嫌の良い呟き。波の音がざあざあと響くなか、その声はよく通った。目線は海に。なんとなく追ったその先の水面に、思わず口をつぐむ。宇宙だ。鏡面のように光を跳ね返す濃藍に、天の河がそのまま映り込んでいた。急に足元がなくなったような不安と、星に向かって沈んでいくような錯覚。上と下、手を伸ばした先でさえ、どこまでも宇宙が透けている。二人、星の中を泳いでいる。
 
「……叶いそうだね」
 
 そうでしょ。今度は彼女が得意げに笑う。ふやけた柔らかい指先に力が篭もる。海がひたひたと、腰の高さまでも濡らしていく。砂浜はすでに遠い。足元が今にも滑りそうになる。何もない。思わず震えて、それでも漠然とした安堵が胸に広がっていた。だから大丈夫だと、根拠もなくそう思う。
 
「ね、どうせなら海にも願い事しようよ」

 突然、彼女が顔を上げた。良いことを思いついたとでも言うように手を叩く。
 
「さっき笹に吊るしたのに?」
「星にも海にも伝えたほうが叶いそうでしょ」
 
 よくばりめ。さっきの仕返しに言い返した。弾けるような笑い声が二つ、浪の上を滑っていく。つられるように空を見上げた。滅多にお目にかかれない、教科書の写真と似た天の河。満点の星空というのは、こういう空を指すんだろう。綺麗だなんだと言うよりも、吸い込まれそうで怖くなる。宇宙は思っているより美しくなんかないよ、そう呟いて頬が緩んだ。この気持ちもまた、安堵だった。
 幸せになりたい、誰かが書いたあの願いも、海へと落ちていっただろうか。幸せになりたい。途方もなく大きな、漠然とした祈り。願った誰かが幸せだといい。自分のために思う。私の願いも彼女の願いも、同じように海に溶けて、きっと叶うといい。私だって、幸せになりたかった。
 
 いつしか自然に足が止まった。ブイからブイへ、張られたロープの少し先。もう胸元近くまで水が揺らぐ。それをじっと見つめながら、握った手を痛いほどに繋ぎ直す。ここから先は、戻るための場所ではない。かえるための入り口。一つ踏み出せば足場がないことを、私も彼女も知っていた。そのために来たのだ。
 かえろう。どちらが先ともなく、おんなじくらいの高さの肩を抱きしめる。あの古い夏から少しも変われなかった、細い肩だ。温もりはまだ残っている。互いに縋りつくものはもう、きっとそれしかない。ゆっくりと視線を合わせる。思わず微笑んだ。彼女も。
 とぷん、と拍子抜けするほど小さく柔らかな音を立てて、視界が染まった。
 
 夏が絡みつく。待ち構えていたように、それは私達を縫い止めようとする。逃さない、と言われた気がした。行かないでと、乞われた気がした。それでもその手を振り払って、宇宙へ、飛び込む。
 
 生温い水は、まるで胎内のようだった。覚えているわけがないのに。それでも私は、たった一人の胎内から生まれた。生温い羊水に浮かんで夢を見た。そうやって遠い昔、私も彼女も水に溺れて生まれたのだ。あの温かい場所へかえりたい。孵りたい。そう願ってやまないのは、何も死にたいからじゃない。あの世には行きたくない。この世にも生きたくない。だからかえる。きっと、ただそれだけのこと。
 ごぽり、泡が昇っていく。鼻から、口から、濁った酸素の代わりに透明な水が満ちていく。苦しくて涙が出た気がしたけれど、もう何もかもぼうっとして、それも気のせいだったかもしれない。全部が塩辛くて、甘くて、涙のようだった。わたしは今、涙に溺れている。かたく抱き締めあった手を一つ離して、彼女の腹に右手を乗せた。薄い腹はきっと、すぐに水に押しつぶされてしまうだろう。それでもまだ温かかった。母のようだなと、似ても似つかない、この目の前の女の腹を懐かしく思う。
 
「──、」
 
 彼女の唇がゆっくり動く。もう逃げるほどの空気の塊もなくて、その動きは薄暗い中、月明かりによく映えた。にっこりと笑みを形作る。私の唇も不器用に笑う。もう一度、願い事を呟いた。短冊は今もきっと、あの寂しい緑に揺れている。水はもう、ずっと生温い。
 ぐるぐる、ぐるぐる、頭の中を水が洗い流していく。溶けてしまいそうだ。抱き締めた腕、おんなじ体温。もう一度強く手を握った。おやすみ。囁くように開けた口の中で、水がふよふよ揺れている。海月になったみたいだ。本当になれたらいい。きっとどこまでもかえれる。私達は海の月。夏だってきっと、ここまでは来れまい。そう思うと途端に瞼が重くなった。その中を、誰かをあやすように呟きながら漂う。かえろう。
 今度こそ上も下もない。ただ溶け合うように落ちている。逆さまの星の中をかえっていく。触れた肌は柔らかい。
 
 ひどく、こうふくな気分だった。
 
 
✱✱✱
 
 お久しぶりです。夏っぽく海の話です。素敵なお題、ありがとうございました!

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.253 )
日時: 2018/07/22 04:17
名前: 黒崎加奈◆KANA.Iz1Fk (ID: skLU5vdQ)

*

 笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。火で彩ったら美しいだろうと。闇夜に浮かぶ炎が、人の願いを焼き尽くす様は、気が狂いそうなほどの背徳感を与えてくれる代物だろうと。
 そうして、七夕の夜に焼き払った。満天の星空に立ちのぼる黒煙と、村人のため息はとても麗しかった。
 そのひと時の快楽と引き換えに、怒った者たちによって、私は山奥の祠へ封印されてしまったが。

*

 涼やかな夏だった。暑さは身を潜め、心地よい風が吹きぬける。今年の秋は不作になるとか、大人たちは話していたかもしれない。例年よりも気温は低く、まだ八月だというのに秋のようだった。肌を焦がす太陽の視線は、あの燃えるようなものではなく、穏やかに微笑んでいる。
 そんな小さな田舎の村を、少年は歩いていた。麦わら帽子にだぼだぼの長袖長ズボン。冷夏とはいえ、季節感のない服装だった。彼は、毎日そんな洋服を着ている。たとえそれがどんなに暑い夏の日だったとしても。
 帽子の下から覗く顔は、まだあどけなかった。ほんの少し前まであぜ道を走り回っていた、小学生のイメージがどちらかと言えば近い。背格好も、顔立ちも。ただその表情だけが、どこか大人であった。

「…………」

 家の引き戸を無言で開け、無言で閉める。一切の物音をたてずに、彼は二階の自室に向かおうとしていた。
 ギシッ。
 古い階段は、体重をわずかでも載せると鳴く。そのわずかな物音に、階下の人間は大きく反応したらしい。ぱたぱたと廊下を走る音がした。

「……っおかえりなさいま……コウくんだったのね……」

 血相を変えて飛んできたのは女だった。病かと思うほど白い肌のあちらこちらに、醜い痣や火傷の傷が見える。幸の薄そうな美人だった。
 この家の主人は、少しでも気に食わないことがあると手をあげる。その被害は妻であるこの女はもちろん、コウと呼ばれたこの少年も受けていた。身体に合わない衣服は、その傷痕を隠すためのもの。

「お母さん、ただいま。お父さんはまだ外なの?」
「えぇ、そうよ。まだお外なの。でももうすぐ帰ってくるわ」

 その言葉を言い終わるか終わらないかというタイミングで、ガラガラガラ! とものすごく大きな音がした。二人してビクリと身体を震わせ、少年は二階へ、母親は玄関へと走った。
 二階の床板は分厚かったが、形が悪い。少年の部屋は、床に隙間が所々空いている。その部分から、下の様子はよく見えたし、よく聞こえた。例えば、父親が母親を殴るところとかが。
 いつも母親は殴られ、痛めつけられ、父親と寝室へ消えた。きっと、寝室ではもっと酷いことが行われているのだろう。
 物心ついた時からボロボロになった、大好きな母親の姿を見ていた。そして、いつ自分に火の粉が降りかかるか怯えながら過ごしていた。

――お父さんが、いなくなっちゃえばいいのに。お母さんと二人で暮らせればいいのに。僕もお母さんも幸せになれるのに。

 今日も床下からは怒鳴り声が聞こえてきた。でも、悲鳴は聞こえなかった。布団にくるまって耳を塞いでいたが、恐る恐る顔を出し、穴を覗きこむ。想像していた何倍も穏やかな風景だった。

「今年の人柱はお前だ。二日後までに用意しろ」
「そんな……コウもいるのに……どうしてっ……」
「はァ? なにされても良いって頼みこんできたから嫁にしてやったのに、他の男に色目使って通いやがったのはてめェだろ? そうやって人のせいにするとこが気に食わねェんだよ!」

 結局、最後はこうやって暴力沙汰になった。下は誰もいなくなり、ようやく少年の部屋も静かになる。しかし、少年は青ざめた顔で震えていた。

「お母さんが、食べられちゃう。僕のお母さんが、カミサマに食べられちゃう」

 この村は年に一度、盆前の祭で村人の願いを叶える儀式を行う習わしがあった。村人は思い思いの願いを紙に書き、笹の葉に括る。そして、村人から人柱と呼ばれる生贄を一人カミサマへ差し出し、願いを叶えてもらうというものだ。
 毎年行われているが、一度だけ祭が失敗したことがあると噂されていた。生贄がいなかったのか、カミサマの怒りに触れたのかは分からない。ただ、その時は炎が濁流のように押し寄せ、村のほとんど全てを焼き尽くしたと言われている。天の星が作った川を、地上の火で写しとったようだと、高齢の語り部は例えていた。その時祭を失敗へと導いたのがカミサマだという説もある。僅かに残った村人に封じられ、村からそう遠くない場所で守られているとか、いないとか。人柱を捧げるのは、カミサマを鎮めるためなのかもしれないし、そうでないかもしれない。

「カミサマにお願いして、お母さんを助けてもらわなきゃ」

*

 久方ぶりの目覚めだった。正確に言うと、身体の目覚めであった。私の意識は村のいたるところに飛んでいる。つけ込めそうな人間がいれば、すぐにでも意識をほんの少し誘導し、封印を解かせようと画策してきたのだから。
 しかし、ようやく見つけ出した存在が、まだ年端も行かないような子供だとは思わなかった。家庭環境を見れば、大人びた思考にたどり着いてもおかしくないと納得し、むしろ余計なことを考えない子供だから誘導も容易かった。むしろ、ここまでとんとん拍子に進んだのが不思議なくらい。何はともあれ私は、完全復活した。

「少年よ、私を復活させる手伝いをした功績に免じて、何か願いを叶えてやろう。私を長いこと封じ込めた報復に、村は焼き尽くすがそれは阻止できんぞ」
「お母さんがいれば、何もいらない。人柱は別の人にして。お母さんと二人で暮らせれば、それでいいんだ」
「ほう? 本当にそれでいいのか? 炎は人の本質を見せつけるもの。そなたの思った通りにならないことの方が多いぞ。若いゆえに見えていないこと、もあるだろうしな」

 今夜は、久々に美しい炎を見られるだろう。

*

 文字通り、村は炎に飲みこまれていた。真っ赤な光はゆらりゆらりと至るところで影を作り、自らの元へ誘っているようだった。意思を持っているかのように、一人残らず、小屋一つ残さず、全て燃やし尽くした。
 少し離れた丘の上から、少年と母親はその様子を眺めている。二人とも笑顔だった。全く別の意味で。

「お母さん、これで幸せに二人で暮らせるよ!」
「あの人が死んだ……私、自由なのね。もう何も気にせずに会いに行けるのね……!」
「お母さん?」

 母親の、こんなにも晴れ晴れとした笑顔は初めてだった。心の底から、嬉しそうに笑っていた。

「コウ君、このお菓子を、ここからまっすぐ行ったところにあるお墓にお供えしてきてくれるかしら」
「うん、お母さんは?」
「お母さん、疲れちゃったからここで休んでるわ……」
「わかった! すぐ戻ってくるね!」

 少年がそこに戻ったとき、母親の姿はどこにもなかった。激しく村中を燃やしていた炎は飲みこむものを失って、炭と化して燻っている。

「お母さん? ねぇ、お母さん? どこなの? どこ?!」

 声が虚しく木霊した。あんなに嬉しそうに笑っていたのに、いなくなってしまった。ペタンとその場に少年は座り込む。泣きじゃくる音がしばらく聞こえていた。

「だから、思い通りにはいかないと言っただろう? お前の母親は、恋人のところへ行ったよ」
「……カミサマなんて、嫌いだ! 僕は、僕はお母さんと暮らしたいって言ったじゃないか! 嘘つき!」

 少年は怒りに任せ、小さな拳を振り回す。無理やりその腕を捕まえ、小さな硝子玉を握らせた。

「母親には、お前がその硝子玉を持っている限り、罪の意識が生まれるように仕向けてある。片時もお前のことは忘れられず、恋人の元へ走ったことを一生後悔するだろう。お前はお前で、その硝子玉を通して母親の姿を覗くことができる」
「お母さんは、いないんだっ……」
「それを持っている限り、必ず会えるように仕向けてやるし、それまで生き延びれるようにはしてやる。母親の居場所を突き止められるほどの力は、私にはないからな。母親への未練が無くなったら捨てればいい」
「僕は、いっつも一人ぼっちなんだ……!」
「だから、願いはそれでいいのか聞いたんだ。落ち着いていないし、今は話しても無駄だろう」

 泣き喚く少年を抱え上げると、空を駆けた。そう遠くの村には行っていないだろう。復活できたのはいいが、面倒な願い事を抱えてしまったと苦笑する。

「近くの村を手あたり次第、一緒に回って探すのを付き合ってやる。それでいいか?」
「やだ。お母さんと暮らせるまでじゃなきゃやだ」
「それは他の神に頭を下げなきゃならん。自分でやれ。神のところに案内はしてやるが、私が頭を下げるのはごめんだ」
「じゃあもうそれでいいよ。カミサマのくせに、できないこと多すぎるよ」

 少年を駒として使えるようになるまでは、まだしばらくかかるだろう。それまで、ほんの少し硝子玉などという玩具で繫ぎ止められればいいのだ。いずれあんな最低な親のことなど忘れるだろう。

*

 まがいもののカミサマが笑っている。悪霊が笑っている。この少年をうまく使えば、しばらくは願い事を燃やせると笑っている。



*
こんばんは。このあとがき打ち込んでる間に文章が3回消えました。バックアップ大事。黒崎加奈です。
今回は色々重なって皆勤消えるんじゃないかと、自分でも思いましたが何とか繋ぎました。でも9月まで忙しさは確定してるんだよなあとか思いつつ。
感想とか頂いているの、毎回全部読んで喜んでます……! 時間がなさすぎて全く反応ができていないのが申し訳ないです……ごめんなさい。

ではおやすみなさい。

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.254 )
日時: 2018/07/22 19:06
名前: 「五人②」 (ID: FTl/BOB2)

笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。
気持ち悪いと。
何故、こんな気持ち悪いものを見なければならないのか?幾ら授業でも、見たいもの、見たくないものの取捨選択は必要だろう?蓮コラでしたっけ?それに近い感じを私……いや、僕は覚えた。覚えたのではなく、感じた、か。
「おら、さっさと描けカス」
そう言って、金髪碧眼、白いYシャツのボタンの隙間から見える巨乳、スカートなのに胡坐をかいて、スカートの中のパンツを見せる、猥褻教師。
僕は「はぁ」と、溜息を吐いて、頭をかきながら、猥褻教師に言う。
「僕が居るってだけで、そんな格好すんな猥褻教師」
「猥褻の何が悪い」
「一刀両断かよ」
「零刀両断だよ、てめの発言に意味なんかねぇ。口答えするな変人」
「変人は貴様だ、猥褻教師」
「私は猥褻教師では無い。セクハラ教師だ!」
「うん!色々アウト!」
自分は猥褻教師にツッコミをいれ、静かに溜息を吐いて、右手に持った筆を目の前のキャンバスに押し付けた。何故こんな事をしなければならないのだろうか?答えは簡単である、「美術の提出を忘れたから」である。
今は七月八日、七夕はとうに過ぎており、本当は目の前にある短冊、笹は燃やさなければならない、だが、僕の提出忘れに仕方なく一日伸ばしたのだ。
昨日は絵を描き終わらせたかったが、親から入院している知り合い、否、叔父の危篤状態のため、仕方なく午後の美術を休んで、病院に向かったのだ。
まぁ、結果は叔父は死んだ、心臓ガンで。
…まぁ、「実際の事を言うなら、心臓ガンは存在しないのだが、叔父の肉体は一般の人間とは少し構造が違うので、有り得ない病気が出来る」という特殊人間なので、二十年前は膵臓ガンとかも出来たりした。
まぁ、膵臓にもガンは出来にくいんだけど。
そんなこんなで、死んだ叔父の葬式もしようと思ったのだが、「明日美術の授業に来い、居残りで良いから。来なかったら殺す」と、脅されたので、仕方なく翌日の今日、学校へ行く事に。
んで、今、その七夕の笹、短冊をキャンバスに描いて、絵を完成させようと、自分は筆で絵に色をつけているのだ。
「…はぁ、面倒だ」
「面倒なのは私の台詞だ、貴様が昨日休まなかったら、私は今日、合コンが出来たんだ!若い男の精が吸いたい!」
「…呆れた、自分の私利私欲の為に、男性の精を吸わないで下さい」
「煩い!お前には分からんよ!私のこの吸引したい欲は!」
猥褻教師はそう言って、立ち上がって、自分を指差して、怒鳴る。怒鳴っても、何も解決しないけど。
「…はぁ、アンタ、本当に壊れているな?色々な意味で?」
「んぁっ?壊れている?今更なのか?私はもう「何千年も前から壊れている」よ」
「…知ってる、テンコさん?」
「はっ、私の「本名」を言うな、下種(げす)が?」
「本名を言って、怒られるって、どんな凶悪社会だよ」
「それが私達の社会だ」
「あぁ、そうかい」
自分はそう言って、右手の筆を置いて、背を伸ばす。
「完成したか?よし、じゃあ、全裸ストリップをしてやる、私の全裸ストリップを見たら、今晩は寝られないぜ?」
「お婆さんの体で吐き気がして?」
「…お前、私に喧嘩売ってる?今の姿を見てみろ、お前等男の好きな巨乳!パンチラで嬉しいだろうがぁ!?」
「僕は嬉しくないよ?だって、僕は…」
僕はそう言って、上半身の服をはいだ、すると、猥褻教師は驚く。それもその筈、「僕の胸にサラシが巻かれている」からだ。
「「僕は男じゃない」、だから、アンタにゃ興奮しない、嬉しくない」
「なっ…!?」
驚愕する猥褻教師に、僕はキャンバスを投げて、発言する。
「乾かしたら完成ですよ」
自分はそう言って、服を着て、鞄を持って、「そのまま教室を出た」、流石に後始末はあの猥褻教師がやってくれるだろう、何故なら「テンコ」だからだ。僕はそう思いながら、溜息を吐いて、玄関に到着、靴を履き替え、校庭を出る。
「…今日も面倒な一日だった」
自分はそう呟いて、振り返って、屋上を見る、屋上は「火車やがしゃ髑髏が浮いている」、今日も居残り以外は何もない日だった、そう思いながら、僕は校門を潜り、学校を出る。
此処は「妖怪が集まる」妖怪学校だ、そんな中、平凡で、普遍で、普通な学生である僕は通っている。何も無い日常だけど、僕は喜んで、学校に通っている、何故なら、妖怪という楽しい存在と共に過ごす事が出来るからだ、僕はそう思いながら、「熱いなぁ?」と、思った。
自分が歩く道は火に包まれていて、熱い。自分は妖怪「雪女」とのハーフなので、こんなに熱いと溶けてしまう。さっさと帰ろう、そう思いながら、自分は走って、自身の家へと向かった…

初めまして、お久し振りの方は御久し振りです。
「五人②」です。
前回の投稿より、約千字増えました。
一応言いますが、自分は小説を書くのは初心者です、更にパソコンを触るのも初心者です、前回はひぃこらひぃこらいいながら書いたんですよ、ですが、前回より少し増えました。
今回は相当頑張ったんですよ。執筆するのに、二週間は掛かってしまった。
なので、今回のプロットを書いた「五人⑤」が悪い。
それでは、次回参加するか分かりませんが、次回参加した場合、宜しく御願いします。
「五人②」

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.255 )
日時: 2018/07/22 19:07
名前: 「五人③」 (ID: FTl/BOB2)

笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。
今日は七夕だ。
そう思った時、世界は崩壊した…

流星群、某携帯獣ゲームをやっている人なら、「ドラゴンタイプの技だ」と、思う存在は居るだろう。それだ。
七夕の日、七月七日、夜十九時七分七秒、丁度綺麗に「7」という数字が揃った時の事だった。
「流星群が私達の世界を脅かした」のだ、流星群が地面に落ちて、隕石となった。
直径一キロの隕石だろうが、被害は甚大だった。
日本なんか隕石が富士山にぶつかり、噴火したし、南極にぶつかって、氷山、氷の一角が崩れ落ち、海面が上昇、3cmも上昇し、島国は相当危険な目にあっただろう、いや、あっている。
自分は内陸の土地に住んでいるので、海面上昇による被害は無いが、それから数時間後、いや、半日後の七月八日朝七時十五分、私は新聞を手にし、驚愕する。
それは今さっき述べた「海面上昇」だった、昨日は夜の出来事で分からなかったが、朝になって、世界が発表した。
「南極の氷が全て溶けた」と。
…う、うーん、凄い話だ、自分はそう思いながら、「隕石で溶けたか、壊れたか、だな」と、判断した。
まぁ、でも、まぁ、一番被害がでかいのは、日本なんだよなぁ、と思う。
何故なら噴火の影響で、火山灰が舞い、空を支配しているからだ、これでは、太陽の光を浴びる事は出来ない。
人間は太陽の光を浴びないと死んでしまうからだ、おまけに火山灰と雲が融合し、火山灰雲となり、火山灰が降って、人体に影響が出る場合もある。
でも、自分は日本の事を貶しているから、このまま消えてくれた方が嬉しい。
その方が、世界で戦う事もない、日本という国は消えた方が良い、あんな矮小な国、存在しない方が良い、私はそう思う。
「…あっ、朝ご飯」
私はそう呟いて、ご飯を作る為に立ち上がって、冷蔵庫からブレッドを取り、切って、フレンチトーストの準備をする。
「ふむ、今回は日本が消える可能性があり、気分が良い。今日は砂糖を多めにしよう」
自分はそう呟いて、蓮華で砂糖を掬い、ボウルの中に大量に投入する、そして卵や色々と入れ、切ったブレッドを投入し、ブレッドに液体を染み込ませ、バターを敷いたフライパンの上に乗せ、ブレッドを焼く…

だが、流星群の隕石はまだ終わっていなかった。私は知らずにフレンチトーストを作っている、そんな中、流星群の隕石の一つは我が家の方へと、向かっていた…そして私はフレンチトーストを皿の上に乗せ、うきうきしていた…

初めまして。
「五人③」と申します。
今回はどういう内容なのか分かりません、プロットで見ると、「私という人は日本を憎んでいる」様にしか見えません。
なので、政治的、もしくは人種的差別が強い作品なのかな?と、思いました。
でもまぁ、日本って外国から結構差別されているよね、何でですかね?分かる人が居たら教えて下さい。

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.256 )
日時: 2018/07/22 19:08
名前: 「五人④」 (ID: FTl/BOB2)

笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。
何だこれ? と。
簡単に言ってしまえば、『これ』は何なんだ? 一体どうして、色とりどりの紙を吊るしているのだ? 私はそう思いながら、首を傾げる。
すると、巨乳の幼女が『何じゃ? 貴様は『七夕』を知らんのか?』と、いうので、『はい』と、答えた。
「あらそう? それなら仕方無いわね」
そう言って、巨乳の幼女が溜息を吐く。
何だ、解説してくれると思った。
「これは人間が作ったアホらしい行事よ」
「成程」
解説では無いが、解説に近いので、安堵した、それにしても、どうして人間はそんな事をするのだろうか? 不思議に思っていると、巨乳の幼女は谷間から、一枚の紙を取り出した、おまけにペンも。
「ほら? 貴方も書きなさい? 七夕は自身の願いを書いて、未来に託す愚かな行為よ」
「いや、愚かなら、私はしない」
「そう? じゃあ、私は世界制服でも狙っておくわ、ビバ! 世界制服!」
「…………」
世界制服、どっかで聞いた事がある単語だ、そう思いながら、巨乳の幼女は平仮名で『せかいせいふくをおこなう!』と、書く。
「そういえば世界制服って何?」
「世界制服? そんなの簡単よ、世界を我が物の手にする行為よ」
「成程」
「分かった? まぁ、でも、『アンタ等』は当に攻略しているから、もういいんじゃない? 後は『この地球(ほし)を統一する』だけでしょ?」
「……あぁ」
自分は静かに頷いて、虚空を見る。
私は宇宙人と呼ばれるモノだ、この地球を征服しようとした時、この巨乳の幼女が片手で仲間を殺害して、血だらけになった腕を、手を舐めていた、恐怖した私は降参し、幼女の下についている。
まぁ、この巨乳の幼女、この地球という星で相当最強の存在らしい。
自分は知らなかったから、その出来事に驚愕だ。
だが、彼女は『地球の女子の中での相当最強の存在』、なので、もう一つの人種、『男』よりも弱いという、それはそれで驚きだ。
まさかこの女よりまだまだ強い存在が居る事に、自分は身震いした、そして、この幼女は『この地球をアンタ等に征服されない様に観光をしよう』と、言い、今に至る。
だが、この幼女自身、この地球を征服したいらしく、私と利害は一致しているのに、一緒に征服しないのは、『自身の力でやる』という意味らしい、だから私を制圧し、征服の邪魔をした、という訳だ。
「……はぁ、疲れたなぁ? 今日はもうホテルで休もう?」
「いいのか? 他に襲っている宇宙人も居るだろうに」
「えぇ、もういいわよ、どうせ『アンタみたいな侵略者は多い』んだし? 倒しても倒してもきりが無いし、戦うのも疲れたし? でもまぁ、寝ている間に地球が襲われたら、元も子もないけどね」
「……あぁ、そうか」
私はそう呟いて、巨乳の幼女と共にホテルへと向かう──彼女が世界制服をする迄、残り千年と、八ヶ月……私が『世界征服』と『世界制服』の間違いを知るのも、千年と、八ヶ月──


初めまして、「五人④」と、申します、スレッド主に褒められた唯一のメンバーです、ほら、お前等敬えよ、自分を(笑)
とまぁ、「五人」メンバー四人に喧嘩を売った所で、解説でもしますか。

この幼女、人間じゃないです、多分鬼なんじゃないでしょうか? って、プロットに書かれている。
それにしても、千年は長い。

「五人④」でしたぁ。

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.257 )
日時: 2018/07/22 19:14
名前: 「五人⑤」 (ID: FTl/BOB2)

笹の葉から垂れ下がる細長い紙面を見て、私は思う。
夏だな、と──だが、私には関係が無い、何故なら私に『季節』等、関係ないからだ──

『死線』、それは『生きるか死ぬかの重大な境目』の事。だが、私には、『死線』は違う意味を持っていた。私にとっての『死線』、それは『死の線』である。『死線』はどんな人間、動物、物、モノ……『どんな存在にも存在する』線だった。基本的に『死線』は頭頂部に存在しており、髪の毛の様に細い、おまけに何故か天空に向かって、ぴんっと、張ってあるのだ。どれだけ高いかは不明だが、多分宇宙から見たら、日本やアメリカ、中国、インドの『死線』の量は完全に中国の『パイロンシュー』に見えると思う。そんな『死線』を私は見る事が出来た。だが、この『死線』にも種類があるのを、私は知った。まず、白色の『死線』は『まだ正常な存在』という事、赤色の『死線』、黒色の『死線』は……もう手遅れだ、特に黒色の『死線』はアウトだ。……解説をしようとすると、少々長くなるが、簡単に言えば、赤色の『死線』は『死ぬ数ヶ月前の存在』、黒色の『死線』は『死ぬ数日前の存在』である。これは長年見てきての発想、考え、記録なので、間違っている部分も有るかもしれない。まぁ、それはそれで仕方無いだろう。だが、私が出会った男は『少し』違った、いや、『完全に違った』のかもしれない。これは私とその『男』との、少々奇妙で、異質な物語だ──

「……はぁ、今日も転校か」
 午後五時、夕暮れの空を見ながら、私は一人ごち、鞄を肩に引っ掛けながら、歩いていた。今の格好は長い紺色のプリーツスカートに、紺色のセーラーに、ワインレッドのリボンをした、制服の姿だった。そうだ、私は『女子高生』だ、一応『死線』が見えると言っても、元々は一般家庭の一般人の女である、『死線』が見えるという特殊能力さえ隠していれば、普通に学校にも通えるし、一般人と同じ生活が出来る。カッコいい男性と結婚し、可愛い子を生(な)せる、ただただ一般人と同じ生活が出来る。だからこそ、私は学校に通い、少しでも、平凡で、普通な日常を手に入れようと奮起していた。だが、そんなのは叶わない夢なのだが。んで、今日も親の転勤で先月から行った高校も転校する。まぁ、転校する事は慣れている、今迄に何回転校した事か? 多分二十回は超えている。多いからと言って、何だと言うのだが。……また、転校か。まぁ、仕方無いよ? 親の仕事が転勤が多い仕事だから? 私はそう思いながら、その場で溜息を吐いた。そしてふと、周りを確認する。もう暗くなり始めていた。
「うわっ!? もうそんな時間なの!? 急いで帰らないと……!」
 私はそう言って、鞄を肩から下げ、両手で思いっきり前後へ動かし、前へと進む。家は此処から一本道、少し曲がって存在しているので、すぐに迎えた。だが、『今日』という日は違った、とても違った、それは何故かって? 簡単である、何故なら『私の目の前でパンツ一丁、トランクスの男が『上空10メートル』から落ちてきた』からである。おまけに脳天直撃で地面にぶつかった。あっ、これは死んだな……小さな頃から『死線』が見える私にとっては、『死』は友達の様に慣れているので、『人が落下して死んだ』位、全然動揺はしない。動揺はしない、だけど、冷静に、指はスマホを手に取り、電話画面を開いて、『110』を打っていた。そして私が二番目の『1』を打った所で。
「いたたたた……」
 !? えっ!? 私は驚愕し、スマホを落としてしまった、かしゃぁん、ケースが地面にぶつかる音で、『おや?』と、目の前の男性が呟く。
「あっ、見られた……」
 相手の男性が言うや否や、パンツ一丁でその場で綺麗な土下座をし、『どうかこの事はご内密に!』と、言う。ご内密……? 一体どう言う事なのだろうか? 私は内心不思議に思いながら、男性を睨んだ──

Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.258 )
日時: 2018/07/22 19:16
名前: 「五人⑤」 (ID: FTl/BOB2)

>>257
続きです。
まさかの文字数オーバー(泣)


「いやぁ、お見苦しいモノを見せて澄まない、私はこの家の亭主、相良 紫藤(さがら しどう)と言います。ごめんね? 高校生にあんな姿を見せてしまって……今度から、誰もいない場所を狙って自殺を行うよ」
「あっ、はい……」
 目の前で着物を着た若い男性が言う。私は元パンツ一丁の自殺志願の男性の家に行き、謝辞を受ける事になった。それにしても広い家だ、完全に昔の殺人ドラマに出そうな雰囲気のある、趣(おもむき)のある家だ。池もあるし、庭もある、完全に無い物は無いかもしれない、私はそう思いながら、目の前の元全裸……いや、相良さんにツッコミを入れた。
「って、そうじゃない! 何で自殺なんかをしようとしたんですか!?」
「えっ? あぁ、簡単だよ、『この家の跡を継ぎたくない』から。継いだら継いだで、色々な方がこの家に来て、私に頭を下げる、それが厭なんだ、あんまり人と関わりたくないからね」
「成程……じゃあ、絶縁は?」
 よくもまぁ、私は他人の家の事情に対し、ずかずか言葉を発し、相手のスペースに侵入して行くなぁ、そう思いながら、『絶縁か……』と、呟き、顎に手を乗せる相良さん。
「一応考えた事もあった、だが、私の父親が許さなかったから、難しいなぁ?」
「そう、ですか……」
 万事休すだ、そう思いながら、頭を垂らす私、すると、『そういえばこの人の『死線』を見ていないな』と、判断し、少しだけ、目線を上にずらした。えっ? 何これ? そう思いながら、きょとんとする私、それもその筈、『今迄に見た事が無い『死線』の色』だったからだ、色は銀色、シルバー、もしくは灰色、グレイのどちらか? い、いや、色の説明はどうでもいい! 大事なのは『色』なのである。どういう色だ!? ってか、どんな色!? どんな状況なの!? 私は心の中で動揺しながら息を荒くする、すると、『だ、大丈夫? トイレ行く?』と、呑気そうに言う相良さん。
「あっ、いえ、大丈夫で」
 私がそう言った瞬間、『急に押し寄せる池の水で戸が壊れ、庭にあった池の水が私達が居る縁側の方にやってきた』、お互い正座をしていたので、膝、太股が濡れる。
「な、何だ!? 隕石か!?」
 驚愕する相良さんに対し、私は鞄を手に取り、鞄の中から、袋に入った『断ち斬り鋏』を手に取り、一気に息を吸い、更に鞄の中から、カチューシャを取り、頭にセットし、前髪を目に入らないようにセットする。そして立ち上がって、外に出る。そして、私は死人する、『池の真ん中に『悪鬼』が居る』事を……!
「な、何だあれは!?」
 驚愕する相良さん相手に私は急いで走って、『悪鬼』の方へと向かい、ジャンプ、っと、と、簡単に『悪鬼』の手に乗る私、そして、私は手から伝って、『悪鬼』の頭頂部へと走って向かう、次に右手に持った『断ち斬り鋏』で、『悪鬼』の頭頂部にある『死線』を斬る。これで、『悪鬼』も死ぬ、そう思いながら倒れて行く『悪鬼』を見ながら、私は再度ジャンプし、空中で回転してから、地面に降り立った。
「討伐成功……」
 そう呟いて、私は『あっ』と、思う。何故なら『目の前で『悪鬼』を倒す姿を相良さんに見せてしまった』からだ。ヤバい、完全に怯(おび)えられる、そう思いながら、一歩後ろへ後退する私、だが、相良さんは自分に一気に近づいて、『今のは何だい!? そして、今の怪物は何なんだ!?』と、真剣な眼差しで言う相良さんに対し、私はその場で静かに説明する。
「え、えーと……今さっきのは怪物で、名前は『悪鬼』と言います。そしてこの『悪鬼』、『悪鬼』の一体である『羅刹(らせつ)』という存在が封印を解いてしまい、全国で『羅刹(らせつ)』が解いた『悪鬼』に襲われているんです、だから、私はこの『悪鬼』を殲滅する行動をしているんです」
「へぇ、『悪鬼』ねぇ……じゃあ、その『裁(た)ち鋏』は何なの?」
「これですか? これは『羅刹(らせつ)』の肉体から作った『断ち斬り鋏』と言います、『羅刹(らせつ)』が他の『悪鬼』の封印を解いた張本人なので、他の『悪鬼』より頑丈なんです、だから、『『羅刹(らせつ)』が解いた『悪鬼』は『羅刹(らせつ)』の体で償うべき』と、考えられ、この鋏が作られました、なので、基本的に『悪鬼』はこの鋏か、仏教の方々が丹精込めて作った刃物でしか倒せないんです」
「へぇ、それは中々に凄い話だなぁ? ……私よりカッコいいな、君は……おっと、そういえば名前を聞いていなかったな、失礼だけど名前、聞いて良いかな?」
 そう言う相良さんに対し、私は静かに言う。
「えぇ、いいですよ? 私の名前は桐笥 雅(きりす みやび)と申します」
「そうか。というか、今日は色々な事があったなぁ? 何だか感謝しないといけない気がするなぁ?」
「えっ? いいですよ、私は何時も一人で行っているので──まぁ、転勤した所に『悪鬼』が居ないとダメですけどね──」
「一人!? 何だと!? こんな可愛い女の子を一人で戦わせる!? それはダメだ! 私も着いて行くよ! 大丈夫! 支援って形だから!」
「えっ? いや、私は良いですけれど、相良さんは良いんですか? こんな怖い女を支援って?」
「んー? 大丈夫だよ! 君に貢いで……いや、君に支援しまくって、この家の財産を無くせば、私も絶縁されるだろうし!」
「今さらっと、凄い言葉が聞こえた気が……?」
 私は正直衝撃を受けながら、相良さんの話を聞いた。うーん、それにしても着いて行くんでしょ? それなら、『死線』の事とか、言わないといけないし、何よりこの人も戦闘員にして、自身の事は自身で守れるようにしないとなぁ? ……中々に面倒な事になったぞ? 私はそう思いながら、その場で頭を抱えた──その後、私は家に帰って、転勤、引越しの準備をした。勿論相良さんに電話で次の引越し先と日曜日、引越し先に来るように、と、伝えた。そして私達家族は土曜日曜の間に引越しを行い、次の高校に行く準備もした。すると、日曜日の夜、相良さんがやってきて、『雅さんの彼氏です』と、言い、一箱のお茶菓子を持ってきた、おまけにそのお茶菓子は某有名会社の某有名菓子で、何気に最上級、最高級のお菓子を持ってきた、更にネットで調べてみると、その箱一つで一万は下らない代物だった。一応、私達の関係はカップルとして、扱う事になり、『今後、相良さんと一緒に近くの借家に同居』、『結婚を前提に考えている』、『性的関係ではない』し、『性的な事もしない』、と、相良さんは伝え、静かに両親は納得、納得するのか、私はそう思いながら、少し気難しい、恥ずかしい、何とも言えない気分になり、月曜日から、同居する事を許された。まぁ、少しでも早く同居して、色々と相良さんに『悪鬼』や『死線』の事を伝えなければならないし、まぁ、いいか。私はそう判断し、同居を許された──

 そして翌日、私は相良さんと共に同居する事になった、んで、気になっていた相良さんの頭頂部にある、銀色か灰色か分からない『死線』の謎を私はこれから先、色々な場所で知るのだが、今はまだ知らない──

後書く

初めまして、「五人⑤」と、申します。
今回は何か4000文字超と、長くなってしまった、反省します。
それにしても、彼女、雅の能力、『死線』って、少し怖いイメージがあります、作っておいてなんだって話ですが。
ってか、後半時間が足りな過ぎて、結構詰め込んだ挙句、何気に破茶滅茶で、滅茶苦茶な内容になっている……(汗)
まぁ、それは御愛嬌って事で。
それにしても、リーダーの『五人①』が転勤で参加出来なかったのは悲しいです、何時か「五人」全員で参加したいですね。
それでは、次回も参加したいですね。

「五人⑤」


>>254
プロット 「五人⑤」 執筆 「五人②」

>>255
プロット 「五人⑤」 執筆 「五人③」

>>256
プロット 「五人⑤」 執筆 「五人④」

>>257
>>258
プロット 「五人⑤」 執筆 「五人⑤」

今回も私、「五人⑤」が一つのパソコンで投稿を行いましたので、IDは一緒です。

Re: 添へて、【小説練習】 ( No.259 )
日時: 2018/07/22 19:23
名前: 浅葱 游◆jRIrZoOLik (ID: JZKlSTdU)

*
第7回 参加者まとめ

 >>230 液晶の奥のどなたさまさん
 >>231 流沢藍蓮さん
 >>232-234 彼岸花さん
 >>235 瑚雲さん
 >>236 かるたさん
 >>237 寺田邪心さん
 >>238 サニ。さん
 >>245 よもつかみ
 >>247 浅葱 游
 >>248 月 灯りさん
 >>249 奈由さん
 >>250 波坂さん
 >>251-252 あんずさん
 >>253 黒崎加奈さん
 >>254 「五人②」さん
 >>255 「五人③」さん
 >>256 「五人④」さん
 >>257ー258 「五人⑤」さん

Re: 添へて、【小説練習】 ( No.260 )
日時: 2018/07/22 19:24
名前: 浅葱 游◆jRIrZoOLik (ID: JZKlSTdU)


*

 平成30年7月22日 19時24分

 この投稿をもちまして、【第7回 硝子玉を添へて、】を終了させていただきます。
 皆様のご参加、誠にありがとうございました。

 まだ読めていない作品ばかりですが、時間を作って読ませていただこうと思います。
 今回も皆様の趣向の凝らされた作品を、楽しみに読ませていただきます。

 また次回もよろしくお願いいたします。


 添へて、ねぎツカミ

*

Re: 添へて、【小説練習】 ( No.261 )
日時: 2018/07/27 09:06
名前: ヨモツカミ@乾燥 (ID: 1Kphi4cE)

叶う見込みなんてないのに、それでも叶ってほしい願い事って良いですね。

>>流沢さん
なんかすごいお久しぶりですね。参加ありがとうございます。
願いは必ず叶うものじゃないですもんね。非科学的な何かに祈って、奇跡が起こって、良かったねってなるハピエンも好きですが、結局二人とも願いを叶えられない、現実は甘くないんだぜって感じで好きでした。
私の今年の願いの「猫にモテたい!!」も叶ってませんし、七夕ってクソですよね。
あと、すごく上から目線な発言になってしまうんですが、第一回目に参加いただいた時に比べて、凄く上手くなったな……と感じました。また次回も時間があったら参加してほしいです!

>>彼岸花さん
読後感やばい。好きオブ好きでした。ちょっとサルビアの花言葉知ってたので、そういう方向性の話かーと想像しながら読んでましたが、途中でモンハンを挟んだので、最後まで読む頃には忘れかけていて、家族ぬぁあああーーってなってました……。「家族の愛」、素敵でした。白いサルビアをサービスしてくれたところ、好きです。
余談ですが、埼玉にはサルビアの花畑があるんですよ。行ったことないけど。
硝子玉も添へて下さっててちょっと嬉しかったです。あれは、夏だし、ラムネ瓶の中のどうしても取り出せないビー玉のことを考えて硝子玉添へよーぜって決まったんですが、天の川に散りばめられてるっていう考え、子供の発想らしくて、素敵だなって思います。最後の天の川が降ってくるの、凄い好きです。
人の為を思っての願い事って綺麗ですね。あんまし上手くいえませんが、とにかく好きでした。

>>かるたさん
お久しぶりです! ちょっとだけ仁という名前に親近感を覚え、勝手に嬉しくなってました(笑)
えへへ、テーマを考えたのはネギで、文を考えたの私です、ありがとう!
すごい、雰囲気が好きでした。死にたかった彼らと、それを止めて、でも彼らを置いてどこかへ行ってしまった先生。と、最後の返り血。シリアスな仄暗い雰囲気と残った謎の感じが好きです。

>>瑚雲さん
正直に言うと、最初はよくわからなくて、三視点あるのか?? とか思ってて、彼岸花さんの感想で理解して、二人ともすげえ……! ってなりました。なんかもう、とにかく凄かったです。自分で気付けなかったのが少し悔しいけど、わかってから読み返すと、確かにパンダで、こぐもさんはこういう、文の中に仕掛けを用意するのが上手くて凄いなあといつも思います。
ちなみに私はさくさくパンダとレッサーパンダが好きです。

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